遠足当日―――――


右野SideStory


右野『みなさん、いますか?』

………

いない……だと……!


生徒がいない。
まさしくこの事実は私の存在意義を真っ向から否定している証ではないのか。そして、私はいま……

孤独。

私が何をしたって言うんだ!
どうせただの無免許の教員ですよ!
?無免許ってことは教員ではない?
……それはさておき、どうする。

時刻は6時50分。学校の中庭からみる景色はもう真っ暗闇だ。電気がどこもついてない。なぜ?集合時間は7時だったはず。

孤独。

………あ……

……あ!

色々な『なぜ?』が腕時計を見返して解決した。

またやってしまった。
腕時計を逆に付けていた!道理で暗いわけだ。1時20分ではないか!

「京子ちゃん、またうっかりちゃん!」

孤独。

そう、孤独。

だが、それにはもう慣れた。

とりあえず帰ろう。

家に帰ってまた出直そう。

私はそう思い校門を出た。


ああ、また一人か。

この道はさっき通ったばかりだ。私の人生って何だろう?同じ道を行ったり来たり、これの繰り返し。けっして先には進まない。

私はなんだか悲しくなり空を見上げた。

ああ、雲はいいな。自由で。大空に漂う自由な浮き雲。私は雲になりたい………


そんなことを考えていると、空に一筋の光が見えた。

流れ星……?

ああ流れ星もいいな……。

しかし、私は本で読んだことを思い出した。

たしか、流れ星の正体は大気圏で燃え残ったゴミや塵だったはず。

やっぱり私は雲になりたい。

心からそう思う。



右野の目から一筋の箒星が流れ落ちて地面に消えた。

右野SideOut



右京Side


ヤバイ、ヤバイ。寝坊しちゃったよ。みみみんな怒ってるだろうな。くそ、走ってるせいでエナメルが肩に食い込むーー。


右野『みなさん、ちゃんといますか?点呼とりますよ……右谷君』


右谷『はい!』


右野『小澤さん!』


小澤『………』


右野『おざ……ダンゴムシさん!』


小澤『はい!!』


右野『いるなら返事してくださいね………次は……君……さん』

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最終更新:2012年01月27日 21:29