チャイムとともにベルガーはティオの荷物(といっても配られたプリントだけだが)を持ち
大教室を急いで後にした。
ティオに頼まれたぶたさんパンを買うついでに、人気のカレーパンをゲットするためだ。
大教室を急いで後にした。
ティオに頼まれたぶたさんパンを買うついでに、人気のカレーパンをゲットするためだ。
階段を下りて学食に向かおうとすると女生徒の悲鳴が聞こえてきた。
視線を学食に向かう通路に向けると人ごみの中に妙な隙間をあけて
一人の奇妙な格好の男子生徒が学食の方へ向かっているのが見えた。
視線を学食に向かう通路に向けると人ごみの中に妙な隙間をあけて
一人の奇妙な格好の男子生徒が学食の方へ向かっているのが見えた。
奇妙な格好というより・・・下半身露出の変態にしか見えない・・・
サイゴウは何も気にしていない様子で下着をあげ・・・ズボンをあげ・・・
購買の列に並ぶときにはベルトをガチャガチャとしめていた。
購買の列に並ぶときにはベルトをガチャガチャとしめていた。
ベルガーはサイゴウの6人後ろに並んでいたが
正直内心声をかけられたら嫌だな・・・と思っていた。
が・・・ふとサイゴウが後ろを振り返った。
目が合った。
ベルガーは自分の目立つほどの身長を恨んだ。
正直内心声をかけられたら嫌だな・・・と思っていた。
が・・・ふとサイゴウが後ろを振り返った。
目が合った。
ベルガーは自分の目立つほどの身長を恨んだ。
「いよぉ、ベルガー!お前がこっちの学食ってめずらしいな!」
大きな声で声をかけられ、周りの視線がすべてベルガーに向けられる・・・
ベルガーは逃走したくなった・・・
ベルガーは逃走したくなった・・・
「せ・・・先輩・・・どうも・・・」
間の生徒がサイゴウとベルガーをチラチラと窺っている。
「俺は今日もカレーパンだ!お前は?」
間の生徒が迷惑そうな顔をしている気もする・・・
「カレーパンとブタです・・・」
「ブタ?お前あんなもん食うのか!」
「頼まれ物ですよ・・・」
「ブタ?お前あんなもん食うのか!」
「頼まれ物ですよ・・・」
気がつくとサイゴウの番がきていて
見かねた後ろの生徒がサイゴウを小突いた。
見かねた後ろの生徒がサイゴウを小突いた。
「あースマンスマン!えーっと!おばちゃんカレーパン5つ!」
5つも食うのかよ・・・この変態・・・とは声に出してはいえない。
購買のおばちゃんは紙袋にカレーパンを5個無造作にぶち込むと
IDをよこせと手を出した。
購買のおばちゃんは紙袋にカレーパンを5個無造作にぶち込むと
IDをよこせと手を出した。
サイゴウはいきなり左足の靴下を脱ぎはじめた。
靴下から出てきたのは学園のIDカード。
それをおばちゃんに渡す。
おばちゃんは訝しげに指先でつまむと、機械で読み取りサイゴウに返した。
靴下から出てきたのは学園のIDカード。
それをおばちゃんに渡す。
おばちゃんは訝しげに指先でつまむと、機械で読み取りサイゴウに返した。
サイゴウはおばちゃんの態度も気にせず、
パンパンの紙袋とIDを受け取り、靴下を履きながらヨロヨロと列を外れた。
パンパンの紙袋とIDを受け取り、靴下を履きながらヨロヨロと列を外れた。
「席とっといてやるぜ!」
とベルガー腰のあたりをバシっと叩いてテーブル席の方へ向かっていった。
「あ・・・あのー・・・」
食べるのは教室でと思っていたのに・・・変態からは逃げられない・・・
ベルガーは肩を落とした。
ベルガーは肩を落とした。
ベルガーの順番が回ってきた。
「カレーパンとモロナミンV・・・あとブタさんパンとか言うやつ・・・」
「ブタさんパン?・・・あぁ・・・1個おまけしとくよ!」
「いや・・・」
「いいのいいの!どうせ売れ残っちゃうし!男の子がそんなパン2つで足りるわけないでしょ!」
「ブタさんパン?・・・あぁ・・・1個おまけしとくよ!」
「いや・・・」
「いいのいいの!どうせ売れ残っちゃうし!男の子がそんなパン2つで足りるわけないでしょ!」
と酷い形態のお世辞にもうまそうに見えない、
というか食い物なのかコレはというような物体が2つ紙袋にほりこまれる。
というか食い物なのかコレはというような物体が2つ紙袋にほりこまれる。
良く見ると『あの有名人も絶賛!コラーゲンたっぷり!』と
手作り感たっぷりのよれたPOPが張ってある。
あの有名人って誰だよ・・・
それより売れのこっちゃうし・・・とかよっぽど人気ないのに何で売っているのか・・・
とかなんとか思っていると
モロナミンVをとって戻ってきたおばちゃんが帰ってきた。
手作り感たっぷりのよれたPOPが張ってある。
あの有名人って誰だよ・・・
それより売れのこっちゃうし・・・とかよっぽど人気ないのに何で売っているのか・・・
とかなんとか思っていると
モロナミンVをとって戻ってきたおばちゃんが帰ってきた。
「あとカレーパンだわね!IDかしてー」
ベルガーは制服の胸ポケットからIDを取り出し、おばちゃんに渡す。
「ブタさんパン、もう一個おまけしようか?」
「い・・・いやいいです・・・」
「い・・・いやいいです・・・」
紙袋とIDを受け取り、購買を後にする。
テーブル席の方を見ると、変た・・・サイゴウが両手を振っていた。
テーブル席の方を見ると、変た・・・サイゴウが両手を振っていた。
サイゴウがとっていた席は食堂の入り口すぐ横の人の出入りが激しい場所だった。
席に着くとサイゴウはそれが合図だったかのようにカレーパンをむさぼりはじめた。
席に着くとサイゴウはそれが合図だったかのようにカレーパンをむさぼりはじめた。
「ん?いつもいるちっこいのは?」
「たぶん後できます。っていうかそれ本人に言ったらヤバいですよ?」
「小学生しか見えないからしかたないだろ!」
「たぶん後できます。っていうかそれ本人に言ったらヤバいですよ?」
「小学生しか見えないからしかたないだろ!」
笑いながらパンくずを飛ばす。
というか・・・今ティオが来たら間違いなくこの変た・・・サイゴウは殺されている。
デカイ声だしどこかで聞いていたらと思うと気が気でない。
というか・・・今ティオが来たら間違いなくこの変た・・・サイゴウは殺されている。
デカイ声だしどこかで聞いていたらと思うと気が気でない。
「そういえばな・・・さっきトイレいったら女が入ってきたみたいでさー」
・・・多分ティオだな・・・とベルガーは思った。
「たぶんウンコだな!」
飯を食いながら言うもんじゃないだろ・・・と思いつつ
「男子トイレでウンコなんてどんな変態だってんだよなー」
さっき下半身露出してたお前が言うな・・・と思いつつ
「俺が出てきたときもまだ居たから長いウンコだぜ!」
ウンコを連呼するな・・・と思いつつ
ティオが心配になってきた。
こっちは女子トイレがあるのに多分いつもの癖で男子トイレに入ったんだろう。
機械工学科の男子トイレ1つはティオ専用として誰も入ってこないからいいものの
もしかすると遅いのは男子が入ってきたせいで出てこれないのかもしれない。
一応あれでも女の子だからな・・・
ティオが心配になってきた。
こっちは女子トイレがあるのに多分いつもの癖で男子トイレに入ったんだろう。
機械工学科の男子トイレ1つはティオ専用として誰も入ってこないからいいものの
もしかすると遅いのは男子が入ってきたせいで出てこれないのかもしれない。
一応あれでも女の子だからな・・・
「先輩、俺用思い出したから行きます。」
「んあ・・・あぁ・・・」
「んあ・・・あぁ・・・」
荷物と紙袋をもってベルガーは食堂を出、男子トイレに向かった。
ちょうど男子トイレは誰も居ない状態だった。
一番奥の洋式のほうでゴソゴソと物音が聞こえる。
一番奥の洋式のほうでゴソゴソと物音が聞こえる。
「ティオ・・・?」
と小声で呼びかけてみる。
「ベ・・・ベルガー!」
ガチャガチャとロックの音がして少しだけ戸が開いた。
「やっぱりな・・・今誰も居ないから今のうちに出て来いよ。」
「その紙袋よこせ。」
「その紙袋よこせ。」
と購買の紙袋をティオは奪い取るとまた戸をロックした。
紙袋を開け、パンの包装を破く音がする。
紙袋を開け、パンの包装を破く音がする。
「え・・・お前そんなところで飯食うつもりか!」
いくらなんでも社長令嬢が便所飯とか・・・
コレでなんとか・・・と声がすると
勢いよく戸が開いた。
勢いよく戸が開いた。
口に豚足をくわえ、紙袋を握り締めたティオが出てきた。
そして何事もなかったかのように
手を洗い、男子トイレを出て行った。
しかし若干歩き方がおかしい。
出てきたティオをみたらしい男子生徒がトイレに入ってきて首をかしげていたが
ティオの姿が見えなくなってしまったのでベルガーはあわてて追いかけた。
そして何事もなかったかのように
手を洗い、男子トイレを出て行った。
しかし若干歩き方がおかしい。
出てきたティオをみたらしい男子生徒がトイレに入ってきて首をかしげていたが
ティオの姿が見えなくなってしまったのでベルガーはあわてて追いかけた。
ティオは豚足を食べながら学食の方へ向かっていた。
そのまま人のまばらになった購買に行って、つま先立ちをしておばちゃんになにやら耳打ちをしている。
しばらくして奥からおばちゃんが小さな紙袋を持ってきてティオに手渡す。
そのまま人のまばらになった購買に行って、つま先立ちをしておばちゃんになにやら耳打ちをしている。
しばらくして奥からおばちゃんが小さな紙袋を持ってきてティオに手渡す。
何を買ったのか・・・
ベルガーが学食に着くと、あの変た・・・サイゴウは5つ目のカレーパンを食ベながら
誰かと話している。多分サイゴウのクラスメートの誰かだろう。
誰かと話している。多分サイゴウのクラスメートの誰かだろう。
「ん・・・ベルガー用事おわったのか?」
「え・・・あの・・・」
「え・・・あの・・・」
サイゴウのクラスメートらしい男子生徒もベルガーのほうを見る。
地味な風貌をしている割にチャラチャラとアクセサリーをつけている。
地味な風貌をしている割にチャラチャラとアクセサリーをつけている。
「ベルガー!コレ返す!」
といきなりティオがパンの入った方の紙袋を投げる。
が・・・コントロールが悪かった。
が・・・コントロールが悪かった。
「ちょ・・・おま!ビンはいってんだぞ!」
なんとかキャッチするものの勢いでパンが飛び出てしまった。
飛び出たカレーパンは机の上に、ブタさんパンは・・・
飛び出たカレーパンは机の上に、ブタさんパンは・・・
「いっ・・・」
サイゴウのクラスメートらしい男子生徒に当たってしまった。
しかも・・・中身が・・・
しかも・・・中身が・・・
サイゴウは大笑いしていたが
ブタさんパンの中身・・・豚足を顔に当ててしまった男子生徒は
額を押さえ痛みに耐えていた。
ブタさんパンの中身・・・豚足を顔に当ててしまった男子生徒は
額を押さえ痛みに耐えていた。
「いいコントロールじゃん!ちっこいの!!」
「なっ…お前っ!」
とティオがサイゴウに向かって手に持っていた食べ終わった豚足を投げつけた。
が…これもコントロールが悪かった。
が…これもコントロールが悪かった。
サイゴウの方ではなくサイゴウのクラスメートらしい男子生徒の側頭に直撃してしまった。
「・・・っ」
さすがにもろ直撃で声すら出なかったようだった。
サイゴウはさらに大笑いしていた。
サイゴウはさらに大笑いしていた。