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B-8.最終的なマップを作ります。 - (2007/10/04 (木) 20:00:20) のソース

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*&u(){Difmapによる処理(8) 最終的なマップ作成}
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**&u(){CLEAN Mapを表示}
「もうCLEANもSelf Calibrationも十分やりました」と思ったら、最終的なCLEAN Mapを表示しましょう。&u(){mapplot}コマンドに cln オプションを付けると、CLEAN componentsによる輝度を残差マップに付加したCLEAN Mapを表示します。
CLEAN componentsによる輝度は、CLEAN componentsにRestoring beamを畳み込んだものです。CLEAN componentsは通常δ 関数ですので、そのままだと「とげとげ」した輝度分布になってしまい不自然ですから、適度なsmoothingを行うのです。このsmoothingのために畳み込まれる関数を Restoring beamといいます。デフォルトでは、Restoring beamには[[合成ビーム>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/image/difmap_beam01.png]]の長軸・短軸を用いた楕円ガウシアンが使用されます。[[最初にmapplotしたとき>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/difmap4.html#mapplot1]]に合成ビームの長軸が1.0 mas, 短軸が0.4 masとなっていましたから、何も指定しなければこの値が用いられます。デフォルト値以外のRestoring beamにしたいときはrestoreコマンドを使うのですが、ここでは触れません。
>&u(){mappl cln}  引数のclnで、CLEAN Mapを描くことを指定します。
>! Inverting map 
>! restore: Substituting estimate of restoring beam from last 'invert'.
>! Restoring with beam: 0.4186 x 1.03 at -4.021 degrees (North through East)
>! Clean map  min=-0.011036  max=3.349 Jy/beam
>! 
このマップで満足なら、残るは表示を工夫することと、結果を保存することです。
**&u(){等高線レベルを調整}
CLEAN Mapは、デフォルトでは等高線レベルを輝度ピークの1%, 2%, …, と、1%×2nで設定されています。この等高線レベルは、&u(){loglevs}コマンドで調整できます。
ここでは、最小等高線レベルを±3σにして、以後6σ, 12σ, … と 3σ ×2nにしてみましょう。最後にCLEANをしたときのメッセージから、image r.m.s.を読み取ると、σ = 0.0036 Jy/beamでした。一方、 &u(){mappl cln}したときのメッセージから輝度のピークは3.349 Jy/beamです。したがって3σはピーク輝度の0.3224843236787100627%だと計算できます(0.003600*3/3.349*100 = 0.3224843236787100627)。そこで、以下のように&u(){loglevs}コマンドを打ちます。
>&u(){loglevs 0.32248432367871006270, 100, 2}  等高線を、最大輝度の0.322…%から100%まで、2nの間隔で引くよう指定
>! The new contour levels are:
>!  -0.322484 0.322484 0.644969 1.28994 2.57987 5.15975 10.3195 20.639 41.278 82.556
これで &u(){mappl cln}で表示すると、下図のように所定の等高線レベルになりました。
&image(image-9.gif,http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/image/difmap_clean-map.png)
**&u(){結果を保存}
イメージングの結果を保存します。ここでは用途別に3つの保存方法を挙げます。
**&u(){Difmap用に保存}
&u(){save}コマンドは、 ビジビリティ, CLEAN components, マップ, パラメーター, BOXの全てを保存してくれます。
>&u(){save BK084.DA193.FINAL.IMAGE}  引数で出力ファイル名を指定
>! Writing UV FITS file: BK084.DA193.FINAL.IMAGE.uvf
>! Writing 112 model components to file: BK084.DA193.FINAL.IMAGE.mod
>! Writing clean map to FITS file: BK084.DA193.FINAL.IMAGE.fits
>! Writing difmap environment to: BK084.DA193.FINAL.IMAGE.par
&u(){save}コマンドだけは忘れないようにしましょう。作業の途中で保存するのもOKです。次回にDifmapを起動したら、&u(){get}コマンドで保存した状態に戻れます。さらに、&u(){@}コマンドでパラメーターファイルを指定すれば、&u(){mapsize}や&u(){uvweight}などの設定も読み込めます。
>&u(){get BK084.DA193.FINAL.IMAGE}
>&u(){@ BK084.DA193.FINAL.IMAGE.par}
**&u(){マップを画像ファイルに保存}
&u(){mappl}コマンドは、デフォルトではPGPLOT Windowにマップを表示しますが、表示デバイスをあらかじめ指定しておけば、PostScriptファイルやGIFファイルに描きだすこともできます。それには&u(){device}コマンドを用います。
>&u(){device /vps}  出力を縦長のPostScriptファイルに指定
>! Attempting to open device: '/vps'
>mappl cln
こうすることで、Difmapを起動したディレクトリにpgplot.psというファイルが作成されます。&u(){device}コマンドの引数と出力の関係を、下記の表にまとめました。
|引数|出力|備考| 
|/xw|X-Window|ファイルでなく画面にPGPLOT Windowを表示|
|/xserv|X-Window|PGPLOT Windowとして残す| 
|/ps|pgplot.ps|横長 (landscape) のPostScriptファイル| 
|/vps|pgplot.ps|縦長 (portrait) のPostScriptファイル| 
|/gif|pgplot.gif|横長 (landscape) のGIFファイル| 
|/vgif|pgplot.gif|縦長 (portrait) のGIFファイル| 
|/null|何も出力しない|ファイルを正常にcloseするために使います|
**&u(){マップをimage FITSファイルに保存}
Image FITSファイルに描きだすことで、AIPSなど他のイメージングソフトウェアでマップデータを読み込めるようになります。それには&u(){wmap}コマンドを用います。Write MAP の略ですね…たぶん [[Wilkinson Microwave Anisotropy Probe>http://map.gsfc.nasa.gov/]]とは関係ないと思います。
>&u(){wmap BK084.DA193.FINAL.MAP.FITS}  引数で出力ファイル名を指定
>! Writing clean map to FITS file: BK084.DA193.FINAL.MAP.FITS
AIPSで読み込む都合を考えると、ファイル名は全部大文字にしておくとよいでしょう。
以上で初心者コース:ほぼ点源の連続波電波源のマッピングは終了です。お疲れさまでした。Difmapを終了するには、&u(){quit}コマンドを用います。
>&u(){quit}
>! Quitting program
>! Log file difmap.log closed on Mon Sep 11 22:35:00 2006
これまで作業してきた一連のログが、difmap.logという名前のファイルに保存されたことが分かります。このログファイル名を識別しやすい名前にしておきましょう。ついでに、pgplot.psなどのファイル名も変更しておきましょう。
>&u(){mv difmap.log BK084.DA193.FINAL.IMAGE.log}
>&u(){mv pgplot.ps BK084.DA193.FINAL.IMAGE.ps}
最後に、出来上がりのファイル(私が作成したもの)にリンクを張っておきます。
|ファイル名|備考| 
|[[BK084.DA193.FINAL.IMAGE.fits>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/Data/BK084.DA193.FINAL.IMAGE.fits]]|saveコマンドで保存したimageファイル (Binary)| 
|BK084.DA193.FINAL.IMAGE.uvf|saveコマンドで保存したビジビリティファイル (Binary)| 
|BK084.DA193.FINAL.IMAGE.mod|saveコマンドで保存したCLEAN componentsファイル (ASCII)| 
|BK084.DA193.FINAL.IMAGE.par|saveコマンドで保存したパラメーターファイル (ASCII)| 
|BK084.DA193.FINAL.MAP.FITS|wmapコマンドで保存したimage FITSファイル (Binary)| 
|BK084.DA193.FINAL.IMAGE.ps|mapplotコマンドで保存したimageのPostScriptファイル (ASCII)| 
|BK084.DA193.FINAL.IMAGE.log|logファイル (ASCII)| 
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