atwiki-logo
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • このページの操作履歴
    • このウィキのページ操作履歴
  • ページ一覧
    • ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このウィキの更新情報RSS
    • このウィキ新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡(不具合、障害など)
ページ検索 メニュー
白鴉城、設定街区
  • 広告なしオファー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
広告非表示(β版)
ページ一覧
白鴉城、設定街区
  • 広告なしオファー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
白鴉城、設定街区
広告非表示 広告非表示(β)版 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー
  • 新規作成
  • 編集する
  • 登録/ログイン
  • 管理メニュー
管理メニュー
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • このページの操作履歴
    • このウィキのページ操作履歴
  • ページ一覧
    • このウィキの全ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ一覧(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このwikiの更新情報RSS
    • このwikiの新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡する(不具合、障害など)
  • atwiki
  • 白鴉城、設定街区
  • 臥城

白鴉城、設定街区

臥城

最終更新:2020年11月11日 21:25

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
己が強さを示すため、強者との戦いを望む戦闘マニア。

白鴉城に集う強者の噂を耳にし、この地を訪れた。
しかし、臥城が興味を引かれる(と思われる)ような強者は皆、小綺麗な上層に引きこもり日夜研究に明け暮れているという実態に失望。
日々ぷらぷらしている。

とはいえ、闇雲にに暴れようと思うほど破滅願望持ちでもないため、機を待つため僻地へ潜伏を試みている。



臥煙明城の日常

「どうしてそうなった………。」
予鈴30分前。

臥煙と名札のかかった下駄箱の中に見える、大量の便箋と封筒の山から目を離し空を仰ぐ。
隠れているつもりなのだろうが、あちらこちらから自分に寄せられている視線にこもる熱が、目の前のモノが果たし状やその類でないことを伝えてくる。


そもそもの話、臥煙明城、いや『臥城』は学生でない以前に女ですらない。
故に、紫香楽への潜入に際しては臨時の職員としての立場が用意されるものと臥城は考えてはいたが、現実は非情であった。

「あんた、存外可愛い顔してるじゃないのさ」

流れ鴉の鶴の一声、そして魔改造じみた変装術により臥城は『臥煙明城』となり、上層へと足を踏み入れることとなった。
初めのうちは憔悴ぎみだった臥城も徐々に開き直り、潜入任務は無事果たされた。
しかし、そこで共闘した透石という少年が、女学院の真実を生徒たちへ知らせるべきだと意を示し臥煙はそれに付き合うことにしたのだった。

臥城としては合理的な理由も義理も無ければ、女装とおさらばしたくもあったのだが。
──この愚直で揶揄いがいのある少年を、臥煙はひどく気に入ってしまったのだ。


そして、冒頭。
姫宮霞との死闘の翌日。

下駄箱に詰められた大量の恋文と、臥煙は対峙していた。
「どうしてこうなるんだ……?」
軽い目眩を覚えながら、小さく呟く。

臥煙は知る由もないが、それまでの紫香楽における理想像とはまるで対極の振る舞いをしていた臥煙の姿は、紫香楽という温室育ちのお嬢様からすれば刺激的で危険な魅力を醸していた。
そこへ当代の白かんなから一目置かれているだの、危険そうなヤンキー男子を可愛がる包容力だのの要素が加わることで、臥煙を取り巻く噂話は自然と混沌としていった。
その結果として考えれば無理もない話ではあるのだが、それで当人が納得するかはまた別の話である。

当惑する臥煙と、それをじっと観察する数多の視線。数瞬の膠着を破ったのは、一人の女生徒だった。
「臥煙さん、だったよね。」
背中からかけられた声に振り向くと、実に珍しいことに臥煙の知っている顔がそこにはあった。

来栖 真琴。
自分と礫の潜入したクラスの一人で、先だってのゴタゴタの後、礫と共通の友人(椿だかあやめだか、花の名前だったような気がする。)の行方を探すために接触を図り、見事礫とのフラグを立てていたのを臥煙は知っている。
だが、臥煙との接点はほぼ皆無であり、態々名指しで朝早くに声をかけられるような仲でも無ければ、やけに殺気立った表情を向けられることなどない、はずだった。

「ちょっと、顔貸してもらえるかな。」
低く、感情を押し殺したような声。
臥煙が口を開くよりも早く、真琴はその手を取ってズルズルと引きずりながら進み出す。

下駄箱と真琴。
二つの懸案事項の処理が追いつかぬまま臥煙はされるがまま引きずられて行き、後に残された野次馬たちは一瞬互いに顔を見合わせ、今見たままを広めるべく学園中へと散って行った。



真琴が歩みを止めたのは、学園の校舎裏に位置する場所だった。
辺りをジワリとした湿り気が漂い、隅には苔むした祠がしつらえてあった。
祠の扉はだらしなく半開きになっており、扉のすぐ下には長らく封印を守ってきたであろう錆び付いた南京錠が転がっていた。

「これ、あなたがやったんじゃないの?」
真琴は臥煙に背を向けたまま、臥煙へ問いを投げかけた。
「はぁ?この汚い祠を俺が?なんでまた」
突然ぶつけられた疑いに、自然と臥煙の言葉にも怒りの色が籠る。
「先日学園に賊が侵入しました。」
淡々と、肩に真新しく乗る風紀委員の腕章をたなびかせ、真琴は語り始める。
「賊の狙いは古い文献でした。文献には被害はありませんでしたが、校舎裏の祠が荒らされ中に収められていた守り刀が奪われました。」
「賊には逃げられてしまいましたが、手傷は負わせています。肩口に、毒針。それは──、」
「それは、同じ箇所に傷を負っていているあなたが疑わしいと考えるのが自然だ。とお前はそう言いたいわけだな。」
言葉尻を奪われた真琴が振り向くと、臥煙は咥えた煙草に火を灯すところだった。
紫煙を燻らせながら、臥煙は続ける。
「生憎と、これは昨日『白かんな』とやりあった時のものだし、俺の目的は文献だの刀なぞではない。大体、荒らすだけ荒らした後戻る必要が下手人にあると思うか?」
「そんな言い分を通せと?目的なんて当人が一番よくわかっているでしょう。戻る意味がないなんて誰にも言えない。第一問題はそこじゃない。」真琴は言葉を切ると、打ち捨てられた南京錠を手にとった。
「幾重にもかけられた呪錠を解錠できるのは、その辺のチンピラにできることじゃない。白かんなを下すほどの実力でもない限り。」
ゆっくりと、真琴は臥煙との距離を詰める。
「賊は女性、歳の頃は私と同程度。そして貴方たちの中で女性は貴方だけ。」
「ほうほう、そりゃ随分な名推理だことで。」
怒気をはらんだ威圧をまるで意に介さず、飄々と臥煙は流す。
「巫山戯ないで、いい加減真面目に話をしたらどうなの」
「巫山戯てるのは初めからだろうよ……ったく。」と、面倒くさそうに向き直ると臥城はその姿を現した。

「で?女性がなんだって?」
突然頭一つ分高いところから言葉を投げかけられ、真琴は目を白黒させている。
「えっ……、あの、あれぇ?」
「わけがわからんでも無理はないさ。流れ鴉とか言う化け物に酷い仕込みをされた結果だ。」
脇へ一息吐くと、臥城は言葉を続けた。
「お前、何をそこまでムキになってるんだ?」
「……ムキに?何的外れなことを言ってんのよ、私は自分の職務を果たすためにこうして!」
一瞬間が空いて、真琴は噛みつくようにまくし立てる。
「喋り方崩れてんぞ、そうギャーギャー返すな喧しい。俺が言いたいのは誰のためにお前はそんなに怒ってんだって話だ。」
真琴はしばらく口をパクパクさせると、大きなため息とともに白旗をあげるようにお手上げといったそぶりを見せた。

「敵わないわ、ホント。そのそぶりだと本当に関係ないのかぁ……。ごめんなさい、臥煙さん?」
「臥城。字名だ。」
「そ、ごめんなさい臥城さん。」
「見た所、姿くらませたとか言う、えーっと……つばきだかあやめだか……。」
「さくら!九重桜!私の親友!」
「あー、そうだそれだ。」
「変なとこ抜けてるのね………。そう、ここは桜にとって大切な場所。霞お姉様との、ね」
気が抜けたのか、素の喋りになって真琴は語り始めた。
崇拝する霞、その『妹』の桜、二人が待ち合わせに使っていたこの場所のことを。

「その場所を、居ない間に荒らされてたってのはあんまりだと思ってね。先走ったことをしちゃったわ。改めて、ごめんなさい。」
「何があったわけでなし、別に構わん。……白かんなと深い関係にあったその桜ってのが行方をくらませてるのか、流れに伝えとくかね。」
真琴の謝罪をさして気にすることなく流し、臥煙は受けた情報を精査していた。
結局のところ『白かんな』について核心的な情報をつかめたわけではない。だが、それを長く生活をともにして居た九重桜が、『何か』を知ってしまって姿を消した可能性は十分高い。
「俺も傍観してる場合でもない、かもな。」
「何ぶつぶついってるの?というか、そろそろ朝礼だけどどうすんのあんた?」
真琴は臥城のなりを指していう。至極当然である。
「ん?あぁ、それは………」
風が吹いて真琴の視界を奪ったかと思うと、目の前で臥煙が煙草の始末をしている様が映し出されていた。
「え……、何それ……。」
「俺にもわからん。」
「っていうか!男が紫香楽にいるとか大問題なんですけど!」
「礫に言ってやれよそれは」
「むぐ………。」

二人の女生徒が姦しく校舎裏を去ってゆく。
そよ風が祠の扉をきいきいと揺らし、あたりはまた静寂に包まれる。

いつかまた、この地を憩いとする少女たちの帰りを待つように。


In The Blue Shirt/Cluster A

臥城 過去



十年前、早春。

まだ冬の空が残る下で、周囲の現代家屋から取り残されたような古めかしい道場で稽古が行われていた。
木刀を青眼に構えて立ちはだかる巌のような巨漢の前に、荒い息を吐きながら膝をつく少年の姿があった。
「さっさと立たんか、颯太。」
「……はい、師範。」
颯太少年は地鳴りのような低い声に応えようと、木刀を杖代わりに立ち上がろうとするが、すぐさま木刀を払われ無様に床板に這いつくばった。
「たわけ、そのような所作が忍びの領域で許されるわけがなかろう!」
上から降ってくる一喝に反応することすらままならない少年の様を見ると、師範と呼ばれた男は深いため息をつくと踵を返した。
「今日はこれまでとする、片付けをしておけ。」
少年へ深い失望の意を隠そうともせずに巨漢は言葉を吐き捨て、道場には少年だけが残された。

鞍馬神流が一つ、無我専心流の在原家次期当主。在原颯太。
それが床板に這いつくばる少年の肩書であった。


道場の片付けを終え、簡単な朝食を摂りながら颯太は学校へと向かう。
朝稽古で師範──父である黄蓮から受けたしごきで全身が悲鳴を上げているが、どだい学校での生活に問題はさしてない。
鞍馬の末席を汚すものである以上、忍びとしての身体能力を彼は備えている。たとえ落ちこぼれであっても。
颯太が物心ついた頃にはすでに母はなく、無骨で厳格な父のもとで鍛錬ばかりの十五年を送り続けていた。
だが、父の求めるような成果は未だ出せたことはなく、そして悲しいかな颯太には父の言う『強さを勝ち得よ』という教えが腑に落ちてはいなかった。
何に勝てと言うのか、闇雲に他者を下すことに意味があるのか。
得心のいかない教えを押し付けられることは苦痛でしかない。だが、それを跳ね除けられるものでもない。
そんな鬱屈を抱えながら、隠れ蓑としての学園生活を過ごす。
住む世界が違う者たちと交流をするつもりもなく、忍びとして誰の記憶にもの残らぬよう凡庸な人物を演じるだけのひと時。

だが、放課後、旧校舎の一室でのみそれは違うものとなる。

「今日もきたのか、少年。」
扉の上、外れかかった札に書かれた”文芸研究会”のかすれた文字がぶら下がる一室で、今日も彼女はそこにいた。
窓枠に寄りかかるようにして黒髪を風に揺らし、片手の文庫本に目を走らせたまま、言葉を颯太へ向ける。それだけならば実に絵になる様だ。
「また煙草ですか。いい加減バレますよ朝子さん。」
そう、彼女は煙草を燻らせながら読書に興じている。

風波朝子。
三年の上級生で、ひっそりと活動する文芸研究会会長にして唯一の会員。
校内で噂になるような振る舞いはしていない様子だが、見ての通りの非行少女だ。

担任から旧校舎への資料運びを颯太が押し付けられた時、うっかり文学研究会の部室に迷い込んだのをきっかけに放課後になると足繁くここに通うようになっていた。
朝子も朝子で別段来るものを拒まず、時たま雑談したりはするものの、付かず離れずの不思議な空間はかれこれ半年ほど続いていた。

もう毎度のことだが、颯太が部屋へと近づいてくる床板のきしみを聞いてもなお一切悪びれない彼女の様は、豪胆というより若干の白痴を疑うべきなのだろうかと颯太が思案していると、煙草を灰皿がわりの硯に押し付け朝子が颯太のほうへと歩み寄ってきた。

「君もずいぶんな物好きだな。じきに飽きて来なくなると踏んでいたが、そんなにここが気に入ったなら『入会させてください』の一言も言わんのか?」
煙の中にほのかな甘いバニラの香りを漂わせながら、呆れたような声を上げる。

「いえ、お構いなく。確かに気に入りはしましたが、この場所にはそこまでの思い入れはないですし、朝子さんの喫煙の共犯を被りたくはないので。」
だが、颯太は怯むことなくサバサバと言葉を返す。
「お前な、叩き出すぞ。」
「それなら、その足で職員室なり火災報知器に寄ることにします。」
「………。好きにしろ。」
謎めいた先輩女子は舌戦に長けているものだが、その才は彼女にはなかったようだ。朝子はすごすごと定位置の窓際に戻り、新しい煙草を取り出す。
それを認めると、颯太も文庫本を取り出し部屋にはページをめくる音と幽かに燃え落ちる灰の音だけが残る。

──後になってこの時のことを思い返したなら、颯太にとってここでの一時は、かけがえのない居場所だったのだと少年は気付いただろう。
家にも、学校にも居場所を見出せない、孤独な彼にとっての拠り所だったのだと。

「なぁ、少年。名前はなんと言ったか」
沈黙を破ったのは朝子だった。
「在原颯太ですけど、それが何か?」
「いや……」
咥えていた煙草を右手に預けると、深く紫煙を窓の外へと吐き出す。
「ただ、聞いてみただけだ。」
朝子は窓へ顔を向けたままそれ以上口を開くことはなく、これが文学研究会で交わされた最後の会話になった。



翌朝、まだ夜も明けきらぬ頃。
日課である朝稽古へ颯太が道場へ向かうと、扉の前で異変に気付く。
──血の匂い。
とっさに扉を開くと、そこは血の海と化していた。
薄暗く地平から昇り出した朝日に照らされ、赤黒く染まった板張りに倒れ伏す影と、それを見下ろす影が颯太の目に入る。
薄暗く、顔までは見えないが華奢なその影は、明らかに父の人影ではない──。
そう判断するが早いか颯太は手にしていた木刀を影へと振り下ろしていた。
影はこともなげに木刀の一撃を躱し、勢いそのままに颯太を蹴り飛ばす。
受け身もままならぬまま颯太は壁へと叩きつけられ、一瞬息が止まる。衝撃で木刀はどこかに吹き飛んでしまった。
その一撃で、相手との実力の差を痛感する。もとより、父も下された今勝機は蜘蛛の糸ほどもない。
だが、相手が強かろうともその胸は『死にたくない』という生存への渇望で埋め尽くされていた。
よろめきながら立ち上がろうとすると、手に触れるものがある。
それは、物言わぬ骸と化した父の手からこぼれた家宝、”九字切り実光”がそこにはあった。

刻々と朝日が夜を侵食してゆく。
実光抜きはなち青眼に構える颯太、対峙する影は暗がりで前傾姿勢をとる。
睨み合った時間は3秒にも満たず、だがその僅かな数瞬によって勝敗はこの一合で決することとなる。
影が仕掛けた瞬間、地平より顔を出した日光は颯太の構えた刀身を足がかりにその目を焼いた。
狙いは外れ、颯太の頭蓋を突き刺すはずであった影の繰り出した爪は右目を引っ掛けるにとどまり、そこに生じた隙に颯太が刃を突き入れたのは、もはや必然の成り行きであった。

そして、その勝敗を焼けた一筋の光は、影の正体をも暴き出していた。

「朝子……さん……。なん、で。」
暖かな鮮血が颯太の両手を濡らす。深々と突き刺さった刃は風波朝子の胸の中心を貫き、ゆっくりと朝子は颯太へしなだれかかっていた。
「仕事、だよ。在原の家の、家宝を奪ってこいって」
血の泡をこぼしながら朝子は声を絞り出す。
「苗字同じなだけで、君んとこじゃなけりゃいいなって、思ってたけど、やっぱり当たってたか、はは。」
力なく笑みをこぼすも、その顔はもう白くなっていた。
「君のことは、嫌いじゃなかったから、さ。余計に、ね。」
そこから先は、朝子の言葉はあまりにか細く、颯太はもう聞き取ることができなった。

裏庭に二人の骸を埋めると、颯太は九字切り実光を携え姿を消した。
「自分が朝子よりも強ければ、殺さずに止められた。」
そう言った意味では、父の『強さを勝ち得よ』という教えは正しかったのだろうと。今更のように理解をしながら。
そして、強者との死線を自らの力でくぐり抜けた時に感じた、えも言われぬ快感を彼は追い始める。

名も捨て、技も捨て、自分というものが築きあげたもので、果たしてどこまで強さを証明できるのか。
その答えを探し求めて。


不思議と、涙は溢れなかった。
この瞬間も、そしてこの先にも。


──十年後。

繁華街近くの大通りを一本入った裏路地。
薄暗く人通りもないこの道で青年が三人の男に囲まれていた。
二、三気色ばんだ言葉が交わされたのち乱闘が、いや、蹂躙が展開された。

「名うての喧嘩屋、と聞いてたんだが。蓋を開けてみりゃ仲間頼りの腰抜けたァな。」
気絶して動かない巨漢に腰掛け、青年は煙草に火をつける。
ほう、と青年が一服していると暗がりから乾いた拍手を響かせながら男が一人近づいてゆく。
「いや、お兄さん。通りがかりに見物させてもらったけど強いっスねぇ!」
あけすけに調子のいい物言いに、青年は警戒心をあらわにする。
「なんだ貴様。」
「別に怪しいもんじゃないっスよ、ただの商人。流れ者っスけど」
男は涼しい顔で青年が発する殺気を受け流す。
「あそこまでささーっと畳んじゃってるのを見るとね、この辺の連中じゃ相手にならないだろうし、そもそもお兄さんが強いやつのいるとこを探してるんじゃないかと。」
「なんだ、商人は商人でも情報屋か?」
「うちはなんでも揃うっスよ。」
少し間があって青年は目を細めながら口を開いた。
「どの道、そろそろ情報を買いに行こうとは思っていた。買おう、どこだそれは」
「白鴉城、ってのは聞いたことありますかね?──」

五分ほどで「商談」は終わり、別れ際商人は背を向ける青年へ一つ問いを投げかけた。
「お兄さん、名前を聞かせてもらってもいいっスかね?」

青年は振り返りながら、答える。

──なぁ、少年。詩集は読まないか?私はこの詩人が好きなんだが──

「臥城。字名だ。」

そして、颯太だったものは混沌渦巻く白鴉城へと足を踏み入れることとなる。

修羅の芽吹きを胸に秘めたまま。


カンザキイオリ/君の神様になりたい

鴉の羽搏き

紫香楽女学院へ潜入してから、もう一瞬間が経つ。
この十年、ただひたすらに誰とも迎合せず強さだけを求めて生きてきた。

だが、強大すぎる相手を前にして背中を預けるのも悪くないと。
からかいがいのある少年をいじるのも、ガキどもの背中を見守るようなそんな平穏がひどく心地よいと。

──そう、思ってしまった。

「臥煙、いや臥城さんってどうして煙草吸い始めたんですか?」
傍らの真琴が尋ねてくる。
「別になんだっていいだろ」
「憧れの人の真似とかだったり?」
途端、臥城の眉間に深いシワが刻まれひどく嫌そうな表情になるが、それに構うことなく真琴は言葉を続ける。
「実は私も臥城さんがかっこいいなーなんて思って階段街区で買ってきちゃってたり……。じゃん!」
照れ臭そうに話す真琴の手には、白い煙草の箱。
それを目にした臥城の目が細められる。懐かしそうに、眩しそうに。


過去は誰にも覆せない。
過去を償うつもりは毛頭ないが、それを無かったことにしてはならない。
今の自分のザマはなんだ?
何もかも忘れたようにぬるま湯に浸かって、俺自身の強さではないもので妥協する?

──巫山戯るな。
奇しくも、それは最後に彼が単身で戦った直後の感情と同一のものだった。

おもむろに臥城は真琴の手から煙草の箱を奪い取る。
「あ!なにすんのさ!かーえーせー!」
ぴょんぴょん跳び付いて真琴は臥城から奪い返そうとするが、まるで届かない。
「こんなものはやめとけ、早死にするだけだ。」
「自分が吸ってるのはなんなのさー!」
実力行使を諦めた真琴がうらめしそうに睨め上げる。
「──死にたいのかもしれんな、俺は。」
「え?」
唐突に返された臥城の真剣な声色に、思わず真琴は聞き返してしまうが、それを意に介さず臥城は続ける。

「礫にもよろしく伝えておいてくれ。『達者でな』と」
「よくわかんないんですけど!」

真琴が抗議の声をあげた時には、もうそこに彼はいなかった。

「なんなのよ……、もうこれが最後みたいに……。」
辺りに漂う、僅かな煙の匂いだけが臥城が先までそこにいたことを主張していた。

彼岸へ、手向ける


白鴉城、居住街区。
混沌とした住居の隙間を縫うと辿り着く空き地に、満身創痍の鴉が二人。
黒金の大鴉との決戦を終えた”臥城”在原颯太と”流れ鴉”風波夕暮は、傷だらけの体を引きずるようにして相対していた。
互いの因縁に一つのケジメをつけるために。


思いつめた表情を浮かべる颯太は意を決したように口を開こうとしたが、夕暮はそれを指を立てて静止する。
「まぁ、そう急くな。颯太。まずは私から話させておくれよ。」
だが、颯太は止まらなかった。
「俺は、十年前に風波朝子をこの手で殺めた!」
制止を振り切るように吐き出された怒声は、歪に連なる壁面を反響してゆく。

「黒金の手引きは関係ない。俺は貴女にとって一族の仇だ。」
「だから、私が何らかの処断をあんたに下すのが筋だと?」
どこか覚悟を決めた颯太の双眸を見つめ、眼を細めると夕暮はため息交じりに言葉を返す。
「……、人の言うことをきかないところは本当バカ娘に似ちまったようだね。」
不意に夕暮の口からこぼれた言葉に、颯太の脳裏に疑問符が飛び交う。
「若造はせっかちでいけないねぇ。いいかい、私が話すことはちゃんとあんたのことにもつながる。ひとまず黙って話を聞きなさいな。」

そして、夕暮は視線をどこか遠く、懐かしむような、憂うような表情を浮かべて刻み煙草に火をつける。
「ここが白鴉城と呼ばれる前、白亜の地にあった二つの退魔の家の話だ。」
夕暮は煙管から立ち上る煙を燻らせながら語り始めた。

およそ百年を遡る頃、自分が在原と並ぶ退魔の家、風波に生を受けたこと。
自分の娘が、在原の男と九字切り実光を持ち出して駆け落ちしたこと。
そして、風の噂で娘が男と離縁したとの噂を聞いた頃、白鴉城が”真に深き闇”に閉ざされ外界と隔絶されたこと。

そして──
「つまり風波朝子は、お前の──」
「従姉妹だった。そういうことか、ひい婆様。」
夕暮の言葉を引き継ぎ、結論を口にした颯太の表情は窺い知れない。ただ、その感情の籠らない声が冷え切る胸中を表していた。
「初めから、全部承知の上だったのか。」颯太の声が僅かに震える。
「あぁ。でなきゃ可愛い曾孫の危機に二度も間に合うものかね。」淡々と答える夕暮は、ふうと細く白煙を吐く。
「だから私は、お前が望むような答えを持たないんだ。颯太。」
その眼差しに、哀れみを滲ませながら。

しばしの間があって、颯太が口を開く。
「通りで、重なって見えるわけだ。」
誰に向けるわけでなく、独り言ちると左手に携えた刀を夕暮の前へと掲げる。
「それで、貴女は俺にこれをどう使わせたい?」
夕暮はニヤリと笑い、煙管の灰を傍の飛び出した梁に打ち付け、小気味いい音を立てながら落とす。
「さっさと前を向く男は、嫌いじゃないよ。」
夕暮は愉快そうにカラカラと笑うと、刀──九字切り実光のいわれを語り始めた。
「そいつは”闇”に深い縁があってね。なにせ、その契機になった事件で当時の在原の当主が腰に帯びていたって話だ。当然、鞘とともにね。」
「鞘?」至極当然のことを言う夕暮へ、颯太は思わず疑問の声を上げる。
「あぁ、鞘も”闇”の一部が宿ってはいたんだが、収めるべき刀が失われたことでただのガラクタ同然だったのさ。どういう仕組みかまでは知らないが、それは”闇”を帯びたときの状態を再現してようやく意味を成すのさ。」
「だから、黒金は刀を揃えようと動いていた、と。」
「そう言うことだ。手にしたそれで『殻』を破ることを織り込み済みで、ね。」
そこで夕暮は意地の悪い笑みを浮かべる。
「だが、奴は実光に拒まれることまでは計算に入ってなかったみたいだ。」
颯太のうつむきがちな双眸を見据え、夕暮は続ける。
「真の権能を取り戻したそいつを使えるのは、在原と風波の裔であるあんただけだと私は思ってる。それは、あんたがここに導かれた意味だとね。」
夕暮のいつになく真剣な声色に対し、颯太の答えは、

「話はわかった。だが、俺はこいつを使えない。」

夕暮の期待と反するものだった。
夕暮れが言葉を挟む間も無く、颯太は続ける。
「俺の一存とかそう言う話じゃないんだ。これを振るうには俺はまだ足りない。でなきゃああも遅れを取るはずはない。そうだろ?」
事実、朝子を幻視していなければ、夕暮があと一歩間に合わなければ、自分はここにいなかった。
そんな自分が手に余る業物を手にしたところで、結果は変わらない。

語らずとも、その胸中は夕暮に伝わっていた。

「………、そうかい。」
「あぁ。」
「なら仕方ないね。でもまぁ、アンタがここに足を踏み入れてからの成長が眼を見張るものだってのもホントの話だ。それを腰に帯びる日がそう遠くないと思っておくよ。」
やれやれといった風に首を振り、夕暮は背を向ける。
その背中を、颯太は見えなくなるまで見送っていた。

『誰か』が重なって見えることは、もうなかった。
その夜。颯太は夢を見た。

幼い自分が両親に連れられていった祖母の家で、一つ上の少女と出会う。
毎年顔をあわせる中でだんだんと二人の距離は近づいてゆき、そして──。

──目が覚める。
冷たい感覚に目元を触ると、目尻が濡れていた。

あぁ、僕は風波朝子のことが好きだったのだと。
それがとても悲しいのだと。

そこにはもう、臥城と言う男はもう無く。
在原颯太は、亡き想い人を悼みようやく涙を流した。
いや、流せたのだろうか。

十年越しの涙で濡れた地面のそばには、一輪の曼珠沙華。



曼珠沙華の花言葉

悲しい思い出
独立
『想うのは、あなた一人』

九字切り


九字切り/臨命終時
クリティカルヒット/断ち/射程低下

九字切り実光、極意の壱。

壱にして致命の一撃。
然れども是差しむけるは尽く人ならざるもの。

一度で死ねばそれでよし。それで死なぬが常であるのは、在原の家の定めとなれば。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
タグの更新に失敗しました
エラーが発生しました。ページを更新してください。
ページを更新
「臥城」をウィキ内検索
LINE
シェア
Tweet
白鴉城、設定街区
記事メニュー

メニュー

  • トップページ
  • プラグイン紹介
  • メニュー
  • 右メニュー

概要

  • 白鴉の城、黒闇の果て
  • 闇と闇背負い

エリア設定

  • 白鴉城
  • 階段街区
  • 居住街区
  • 上層
  • 観測塔
  • 外郭
  • 裏街区
  • 中空庭
  • [白鴉の社]
  • 旧街区
  • 実験区画
  • 最下層
  • 孔の底

アクセス権

  • アクセス権

組織・人物設定

  • 鴉
  • 斜歯車
  • 流れ鴉
  • 鍍金の大鴉
  • 私立白亜学院
  • 第十三校舎管理委員会-天文部
  • 紫香楽女学院
  • 黒夜教
  • かつての絡繰羽(公開用)
  • 夜御使、白夜
  • その他NPC(公開用)

イベント設定

  • 旧区封鎖事件
  • 刻封獄事件
  • 新月の儀式
  • 再演:第一「始まりの四人」

GM、PL用

  • GM用
  • PCメモ
  • イナスファくん用
  • 松露くん用
  • haratomo用
  • ninnzinnsann用
  • セッションログ
  • リプレイ
  • キャンペーンを終えて



リンク

  • @wiki
  • @wikiご利用ガイド




ここを編集
記事メニュー2

更新履歴

取得中です。


ここを編集
人気記事ランキング
  1. 白兎(非公開)
  2. 第三回
  3. 臥城
  4. 松露くん用
もっと見る
最近更新されたページ
  • 995日前

    松露くん用メモ欄
  • 1017日前

    青ニート
  • 1017日前

    キャンペーンを終えて
  • 1517日前

    メモ帳から拾った
  • 1517日前

    メニュー
  • 1517日前

    幕間:第二
  • 1517日前

    幕間:第一
  • 1517日前

    セッションログ
  • 1517日前

    最終回
  • 1517日前

    第三十回
もっと見る
人気記事ランキング
  1. 白兎(非公開)
  2. 第三回
  3. 臥城
  4. 松露くん用
もっと見る
最近更新されたページ
  • 995日前

    松露くん用メモ欄
  • 1017日前

    青ニート
  • 1017日前

    キャンペーンを終えて
  • 1517日前

    メモ帳から拾った
  • 1517日前

    メニュー
  • 1517日前

    幕間:第二
  • 1517日前

    幕間:第一
  • 1517日前

    セッションログ
  • 1517日前

    最終回
  • 1517日前

    第三十回
もっと見る
ウィキ募集バナー
急上昇Wikiランキング

急上昇中のWikiランキングです。今注目を集めている話題をチェックしてみよう!

  1. ハツリバーブ -HAZE REVERB- 攻略Wiki @ ウィキ
  2. 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  3. ハッピーベジフル@wiki
  4. 役割論理専用wiki 
  5. ストグラFV まとめ@非公式wiki
  6. SDガンダム Gジェネレーションオーバーワールド 攻略Wiki
  7. マージマンション@wiki
  8. Pokemon Altair @攻略wiki
  9. 魔法科高校の劣等生Wiki
  10. とある魔術の禁書目録 Index
もっと見る
人気Wikiランキング

atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!

  1. アニヲタWiki(仮)
  2. ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~
  3. 初音ミク Wiki
  4. ストグラ まとめ @ウィキ
  5. 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
  6. MADTOWNGTAまとめwiki
  7. 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  8. 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  9. Grand Theft Auto V(グランドセフトオート5)GTA5 & GTAオンライン 情報・攻略wiki
  10. NIKKEぺでぃあ
もっと見る
新規Wikiランキング

最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!

  1. フォートナイト攻略Wiki
  2. MADTOWNGTAまとめwiki
  3. MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  4. 首都圏駅メロwiki
  5. Last Z: Survival Shooter @ ウィキ
  6. まどドラ攻略wiki
  7. 駅のスピーカーwiki
  8. 漢字でGO 問題集 @wiki
  9. 魔法少女ノ魔女裁判 攻略・考察Wiki
  10. ちいぽけ攻略
もっと見る
全体ページランキング

最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!

  1. 魔獣トゲイラ - バトルロイヤルR+α ファンフィクション(二次創作など)総合wiki
  2. ブラック・マジシャン・ガール - アニヲタWiki(仮)
  3. ブラック・マジシャン・ガール - 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  4. 真崎杏子 - 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  5. 【移転】Miss AV 見れない Missav.wsが見れない?!MissAV新URLはどこ?閉鎖・終了してない?missav.ai元気玉って何? - ホワイトハッカー研究所
  6. 梶谷 恭暉 - 日本 ウィキ
  7. 危険度7 - 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  8. 参加者一覧 - MADTOWNGTAまとめwiki
  9. 参加者一覧 - ストグラ まとめ @ウィキ
  10. コメント/雑談・質問 - マージマンション@wiki
もっと見る

  • このWikiのTOPへ
  • 全ページ一覧
  • アットウィキTOP
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

2019 AtWiki, Inc.