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練習」を以下のとおり復元します。
レナの手が、魅音の柔らかい胸に触れた。 
赤くなってうろたえる魅音に、レナは笑い手を離し。 
軽くふざけて緊張が解れた所で。 
「じゃあ、しよっか?」 
「あ、う、うん……っ」 
レナの顔が近付いて、魅音は咄嗟に強く目を瞑る。 
その初々しく可愛い反応に、レナはくすりと声に出さずに笑う。 
……。 
軽く、柔らかい物が唇に触れた。顔が知らずに赤くなる。 
「魅ぃちゃん、柔らかい……」 
顔を離して陶酔するように、レナが呟いた。 
「……レ、レナぁ~……!」 
感想を口にするレナに、魅音は羞恥のあまり涙目になる。 
「じゃあ次。口を開けて舌、出してくれるかな、かな?」 
「え、えええ!?」 
「魅ぃちゃん、れんしゅー」 
「う、ぅぅぅ……」 
助けを求めるように、魅音が小さく唸りながら潤んだ目でレナを見る。 
あは。魅ぃちゃんすっごくかぁいい……ああ、詩ぃちゃんが魅ぃちゃんをいじる気持ち、分かるなぁ。 
「レナも上手じゃないけど頑張るから、魅ぃちゃんも……」 
レナの紅潮した頬。そうだ、こんな無茶なお願いをしたのは、自分の方だ。 
「……ぅ、が、頑張る……」 
はむ。 
びくんと、魅音の身体が震える。 
微かに開いた唇から心持ち出した舌を、レナの唇に食べられた。 
「ん、んー……!」 
そのまま中へと引き込まれ。レナが軽く舐めると、早速魅音が白旗を上げた。 
「………ぅむ……んっ!ちょ、ちょっと待った、待って……!」 
魅音の助けてコールにそれ以上深追いせず。 
レナは興奮に少し上がった息遣いのまま、首を傾げてにっこりと笑う。 
「魅ぃちゃんどうしたの?」 
「やや、やっぱダメ、無理ー!」 
魅音は真っ赤な顔で、レナの肩に手を置いて距離を取る。 
「はぅ、……レナじゃ……イヤなのかな、……かな」 
レナもまた赤くなったまま、悲しそうな表情で上目遣いに魅音を見て、次の言葉を待つ。 
「そ、そうじゃなくて、こここれ、なっなんか生々しくて……こんな事やっぱり素面じゃ出来ないよぉ~……!」 
……。 
魅音の言葉に、レナの内なるレナが。 
は、………はうぅぅ~~~~~~~!!! 
かぁいいモードが、吼える! 
はぅ、はうぅぅ~~☆みみみ、みっ魅ぃちゃんやっぱり、かかかぁいいよ~~~~~~!!! 
やたらと恥ずかしがる魅音に内心激しくきゅんきゅんしながら、しかしそれを全く表には出さずにレナは優しく微笑んだ。 
「……うん。いきなり、し、舌は早かったよね。じゃあゆっくり……ね」 
既に逃げに入っている魅音に警戒されないように。……こういう所がレナの狡猾な部分である。 
「あ、いや、も」 
魅音が何か言いかけたが、最後まで言わせずレナは再び唇を触れさせた。 
……どうせ、逃げ口上だ。 
ぷに、ふにゅ。ぷにゅ。 
軽く唇を合わせて押し付けて。 
その互いの柔らかさに、押し殺した息遣いに徐々に魅音の思考が溶けてゆく。 
魅音の緊張が和らいだ頃合を見て。 
「魅ぃちゃん……ちょっともたれるね」 
その言葉の意味が分からずに魅音はぼんやりとしたまま、ただ小さく、ん、と答えた。 
返事を待ってレナの手が、そっと。 
「……ぅ……?」 
魅音が小さく、声を上げた。 
「ちょ、レナ……」 
「ん、なぁに?……ん、ふ」 
「手、何……っ」 
レナの手はそっと魅音の胸に掛かっていた。 
柔らかい膨らみに細い指が沈み込み、制服の胸元にシワが入る。 
「……もたれちゃダメ?だって、魅ぃちゃん背高いんだもん」 
レナは顔を離して、不思議そうに首を傾げる。そこに先程のようななふざけた雰囲気はない。 
もたれるって、……む、胸触られてたら、流石に恥ずかしいんだけど……っ。 
そんな事を思いながら、でも言えずに視線を逃した先。足元を見れば、レナは確かに踵を浮かせている。 
目の前の少女の中に理想の女の子像を見て、魅音は一瞬、何もかもを忘れ。 
……やっぱり可愛い女の子って、こうだよね……。 
レナに見惚れてしまった。 
ちょっと、……いや、かなり羨ましい。 
「魅ぃちゃん……」 
魅音が油断した隙を突いて、レナは再び魅音の唇を奪った。 
レナの舌がゆっくりと唇を舐め。 
魅音は思わずびくりと、それから逃げるように口を開いてしまった。勿論レナがそれを逃す筈もなく、そのままぬるりと入り込み互いの舌をくっつける。 
魅音も先程のように、いきなり身体を離して終わらせるような事はなかったが。 
「ん、んんっ」 
口の中で何かを訴えながら、レナの濡れた舌から逃れようとする。 
レナはふと、肩に違和感を感じて瞼を上げた。 
……ぁ……。 
きゅうっと、肩に置かれた魅音の手がレナの制服を強く握り締めている。真っ赤な顔で身を竦めて。 
それが毛を逆立てる子猫のように見えて、レナは目を細めた。 
……くすくす、……本当にかぁいいね、魅ぃちゃん……。 
怯えた猫の前でねこじゃらしを振るように、レナは舌先で、微かに掠めさせくすぐるように魅音を誘う。 

レナに口を塞がれ息も満足に出来ず、ましてや息継ぎなんて思いもよらず、ただ、思考が白く染まってゆく。 
少し肩を震わせて、もう、何をどうしていいかも分からずに、ただレナに舐められる。 
……身体の奥が……、少し熱い。 
「はぁ……ね、魅ぃちゃんもレナに……して?二人で練習、しよ?」 
レナは一度顔を離して、怯える幼い子供を安心させるように、至近距離で魅音に優しく微笑む。 
はぁ……はぁ……ぁ……そう、だ…………れ、練習……れんしゅー……。 
そしてまた息も整わないままに、思考も廻らないままに。レナの柔らかい唇に、唇を奪われた。 
再び入り込み、触れ合わせて。濡れた生暖かい感触に口の中を探られ弄られる度に身体の内部まで、奥までもが暴かれてゆくようで。 
熱……。 
「ぁ……ん、ふ……」 
熱に浮かされたようにぼんやりとしながらも、魅音からのたどたどしいキス。 
ふるっ。 
魅音に舐められ、レナは少し背を振るわせる。その稚拙な動きは、気持ちいい、には程遠いが。 
何よりも魅音が応えて来た事が、レナの心に充足感と渇望をもたらした。 
思わず手に力が篭りそうになり、意識して、柔らかい胸に置くだけに留める。 
……ここで怯えさせては、元も子もない。 

絡みつくレナの濡れた舌を恐る恐る舐め、なんとか動きに合わせようとするが、上手く出来ない。 
とん、とんとん。 
息苦しさにもう限界とばかりに、魅音がレナの肩を軽く叩く。 
「っはぁ、は……レ…ナぁ……」 
魅音自身は恐らく全くの無意識だろうが、その懇願するような甘い声に、ぞくりとレナの脊椎に微弱な電流が走る。 
かぁいいな、魅ぃちゃん……うん、……このままでも、すっごくかぁいいんだけど。 
レナの脳裏に歪んだ思考が、……嗜好が、過ぎる。 
この奥手で可愛い少女を自分の手で、自分色に染めてしまいたい、独り占めしたいと。 

……いつの間にか、魅音の一番近くという自分の立ち位置をあっさりと奪った、圭一や詩音を出し抜いてやりたい、と。 

レナの心の奥底にそっと仕舞っていた微かな黒い感情が、今こうして魅音に名を呼ばれる事で肥大し、表にまであふれ出た。 
あ、……そうだ。 
レナはスカートのポケットを探り、指先に当たったそれを取り出した。 
「魅ぃちゃん」 
薄いビニール包装を開き飴玉を取り出して、どこか放心したように荒く息を吐く魅音の唇に押し付けた。 
「ぁむっ?」 
そしてそれを反対側から咥え、魅音へと押し込んだ。 
……イチゴミルクの甘さ、飴の硬さ。次いで、柔らかく濡れたレナの舌を感じて。 
魅音は何事が起こっているのか理解できず、目を白黒させる。 
「んむっぅ、むー?」 
レナも、今度は簡単には逃がさないように背伸びをして空いた片手を魅音の首に廻し、魅音の中でゆっくりと飴を転がす。 
「ん、んぅーーっ!?」 
漸く事態を把握した魅音が口の中で一際大きく、声を上げる。多分悲鳴だろう。 
「みぃひゃ……ん、こく。……魅ぃちゃん、一緒に食べよ?」 
少しだけ口を離してレナが優しく囁く。言葉を紡ぐ度に唇が唇を掠めて、恥ずかしい。 
「ちょ、……っはぁ……なんか、へ、変態っぽく、ない……!?」 
「でも、……これが分かりやすいと思うな。頑張ろ、ね?……上手に出来れば圭一君、喜ぶよ、きっと」 
かぁああああ。 
「え、あ、あの、いやっその」 
圭一の名前に、途端にうろたえ出す魅音。レナは内心など全く見えない邪気のない笑顔で、魅音の口を塞いだ。
飴のせいか、激しくなったキスのせいか。 
ちゅ、ちゅる、る。 
口の端から水音が漏れて、恥ずかしさでおかしくなりそうだ。 
飴を器用に転がしながら積極的に絡めてくるレナを受け止め、合わせて、流す。 
逆に自分からも逃げた飴を追い、舌を探るように動かして。 
魅音の動きが少し慣れてきた所で、レナは飴を舌に乗せ自分の中へと引き込んだ。 
「……ぁ……」 
戸惑う魅音の唇を舌先で軽くくすぐって、誘導する。 
「………っ」 
その意味を理解し、魅音は意を決して、レナへと舌を差し入れた。 
レナに追いついて触れ、すっかりと小さくなった飴を探して、擦り絡める。 
だが、魅音に出来たのはそこまでだった。 
「……ん、は……はぅ、……」 
軽く噛まれて、吸われて、擦られて、舐められる。 
レナの遠慮のなくなった責めに、魅音はただ、逃げないでいるだけで精一杯だった。 
……気持ちいいかどうかは、よく分からない。ただ……感想を言うなら、すごい、としかいえない。 
こ、これ、本当に、キス……?こんなの、……出来るように……なるのかな……。 
首に廻した手で距離を離させず、胸に置いた手は、そこをゆっくりと……意図を気付かれない程度に、撫でる。 
時折力を込めると、魅音が微かに身体をこわばらせる。 
も、だめ、だめだよ、これ……何が……なんだか…………なんか……レナの手も、熱い、し……。 
もう、抵抗の意思をなくした魅音をチラリと見て、レナが嬉しそうに目を細める。 
「魅ぃちゃん……ん、ちゅ、ちゅ」 
それは、飴がなくなるまで続けられた。 

口を離すと淡い銀糸が互いを繋ぎ、消える。 
レナは口を離して、自分の顎まで伝った雫を手で拭うと、魅音に向かいにっこりと笑った。 
「魅ぃちゃん、魅ぃちゃん?……零れちゃうよ、レナが綺麗にしてあげる……」 
ただ荒く息をつく魅音の桜色の濡れた唇にぞくぞくしながら。 
顎から、唇までを舐め上げる。……甘い。舌が走ると魅音の喉が震えたが、気にせず辿り着いた柔らかい軽く唇を吸って、顔を離した。 
魅音は身体に灯った熱量を持て余し、ぼんやりとレナを見ていた。 
いつものように優しい笑顔なのに、レナの熱を孕んだ瞳にサディスティックな色を感じ。一瞬、本気で目の前の少女が、分からなくなる。 
…………れ、な……レナって……こんな顔、する子だっけ……? 
顎を指で捕らえて、そっと上を向かせて。 
つつー……。 
今度は顎から、鎖骨まで伝った線を辿って下に降りて行く。 
「ひゃ……ぅ……な……なに……っ」 
少しシャツの襟元を押して、鎖骨に軽くキスをした。 
薄く紅く色付いて、レナはうっとりとした表情を浮かべる。 
レナの印。 
お持ち帰りは我慢してあげるけど……今だけは、これが消えるまでは。魅ぃちゃんは、レナのだよ。 

頬を紅く染めた魅音が自分の前に立った時、まさかこんな展開になるとは思いもしなかったが。 
自分とキスして欲しい。 
それが魅音の第一声だった。いきなりで予想外にも程がある言葉にレナは勿論驚いたが。 
真っ赤になりながらも、恥ずかしさを堪えながらも。練習したいと言う魅音に、レナはつい、笑顔で応えてしまった。 
……この奥手な少女がこんな突飛な行動に至った理由はどうせ、……鈍感で、デリカシーのない彼の為だろう。 
そんな事はとっくに分かっていたが、ムッとしてしまう。 
魅音には、周りから空気が読めないと言われる程、ピントのズレた所があるが。元々一生懸命で、何より一途なのだ。 
こんなチャンスはもう、ないかもしれない。魅音から誘って来るなんて。女の子同士でキスなんて。 
魅ぃちゃんにはその気はない。レナにだって、こんな事をしてるけど、本当にその気はない。 
でも、……魅ぃちゃんなら、いやじゃない。……ううん。魅ぃちゃんとなら、いいよ。……大好きだから。 
一番はレナだって、どこかで安心していたのに。あっさりと盗られてから気付いた、自分の気持ち。 

レナは……圭一君ほど、甘くないよ……? 

「魅ぃちゃん。もう一個、食べよっか?」 
レナの柔らかい笑顔と、何でもない事のように告げる言葉に答えられず、ただ、魅音は近付く顔に、荒く息を付くのみだった。 
そして、数日後。 

圭一が手を頬に触れさせると、魅音は少し頬を赤らめて、瞼を降ろした。 
軽いキスの後、……どうしても魅音が苦手がって進めなかった、ディープキスを挑戦して。 
「……ぅ、ん、んん……」 
うわ、……な、なんか、めちゃくちゃ上手くなってる……ッ。 
「お前、……はぁ、はぁ、……な、なんか上手くなってないか……!?」 
圭一の言葉に、魅音が顔を赤らめる。言うかどうしようかを躊躇った後。ぽつりと呟いた。 
「…………そ、そりゃ……練習したもん……」 
ガーーーーーーーーーーーーーン!!! 
圭一は雷に打たれたように硬直して、微動だにしない。 
「……け、圭ちゃん?な、何、どうしたの?おじさん、……なんか変な事言った?!」 
ハッと我に返ると、圭一はもの凄い形相で、魅音の肩を掴んで揺する。 
「れ、練習!?練習ってなんだ!?」 
あああれか、定番のさくらんぼのヘタとかだよな、な!?人間相手などと、恐ろしい想像は口にしたくない。 
「あわあわわ、ちょ、だ、だって…………圭ちゃん、ヘタだヘタだっていうじゃん!…………………それに」 
うっかり余計な事まで言いそうになって、魅音は口を噤んだ。 
「そ、それにって、なんだよ、おい!」 
「…………ぅー」 
魅音は小さく唸り、それきり黙り込んでしまう。 
「魅音ッ!!」 
何だよ、俺よりそいつがいいとか言うのか!? 
「……そ、そういうのしたいって顔してるし、……私だって、…………圭ちゃんに…………よ、喜んで欲しかったし」 
ずぎゅーーーん。 
「………く……っ!」 
相変わらず全くの無自覚のまま、魅音に激しく可愛い事を言われ。圭一は悶えながら、考える。 
ズレてる。やっぱりこいつ、どこかが致命的にズレてる……! 
喜んで欲しいって……そもそも方向性が全くの見当ハズレで大暴投&大暴走だろうが! 
それでも……ただ、俺の為にってのは間違いないんだから、俺はこの憤りをどこにぶつければ……!? 
くそ、くそぉおおお!誰だよ、俺の魅音に色々教えたヤツは!!やっぱり詩音か、詩音だな!? 
普段オヤジくさい事を言いはするが、実は魅音はかなりの奥手で純情なのだ。 
そんなのは付き合う前から、一人の女の子として好きになった頃から分かっていた。 
俺だって経験なんてないけど、恥かしがりやの魅音程、ヘタレてもいない。 
年頃の男相応に興味はあるし何より、こんな可愛い彼女がいたら、積極的にならない方が男としてどうかしてるってもんだぜ! 
内心かなり穏やかでない圭一は、深呼吸して、なんとか平静を保とうとする。 
「……俺の言い方が悪かったのは、謝る。……だからッお前なら、ヘタでも何でも嬉しいんだから!そういう事は今度から俺としろ、馬鹿!!」 
……だからこそ、俺が手取り足取り、じっくりたっぷりと教えたかったのに……!! 
「ぇ、ぁ……ふぇ…………ぅ、ぅん……」 
圭一の内心など知らず、魅音は真っ赤になって、小さく頷いた。 
程なくして、魅音はそれを心底後悔する事になるが、それはまた別の話。 
……はぁ……。 
圭一はもう何度目になるか分からない溜息を付いた。 
あれから詩音を問い詰めてみたが、全く心当たりがないようで、逆に恐ろしい形相で色々と問い詰められてしまった。 
それ以来やたらと俺と魅音が二人でいるのを邪魔してくる。……余計な事を言ったか、くそ。 
今回詩音は関係ないみたいだが、ヤツは要注意だ。普段魅音でからかって遊んでいるくせに。魅音もからかわれて遊ばれてるくせに。 
喧嘩ばかりしているようでも双子だからか、姉妹揃って……実はシスコンなんだよなぁ……。 
「はぁ~……!」 
一際大きな溜息が出た。堂々巡りを繰り返す思考。 
だが詩音以外で思い当たるヤツはいない。まさか男……ってこたぁ、ない……よな!? 
「圭一君どうしたの?元気ないね」 
「……あー……まぁ……」 
レナは曖昧に答える圭一の表情を見て、口を開く。 
「うーん。……すっごく楽しみにして、冷蔵庫に大事に取って時期を見ていたデザートが、気付いたら誰かに食べられてたって顔してるよ?」 
いつもの事ながら、表情から随分と的確に心を読んでくる。なんて複雑かつ、分かりやすい顔をしてるんだ、俺は。 
「……はぁ……まぁ、間違ってねえか……くそ、誰なんだよ~……!!」 
「うん、ごちそうさま☆」 
「へ」 
ぽかんと口を開けた圭一に、レナが不思議そうに首を傾げた。 
「どうしたのかな、かな?」 
「レ、レナ、お前今なんて……ッ!?」 
……まさか。まさか!? 
「はぅ~~レナ、何か言ったかな?かな?知らない、知~らな~い☆」 
あははは、と楽しそうに笑いながらレナはそのまま走って逃げてしまう。圭一はただ、呆然とその背を見送った。 
……灯台下暗し。 
梨花が、そっと魂の抜けかけた圭一の頭に、魂を押し込むように撫でる。 
「みー。かわいそ、かわいそなのです」 
「……はっ、梨花ちゃん……っ」 
我に返って慰められている事にほろりとしそうになるが、次の一言で、そんな気持ちはあっさりと引っ込んだ。 
「魅ぃはへたくそでとてもかぁいいのです。寄り合いの後は、いつもボクがお持ち帰りなのですよ、くすくすくす!」 
ガガーーーーーーーーーーーーーーーーーンン!!!! 
「ま、まさか、まさかまさか梨花ちゃんもかぁああああッ!?」 
圭一はここに来て初めて、敵の多さを知った。 
梨花はいつもと違う表情で、口元を歪めて、ニヤリと嗤う。 

「くすくすくす、圭一。……負け犬は犬小屋へ帰れ」 

dead end. 



……梨花のは勿論ブラフなのですよ、あぅあぅあぅ。 

復元してよろしいですか?