俺の妹がこんなに可愛いわけがないSS in VIP@WIKI内検索 / 「「願い」破1」で検索した結果

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  • 「願い」破1
                【破】1章 12月17日(土)秋葉原中央病院 PM4:00 先程から病院の外では細かい雨が降り始め、しとしとと音を鳴らしている。 まだ4時前だというのにも関わらず病院の廊下には、 夜の帳が下りたかのような暗闇で包まれている。 その廊下の奥の一室、ドアの上にある赤く光る照明だけが唯一の光源として、 暗闇を薄ぼんやりと照らしている。 しかし、廊下の隅では、その人物の絶望を表すかのように、 外の闇よりも更に深い漆黒に塗り潰され、重い空気で澱んでいた。 「桐乃っ!!」「桐乃!」 最初、自分に声をかけられたと気づけなかった。 果たして気づけてたとしても、振り返る気力さえ無かった。 すると、お父さんとお母さんが慌てて私のもとに駆け寄る音が近づいてくる。 「桐乃っ!大丈夫だった...
  • 「願い」破5
                       【破】 5章  高坂家 桐乃自室 AM 13:50 桐乃side 「……最低。」 部屋に駆け込むと、途端に足から力が抜けてズルズルとドアにもたれかかるように蹲まる。 電気も付いていない部屋は、私の心を表すかのように闇しか映さない。 その闇から目を背けたくて、両目を手で覆ってみる。 しかし、黒い気持ちからは逃れることができず、リビングでの醜態が頭の中に蘇ってくる。 『―――――うっさいっっ!!!!』 『でも……、あいつはっ!地味子は……っ!』 『あっ………。  ――――っ。ごめん!!』 先程の状況を思い出し、激しい自己嫌悪に襲われる。 何をやっているんだろう…。 地味子の話が出てきただけで怒り狂って、殆ど八つ当たりでお母さんに怒鳴り...
  • 「願い」破7
                       【破】 7章  千葉県  千葉駅周辺 PM 4 00 京介side ――どうしてこうなった…。 あの謎の告白の後、桐乃ちゃんから付いて来てとだけ言われて外に連れ出された。 口を閉ざしてズンズンと進む桐乃ちゃんに声をかけることもできず、 後ろから敗残兵のように目線を落としてトボトボと歩き続けている。 心の中では桐乃ちゃんの真意が掴めずに、先程から様々な疑念が飛び交っている。 『俺、このまま警察か病院に連れていかれるのか…?  いや、だが万が一、億が一ここからピンクなシチュエーションにってことも…!」 そんな大きな不安と一抹の期待(妄想)を抱きながら、見知らぬ街を歩き続ける。 「…着いたよ。」 『っ!!どっちだ?警察か、ピンクか!?』 ...
  • 「願い」破2
                       【破】 2章 秋葉原中央病院 AM6:00 意識が深い深い海の中からゆっくりとと浮上していく。 カーテンの隙間から漏れてくる朝日の光が、細い線となり顔に差し込む。 ……あれ、ここ ? 先程までの夢と見慣れぬ景色のせいで、意識がまだぼんやりとしている。 寝ぼけ眼のままベッドの方へ視線を動かすと、静かに寝息をたてて眠っている京介が映る。 どうやら京介の手をずっと握ったまま、朝まで眠ってしまったらしい。 ふと、先程見た夢の内容が驚くほど鮮明に思い出される。 京介がどこか遠くに、私の手が届かないところまで行ってしまう夢。 自分の息が途端に速くなり、まるで胸を万力で締め付けられるような寂寥感に苛まれる。 「……京介が居なくなるなんてイヤ。」 先程の夢を追い払おうと小さ...
  • 「願い」破4
                       【破】 4章  千葉県千葉市 高坂家 AM 11:30 桐乃side 12月の刺すような寒さも、雲一つない快晴の中である程度過ごしやすい空気に変わっていた。 千葉の閑静な住宅街は、クリスマスを間近にしてか、浮わついた雰囲気に包まれており、 道行く人々の表情もどことなく期待に満ちているように見える。 ――キキィッ そんな中、小さなブレーキ音と共に年代物のパジェロが、1つの家の前で静かに停車する。 「さ、着いたぞ。」 「ここが……。」 「うん。私たちの家だよ。」 「……俺の家。」 車から降り、物思いに耽りつつ家を見つめる京介に声をかける。 その顔はどこか寂寥感を帯びて、普段より大人びた雰囲気を醸し出していた。 「どうだ、...
  • 「願い」破6
                       【破】 6章  高坂家 リビング PM 2:10 桐乃side 「さっきはごめんなさいっ!!」 あたしはリビングに入ると、お母さんとお父さんに深々と頭を下げる。 しかし、その雰囲気や声には先程までのドロドロとした暗さは微塵も感じられず、 逆に潔ささえ感じられるものだった。 「もう、急に飛び出すもんだからビックリしたわよ。  でもその様子ならもう大丈夫そうね。」 「うむ。桐乃も事故にあって精神的に疲れていたのだろう。」 「そうかもしんない。ほんとごめんね?」 二人から優しい声をかけられて、正直ホッとする。 叫んだ理由は事故とは関係ないのだが、説明するとまたややこしくなるので、 そういうことにしておこう。 「桐乃も明日から学校なんだから...
  • 「願い」破3
                       【破】 3章  秋葉原中央病院 403病室 AM 8:00 「京介さん、どうでしたか?  ここの食事の味は?」 「そこそこでしたよ……?」 「はは。そんなに緊張して答えなくても大丈夫ですよ。  テストはさっきので全て終わりましたしね。  恐らく流動食は初めて食べられたんじゃないですか?  正直おいしくなかったでしょう?」 「………半端なくまずかったです。」 「そうですよねー。私も1度試しに食べた時なんて……。」 今、病室では先生が食事の話を京介に振って、緊張を上手くほぐしている。 私達は、先生から呼ばれるまで病室の外で待機するよう言われたので、 廊下から聞き耳をたてている。 外から聞いているだけでも、先生と話す京介の声が段々と落ち着いていくのがわ...
  • 「願い」序
    12月18日(日) 高坂家リビング 桐乃side 日曜日のお昼前というのは、どこの家でも家族の団欒の時間だろう。 我が家も日曜日ということで、リビングでは非常にまったりとした時間が流れている。 そして私は家族用に紅茶の茶葉をティーポットで蒸らし、 ゆったりと紅い色がお湯に広がるのを待っている。 「ん…こんなとこかな」 紅茶の色が十分濃くなったことを確認し、 紅茶の入ったカップをリビングのテーブルに並べていく。 なぜか私の家では麦茶は安物のパックなのに、 紅茶はお母さんがわざわざ専門のお店からいい茶葉を取り寄せている。 せっかくいい素材があるのだからと、 自分が満足できる味を出せるように紅茶の淹れ方を練習してきた。 その努力の成果として、今カップからは鼻孔をくすぐる甘い香りが漂ってくる。 リビ...
  • 「願い」急2
                       【急】 2章 12月22日(木) 千葉弁慶高校通学路 AM12:20 骨の芯まで凍えそうな北風が吹く中、俺は両手を擦りながら通い馴れていただろう通学路を進んでいく。 右手を見れば道に沿うように桜の木が植えられており、冬の寒風に吹かれてその枝が揺れている。 春の入学式の時期ともなれば満開の桜並木が生徒達の目を楽しませることだろう。 自分も見たであろうその風景を、頭の中で想像するしかできないことに幾分かの歯痒さを覚える。 そんな記憶を無くしてしまった俺が、何故こんな時間に学校に向かっているかというと、 昨日出会ったばかり(俺の主観でだが)の謎の女の子から呼び出しを受けてたからだ。 その子の名前は「黒猫」 俺と桐乃の両方の知り合いのようで、まるで日本人形に生命が宿ったような可憐な女の子...
  • 「願い」Q4
                       【Q】 4章  千葉市 児童公園 PM3:30 この児童公園には遮蔽物のようなものは殆ど無く、空はスッキリと晴れているのだが、 強い風のせいで気温以上に肌寒く感じられる。 辺りにはこの厳しい寒さにも負けることなく放課後を満喫している小学生がチラホラと見えるだけだ。 「あ、あやせちゃん…?」 そんな公園の隅で、俺はベンチに座る一人の女の子に後ろから声をかけた。 一応言っておくと、俺がへっぴり腰になってるなんてのはあんたらの見間違いだからな? そんな俺の呼び掛けに、その子はビクッと一瞬肩を震わせた後、 ギギギと壊れたブリキ玩具のような音を立てながらゆっくりと立ち上がり、こちらへと振り返った。 その瞬間、俺はまるで時が静止したかのような錯覚に陥った。 なぜって?そりゃ俺の目...
  • 「願い」Q1
                       【Q】 1章  12月19日(月) 高坂家 キッチン AM 6:50 雀が冬の庭先で朝の挨拶を交わしている中、家の中ではトントンと小気味よいリズムの音が響く。 その音を奏でているのは包丁とまな板だ。 台所には手慣れた様子でキャベツを細かく刻むお母さんと、 制服の上から青いエプロンを着たあたしが忙しなく手を動かしている。 ウインナーがフライパンの上でパチパチと音を立てて弾け、芳ばしい香りが食欲をそそる。 つい先程淹れたばかりのティーポットの蓋からは、美味しそうな湯気が上がっている。 あたしはそれらの匂いを堪能しながら、 トースターから良い具合に焼き色のついたパンをお皿へ取り出していく。 「これで全部準備できたわね。 それじゃあできたのからテーブルに並べていって頂戴。」 ...
  • 「願い」Q5
                       【Q】 5章  千葉市 児童公園 PM3:50 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! 「おれは 知らない女の子に出会ったと  思ったらいつのまにか結婚していた」 な…何を言ってるのか わからねーと思うが おれも 何をされたのか(ry 「…って、いやいや!ち、ちょ、ちょっと待ってくれっ。 ぷ、プロポーズ!?って夫婦になるってことだぞ!? わかってるのか?」 「…………(コクッ)/////」 「―――――。」 完全に狼狽しきった俺の問い掛けに、あやせちゃんは頬を染めながらも、 しっかりと頭を縦に振って肯定の意思を示す。 そうなるともう、詰みだ。 俺は陸に打ち上げられた魚のようにパクパクと口を動かすことしかできなかった。 「もう...
  • 「願い」急4
                       【急】 4章 12月23日(金) 総武線 車内 AM11:30 京介side 東京都の都心から千葉の最東端まで結ぶJR総武線。 平日は通勤するサラリーマン、休日は遊びに出掛ける家族など、 生活に欠かせない交通手段として利用されている。 『昨日は一睡も出来なかったな…。』 都心に向かう電車のシートに背中を預けながら、しょぼつく目を何度も揉みほぐす。 記憶喪失のストレスからくる不眠症は日々悪化していき、とうとう一睡もできなくなってしまった。 そのせいで、今朝からそれこそ鉛でも貼り付けられたかのように身体が重く感じられる。 目の下には色濃い隈が浮かんでおり、端から見れば病人にしか見えないだろう。  桐乃と母さんが朝早くに高校の説明会に出かけてくれたことが唯一...
  • 「願い」急1
                       【急】 1章 12月21日(水) 高坂家リビング PM3:45 母さんが井戸端会議に出掛けていった我が家で、 俺は今1人リビングのソファに腰掛けてテレビを見ている。 いや、見ているという表現には語弊があるな。 特段見たい番組があるというわけじゃなく、何の気無しにテレビの方を眺めているだけだ。 画面の中では、ニュースキャスターが主婦向けのワイドショーネタを大袈裟に解説していたり、 クリスマスのお勧めのデートコースが紹介されている。 だが、それらの情報も頭の中に入ってくることはなく、右から左へと素通りしている状態だ。 ふと、壁にかけられたカレンダーを見遣る。 12月の24日に赤字で二重丸が付けられているのを見て漸く、クリスマス間近だということに考えが至る。 そして、それは桐乃と...
  • 「願い」急5
                       【急】 5章 12月23日(金) 秋葉原駅周辺 AM13:20 桐乃side はぁ…!はぁっ…!はぁっ…!! …なんで? 激しく息切れしながらも、あたしは地面を強く蹴り、少しでも前へ前へと走り続ける。 だがフォームはど素人のようにグチャグチャ。 心臓は壊れたエンジンみたいに暴れ狂い、脚を止めろと悲鳴をあげる。 ……なんで? それとは逆に、心は走れ、走れとあたしを急き立てて、身体の悲鳴を強引に抑えつけて走り続ける。 ……なんで?………なんでっ!? 必死に脚を動かしながらも、頭の中ではさっきから同じ疑問の言葉がぐるぐると廻り続けている。 そのたった1つの疑問が、あたしの中でどんどんと膨れ上がり、脚を突き動かしていた。 ―――...
  • 「願い」Q2
                       【Q】 2章  中学校校舎 3-B PM12:45 学校は昼休みの時間となり、壁に据え付けられたスピーカーから最近のJ-POPが流れている。 それをBGMとして、教室の中では仲の良い友達同士で机を寄せ合わせて、 ワイワイと普段通りの賑わいを見せている。 食事を楽しむ周りとは対照的に、あたし達3人は異様な雰囲気を醸し出していた。 普段ならペチャクチャとファッションや化粧品の話題で盛り上がっているはずなのに、 今日に限っては3人ともが口を閉ざし、ピリピリとした緊張感がずっと続いていた。 お弁当を食べ終えてしまうと、空気は更に重苦しいものになっていく。 「あ、そうだっ。」 「ん?どうしたの、あやせ?」 「私、家に電話をかけなきゃいけないんだった。  もうご飯も終わっちゃっ...
  • 「願い」急3
                       【急】 3章 12月22日(木) 高坂家 リビング PM4:20 京介side 「ただいまぁっ。」 リビングのソファに座っていると、玄関から桐乃の元気な声が響いてくる。 少し開いたドアからひょっこりと顔だけ覗かせてきて、 俺の顔を見るやパッと屈託の無い笑顔を向けてくれる。 「遅くなっちゃってゴメンね、京介。  すぐに着替えてくるからちょっと待ってて。」 手を合わせながら舌を出して可愛らしく謝ると、パタパタとスリッパの音を立てて二階へと上がっていく。 だが、その軽快な足音とは対照的に、俺の心の中は泥のように重く澱んでいた。 俺の脳裏に昼間の黒猫との遣り取りが思い起こされる。 12月22日(木) 千葉弁慶高校 PM1:00 ...
  • 「願い」Q3
                      【Q】 3章  高坂家 リビング PM12:40 京介side 季節は冬。 家の外には木枯らしが吹き、窓はカタカタと小さく音を立てている。 部屋の中は暖房で過ごしやすい温度に整えられて、 暖房の稼動する音と微かな寝息だけが部屋を支配している。 「んん…。」 その静寂の中で小さな呻き声が上がり、瞼がゆっくりと開かれていく。 開いた眼にはまずリビングの天井が入ってきた。 「…………。」 寝起きで頭がボーッとして、思考能力が正常に戻るのに刹那の時間がかかった。 そうだ。朝御飯を食べて桐乃を見送った後、 酷い睡魔に襲われた俺はリビングのソファに横になったんだ。 どうやらそのまま浅い眠りについてしまったようだ。 母さんが気を利かせてくれたのか、一枚の毛...
  • 作業領域
    ウィキへの要望、修正してほしいことを書き込んでおくと、誰かが編集してくれるかもしれません。 名前 コメント 桐乃ブチギレ→京介ブチギレ がみたい -- 名無しさん (2014-05-06 17 14 1...
  • 京介「俺の妹は可愛くない」
    1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(チベット自治区):2011/03/14(月) 21 18 46.47:hrCkPoJl0 京介「マジで」 3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(チベット自治区):2011/03/14(月) 21 21 38.32:hrCkPoJl0 京介「俺の妹は可愛くない」 京介「成績優秀、運動万能、生意気盛りな中学生」 桐乃「………」スタスタ 京介「おはよう、桐乃」 桐乃「………」フンッ 京介「可愛くない」 4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(チベット自治区):2011/03/14(月) 21 23 47.15:hrCkPoJl0 京介「何時もの事だからあんまり気にならない」 京介「さて、そう思っていたら玄関先にゲームが落ちていた」 京介「パッケージには今流行りの萌え絵が描かれている」 ...
  • カップリング別
    カップリング別SS一覧 京介×桐乃 無題:1スレ目306 【「いい兄さん」の日】 無題:2スレ目278 【事故、眠ったままの兄貴】 無題:2スレ目707 【ヤンデレ桐乃】 無題:3スレ目35 【7巻if】 無題:3スレ目162 【きりりんデレデレ集】 無題:4スレ目37 【7巻後】 無題:4スレ目101 【大学進学】 無題:4スレ目106 【泣きデレ】 無題:4スレ目299/小ネタ 【エレベータに閉じ込めてみた】 無題:4スレ目381 【嗅ぎ人】 無題:4スレ目418 【冷戦再び】 無題:4スレ目492 【彼氏と文化祭】 無題:4スレ目709 【闇の世界の住人】 ※鬱展開注意 無題:5スレ目299 【もし桐乃がサカ豚だったら】 無題:5スレ目518 【あやせが家宅侵入】 無題:5スレ目639 【おんぶにだっこ、桐乃捻挫】 無題:5スレ目803 【実...
  • 桐乃「デレノート……?」:624
    624 名前: ◆kuVWl/Rxus[sage saga] 投稿日:2011/05/16(月) 20 33 07.70 ID XSnldCWFo あれから数日が経ち―― 今日も、なんら変哲も無い、いつもの朝を迎えた。 いつものように、部屋に鳴り響く目覚まし時計。そのけたたましいベルの金属音に、俺の眠りは妨げられる。 しばらくすると、ガチャっと部屋のドアが開く音が聞こえ、目覚まし時計のベルが鳴り止んだ。 「お兄ちゃ~ん?――いつまで寝てるの? もう朝だよ」 まるで世話女房のように振る舞う桐乃がカーテンを開くと、薄暗かった部屋に眩しい朝の光が差し込んできた。 「早く起きないと、朝ごはん冷めちゃうでしょ。せっかく作ったのに~」 そう言って俺の身体を揺さぶる桐乃に、俺は背中を向けて狸寝入りを決め込み、 ささやかな抵抗を試みるが、 「ふ...
  • 「高坂京介は落ち着かない」07
    ついさっき降りだした雨が、早くも道路を黒く染め尽くそうとしている。 朝の予報は50%。念のために傘を用意してきて正解だったようだ。 それにしても…… 「あのなぁ、この間も何の備えも無しに風邪引いてただろ。すこしは懲りろよ」 なかば濡れ鼠で駆け込んできたお馬鹿に呆れ果て、自然に溜め息も出る。 当の本人はというと、まだ乱れた息を整えつつ、さすがに決まりが悪そうな顔をのぞかせた。 「こんな急に強くなるなんて思わなくってさ。でもほら、あれ。水も滴る」 「ハイハイ、いい女いい女」 さしあたって俺が羽織ってきたウインドブレーカーを渡す。 洒落っけのない、機能一点張りの雨具だが、この際文句は言わせない。 「いいよ別に。アタシもう濡れてんじゃん。一緒に傘に入れてくれるだけでいいって」 「つべこべ言わずに着とけっつーの。解っ...
  • 「高坂京介は落ち着かない」05
    「海が見たい。」 そう彼女が主張したので、今日は海の日になった。 なにを言ってるのかわから(ry 「こんな冬の真っ只中に、よりによって海とか、物好きというか酔狂というか…」 「いやそれ意味同じだから。そんなんで本当に試験大丈夫だったわけ?」 「ほっとけ。まぁ、心配には及ばん」 そう。長きに渡る受験闘争も先日のセンター試験を終え、ようやく一山越えた感なのだ。 自己採点の結果は、ここらで休息日を取ってもいいだろうと思えるものではあった。 「にしても、なんで海かね。寒い景観しかないだろに」 「いいじゃん、加奈子は京介と海に行きたいの。つべこべ言わずに連れてけよー」 押しきられてしまった。 とはいえ、このくらいなら我が侭って程でもない。 何だかんだで一月の間コイツなりに俺を気遣って接してくれてる。そこには報い...
  • 「高坂京介は落ち着かない」02
     年の瀬も押し迫り……なんて常套句が毎日のように浮かぶ12月末。  沙織が「京介氏の慰問会を開きませう」とか言って、控えめながらクリパの場を設けてくれたり、 (アイツの心遣いには頭が下がるぜ本当)  黒猫が「邪魔にならないといいけれど」と腕の通しやすい上着を拵えてくれたり、ゲー研の連中は、冬コミは申し訳程度しか参加できないと伝えたんだが、暖かい励ましで迎えてくれた。 (代わりとばかりに武勇伝をせがまれもした。ないから、そんなん)  麻奈実やあやせたんも「手伝える事があれば気兼ねなく言って(ください)」と宣う。  俺ってば思ったより愛されてんのかしら…と感慨も大きい。  そんなこんなで早30日。  親父もようやく休みに入ったかと思えば、年末年始の警ら体制がどうこうと助力を請われたようで、完全にリラックスする訳に行かない様子だ。  そんなこん...
  • 「高坂京介は落ち着かない」09
    ふぃ~…… く、くたびれたぁ 大学に上がってからまだ日が浅いとはいえ、環境の変化が想像以上に大きかった。 学生生活に必要な様々の情報をうまい具合に取り込まないとならん。 しばらくは汲汲とする日々が続きそうな感触だ。 肩や首をグキグキとほぐしながら掲示板を流し見、さぁ帰るかというところで横合いから声をかけられる。 「高坂じゃねーか。おいおい奇遇だな」 ここ数日で聞き慣れた、でもないが、声の方へ意識を向ける。 「ああ、部長。いま帰りすか」 「部長はよせ。何回言えば気が済むんだ。ったく」 たしかに、先月一緒に高校を卒業してゲー研って所属から離れたからには、部長もないんだが……つい習慣で。 俺の数少ない親友と言ってもいい部長こと三浦絃之介は、過去数回の留年実績から卒業が危ぶまれてた訳だが 今年こ...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」08
    緊張の面持ちのまま家に着いた。走ってきたわけでもないのに心臓はバクバクいってる。 帰宅するのにこれほど落ち着かない日は後にも先にも無いかもしれない。 俺の人生は今日、大きな分岐点を迎える―― 「ただいまー」 鍵も開いているし家の明かりは点いてるので桐乃が居ることは間違いない。 二階の自室?リビング?どこに居るのだろうか? とはいえ帰って先ず最初にすることはいつも同じだ。リビングに向かい水分補給―― 「あ、おかえりー」 「おう、ただいま。ここに居たのか・・・ってなんか少し散らかってないか?」 「うん、お祝いにあやせと加奈子が来てくれてたからサ」 「人気者は大変だな」 苦笑しながら軽く茶化す――普段と同じように話しかけることが出来て若干落ち着いた。 しっかしまあ、昼はオタク仲間の沙織と黒猫、夕方にはモデル仲間のあやせと加奈子、 パ...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」01
    俺、高坂京介は混乱している 大学進学を決めて、ようやく大学生活に慣れたという頃に 両親が、否、今まで俺を育ててくれた夫婦が突然交通事故で亡くなった 葬儀屋、親戚、親父の同僚などに連絡をして葬儀を済ませたら 今度は悲しむ暇も無く相続だの後見人だのといった話が出て来て さらにその中で俺が実の子じゃないという事実まで飛び出してくるんだから 頭の中はまさに混乱のキワミだ それは16才になったばかりの妹(と思っていた)桐乃もそうだろう 「えーと、それでつまりどういうことなんでしょうか?」 役所の人や司法書士さん、遠い親戚といった人達から色々話や これからとり得る進路などを言われてもイマイチ頭に入ってこない 「あ、あたしはそんなの絶対イヤ!!」 桐乃は何か激しく怒鳴っている 後見人とか財産管理だとか相続だとかそういうややこしい話がぽんぽん...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」03
    「――じゃ、これなら注文してもいい?」 「殴りますよ」 喫茶店で一番高いメニューを指差しながら、年下に奢らせようとしている目の前の女性は 伊織・フェイト・刹那、いわゆるダメ人間だ。 「ひ、酷くないっ!?」 「わざとらしい演技は必要ありませんよ」 妹さんの事で大事な話がある――そう言われて呼び出されたのに、 さっきからやってることはひたすら飯を奢らせようとしてるだけ。 「大体、今はそんなにお金に困ってるわけじゃないんでしょう?」 その昔、小説家を目指して様々な出版社に投稿を続けていた彼女だが、 いかんせん才能には恵まれていないらしく、未だその夢は叶わないままである。 だが、面白いものを見極める目は確かであるらしく、今ではその能力を活かし、 いわゆる同人ゴロという仕事(?)をしているらしい。 「株で失敗しちゃって・・・...
  • 「高坂京介は落ち着かない」03
    「ふあぁ~……ぁふ」  ついつい大欠伸を洩らしてしまうのも仕方ないやな。  ほんの数時間前、親父に付き合って二年参りに行ったばかりだ。  あの外見に違わず家長として家内安全無病息災の験担ぎを大事にする人であり、今年はおそらく俺や桐乃が無事に受験に臨めるようにという祈願もあったのだろう。  特に誘いがあった訳ではないんだが、同行することにした。  結果、元日で普段より大分朝が遅いってのに、やたらと欠伸が出てしまう。なんだかな……  家族全員の失笑を買いつつ、餅と雑煮を食べ、こうして二度めの初詣?に出掛ける俺だった。  というのは、正月早々赤城からメールが届き新年の挨拶がてら初顔合わせという趣きらしい。  麻奈実も誘ってくれと頼まれ電話してみたはいいものの、今年は和菓子屋のがいつになく好調で今日は時間を取れないと言う。  後で改めて俺...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」ex01
    ~エピローグ~ 「も、もう一度聞かせてくれるかしら?」 「だから!ぶっちゃけいつになったら手を出していいかってことだよ!何度も言わせんな恥ずかしい!」 「わ、私の方がよっぽど恥ずかしいわよ!そもそも別れた女にそんなこと聞くなんてあなた正気なの!?」 説明しよう。俺は今、元彼女から正気を疑われている。いや、そうじゃない。それは本題ではない。 元彼女と言ったがそれはつまり、今は別の子と付き合っているからなんだ。 元妹で、元妻で、現恋人の桐乃。詳しい説明はここでは省こう。 俺はその子との付き合いで現在非常に悩んでいることがある。 「だ、だいたいあなた私と付き合ってる時はそういう素振りをほとんど見せなかったじゃない」 「あの頃と比べるなよ!俺もう23だぜ!?」 高校生の時は、まだ早いんじゃないかという思いと、 桐乃との関係がぎくしゃくしかけた...
  • シロッコ「私の妹がこんなに可愛いわけがない」
    1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 19 41 39.83 ID aNI0gf2f0 桐乃「ちょっと、人生相談があるんだけど……」 シロッコ「ほぉ、やっと私のことを頼り始めたか。可愛い奴め」 桐乃「は、はぁ。何いってんのよ、このスケコマシ!」 シロッコ「強がらなくていい。君は癒しの場所が欲しいだけなのだろう、私にはわかる」 桐乃「そ、そんな訳ないでしょ……! いい加減なこと言うじゃないわよ!」 シロッコ「私に人生相談しようと考えた、君の判断は実に正しい。       君の野望を叶えられるのは私だけだ。これからもそれだけは覚えておいてくれ」 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 20 03 25.33 ID aNI0gf2f0 シロッコ「なるほど、エロゲーかい」 桐乃「それだけじゃ...
  • 「高坂京介は落ち着かない」10-3
    ―――――――――――― ―――――――― ―――― 「ん~……しょっ」 出入口まで戻ると加奈子は大きく伸びをして首やら肩やらほぐす。 帰りの混雑を避けるべく、閉会の時間より少し早めに会場をあとにして正解だったようだ。 「お疲れ。まぁ、あれだけ着替えこなせばくたびれもするか」 すぐそこで買ったジュースを渡してやる。 半分以上売り切れになってる自販機が、今日のイベントの人出を語っていた。 「サンキュ。ふう……案外楽しめたわ、うん」 「なに言ってやがる。俺が勧めた衣装よりも自分で選んで着たのが明らかに多かったじゃねえか」 「えー、そうだったっけ」 かわす言葉にも満足感がうかがえる。 加奈子は続けて靴を履き直し、爪先をトントンとリズミカルに鳴らした。 「つーかお前の選んだのはあれな、い...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」05
    今、桐乃はなんて言った? あんたのことが好きだから? 誰が誰を好きだって? 「・・・・・気付いてなかったでしょ?あんた鈍いもんね」 「・・・・・すまん」 「・・・・・」 「・・・・・」 気まずい沈黙が続く。というかこんな時なんて言えばいいんだよ!? 大体桐乃は妹だぞ!? 「なんか言ったらどうなの?」 「いや・・・なんて言えばいいんだよ、いきなりそんなこと言われても何も出てこねえよ・・・」 「・・・じゃ、あたしに聞きたいこと聞けば?一番言いにくかったことはもう言っちゃったし」 「ん・・・、そうか」 聞きたいこと、聞きたいこと、ああダメだ!さっきのセリフが邪魔をする。 こいつが俺のことを好きだなんて何の冗談だ!? そりゃ家族なんだから嫌われてるより好かれてる方がいいけど、 こいつが今言った「好き」はそういう意味じゃない...
  • 「高坂京介は落ち着かない」06
    「思えば先輩と二人で話すのは随分と久しぶりね。ここへ来るのは尚更」 俺高坂京介が後輩であり友人でもある黒猫こと五更瑠璃と、この校舎裏を訪れるのは半年ぶりにもなる。 思い出深いには違いないが…ここで最後に交わした会話が会話だったため、自然と足は遠のいていた。 あの夏の日。彼女が精一杯に投げかけた呪いは今も生きている。 たとえそれが彼女の望んだ形で結実しなかったにせよ 「そんな暗い顔で黙り込むのはどうかしら、先輩?」 「あ、あぁ。悪い。このシチュエーションが何ともな」 俺がつい正直な気持ちを吐露してしまうと、黒猫は珍しく目を細めて苦笑った。 「貴方がナイーブになってしまうのも理解できるけれど。私は悪くない気分よ。不思議と」 「そいつは、なんでだろうな」 「そうね…言えばまた貴方を困らせてしまうのかもしれないけど。 ...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」06
    「お兄さん、質問があります」 「お、おう。桐乃のことで、だよな?」 「はい、少し気にかかる事があるので・・・」 あやせに呼び出されたいつもの公園―― 前回呼び出された時は桐乃と結婚したことについての追求だったが今回はなんだ? 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 「何か言えよ」 「その・・・、桐乃がお兄さんの事を好きだって本当ですか?」 「あっ!?ああ、そのことか?まあ俺も信じ難いんだがそうらしい」 「くっ・・・桐乃はどうしてこんな変態を・・・!」 「誰が変態だっ!!」 そもそもあやせが俺を変態と評するのは、桐乃のオタク趣味がバレた時に 二人を仲直りさせる為に俺がやらかしたことが原因ではあるが・・・ 「もういいかげん誤解するのはやめてくんねーか?  あやせが桐乃の趣味を快く思っていないことはわかるけ...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」07
    「ねぇ、そろそろしない?」 「な、何をだよ?」 ある晴れた日の休日――桐乃の提案の言葉に動揺する。 だが、いつまでも目をそらし続けるわけにはいかない現実がそこにある―― 「お父さんとお母さんの・・・、遺品の整理――」 親父とお袋の部屋、そこにあるもの、それら諸々の品々を片付ける時が来たのかもしれない。    ―ガチャリ― そっと扉を開く。この部屋に入るのも久しぶりだ。 そもそも二人が健在だった時でも、そうそう立ち入っていた部屋ではないのだ。 「やっぱり怖い?」 「ん、怖いってことはないけど・・・」 俺が養子になった経緯などが分かってしまうようなものが出てくるかもしれない。 両親がどんな思いで俺を引き取ったのか――どんな思いで育てていたのか―― 「ちょっと緊張するな」 「ま、無理だったら途中まででもいいし」...
  • 「高坂京介は落ち着かない」10-1
    京介―― 京介―― 俺の名を呼ぶ声に、眠りの淵から意識が引き上げられる。 あと少し…もう少しだけ寝かせてくれ…。 などと思いつつ同時に、こんな感想が浮かぶからには半ば目醒めてきているんだなと自覚される。 どうにか開いた目を擦ろうとするが腕が動かない。 なんだ、麻痺?寝違えたか? 途端に眠気が飛び、痺れた腕を確認すべく体勢を変える。 と…何の事はない。すぐ隣でスヤスヤと眠る彼女が俺の腕を枕にしていた、という有りがちなオチだった。 起こさないよう、なるべく慎重かつ迅速に腕と枕(本物)とを入れ換える。 このまま眠る加奈子を観察していたくもあるが… 生理的欲求に衝き動かされ、そそくさと寝床を後にする。 用を足し、顔を洗うと、続いて喉の乾きをおぼえた。 昨日は殆ど体を動かしてないとはいえ、寝てた時間が長かったから逆...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」02
    本文:いつもの公園で待ってます 勘のいい奴じゃなくてもわかるだろ?これはあやせからのメールだ。 新垣あやせ――妹の表の親友だ。と言っても桐乃のオタク趣味の事はもう知ってる。 ああいう趣味を毛嫌いするあやせが桐乃の趣味を知ったときは大変だったが、 二人の友情は壊れることなく続いているし、常に桐乃のことを気遣ってくれるいい友人だ。 だからこれは桐乃のことで相談があるってことで間違いない。 「で、今日は何があったんだ?」 公園についてさっそく話を切り出すと虹彩の消えた瞳で恐ろしい事を言い出しやがった。 「わたし、桐乃に手を出したらぶち殺しますよって言ってましたよね?」 まてまてまて!!その手に持ってるものはなんだ!? 「おお、お、落ち着け!一体何の話だ!?」 「とぼけないで下さい!!  桐乃のご両親にあんな事があって、お兄さんと二...
  • 無題:10スレ目632
    632 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/05/29(日) 16 16 22.57 ID TzFoRWzQo [4/7] 「これを見てください。どう思います?」 「……すごく泣きそうです」 「いきなりとんでもないものを見せないでちょうだい」 瀬菜が俺たちに見せてきた物は、一冊の薄い本。いわゆる同人誌と呼ばれる物だった。 で、当然のことながらその内容といえば―― 「部内の人間をモチーフにするのは止めろって言っただろ! それと、なんで俺はいつも掘られる側なんだよ!」 「えへへへ、ごめんなさい。でも、先輩たちを見てるとどうしても止められなくって……」 「……先輩、突っ込むところはそれでいいの?」 くそっ、瀬菜のやつめ。そんなに俺を泣かせたいのか。 ……エロシーンまでのカウントダウンが0になった時を楽しみにしておくんだ...
  • 「高坂京介は落ち着かない」01
    こんな年の瀬に、夜の街路をダバダバ走るのは誰だろう。 それは俺と加奈子だ。俺は喚く加奈子を追い立てながら駆ける。 「お前な、悪態ついてる暇があるなら足動かせ!」 「ったくアイツらしつこすぎだっつーの、最悪最悪ー」 「酔っ払いに絡まれたくらいで挑発的に返すからだろ…」 その酔っ払い連中は執拗に後を追ってくる。 よぅよぅお嬢ちゃん俺たちと遊ばない?とか、こんなちんちくりん相手に絡むとは奇特な奴らだ。 俺の存在なんかガン無視だったしね 「チクショー調子こきやがって。なんで加奈子があんなのに逃げなきゃなんねーのよっ」 「そりゃお前、そんなカッコで迎え撃ちも何もないだろ」 イベントの打ち上げとやらで例によってコスプレ姿のままじゃあ さすがの加奈子も分が悪いと理解はしているだろうに。 つーか酔ってる連中と並べても遜色ないくらい口汚...
  • 「高坂京介は落ち着かない」08
    時の流れは早いもの。月日は瞬く間に過ぎた。 春四月。 地元の志望校へ無事合格を果たした俺は、あと何日かで晴れて大学生になる。 新生活の節目を迎えようという今日、俺と加奈子は―― じつはケンカしてたりする。 いや、ケンカってほど大した事じゃない。あいつがちょっとヘソを曲げてるだけなんだが。 これがまた、微笑ましくも手強くて参ったもんだ。 「おっす、加奈子、お前のが早く来てるなんて珍しいな」 「……はよ」 これである。 可愛くねー!と言ってやりたい気持ちと、そんな不景気な面も可愛いなとからかってやりたい気持ちが相半ばする。 こうしてデートに繰り出すのも何回目だろう。 いちいち数えてられんくらいには二人一緒に居るのが馴染んできた。 いまの加奈子のご立腹がどれだけか正確には測れないが、今日も小洒落た格好...
  • 京介「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」
    3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/25(金) 17 25 29.50 ID +yIhwK3R0 [2/78] 十二月半ば。 寒風吹き荒ぶグラウンドを十周し、 精も根も尽き果て地面に仰向けになった俺の隣に、誰かが座る気配があった。 「なあ高坂、お前に相談事があるんだが」 声の主――赤城康平は、高校入学以来続いている数少ない友達の一人で、 元サッカー部エース(秋口に引退した)の爽やかイケメン男子でもある。 俺と同じ運動量をこなしたってのに、 見上げればほら、あんなもんは準備運動とばかりにケロリと――してねえ。 女子の長距離走に注がれた視線の源、二つの眼はよくよく確かめると遙か虚空を見つめていて、 頬の血色は悪く、唇はかさかさに乾いている。 まるで死相だ。 「どうしたんだ?」 「その……まあ……なんつーか……」 「歯切れ悪いなオイ」 「…...
  • 「高坂京介は落ち着かない」04
    一月某日。 正月休みも明けてセンター試験まで十日をきっている。 今頃になって最後の追い込みってんでもないが、 人並みに募らせた緊張感に駆られて、先日買い足した問題集と格闘する俺である。 そろそろ暗記もののチェックに移ろうかと考えた矢先、 時間的に今日は来ないらしく思われた加奈子が元気よく訪ねて来る。 「京介、根詰めすぎても良くないから気分転換に外出よーぜっ!」 言って加奈子は肩掛けのスポーツバッグを示して見せた―― あれよという間に近場の公園まで連行される。 まぁ気分転換するのは吝かでないので、べつに文句の一つもありはしないが。 「それでバッグの中には何を用意してるんだ。勿体つける程のもんじゃないだろ」 促すと加奈子は待ってましたと言わんばかりにそれをご開帳する。 ラケットとシャトル…? てっきり無難にキ...
  • 「高坂京介は落ち着かない」10-2
      *  *  *  *  *  * ああ、了解だ で、お前は来られないのか そっか。伝えとくわ …は? わーってるって。言われるまでもねーよ! どんだけ信用無いんだっちゅうの、自分の兄貴に じゃあな。応。   *  *  *  *  *  * 思いのほか長くなった通話を終えると、携帯を耳から離した途端に待ちわびた加奈子が口を開く。 「桐乃なんだって~?」 「それがだな、手短に言うと、俺たちがこれから向かう先を提案してくれた」 「どゆこと??」 親愛なる我が妹いわく。都内某所でオタ関連のイベントが催されているそうな。 即売会の類いか、はたまたライブとかだろうか。 あんたたちでも楽しめるだろうからと力強く請け負っていたんで、ものは試しに行ってみようか…...
  • 「もしも桐乃が読モをクビになったら…」06
    第6話「俺の妹がこんなに太ってる訳がない」 ーーー数日後・桐乃の部屋ーーー 桐乃「フヒヒ」カチカチ ーーーリビングーーー 佳乃「ちょっと京介ー」 京介「なんだ?」 佳乃「最近の桐乃ちょっとおかしくない?」 京介「そうか?いつも通りじゃないのか?」 佳乃「部活と学校はいつも通りだけど、休日にこうやってずっと部屋に篭ってるじゃない」 京介「そうだなー。けど前にも休みの日にはずっとパソコン弄ってたんじゃないのか?」 佳乃「そうだけど、呼びかけても返事しないし部屋に内鍵も付けてるみたいだし」 京介「そう言われてみればそうかもなー。じゃあ俺からも少し聞いてみるわ」 佳乃「お願いねー」 ーーー桐乃の部屋前ーーー コンコン 京介「桐乃...
  • 無題:3スレ目98
    98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/03(金) 16 32 54.81 ID YJbL8xSb0 [1/17] あやせ「お兄さん。人生相談があります」 京介「はあ。その手錠は何なんだ?」 あやせ「これですか?もちろんこうやって……」ガチャン あやせ「手の自由を防ぐためですよ」 京介「はあ」 あやせ「はい」 京介「……なんで自分にやってんだ?」 あやせ「それが人生相談です」 104 名前:ここでやるわ[] 投稿日:2010/12/03(金) 17 16 31.39 ID YJbL8xSb0 [3/17] 京介「……は?」 あやせ「は?じゃないですよお兄さん。どうにかしてください」 京介「いや、俺にどうしろと」 あやせ「だから、私に変な性癖ができてしまったんですよ」 京介「あー……いわゆるマゾヒストってやつか...
  • 桐乃「おーい、クソメガネ~」
    17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/30(日) 17 33 52.57 ID 44dpALiO0 [1/37] ある日 麻奈実「今日は招いてくれてありがとね。久しぶりのきょうちゃんち、うれしかったよ」 京介「何言ってんだ。勉強教えてもらったんだからこっちがお礼を言わなきゃいけない方だろ」 桐乃「……」 麻奈実「あっ、桐乃ちゃん。今日はおじゃましました」 桐乃「うっさい。とっとと帰れ地味子! ううん、クソメガネ!」 京介「き、桐乃……オメェ!」 麻奈実「え、えへへ、別にいいんだよきょうちゃん……。それじゃまた明日学校で会おうね」 バタン 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/30(日) 17 40 55.81 ID 44dpALiO0 [2/37] 京介「おい、桐乃」 ...
  • 「俺が妹と夫婦なわけが無い」04
    ――どうしてこうなった 桐乃に言われて出てきた手前、さっさと家に帰る気にもなれない。 「田村屋にでも行くか・・・」 このささくれ立った心をなだめてくれるのは、あの雰囲気しかないだろう。 しかし正直それはどうなのかと思いながらながら近所をブラブラしていたら 見慣れた坊主頭の男が目に付いた―ー 「お?あんちゃん久しぶり!」 「よう、ロック、ちょうどいいところに来た。今ヒマだろ?ちょっと付き合え」 「へ?ちょ、ちょっと待ってくれよ!イテテ」 話しかけてきた麻奈実の弟の耳をすれちがいざまに引っ張りながら強引に連れて行く。 行き先は近所のゲーセン――かつて桐乃が親父に趣味の品々を咎められた時に ここの太鼓の達人で派手に暴れていたっけ―― 「百円出すかお前が殴られるか選べ」 「あんちゃんひでえよ!?」 今時、パンチングマシ...
  • 3月31日のライオン:11スレ目706
    706 名前: ◆36m41V4qpU[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 43 26.07 ID znjcnUDM0 [2/7] 俺は… 1 妹と一緒に家族旅行する 2 妹の友達に思いを伝える 3 幼馴染みに思いを伝える 1を選択 〝許されざる者〟 声が聞こえる、病院で目を覚ます。 「キョウスケ…キョウスケ…」 茶髪の綺麗な女の子が泣いている…そして頭が割れる様な痛み。 医者「残念ですがご両親は…」 …何かを考えるとやはり頭の痛みがぶり返す。 医者「頭部打撲による一時的な記憶障害でしょう」 女の子は僕が眠るまでずっと手を握っていたし、目を覚ました時も その手を離していなかった。 「キリノって名前…やっぱりキョウスケは覚えてないよね。 でも私にとってあなたは大切な人なの…だから何か困った...
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