階段横の壁にもたれつつ執事のクジョウに電話をかける。
迎えをよこしてと言うと特に早退については触れずに
すぐにお迎えにあがります。とだけ返ってきた。
迎えをよこしてと言うと特に早退については触れずに
すぐにお迎えにあがります。とだけ返ってきた。
『ところでクジョウ。アイツー関連で最近何かなかったかしら?』
『アイツー関連ですか…先日完成した新GPSのβテストが本日から学園で開始されるそうですが。』
『アイツー関連ですか…先日完成した新GPSのβテストが本日から学園で開始されるそうですが。』
クジョウが新GPSの事を把握してるということは正式発表はあったのか。
興味ないから全然知らなかった。
アイツーの輸送機が来たのは予定通りだった訳ね…
興味ないから全然知らなかった。
アイツーの輸送機が来たのは予定通りだった訳ね…
『…あとはお嬢様が登校された後、ヤマダ氏から手紙を預かっています。』
『手紙?今時紙で??というかヤマダって誰?』
『手紙?今時紙で??というかヤマダって誰?』
溜息が聞こえた。どうやら覚えておかないとダメだった人物らしい…
『IMMの新技術顧問のファーレンハイト・ヤマダ様です。』
『あ…あの…チャラいメガネ。』
『お嬢様の婚約者でしょう…』
『私は認めてないわ!とにかく本館まで迎えよこしてね。じゃっ。』
『あ…あの…チャラいメガネ。』
『お嬢様の婚約者でしょう…』
『私は認めてないわ!とにかく本館まで迎えよこしてね。じゃっ。』
そういえばそんな男もいたわ…ファーレン…長っ…もうヤマダでいいわヤマダで。
ヤマダは元々アイツーの研究所で通信機器の開発をしていたらしいが
MGPSの技術を買われて若輩ながらMMIの新技術顧問に迎えられた男だ。
ヤマダは元々アイツーの研究所で通信機器の開発をしていたらしいが
MGPSの技術を買われて若輩ながらMMIの新技術顧問に迎えられた男だ。
そして…MMIの新年会で父上が酔った勢いで勝手に決めてしまった私の…婚約者らしい。
「僕があげた端末使ってくれてるんだ。」
階段側に見慣れたスーツを着た男が立っていた。
見上げると…件のヤマダだった。
見上げると…件のヤマダだった。
「やぁ!ティオちゃん。授業どうしちゃったの?サボリ?」
「早退するの!」
「ふぅーん…また体の調子わるいの?送ろうか?」
「結構よ!それよりなんで貴方がここにいるわけ?」
「新GPSの装置もってきたついでにちょっとティオちゃん見に行こうかなーって。」
「それも結構よ。来ないで。」
「早退するの!」
「ふぅーん…また体の調子わるいの?送ろうか?」
「結構よ!それよりなんで貴方がここにいるわけ?」
「新GPSの装置もってきたついでにちょっとティオちゃん見に行こうかなーって。」
「それも結構よ。来ないで。」
こんなのが婚約者かと思うとげんなりする。
見た目は良いから女子社員にはすごくモテるらしいのだが…
仕事しているときはこれでもかってくらい事務的なのに
プライベートとなるとなんていうか…
馴れ馴れしいというかチャラチャラしてるというか…すごく鬱陶しい。
私は苦手。
見た目は良いから女子社員にはすごくモテるらしいのだが…
仕事しているときはこれでもかってくらい事務的なのに
プライベートとなるとなんていうか…
馴れ馴れしいというかチャラチャラしてるというか…すごく鬱陶しい。
私は苦手。
「いっつもティオちゃん不機嫌だなぁ…でも今日は良い知らせがあるんだよね。
執事さんにはその事書いた手紙わたしておいたんだけど。」
「じゃあ手紙読むから。」
「えー…今知りたくない?ティオちゃんの体質改善法だよ?」
「えっ…」
執事さんにはその事書いた手紙わたしておいたんだけど。」
「じゃあ手紙読むから。」
「えー…今知りたくない?ティオちゃんの体質改善法だよ?」
「えっ…」
ヤマダの顔を見ると、知りたいでしょ?と満遍の笑を浮かべている。
「この間トトに出張で行ってきたんで、研究に協力してもらってる巫女の人に聞いてみたんだ。
そしたらティオちゃんの喉がかわくのとか成長の遅いのとか巫女特有の物らしいんだよね。」
「で…改善方法って?」
「せっかちさんだなぁ。まぁいっか…うんちくは手紙読んで。で、改善方法だけど
すっごい簡単。液体を介して対象からエーテルを吸収すればいいんだよ。」
「はい?」
「つまりはこういう事…」
そしたらティオちゃんの喉がかわくのとか成長の遅いのとか巫女特有の物らしいんだよね。」
「で…改善方法って?」
「せっかちさんだなぁ。まぁいっか…うんちくは手紙読んで。で、改善方法だけど
すっごい簡単。液体を介して対象からエーテルを吸収すればいいんだよ。」
「はい?」
「つまりはこういう事…」
ヤマダは私の腕を掴んで壁に押さえつけるといきなり顔を近づけてくる。
そして唇に生暖かい感触が…
そして唇に生暖かい感触が…
一瞬思考が停止する。
え…えっと私…ヤマダにキスされてる!?
「ん…んんんんっーーーーーーーーーーー!」
慌てて突き放そうとしても足をばたつかせようとしても
余計体でおさえつけられるだけで私の力ではどうにもできない…
息苦しくなってふと口を開くとその隙にヤマダの舌が侵入してくる。
余計体でおさえつけられるだけで私の力ではどうにもできない…
息苦しくなってふと口を開くとその隙にヤマダの舌が侵入してくる。
「んは…っ……」
口の中に侵入したヤマダの舌がゆっくりと動く。
動きに合わせて湿った音と荒い呼吸が耳に届く。
や…やだっ!!気持ち悪いっ!!
顔を左右に動かして抵抗しても
逆に激しく口内をかき回されて状況は悪化するだけだった…
動きに合わせて湿った音と荒い呼吸が耳に届く。
や…やだっ!!気持ち悪いっ!!
顔を左右に動かして抵抗しても
逆に激しく口内をかき回されて状況は悪化するだけだった…
いきなり全身の力が抜けるような妙な浮遊感に襲われる。
「ふぁ……っ…」
思わず声がでてしまった…
これじゃ私が…性的に興奮してるみたいじゃないっ
もう…やだ…っ
涙が出てきた。
これじゃ私が…性的に興奮してるみたいじゃないっ
もう…やだ…っ
涙が出てきた。
「ん…?えっ??」
唇を離したかと思うとヤマダが変な声を出した。
私の涙に気がついたらしい。
目を開けて手の甲で唇をこすりながらヤマダを睨みつける。
私の涙に気がついたらしい。
目を開けて手の甲で唇をこすりながらヤマダを睨みつける。
「なんで泣いてるの?ティオちゃん………あっ!もしかして初めてだった?!」
もしかしてもなにも…
こんな…
怒りと安堵と悔しいのがゴチャ混ぜでボロボロと涙が出てくる。
こんな…
怒りと安堵と悔しいのがゴチャ混ぜでボロボロと涙が出てくる。
「貴方…許さ…ないんだから…」
声を振り絞って呪うように言う。
そして逃げるように階段をかけおりた。
そして逃げるように階段をかけおりた。
本館の入り口横に設置されている給水器でめいいっぱい口をすすぐ。
何度すすいでもヤマダの舌の感触が思い出されて気分が悪い。
肝心の体質改善に効果はあったんだろうか…
劇的な変化を期待していたわけではないけど
何か変化があったかといえば…全く自覚がない訳で…
何度すすいでもヤマダの舌の感触が思い出されて気分が悪い。
肝心の体質改善に効果はあったんだろうか…
劇的な変化を期待していたわけではないけど
何か変化があったかといえば…全く自覚がない訳で…
もしかして…キスされ損?!
いやでも流石に…
いやでも流石に…
しばらく誰もいない本館エントランスで百面相していると
真っ赤なIFJのスポーツタイプのMMJがやってくる。
エントランスの横に付くとドアが開く。
真っ赤なIFJのスポーツタイプのMMJがやってくる。
エントランスの横に付くとドアが開く。
「お待たせしました。お嬢様。」
運転席からクジョウが呼びかける。
無言のまま乗り込む。
ベルトの装着を確認するとクジョウは発進した。
無言のまま乗り込む。
ベルトの装着を確認するとクジョウは発進した。
学園の門を通り過ぎたところでクジョウが口を開く。
「この後のご予定は…」
「ネコが壊れてしまって…修理より作り替えた方が早いからIFJの叔父様に連絡して部品調達ね。
それと新GPSの詳細な仕様とIIのレールガンの開発進捗状況調べてくれるかしら。
できれば早く調査報告してもらえると助かるのだけど。」
「え…レールガンのですか?お嬢様の方が詳しいのでは…」
「そういうのじゃないの。今朝私学園内でそれを見たのよ…レプリカじゃなくて本物を。」
「なんでそんなものが…」
「わからない。でも最近学園内であまりよくない噂を聞くのよ。
研究データの横流しがあっただとか、バイトといって学園の許可無く試作機のテストが行われてるだとか。
主に大学部の話だけども…
その類かしらとは思ったんだけど物は軍用兵器でしょ…」
「そうですね…でもそれなら元IIのヤマダ様に調べていただいては…」
「嫌よ!!」
「ネコが壊れてしまって…修理より作り替えた方が早いからIFJの叔父様に連絡して部品調達ね。
それと新GPSの詳細な仕様とIIのレールガンの開発進捗状況調べてくれるかしら。
できれば早く調査報告してもらえると助かるのだけど。」
「え…レールガンのですか?お嬢様の方が詳しいのでは…」
「そういうのじゃないの。今朝私学園内でそれを見たのよ…レプリカじゃなくて本物を。」
「なんでそんなものが…」
「わからない。でも最近学園内であまりよくない噂を聞くのよ。
研究データの横流しがあっただとか、バイトといって学園の許可無く試作機のテストが行われてるだとか。
主に大学部の話だけども…
その類かしらとは思ったんだけど物は軍用兵器でしょ…」
「そうですね…でもそれなら元IIのヤマダ様に調べていただいては…」
「嫌よ!!」
つい大声になってしまった。
クジョウの口からヤマダの名前がでてきてさっきの事を思い出してしまったのだ。
クジョウの口からヤマダの名前がでてきてさっきの事を思い出してしまったのだ。
「ご…ごめんなさい。」
「いえ…私が調べますので…」
「そう…お願い。」
「いえ…私が調べますので…」
「そう…お願い。」
しばらく沈黙が続く。
視線を落とし、ぼーっとつま先を見つめる。
MMJが停止したのに気がついて、視線を元に戻すと自宅直前の交差点で信号待ちをしているところだった。
視線を落とし、ぼーっとつま先を見つめる。
MMJが停止したのに気がついて、視線を元に戻すと自宅直前の交差点で信号待ちをしているところだった。
「今朝預かった手紙はアリウムに届けさせます。お食事はされますか?」
時計をみるともう少しで正午をさそうとしている。
「えー…と…あっ…」
そこでやっと気づく。
私2時間目終わってから水一滴も飲んでないのに喉がかわいてない!
あれは本当に効果あったんだ…
私2時間目終わってから水一滴も飲んでないのに喉がかわいてない!
あれは本当に効果あったんだ…
「…お嬢様?」
「あ…いいわ。お腹すいてないし…」
「わかりました。私はすぐ調査開始しますので、御用はアリウムにお願いします。」
「ええ…わかったわ。」
「あ…いいわ。お腹すいてないし…」
「わかりました。私はすぐ調査開始しますので、御用はアリウムにお願いします。」
「ええ…わかったわ。」
信号が青にかわり、自宅へ向けてMMJは再び走り出した。
着替が終わり、ベッドに体をダイブさせる。
スプリングの反動を感じているとドアがノックされる。
スプリングの反動を感じているとドアがノックされる。
「お嬢さまぁーアリウムですよー!」
入室の許可をするとワゴンにティーセットと封筒をのせて
メイドのアリウムが入ってきた。
メイドのアリウムが入ってきた。
「クジョウさんからコレをお嬢さまに渡すよう言われましたっ!」
差し出されたのはヤマダからの手紙だった。
封筒から中身を取り出すと手紙というよりは小冊子で、
表表紙には『ティオちゃんに愛を込めて』
と…気持ち悪い一文が書いてあった。
封筒から中身を取り出すと手紙というよりは小冊子で、
表表紙には『ティオちゃんに愛を込めて』
と…気持ち悪い一文が書いてあった。
椅子に座って小冊子を片手にアリウムのいれたお茶を一口含む。
今日のお茶はジャスミンか…ちょっとぬるすぎるけど…
今日のお茶はジャスミンか…ちょっとぬるすぎるけど…
「お嬢さまどうですかー?今日は私がいれたんですっ!」
「まぁいんじゃない?」
「まぁいんじゃない?」
アリウムを見て答える。
「そうですかっ!…あ…れ?お嬢さまカラーコンタクトいれたんですか?」
アリウムがマジマジと私の目をみる。
「綺麗な紫色ですねっ!お似合いですっ!」
「え……あぁ、うん。ありがとう。」
「え……あぁ、うん。ありがとう。」
一瞬何のことだか戸惑ったが、すぐさま例の効果の一つだろうと理解した。
「じゃっ私戻りますねっ!御用があれば呼んでくださいっ!」
ペコリっと一礼するとアリウムは部屋を出て行った。
瞳の色まで変わるのか…とつぶやきつつ
ドレッサーの鏡をのぞきこむ。
本当に紫色だった…。
まぁ別に困ることでもないわね…再び席について小冊子を読み始める。
ドレッサーの鏡をのぞきこむ。
本当に紫色だった…。
まぁ別に困ることでもないわね…再び席について小冊子を読み始める。
小冊子にはご丁寧に巫女に関する資料から書かれていた。
とりあえず…対処法とかかれた項目まで読みとばす。
ヤマダが言っていた通り、液体を触媒として対象のエーテルを吸収すればいいことが書かれている。
吸収効率の良い具体例…ふむ…
とりあえず…対処法とかかれた項目まで読みとばす。
ヤマダが言っていた通り、液体を触媒として対象のエーテルを吸収すればいいことが書かれている。
吸収効率の良い具体例…ふむ…
吸血…キス…せっ………!
慌てて小冊子を閉じた。
ろくな方法がないじゃないっ!!
キスはともかく吸血ってなによ吸血って!
っていうかセッ…
無理。絶対無理…
巫女って何者なのよ…私以外にも沢山いたけどみんなこうことしてるわけ!!
ろくな方法がないじゃないっ!!
キスはともかく吸血ってなによ吸血って!
っていうかセッ…
無理。絶対無理…
巫女って何者なのよ…私以外にも沢山いたけどみんなこうことしてるわけ!!
気を取り直して続きを読むことにする。
吸収効率は悪くてもそいう方法以外で何かないのかしら…
吸収効率は悪くてもそいう方法以外で何かないのかしら…
オノコロマカズラの樹液…ただし攻撃性の強い蔓性植物…
樹液って…私はカブトムシかー!!!
もういい…続き寝る前にでも読むことにする。
IFJの叔父様に連絡しよう…
IFJの叔父様に連絡しよう…
とりあえず終わり。毎度ぽむ子回が長いのは文才の残念さに起因する仕様です。