1◆ ユイとサチ/ヘレンに全てを話した。 何故、サチが心を閉ざしてしまったのかを。 何故、サチがヘレンに頼らなければいけなくなったのかを。 何故、サチが『死にたくない』と願い、死の恐怖に囚われてしまったのかを。 何故、サチがキリトと共にいて、そしてキリトは何をしようとしていたのかを。 そして……何故、サチ/ヘレンがキリトを傷付けてしまったのかを、[[岸波白野]]は話した。 何もかもを、包み隠さず。 「………………!」 「――――――!」 それらを突きつけられたユイの胸中は如何なるものか、愕然とした表情を浮かべていた。 一方でヘレンも、キリトの真意を知ったことで、黒点の動きに乱れが見える。自分のしたことの意味に気付いて、動揺しているのか。 彼女達が苦しむのを見たくなどないが、これは決して隠していいことではない。だからこそ、どんな結果が待ち構えていようとも、真実を伝えなければならなかった。 ふと、この事態を見守るみんなの方に振り向く。 セイバーとキャスターは心配そうな表情を浮かべ、レオとガウェインは真摯な瞳で見守り、桜は瞳から悲しげな雰囲気を放ち、[[カイト]]は…………自分達をただ真っ直ぐに見つめている。 みんな、この事態を真剣に受け止めているようだった。 実を言うと、カイトの反応も不安だった。 彼はヘレンに協力してくれているが、今回は特例中の特例だろう。本来は女神AURAの騎士として『The World』の秩序を守り、その為にAIDA達と戦ったAIプログラムだ。 だからこそ先の戦いでも、エージェント・スミスを乗っ取った蜘蛛のAIDAに立ち向かい、そして打ち勝った。 もしかしたら、キリトとの一件を知ったことで、サチ/ヘレンを敵と思ってしまうのではないか……そんな不安もある。 だけどカイトは何も言わずに見届けてくれている。それがどういう意味なのかはわからないけど、彼がどんな答えを導き出そうとも……受け止めるべきだった。 ユイとサチ/ヘレンに、再び視線を合わせる。 今の彼女達と向き合うのは、心が張り裂けてしまいそうになる。だけど、決して逃げ出したりなどしない。 彼女達はあのスミスを相手に一歩も退かずに立ち向かった。力で劣っているにも関わらず、みんなの為に戦い抜いた。 そんな彼女達から逃げ出すなんて、それこそ彼女達への冒涜に他ならない。 重苦しい静寂が部屋の中に広がっていく。 そんな中、ユイとサチ/ヘレンは互いに視線を合わせていた。 ユイはサチ/ヘレンを見上げて、 サチ/ヘレンはユイを見下ろし、 視線が交錯しあう中、彼女達はどんな想いを抱いているのか……それを知ることができる者は、ここにいない。 ただ、彼女達の答えを待つことしかできなかった。 「――――」 サチ/ヘレンはユイに何かを告げる。 サチの表情は出会った頃からほとんど変わらないけど、今は憂いと悲しみを帯びているように見えた。 きっと、ヘレンの黒点が、感傷的な雰囲気を醸し出しているからだろう。 「――――――」 サチ/ヘレンの言葉を知る術を、岸波白野は持たない。 もしかしたら桜には彼女の言葉が分かるのかもしれないが、ここでそれを聞くつもりなどなかった。 今はユイとサチ/ヘレンが向き合っていて、それを邪魔するのは誰だろうと許されない。岸波白野自身、彼女達を見届けると決めたのだから。 「――――――――」 そしてサチ/ヘレンは……なんと、頭を下げた。 それにはこの場を見守っていた誰もが驚いた。それを向けられたユイは……表情が困惑で染まっていく。 「…………ヘレンさん」 数秒ほどの時間が経過した後、ユイはようやく名前を呼んでくれた。 その声はとても辛そうで、聞くだけで胸が痛んでしまう。だけど、目を離してはならない。 「あなたがサチさんの願いを叶える為に…………サチさんを守る為に、パパを傷付けた…………それを許すことは、私にはできません。 パパは私を何度も守ってくれました。私だけじゃなく、ママも、クラインさんも、リーファさんも、[[シノン]]さんも、ユウキさんも、エギルさんも……たくさんの人達が、パパに支えられました。 私には、皆さんのような心は持っていません……ですが、皆さんだって、同じ気持ちのはずです」 そう語るユイは、涙を流していた。 まるで、身体が引き裂かれる痛みを堪えているようで、こちらの心も苦しくなる。 彼女の口から人々の名前を聞く度に、岸波白野の過ちもまた呼び起こされる。ユイだけでなく、自分達の身を案じてくれていたシノンのことも、騙していたのだ。 本当なら、シノンにも真実を話すべきだった。 なのに、現状を先延ばしにしてしまったが為に、彼女に知らせないままになってしまった。 …………これでは、例え卑怯者と呼ばれることになっても、甘んじて受け止めるしかない。 「…………だけど、私はあなたのことを……憎みません」 しかし、ユイから返ってきた言葉には、一切の憎悪が感じられない。 怒りはあれど、決してサチ/ヘレンを敵視しているようではなさそうだった。 「パパの事は……まだ、受け止められないです。どう向き合っていけばいいのか……わかりません。 処理ができない、とはまた違って…………まるで、受け入れることそのものを拒んでいるような感じがするのです……」 それは当然の感情だった。 例えキリトが生きていたとしても、サチ/ヘレンの行ったことが消える訳がない。 ユイだって、キリトを傷付けられたことを許せないはずだ。愛する父の仇になっていたかもしれないヘレンが、隣にいる…………それは、到底受け入れられないはず。 その上で、ユイは向き合ってくれていた。 「……でも、あなたがサチさんを守りたいと想ったのも、事実でしょう。 それにあなたがいてくれたから、ハクノさんやセイバーさんを助けることができました。スミスの一人だって、あなたのおかげで止められています。 きっと……いいえ、あなたがいてくれたからこそ、守ることができた人はいっぱいいることを……私は知っていますから。 何よりも……あなたが、サチさんを守りたいという気持ちだって、本当だから…………私はヘレンさんを、憎まないです」 ユイの言葉は正しい。 ヘレンがいなければ、サチをエージェント・スミスから守ることはできなかった。 レオとガウェインがエージェント・スミス達を倒すきっかけを掴めなかったかもしれない。 あの空間の中に放り込まれた岸波白野とセイバーが、蜘蛛のAIDAの餌にされていたはずだった。 何よりも、ユイ自身をエージェント・スミスから守り抜いたのは、他ならぬサチ/ヘレンだろう。 だから、ヘレンによって守られた人がいるというのは、紛れもない事実だ。 「――――――」 「わかっています。サチさんは、ただ死にたくなかっただけ……彼女を守ろうとして、あなたはパパを敵と思ってしまった…… ……だけど、パパはヘレンさんの真意を知ったら、あなたのことだって……守ろうとしたはずです。だって、今までパパは……たくさんの人を守り続けてくれたのですから。 今だって、パパは……このゲームに巻き込まれた人達を守る為に頑張っているはずです」 あまりにも切実なユイの吐露。 事実、それは正しい。この目で見てきた訳ではないが、キリトはサチのことを励ましたはずだった。 『………キリト、いつも言ってくれてたよね。私は死なないって』 記憶の海で聞いたサチの言葉が、唐突に蘇る。 『死の恐怖』に震えていた彼女にとって、キリトは唯一の支えだった。それを壊してしまったきっかけは、サチの願い。 だけどヘレンはキリトのことを知らなかった…………もしも、キリトの真意を知っていれば、サチが心を閉ざすことはなかったはずだ。 「皆さんはあなたを信頼しています…………シノンさんだって、あなたを信じてくれていました。 どうか……それに応えてください」 「――――――」 「…………ありがとう、ございます」 瞳から零れる涙が止まらないけど、ユイは笑顔を向けてくれていた。 対するサチ/ヘレンは、指先でそれを優しく拭う。ユイは拒絶することなく、ただサチ/ヘレンを受け入れていた。 …………黙っていて、ごめん。 岸波白野もまた、彼女達に謝らなければならなかった。 真実を知っていたにも関わらず、話さなかった…………それはつまり、彼女達を信頼していなかったことだ。 「いいえ……ハクノさんは、私達の為に言わなかったのでしょう……? 私がヘレンさんのことを知ったら、ヘレンさんがもう私達と一緒にいられないかもしれない……そうさせたくなかったから、黙っていたのですよね?」 ……………………。 確かにその通りだけど、騙したことが正当化されるわけではない。 サチ/ヘレンを言い訳にして、ユイから逃げていたのは絶対に許されないことだ。 「……大丈夫です。ヘレンさんは私達の……大切な仲間ですから。私も、ヘレンさんのことを信頼しています………… この気持ちは、決して嘘じゃありません!」 ほんの少しだけ赤くなった瞳はとても真摯で、真っ直ぐな想いに満ちていた。 サチ/ヘレンは対主催生徒会の大切な一員であるのは、この場にいる皆が思っていることだ。彼女だって、それを否定したりしないだろう。 「パパはサチさんを守ろうとしてました。そんなサチさんを守ってくれたハクノさんを恨もうとするのは、違うと思います。 …………ハクノさん、ありがとう」 ……ユイ。こちらこそ、ありがとう。 「……ヘレンさん。サチさんと、お話をすることはできますか?」 尤も気になっていたことを、ユイはサチ/ヘレンに尋ねる。 しかし、サチ/ヘレンは首を横に振った。 「ヘレンよ。無礼千万を承知で尋ねたいが、やはり……サチはまだ……」 「はい。セイバーさんが言うように、まだ話せる状態じゃないようです」 続くようにぶつけられたセイバーの問いかけに、ユイが答える。 心海の中に隠れていたサチは、こちらの話を聞いてくれるような状態ではなかった。 ヘレンに話せば、サチの所まで辿り着けるだろう。だけど、それでもサチを救える訳がない。 サチを救えるのはキリトだけ。そのキリトがここにいない以上、サチの所に行っても意味がない。 無理に押し入ったとしても、サチは頑なに心を閉ざすだけだ。 「う~ん。やっぱり、キリトさんのことも捜さないといけませんねぇ」 キャスターの言葉に頷く。 「はい。メールではキリトさんの名前は書かれてませんでしたが、デスゲームに乗ったPKに狙われている可能性はあります。 スミス、オーヴァン、[[スケィス]]……あるいは、奴らと肩を並べるレベルのPKか。 白野さん……お願いしてもよろしいですね?」 当然だ。 キリトの捜索だって忘れてはいけなかった。 スミスもそうだが、オーヴァンもまた危険性の高い相手だ。オーヴァンは碑文使いでもありAIDA=PCでもある男だ。 その力を直接目撃した訳ではないが、あのレインをいとも簡単に殺す程の力を向けられたら、キリトと言えども対応できる保証はない。 そう考えると、一刻も早くみんなを捜さなければならなかった。 ハセヲとシノン。そしてキリト…………あと、慎司とアーチャーも。 「――――――」 「……えっ? ヘレンさん。ハクノさんに同行したいのですか?」 同行? 「はい。ハクノさんを一人にすることが心配らしいです」 確かに、今から学園を離れては、仲間はセイバーとキャスターだけになる。 彼女達の実力はよく知っているが、それを維持できるだけの魔力が保てるとは限らない。サチ/へレンがいれば、少しでも魔力の節約ができるのは確かだろう。 …………だけど。 彼らを捜索している最中に、もしもまたオーヴァンやスミス達に遭遇したら……サチ/ヘレンは危険に晒される。 そしてオーヴァン達に感染したAIDAは、いずれもヘレンの実力を凌駕しているはずだ。 今度また、AIDAの牙に狙われたら……今度こそ命が危ない。 「――――――」 「パパのことを……捜したいそうです」 …………………。 伏目がちに、ユイはサチ/ヘレンの意志を伝えてくれた。 きっと、サチ/ヘレンもわかっているのだろう。 あのAIDA達に襲われるかもしれない恐怖を……だけど、彼女は勇気を振り絞って、同行を申し出た。 岸波白野だけではない。自分のせいで傷付いてしまったキリトやサチを救う為にだ。 その意志を無碍にすることはできない。 サチ/ヘレンは他のみんなと触れ合うことで、心というものを知るようになった。 そうして、自分の過ちを知り、贖罪の為に力を尽くそうとしている。それは成長と呼ぶべきだろう。 言ってしまえば、ヘレンはユイのように生まれたばかりの子どもだった。 子どもは善悪の判断ができない。誰かと触れ合うことで価値観を築き上げ、そして生き方を学ぶ。 そんなヘレンの可能性を潰すことは、岸波白野にはできない。 一緒に行こう。 その言葉に、サチ/ヘレンは頷いてくれた。 「決まりですね。では、白野さん……ヘレンさんのこともお願いしますね」 「ジローのことは心配いりません。彼のケアは私達にお任せください」 「アアアアァァァ……」 「ハクノさん……お気をつけて」 「先輩。また、会えるのを信じていますからね」 レオが、 ガウェインが、 カイトが、 ユイが、 桜が、 見守ってくれているみんなの想いに、岸波白野は頷いた。 それを背負いながら、岸波白野は部屋を出た。 † 「少年よ、旅立ちの時だな」 昇降口に向かう途中、言峰神父に声をかけられる。 思えばこの人にも助けられた。先の戦いで、もしも言峰神父がいなかったら、今頃桜はどうなっていたかわからない。 そういう意味でも、この人への感謝も忘れてはいけなかった。 「ふむ、それならボランティアをした甲斐があったというものだ。 できることなら、直接形にして頂けるとありがたいのだがね」 …………要するに、売り上げに貢献しろと言っているのだろう。 そうしたいのは山々だけど、岸波白野には必要なポイントがない。 せめて、あなたからサービスをして頂ければ、まだ可能性はあるかもしれませんが………… 「残念だがそれは不可能だ。 そのような権限を与えられてなどおらんし、何よりも安易なサービスは顧客からの信頼を失う。 世に出る売り物には、相応の価値が与えられる。それを低くするなど、売り手のプライドが許さん」 確かにその通りだ。 神父が言うように、作り手は絶対の自信を持ってモノを作り、それを世の中に出している。そこに付属される価値は尊いものだ。 自分の価値を決めるのは、自分自身の気持ちだとスミスに宣言した。それを宣言した岸波白野が、価値を無理矢理歪めるなんて……あってはいけない。 何よりも、いつかの時間……どこかにいる誰かに……自分で自分にダメ出しするな! とも叱咤している。 明確な記憶はないけど、確証があった。 「ふっ、わかればよいのだ。 …………だが、今からでも遅くはない。生徒会長から借りることもできるはずだぞ?」 いいや、それはできない。 自分で汗水を流して稼いだポイントで買うからこそ、喜びもまた大きくなる。 だから、いつか買えるようになった時にまた……お世話になろうと思う。 「他人の力を頼りにしないこと……か。それもまた美徳。 その誓いが果たされる時が来るのを、私は楽しみにしているぞ」 したり顔で言峰神父は見送ってくれる。 本当はハーウェイトイチシステムが厄介というのもあるけど……そんな無粋なことは口にしない。 今は、彼の信頼に応えられるように、生きなければいけなかった。 そうして校庭を通り、そこから月海原学園を後にする。 ペナルティエリアの外を出た途端…………岸波白野の目前に"それ"が現れた。 「……これは」 「酷いですね……」 セイバーとキャスターはこの惨状に目を見開いている。岸波白野も同じだ。 辺り一面の道路は焼け焦げて、それどころかテスクチャが剥き出しとなっていた。 そして少し離れた場所には、見覚えのある三角形の爪痕が刻まれていた。D-4エリアの洞窟でも見た、あの傷だ。 何があったか、なんて疑問は抱かない。ここで、オーヴァンと戦ったレインが敗れたのだ。 これだけの規模を起こした破壊がありながら、あのオーヴァンはまるで無傷といった様子で対主催生徒会の前に現れた…………彼の恐ろしさを改めて認識する。 不意に、サチ/ヘレンの方に振り向く。 その表情は変わらないが、黒点の動きがいつもと違う。きっと、オーヴァンのAIDAに怯えているはずだ。 …………それがいたたまれなくなって、戻るなら今のうちだと進言する。 「――――――」 それに対する答えは、首を横に振ること。 彼女の言葉はわからないけど、きっと付き添ってくれるということだろう。 正直な話、あのオーヴァンやスミスがどこかにいる以上、彼女を連れ回すことに不安を覚えるけど……彼女の力が必要なのも確かだ。 その為にも、今はお互いがお互いを支えあわなければならなかった………… 【B-3/日本エリア・月海原学園 校門付近/一日目・午後】 ※校門付近のどこかには、三角形の爪痕が刻まれています。 【岸波白野@Fate/EXTRA】 [ステータス]:HP100%、MP75%(+150)、データ欠損(小)、令呪二画、『腕輪の力』に対する本能的な恐怖/男性アバター [装備]:五四式・黒星(8/8発)@ソードアート・オンライン、{男子学生服、赤の紋章}@Fate/EXTRA [アイテム]:{女子学生服、桜の特製弁当}@Fate/EXTRA、基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本:バトルロワイアルを止める。 1:ハセヲ及びシノン、キリト、セグメントの捜索に向かう。 2:主催者たちのアウラへの対策及び、ウイルスの発動を遅延させる“何か”を解明する。 3:榊の元へ辿り着く経路を捜索する。 4:エルディ・ルーの地下にあるプロテクトエリアを調査したい。ただし、実行は万全の準備をしてから。 5:せめて、サチの命だけは守りたい。 6:サチの暴走やありす達に気を付ける。 7:ヒースクリフや、危険人物を警戒する。 8:カイトは信用するが、〈データドレイン〉は最大限警戒する。 [サーヴァント]:セイバー(ネロ・クラディウス)、キャスター(玉藻の前) [ステータス(Sa)]:HP100%、MP95%、健康 [ステータス(Ca)]:HP100%、MP80%、健康 [備考] ※参戦時期はゲームエンディング直後。 ※岸波白野の性別は、装備している学生服によって決定されます。 学生服はどちらか一方しか装備できず、また両方外すこともできません(装備制限は免除)。 ※岸波白野の最大魔力時(増加分なし)でのサーヴァントの戦闘可能時間は、一人だと10分、三人だと3分程度です。 ※アーチャーとの契約が一時解除されたことで、岸波白野の構成データが一部欠損しました。 ※エージェント・スミスに上書きされかかった影響により、データの欠損が進行しました。 またその欠損個所にデータの一部が入り込み、修復不可能となっています(そのデータから浸食されることはありません)。 ※セイバーとキャスターはサチ(ヘレン)の身に起きたことを知りました。 【サチ@ソードアート・オンライン】 [ステータス]:HP30%、PP10%-PROTECT BREAK!、AIDA感染、強い自己嫌悪、自閉 [装備]:エウリュアレの宝剣Ω@ソードアート・オンライン [アイテム]:基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本:死にたくない。 0:――――うそつき。 1:もう何も見たくない。考えたくない。 2:キリトを、殺しちゃった………。 3:私は、もう死んでいた………? [AIDA]<Helen> [思考] 基本:サチの感情に従って行動する。 0:――――――――。 1:ハクノ、キニナル。 2:<Glunwald>、キライ。 3:<Tri-Edge>、コワイ。 4:キリト、ミツケル。 [備考] ※第2巻にて、キリトを頼りにするようになり、メッセージ録音クリスタルを作成する前からの参戦です。 ※オーヴァンからThe Worldに関する情報を得ました。 ※AIDAの種子@.hack//G.U.はサチに感染しました。 ※AIDA<Helen>は、サチの感情に強く影響されています。 ※サチが自閉したことにより、PCボディをAIDA<Helen>が操作しています。 ※白野に興味があるので、白野と一緒にいる仲間達とも協力する方針でいます。 2◆◆ (ケケケケケッ! どうやら俺達は生き残っちまったみたいだなぁ!) 俺の中から聞こえてくるのは、克服したはずだった『オレ』の声。 キシナミ達からニコが死んでしまったと聞かされて、動揺している俺を嘲笑うかのように……また現れたのだ。 「お前……!」 (まぁ、こうなるのはしょうがないよな! オレ達がいるのは、誰が死んでもおかしくないデスゲームだからな! リーファって奴の次はニコか……ご愁傷様でしたぁ!) 「なっ! ニコのことを笑うつもりか!?」 (何を言ってるんだよ? オレはな、お前が心配でわざわざ出てきたんだぜ?) 「はぁ!?」 『オレ』の言葉が理解できず、俺は声を荒げてしまう。 ニコのことを侮辱しているくせに、どうして俺が心配などと言えるのか。到底理解できるわけがないし、したくもなかった。 (もしもお前が死んじまったらな、『オレ』だって消えちまう……そんなの『オレ』だって御免なんだよ。 だからな、今は『オレ』のアドバイスも必要だと思ったんだよ) 「ふざけるな! お前の話なんて……!」 (もしかしたら、あのお姫様……パカだって殺されるかもしれねえぞ?) …………『オレ』の口から出てきたその名前によって、俺は言葉を詰まらせてしまった。 (考えてもみろよ。オレの知り合いが二人も死んでるんだぜ? それにユイのお友達……リーファだって死んだ。パカの番は来ないって、どうして言い切れる?) 「……俺が、パカを守るからだ! もしも、パカがいるなら……俺の手で……!」 (できてねえだろ? リーファとニコはみすみす死なせて、挙句の果てにオレ達はスミスってヤローに殺された。 まあ、運よく生き返れたみてーだけど…………そんなオレ達に何ができるって言うんだよ?) 「それは…………」 『オレ』の追求に、俺は黙るしかない。 確かに、俺はあの戦いで何もできなかった。屋上からダイブして、逃げられたと思いきや……その後すぐに戦いになった。 機転を利かせてスミスを倒そうとしたけど、それさえも通用せずに……俺はあっさりと殺されてしまった。 そして俺に力がなかったせいで、ニコは命を落としてしまった。 『オレ』が言うように、俺は野球が少しできる以外に何の取り得もない無職の男だ。 キシナミやレオのような的確な判断力がなければ、カイトやサチ/ヘレンみたいに力を持たない。ユイちゃんみたいなサポートだって不可能だ。 ニコを説得したけど、そのニコはもう……………… (…………だがな、『オレ』達にはまだチャンスがあるんだぜ?) ……沈みそうになる意識を掴むように、『オレ』が語りかけてくる。 (諦めるなよ。『オレ』達には仲間がいるだろ? 『オレ』達を守ってくれる、強くて頼りになるみんながよ) 「……お前、まさかみんなを利用するつもりなのか!?」 (人聞きの悪いことを言うなよ? 『オレ』がどうやってあいつらを利用するんだよ? 『オレ』が何かを企んでも、あいつらはそれをすぐに見破る……それはお前がよく知っているだろ?) 「じゃあ、どうしてみんなのことを……」 (何か特別なことをしろと言うつもりはねえ。ただ、頼りにしろって言ってるんだ…… ……みんな、オレのことを心配してるだろ? それを忘れなきゃ、チャンスはあるぜ?) 確かにみんな、今頃俺のことを心配しているはずだ。 ニコがいなくなった今、俺に何かがあるかもわからない。現に今、『オレ』がこうして語りかけているのだから。 だけど、『オレ』の言うことを素直に聞けるわけがない。こいつは、ただ俺が『楽』になる為だけに、あらゆる手で誘ってきたのだから。 (『オレ』はいつでも見てるからな……精々頑張れよ、俺) 「おい、どういうことだよ! おい!」 俺は『オレ』に呼びかけるけど、返事はない。 『オレ』は一体何を考えて、わざわざ俺に声をかけてきたのか。また、みんなを頼りにするとはどういう意味なのか。 そして、ニコとまた会える……何を言っているのか。死んでしまった人とは、もう二度と会える訳がないのに。 わからない。こんな曖昧なやり取りでわかる訳がなかった。 優勝の褒美にはあらゆるネットワークを掌握できる権利が貰えるという。 それとニコに何の関係があるのか。まさか、ネットワークでニコのアバターをまた生み出そうとでも言うのか。 馬鹿げている。それはニコの肉体(アバター)を複製するだけで、ニコ本人が帰ってくる訳ではない。 まさか、俺が心のどこかでこんなことを考えていたなんて…………俺自身も信じられなかった。 とにかく、こんな気持ちを拭う為にも、今はみんなの所に戻りたかった。 『オレ』の言葉に微かな不安を抱きながら………… やる気が 5下がった こころが 10下がった 筋力が 3下がった 【B-3/日本エリア・月海原学園/一日目・午後】 【ジロー@パワプロクンポケット12】 [ステータス]:HP100%、深い悲しみと後悔/リアルアバター [装備]:DG-0@.hack//G.U.(4/4、一丁のみ) [アイテム]:基本支給品一式、ピースメーカー@アクセル・ワールド、非ニ染マル翼@.hack//G.U.、不明支給品0~2(本人確認済み) [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本:殺し合いには乗らない。 0:ニコ……………。 1:今はみんなと一緒に行動する。 2:ニコやユイちゃんの事も、可能な限り守る。 3:『オレ』の言葉が気になる…………。 [備考] ※主人公@パワプロクンポケット12です。 ※「[[逃げるげるげる!]]」直前からの参加です。 ※パカーディ恋人ルートです。 ※使用アバターを、ゲーム内のものと現実世界のものとの二つに切り替えることができます。 3◆◆◆ …………サチさんの抱いた『死の恐怖』が、ヘレンさんを動かして、パパを傷付けてしまった。 今でも、ハクノさんの言葉は信じられない。だけど、ハクノさんは嘘を言う人ではないから、真実であるはずだ。 サチ/ヘレンさんだって、その事を決して否定しなかった。そして、私に謝罪をしてくれた。 だからといってサチ/ヘレンさんの行いを認められないし、許すことだってできない。 どんな理由があったにせよ、彼女のせいでパパが死ぬかもしれなかったのだから。 それでも、サチ/ヘレンさんを憎むことは……できなかった。 先程伝えたように、彼女のおかげでみんなを助けられたから。みんなの恩人である彼女を、どうして憎むことができるのか。 そして彼女は……パパを捜して、助けたいとも言っていた。その言葉は嘘でないはずだ。 「レオさんは、パパのことを知っていたのですか……?」 「ええ、白野さんから聞かされました。あなたにダークリパルサーを渡した際、どうも彼の様子がおかしいと思ったのですよ」 「それで、あの時……」 ハクノさん達は席を外していたのは、そういう理由だった。 その事を話さなかったのは、私がサチ/ヘレンさんを憎むのではないかと危惧したが故。そうなっては、カイトさんがサチ/ヘレンさんを敵と認識して、結束が瓦解してしまうかもしれなかった。 信頼していなかった訳ではなく、私たちを考えているからこそ……話すことができなかった。 「理由はどうあれ、僕達もあなたに隠していたことに変わりはありません。 ユイさんに話さなかったことを、この場でお詫び申し上げます」 「それを言うなら私も同罪です……ユイ、大変失礼致しました」 「……いいえ、大丈夫です。お二人が言わなかった理由は、わかっています。 何よりもヘレンさんは……デスゲームに乗ったPK達とは、違いますから」 そう。サチ/ヘレンは奴らとは違う。 もしもヘレンが危険なAIDAだったら、今頃私はここにいない。だってヘレンは、私を守る為に力を尽くしてくれたのだから。 パパやママを傷付けたヒースクリフや妖精王オベイロンとは違う。ハクノさん達との触れ合いで変わっていき、そして『守る』為に力を使ってくれた。 スミスとの戦いで見せてくれた姿は、パパとよく似ていた。 だから、私はヘレンさんを信じた。 今のヘレンさんは違う。『The World(R:2)』で脅威となった生命体ではない。 私達のように、誰かを思いやる心を持ち……デスゲームを止める為に戦っている仲間だ。 きっとパパとサチさんは再会した時、とても苦悩するかもしれない。 その時、私が隣にいてあげられないのが辛かった。本当なら私もパパを捜したかったけど、今はウイルスの対策を専念しなければならない。 これを解決しない限り、みんなを救うことはできないから。 「ユイさん、今は先輩を信じましょう。 きっと、キリトさんのことも……支えてくれるはずです」 「……はい」 桜さんが言うように、今はハクノさん達を信じて……そして、私自身の使命を果たさないといけない。 私はウイルスを打ち破る鍵を握っている。これを解き明かさないと、いつかパパ達は苦しんでしまう。 ウイルスの苦しみ…………始まりの地で、榊は一人のプレイヤーの命を奪った。 彼のアバターは赤く変色し、そしてリアルの肉体にも痛みを与えていたはずだ。あの痛みは、ありす達から与えられたそれよりも、遥かに重いはず。 だからこそ、私は戦わなければいけない。 痛いのは嫌だった。ならば、それを他の誰かに背負わせる訳にはいかない。 パパも、ママも、ハクノさんも、カイトさんも、サチさんも、ヘレンさんも、シノンさんも、ニコさんも、レオさんも、ジローさんも、サーヴァントの皆さんも……みんなが痛みと向き合い、戦ったはずだ。 父と母の娘として胸を張るならば、私も向き合いたい。 私は、ハクノさん達の無事を祈りながら、前を向いて歩みを進めた………… 【B-3/日本エリア・月海原学園/一日目・午後】 【チーム:対主催生徒会】 [役員] 会長 :レオ・B・ハーウェイ 副会長: 書記 :ユイ 会計 :蒼炎のカイト(キリトの予定だったが不在の為に代理) 庶務 :岸波白野 (外出中) 雑用係:ハセヲ(外出中) 雑用係:ジロー、サチ [チームの目的・行動予定] 基本:バトルロワイアルの打破。 1:(レオの)理想の生徒会の結成。 2:ウイルスに対抗するためのプログラムの構築。 3:ハセヲとシノン、ついでにセグメントの捜索。 4:危険人物に警戒する。 [現状の課題] 1:ウイルスの対策 2:危険人物への対策 3:アリーナ及びプロテクトエリアの調査(ただし、これはどちらかに集中させる) 4:セグメントの捜索 [生徒会全体の備考] ※番匠屋淳ファイルの内容を確認して『The World(R:1)』で起こった出来事を把握しました。 ※レオ特製生徒会室には主催者の監視を阻害するプログラムが張られていますが、効果のほどは不明です。 ※セグメントの詳細を知りましたが、現状では女神アウラが復活する可能性は低いと考えています。 ※PCボディにウイルスは仕掛けられておらず、メールによって送られてくる可能性が高いと考えています。 ※次の人物を、生徒会メンバー全員が危険人物であると判断しました。 エージェント・スミス、白い巨人(スケィス)、オーヴァン。 【ユイ@ソードアート・オンライン】 [ステータス]:HP100%、MP30/70、『痛み』に対する恐怖、『死』の処理に対する葛藤/通常アバター、サチ/ヘレンに対する複雑な想い [装備]:空気撃ち/三の太刀@Fate/EXTRA、ダークリパルサー@ソードアート・オンライン [アイテム]:セグメント3@.hack//、第二相の碑文@.hack//G.U.、桜の特製弁当@Fate/EXTRA、基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本:パパとママ(キリトとアスナ)の元へ帰る。 0:…………今は自分の使命を果たす。 1:対主催生徒会の会計として、ハクノさん達に協力する。 2:『痛み』は怖いけど、逃げたくない。 3:また“握手”をしてみたい。 4:『死』の処理は…… 5:ヒースクリフや、危険人物を警戒する。 6:シノンさんとはまた会いたい。 7:私にも、碑文は使えるだろうか……。 8:サチ/ヘレンさんの行いは許せないけど、憎まない。 [備考] ※参戦時期は原作十巻以降。 ※《ナビゲーション・ピクシー》のアバターになる場合、半径五メートル以内に他の参加者がいる必要があります。 ※リーファを殺害したのはラニ=Ⅷであるかもしれないことを知りました。 ※サチ/ヘレンとキリトの間に起こったことを知りましたが、それを憎むつもりはありません。 【蒼炎のカイト@.hack//G.U.】 [ステータス]:HP80%、SP50%、PP100% [装備]:{虚空ノ双牙、虚空ノ修羅鎧、虚空ノ凶眼}@.hack//G.U. [アイテム]:基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill(+1) [思考] 基本:女神AURAの騎士として、セグメントを護り、女神AURAの元へ帰還する。 1:岸波白野に協力し、その指示に従う。 2:ユイ(アウラのセグメント)を護る。 3:エクステンド・スキルの事が気にかかる。 4:サチ(AIDA)が危険となった場合、データドレインする。 [備考] ※蒼炎のカイトは装備変更が出来ません。 ※エージェント・スミスをデータドレインしたことにより、『救世主の力の欠片』を獲得しました。 それにより、何かしらの影響(機能拡張)が生じています。 【レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ@Fate/EXTRA】 [ステータス]:HP100%、MP15%、令呪:三画 [装備]:なし [アイテム]:{桜の特製弁当、トリガーコード(アルファ、ベータ)}@Fate/EXTRA、コードキャスト[_search]、番匠屋淳ファイル(vol.1~Vol.4)@.hackG.U.、基本支給品一式 [ポイント]:30ポイント/0kill(+2) [思考・状況] 基本行動方針:会長としてバトルロワイアルを潰す。 1:魔力の回復に努めると同時に、ユイとともにウイルスへの対策プログラムを構築する。 2:モラトリアムの開始によって集まってくるであろうプレイヤーへの対策をする。 3:他の生徒会役員となり得る人材を探す。 4:当面は学園から離れるつもりはない。 5:状況に余裕ができ次第、ダンジョン攻略を再開する。 6:キリトさんには会計あたりが似合うかもしれない。 [サーヴァント]:セイバー(ガウェイン) [ステータス]:HP110%(+50%)、MP75%、健康、じいや [装備] 神龍帝の覇紋鎧@.hack//G.U. [備考] ※参戦時期は決勝戦で敗北し、消滅した後からです。 ※レオのサーヴァント持続可能時間は不明です。 ※レオの改竄により、【神龍帝の覇紋鎧】をガウェインが装備しています。 ※岸波白野に関する記憶があやふやになっています。また、これはガウェインも同様です。 ※ガウェインはサチ(ヘレン)の身に起きたことを知りました。 |113:[[真実の行方]]|投下順に読む|115:[[三番目のアリス]]| |113:[[真実の行方]]|時系列順に読む|115:[[三番目のアリス]]| |111:[[対主催生徒会活動日誌・10ページ目(開戦編)]]|岸波白野|116:[[EXE.Endless, Xanadu, Engaging“再会”]]| |~|サチ|~| |~|ユイ|119:[[対主催生徒会活動日誌・18ページ目(帰還編)]]| |~|蒼炎のカイト|~| |~|レオ・B・ハーウェイ|~| |~|ジロー|~|