夜、このギムリアースのとある裏通り
私は目の前にいる犬のような下級
モンスターに対して対犯罪者用の警棒で殴りつける。
キャウン! と声を立てて派手に吹き飛んだ魔物は動かなくなる。
「これは本来、軍の仕事ではないんですか」
「我慢しろ、これも俺たちの仕事だっ」
そう言いなから先輩は魔動銃で魔物に穴を空けながら言う
「どう考えても治安維持局の仕事じゃないですよねモンスター退治って…」
「この奥に手配中の兵器用魔物の密売人がいるのは確かだ、静かにしろ」
さっきの戦闘の音で気づかれてると思うが言わないでおこう、
どうせ奥にある部屋からは穴でも掘らなきゃ逃げられない。
先輩が扉を蹴破ると私が宣言する
「治安維持局です! モンスター密売及びトレムレデールの女性にモンスターの子を孕ませた罪状で逮捕します!」
「おとなしくお縄につけ!」
ここ、商業都市サンテーンはその物流のの激しさから密売が後を絶たない、
「エルフか、大方が知能が低いモンスターを魔法で従わせて輸出してたんだな」
「おとなしくしなさい!」
私は男を取り押さえようと武器を構え近づく。
「まっまて! お前らは今の国に不満はないのか!? 今の国あり方に不満はないのか!」
悪人面のエルフが苦し紛れとばかりに言う
「だそうだ後輩、どうだ? 国に不満とかあるか?」
先輩は銃を突きつけながら言う
「そうですね、あるっちゃありますね…」
男は即座に食いつく
「そうだろ! ここで俺を見逃せば! その国をだな!
「行きつけののおじいさんのセクハラがひどい事とか? 給料とか?」
「なっ! まじめに答えろ!」
一体どんな答えを待っていたんだろうか?
「いや、そんな急に聞かれてもですね…」
結構本気なんだけどなあ、この悩み
「それだけなお前と違って、おれはだな…
「いつまで続ける気だ後輩、 それとお前は国家転覆罪も追加だな」
先輩が不毛なやりとりに横槍を入れて男を取り押さえようとする
「くそっ! ギムリアースの犬に捕まってたまるか!」
男は水晶具と思われる指輪を翳す
「先輩! 魔法です!」
「わかってるって!」
先輩は即座に男の懐に入ると男の鳩尾を殴りつける、結局使えなきゃ魔法は無意味だ
「グォエア!」
蛙がつぶれたような奇妙な声を出して男は意識を手放す
「逮捕です!」
私は男の指輪を奪って握り砕くと男に特殊合金でできた手錠をつける
「事件解決だな」
先輩が呟く、後の尋問は捜査課の仕事だ。
……次の日の朝、サンテーン治安維持局支部
「はあ…」
私は報告書を書きながらサンテーン名物(自称)エキゾチックハイパースーパーりんご飴をなめる
何がエキゾチックハイパースーパーなんだか
私には一切わからないが別に問題にはなっていないからいいだろう。
「普通のりんご飴だな、うん」
「のはあ!」
普通にびっくりした!
「せんぱい! 突然現れて人の飴食べないで下さい!」
「いやいや、うまそうだったから、つい」
先輩は何時も通りのなんでも見透かしそうな目を輝かせなから言う
先輩は甘いものが好きなのだ、と言うか甘党だ。
「だからって! 突然人の飴に食いつかないで下さい!」
うはあああまだ心臓がバクバクいってるううううう
うわあああああ。
じゃなくて
「それより先輩! 報告書まとめるの手伝って下さい!」
「そう言うデスクワーク苦手なんだよなあ」
頭をかきながら先輩は言う
「さっさと全部終わらせましょう」
私は机から報告書や捜査資料の山を取り出す
「うげえ これ全部?」
「しょうがないでしょう、ほかの課のもあるんですから」
私はため息をつきながらも万能インクペンを取り出す
「なんで他の課のやつまでやんなきゃなんねえんだよ」
「なんでも・かんでも・やりますよ がこの 総合特別課 のキャッチコピーですからね」
「そうだけどさあ…
「そうだぞ、何でもやるのがこの課の特徴だからな」
私と先輩は部屋の入り口に目をやる、そこに立っていたのは気だるそうな顔に指定の制服を着崩した男性、
「課長!」
「おはようございます、ホールス課長」
「よお、テオ、アレス」
私たちの上司 ジョージ・ホールス課長だ
「課長も手伝って下さいよ、いつもより多くて下手したら徹夜ですから」
私はすぐに作業に戻って手を動かしながら言う
「あー、っと…アレス」
「何でしょう課長」
私は作業をしながらホールス課長の話を聞く
「また厄介ごとですか!」
先輩は、よほどデスクワークが嫌だったらしくホールス課長の話にすさまじい速さで食いついた
「厄介事、というのかは分からんがお前たちに少し見てきてもらいたい物がある」
「見てくる…ですか何でしょう? 課長」
ホールス課長の言葉に先輩が質問する。
「東の町外れの辺りの空で突然魔法の物と思わしき爆発が起こったと通報があった、幸い死傷者はゼロだが一応見てきてもらいたい」
東の町外れの辺りには変わり者の発明家のおじいさんが暮らしていると言う、大方その人がらみだろう
「なるほど、大方の犯人は分かっているから大人数の捜査官は裂けない、
だからと言って機動課を動かすほど大きな事態でもないからこの小回りの利く 総合特別課 の出番ですか」
私は一応自分なりの推論を述べる
「 小回りが利く ってそりゃ課長含めても3人しかいねえもんなあ」
「そうですね」
「ほらほら!さっさと行って帰ってきて書類を仕上げてくれ!」
課長が急かしてくる、確かに一応緊急任務ではある
「いくぞ! 後輩!」
先輩が部屋から飛び出す
「了解です、先輩」
私は腰に銃と特殊警棒がついている事を確認すると先輩の後を追った
サンテーンには今日も変わらず生活を営む人々の声が響いている。
最終更新:2011年08月16日 22:59