ある一人の男が、教室のど真ん中に立たされていた。 彼はモジモジと体を揺らし、どこか恥ずかしそうにしながら顔をうつむかせている。 その男は、全裸だった。 自宅でならともかく、放課後の教室でなぜ彼が裸で立たされているのか……。 それは彼の目の前に座っている、二人の少女による行いだった。 男の割りにはわりと綺麗な素肌を晒している彼を、まるで美術のデッサンのモデルにでもするかのように、同い年くらいの少女が二人。 イスに座りながら、彼の裸体を見つめていたのだ。 そのうちの一人は、こんな営林所を間借りしたような田舎の学校にふさわしくない、まるでお嬢様学校の制服のようなこ綺麗なブレザーを着こんでいた。 彼女はスカートの中が目の前の男に見えてしまうこともかまわず、足を組み、女王様のように優雅にイスに腰かけていた。 彼女のムッチリとしたふとももが二つ重なり合う様は、男なら誰でも目がいってしまうほどである。 おまけに両腕は胸の前で組まれていて、同年代の少女と比べてもあきらかに平均以上と思われる乳房が大きく形を浮き上がらせていた。 かわってもう一方の少女は、いたって普通のセーラー服。 その水色の清涼感溢れる色が、一見清純そうな彼女の雰囲気をよくかもし出していた。 彼女はもう片方の淫らな座り方をしている少女とは対照的に、スカートの裾など一切乱さない、丁寧な座り方で同様に目の前の男を見つめていた。 いかにも家庭的で、純真そうで……穢れなど一切知らない、少女といえるような容姿だった。 しかしその少女もセーラー服の胸元はしっかりと押しあがっており、イスに座っている臀部は安産型ともいえるような大きな膨らみを帯びていた。 そしてそんな魅惑的な少女二名の前に立っている、一人の少年……。 彼は普段はその威勢の良さと性格からあいまって、口先の魔術師とまで呼ばれるほどの派手な男であるが……。 今この瞬間に至っては、ただビクビクと怯える一匹の子羊であった。 ……無理もない話だろう。 いくら部活の罰ゲームとはいえ、母親以外の女性に裸を見られるなど彼の人生経験の中でこれが初めてだったからだ。 並の男なら逃げ出してもおかしくない状況だが、そこは決められたルールだけはしっかり守るいさぎよい男、前原圭一。 彼は自分の裸体を見つめる少女二人の視線を、なんとか股間だけは手で隠すことでその羞恥に耐えていたのであった。 それを見て、足を組んで座っている少女……園崎詩音が、ようやくその口を開いた。 「ねぇ、圭ちゃん……私は『裸を見せろ』って言ったんですよ? なんですか、その手は?」 そう言ってクイっと首を動かし、圭一の隠している手を非難する。 圭一も詩音の言っていることはもっともだと理解しているが、この手は自身のプライドを守る最後の砦。 たとえ非難されても譲るわけにいかないと、フルフルとその首を振った。 そんな彼を見て、今度は詩音の隣に座っていた少女……竜宮レナが助け舟をだす。 「かわいそうだよぉ、詩ぃちゃん。 圭一くんもがんばって裸になったんだし、これくらいで許してあげたらどうかな……かな?」 「な~に言ってんですか。 そんなの甘々です。 ……お姉ぇの作った部活のルールがどんなものか知りませんが、勝者は敗者に絶対!ってやつなんでしょう?」 「はぅ~。 そ、それはそうだけど~……」 そう言ってレナはチラっと圭一の裸体を見ると、少し顔を赤くしてプイっと目をそらした。 圭一の方も彼女のそのウブな反応に何ともいえないくすぐったさを感じ、激しい羞恥に顔を赤くしていく……。 こんなにも羞恥を浴びている圭一が、なぜさきほどから一言も言葉を発しないのか……。 それは部活の勝者である詩音とレナに、何も喋ってはいけないという制約を課せられているからである。 いくら敗者であるとはいえ、そこは口から生まれてきた男とまで言われる前原圭一。 なんだかんだとゴネて、この罰ゲームを反故(ほご)にしてしまう可能性があると考えた彼女らは、それならまずその口から封じてしまおうと考えたのである。 その考えは功を奏し、見事圭一はただモジモジと体をよじらせるだけの全裸人形と化したのであった。 「ねぇ、圭ちゃん? どうせここまで見られちゃったら、もう一緒ですって。 ほらほら、いさぎよくど~んと見せちゃったらどうですか~? ほ~ら?」 いいかげん諦めろといわんばかりに、詩音は組んでいた足をふたたび組みなおすと圭一の股間のあたりをジーっと凝視しはじめた。 裸の圭一にはそれだけでもまるで中身を見られているような気分になり、なんとかこの痴女を説得してくれないものか……と、レナに助けを求めた。 しかし、彼の助けてと懇願する目にレナは首を振ると……。 「あの……圭一くん? レナもやっぱり罰ゲームだし、いっそ見せちゃった方が楽になると思うな。 詩ぃちゃん、どうしても圭一くんのそこ……見たいみたいだし……」 最後まで唯一自分をかばってくれていたレナにさえ見せてしまえと言われ、圭一は激しく落胆した。 よく考えれば、彼女もこの罰ゲームを考えた人間の一人なのだ。 見逃してもらおうという考えがそもそも甘かったなと感じ、圭一はしかたなく……その股間を覆っていた手を離していった。 「…………………」 手を離した瞬間、圭一は自分の周りの時が止まったような感覚を覚えた。 なんてことはない、その時彼は目をつぶっていたからだ。 だからこの目を開ければ、いやでも受け止めなければならない。 自分の男性器が、目の前の少女二人に凝視されている現実を……。 「…………へぇ~。 これが圭ちゃんの、ですかぁ……ほー」 目を開けると、そこには身を乗り出して自分の性器を見つめている詩音がいた。 彼女はまるで子供がようやく買ってもらったおもちゃを見るように、圭一のソレをすぐ目の前でジロジロと眺めていたのである。 それこそ、息がかかりそうなほど直近で……。 「ふ~ん……♪ へ~、なるほどなるほどぉ~♪(ジロジロジロ)」 自分の性器を刺してくるような詩音の視線に、圭一はおもわずもういちどソレを手で隠そうとしてしまった。 しかしその瞬間、キっと詩音に睨まれると……それもまた出来なくなった。 結局彼はただ立ち尽くし、彼女に一番恥ずかしい場所を視姦され続けるということにジっと耐えるしかなかったのである。 ……その時、圭一はふと思った。 詩音ばかりに気がいっていたが、レナの方は自分のこの痴態をどうみているのだろう、と。 いまだ詩音のグサグサとした視線が股間にきつかったが、圭一は勇気を振り絞り、隣のレナの方に目を向けていった。 「……………………」 そこには自分の男性器をただ静観している……レナがいた。 何も語らず。 ただ黙って。 圭一のペニスを見つめていた。 圭一はてっきり、さきほどの自分の裸を見たときのウブな反応どうり、レナは目を背けているだろうなと思っていた。 男の性器を直視するなど、清純な彼女には到底無理だろうなと……勝手にそう決め付けていた。 しかし、実際にはまったくの逆だった。 もちろん、詩音のように身を乗り出してまでというほどではないが……。 同い年の男のソレが包み隠さずそこにあるというのに、まるで顔を背けることなく、レナの瞳ははっきりと圭一のペニスを見つめていたのである。 そんな彼女を見て、圭一は何ともいえない違和感のようなものを感じていった。 普段あれだけ母性的で純情そうに見えるレナが、男の性器を恥ずかしがることもなく見つめている……? その事実は圭一を激しく困惑させた。 そしてそれに更に追い討ちをかけるように、彼は信じられない『モノ』を見たのである。 「…………………………くすっ……」 レナが笑った………………………いや、嘲笑(あざわら)った。 自分の性器を見ながら、彼女は一瞬だけ、クスっとその口を醜く歪めたのである。 それを見た圭一はすぐさまレナから目線を外し、目をギュっと閉じた。 その現実から目を背けるように。 圭一にとって、竜宮礼奈という少女は天使のような存在といってもけっして大げさではなかった。 いつもなんだかんだ自分に世話を焼いてくれるし、両親が不在の時はわざわざ夕食を作りにまで来てくれるほどの優しい子だ。 一人っきりの男の家に……しかも夜、女が一人で来宅してくるということがどういうことか、圭一はもちろんよくわかっていた。 実際、彼女が台所に立ち料理をするすがたに何度ムラムラきたことか……数え切れないほどである。 だが圭一はそこはグっと我慢し、レナはきっと持ち前の優しさと仲間想いによるもので、けっして深い意味はないと自分に言い聞かせてきたのである。 男のギラギラとした欲望で、彼女の素直で純真な好意(と思っている)を踏みにじるわけにはいかないと……必死に耐えてきたのである。 だからこそ、信じられなかった。 信じたくなかった。 たった今見たあの嘲笑が、まさか同じ竜宮レナによるものだと……信じたくなかったのだ。 百歩譲って、自分のソレが平均以下の情けないものだったとしても、彼女はそんな身体的な特徴を笑うような女の子ではない。 あんなまるで……『そ ん な も の な ん だ ?』とでも言うような、男の粗末なものを馬鹿にする笑いなど……彼女がするはずがない。 だから今のはきっと見間違い。 ただの気のせいだと、圭一は何度も何度も自分に言い聞かせる。 あの優しいレナが、俺を馬鹿にするわけがないと……。 そう頭の中で唱え終えると、圭一はゆっくりと目を開けていった。 するとそこにはあいかわらず自分の性器を見つめる詩音の顔と、いつもどうりの母性的な笑顔を浮かべるレナがいた……。 「お、なんだか圭ちゃん、更に顔が赤くなってきましたね~♪ 普段あれだけ俺のオットセイをぉぉぉ~なんてつっぱねてて、やっぱり実際に見られると恥ずかしくなっちゃったりするんですか~?」 まだ現実感のないボーっとする頭で、圭一は詩音の問いにコクンっと小さくうなずいた。 さきほどのレナのことを抜きにしても、彼にとっての羞恥の宴はまだ続いている。 詩音はあいかわらず自分の性器……というか、ペニスをまじまじと眺めているのだ。 恥ずかしいかと聞かれても、口を閉ざされている自分には首をうなずけるしかできることがない。 ましてや今は、詩音に視られながらある種の劣情のようなものさえ抱いてきてしまっているというのに……。 圭一は自らのオスの醜い感情を、必死に抑えつけた。 「……ねぇ詩ぃちゃん。なんか圭一くんのおちんちん、少しおっきくなってきてないかな?」 その瞬間、レナの言葉に圭一はドキリとした。 たったいま自分が抑えようとした感情を、彼女がストレートに突いてきたからだ。 レナの言葉を聞いた詩音はニヤリっと笑うと、圭一の顔をまっすぐ見つめて言った。 というか、罵った。 「えー、それはありえませんよ~。 だって女の子に見られて勃起させるなんて、ただの変態じゃないですか。 っていうか、ドMのド変態じゃないですか。 いくらスケベな圭ちゃんでも、それはないですよね~?」 まるで赤ちゃんにでも聞くように、詩音はニッコリとした笑顔で圭一に質問した。 その答えを、彼女はもう目の前の光景で知っているというのに……詩音は更に続けた。 「たしかに。 たしかに……ですよ? さっきから私の目の前で、圭ちゃんのおちんちんがヒクヒクしてたってのは知ってますけど。 だからって勃起してるなんて決め付けるのはよくありませんよ~レナさん? そんなの圭ちゃんに失礼ですって~♪」 「う~ん。 でもレナ、さっきから『コレ』。 ず~っと見てたんだけどね? 最初は下を向いてたのに……ほら、いまはこうしてレナ達の方、ピーンって向いてるでしょ? これってやっぱり、圭一くんが興奮しちゃってるからじゃないのかな……かなぁ?」 …………レナの言うとおりであった。 初めは緊張と羞恥から萎んでいた圭一のソレは、詩音の視線とレナのあの嘲笑(圭一は幻だと信じているが)によって少し硬さを増してきているのであった。 圭一は自分がスケベだと自覚していたが、女性に性器を見られて興奮するマゾヒストだとはこの時初めて知った。 そしてもう一つ、悲しい事実があった。 圭一のペニスは半起ちともいえる状態になっても、あいかわらず周りの包皮が竿を覆ったままだったのである。 一匹のオスとして、未熟な証明。 そしてそれこそが、詩音やレナが彼を嘲笑っている原因の一つでもあったのだ……。 「ただでさえ圭一くんの、見にくいのに…………あ、ごめんね? そういう意味じゃないよ? ほら、レナは詩ぃちゃんみたいに近くで見てないから…………うん。あ、ご、ごめんね? とにかく圭一くんの、ほら、やっぱり今もちょっぴりピクピクしてる……これってそういうことじゃないのかなぁ?」 「う~ん、どうでしょうね~。 悟史くんのと形がちがうから、よくわかりませんけど……。 まあ、ここは圭ちゃんに聞くのが一番手っ取り早いでしょう♪ ……で、どうなんです圭ちゃん? 興奮したんですか、してないんですか? それだけ答えていいですよ~♪」 詩音とレナはキャピキャピとお気に入りのスイーツの話でもするかのように会話すると、当の本人の圭一に向かってまたもや残酷な質問を突きつけてきた。 いや、こんなものはもはや質問ではなく……ただの拷問だった。 本人の口から、自分が変態だと公言しろと言っているようなものなのだから……。 「………………しま……した」 震えるようなか細い声で、圭一はたしかにその言葉を口にした。 それはすぐ目の前にいる詩音とレナ以外にはとても聞こえないほど小さなものだったが、それだけで十分だった。 そしてその言葉を聞くと、二人の少女は隠していた牙をジワジワと曝け出していくのであった……。 「へぇ~、そうなんですか。 やっぱり圭ちゃん、興奮してたんですか~」 当然気づいていたことだが、詩音はあらためてその言葉を圭一の口から聞けたことに満足した。 なによりも、その身をフルフルと震わせながら告白する彼のすがたに……ちょっとした劣情を覚えてしまったのも事実であった。 悟史もそうだが、まさか圭一にもこんなに人の加虐心を煽る仕草ができたのかと、彼女は誰にも見えないところでおもわず自分の唇をペロリと舐め上げた。 …………悪いクセが出そうになった。 「そうなんだ……圭一くん、悪い子だね。 レナに見られてきもちよくなっちゃうなんて、ほんとに悪い子……」 詩音がゾクゾクとしたサドっ気を感じている頃……。 隣にいるレナも同じように圭一のことを見つめていた。 はっきりと変態ですと公言したこの男を……。 今、全裸で自分達にイジメてくれと懇願しているこのオス豚を、どううまく料理してやろうかと思案していた。 詩音のように直接的なそれもいいが、それはいまいち自分のスタンスとあっていない気がする。 やはりここはさきほどのようにやんわりと優しくしつつ、かつ、言葉や仕草にチクチクとしたトゲを混ぜていくやり方が自分らしいだろう。 圭一が自分に対して、天使のようなイメージを抱いているのは知っている。 ならばそのイメージを壊さずに。 あくまで優しく、母性的に……彼を私色に染めてやろう。私無しでは生きていけない体にしてやろう……。 レナはクールな頭でそう考えていた。 二人の少女はそれぞれの黒い思惑を終えると、どちらからともなく口を寄せ合い、圭一を更にイジメる算段を進めていった。 そんな彼女らの考えなど到底わからない圭一には、これから自分が何をされるのかただビクビクと体を震わせていくことしかできなかった……。 そして圭一にとっては永遠とも思える時間が過ぎたころ、ようやく話し合いを終えた詩音が口を開いた。 「じゃあ、圭ちゃん。 そのままオナニーして見せてくれますか?」 …………圭一はおもわず、えっ?と声をあげてしまった。 一瞬口を閉ざしていなければいけないことを忘れるほど、詩音のそれは信じられない内容だったからだ。 全裸になって陰部を晒しただけで、これ以上ない羞恥だというのに……。 このうえ自慰行為をしてみろなどと言われれば、圭一でなくともすっとんきょうな声をあげてしまうのは無理もない話である。 「え? じゃないですよ。 つーか何勝手に声出してんですか? ……まあいいですけど。 このまま私達の見ている前で、オナニーして見せろっつったんです♪ できますよね~?」 詩音はとても穏やかな声で、それでいてけっして相手に拒否を認めないニッコリとした顔でささやいた。 その有無を言わさない笑顔が、圭一にはとても恐ろしく感じたが……。 いくら罰ゲームとはいえそれだけは……と、彼はかすかに残っていたプライドを引き絞りフルフルとかぶりを振った。 この罰ゲームが始まってから、初めて圭一が詩音に抵抗した瞬間であった。 「へぇ……断わるっていうんですか? 圭ちゃん……」 圭一の拒否を聞くと、詩音はそれだけを言ってスっと立ち上がった。 そしてゆっくりと圭一の背後に回ると……突然、彼の髪の毛ごとその頭をガシッ!と掴み上げた。 そして彼のすぐ耳元で。 「……優しく言ってりゃあ、つけあがりやがって。 あんたまだわかってないんですか? 自分が! 私とレナさんのただのおもちゃだってことに!」 別人かと思えるほどのドス黒い声で、詩音は圭一の耳元で汚らしく罵った。 おまけに掴んでいた彼の頭を更に引き絞り、髪の毛が全て抜けてしまうんじゃないかというほどグイグイと力を入れていく。 圭一の口から、悲鳴ともいえるあぅーあぅーと情けない声が漏れた。 「こんな皮の被ったなっさけないもんぶら下げてる男が、生意気にもこの園崎詩音に逆らうってんですか? ねぇ、どうなんですか答えてくださいよほらほらほらぁっ!!! ……………………答えろつってんだよこのガキがぁっ!!!」 詩音に更に口汚く罵られていく中で、圭一はバチチチチっといままでに聞いたことのない異音を聞いた。 下のほうで鳴り響いているそれは、なんと圭一の男性器のすぐそばで怒りの声を上げていたのである。 本人に前に一度だけ見せてもらったことがある。 それは彼女が普段から愛用している、黒光りした凶悪なスタンガンであった。 「ほらほらほらぁっ!!! このままあんたの粗末なもんにブチ当ててやりましょうかぁっ? そしたら中身が噴き出てくるかもしれませんねぇ?びゅーびゅー白いものがぁっ!噴水みたいにぃ! そしたらオナるのもナシにしてあげますよぉ~? あはははははははははっっっ!!!」 詩音の口から発せられる恐ろしい言葉を聞くたびに、圭一はうあぁぁぁっと情けない声をあげながら必死に首を振った。 彼が特別悪いわけでもないのに、口からはごめんなさいごめんなさいと何度も何度も謝罪の言葉が溢れ出し、ついにその目からはポロポロと大粒の涙までが流れ出していた。 その泣き顔を見た詩音は、更にドクンドクンと自分の中のサドの血が体中を駆け巡っていくのを感じた。 ただのおどしのつもりだったが、もし本当にコレを圭一のモノに押し付けたなら、一体彼はどんな声で鳴くのだろう……。 そんな邪悪な感情を抑えるのに、多少の自制が必要になった。 「し、詩ぃちゃんストップストップ! 落ち着いてよぉ~。 圭一くん泣いてるから……本気で怖がってるから、もうやめてあげて? ね?」 レナの言葉を聞き、詩音はハっと我に返った。 そうして圭一を掴んでいた手が緩むと、彼は本気で助けを求めるようにレナに抱きついていった。 彼女の胸元に顔を埋めた途端、圭一はまるで子供が泣きつくようにわんわんと泣き出した。 「うんうん。 怖かったね? もうだいじょうぶだよ、圭一くん。 怖いお姉さんはもういないから、レナが守ってあげるからね……」 母性的な笑みを浮かべ、レナは自分の胸で怯える圭一の頭をよしよしと撫でてやっていた。 もちろん、これは彼女達にとっての予定調和。 詩音が脅し、レナが慰めるという、あまりにもわかりやすすぎるアメとムチだが……一つだけ妙なことがあった。 ふと詩音が手元にもっているスタンガンを見ると、その電力を表すメモリが最大にセットされていたのである。 自分は初め、たしかに最小にセットしたはず……。 脅しとはいえ、もし本当に圭一のアソコに触れたら冗談ではすまされないと思っていたから。 ならば一体なぜ、メモリが最大に『変えられている』のか……。 詩音はレナが圭一を慰めるさまを見ながら、どっちが怖いお姉さんだか……と心の中で呟いていた。 「ほら、もう泣かないで圭一くん? 詩ぃちゃんもちょっとやりすぎただけだから……ね? ね?そうだよね? ほら、やりすぎてゴメンねって言ってる。 だから泣かないで? はぅ~、圭一くんが泣いてるとレナも悲しいよぉ~。 ほらほら笑って? あはははは♪」 レナに何度も何度も優しく涙を拭かれ、圭一は段々と落ち着きを取り戻しているようだった。 詩音の目から見ても、それは見事としかいえない慰め方に見えた。 そのふくよかなセーラー服の胸元に顔をうずめさせ、頭をナデナデと撫でながら、最後には一緒に笑おうと相手を笑顔にさせる。 こんなことをされたら、大抵の男はイチコロだろう。 こんなにも優しい女神のような笑みを浮かべられる彼女が、あんな恐ろしいことをやってのけるのだから……自分のドSのレベルもまだまだだなと詩音は考えさせられた。 …………絶対、敵に回したくないタイプだ。 そんな詩音の考えを知ってか知らずか、レナは圭一を堕とす最後の仕上げに入っていくのだった。 「……もう、落ち着いた? うん♪それじゃあレナのお話、ちょっとだけ聞いてくれるかな?」 レナは抱きしめたままの圭一の顔を見ると、彼の瞳をまっすぐ見つめながら言った。 「あのね、圭一くん。 詩ぃちゃんが言った……そ、その、オ、オナニーっていうの? レ、レナはよく知らないんだけど、圭一くんのためにはどうしてもそれが必要みたいなの。 いちおう今はまだ罰ゲーム中だし、やっぱり女の子に見られておっきくなっちゃう変態さんには、それなりのオシオキがいるんじゃないかなって……レナ思うんだ?」 レナはその長い長い言葉の合間に、何度も何度も圭一の頭を撫でたり、ごめんねっと圭一を気遣うような細かい仕草を見せる。 詩音はそれを見て、ああ、やっぱりうまいな……と関心した。 実際圭一はもうすっかり怯える仕草をやめ、レナのその愛撫ともいえる毒に染められている。 この男が堕ちるのも時間の問題だった。 「それでね?圭一くん。 ほんとに、す~っごく恥ずかしいことだと思うんだけど……ね? がんばって詩ぃちゃんの言うとおり、オ、オナニーっていうの? お、おちんちんを、その、て、手で擦るやつ……。 レ、レナ達の前で、シてみせてくれないかなぁ? ね……♪」 最後にクイっと首を傾げながら、レナはお願いとばかりにチュっと圭一のおでこにキスをした。 唇やほっぺではなく、おでこにというのがいかにも彼女らしいなと詩音は感じた。 それが最後のとどめになったのか、圭一はレナのその言葉にコクンと頷いていた。 冷静に考えれば、同い年の少女二人の前で自慰をするという異常な行為を……彼自身がしてもいいと納得してしまったのである。 いや、させられてしまったというべきか。 とにもかくにも圭一はようやくレナの胸から離れると、元の位置に立った。 そしてレナの体やささやきに興奮したのか……いつのまにかビンビンに反り返っているペニスをギュっと握り締めた……。 「がんばって圭一く~ん♪ レナがちゃ~んと、見ててあげるからね~♪」 レナの言葉に励まされながら、圭一はゆっくりとその手を前後に動かしていった……。&counter()