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― 秘密 B ― - (2008/03/10 (月) 10:06:05) の1つ前との変更点

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長い眠りから目覚めた北条悟史を待っていたのは、友人たちと見慣れない一つ年下の少年、以前よりもはるかに生き生きと力強い眼をした妹の姿、温かくなった住み慣れた村の空気だった。 色々あって、園崎家頭首がダム戦争の終わりを明言したらしい。 悟史の胸をよぎったのは、これで多くの重圧から解放されるという安心と、今更何を――という複雑な感情だった。諸手を挙げて喜ぶだけで終われるほど無邪気ではなかった。 彼に味方なんていなかった。けれど、どっちもどっちだと彼は自嘲する。最後には色んな人を疑って遠ざけて傷つけた。そりゃ雛見沢にいるという神だって呆れるだろう、と。 彼はまた全ての感情を抑え込んで、他人よりも自分の内に害悪と責任を見出す。悟史とは、そういう人間だ。 だから、クラスメイトである二人の少女たち――園崎魅音と竜宮レナの、許しを乞うような眼差しが、痛かった。 ――ごめんなさい。 「……どうして、二人が謝るの?」 きっかけは何であったか。 ある日、晴れて退院した悟史を見舞うため、差し入れのお弁当と果物を手に北条家までやってきて、ぽつりと謝罪の言葉を零した二人に、悟史は静かに首を傾げてみせた。 「悟史くん、また無理してるよね……よね」 じっと自分を見つめてくるレナの真っ直ぐな瞳。 悟史が沙都子を守りたいと思っていたように、魅音は祖母を支えたいと思っていただろう。レナだって、転校してきたばかりで親交も浅かったことを考えると、ずいぶんと親身になってくれていた。 それは環境がある程度落ち着いた今だからこそ至れる考えであって、あの頃はとてもじゃないがここまで穏やかな考えではいられなかったとはいえ、こうして改めて接していると、彼女たちがとても気を遣う性質を持っているのが以前よりももっと、よくわかった。 悟史が一人になりたいと思ったら、レナがそれとなく仲間たちに引き上げるよう促し、気分が滅入った時は。魅音が底抜けの明るさで場を盛り上げてくれる。 そうして、去年の自分がいかに間違っていたかを思い知り――痛むのだ。 「やっぱり変わらないね、悟史は。いっつもいっつも、ぎりぎりまで無理して、人に気を遣うんだね」 魅音が悲しそうに呟く。いつも教室で少し離れたところから悟史と沙都子を見守っていた顔をして。 どうやら二人は悟史の心の中に渦を巻く葛藤を見抜いて、気遣ってくれているらしい。 それぞれ違った不器用さを持っているのか、レナと魅音、彼女たちの思い遣りは時にとてもわかりにくかったり、余計な疑いを増長させてしまったりする。だが、有事の際に人が100パーセント正しい行動をとれるかと言えばそうではないし、重要なのはその気持ちなのだと悟史は思う。 二人が自分に謝ることなどないと。気にすることなんて、何もないのだと。悟史は二人にそう告げた。するとレナと魅音が同時に互いを見やり、静かに、強く頷き合ったと思ったら――こうなっていた。 ――いやあの、ちょっと待て。幾らなんでもこれはおかしくないか? 悟史は狼狽する。 「れ、レナ、魅音……こ、こんなのよくない、よ……」 クラスメイトの少女たちが頬を上気させて何とも艶やかな表情で自分を見つめてくる。 「悟史くん。レナたち、悟史くんが気持ち良くなるように、頑張るからね、ね……?」 レナのくりくりした可愛らしい目に浮かぶ、どこにそんな強さが眠っているのかと不思議になるほどの決意の色。 「悟史は……イヤ? 迷惑?」 魅音が恐る恐る訪ねてくる。いつもの、ともすればおじさん臭いほどの勝気な様子が嘘のような自信のなさそうな顔をして。 妹にプレゼントを渡すまではと雛見沢症候群L5の症状をも抑え込んだ鋼鉄の精神の持ち主といえども、やはり健全な青少年だ。美少女二人に囲まれて平静でいられるわけがない。 まだるっこしいので端的に言ってしまおう。 今、布団の上に座った悟史の脚の上にレナが乗っかり、背後では魅音が自らの体を背もたれにするように悟史の背中を支えている。 むっちりしたレナのお尻とふわふわした魅音の胸の感触が、頭がおかしくなりそうなほど心地よい。 レナの小さな可愛い手が悟史のズボンの前に触れ、既に固くなり始めていたそこを撫でる。いつものようにぽややんとした表情が、余計に異質な感じを煽った。 「はぅ……かぁいい☆ お、お持ち」 「むぅ!? レナそれらめえぇ!?」 悟史は、慌てるあまり呂律の回らない口調でレナの言葉を遮った。どこから突っ込むべきなんだろう。そんなところ触っちゃ駄目とか、それ絶対かぁいくないとか、お持ち帰りは断固出来ないとか。 「じゃ、じゃあ、お持ち帰りは諦めるね……?」 何故か残念そうな顔をしたレナが、悟史のズボンの前ボタンとジッパーを開く。 「ま、待ってよレナ。他の事も色々と諦めて欲しいんだけど……っ!?」 悟史のものに、レナの指が下着越しに触れ、びりっとした何かが脊椎を這い上がった。 一瞬もういいや彼女たちの好きにしてもらおうと流されそうになるが、悟史は持ち前の精神力で思いとどまる。 北条悟史、落ち着け。クールになれ。 悟史は少しでも冷静になるために深く息をつく。だが、残念ながらクールになった人間が目の前の問題にまともな対処が出来た試しはない。 「あ……あのね。魅音、レナ。君たちが僕のことで何かを気に病む必要はああぁぁああぁ!?」 温厚な彼にしては珍しい大きな叫びが口から迸る。 少女二人はいつの間にか制服の前をはだけていて、眩しいほどの綺麗な肌が露になっている。眩しすぎてくらくらした。 「悟史、おじさんたちは、伊達や酔狂でこんなことしてるわけじゃ……ないんだよ?」 静かに言い、立ち上がって後ろを向いた魅音の肩からブラウスとベスト、そしてキャミソールの紐が落ちる。 「……本気で、悟史に償いがしたいと思ってる」 白い背中。肩甲骨のかなり下、腰の括れた部分のやや上に、それがあった。 悟史とレナが無言で息を飲む。 頭に漆黒の角を持った、長い髪をした鬼の横顔。柔らかそうな肌に刻まれた図柄は装束をまとった肩のあたりで途切れ、杖か武器か、棒状の何かを持った手が不自然に浮いている、それがまるで虚空から鬼が現れているような様を演出し、一種異様な雰囲気を醸し出す。 彫っている途中で中断したのだろう。幼い『魅音』の体力がもたなかったのか、あるいは何か別の要因があったのかは――定かではないが。それほど大きなものではない、せいぜいレナの小さな掌で隠れる程度の物だが、それは確かに彼女の背中に存在して、今この時も彼女に傷をつけていた。 「あはは。あんまり褒められたもんじゃないんだ……途中でやめるのって、恥ずかしいことみたいでさ」 魅音が力なく笑う。 半端彫り。痛みに耐えられないか、全てを彫り切る資金がない、半端者の証として時には失笑の対象とされる。 「恥ずかしくない……ないよ。魅ぃちゃんのからだ、これ以上傷つかなくて、済んだんだから……」 レナの細い腕が魅音のお腹に回る。魅音は微笑んで、きゅうっと抱きしめてくる年下の親友の手にそっと手を重ねた。 「……そう言ってもらえると、助かるよ」 悟史は何とも言えない眼差しで二人を見つめた。 先ほどまで自分のモノに触れていたレナの手、魅音の背中についた鮮やかな傷跡。彼女たちは普通に考えて堪らなく恥ずかしい事をして、絶対に見られたくないものを曝け出している。 ……どうしてそこまで。 わからないことは沢山ある。けれどその熱意に、真剣さに、誘惑に――抗えるわけもなく。 悟史は二人に向けて、腕を伸ばした。 レナの小さな手が再び悟史のものを握る。 華奢な指先が這いずり回る。先っぽを突つき、頭の部分をこねくり回し、幹の部分を撫でさする。その指や掌が蠢く度に走る快楽に悟史が身体を捩らせると、魅音のふんわりとした柔らかい体に抱きとめられて、頭が芯まで痺れていく。 「わ、悟史、くすぐったいよ」 悟史の色素の薄く柔らかい髪に胸元をくすぐられて、魅音がびくっと敏感に身体を震わせる。 「わ、あ、ああっ……! レ、レナ……レナぁっ!」 「あは……かぁいい、悟史くん、かぁいいよぅ……☆」 女の子のような慎ましい声を上げて、がくがくと身体を震わせる悟史に、レナは目を細める。刹那、垣間見えた獣のような雰囲気は――気のせい、ではないと思う。いつも物腰穏やかで笑顔と思いやりを忘れない、ついでにかぁいいものに目が無いという奇癖を持ち合わせる彼女は、時折、非常に鋭く攻撃的な一面を見せることがあった。 それはいいけど、男の僕にかぁいいって……嬉しくない……悟史はそんな事を考えながら、むぅ、と押し黙る――暇はない。レナの手は、そんな余裕を与えてはくれない。 後ろでは魅音が、わー、わーと何かを呟きながら頬を紅潮させて悟史とレナの行いを見つめていた。 「はぅぅ……どんどんおっきく、固くなっちゃってるよぉ……」 ぼうっと熱に浮かされたような表情と眼をして、先端から滲み出る液体で指先を濡らしながら、レナは夢中で奉仕を続ける。両手できゅっと握り締め、上下にゆっくりとしごき、段々とスピードを上げていく。にちゅっ、と先走りが掌の中で滑って音を立てる。ぬるぬると擦り上げられる感覚が、悟史を追い詰める。 ――自分は、頭が溶けそうになるほど気持ちいい。けれど、レナはどうなのだろう? 悟史はふと思う。そしてそれに思い当ったら、自分だけ気持ちよくなるのは何だか申し訳ない気がしてたまらなくなり、床の上で握り締めていた両手をそっとレナの体へと伸ばす。 「はうっ……!?」 はだけたセーラー服から覗く形のいい胸に触れた時、一心に奉仕していたレナの手が初めて止まり、その小さな肩が、びくん、と大きく揺れる。 「あっ、嫌だった……?」 その反応に思わず悟史も、さっと手を引っ込めてしまう。 「う、ううん。ちょっと、びっくりしただけなの。なの。レナのこと……もっと触って?」 レナは微笑んで、再び一生懸命に悟史のものと向かい合う。悟史は少し躊躇った後、意を決して彼女の肌に触れる。 淡いピンクのチェック柄に飾られた下着に包まれた胸も、脚の上に乗った尻も、搗きたての餅みたいにむちっとして指に吸いついてくる。太腿の間、更に下着の奥へ潜らせた指が、人間の身体の一部とは思えないほど柔らかいその部分に辿り着くと、ぬるりとした蜜が指にまとわりつく。 力を入れすぎないように、レナが痛みを感じないように、そっとそっと繊細な部分に触れる。 「ひゃうっ!」 レナが鳴いた。 互いに無我夢中に手で触れ合っている秘部から鳴り響く水音が重なる。その音が、呼吸が、感覚が、全てが現実離れしていた。それでいて頭の中が焼けてしまうような快楽だけは、刻みつけられるような存在感を持って自分を狂わせる。 「や、くすぐったいよぉ、お腹が、お腹の中が……あぁ、はぁ……ぎゅっ、て……!」 レナの甘い声が耳を焦がす。いったい何が起きているんだろう――そんな当然の疑問さえ、虚空に溶けていく。 段々と、どこに触れればレナが反応するのかがわかってくる。胸を覆う下着を捲りあげて、固くなった蕾のような控えめな先端を指先で転がす。 もう一方の手で触れている秘所にもやはり小さな蕾があって、それに触れるとレナが大きく体を捩らせて、まるでスイッチの役割でも持っているかのように、割れ目から透明な蜜が滲みだす。 恥ずかしそうに荒くなる息を潜める様子が可愛らしくて、悟史は妹や魅音にするように、レナの小さな頭に優しく触れた。 「あは。悟史くんがレナのこと撫でるの、初めてだね……だね」 そうだったかな? と悟史と魅音は顔を見合わせる。こそばゆそうな、はにかんだ笑顔を見せるレナ。綺麗に切り揃えられた髪を手で梳いて襟足を撫でると、レナがいきなり肩を震わせた。 「はう!? うぅ……こ、腰のあたりがくすぐったいよお……」 「……むぅ。ご、ごめん……?」 その反応があまりにも予想外で、思わず悟史は謝ってしまう。謝んなくてもいいよ、とレナは笑う。 「じゃ、じゃあ……悟史くん、そろそろ……ね?」 一瞬、何を言われたのかわからなかった。後から染み入るようにその言葉の意味を把握して、悟史の全身が硬直した。 「ま、待って、本当に待って! ……レナ、魅音も! それは……駄目だよ!」 後戻りのできない場所へと移動しようとしている彼女ら――いや、自分たちを必死で制止する。苦しい息を呑みこんで、ガチガチに固まった己の凶暴なものを意地でも鎮めようと歯を食いしばる。 だがそんな彼の努力も無視して、ゆっくりとレナが腰を沈めていく。 正確に言うなら――沈めようとした。十分に濡れているとはいえまだまだ小さくて頑なで、そして恐怖や痛みからくる躊躇いがどうしても邪魔を して、頭の部分を呑みこんだところで止まってしまう。 「あ、う……うん、あっ、ん……」 不慣れな少女が自分から入れるなんて無茶である。まして経験がないとなればなおさらだ。 だがレナは頬を火がついたように真っ赤にして、はあはあと熱い吐息を繰り返しながら、悟史を呑みこもうと懸命に腰を動かす。今すぐに腰を掴んで引き剥がすべきなのだ。悟史自身が誰よりもわかっている。だが彼女の真摯な痛々しさが、止めないでと無言であっても尚全身で語っている。 「れ、レナ……」 心配そうにレナを見つめる魅音。痛みを肩代わりすることは勿論、気の利いた言葉を思いつくこともできず、ただ無言で見守ることしかできない。 「あはっ……心配してくれるのかな、かな……? ありがと、魅ぃちゃん」 レナが魅音の柔らかい手に自分の手を伸ばし、握りしめた。 「お願い、魅ぃちゃん……お願い」 何をお願いされているのかわからず戸惑う魅音の手を自分の腰の両脇へと持っていくレナ。そしてようやく頼み事の内容を察し、魅音が息を呑む。 「でも……」 尚も戸惑い続ける魅音に、レナは答えない。ただ黙って彼女の眼を見つめている。 悟史もまた事情が呑み込めずに二人の様子を窺っていたが、ふと唐突に思い当り、慌てて口を開く。 「……わかった。いくよ」 「待って! 二人とも、それは!」 悟史の制止の声よりも一瞬早く、年下の親友の手が上に重ねられた魅音の手が、ぎゅっと下方へと押し込まれた。 レナの腰が――悟史のそれと、重なっていく。 くちゅ、と小さく何かが混ざり合う音がした。そのささやかな音とは正反対の衝撃が、レナと悟史の二人を襲う。 「は、ぅ――!!」 「……ッ!」 レナのそこは、とても小さくてきつかった。 まだ頑なな熱い秘肉が隙間なくみちみちと締めてくる、生まれてこの方感じた事のない刺激に包まれて、悟史の分身はびくびくと固く震えている。 震えによるかすかな動きさえレナに痛みを与えるようで、悟史は気持ちよさを感じるよりも苦しかった。強靭な理性が全身に命令を出して、震えをも止めることができたなら。 「あ、ああぁ……はぅ、はあ……ぜんぶ、ぜんぶ、はいった……の?」 息も絶え絶えにレナは誰にともなく呟く。その潤んだ円らな眼が異様に艶っぽい。 「どうして」 悟史はからからに乾いた喉で、掠れた声で問いかける。 「何で――僕なんかのために、そんなに」 「は、はぁ……さ、悟史くんが、レナたちのこと……許してくれたから。はぅ、あ……いつもいつも、優しくしてくれるから……だから……」 レナの小さな手がそっと魅音の手を離れ、悟史の服の裾をきゅっと掴む。 「悟史くんに、もっと幸せになってほしいの……どんなことでも、悟史くんのために何かをしたいの。そう決めたの」 彼に今のところ出来るのは、なるべく痛みを与えないように、彼女たちの望みを叶えることだけだった。 ……目覚めた悟史は彼女らを一度も責めなかった。最後には全てを憎んで疑って遠ざけたことを恥じてすらいた。 彼が再び彼女たちを仲間として受け入れたことで、彼女たちの罪は許されたのだ。 昭和57年の惨劇。救えなかった仲間、ただのオトモダチでしかなかったあの頃の自分たち。 もう二度と同じ悲しみは生み出すまいと願い、決意し、その果てに今、彼女たちはこの58年の夏の光を浴びているけれど。いつか遠い過去、隣り合せの記憶の向こう。悟史を失ったことで手に入れた痛みさえ活かせずに、また過ちを犯してしまっていた気がする。それも繰り返し、繰り返し。 奇跡の名の下に、あったはずの罪から逃れた58年の主役達、奇跡の許容範囲に弾きだされ、何百という可能性を経ても尚救われぬその他大勢。 そのひとりであるはずの彼は、それでも言う。自分に謝ることなどない。気にすることなんて何もないと。 だから、彼女たちも応える。長く苦しかった日を耐え抜いた貴方に手を差し出したい、と。 悟史は弾力に富んだレナのお尻を恐る恐る両手で掴む。 くちゅ、くちゅっと小さな音を立てながら、激しくもなく拙い動作で小刻みに肉の襞と棒とを擦り合わせる。レナの華奢な体が震え、ふっくらと形の整った胸が揺れる。肌理の細かい滑らかな肌から光る汗が舞う。 「はぅ、あ、ぁあ……! レナの、レナの中で……熱いのが……ぁ!」 ぎゅうぎゅうときつくまとわりつく襞が、頭から幹の部分までを余すところなく掻くように絡みついて、下肢も脊椎も脳髄までも、全て溶かされそうな錯覚すら感じる。 「はぁ、あ……さ、悟史くん……? も、もっと……ひぅ、動かなくても……いい、の?」 もっと好きに動いてもいいのに、と暗に含んだレナの声に、悟史は静かに首を横に振った。 「っ……ありがと、レナ……十分だよ」 確かに、もっと激しく動いて掻き回して快楽の奥底まで溺れたい衝動は腹の奥底で黒く渦を巻いている。我ながら情けない、と悟史は内心溜め息を吐く。そんな衝動に身を任せる気はないし、出来るわけがない。 レナのそこは溶けるように熱く握り潰してくるかのようにきつくて、十分以上に快感を与えてくれた。それ以上に全身全霊で自分とぶつかってくれた彼女の気持ちに、快楽以上の温かなものに満たされる。 緩やかながらもやがて限界が近づいて、悟史はレナの腰を持ち上げて、その白くて柔らかそうなお腹に全てを放出した。 今までにない量の白濁を吐き出し、悟史は眩暈がするような余韻に肩で息をする。ふらふらとその場に崩れ落ちそうなレナの小さな体を、魅音が優しく抱きとめる。 悟史はレナに声をかけようとして、ひとしきり口を噤んで迷った後で、清々しい諦めを込めてかぶりを振った。 「レナ……ごめん。何て言っていいのか、わからない」 気持ちよかった、嬉しかった、苦しかった、愛しかった。どんな言葉もこの身体の奥からこみあげる思いを表わせない。形に出来ないその思いを乗せて、悟史は優しくレナの頭を撫でる。 「……レナ、あんた最高に可愛い。レナはやっぱり、凄いよ……」 代わりというわけでもないけれど、レナを抱きしめる魅音が彼女の耳元で囁いた。子供のようなところのある彼女らしい、直球の言葉で。そして、意地っ張りな魅音のそんな態度を目にすることの出来る人物は、片手の指ほどもいない。それを知っているからレナは照れ、嬉しくて微笑みを零す。 「あは、やだな。魅ぃちゃん……レナ、恥ずかしいんだよ。だよ」 ぽやんとした笑顔を見せるレナではあるが、冷静な彼女は現状を見失わない。 「次は、魅ぃちゃんの番、だね」 その言葉に、悟史は思わず魅音の姿を見つめる。 「ささ、悟史が、嫌じゃ……なければ……ね」 唐突に話を振られて、不意打ちに魅音は明らかに動揺した。ぼっ、とあっという間に頬が赤くなる。私服も制服も厚着しているから、彼女の肌が露になるのは珍しい。厚着のせいもあって日に焼けていないのか、たおやかな曲線を描く豊かな胸や括れた胴体は、染みるように白かった。 「てっててて言うか……わ、私なんか見ても、つつつまんないよ?」 悟史の視線に耐えられなくなったらしい魅音が細い肩をすくめる。 案外打たれ弱い彼女は、あまりからかうと本気で凹んでしまいかねない。悟史はいつもの通り、妹にするように魅音の頭を撫でた。 魅音の身体はしなやかに締まっていて、ぴんと張りのある肌はやたらと柔らかくてふわふわしていた。強気なようで弱気な面もあると前々から漠然と察してはいたが、男の子みたいな態度をとっていても女の子なんだなと改めて実感する。 「ん、うぅ……」 胸や秘所などの一般的に敏感な部分だけではなく、背中や首、手足に触れるだけで、魅音は小さく声を上げて身悶える。そっと秘部の内側に指を差し入れると、そこはすでに濡れていた。親友たちの情事を目の当たりにして昂ぶっていた分を差し引いても、十分すぎるほど。 感じやすいと言うか、やらしいと言うか……正直にそんな事を言えば、魅音が速攻で臍を曲げるのは目に見えていたので黙っておくが。 再び立ち上がったものを魅音の体の中心にあてがい、悟史は自分の体が震えるのを感じた。自分から突き入れるのは初めてで、それが相手の女の子に痛みを与えるものだと知っているから、なおさら躊躇する。 「あ……いいよ、そんなに気ぃ遣わなくても。一気にいっちゃって」 事も無げに魅音は言う。だがその目の奥に揺れる怯えの色を、悟史は見逃さない。 「……魅音」 「へーきへーき……おじさん、レナより頑丈だからね。ちょっとくらい激しくても壊れないからさ」 またそういうこと言う、と隣にいたレナが頬を膨らませて魅音の頬を優しくつねる。 むぅ、と言葉を詰まらせて俯いた悟史が、ふと何かに気が付いてすぐに顔を上げた。 「ええと……魅音の膝、がくがくしてるんだけど、僕の気のせい?」 「くっ?! こ、これは、そう、武者震いってやつ?」 「震え……ひょっとして、魅音、怖がっ」 「ち違う、違うよ! じゃあ、ちょっぴり体支えるの疲れちゃったんだよ、おじさん歳だから!」 「むぅ。じゃあ、って……それに魅音、僕と同い年」 「もー! 悟史の気のせいだってば!」 遠慮がちだがもっともな突っ込みを入れる悟史に、魅音はやけを起こしたように言い放ち、その直後にがっくりうなだれた。 ――下手な言い訳を考えたりせずに、始めからこう言っていればよかったんじゃん。と顔に書いている。 相変わらず見事なまでのド壺っぷりに、ぶぷっ、と悟史が吹き出し、レナもくすくす笑いを零してしまう。 「何よー! 笑うなー!」 「あははは、あーははははは!」 「はう、魅ぃちゃんかぁいい! お持ち帰りしたいよぉ~☆」 悟史は声を上げて笑いだし、レナはかぁいいモード。魅音は笑われているのが癪に触って更にムキになる。もう雰囲気も何もあったもんじゃない。 またやらかしちゃった? と我に返った魅音はあうあうと新しい仲間のようにうろたえる。 とりあえず笑いの治まった悟史は呼吸を整えて、こつんと魅音の額に自分の額を合わせた。 「いいよ魅音、君は君で。それでいいよ」 本人にその気がなくとも、いとも簡単に雰囲気をぶち壊す。時には望まぬ悲劇を生み出す一端になってしまったかもしれない。けれど今、悟史とレナに笑顔を与えている。 そうしてまた三人で笑い合う。 悟史は深く息を吐いて、魅音の中に入っていく。 「ふ……あ、うぅ……ん、んん……」 声を押し殺して、魅音は必死に耐えた。ぴくぴくと痙攣して絡みついてくる肉の襞を擦り上げる。 ぬるぬると柔らかくて、レナの時ほど強い抵抗はなかった。ただ中で動いたり身体に触れたりと刺激を与える度に、埋め込んだモノを中に引き込むように、絡みつく襞が激しく収縮と弛緩を繰り返す。その感覚に頭が変になりそうだ。 「み、魅音……もう、入ったよ。痛く……ない?」 見下ろした魅音は、ぎゅっと眉間に皺を寄せて苦しそうに息を殺している。 「……だ……大丈、夫……入口のとこ、ちょっと痛いけど……中の方が、あったかくて、か、硬いのが擦れて、あぁ、何か……」 「み……魅ぃちゃん。せ、説明は、しなくていいと思う……かな。かな」 目の焦点を定まらせないまま、うわ言のように恥ずかしい告白をする魅音をレナが赤面して遮る。さっきのレナも似たようなことを口走っていたが。 「……レナ、頑張ったんだね」 不意に魅音はぽつりと呟く。 今なら、もっとわかる。つい先ほど、どんなに痛くても、泣き言一つ零さずに悟史のために尽したレナがどんなに頑張ったのか。 その呟きを聞いていたのかいなかったのかはわからないが、レナは無言で魅音の身体を抱きしめた。柔らかそうな肌が触れ合って、ひとつになってしまいそうだと、悟史はあるはずのない事を考えてしまう。 「悟史……我慢とか手加減とか考えないでね。どうか、悟史の好きにして欲しい」 それはレナと同じくらい自分も頑張らなきゃという決意かもしれないし、なかなか積極的になれない彼女なりの誠意でもあるのかもしれない。 ああ。どうしてこの子たちは、こんなにもいつも人のことばかり考えるんだろう。 悟史は愛おしそうに魅音の髪を撫でて、真っ赤に染まった魅音の頬に唇を寄せる。 「うん……手加減しない。我慢なんてしないから。だから、もう……君たちも、僕に気を遣うのはやめて欲しい。笑いたい時に笑って、怒りたい時に怒って、……一緒にいたい時に、一緒にいよう」 三人は、静かに、強く頷き合う。 そして宣言通り、悟史は躊躇いを全て捨てて魅音を責め立てた。 「ひぅ……あっ、あ、あぁ……」 衝動や快楽、欲求のままに身体を揺さぶる。押し広げられたばかりのそこを激しく掻き回されて、魅音が弱弱しく喘ぐ。円を描くように掻き回して、出し入れを繰り返し内部を擦り上げる度に、ぐにぐにと絡めとって吸い込んで、逃がさないと言わんばかりに襞が絡みついてくる。 ぐんと反らされた魅音の傷ついた背中をレナが抱きとめた。 「うあぁっ! ああっ……! やぁ……んっ……ああ、あぁー……!」 頭の部分が見えてくるほど腰を引き、一気に容赦なく押し入れる。 魅音はただ懸命に悟史のものを受け入れ、レナは子を慈しむ母のような眼差しで二人を見守り、魅音の背中を抱いていた。 よく言えば一途、でもあまりに痛々しいその献身。 魅音は仲間外れを嫌い、周りのあらゆるものを受け入れることで、生まれてすぐに生を拒絶されかけた『詩音』を。レナは母性をもって他者と接することで、歪な形で母との離別を経験し、母の愛に飢えていた『礼奈』を。それぞれ慰めているのかもしれない。 悟史は知らない。二人の隠したい過去、けれど決して忘れてはいけない罪、悲しみ、心の隙間、そういったものを、悟史は知らない。彼だけではない、それは誰も知らない彼女たちの秘密。 悟史は、レナと魅音の心の奥の奥に隠されたそれを慮ることができるだけ。 人の心の機微を読むこと、心の動きを察すること。悟史の年齢で、彼ほどその術を把握している人間はいないだろう。それが、母が入れ替わり立ち替わり連れてくる『父親』と馴染み、より早い段階で平穏を作り出す数少ない方法の一つだったから。 「悟史、また、おじさんたちに気を遣ってる? あはは、悟史らしいね……」 魅音が笑う。無理して笑わないって約束したばかりなのに。だいたいこんな時におじさんはないだろ、と思わなくもない。けれどそれは、表情を曇らせた自分をちょっとでも和ませようとしてくれているのだと知っていた。 この子たちのために何が出来るのか悟史は考えて。考えて、それはおこがましい事なのかもしれないと思い当たる。今まで彼が舐めてきた辛酸を想像できる人間はいないのだから、結局はそういうことになる。 でも、受け止めたかった。こんなにまで懸命に自分に尽くしてくれる魅音とレナの気持ちに応えたかった。 人に気を遣ってばかりの少女たちを、少しでも思い遣りたかった。 そんな悟史だから、二人も彼を救いたいと、彼の心の荷を少しでも取り除きたいと願い、そしていつしか惹かれていった。どうしようもないほど。 ……狂おしいほどに。 やがて彼らは高みを越えて、絶頂に辿り着き。 「おじさんもうだめー……寝るぅー……」 「はぅ~お父さんに連絡しなきゃ……むにゃ」 「……むぅ」 色々と力尽きた三人は無造作に床に転がっていた。 冷静になると、かなりとんでもない事をした気がする。 今すぐにでもこの場で正座をし、頭を足元に擦りつけて雛見沢の神の如く謝罪を繰り返したい衝動が湧きあがらなくもない。 でも後悔する気持ちは、込み上げなかった。 全力でぶつかろうと思って、それを実行し、全身で受け止めようと決めて、それをやり遂げた。ある意味、ひょっとしたら、これ以上なく幸せな時間だったかもしれない。 三人で狭い布団の上に川の字になって。とりあえず今は、互いに無防備な寝顔を晒して眠りに就こう。 これからもこの平坦な日々の中で暮らしていこう。 一緒に過ごせる時間をかみしめよう。 レナが心を寄せ、魅音が守ろうとして、悟史がまた歩き始めようとしている、この村――三人の秘密を擁するこの雛見沢で。 (了)
長い眠りから目覚めた北条悟史を待っていたのは、友人たちと見慣れない一つ年下の少年、以前よりもはるかに生き生きと力強い眼をした妹の姿、温かくなった住み慣れた村の空気だった。 色々あって、園崎家頭首がダム戦争の終わりを明言したらしい。 悟史の胸をよぎったのは、これで多くの重圧から解放されるという安心と、今更何を――という複雑な感情だった。諸手を挙げて喜ぶだけで終われるほど無邪気ではなかった。 彼に味方なんていなかった。けれど、どっちもどっちだと彼は自嘲する。最後には色んな人を疑って遠ざけて傷つけた。そりゃ雛見沢にいるという神だって呆れるだろう、と。 彼はまた全ての感情を抑え込んで、他人よりも自分の内に害悪と責任を見出す。悟史とは、そういう人間だ。 だから、クラスメイトである二人の少女たち――園崎魅音と竜宮レナの、許しを乞うような眼差しが、痛かった。 ――ごめんなさい。 「……どうして、二人が謝るの?」 きっかけは何であったか。 ある日、晴れて退院した悟史を見舞うため、差し入れのお弁当と果物を手に北条家までやってきて、ぽつりと謝罪の言葉を零した二人に、悟史は静かに首を傾げてみせた。 「悟史くん、また無理してるよね……よね」 じっと自分を見つめてくるレナの真っ直ぐな瞳。 悟史が沙都子を守りたいと思っていたように、魅音は祖母を支えたいと思っていただろう。レナだって、転校してきたばかりで親交も浅かったことを考えると、ずいぶんと親身になってくれていた。 それは環境がある程度落ち着いた今だからこそ至れる考えであって、あの頃はとてもじゃないがここまで穏やかな考えではいられなかったとはいえ、こうして改めて接していると、彼女たちがとても気を遣う性質を持っているのが以前よりももっと、よくわかった。 悟史が一人になりたいと思ったら、レナがそれとなく仲間たちに引き上げるよう促し、気分が滅入った時は。魅音が底抜けの明るさで場を盛り上げてくれる。 そうして、去年の自分がいかに間違っていたかを思い知り――痛むのだ。 「やっぱり変わらないね、悟史は。いっつもいっつも、ぎりぎりまで無理して、人に気を遣うんだね」 魅音が悲しそうに呟く。いつも教室で少し離れたところから悟史と沙都子を見守っていた顔をして。 どうやら二人は悟史の心の中に渦を巻く葛藤を見抜いて、気遣ってくれているらしい。 それぞれ違った不器用さを持っているのか、レナと魅音、彼女たちの思い遣りは時にとてもわかりにくかったり、余計な疑いを増長させてしまったりする。だが、有事の際に人が100パーセント正しい行動をとれるかと言えばそうではないし、重要なのはその気持ちなのだと悟史は思う。 二人が自分に謝ることなどないと。気にすることなんて、何もないのだと。悟史は二人にそう告げた。するとレナと魅音が同時に互いを見やり、静かに、強く頷き合ったと思ったら――こうなっていた。 ――いやあの、ちょっと待て。幾らなんでもこれはおかしくないか? 悟史は狼狽する。 「れ、レナ、魅音……こ、こんなのよくない、よ……」 クラスメイトの少女たちが頬を上気させて何とも艶やかな表情で自分を見つめてくる。 「悟史くん。レナたち、悟史くんが気持ち良くなるように、頑張るからね、ね……?」 レナのくりくりした可愛らしい目に浮かぶ、どこにそんな強さが眠っているのかと不思議になるほどの決意の色。 「悟史は……イヤ? 迷惑?」 魅音が恐る恐る訪ねてくる。いつもの、ともすればおじさん臭いほどの勝気な様子が嘘のような自信のなさそうな顔をして。 妹にプレゼントを渡すまではと雛見沢症候群L5の症状をも抑え込んだ鋼鉄の精神の持ち主といえども、やはり健全な青少年だ。美少女二人に囲まれて平静でいられるわけがない。 まだるっこしいので端的に言ってしまおう。 今、布団の上に座った悟史の脚の上にレナが乗っかり、背後では魅音が自らの体を背もたれにするように悟史の背中を支えている。 むっちりしたレナのお尻とふわふわした魅音の胸の感触が、頭がおかしくなりそうなほど心地よい。 レナの小さな可愛い手が悟史のズボンの前に触れ、既に固くなり始めていたそこを撫でる。いつものようにぽややんとした表情が、余計に異質な感じを煽った。 「はぅ……かぁいい☆ お、お持ち」 「むぅ!? レナそれらめえぇ!?」 悟史は、慌てるあまり呂律の回らない口調でレナの言葉を遮った。どこから突っ込むべきなんだろう。そんなところ触っちゃ駄目とか、それ絶対かぁいくないとか、お持ち帰りは断固出来ないとか。 「じゃ、じゃあ、お持ち帰りは諦めるね……?」 何故か残念そうな顔をしたレナが、悟史のズボンの前ボタンとジッパーを開く。 「ま、待ってよレナ。他の事も色々と諦めて欲しいんだけど……っ!?」 悟史のものに、レナの指が下着越しに触れ、びりっとした何かが脊椎を這い上がった。 一瞬もういいや彼女たちの好きにしてもらおうと流されそうになるが、悟史は持ち前の精神力で思いとどまる。 北条悟史、落ち着け。クールになれ。 悟史は少しでも冷静になるために深く息をつく。だが、残念ながらクールになった人間が目の前の問題にまともな対処が出来た試しはない。 「あ……あのね。魅音、レナ。君たちが僕のことで何かを気に病む必要はああぁぁああぁ!?」 温厚な彼にしては珍しい大きな叫びが口から迸る。 少女二人はいつの間にか制服の前をはだけていて、眩しいほどの綺麗な肌が露になっている。眩しすぎてくらくらした。 「悟史、おじさんたちは、伊達や酔狂でこんなことしてるわけじゃ……ないんだよ?」 静かに言い、立ち上がって後ろを向いた魅音の肩からブラウスとベスト、そしてキャミソールの紐が落ちる。 「……本気で、悟史に償いがしたいと思ってる」 白い背中。肩甲骨のかなり下、腰の括れた部分のやや上に、それがあった。 悟史とレナが無言で息を飲む。 頭に漆黒の角を持った、長い髪をした鬼の横顔。柔らかそうな肌に刻まれた図柄は装束をまとった肩のあたりで途切れ、杖か武器か、棒状の何かを持った手が不自然に浮いている、それがまるで虚空から鬼が現れているような様を演出し、一種異様な雰囲気を醸し出す。 彫っている途中で中断したのだろう。幼い『魅音』の体力がもたなかったのか、あるいは何か別の要因があったのかは――定かではないが。それほど大きなものではない、せいぜいレナの小さな掌で隠れる程度の物だが、それは確かに彼女の背中に存在して、今この時も彼女に傷をつけていた。 「あはは。あんまり褒められたもんじゃないんだ……途中でやめるのって、恥ずかしいことみたいでさ」 魅音が力なく笑う。 半端彫り。痛みに耐えられないか、全てを彫り切る資金がない、半端者の証として時には失笑の対象とされる。 「恥ずかしくない……ないよ。魅ぃちゃんのからだ、これ以上傷つかなくて、済んだんだから……」 レナの細い腕が魅音のお腹に回る。魅音は微笑んで、きゅうっと抱きしめてくる年下の親友の手にそっと手を重ねた。 「……そう言ってもらえると、助かるよ」 悟史は何とも言えない眼差しで二人を見つめた。 先ほどまで自分のモノに触れていたレナの手、魅音の背中についた鮮やかな傷跡。彼女たちは普通に考えて堪らなく恥ずかしい事をして、絶対に見られたくないものを曝け出している。 ……どうしてそこまで。 わからないことは沢山ある。けれどその熱意に、真剣さに、誘惑に――抗えるわけもなく。 悟史は二人に向けて、腕を伸ばした。 レナの小さな手が再び悟史のものを握る。 華奢な指先が這いずり回る。先っぽを突つき、頭の部分をこねくり回し、幹の部分を撫でさする。その指や掌が蠢く度に走る快楽に悟史が身体を捩らせると、魅音のふんわりとした柔らかい体に抱きとめられて、頭が芯まで痺れていく。 「わ、悟史、くすぐったいよ」 悟史の色素の薄く柔らかい髪に胸元をくすぐられて、魅音がびくっと敏感に身体を震わせる。 「わ、あ、ああっ……! レ、レナ……レナぁっ!」 「あは……かぁいい、悟史くん、かぁいいよぅ……☆」 女の子のような慎ましい声を上げて、がくがくと身体を震わせる悟史に、レナは目を細める。刹那、垣間見えた獣のような雰囲気は――気のせい、ではないと思う。いつも物腰穏やかで笑顔と思いやりを忘れない、ついでにかぁいいものに目が無いという奇癖を持ち合わせる彼女は、時折、非常に鋭く攻撃的な一面を見せることがあった。 それはいいけど、男の僕にかぁいいって……嬉しくない……悟史はそんな事を考えながら、むぅ、と押し黙る――暇はない。レナの手は、そんな余裕を与えてはくれない。 後ろでは魅音が、わー、わーと何かを呟きながら頬を紅潮させて悟史とレナの行いを見つめていた。 「はぅぅ……どんどんおっきく、固くなっちゃってるよぉ……」 ぼうっと熱に浮かされたような表情と眼をして、先端から滲み出る液体で指先を濡らしながら、レナは夢中で奉仕を続ける。両手できゅっと握り締め、上下にゆっくりとしごき、段々とスピードを上げていく。にちゅっ、と先走りが掌の中で滑って音を立てる。ぬるぬると擦り上げられる感覚が、悟史を追い詰める。 ――自分は、頭が溶けそうになるほど気持ちいい。けれど、レナはどうなのだろう? 悟史はふと思う。そしてそれに思い当ったら、自分だけ気持ちよくなるのは何だか申し訳ない気がしてたまらなくなり、床の上で握り締めていた両手をそっとレナの体へと伸ばす。 「はうっ……!?」 はだけたセーラー服から覗く形のいい胸に触れた時、一心に奉仕していたレナの手が初めて止まり、その小さな肩が、びくん、と大きく揺れる。 「あっ、嫌だった……?」 その反応に思わず悟史も、さっと手を引っ込めてしまう。 「う、ううん。ちょっと、びっくりしただけなの。なの。レナのこと……もっと触って?」 レナは微笑んで、再び一生懸命に悟史のものと向かい合う。悟史は少し躊躇った後、意を決して彼女の肌に触れる。 淡いピンクのチェック柄に飾られた下着に包まれた胸も、脚の上に乗った尻も、搗きたての餅みたいにむちっとして指に吸いついてくる。太腿の間、更に下着の奥へ潜らせた指が、人間の身体の一部とは思えないほど柔らかいその部分に辿り着くと、ぬるりとした蜜が指にまとわりつく。 力を入れすぎないように、レナが痛みを感じないように、そっとそっと繊細な部分に触れる。 「ひゃうっ!」 レナが鳴いた。 互いに無我夢中に手で触れ合っている秘部から鳴り響く水音が重なる。その音が、呼吸が、感覚が、全てが現実離れしていた。それでいて頭の中が焼けてしまうような快楽だけは、刻みつけられるような存在感を持って自分を狂わせる。 「や、くすぐったいよぉ、お腹が、お腹の中が……あぁ、はぁ……ぎゅっ、て……!」 レナの甘い声が耳を焦がす。いったい何が起きているんだろう――そんな当然の疑問さえ、虚空に溶けていく。 段々と、どこに触れればレナが反応するのかがわかってくる。胸を覆う下着を捲りあげて、固くなった蕾のような控えめな先端を指先で転がす。 もう一方の手で触れている秘所にもやはり小さな蕾があって、それに触れるとレナが大きく体を捩らせて、まるでスイッチの役割でも持っているかのように、割れ目から透明な蜜が滲みだす。 恥ずかしそうに荒くなる息を潜める様子が可愛らしくて、悟史は妹や魅音にするように、レナの小さな頭に優しく触れた。 「あは。悟史くんがレナのこと撫でるの、初めてだね……だね」 そうだったかな? と悟史と魅音は顔を見合わせる。こそばゆそうな、はにかんだ笑顔を見せるレナ。綺麗に切り揃えられた髪を手で梳いて襟足を撫でると、レナがいきなり肩を震わせた。 「はう!? うぅ……こ、腰のあたりがくすぐったいよお……」 「……むぅ。ご、ごめん……?」 その反応があまりにも予想外で、思わず悟史は謝ってしまう。謝んなくてもいいよ、とレナは笑う。 「じゃ、じゃあ……悟史くん、そろそろ……ね?」 一瞬、何を言われたのかわからなかった。後から染み入るようにその言葉の意味を把握して、悟史の全身が硬直した。 「ま、待って、本当に待って! ……レナ、魅音も! それは……駄目だよ!」 後戻りのできない場所へと移動しようとしている彼女ら――いや、自分たちを必死で制止する。苦しい息を呑みこんで、ガチガチに固まった己の凶暴なものを意地でも鎮めようと歯を食いしばる。 だがそんな彼の努力も無視して、ゆっくりとレナが腰を沈めていく。 正確に言うなら――沈めようとした。十分に濡れているとはいえまだまだ小さくて頑なで、そして恐怖や痛みからくる躊躇いがどうしても邪魔を して、頭の部分を呑みこんだところで止まってしまう。 「あ、う……うん、あっ、ん……」 不慣れな少女が自分から入れるなんて無茶である。まして経験がないとなればなおさらだ。 だがレナは頬を火がついたように真っ赤にして、はあはあと熱い吐息を繰り返しながら、悟史を呑みこもうと懸命に腰を動かす。今すぐに腰を掴んで引き剥がすべきなのだ。悟史自身が誰よりもわかっている。だが彼女の真摯な痛々しさが、止めないでと無言であっても尚全身で語っている。 「れ、レナ……」 心配そうにレナを見つめる魅音。痛みを肩代わりすることは勿論、気の利いた言葉を思いつくこともできず、ただ無言で見守ることしかできない。 「あはっ……心配してくれるのかな、かな……? ありがと、魅ぃちゃん」 レナが魅音の柔らかい手に自分の手を伸ばし、握りしめた。 「お願い、魅ぃちゃん……お願い」 何をお願いされているのかわからず戸惑う魅音の手を自分の腰の両脇へと持っていくレナ。そしてようやく頼み事の内容を察し、魅音が息を呑む。 「でも……」 尚も戸惑い続ける魅音に、レナは答えない。ただ黙って彼女の眼を見つめている。 悟史もまた事情が呑み込めずに二人の様子を窺っていたが、ふと唐突に思い当り、慌てて口を開く。 「……わかった。いくよ」 「待って! 二人とも、それは!」 悟史の制止の声よりも一瞬早く、年下の親友の手が上に重ねられた魅音の手が、ぎゅっと下方へと押し込まれた。 レナの腰が――悟史のそれと、重なっていく。 くちゅ、と小さく何かが混ざり合う音がした。そのささやかな音とは正反対の衝撃が、レナと悟史の二人を襲う。 「は、ぅ――!!」 「……ッ!」 レナのそこは、とても小さくてきつかった。 まだ頑なな熱い秘肉が隙間なくみちみちと締めてくる、生まれてこの方感じた事のない刺激に包まれて、悟史の分身はびくびくと固く震えている。 震えによるかすかな動きさえレナに痛みを与えるようで、悟史は気持ちよさを感じるよりも苦しかった。強靭な理性が全身に命令を出して、震えをも止めることができたなら。 「あ、ああぁ……はぅ、はあ……ぜんぶ、ぜんぶ、はいった……の?」 息も絶え絶えにレナは誰にともなく呟く。その潤んだ円らな眼が異様に艶っぽい。 「どうして」 悟史はからからに乾いた喉で、掠れた声で問いかける。 「何で――僕なんかのために、そんなに」 「は、はぁ……さ、悟史くんが、レナたちのこと……許してくれたから。はぅ、あ……いつもいつも、優しくしてくれるから……だから……」 レナの小さな手がそっと魅音の手を離れ、悟史の服の裾をきゅっと掴む。 「悟史くんに、もっと幸せになってほしいの……どんなことでも、悟史くんのために何かをしたいの。そう決めたの」 彼に今のところ出来るのは、なるべく痛みを与えないように、彼女たちの望みを叶えることだけだった。 ……目覚めた悟史は彼女らを一度も責めなかった。最後には全てを憎んで疑って遠ざけたことを恥じてすらいた。 彼が再び彼女たちを仲間として受け入れたことで、彼女たちの罪は許されたのだ。 昭和57年の惨劇。救えなかった仲間、ただのオトモダチでしかなかったあの頃の自分たち。 もう二度と同じ悲しみは生み出すまいと願い、決意し、その果てに今、彼女たちはこの58年の夏の光を浴びているけれど。いつか遠い過去、隣り合せの記憶の向こう。悟史を失ったことで手に入れた痛みさえ活かせずに、また過ちを犯してしまっていた気がする。それも繰り返し、繰り返し。 奇跡の名の下に、あったはずの罪から逃れた58年の主役達、奇跡の許容範囲に弾きだされ、何百という可能性を経ても尚救われぬその他大勢。 そのひとりであるはずの彼は、それでも言う。自分に謝ることなどない。気にすることなんて何もないと。 だから、彼女たちも応える。長く苦しかった日を耐え抜いた貴方に手を差し出したい、と。 悟史は弾力に富んだレナのお尻を恐る恐る両手で掴む。 くちゅ、くちゅっと小さな音を立てながら、激しくもなく拙い動作で小刻みに肉の襞と棒とを擦り合わせる。レナの華奢な体が震え、ふっくらと形の整った胸が揺れる。肌理の細かい滑らかな肌から光る汗が舞う。 「はぅ、あ、ぁあ……! レナの、レナの中で……熱いのが……ぁ!」 ぎゅうぎゅうときつくまとわりつく襞が、頭から幹の部分までを余すところなく掻くように絡みついて、下肢も脊椎も脳髄までも、全て溶かされそうな錯覚すら感じる。 「はぁ、あ……さ、悟史くん……? も、もっと……ひぅ、動かなくても……いい、の?」 もっと好きに動いてもいいのに、と暗に含んだレナの声に、悟史は静かに首を横に振った。 「っ……ありがと、レナ……十分だよ」 確かに、もっと激しく動いて掻き回して快楽の奥底まで溺れたい衝動は腹の奥底で黒く渦を巻いている。我ながら情けない、と悟史は内心溜め息を吐く。そんな衝動に身を任せる気はないし、出来るわけがない。 レナのそこは溶けるように熱く握り潰してくるかのようにきつくて、十分以上に快感を与えてくれた。それ以上に全身全霊で自分とぶつかってくれた彼女の気持ちに、快楽以上の温かなものに満たされる。 緩やかながらもやがて限界が近づいて、悟史はレナの腰を持ち上げて、その白くて柔らかそうなお腹に全てを放出した。 今までにない量の白濁を吐き出し、悟史は眩暈がするような余韻に肩で息をする。ふらふらとその場に崩れ落ちそうなレナの小さな体を、魅音が優しく抱きとめる。 悟史はレナに声をかけようとして、ひとしきり口を噤んで迷った後で、清々しい諦めを込めてかぶりを振った。 「レナ……ごめん。何て言っていいのか、わからない」 気持ちよかった、嬉しかった、苦しかった、愛しかった。どんな言葉もこの身体の奥からこみあげる思いを表わせない。形に出来ないその思いを乗せて、悟史は優しくレナの頭を撫でる。 「……レナ、あんた最高に可愛い。レナはやっぱり、凄いよ……」 代わりというわけでもないけれど、レナを抱きしめる魅音が彼女の耳元で囁いた。子供のようなところのある彼女らしい、直球の言葉で。そして、意地っ張りな魅音のそんな態度を目にすることの出来る人物は、片手の指ほどもいない。それを知っているからレナは照れ、嬉しくて微笑みを零す。 「あは、やだな。魅ぃちゃん……レナ、恥ずかしいんだよ。だよ」 ぽやんとした笑顔を見せるレナではあるが、冷静な彼女は現状を見失わない。 「次は、魅ぃちゃんの番、だね」 その言葉に、悟史は思わず魅音の姿を見つめる。 「ささ、悟史が、嫌じゃ……なければ……ね」 唐突に話を振られて、不意打ちに魅音は明らかに動揺した。ぼっ、とあっという間に頬が赤くなる。私服も制服も厚着しているから、彼女の肌が露になるのは珍しい。厚着のせいもあって日に焼けていないのか、たおやかな曲線を描く豊かな胸や括れた胴体は、染みるように白かった。 「てっててて言うか……わ、私なんか見ても、つつつまんないよ?」 悟史の視線に耐えられなくなったらしい魅音が細い肩をすくめる。 案外打たれ弱い彼女は、あまりからかうと本気で凹んでしまいかねない。悟史はいつもの通り、妹にするように魅音の頭を撫でた。 魅音の身体はしなやかに締まっていて、ぴんと張りのある肌はやたらと柔らかくてふわふわしていた。強気なようで弱気な面もあると前々から漠然と察してはいたが、男の子みたいな態度をとっていても女の子なんだなと改めて実感する。 「ん、うぅ……」 胸や秘所などの一般的に敏感な部分だけではなく、背中や首、手足に触れるだけで、魅音は小さく声を上げて身悶える。そっと秘部の内側に指を差し入れると、そこはすでに濡れていた。親友たちの情事を目の当たりにして昂ぶっていた分を差し引いても、十分すぎるほど。 感じやすいと言うか、やらしいと言うか……正直にそんな事を言えば、魅音が速攻で臍を曲げるのは目に見えていたので黙っておくが。 再び立ち上がったものを魅音の体の中心にあてがい、悟史は自分の体が震えるのを感じた。自分から突き入れるのは初めてで、それが相手の女の子に痛みを与えるものだと知っているから、なおさら躊躇する。 「あ……いいよ、そんなに気ぃ遣わなくても。一気にいっちゃって」 事も無げに魅音は言う。だがその目の奥に揺れる怯えの色を、悟史は見逃さない。 「……魅音」 「へーきへーき……おじさん、レナより頑丈だからね。ちょっとくらい激しくても壊れないからさ」 またそういうこと言う、と隣にいたレナが頬を膨らませて魅音の頬を優しくつねる。 むぅ、と言葉を詰まらせて俯いた悟史が、ふと何かに気が付いてすぐに顔を上げた。 「ええと……魅音の膝、がくがくしてるんだけど、僕の気のせい?」 「くっ?! こ、これは、そう、武者震いってやつ?」 「震え……ひょっとして、魅音、怖がっ」 「ち違う、違うよ! じゃあ、ちょっぴり体支えるの疲れちゃったんだよ、おじさん歳だから!」 「むぅ。じゃあ、って……それに魅音、僕と同い年」 「もー! 悟史の気のせいだってば!」 遠慮がちだがもっともな突っ込みを入れる悟史に、魅音はやけを起こしたように言い放ち、その直後にがっくりうなだれた。 ――下手な言い訳を考えたりせずに、始めからこう言っていればよかったんじゃん。と顔に書いている。 相変わらず見事なまでのド壺っぷりに、ぶぷっ、と悟史が吹き出し、レナもくすくす笑いを零してしまう。 「何よー! 笑うなー!」 「あははは、あーははははは!」 「はう、魅ぃちゃんかぁいい! お持ち帰りしたいよぉ~☆」 悟史は声を上げて笑いだし、レナはかぁいいモード。魅音は笑われているのが癪に触って更にムキになる。もう雰囲気も何もあったもんじゃない。 またやらかしちゃった? と我に返った魅音はあうあうと[[新しい]]仲間のようにうろたえる。 とりあえず笑いの治まった悟史は呼吸を整えて、こつんと魅音の額に自分の額を合わせた。 「いいよ魅音、君は君で。それでいいよ」 本人にその気がなくとも、いとも簡単に雰囲気をぶち壊す。時には望まぬ悲劇を生み出す一端になってしまったかもしれない。けれど今、悟史とレナに笑顔を与えている。 そうしてまた三人で笑い合う。 悟史は深く息を吐いて、魅音の中に入っていく。 「ふ……あ、うぅ……ん、んん……」 声を押し殺して、魅音は必死に耐えた。ぴくぴくと痙攣して絡みついてくる肉の襞を擦り上げる。 ぬるぬると柔らかくて、レナの時ほど強い抵抗はなかった。ただ中で動いたり身体に触れたりと刺激を与える度に、埋め込んだモノを中に引き込むように、絡みつく襞が激しく収縮と弛緩を繰り返す。その感覚に頭が変になりそうだ。 「み、魅音……もう、入ったよ。痛く……ない?」 見下ろした魅音は、ぎゅっと眉間に皺を寄せて苦しそうに息を殺している。 「……だ……大丈、夫……入口のとこ、ちょっと痛いけど……中の方が、あったかくて、か、硬いのが擦れて、あぁ、何か……」 「み……魅ぃちゃん。せ、説明は、しなくていいと思う……かな。かな」 目の焦点を定まらせないまま、うわ言のように恥ずかしい告白をする魅音をレナが赤面して遮る。さっきのレナも似たようなことを口走っていたが。 「……レナ、頑張ったんだね」 不意に魅音はぽつりと呟く。 今なら、もっとわかる。つい先ほど、どんなに痛くても、泣き言一つ零さずに悟史のために尽したレナがどんなに頑張ったのか。 その呟きを聞いていたのかいなかったのかはわからないが、レナは無言で魅音の身体を抱きしめた。柔らかそうな肌が触れ合って、ひとつになってしまいそうだと、悟史はあるはずのない事を考えてしまう。 「悟史……我慢とか手加減とか考えないでね。どうか、悟史の好きにして欲しい」 それはレナと同じくらい自分も頑張らなきゃという決意かもしれないし、なかなか積極的になれない彼女なりの誠意でもあるのかもしれない。 ああ。どうしてこの子たちは、こんなにもいつも人のことばかり考えるんだろう。 悟史は愛おしそうに魅音の髪を撫でて、真っ赤に染まった魅音の頬に唇を寄せる。 「うん……手加減しない。我慢なんてしないから。だから、もう……君たちも、僕に気を遣うのはやめて欲しい。笑いたい時に笑って、怒りたい時に怒って、……一緒にいたい時に、一緒にいよう」 三人は、静かに、強く頷き合う。 そして宣言通り、悟史は躊躇いを全て捨てて魅音を責め立てた。 「ひぅ……あっ、あ、あぁ……」 衝動や快楽、欲求のままに身体を揺さぶる。押し広げられたばかりのそこを激しく掻き回されて、魅音が弱弱しく喘ぐ。円を描くように掻き回して、出し入れを繰り返し内部を擦り上げる度に、ぐにぐにと絡めとって吸い込んで、逃がさないと言わんばかりに襞が絡みついてくる。 ぐんと反らされた魅音の傷ついた背中をレナが抱きとめた。 「うあぁっ! ああっ……! やぁ……んっ……ああ、あぁー……!」 頭の部分が見えてくるほど腰を引き、一気に容赦なく押し入れる。 魅音はただ懸命に悟史のものを受け入れ、レナは子を慈しむ母のような眼差しで二人を見守り、魅音の背中を抱いていた。 よく言えば一途、でもあまりに痛々しいその献身。 魅音は仲間外れを嫌い、周りのあらゆるものを受け入れることで、生まれてすぐに生を拒絶されかけた『詩音』を。レナは母性をもって他者と接することで、歪な形で母との離別を経験し、母の愛に飢えていた『礼奈』を。それぞれ慰めているのかもしれない。 悟史は知らない。二人の隠したい過去、けれど決して忘れてはいけない罪、悲しみ、心の隙間、そういったものを、悟史は知らない。彼だけではない、それは誰も知らない彼女たちの秘密。 悟史は、レナと魅音の心の奥の奥に隠されたそれを慮ることができるだけ。 人の心の機微を読むこと、心の動きを察すること。悟史の年齢で、彼ほどその術を把握している人間はいないだろう。それが、母が入れ替わり立ち替わり連れてくる『父親』と馴染み、より早い段階で平穏を作り出す数少ない方法の一つだったから。 「悟史、また、おじさんたちに気を遣ってる? あはは、悟史らしいね……」 魅音が笑う。無理して笑わないって約束したばかりなのに。だいたいこんな時におじさんはないだろ、と思わなくもない。けれどそれは、表情を曇らせた自分をちょっとでも和ませようとしてくれているのだと知っていた。 この子たちのために何が出来るのか悟史は考えて。考えて、それはおこがましい事なのかもしれないと思い当たる。今まで彼が舐めてきた辛酸を想像できる人間はいないのだから、結局はそういうことになる。 でも、受け止めたかった。こんなにまで懸命に自分に尽くしてくれる魅音とレナの気持ちに応えたかった。 人に気を遣ってばかりの少女たちを、少しでも思い遣りたかった。 そんな悟史だから、二人も彼を救いたいと、彼の心の荷を少しでも取り除きたいと願い、そしていつしか惹かれていった。どうしようもないほど。 ……狂おしいほどに。 やがて彼らは高みを越えて、絶頂に辿り着き。 「おじさんもうだめー……寝るぅー……」 「はぅ~お父さんに連絡しなきゃ……むにゃ」 「……むぅ」 色々と力尽きた三人は無造作に床に転がっていた。 冷静になると、かなりとんでもない事をした気がする。 今すぐにでもこの場で正座をし、頭を足元に擦りつけて雛見沢の神の如く謝罪を繰り返したい衝動が湧きあがらなくもない。 でも後悔する気持ちは、込み上げなかった。 全力でぶつかろうと思って、それを実行し、全身で受け止めようと決めて、それをやり遂げた。ある意味、ひょっとしたら、これ以上なく幸せな時間だったかもしれない。 三人で狭い布団の上に川の字になって。とりあえず今は、互いに無防備な寝顔を晒して眠りに就こう。 これからもこの平坦な日々の中で暮らしていこう。 一緒に過ごせる時間をかみしめよう。 レナが心を寄せ、魅音が守ろうとして、悟史がまた歩き始めようとしている、この村――三人の秘密を擁するこの雛見沢で。 (了)

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