人車鉄道(じんしゃてつどう)は,人力を動力とする鉄道です。客車や貨車を一人または二人の人間が押して車両を移動させる交通機関です。客貨車を押す労働はかなりの重労働であったそうで,次のような記録が残っています。
鉄道馬車の馬に代ふるに,人を以てしたるだけのものなれば,乗客は,喘ぎながら押し進める其推進者の労苦の様に不快を感ぜざる者なく
人車鉄道は栃木県や千葉県などの関東地方に多かったそうです。
目次
野田人車鉄道
(本節の参考文献:山本鉱太郎『
江戸川図志』p73, p74)
千葉県の
野田では貨物輸送用の人車鉄道が敷設されました。輸送する貨物は主に醤油で,醤油樽をトロッコに積んで人が押していました。鉄道は江戸川左岸の上河岸と下河岸から現在の東武野田線野田市駅の区間に敷設され,市街地に多数あった醤油醸造業者の蔵や倉庫,大手の
キッコーマンの工場を結んでいました。醤油を
河岸へ輸送して
舟運により東京方面へ出荷する場合は,代金(現金)の代わりに木製の駄賃札が使用されていました。
年表
- 明治33年(1900年):野田の醸造業者たちが出資し,2万2500円で会社を設立,開業。
- 大正15年(1926年):廃線。
参考文献
(著者の五十音順)
- 老川慶喜『鉄道』〈日本史小百科 - 鉄道〉東京堂出版,1996年9月17日 初版,ISBN 978-4490202908。
- 山本鉱太郎『江戸川図志』崙書房,2001年6月30日,ISBN 978-4845510801。
関連文献
(著者の五十音順)
(書名の五十音順)
関連ウェブサイト
- 野田市郷土博物館。2011年2月2日(水)閲覧。-- 人車鉄道の路線図や鉄道会社の株券,写真などが展示されています。
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更新日:2011年02月02日
最終更新:2011年02月02日 20:30