クロージャ
概要
クロージャは文の中に文などを埋め込むことができるxarpa2特有の文法です。
- tha ri lee ge nyaima ri karto id kyurau eela
di toripoleto. サ リ ッエー ゲ ニャイマ リ カルト イヅ キューラウ エーア ディ
トリポエート 私はとある猫が魚を食べることを考えた。
- ge nyaima ri karto id kyurau. ゲ ニャイマ リ カルト
イヅ キューラウ とある猫が魚を食べる。
- tha ri ha di toripoleto. サ リ ハ ディ
トリポエート 私はそれを考えた。
上の例文では「tha ri ha di toripoleto.」(私はそれを考えた。)の中に「ge nyaima ri katro id
kyurau.」(とある猫が魚を食べる。)が名詞として埋め込まれ、二つの動詞を含む一つの文になっています。文の中に文を名詞として埋め込むための手順は次の通りです。
- 内側の文と外側のを作る。外側の文の埋め込みたい場所には「ha」を置いておく。
- ge nyaima ri karto id kyurau.
- tha ri ha di toripoleto.
- 外側の文の「ha」を「lee eela」にする。
- ge nyaima ri karto id kyurau.
- tha ri lee eela di toripoleto.
- 内側の文の末尾の句点を消す。
- ge nyaima ri karto id kyurau
- tha ri lee eela di toripoleto.
- 内側の文を外側の文の「lee」と「eela」の間に埋め込む。
- tha ri lee ge nyaima ri karto id kyurau eela
di toripoleto.
文の一部がクロージャになるための条件は、その部分がクロージャの品詞辞「-ee」「ee-」で囲まれていることです。クロージャの品詞辞は修飾先の品詞を持つ文節ではなく、対応するクロージャの品詞辞に対して結合します。すなわりクロージャの品詞辞はカッコのようなものです。
用途
クロージャの最大の利点は、品詞辞がクロージャの内外をまたいで修飾できないことです。同じ構造でクロージャを無くした例を考えます。
- tha ri lee ge nyaima ri kyura di karto eela di
toripoleto. サ リ ッエー ゲ ニャイマ リ キューラ ディ カルト エーア ディ
トリポエート 私はとある猫が魚を食べることを考えた。
- × tha ri ge nyaima ri kyura di kartolcha di
toripoleto. サ リ ゲ ニャイマ リ キューラ ディ カルト ディ トリポエート 「私がとある猫が魚を食べる」ことを考えた。
下の文は動詞「karto」(食べる)に対して「ri」(~が)が2個修飾してしまっています。xarpa2では品詞辞は単に向いている方向に向かって修飾対象の文節を探すだけで、正しく修飾できるかどうかを判断しないためです。
しかし節にあたる部分をクロージャにして外部から隔離することによって、外側の副詞はクロージャの中を無視してクロージャの向こう側の動詞を修飾するようになります。クロージャは一つのクロージャ全体で一つの属性詞のようにふるまいます。
埋め込めるもの
クロージャによって埋め込むものは文でなくてもよく、名詞を名詞として埋め込むこともできます。
- ge nyaima ri katro id kyurau. ゲ ニャイマ リ カルト
イヅ キューラウ とある猫が魚を食べる。
- ge nyaimalcha ri katro id kyurau. ゲ ニャイマーシャ
リ カルト イヅ キューラウ とある猫が魚を食べる。
- -acha (名詞から名詞を作る。何の効果もない接尾辞。)
- lee ge nyaima eela ri katro id kyurau. ッエー ゲ
ニャイマ エーア リ カルト イヅ キューラウ 「とある猫」が魚を食べる。
3の文はクロージャとして埋め込まれた名詞から名詞を作っているので、名詞を名詞にする接尾辞がついた2と同じ構造を持っています。しかし名詞はもともと名詞なので、何もつけていない1と同じ意味を持つことになります。
クロージャの中が動詞であった場合は動詞から名詞を作ることになりますが、その場合も同様に暗黙に動詞を名詞にする接尾辞が付いているように振る舞います。
対応するクロージャの品詞辞の省略
クロージャの品詞辞だけを持っている文節「lee」は、文の端にある場合は省略することができます。
- lee ge nyaima ri karto id kyurau eela di tha
ri toripoleto. ッエー ゲ ニャイマ リ カルト イヅ キューラウ エーア ディ サ リ
トリポエート とある猫が魚を食べることを私は考えた。
- ge nyaima ri karto id kyurau eela di tha ri
toripoleto. ゲ ニャイマ リ カルト イヅ キューラウ エーア ディ サ リ
トリポエート とある猫が魚を食べることを私は考えた。
これは数式で言うと次のような感じです。
対応するクロージャの品詞辞が見つからないまま文の端に到達すると、そこにクロージャの境界があるものとみなされます。
一般の文節によるクロージャ
ここまでクロージャは何の働きもないダミーの属性詞「l」によって作られました。しかし、文節によってはそのままクロージャの境界となることができます。
例えば格副詞はクロージャの品詞辞をそのまま付けることができます。
- tha ri lee ge nyaima ri kyura di karto eela di
toripoleto. サ リ ッエー ゲ ニャイマ リ キューラ ディ カルト エーア ディ
トリポエート 私はとある猫が魚を食べることを考えた。
- tha ri lee ge nyaima ri kyura di karto eedi
toripoleto. サ リ ッエー ゲ ニャイマ リ キューラ ディ カルト エーディ
トリポエート 私はとある猫が魚を食べることを考えた。
下の文では「eela
di」が「eedi」と省略されています。「idee」は右側の節を左側の動詞に目的語として渡す、英語の「that」のような働きをします。
- I thought that a cat eats a fish.
- tha ri toripoleto idee ge nyaima ri karto id
kyurau. サ リ トリポエート イデー ゲ ニャイマ リ カルト イヅ
キューラウ 私はとある猫が魚を食べることを考えた。
最終更新:2018年07月12日 00:49