所有格はものの持ち主を与える形容表現です。
xarpa2では品詞辞「ie」によってあらゆる名詞から所有格を作ることができます。xarpa2の所有格は形容詞の一種です。
所有格によって表される関係には、物質的な所有関係だけでなく、ものが持っている情報のような概念的な所有も含まれます。
属性詞が名詞形と形容詞形を両方提供する場合、一つの属性詞から「e」と「ie」という複数の形容詞が作れることになりますが、これらは厳密に使い分けなければなりません。
「sinke」(赤い)は物体の色が赤であることです。一方で「sinkie」(赤の)は、まず赤という色を考えてから、赤が持っている色の波長などを参照するのに使います。
所有格は一旦名詞形を考えてから形容表現を作ります。そのため、所有格の形容詞を名詞として別の形容詞で修飾することができます。
この表現では「sarte」(白い)は「daina」(足)ではなく、「nyaimie」(猫の)の原形である「nyaima」(猫)に対して修飾します。そのため、猫全体としては白くても足自体はそこまで白くないかもしれません。猫ではなく足が白いことを言いたい場合には次のように「nyaimie」を「sarte」から見えないようにします。
代名詞の項目で挙げた所有格も実は品詞辞「ie」によって作られています。
形容詞と名詞を両方提供する属性詞は、形容詞eと名詞形から派生した所有格ieの2通りの形容表現を持ちます。これらは日本語では同じ「の」で表されるため、条件を理解して使い分けなければなりません。
例えば「鉄の剣」は「鉄製の剣」の意味であり、「剣」は「鉄製」の持ち物ではないため形容詞eを使います。一方で、「鉄」の持ち物といえるものは所有格で表します。「鉄」の場合、原子番号や取引価格などの情報が当たります。
これらは実は修飾する側とされる側のどちらに着目するかで使い分けられています。「鉄の剣」はまずありとあらゆる「剣」を想定し、個々の「剣」に対して「鉄の~」といえるものだけを残したものを表します。一方で「鉄の原子番号」ではまず「鉄」を考え、「鉄」に対して「原子番号」を質問し、返ってきたものを表します。
この法則に従うと、「日本の台所」や「畑の肉」のような表現はieを使うことになります。世界中のすべての「台所」を列挙し、「日本の~」といえるものだけを残したら日本に存在するすべての台所が当てはまってしまい、大坂という意味にはならないためです。