ちょっと仕掛けてみるか。ナイトビジョンを一旦解除すると、俺は制服のズボンから携帯用の風船を取り出し膨らませる。なんとなく人型に見えるその風船はアイツーの施設で訓練を修了した際にもらったダミー用の風船だ。こいつにペンライトをくくりつけて点灯させると同時に、少し離れた地面へむけて放り出す。こんな見え見えのダミーに引っかかってくれるとも思えないが、これで目視も可能な距離にいるのかどうかがわかるはず。
「そこだ! 直撃させる!!」
どこかのSFロボットアニメの主役かよ…ヤスノリは苦笑いしつつ、木の上から青白い電磁場が走る位置を確認した。同時にレールガン特有の着弾音が響き渡るとダミー風船とペンライトは跡形もなく消し飛んでいた。
しかしあっさり即席のダミーなんかに引っかかるなよ…森崎…当てる腕は大したもんなんだが…。
しかしあっさり即席のダミーなんかに引っかかるなよ…森崎…当てる腕は大したもんなんだが…。
「また外れた…? あっ、てめえ西郷! 風船とかセコい真似しやがって!」
森崎の真剣に悔しそうな叫びが聞こえた。長射程武器もちに正面から挑む奴はいねえよバカ…
「まだ…距離あるな…」
さて、こんな場所じゃレールガンのバッテリーをチャージできるような場所はないはず。森崎のやつが発射できる回数は最大でもあと3回か…だが弾丸自体はあと27発も残ってる。予備のバッテリーを持っていることを前提とすると長期戦じゃ俺が不利なのは間違いない。
と、なればあいつより先に位置を特定して奇襲、レミーⅡを奪うか使えなくするほうが安全だな。
と、なればあいつより先に位置を特定して奇襲、レミーⅡを奪うか使えなくするほうが安全だな。
ヤスノリはホルスターからハンドガンを取り出すと、身をかがめて行動に移す機会を伺うため再びナイトビジョン詠唱の集中を開始する。
その時、背後に何かの気配を感じたヤスノリが振り向いた刹那―、
その時、背後に何かの気配を感じたヤスノリが振り向いた刹那―、
「!?」
ドォォォォォォォン!!
とっさに木から飛び降りるヤスノリの頭上に飛来した光弾が弾け、強い光と轟音が炸裂する。
同時に風を切るような音と共に飛来した鋭角な何かがヤスノリのもつハンドガンを弾き飛ばした。
とっさに木から飛び降りるヤスノリの頭上に飛来した光弾が弾け、強い光と轟音が炸裂する。
同時に風を切るような音と共に飛来した鋭角な何かがヤスノリのもつハンドガンを弾き飛ばした。
「うぉっ!?」
「せぇぇぇぇぃ!」
「せぇぇぇぇぃ!」
なんだ!?…スタングレネード!? ヤスノリが考える暇もなく光の収まりきらぬ下から常人離れしたスピードで飛び込んでくる人影、
手には長物らしきものが見える。
手には長物らしきものが見える。
「やべぇっ!」
ヤスノリは制服の上着を脱ぎ、相手めがけて投げつける。
人影は投げつけられた制服を長剣で切り払うが、一瞬視界が遮られた。ヤスノリはすかさず一気に間合いをつめて足払いをかける。
勢いのまま足払いをかけられた人影は一瞬バランスを崩したが即座に後ろへと跳躍し再び長剣を構え直した。
人影は投げつけられた制服を長剣で切り払うが、一瞬視界が遮られた。ヤスノリはすかさず一気に間合いをつめて足払いをかける。
勢いのまま足払いをかけられた人影は一瞬バランスを崩したが即座に後ろへと跳躍し再び長剣を構え直した。
一体ナニモンだよ、こいつ…って!?
光が消える瞬間、ヤスノリは相手の顔を認識し驚愕した。
「…!……!?」」
「い、今のはライリさんか…!」
「い、今のはライリさんか…!」
まださっきの轟音の影響下で相手の声がよく聞き取れないが、一瞬見えた目の前の人物は間違いなくライリだ。
まずった…。確かに警備部…ライリたちが気づいてくれればとは思ってたが、森崎より先に遭遇しちまったら俺が疑われて当然だよな…
さて、どう説明したもんかな…
まずった…。確かに警備部…ライリたちが気づいてくれればとは思ってたが、森崎より先に遭遇しちまったら俺が疑われて当然だよな…
さて、どう説明したもんかな…
ライリは驚愕していた。師匠と部長以外には止められたことのない奇襲パターンが破られたこともそうだが、それ以上にショックの光が見せた相手が学園の生徒、それも昼間病院へ一緒に行った一人…ヤスノリだったことに。
「…お前…!お前がアイツーの子弟だったのか!?」
ライリは剣を構え警戒したまま、目の前の男に訪ねる。
昨日師匠が言っていた事を思い出す。…アイツーの子弟は孤児を引きとって施設で育成されるのだと。
部長が調べた身辺調査では施設出身だったのは確かにあいつだけだ…辻褄は…合ってしまう。
昨日師匠が言っていた事を思い出す。…アイツーの子弟は孤児を引きとって施設で育成されるのだと。
部長が調べた身辺調査では施設出身だったのは確かにあいつだけだ…辻褄は…合ってしまう。
「…、…!」
まだショックの轟音の残りで、男が何を言っているのかよくわからない。
しかし―、例え本当に目の前の男がヤスノリだったとしても…病院の裏手で銃を持って潜んでいたんだ…!状況証拠は揃ってる。
とにかくあいつを捕まえて吐かせる、今はそれでいいはずだ!
ライリは再び相手に向かって突進する。相手は丸腰、今度は防御させない…!
みるみるうちに距離は縮まり間合いに入ると同時に剣を振りおろす。これで…トモカは助かるんだ!
しかし―、例え本当に目の前の男がヤスノリだったとしても…病院の裏手で銃を持って潜んでいたんだ…!状況証拠は揃ってる。
とにかくあいつを捕まえて吐かせる、今はそれでいいはずだ!
ライリは再び相手に向かって突進する。相手は丸腰、今度は防御させない…!
みるみるうちに距離は縮まり間合いに入ると同時に剣を振りおろす。これで…トモカは助かるんだ!
「ダメ―――――ッ!!」
女性の声!?
叫びと同時に目の前を人影が遮る。至近距離だから今度ははっきりと顔が見えた。リン・ランリン――!?
ヤスノリもライリもその瞬間は全てがスローに見えた。剣はリンの右袈裟めがけて振り下ろされていく。
――ダメだ、止められない!
叫びと同時に目の前を人影が遮る。至近距離だから今度ははっきりと顔が見えた。リン・ランリン――!?
ヤスノリもライリもその瞬間は全てがスローに見えた。剣はリンの右袈裟めがけて振り下ろされていく。
――ダメだ、止められない!
「リョオォォォォォォッ!!」
ヤスノリの絶叫が山に響いた。