15-2
ティオとヤスノリが画鋲ゴマ対決したその日の帰り道はなんとも不思議な縁のあるメンバー構成となった。
学生寮は高等部校舎、大学部校舎の中間に位置しており、東側の高等部寄りに男子、西側の大学部寄りに女子と別れてはいるものの、途中までの道のりは同じ敷地内にあるため帰る時間さえあえば自然と方向は同じになるのである。
学生寮は高等部校舎、大学部校舎の中間に位置しており、東側の高等部寄りに男子、西側の大学部寄りに女子と別れてはいるものの、途中までの道のりは同じ敷地内にあるため帰る時間さえあえば自然と方向は同じになるのである。
「へへ、これでおまえも我が画鋲ゴマ部の一員だ。イッポンマツのお嬢様ともなれば生徒会の連中に来期の部費予算会議で吹っかけられるぜー!」
「う、うるさい変態っ!あんな結果絶対認めないんだからね!」
「う、うるさい変態っ!あんな結果絶対認めないんだからね!」
マイマイスクーターを低速で進ませながら、からかってくるヤスノリに噛み付きっぱなしのティオ。
「ティオ~、負けちゃったんだから仕方ないよ。これから一緒に頑張ろうね?」
そんなティオに近づき、ベルガーがティオの頭をぽんぽんと優しく叩く。
「えぇい、触るな、なでるな、あやすなぁ!」
泣きダッシュしたティオをベルガーがなんとか連れ戻したものの、まだ納得いかないといった具合で、部室からここまでヤスノリのことを睨み続けているティオ。そんなティオをからかうヤスノリが道すがら、誇らしげに勝利宣言すること5回目。流石にこのやりとりを聞き飽きた一同は「はいはい・・・」と聞き流している。
「なぁレーベ、お前もうちに入れよ。お前が入ればお前目当ての女子からも人気でると思うん・・・」
「そんなのだめよ!レーベを無理に誘わないでちょうだい!」
「そもそも入る気ねえし。つかロッテなんで待ってたんだよ?」
「そんなのだめよ!レーベを無理に誘わないでちょうだい!」
「そもそも入る気ねえし。つかロッテなんで待ってたんだよ?」
「女子からも人気」という辺りからすごい勢いでリーゼロッテがヤスノリを遮る。
そんなリーゼロッテを見てぶっきらぼうに尋ねるレーベ。
「えっ!・・・だって・・・部室行ったきり戻ってこないから・・・とにかく!あんなとこ入ったら変態がうつるわよ!」
「だから変態言うなって!どいつもこいつも~!」
「だから変態言うなって!どいつもこいつも~!」
当然ながらヤスノリの主張は無視される。
そんなやりとりを見ていたカトリアはふとループレヒトが言っていたことを思い出す。
そんなやりとりを見ていたカトリアはふとループレヒトが言っていたことを思い出す。
「ふふ、レーヴェ君も女子から人気あるんだ。さすがは兄弟ね。」
「先生、兄貴のこと知ってるんすか?」
「先生、ルー兄のこと知ってるんですか?」
「先生、兄貴のこと知ってるんすか?」
「先生、ルー兄のこと知ってるんですか?」
ほぼ同時に尋ねるリーゼロッテとレーベ。
くすっと笑いながらうなずくカトリア。
面識はなかったが、レーベレヒトのことはよく知っていた。
よく研究室でループレヒト教授が、"ぶっきらぼうなのがタマにキズだが、魔術師としての素質は優秀だし根は優しくて可愛いヤツ"だとよく自慢げに話しているからだ。実際会って話してみるとなるほど、と思う。
くすっと笑いながらうなずくカトリア。
面識はなかったが、レーベレヒトのことはよく知っていた。
よく研究室でループレヒト教授が、"ぶっきらぼうなのがタマにキズだが、魔術師としての素質は優秀だし根は優しくて可愛いヤツ"だとよく自慢げに話しているからだ。実際会って話してみるとなるほど、と思う。
「ええ、ループレヒト先生とは研究室でよく会うしね。貴方のこともよく話してるわよ。」
「・・・絶対いらないことまでべらべらしゃべってるな・・・あのクソ兄貴・・・」
「・・・絶対いらないことまでべらべらしゃべってるな・・・あのクソ兄貴・・・」
談笑しているうちにモールのアーケードを通りかかる。ふと生鮮売場のほうを見ると中からよく見知った赤毛の人物が出てくるのを見つける。警備部の制服をつけているところを見ると、まだ仕事中なんだろうか。
「あ、ライリさーん!」
声をかけるとライリも気づいた様子で、カトリアにお辞儀をする。その際抱えた包みから果物がいくつかこぼれ落ちた。
「あっ」
カトリアが落ちた果物を拾おうと駆け寄り、レーベたちもそれに続く。手分けして果物を拾っているとカトリアとライリの手が果物の上で重なる。
「!」
慌てて手を引っ込めるライリ。そんなやりとりを眺めながらまるで少女マンガのノリだなとリーゼロッテは思った。
ライリの師匠ライシュツとカトリアの恩師であるヨーデフの間柄、二人は何度か顔も合わせているし共通の研究解析で一緒に実験をしたこともある。付与魔術の酷使でライリが倒れた時に介抱したこともあるのだが・・・まだまだ慣れてくれないらしい。
カトリアは果物を拾い上げると汚れた部分を優しくはたいてライリに手渡す。
ライリの師匠ライシュツとカトリアの恩師であるヨーデフの間柄、二人は何度か顔も合わせているし共通の研究解析で一緒に実験をしたこともある。付与魔術の酷使でライリが倒れた時に介抱したこともあるのだが・・・まだまだ慣れてくれないらしい。
カトリアは果物を拾い上げると汚れた部分を優しくはたいてライリに手渡す。
「はい。」
「あ、ありがとうございます・・・」
「遅くまでお疲れ様ね。警備部の買出し?」
「いえ・・・いや、それもあるんですけど・・・これは週末友人のお見舞いに持っていくもので・・・」
「あぁ、先日話してくれたトモカちゃんのことかしら。」
「あ、ありがとうございます・・・」
「遅くまでお疲れ様ね。警備部の買出し?」
「いえ・・・いや、それもあるんですけど・・・これは週末友人のお見舞いに持っていくもので・・・」
「あぁ、先日話してくれたトモカちゃんのことかしら。」
先日の芋掘りの時、リーゼロッテがライリやカトリアの代わりに現場監督を務めてくれていた(正確には彼女が強引に監督を買ってでたのだが)ので二人は奥の小屋でお茶をしていたのが、おかげでゆっくりと話す機会があったのだ。
お互いの師の話、学んでいる学科のこと、夢や目的・・・その中でライリは一人の少女を助けるためにライシュツ教授の下で学んでいると語ったのだった。カトリアもまた、自分が魔術歴史解析学を学んでいる理由となぜ教授ではなく教師になろうと思ったのかを語った。
お互いの師の話、学んでいる学科のこと、夢や目的・・・その中でライリは一人の少女を助けるためにライシュツ教授の下で学んでいると語ったのだった。カトリアもまた、自分が魔術歴史解析学を学んでいる理由となぜ教授ではなく教師になろうと思ったのかを語った。
「よしっと。せんせー全部拾ったぜ。」
レーベやリーゼロッテから拾った果物を集めたヤスノリが駆け寄ってくる。
「はいよ、ライリさん!」
「みんなも、ありがとう・・・」
「みんなも、ありがとう・・・」
ぎこちなくもしっかりとお辞儀をするライリ。果物を拾い集めただけなのにそこまで畏まられると逆にこそばゆく感じるのか、ヤスノリやレーベが照れくさそうな表情になっていた。
恐らくトモカという少女もこの子たちと同年代なんだろうと、想像を膨らませているカトリアにある考えが思い浮かんだ。
恐らくトモカという少女もこの子たちと同年代なんだろうと、想像を膨らませているカトリアにある考えが思い浮かんだ。
「そうだ!ライリさん。週末トモカちゃんのお見舞いにわたしやこの子たちも一緒に連れてってくれないかしら。」
「え!?」
「え!?」
唐突なカトリアの提案に目を丸くしてびっくりするライリ。周囲は話の飛躍についていけずきょとんとしている。
「トモカちゃんずっと入院してて同年代のお友達ライリさんしかいないんでしょうけど、この子たちならいいお友達になってくれると思うし、わたしもトモカちゃんに会って歴史のお話とかしてあげたいと思ったの。どうかしら?」
「う、うーん・・・確かにトモカに、魔術歴史とかの話をしていただけるのは嬉しいですけどー・・・」
「う、うーん・・・確かにトモカに、魔術歴史とかの話をしていただけるのは嬉しいですけどー・・・」
返事に困り、いつもの平静さとは打って変わって色んな表情がでているライリ。
話の流れについていけない数名を差し置いて、意外な人物が乗り気になっていた。
話の流れについていけない数名を差し置いて、意外な人物が乗り気になっていた。
「せんせー、いいこと言うじゃないか!俺も是非行きたいぞ!いや、画鋲ゴマ部は全員強制参加だ!」
ヤスノリだった。なんだか妙に張り切っている。
「なっ、勝手に決めるな変た!モガモガー!」
「はいはい、話こじれるから少し待ってようねティオ。」
「はいはい、話こじれるから少し待ってようねティオ。」
まだまだ噛み付こうとするティオの口を抑えるベルガー。
「また・・・妙な方向に・・・」
もうどうにでもなれ、と言った感じのレーベ。
周りの反応を尻目にライリは考えこんでしまった。
自分でも強引な提案だとは流石のカトリアも自覚している。しかし、CMIの患者と言えば制御装置なくては生きていけない以上それなりの施設へ入院することを余儀なくされ、しかもそこで決して長いとは言えない一生を過ごすことになるのだ。顔もまだ知らない少女ではあるが、そんな彼女に幼いころ死んだ弟の面影を重ねている自分に気づいた。
ライリはしばし考え込んだ後、カトリアを見て応える。
「わかりました。わたしとしてもトモカに同年代の友人が増えるのは嬉しいことですし、色々教えてあげたいことがたくさんあるんです。今度の週末、是非お願いします。」
「ありがとう、週末楽しみにしてますね!」
「まかせろ!トモカちゃんに画鋲ゴマを教え込んでやるぜ!」
「ベッドの中じゃ出来ねえだろ・・・そんなのよりも旬の果物を土産にだな・・・。」
「そうよね。そんなのより女の子らしくオシャレとか教えてあげたいわ。」
「そんなことより、私はまだ行くとは言ってなモガモガー!」
「はいはい、せっかくいい雰囲気なんだから乱しちゃダメだよティオ。宇宙のこととか教えてあげたいですねえ。」
「ありがとう、週末楽しみにしてますね!」
「まかせろ!トモカちゃんに画鋲ゴマを教え込んでやるぜ!」
「ベッドの中じゃ出来ねえだろ・・・そんなのよりも旬の果物を土産にだな・・・。」
「そうよね。そんなのより女の子らしくオシャレとか教えてあげたいわ。」
「そんなことより、私はまだ行くとは言ってなモガモガー!」
「はいはい、せっかくいい雰囲気なんだから乱しちゃダメだよティオ。宇宙のこととか教えてあげたいですねえ。」
明るい笑顔で返事をするカトリア。行くと決まったからにはトモカへ色々教えてやりたいと張り切りだす生徒たちを見てやっぱり根は真面目な子たちなんだ、と関心していた。
「あ、すみません。そろそろ警備部へ戻らないと。」
「うん、引きとめちゃってごめんね。」
「いえ、それでは!」
「うん、引きとめちゃってごめんね。」
「いえ、それでは!」
そういうと同時に紙袋を抱えてライリは走り去っていった。
ライリの姿が見えなくなるまで見送った一同も再び家路につき、その日の夜は暮れていった。
ライリの姿が見えなくなるまで見送った一同も再び家路につき、その日の夜は暮れていった。
詰め込みすぎた感はありますが、なんとか投了。
毎度自分の後はダウィさんなのですぐ上書きされそうですが!
毎度自分の後はダウィさんなのですぐ上書きされそうですが!
ねぎ