「ライリさん、トモカさんが狙われてるんです！」
病院の近くの公園で待ち合わせてレーベとリーゼの二人と合流すると、
堰を切ったように告げられたその一言に一同は凍りついた。
曰く、トモカが研究対象の実験体でその研究の妨害の為に命が狙われていると。
それを学園長が誰かと話していたと。
「そ、そう・・・教えてくれて有難う」
まだ何か言いたそうなリーゼを押し止め、落ち着かせる。
きっと私も何も知らずに聞かされていたら凄く動転していただろう。
だが、私は事前に知っていた。
病院の近くの公園で待ち合わせてレーベとリーゼの二人と合流すると、
堰を切ったように告げられたその一言に一同は凍りついた。
曰く、トモカが研究対象の実験体でその研究の妨害の為に命が狙われていると。
それを学園長が誰かと話していたと。
「そ、そう・・・教えてくれて有難う」
まだ何か言いたそうなリーゼを押し止め、落ち着かせる。
きっと私も何も知らずに聞かされていたら凄く動転していただろう。
だが、私は事前に知っていた。
昨日、私は師匠から呼び出され学園近くの喫茶店で話を聞いていた。
「トモカが狙われている。気をつけろよ」
「どういうことですか！？」
「先日オーベルがそんなこと言っていてそれで色々調べた。残念ながら本当だった」
「そんな･･･何でトモカが･･･」
「最近、トモカを実験対象の被検体として御子神グループが新技術開発だという噂が流布されていた。
事実無根だが信じた馬鹿が居たようだ。馬鹿の名は＜アイツーの子弟＞。
だが、トモカが御子神の総帥の娘だっていう事実を踏まえて流した噂の可能性が高い。
そのことを考えると病院院内に何かしらの内通者がいる可能性も高い、油断は出来ん。
もちろん父親にはこの事を伝えてあるが既にあちらも掴んでいたよ。
あの子はまだ病院から動かせないそうだからあの病院を死守するそうだ。
あぁ、ライリ。今度の見舞い、連れが居るらしいな。
中止にはしないそうだが全員の身辺調査を頼まれた。こんなところだな」
「そうですか・・・」
正直な気持ち、仕方ないとはいえ彼女達が信じられないというのは余り気分のいいものではない。
色々問題の有る子もいるが皆悪い子じゃないはず・・・だ。
などと考えていると続けて師匠が新しい話を始めた。
「それと学園の生徒に対し、その＜アイツーの子弟＞から干渉があった形跡がある。
このタイミングだ。十分注意しろよ」
「干渉・・・？」
「どうも最先端兵器が学内に持ち込まれたらしい。先日学園内で爆発が感知されたそうだ。
詳しくは･･･ちょうど着たな、こいつに説明してやってくれ。」
「毎度毎度お前はホント厄介ごとを持ち込むな・・・」
後ろから声がして振り向くとそこに居たのは部長だった。
「部長、お疲れ様です」
「あぁ、ご苦労。お前もこんな師匠を持って大変だな」
部長の明らかに師匠への皮肉をこめた呟きに私は苦笑を返す。
「俺が厄介ごとを持ち込んだんじゃない。厄介ごとの方が来るんだ」
師匠が珍しく愚痴っている。どうやら気にしているらしい。
「そういうが、何度お前がちょっかい出した所為で巻き込まれたことか･･･」
ため息をつく部長。
どうやら昔色々師匠に迷惑をかけられたみたいだ･･･。
「昔話より今の話だ。そっちはどうだった？」
流れを切って話を戻す師匠。
「・・・あぁ、色々わかった。これはかなりきな臭いぞ」
少しためらった感があるが続けて詳細を部長が話してくれた。
詰まるところ、学園内に最近開発された最先端科学兵器が持ち込まれた。
旧校舎端に爆発痕と近くの実習地の農学部の植物に被害がでて発覚した。
それは学生の手に渡っている可能性が濃厚で、所持者は現時点では不明らしい。
「―それで、その武器はどんなものなんですか？」
「現時点で判明していることは長距離射程用途の兵器だって事だけだ。どうもそれの暴発が原因らしい。
生徒に行方不明者は出ていないのでその件では死傷者は出ていないのが救いだな。
その類の兵器が直撃したら生きてる方が不思議だ。まったくとんでもないものを持ち込んでくれたもんだ」
ため息をつく部長。
「まったくですね・・・」
私も相槌を打つ。
「でも、何でそんなものを学内に持ち込んだんでしょうね」
「･･･恐らく狙撃用の兵器だ。学内に狙撃手が居る可能性が高い」
それまで聞くだけで話さなかった師匠が断定するかのように呟いた。
「あぁ、そのくらいしか考えられん。そして・・・暗殺の類は＜アイツーの子弟＞の常套手段だな。」
暗い顔で同意する部長。
「・・・射撃部とかその辺の関係でしょうか」
「そっちの方面の調査は既にやったが関与した形跡は無い。
技能申告してない生徒に関しては情報の掴みようがないのが実情だ。
正直警備部の調査じゃこの辺が手一杯だな。」
「そういえば、身辺調査はどうだった？」
師匠が尋ねると、部長が情報端末用のチップを一枚師匠に渡す。
「全員、不審な点は無かったよ。全部実在の施設や住所だ」
「そうだろうな。この先は俺がやる。＜アイツーの子弟＞なら偽装方法に多少心当たりは有るしな」
言いながらチップをしまう師匠。
「･･･孤児か？」
部長が問う。
「あぁ、そっから調査した方が手っ取り早いだろ、この人数なら」
「その・・・どういうことですか？」
察しがつかないので聞いてみる。
「＜アイツーの子弟＞は孤児などを使うんだよ。そもそもがそういう被検体達の組織なんだよ」
「つまり･･･生徒の中に＜アイツーの子弟＞の手の者が居るってことですか？」
「そうなるな」
即座に肯定する師匠。
「こちらとしては所属してるだけでは罪に問えないのが痛いところだな。
あそこは一応イッポンマツの管轄だ。スポンサーには手がだせん。非合法的な活動をしてない限りはな・・・」
苦々しい顔で話す部長。
「取り合えずこのことは俺に任せろ。詳しく分かったら知らせる」
「分かった。頼むぞ。だが、何らかの処断をするのなら私に知らせろ。それでも学園の生徒だからな、一応」
ここでいったん区切ってこちらを向く部長。
「それと、ライリ。お前に辞令だ」
「辞令･･･？」
「あぁ、明後日から1週間に限り病室の警備を頼む」
「え、トモカの･･･ですか？」
「そうだ。トモカもうちの生徒だぞ。まぁ、休学扱いだがな」
そういえばそんなことを前に聞いたような気がした。
「もちろんあちらの警察との協定も結んである。少なくとも警備関係に関してはいつもどおりの行動をしても構わん」
「分かりました。最善を尽くします」
「ん、頑張れよ。だが無茶はするな。トモカの命が最優先だが、お前の命も粗末にするな。
お前に何かあったら悲しむのはあの子だ。そこは忘れるな。」
「・・・はい。」
その部長の心遣いが嬉しかった。
「トモカが狙われている。気をつけろよ」
「どういうことですか！？」
「先日オーベルがそんなこと言っていてそれで色々調べた。残念ながら本当だった」
「そんな･･･何でトモカが･･･」
「最近、トモカを実験対象の被検体として御子神グループが新技術開発だという噂が流布されていた。
事実無根だが信じた馬鹿が居たようだ。馬鹿の名は＜アイツーの子弟＞。
だが、トモカが御子神の総帥の娘だっていう事実を踏まえて流した噂の可能性が高い。
そのことを考えると病院院内に何かしらの内通者がいる可能性も高い、油断は出来ん。
もちろん父親にはこの事を伝えてあるが既にあちらも掴んでいたよ。
あの子はまだ病院から動かせないそうだからあの病院を死守するそうだ。
あぁ、ライリ。今度の見舞い、連れが居るらしいな。
中止にはしないそうだが全員の身辺調査を頼まれた。こんなところだな」
「そうですか・・・」
正直な気持ち、仕方ないとはいえ彼女達が信じられないというのは余り気分のいいものではない。
色々問題の有る子もいるが皆悪い子じゃないはず・・・だ。
などと考えていると続けて師匠が新しい話を始めた。
「それと学園の生徒に対し、その＜アイツーの子弟＞から干渉があった形跡がある。
このタイミングだ。十分注意しろよ」
「干渉・・・？」
「どうも最先端兵器が学内に持ち込まれたらしい。先日学園内で爆発が感知されたそうだ。
詳しくは･･･ちょうど着たな、こいつに説明してやってくれ。」
「毎度毎度お前はホント厄介ごとを持ち込むな・・・」
後ろから声がして振り向くとそこに居たのは部長だった。
「部長、お疲れ様です」
「あぁ、ご苦労。お前もこんな師匠を持って大変だな」
部長の明らかに師匠への皮肉をこめた呟きに私は苦笑を返す。
「俺が厄介ごとを持ち込んだんじゃない。厄介ごとの方が来るんだ」
師匠が珍しく愚痴っている。どうやら気にしているらしい。
「そういうが、何度お前がちょっかい出した所為で巻き込まれたことか･･･」
ため息をつく部長。
どうやら昔色々師匠に迷惑をかけられたみたいだ･･･。
「昔話より今の話だ。そっちはどうだった？」
流れを切って話を戻す師匠。
「・・・あぁ、色々わかった。これはかなりきな臭いぞ」
少しためらった感があるが続けて詳細を部長が話してくれた。
詰まるところ、学園内に最近開発された最先端科学兵器が持ち込まれた。
旧校舎端に爆発痕と近くの実習地の農学部の植物に被害がでて発覚した。
それは学生の手に渡っている可能性が濃厚で、所持者は現時点では不明らしい。
「―それで、その武器はどんなものなんですか？」
「現時点で判明していることは長距離射程用途の兵器だって事だけだ。どうもそれの暴発が原因らしい。
生徒に行方不明者は出ていないのでその件では死傷者は出ていないのが救いだな。
その類の兵器が直撃したら生きてる方が不思議だ。まったくとんでもないものを持ち込んでくれたもんだ」
ため息をつく部長。
「まったくですね・・・」
私も相槌を打つ。
「でも、何でそんなものを学内に持ち込んだんでしょうね」
「･･･恐らく狙撃用の兵器だ。学内に狙撃手が居る可能性が高い」
それまで聞くだけで話さなかった師匠が断定するかのように呟いた。
「あぁ、そのくらいしか考えられん。そして・・・暗殺の類は＜アイツーの子弟＞の常套手段だな。」
暗い顔で同意する部長。
「・・・射撃部とかその辺の関係でしょうか」
「そっちの方面の調査は既にやったが関与した形跡は無い。
技能申告してない生徒に関しては情報の掴みようがないのが実情だ。
正直警備部の調査じゃこの辺が手一杯だな。」
「そういえば、身辺調査はどうだった？」
師匠が尋ねると、部長が情報端末用のチップを一枚師匠に渡す。
「全員、不審な点は無かったよ。全部実在の施設や住所だ」
「そうだろうな。この先は俺がやる。＜アイツーの子弟＞なら偽装方法に多少心当たりは有るしな」
言いながらチップをしまう師匠。
「･･･孤児か？」
部長が問う。
「あぁ、そっから調査した方が手っ取り早いだろ、この人数なら」
「その・・・どういうことですか？」
察しがつかないので聞いてみる。
「＜アイツーの子弟＞は孤児などを使うんだよ。そもそもがそういう被検体達の組織なんだよ」
「つまり･･･生徒の中に＜アイツーの子弟＞の手の者が居るってことですか？」
「そうなるな」
即座に肯定する師匠。
「こちらとしては所属してるだけでは罪に問えないのが痛いところだな。
あそこは一応イッポンマツの管轄だ。スポンサーには手がだせん。非合法的な活動をしてない限りはな・・・」
苦々しい顔で話す部長。
「取り合えずこのことは俺に任せろ。詳しく分かったら知らせる」
「分かった。頼むぞ。だが、何らかの処断をするのなら私に知らせろ。それでも学園の生徒だからな、一応」
ここでいったん区切ってこちらを向く部長。
「それと、ライリ。お前に辞令だ」
「辞令･･･？」
「あぁ、明後日から1週間に限り病室の警備を頼む」
「え、トモカの･･･ですか？」
「そうだ。トモカもうちの生徒だぞ。まぁ、休学扱いだがな」
そういえばそんなことを前に聞いたような気がした。
「もちろんあちらの警察との協定も結んである。少なくとも警備関係に関してはいつもどおりの行動をしても構わん」
「分かりました。最善を尽くします」
「ん、頑張れよ。だが無茶はするな。トモカの命が最優先だが、お前の命も粗末にするな。
お前に何かあったら悲しむのはあの子だ。そこは忘れるな。」
「・・・はい。」
その部長の心遣いが嬉しかった。
話を戻そう。
未だ凍りついたその場面を何とかしようと私は続けた。
「そのことなら、もう警備も付いているから大丈夫。心配してくれて有難う」
取り合えず止まっていた時が動き出す。
「その子・・・は知っているんですか？」
とヤスノリが聞いてきた。
「ええ、トモカなら連絡したら『私の所為でごめんなさいね』って･･・トモカは悪くないのに」
未だ凍りついたその場面を何とかしようと私は続けた。
「そのことなら、もう警備も付いているから大丈夫。心配してくれて有難う」
取り合えず止まっていた時が動き出す。
「その子・・・は知っているんですか？」
とヤスノリが聞いてきた。
「ええ、トモカなら連絡したら『私の所為でごめんなさいね』って･･・トモカは悪くないのに」
- ホントにトモカは優し過ぎる。
「あー・・ライリさん。一応俺、ロッテからそのこと聞いて感知魔法をこの病院周辺に発動させて見たんだけど」
これはレーベ。
「感知魔法ですか･･･。恐らくだけど、この病院は魔術系疾患の病院だから･･･。
今は病院周辺は感知できるけど病院内部は感知できないと思います。病院が独立した結界を作っていますし。
逆に、中に入ったら外の事象を感知することは出来なくなるので多分意味が無いんじゃないかと･･･」
「･･･そういえばそうですね」
がっかりしたようなレーベ。
その後何事か呟いて解除したらしい。
「でも、ありがとう。気遣ってくれて私も嬉しい」
これは本心だ。
「あーいや、その、ロッテに頼まれたし。礼はロッテに･･･」
ちょっと照れた様子のレーベ。
その後ろでちょっと赤くなってるリーゼ。
「ぶっそうだね、命狙われるなんて。ライリさんも心配だったでしょ」
これはリン。
この子は男･･･の子だよね。
「えぇ、大事な友達だからね･･･」
「ボクもノリが狙われてたら心配でどうにかなっちゃうよー」
きっとこれはふざけて不安を和らげてくれようとしてるんだろう、きっと。
もしかするとリンはホントはとても繊細なのかもしれない。
一瞬、隣のヤスノリの表情がちょっとおかしかった気がした。
すぐに『俺が狙われるわけ無いだろ、馬鹿だなぁ』とかやり始めていたので気のせいかもしれない。
「ライリさん、あなたも大丈夫？」
カトリアが聞いてきた。
「ええ、大丈夫ですよ。それよりそろそろ行きましょう」
私は皆を促して病院へ向かった。
これはレーベ。
「感知魔法ですか･･･。恐らくだけど、この病院は魔術系疾患の病院だから･･･。
今は病院周辺は感知できるけど病院内部は感知できないと思います。病院が独立した結界を作っていますし。
逆に、中に入ったら外の事象を感知することは出来なくなるので多分意味が無いんじゃないかと･･･」
「･･･そういえばそうですね」
がっかりしたようなレーベ。
その後何事か呟いて解除したらしい。
「でも、ありがとう。気遣ってくれて私も嬉しい」
これは本心だ。
「あーいや、その、ロッテに頼まれたし。礼はロッテに･･･」
ちょっと照れた様子のレーベ。
その後ろでちょっと赤くなってるリーゼ。
「ぶっそうだね、命狙われるなんて。ライリさんも心配だったでしょ」
これはリン。
この子は男･･･の子だよね。
「えぇ、大事な友達だからね･･･」
「ボクもノリが狙われてたら心配でどうにかなっちゃうよー」
きっとこれはふざけて不安を和らげてくれようとしてるんだろう、きっと。
もしかするとリンはホントはとても繊細なのかもしれない。
一瞬、隣のヤスノリの表情がちょっとおかしかった気がした。
すぐに『俺が狙われるわけ無いだろ、馬鹿だなぁ』とかやり始めていたので気のせいかもしれない。
「ライリさん、あなたも大丈夫？」
カトリアが聞いてきた。
「ええ、大丈夫ですよ。それよりそろそろ行きましょう」
私は皆を促して病院へ向かった。
同じ頃、近くの物陰で一人のスーツの男が電話をしている姿があった。
「試験者が標的の居る病院に向かうのを確認」
「了解。プランBに変更し試験者を標的Bに変更。以降標的Bへの連絡は不要だ、以上」
電話を受けた男が居るのはトモカの病院近くのビルの屋上。
そこからはトモカの病室が良く見えていた。
そして男の傍らにはスーツケースがあった。
男が呟く。
「見舞い客としてなら確かに入れるだろうな。だが、痕跡が残るんだよ･･･。その辺が分からないようじゃ残念だが失格だ。見込みはあったんだがな･･･」
そしてスーツケースを開けた。
中には<レミー2>が収まっていた･･･。
「試験者が標的の居る病院に向かうのを確認」
「了解。プランBに変更し試験者を標的Bに変更。以降標的Bへの連絡は不要だ、以上」
電話を受けた男が居るのはトモカの病院近くのビルの屋上。
そこからはトモカの病室が良く見えていた。
そして男の傍らにはスーツケースがあった。
男が呟く。
「見舞い客としてなら確かに入れるだろうな。だが、痕跡が残るんだよ･･･。その辺が分からないようじゃ残念だが失格だ。見込みはあったんだがな･･･」
そしてスーツケースを開けた。
中には<レミー2>が収まっていた･･･。
病院へ着き、私達が受付を済ませてトモカの病室へ向かおうとした時だった。
「久しぶりね、ライリ」
後ろから掛かったその声に聞き覚えはあったが正直思い出したくなかった。
「さ、さぁ、トモカの病室へ行きましょう」
私の声は引きつっていた。
横でカトリアが『あの、呼んで･･･』
そこで沈黙する。
途中で口を止めてしまったのはきっと声にカトリアを見た私の顔が凄かったのだろう･･･多分。
「定期健診サボったツケは払ってもらうわよ」
その声をかけてきた人は私の主治医だった。
そして首に刺激を感じた次の瞬間体に力が入らなくなる感覚に包まれながら私の意識は深く落ちていった。
「久しぶりね、ライリ」
後ろから掛かったその声に聞き覚えはあったが正直思い出したくなかった。
「さ、さぁ、トモカの病室へ行きましょう」
私の声は引きつっていた。
横でカトリアが『あの、呼んで･･･』
そこで沈黙する。
途中で口を止めてしまったのはきっと声にカトリアを見た私の顔が凄かったのだろう･･･多分。
「定期健診サボったツケは払ってもらうわよ」
その声をかけてきた人は私の主治医だった。
そして首に刺激を感じた次の瞬間体に力が入らなくなる感覚に包まれながら私の意識は深く落ちていった。
･･･それからのことは余り覚えていない。
気が付いたらひん剥かれて検査を小一時間ほど受けていた気がする。
途中なんか検査と違うことをされてた気がするけど気のせいだ。
というかそういうことにしておきたい。
ともあれ、検査着から着替えた私は診療室でその主治医と相対していた。
「また無茶したいみたいね。ここの数値とか見ると分かるわよ」
「･･･はい。ちょっと」
心当たりは有る。前回のお見舞いの時の帰りのことだろう。そういえばあの頃、本当は検査を受ける予定だったんだ。
たまたま行った時は留守だったらしくこのような様にならなかったみたいだ。
「強化してるとはいえ、素の力は余り高くないんだから後が大変よ。言っても聞かないだろうけどね･･･」
この先生、性格的に苦手だけど心配してくれてるのは良く分かっている。
「そ、それはそうと、皆は･･･」
忘れてたけど皆はどうしたのだろう。
リーゼが実は入院経験あるとかで中のことは詳しいみたいだった。
病室の番号を教えたらすぐ理解してくれたみたいだけど大丈夫だろうか･･･。
私が入院中の時はリーゼを見たことが無い、もしくは覚えてないのだけれど。
「連れの方ならちゃんといつもの婦長さんが連れて行ってくれたわよ」
「あぁ、そうなんですか･･･って皆面識ないけど大丈夫でしょうか･･･」
トモカには一応伝えてあるけど正直不安だ･･･。
「まぁ･･･あの人なら大丈夫じゃない？」
確かにあの婦長さんなら悪いようにはしないと思う･･･。
「そうそう、トモカちゃんのことだけど」
「はい、一応そのことなら私も聞いています。明日から私も警護につきますし」
「そうなの･･･。今、あの子の階は今貸しきり状態にして他の人への被害は最小限になるよう配慮もしてあるわ。
それでも何も起きないことを私としては切に願うわ」
「そうですね･･･」
元からトモカの居る階層は同じ系統の病気でまとめてあるが元から病人の数が少ないので出来た措置だろう。
「こっちに居る間はきっちり面倒見てあげるから死なない限りは何とかしてあげるわ。
それでも無茶しちゃダメよ。それじゃ、いってらっしゃい」
そう言うと書類処理を始める彼女。
死にかけた私を救ってくれた腕は確かなんだ。
性格、いや性癖に問題があるのだけど･･･。
それよりトモカと皆の初顔合わせが不安だ。
私は一礼して診察室を出てトモカの病室へ向かった。
気が付いたらひん剥かれて検査を小一時間ほど受けていた気がする。
途中なんか検査と違うことをされてた気がするけど気のせいだ。
というかそういうことにしておきたい。
ともあれ、検査着から着替えた私は診療室でその主治医と相対していた。
「また無茶したいみたいね。ここの数値とか見ると分かるわよ」
「･･･はい。ちょっと」
心当たりは有る。前回のお見舞いの時の帰りのことだろう。そういえばあの頃、本当は検査を受ける予定だったんだ。
たまたま行った時は留守だったらしくこのような様にならなかったみたいだ。
「強化してるとはいえ、素の力は余り高くないんだから後が大変よ。言っても聞かないだろうけどね･･･」
この先生、性格的に苦手だけど心配してくれてるのは良く分かっている。
「そ、それはそうと、皆は･･･」
忘れてたけど皆はどうしたのだろう。
リーゼが実は入院経験あるとかで中のことは詳しいみたいだった。
病室の番号を教えたらすぐ理解してくれたみたいだけど大丈夫だろうか･･･。
私が入院中の時はリーゼを見たことが無い、もしくは覚えてないのだけれど。
「連れの方ならちゃんといつもの婦長さんが連れて行ってくれたわよ」
「あぁ、そうなんですか･･･って皆面識ないけど大丈夫でしょうか･･･」
トモカには一応伝えてあるけど正直不安だ･･･。
「まぁ･･･あの人なら大丈夫じゃない？」
確かにあの婦長さんなら悪いようにはしないと思う･･･。
「そうそう、トモカちゃんのことだけど」
「はい、一応そのことなら私も聞いています。明日から私も警護につきますし」
「そうなの･･･。今、あの子の階は今貸しきり状態にして他の人への被害は最小限になるよう配慮もしてあるわ。
それでも何も起きないことを私としては切に願うわ」
「そうですね･･･」
元からトモカの居る階層は同じ系統の病気でまとめてあるが元から病人の数が少ないので出来た措置だろう。
「こっちに居る間はきっちり面倒見てあげるから死なない限りは何とかしてあげるわ。
それでも無茶しちゃダメよ。それじゃ、いってらっしゃい」
そう言うと書類処理を始める彼女。
死にかけた私を救ってくれた腕は確かなんだ。
性格、いや性癖に問題があるのだけど･･･。
それよりトモカと皆の初顔合わせが不安だ。
私は一礼して診察室を出てトモカの病室へ向かった。
私の乗ったエレベーターが病室の有る階に着き、ドアが開くのと同時に奥の方から轟音が響いた。
あっちは･･･、トモカの･･･、病室が･･･。
あっちは･･･、トモカの･･･、病室が･･･。
