受動態
概要
受動態とは、行為をする方ではなく行為を受ける方が動詞の主語となる動詞の形態です。これに対して、通常の行為をする方が主語になる形を能動態と呼びます。このような動作を行為者と被行為者のどちらの視点から見るかを態と呼びます。
xarpa2での能動態と受動態の例を挙げます。
- 能動態
- ge nyaima ri kartoleto id ge kyurau. ゲ ニャイマ
リ カルトエート イヅ ゲ キューラウ とある猫がとある魚を食べた。
- 受動態
- ge kyura ri kartolredoeto ib ge nyaimau. ゲ
キューラ リ カルトレドエート イブ ゲ ニャイマウ とある魚がとある猫に食べられた。
- kartolredoeto カルトレドエート 食べられた
- -oredo ~られる
接尾辞「-oredo」により、動詞は受動態となります。
受動態以外の態
xarpa2ではすべての格でそこからの視点となる態を作ることができます。例えば、動作の行先を主語にした文の場合、次のようになります。
- 能動態
- tha ri harko id picimau in Tokyo'au. サ リ ハルコ
イヅ ピツィマウ イン トキョーアウ 私は川を進んで東京に行く。
- 終動態
- Tokyo'a ri harkolreno ib thau id
picimau. トキョーア リ ハルコレーノ イブ サウ イヅ ピツィマウ イン トキョーアウ 東京は私に川を進んで来られる。
動作の主以外を動詞の主語にするための接尾辞は、「-ore」+格副詞の属性詞+「o」で表されます。
能格・受格から能動態・受動態を作るように、動作の終点を表す終格が主語となる態を終動態と呼びます。
通常の態
態の接尾辞を何もつけなかった場合、主語「ri」格が表すものは能格「bi」となります。能格「bi」は態によらず、常に動作の主を表します。
能格を主語にする接尾辞は「-orebo」ですが、能格はデフォルトで主語となるため、この接尾辞は通常使いません。
主部と述部
動詞と動詞の項からる動詞句のうち、主格の部分を主部、主格を除いた部分を述部と呼びます。
- tha ri harko id picimau in Tokyo'au. サ リ ハルコ
イヅ ピツィマウ イン トキョーアウ 私は川を進んで東京に行く。
- 述部: harko id picimau in
Tokyo'au. (~は)川を進んで東京に行く。
- Tokyo'a ri harkolreno ib thau id
picimau. トキョーア リ ハルコレーノ イブ サウ イヅ ピツィマウ イン トキョーアウ 東京は私に川を進んで来られる。
- 述部: harkolreno ib thau id
picimau. (~は)私に川を進んで来られる。
主部と述部の名詞の挙動の違い
名詞はある特定の範囲を表す品詞ですが、文が正しくあるためにその名詞が表す範囲のうちすべて満たしていなければならないか、いずれか一つが満たしていればよいかは主部と述部で異なり、主部ではすべてのものが述部を満たしている必要があります。
主部と述部での名詞の挙動の違いの例を示します。
- ge nyaima ri kartoleto id kyurau. ゲ ニャイマ リ
カルトエート イヅ キューラウ とある猫が魚を食べた。
この文で「kyura」(魚)は世界中のあらゆる魚を表しますが、格が受格であるため、猫はこのうちどれか一つを食べるだけで文が正しいものとなります。
一方、猫の方の「ge」(とある)を外すと、世界中のあらゆる猫がとある魚に食らいついているという意味になります。
- × nyaima ri kartoleto id ge kyurau. ニャイマ リ
カルトエート イヅ ゲ キューラウ 世界中の猫がとある魚に喰いついた。
この文は「nyaima」(猫)に対する普遍的な説明となります。
では、後者の文をそのまま受動態にしたらどうでしょうか。
- ge kyura ri kartolredoeto ib nyaimau. ゲ キューラ
リ カルトレドエート イブ ニャイマウ とある魚が猫に食べられた。
この文では、先にとある魚をイメージしてから、その魚がなんらかの猫に食べられたことを意味します。
態はどの格を主部とするかを決定し、名詞の使い方を変化させるのです。
最終更新:2018年07月12日 19:36