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  • 021-A:ヤスノリ

021-A:ヤスノリ

最終更新:2010年04月08日 09:08

wkswks

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21-1


「なんだこれ…」
俺は驚きのあまり言葉を失っていたが、ようやく聞き返す事が出来た。

今日はあまりの急展開に混乱することばかりの日だったが、一番の驚きは今のこの状況だった。
なんせ病室に入った途端、「貴方ね。ちょっと来て」と突然初対面のトモカちゃんに言われたと思ったら、なんと自分の制御装置を外し、そのまま病院内の食堂に連れられ、…二人っきりで向かい合っているのだ。

警備のものらしい男が部屋の隅に待機しているが、それ以外室内には誰もいない。
トモカは食堂に入るとすぐに人払いを命じたからだ。
警備の関係か元々なのか人があまり居らず、払うのはそれほど難しい状態ではなかったにしろ…。

「驚いたでしょう?」

あまりの傍若無人。そして意味不明過ぎる。

「CMIって結構大変らしいと思っていたけど…、結構自由に病室から出れるもんなんだな。もっと寝たきりかと想像してたぜ」
「ずっとキカイ付けてないといけないってことも無いのよ。本当はダメだけど…。私ね、怖がられてるのよ。こんな体質だから。だからちょっと脅かすと皆言うことを聞くの。…あ、これ、ライリには内緒よ?」

どう答えていいかわからない。人に知られたくない秘密の数は俺の方が多いはずだと思ったからだ。
そして相手は俺のターゲットである。

「『何処まで知ってる』…って顔ね」
「……」
「狙われてるって話は聞いていたけど、勿論、誰かなんて本当は知らないわ。適当に言ってるだけ」
「俺じゃねーよ…」
「…かもしれないわね」

疑心暗鬼になる。彼女の意図がよくわからない。
否定した俺の声は震えていた。バレただろうか。トモカは俺の心を見透かすようにクスリと笑う。

「ごめんなさい。でも病室入ってくるなり、あんな挙動不審な人見たら、もしかしてって思うじゃない?」
「それだけで?」
「それだけよ」

トモカちゃんは顔をそらしてつぶやいた。その顔はなにか淋しげだった。

「あんなに大勢で来られたらちょっと…。私あんまりそういうの好きじゃないの」
「俺たちの見舞いは迷惑だった?」
「そう思っちゃ…だめなんだろうけど」

イメージとだいぶ違う。ライリの話の印象からは明るくおとなしい印象の彼女だったし、見た目はイメージ通り清楚で純潔そうな、笑顔の似合いそうな少女だ。しかし、実際の性格は大胆でひねくれた側面もあるようだ。ライリの前では猫をかぶっていたという事か。

「私ね。正直もううんざりなのよ。だいぶ前から」
「なにが?」
「検査よ。ずっと昔からだけど。毎日毎日。…知ってる? 私が何をされているのか」
「……」

「大勢の男の人の前で裸にされて…。色々な器具を………」

そこまで話して彼女は沈黙してしまう。相当話し辛い内容らしいが、こっちから聞いたわけではないし、嫌なら話さなければいいと思うのだが、なんだこいつは…。
しかし色々な器具を一体どうするというのか?こんな可愛らしい子を裸にひん剥いて。まだ色を知らない無垢な薔薇を……。

……ああ、なんて事だッ!

よし、将来医療関係に進むのも悪くないかもしれないな!などと考えているとジト目のトモカと視線があった。

「…スケベ」
「お、お前から話題ふったんだろ!」
「ああもう、最低だわ。男なんて皆っ!!」

トモカはバンと机を叩き、激昂して叫んだ。その拍子、部屋の隅に居た警備の男がこちらに身構えた。
それを見てハッとなった俺たちは一度落ち着いて座り直す。

「…でも、男なんでそんなもんなんだぜ?」

なんと言っていいわからずそう答えると、また怒るかと思いきや、何故か今度は笑顔でこちらを見返した。

「正直ね」
「上手いことを言うのが苦手なんだ…」

「…だから私ね。今度のことで殺されてもいいかなーって。だってずっとこの先もこんな状態で、身体をいじられ続け。弄ばれて…死ぬまでずっとよ?」
「…でも、いつかは身体を元に戻す技術が…」
「できる?」
「…あー…いや、そんな保証はないな。うん、ない」
「でしょう?」
「そうだな」

こういう時、希望のある言葉の一つも言えればいいのだが、どうも俺は正直と言うか苦手なのだ。
しかし、『保証はない』と断言した時、トモカは不思議とまた笑顔だった。

「みんな私に希望があるって言うわ。誰も皆…。私のこと、この気持ちも知りもしないのに…」
「誰もが幸せになれるわけじゃない。…思い通りにならない事もあるよな」

これは自分に向けての言葉だった。俺は思わず、珍しく自分の自我を口にしていた。

「そうよ、その通りだわ」

トモカは目を輝かせていた。

「良かった。…貴方にだったら私、殺されてもいいかもしれない…」
「何が良いんだ。……俺じゃないって言ってるだろ」

そう答えた俺の声は、また動揺で震えたいたと思う。
トモカはそんな俺の反応に満足しているようだった。

「ありがとう。気が済んだわ。もう病室に戻りましょう。皆待たせてるし。…そろそろライリも検査を終えて戻る頃だわ」
「勝手な奴だな…」

席を立とうとしたとき、俺は不意に浮かんだ疑問を口にした。

「おい、なぜライリが検査だとわかった?」

直前で起きたあのアクシデント。彼女は知らないはずなのだ。

「集団の音の中、あの子の足音だけなかった」
「……なるほどね」

…これじゃあ俺も見抜かれるわけだ。



21-2


病室に戻ると、彼女は何事もなかったかのようにベットに戻り器具を付け直すと、「ライリには今の事黙っていてね」と一言だけ答えた。その行動に、その場に付き添っていた看護婦も含め、皆あまりのことで絶句したいた。

暫くして間が持たないと感じたリーゼロッテが「あの…」と声を発したその時。


――あたりに轟音が響き渡る!


「うわっ!?」
「な、何!?」
「きゃああああ!」

皆あまりに急な出来事だったのと、その轟音で混乱している。ついさきほど暗殺の話を聞かされたばかりというのもあって、なにか不味いことが起きてのではないか?という心理的効果でよりパニックになっていた。
特に狙われている当の本人、トモカは目に見えて怯えた顔をしていた。さっきまでの二人の時の雰囲気が嘘のようだ。
やはり何だかんだいっても自分が狙われているとなれば、ビビるのも当たり前か…。

いやしかしこの音は…。

その時急に病室の中にライリが息切れしながら飛び込んできた。

「トモカっ!!大丈夫か!?」

その表情は目に見えて動揺していた。

「待て! 皆落ち着けよっ!! この音はそういうんじゃなくって…ヘリの接近の音だ!」

俺は思わず叫んでしまう。
皆が俺の声を聞いて『え…?』という顔でこちらを見た。何故そんな音が判別出来るのか…という顔だ。

しまった…。

その時、ひときわ轟音は大きくなり、ガタガタと窓枠を揺らすと、窓のすぐ外に巨大な輸送ヘリが現れた。
(あれは…アイツーの輸送ヘリだ)
俺には過去に見慣れたものだったが、何故ここに…?

「何だあのヘリは! こんな病棟に接近した位置を飛ぶなど…ふざけている!」

ライリは叫ぶと看護婦の方を振り返る。

「おい、あれはどういう事だ!」

暫く呆然としていた看護婦が慌てて答える。

「え…ああ、そういえば今日確かMMIから何か納品の便が来るっていう話があったような…」
「なんだと!? そんな話、私は聞いていないぞ! おい!」

すごい剣幕で看護婦を怒鳴り散らす。怒鳴られたほうは勢いに圧され、身体を震わせて何も答えられ無くなっている。

「ちょっと…ライリさん…」

見かねたカトリ先生がライリに声をかける。

ヘリは急回頭して、表側のヘリポートがある方へと飛んでいった。
一気に爆音が遠ざかる。

「ちょっと…問い合わせてくる!」

そう言い捨てると、すごい勢いでライリは病室から去っていった。

ライリが去ると部屋の中はまた静寂が訪れた。あまりの展開の連続に一同また言葉を失う。

俺の方は皆とは別の意味で混乱していた。

俺に暗殺の依頼を出したアイツーが、何故その暗殺対象が居る病院と取引状態にあるのか…。
何故あのヘリは病室を覗き見するような危険運転をしてきたのか。あれは運転ミスというよりも何かこちらを挑発しているような動きにしか見えなかった。
明らかにこの病室を狙って接近し、俺達の誰かを確認しに来たというか…。

なんだ、この違和感は…?

ふと視線をあげると、レーベがこちらを何か言いたげな顔で睨んでいた。俺は思わず視線をそらしてしまう。
まいったな…。今日は色々と失敗ばかりを繰り返している。これではとても…。

また暫くしてライリが戻ってくる。

「確認をとったが、間違いなくMMIの納品用のヘリだということだった…。しかしこのような話は…」
「納品って…?」

カトリ先生が疑問を呟く。

…って、まてよ今なんて。『MMI』…だって? さっきのあれはアイツーのヘリだったハズだぞ?
同じイッポンマツグループではあるが、MMIとアイツーではその意味はまた違う。

「それが…その…、新型GPSの試験用の機材という話だ。ほら、先日学園にも導入された…」
「ああ、…って、え、…あれが?」
「…どういう事だ。…何故警護任務に任命された私に、この話が知らされていない?」

俺もそんな話は知らない。もっとも、俺は任務については最低限の話しか聞かされていないし、資料も暗殺に直接関係するものだけだったが。

その話を聞いて、ティオも思う所ありという感じにつぶやいた。

「ヤマダめ…」

聞いたことのない名前だ。

それからすぐに俺達はもう帰るようにとライリに指示された。今日はオフのはずだったが、『今からすぐにやらなければいけないことが出来た。もう引率は出来ないので君達だけ先に帰って欲しい』という話だった。しかし今の流れを知っている俺達からすれば、それが仕方が無いという事は理解出来た。

「すまん、皆…。わざわざ来てもらったのに」

ライリが申し訳なさそうに謝る。

「いえ、無理にみんなで押しかけたのは私の提案だったし…」

カトリ先生がライリをなだめる。

「トモカにも、色々話を聞かせてあげるはずだったんだけど…」
「ううん、気にしないで。私のせいだから…」
「違う。トモカが悪いんじゃない! 全ては『アイツーの子弟』が…、クソッ…」

悔しそうに唇をかむライリ。


帰り道、あの時どんな会話があったのかと仕切りにリーゼに耳打ちされたが、正直ウザかった。こっちはそれに答えるどころではない。「大したことじゃねーよ」と適当に答えるとムッとした顔で余計に不審がられたが、リーゼもそれ以上は追求してこなかった。どちらにしても、もうこれ以上どう不審がられても同じことだ。

…参った。

俺は改めて自分がしようとしていた事の大きさに打ちひしがられていた。
あの最後の悔しそうな顔のライリが、頭からこびりついて離れないまま帰路を歩んでいた。



21-3


寮の部屋に戻る。

病院に向かう途中の公園での会話を思い出す。そして病院での出来事。…気がついたらやたら情報が出回っている。そしてアイツーの理解し難い不穏な動き。さらにトモカ本人のせいで皆にまで不審がられる始末…。

スナイパーとは隠密が基本である。ここまで行動がバレた状態、そして不穏な要素が出来た状態では、もう任務どころではない。状況とは逆に本人に暗殺のご指名頂くと言う栄誉には預かったが…。

隣にいるリョウに聞こえない心の声で俺はつぶやく。

(悪いな…トモカ)

しかし、これで終わるわけにはいかない。アイツめ、…俺が気がつかないとでも思っているのか?
俺には今日の出来事の他に、もうひとつ気がついたことがあった。…って、本当は気がついたのは俺じゃあないんだが…。

隣にいるリョウと目が合う。

「リョウ」
「…うん」

ずっと黙ったまま何も言わないリョウだったが、声を掛けるとハンドベルトPCを隠していたカバンから取り出した。
これはリョウがいつも身につけ持ち歩いているものだが、あの病院の中にも隠してあっさり持ち込んでしまうあたり、俺よりもこういう任務に向いてるんじゃないかと思ってしまう。

ディスプレイを見ると色々な点が地図上で動いているものが確認出来た。

「今日はいろんなことがあったけど…、あの公園での事だけど、ボクが公園で人影に気がついたのは、この反応をトレースしていたからだよ」
「GPSか?」
「うん、最近入ったアイツーのあの新型の奴。病院でもそうだったけど、その前、学園に来た時もなんか経緯がおかしかったから一応ジャックしておいたんだよ」
「ジャックって…お前…」
「といっても流石のボクもID認証サーバーは通せなかったから、点が誰かまで分からない。位置だけ。…スペック的にもコイツだとちょっと…」

それでも十分凄い。リョウの能力には驚かされることばかりだ。公園での会話の時、物陰で電話をしている男がいた事に俺は気づく事が出来たが、それは横に居たリョウがその事をこっそり俺に教えてくれたからだった。何故リョウが気がついたのかは今教えられたとおりGPSトレースがあったからだ。

「トレースしてからずっと、生徒のものとは違うっぽい反応があって気になってたんだ…。部室のロッカーの位置で暫く固定されていて、今日になって動き出して…。あれ、…たぶんノリの、…だよね?」
「…知っていたのか」
「何かは知らない。知るのが怖かったら実物は確認しなかったんだけど…」

俺は少し考えて、リョウの思考をたどる。

「…なるほどね」

ずっと動かないGPS反応。…それでおそらく何かの道具であると仮定したのだろう。そして公園での接近時に俺に知らせる事で、その人物が持っているスーツケース、それを見た俺の反応から大体予測を立て、なにか俺に関係がある代物だとカマをかけて来たのだ。それに対し俺は『知っていたのか』と答えた以上、もう確信に至ってしまったのだろうな。

「……何処から話せば良いのか…」
「何処からでもいいよ」

俺は観念した。自分がアイツーの施設にいた孤児だったこと、それから今回の任務についてなど、知っていることを全てリョウに話して聞かせてやった。一番話したくない人物に語る俺はかなり声も緊張でうわずっていたと思うが、聞いているリョウの方は意外なほどに落ち着いた顔で黙って聞いていた。

「…あまり驚かないんだな」
「昔から、なんとなくノリは、そういう境遇なのかなと…。孤児とかは完全にはわからなかったけど…、たぶん僕とは違うんだなっていうオーラはいつも感じでいたから…」
「…そうか」
「ずっと一緒に居るんだよ。そういうのは、…なんとなくわかるよ…」
「…」

こいつなりに普段から色々悩んでいたんだろう。…悪い。心配かけて。


「話戻るけど…。そのGPSの反応、俺がもらったライフルなんだろうな」
「だろうね」
「しかし、あんなもの仕込まれていたなんて…。アイツーって相当俺に対して信用がなかったのかなぁ」
「たぶん…というか、いかにノリが優秀だとしても学生にそんなもの任せるなんておかしいよ。しかも試験段階の武器を渡すなんて、おかしいし」
「俺もそれは思っていた」
「武器のテストも兼ねている…とか?」
「…うーん。かもしれないけどなぁ」

ただ、あの病室の窓から確認した狙撃ポイント、裏山の規定位置と思われる場所からは結構な距離がある。長射程のレールガンのような特殊なライフルでないと通常の狙撃は難しいというのもわかった。

…ま、俺だったらあんな距離、どんな武器でも問題なかったんだけど。

「ただ、どのみち今となっては別の人間に武器を取り上げられた以上、俺は任務失敗。解雇ってことなんだろうさ」
「…だよね。でもそれだとノリは…」
「アイツーからは縁が切れる。…そうすると援助も切られる。……学園からは去ることになるか…」

リョウが俺に回した腕にぎゅっと力がこもる。
本当はそれだけではない。任務を知っている以上、最悪の場合、今度は俺自身が命を狙われる立場になるかもしれない。

「でも、いけないことだ。やっぱり、こんな事であの子を殺すなんて…。だから、これで良かったんだよ」
「…う、うん」

結果はどうあれ、それも自業自得なんだろう。

「…ごめんな。リョウ」
「……」

リョウは何も答えなかった。ただ俺の腕にぎゅっとつかまって…、二人の間に沈黙が流れた。
それから暫くして、不意にしゃべりだしたのはリョウの方からだった。

「…でも、ちょっと待って。なんか色々おかしい所がない?」
「…ん?」
「ノリってアイツーから暗殺の依頼を受けてたって話でしょ? …じゃあなんで今日、MMIのGPSが納品されるなんて事が…? これじゃあイッポンマツグループと病院って対立してるのか…、協力してるのか…」
「そうなんだよな…。しかもあれ、MMIじゃなくてアイツーのヘリだったんだぜ?」
「え?」
「いや、普通の人じゃ外見じゃわからないかもしれないけど。イッポンマツグループはどれも輸送機のロゴがMMIだからな。でもあれは、アイツー仕様のものなんだ。間違いない」
「なんかそれ、余計ややこしい事になってるよね…」

リョウがふと思いついたことを口にする。

「そういえば、あの新型GPSなんだけど…、あれってあまリ表向きには発表されてないけど、MMIとジオ社の共同開発らしいんだよ」
「はい…? えっと、ジオ社って…何? どういう事…」
「もう…、こういうのは相変わらず弱いんだね、ノリは」
「うるせーなぁ…」

こういった企業間のなんちゃらってのは俺はどうも興味が持てなくて弱い。その点、リョウは逆に興味を持って何でも調べてしまうので、たまにこうして助けられることが多い。

「ジオ社…、『ジオメトリック・カザマツリ』は、医療と考古学っていう、ちょっとわかりにくい部門の会社なんだけど…」
「医療と、こ、考古学…? なんだそりゃ?」
「うんまぁ…、『魔法と人体の研究分野』って言えばいいのかな? ほら、魔法の研究には考古学も関係してるでしょ?」
「ああ、そういう事…」
「要するにトモカちゃんみたいなCMIの研究はジオ社にとっては専門分野になるわけ」
「…うん。なるほど。…あ、そういう分野ね」

俺はなんとか話についていこうとする。…うん、今のところ、なんとか理解出来ているぞ。

「当然、あの病院もジオ社の協力のもとで運営されている」
「…なるほど」
「あの分野の研究は、人体実験とも揶揄されたりするけど、実際には必要な研究だし、それで解決した病気もいっぱいある。だからノリが聞かされた話のようなことはあっても不思議じゃないと思うよ。…トモカちゃんの件が裏でどうなってるのかはわからないけど…」
「本人は治療っていうよりも、実験っぽいことをされてる様なカンジの言い方だったぞ」

トモカの苦悩の顔が脳裏をよぎる。

「本人の主観だとちょっとわからないけど…、『要するに同じこと』だと思うよ。言葉でどう表現してるのかの違いで、未知の病気を研究して、手に入れた技術を治療や他の分野でも使えるものは生かすってのは、僕たちには必要だし、これって当たり前のことでしょ?」
「……うん、そうだな」

俺がちゃんと納得するのを待ってから、リョウは説明を続ける。

「で、そうなると…。これってどういう事だと思う?」
「えーっと、つまり…、これじゃあ、病院とジオ社とイッポンマツ関連のところって完全にグル…ってことだよなぁ…」

何がなにやら…。俺の頭はパンク寸前だった。

「うーん、わからん!」

「でも、少なくとも…」
リョウは一旦言葉を切ると慎重に話す。
「イッポンマツグループの内情は、ちょっとややこしいことになってそうだね」

「…だな」
「そうなると余計、ノリの受けた任務も言葉通りのものだったかは…」
「…怪しいよな」

任務だけではない。さっき話題に出た武器の問題にしろ…。

「あと、あの公園で見かけたアイツだ。…なんで今になって出てきたんだろう」
「もしかして、あの人ってノリの知ってる人なの?」
「まぁ…な……」

ここでまた暫く二人の間に沈黙が生まれる。

「…あの公園の男な。実は俺の昔の仲間だったヤツなんだ」
「同じアイツーの孤児?」
「そうだけど、それより前さ。俺と一緒のスラム出身で、元々仲間だったヤツなんだけど、なんつーか昔から生意気で、いばりんぼで好きになれない奴だったんだ。俺より先にアイツーの正式なメンバーになったけど…、俺より銃の腕はヘタックソで…」

ここまで話して、俺は今後どうすべきか、ようやく気持ちが固まった。

「よし…決めた。俺は今から病院の裏の山。狙撃ポイントに向かう」

俺はリョウの手を解き立ち上がると、部屋に隠してあったハンドガン《357XⅡ-L》を取り出し、ホルスターに固定して上着の下に装着した。ライフルはもうない。これが俺の唯一の武器となる。

「え…、ちょっとノリ…?」

リョウの動揺する声に構わず俺は話し始める。

「…アイツの今の名前、コードネームは『トースター・森崎』ってんだよ。サクッと仕事をこなすことが、まるでトースターのように簡単で手早い、という事に由来してるって事だが、俺に言わせりゃただのせっかち野郎で…。いけすかない。手のかかるヤツでな」

あと由来には『好物が食パン』というのも関係しているが、どうでもいい。

「…ま、ともかく気の短いヤツの事だから、もう動き出しているかもしれないんだわ」
「GPSの反応は無くなってるけど」
「どうかな、別の武器に変えるために回収したのかもしれないし、単にGPSを解除したのかも。…ただ、どっちしろヤツの暗殺の実行は急ぐ必要があるだろう。トモカちゃんを今とは別の場所に移されちゃかなわん。今動かないのは制御装置の移動の手間の関係だと思うから、今なら…」

あの病院の裏の山。距離はあるがいい狙撃ポイントだ。

俺はホルスターからもう一度ハンドガンを抜くと残弾数を確認し、また元に戻す。それから忘れていた魔術具のGPS機能をアップデートする。これでよし。

「それでもアイツが実際いつ動くかなんてわかんないけど、こっちが動けばヤツも出てこないわけにはいかないだろ?」

ヤツが俺の『レミー2』を回収出来たということは、GPSの受信装置を持っているハズだ。だから俺が動けば、向こうにその情報は伝わるはず…。

「まさか…ノリ…。自分が囮に!」

俺はリョウの方に向き直ると、ゆっくりと強く語りかける。

「いいか、リョウ。結局俺は仕事を降ろされたし、アイツーの内情もなんだか良く分からない状態だし…、もう俺なんか部外者になっちまったのかもしれない。けどな…」

リョウは黙って、まっすぐ俺を見つめている。

「やっぱり自分のケリはきちんと付けなくちゃなんねーんだ。トモカちゃんが今も狙われていることは確かで、そして俺の古い仲間がその間違ったことをやろうとしている。…まぁ、それは最初は俺だったかもしれないけどな…」

リョウの目は潤んでいる。

「ようやく目が覚めたんだ」

俺は部屋を出ようとする。

「ノリ!」
「いってくるわ」
「待って!ボクも行く!」
「駄目だ!」

リョウは全身で俺にタックルをかけるようにして止めてくる。しかしリョウの体格では俺には勝てない。

「ダメだよ、ノリ!」
「わかってくれ…。お前みたいな弱っちいのがいたら迷惑なんだ!」

わざと傷つける言葉を口にするが…。

「…じゃあ、別のことで協力する! それならいいでしょ!?」

コイツなかなか強情だぞ。困った…。

「…わかった」

俺は納得した振りをする。それでリョウの方は安心して気が抜けたようだ。その瞬間!

「ぅ………」


溝落に一撃。リョウはすぐに沈黙した。なるべく痛くないように不意をついたつもりだが、大丈夫だっただろうか。
俺はリョウをベットに寝かすと。ようやく作戦を開始することにした。

…作戦といっても大したことをやるわけじゃあない。GPSをつけた状態で病院裏山の現場まで行く。『トースター・森崎』がどういう状況にせよ、俺を牽制するために現れる事になるだろう。あとは難しいことではない。俺がヤツを倒すか、最悪でもドンパチやってる音でライリほか警備の連中がくればそれはそれ、後はどうにかなるかもしれない。

…それだけの作戦だ。しかし、それだけで少なくともトモカの安全は約束される。

俺は部屋をあとにする。時刻は夕刻を過ぎ、これから闇に染まっていくという時刻だった…。



…その後、リョウが目をさますのは数十分後のことだった。
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