リンディスヴァート制憲諸邦同盟

国名:リンディスヴァート制憲諸邦同盟
英名:Constitutional Realms of Lijndisvart
地域:イクファターナ大陸北方 リンディスヴァート十七諸邦
国歌:リンディスライヒの歌
国花:紫陽花
通貨:リンディス・クロン
公用語:リンディス語
首都:ハレヴエルツ公爵領デオルムント
政体:立憲君主制・議会典則制
元首:リンディスヴァート女王 ベアトリーセ・バーデ・エールリヒ・フォン・リンディスヴァート・アイブリンガー=エスレーベン
宗教:円十字教(リンディスラント福音主義教会)
気候:冷涼湿潤
民族:リンディス人
経済:戦後不況から脱却できず、各地で暴動が発生
農業:穀物と畜産による複合農業が主流
工業:かつては大陸有数の重工業国として君臨、大戦の影響により今もなお機能不全
鉱業:南西部にまたがる中央山脈に依拠した大規模な鉄・石炭の採掘
商業:リエナ運河沿岸の商業ギルドの伝統を持ち、交易中継地点として繁栄。金融業が発達
軍事:伝統的な陸軍国。精強を謳われた王国軍は解体され、各諸邦の郷土警察軍に細分化される

地理

イクファターナ大陸北端のリンディスヴァート十七諸邦(まとめてリンディスライヒとも呼称)によって構成。

リンディスヴァート王領

十七諸邦に点在する慣習的所領や寄進地、国有地の総称。
国王本来の慣習的所領を除き王領はリンディスヴァートの王冠に属すると解釈されている。

ケーニヒスヴィーゲ(61)

後にリンディス人のルーツとなるイスティング人が初めに到達・定住した一帯。最大版図を誇った当時のヤード帝国の北上を阻んだ歴史と相俟って「リンディス人の聖地」として語られる土地。
リンディス人の民族的特徴としてよく挙げられる保守・権威主義的な特徴を今も色濃く残す。
ヴェルフェダイン公爵領
先王アルドゥインの弟テオドールが治めるケーニヒスヴィーゲ最大の領邦。兄王の死と休戦によって戦禍は免れたものの、敗戦によって退潮した領内経済は未だ回復しておらず、極右不満分子の根拠地と化している。
レンツィゲン公爵領
アイブリンガー伯爵領
リンディスヴァート女王ベアトリーセの慣習的所領。北限海航路の中継地としてアトリオンやリエナの商船が寄港し、シンガに由来する華やかな文化を持つ。

リンデリア(18)

王都デオルムントを抱える政治の中心地。中央を貫く山脈部では鉱業が発達。西部には猫亜人フィンスターニスが棲息する。
イヴァインベルク公爵領
イントヴァルド公爵領
ミネルヴァスハーフェン
イントヴァルド公爵領下の港湾都市。ヤーディシア大戦ではこの地に上陸したアトリオン軍と長い持久戦が戦われた。
ハレヴエルツ公爵領
リーゼンゲビルゲ侯爵領
猫亜人フィンスターニスの土地。

エクメーネ(20)

リンディス人が最後に征服した土地。自由主義的な気風の漂うリエナ同盟の諸都市、アン・デア・トリーベスの新興工業地帯、国境を画すベルンフリートの長城などが有名。
クレインハウゼン公爵領
ヴォールグリュック公爵領
ベルヴィル・アン・ソレイアド
ヴォールグリュック公爵領下の港湾都市。アーカルソン島から最短の港であり、アトリオン人との交易で栄えた。
リエナ同盟諸市
リエナ、レンシア、デルメルンに代表されるリエナ運河両岸の諸都市による自治連合体。リエナ運河を拠点とする交易商による連合を源流に持ち、かつては国政を左右する程の影響力を持った。
ベルンフリート侯爵領
リンディスライヒ最南端の領邦。対帝百年戦争の後にヤード帝国の侵入に備える為の軍事設備が数多く建設され、軍都として栄えた。
オルフェンベルク伯爵領
ヤード人勢力(ライラント荘園・カラシュ公国)と隣接。鬱蒼とした森林が広がる。

政治

イクファターナ北端の十七諸邦によって構成される貴族連合体。リンディスヴァート王国の敗戦に伴い中央集権的な体制は解体され、「リンディスヴァート諸邦における自由と名誉の守護者」として選出された王の下、大小の貴族とその領邦が緩やかに結束する。
全領邦同盟議会は貴族院と庶民院で構成され、十七諸邦の貴族領については同盟議会の立法による規律と監督の下で諸侯の一定の自治が約束されている(議会典則制)。この政治体制は中央体制の解体という戦勝国の思惑とリンディスライヒの分裂を防ぐ為の妥協の産物と言われており、諸々の機能不全の源となっている。

政策スライダー

地方分権 --◆----- 中央集権 分権といえば耳障りは良いが、嗚呼忌々しきは染み付いた地縁と血縁の枷よ。この錆びついた鎖をいつか引き千切ってみせる
貴族中心 --◆----- 富豪中心 法と慣習によって守られてきた貴族の国。しかし、行き止まりの未来を変えるには何らかの化学反応が必要だろう
農奴制 ---◆---- 自由農民 自由とは劇薬。副作用に十分留意し、慎重に投与すること
保守主義 ----◆--- 革新主義 全ては再起と新たな栄光の為。…この程度の変化、全てを失ったあの時と比べたら
重商主義 ----◆--- 自由貿易 栄華を極めしリエナの商人達よ、汝の営みとその富をあまねく広めよ
攻撃主義 ---◆---- 防御主義 哀切と共に勇者達は死んだ。死んだ者は生き返らないのならば、我らの手で新たな命を吹き込もう。過ちを二度と繰り返さない為に
陸軍重視 -◆------ 海軍重視 ないものねだりをせず、ゆめゆめ手を拡げ過ぎないよう
精鋭 --◆----- 大軍 寡兵にも利点がある。鍛え上げるのに手間がかからない

諸邦同盟議会

政党

社会民主党
国民党
民主党
黒鉄党
緋衛党
共産党

主要な国内勢力

女王を支持 中立 女王に反発
アイブリンガー伯爵家 北部 +200(現女王) ヴォールグリュック公爵家 南部 ±0(静観) ヴェルフェダイン公爵家 北部 -200(旧王統・旧体制復古を主張)
イヴァインベルク公爵家 中部 +180(旧王統・主要廷臣) ベルンフリート侯爵家 南部 +20(静観・ソフィア修好政策を支持) レンツィゲン公爵家 北部 -180(旧体制復古を主張)
ハレヴエルツ公爵家 中部 +180(主要廷臣・王領を寄進) オルフェンベルク伯爵家 南部 ±0(静観) イントヴァルド公爵家 中部 -10(主要廷臣・改革への消極的な反対)
クレインハウゼン公爵家 南部 +160(主要廷臣・改革を支持) リンディスライヒ福音主義教会 全土 ±0(静観)
リエナ同盟 南部 +140(改革を支持) 暗闇の兄弟(吸血種コミュニティ) 南部中心 ±0(静観)
リンディス兵商 南部中心 +100(改革を支持)


各派閥の準軍事組織

右翼諸派 北部を中心とする保守在郷貴族や退役軍人を主な支持基盤とする。共通のテーゼは反民主主義、反諸邦同盟、反憲法、反スタックバラ条約。思想的に統一された一枚岩の連合体として存在する訳ではなく、文字通り右派団体の総称としての意味を持つに過ぎない。
主な支援:レオネッサ王国
緋衛団
(Scharlachrot, Bund der ReichsPatriot)
リンディスヴァートの退役軍人組織。緋衛党による集会の警備と復員兵士の互助を目的として発足したが、現在は同党の暴力装置としての色彩が強い。
「押し付けの憲法」の廃棄とスタックバラ条約体制からの離脱、中央集権体制再建の立場をとる。黒く塗装された鉄兜と民族色であるリンディシャン・スカーレットのスカーフが特徴。
紫陽花騎士団
(Hortensier orden)
先王の弟テオドール大公を領袖とする右派団体。敗戦により権勢を失った北部の保守貴族や退役軍人の受け皿として発足。憲法廃棄とスタックバラ体制からの離脱という点では緋衛団と同様の姿勢をとるが、こちらは明確に王室の再興を掲げている。
マーツリンゲン・バンド 正式名称は「全リンディス労働人民互恵連帯」。主な支持基盤は工場労働者や農民。共通のテーゼは反諸邦同盟、反スタックバラ条約。右翼諸派と同様、プロレタリア独裁から共和制における国家再建まで幅広い立場の団体を傘下に置き、その方針は統一されていない。
主な支援:清河人民社会主義共和国
赤色戦線
(Rote Front)
リンディスヴァート共産党が保有する準軍事組織。共産党員の警護や敵対政党の集会の妨害を役割としており、暴力闘争のみならずマーツリンゲン市などでは実効支配の一翼すら担う。
南部労働者による秩序維持スクラム 南部の工業地帯アン・デア・トリーベスの労働組合や職人ギルドを支持母体とする社会主義団体、およびその実力部門。在地領主・資本家に対する労働者の地位向上と同盟議会の権限強化による緩やかな人民共和制への移行を主張。
あくまで労働者を主体としつつも階級協調を許容する姿勢はマーツリンゲン諸派からの激しい批判を招き、特に共産党は「黄色の利敵修正主義者」とその敵意を隠さない。
女王派(中道体制派) 女王ベアトリーセの漸進改革を支持する一派。女王に近い宮廷貴族、企業家、知的労働従事者を主な支持基盤とし、警察軍による非公式の支援を受ける。現体制の支持という点で緩やかに結合しているものの、早期改憲と中央集権体制への移行による「強いリンディスヴァート」の再建を目指す右派、スタックバラ条約の順守と護憲を謳う左派、あるいは穏便な君主主義者、またあるいは民主社会主義者…と、漸進改革支持者の寄り合い所帯というのが実情で、統一した行動を起こす事ができるかについては疑問符が残る。
主な支援:リンディスヴァート政府
盾の乙女
(Die Schildmaid)
正式名称は「全領邦大衆護憲運動」。左右両翼からの挑戦を受ける形となったデオルムント体制の守護を目的として議会与党であるリンディスヴァート社会民主党主導の下、国民党左派、民主党、それらの流れを汲む諸団体の協調によって発足。女王派内部における中道左派の受け皿として機能。
右翼諸派やマーツリンゲン・バンドの諸組織による暴力活動が激化するに伴いその役割は重要かつ血生臭いものになりつつある。
インゼルヴィッツ猟兵大隊
(Jäger-Bataillon Inselwitz)
北部戦線より復員した王国軍第613猟兵大隊の兵士達を基幹にフィリッパ・インゼルヴィッツ少佐によって組織された民兵団の一つ。南部で蜂起した共産主義者の鎮圧に参加した後に女王派と合流、女王派の危機的状況にたびたび投入され地位を確固たるものとした。
復古主義的な色彩を持つものの、王権の下での諸改革(とりわけ改憲と段階的な再軍備)を実現し、軌道修正されたスタックバラ体制下における地位確立をテーゼとし、スタックバラ体制を消極的ながらも肯定する点でいわゆる極右に分類される諸組織とは一線を画す。


経済

豊富な鉄鉱石と石炭を背景に重化学工業が発達。職人ギルドの伝統の中で培われた高い工作精度と生産工程における「科学的管理」のいち早い導入により大量生産体制を確立した企業家達はリンディス兵商と呼ばれ、かつての王国に多大な利益を齎した。
しかしながら、リンディス兵商の栄華も今は昔。敗戦に伴う代物賠償により生産基盤を国外に奪われた国内工業は大きなダメージを受け、速やかな再編が必要とされている。

傭兵産業

傭兵産業は長い歴史の中でリンディスヴァートの伝統的な産業として根付いているといっても過言ではない。
北部や南部山岳地帯は長らく産業基盤が貧弱であり、諸侯群立時代よりイクファターナ大陸を中心に組織的な傭兵の輸出が行われた。「ライヒスランツィラー」と呼ばれたリンディス人傭兵達は雇い主に高給を要求する一方で高い規律と戦闘力、そして同胞が相手でも容赦のない戦いぶりで知られ、著名な傭兵隊長の中には封臣として遇される者もいた。
リンディスライヒ南部を主な棲息圏とするケンプフピュートンにとっても傭兵の輸出は重要な産業としての地位を占めた。リンディス人と同水準の待遇が期待できる兵役を志願する者は多く、兵役と満期除隊はケンプフピュートンのキャリアの起点としては一般的であった。ケンプフピュートンの傭兵は諸侯が組織するライヒスランツィラーから独立した供給・派遣基盤を持ち、過酷な環境を苦としない頑健さと残忍な戦いぶりで名を馳せた。
戦争の趨勢を決するような大規模な傭兵契約は国民国家の発達と共に終息を迎えつつあるが、大戦の終焉と共に訪れた旅行と未開地開拓の世界的な流行に伴い、小規模な個人契約(旅の用心棒やミスティックハンター)の需要はむしろ高まりを見せている。特に失業率の高いリンディスヴァートでは従軍経験のある失業者が市井に溢れており、立身を夢見て傭兵業に転身する例は珍しくない。


国内の主要企業

IGハーシェル
(Interessen-Gemeinschaft Herschelindustrie.AG)
化学染料の三社同盟として戦前に発足。窒素肥料、人造ゴム、合成皮革、無機化学製品、写真フィルム、人造石油他、リンディスヴァートの化学産業を支配し、その影響力はリンディスヴァート女王にも匹敵する。
シュヴァルブレン
(Schwalbren Werke.GmbH)
LWM(リンディスヴァート武器弾薬製造社)傘下の銃器メーカー。
アイリス&ゲオルギーネ社
(Iris & Georgine.OHG)
リンディスヴァート南方のオルフェンベルクに拠点を構える銃器メーカー。当時猛威を振るったカラシュの人狼に夫を奪われた二人の未亡人が人狼狩りに用いる銀の弾を製造する為に開設した工場をルーツとし、現在では弾薬・小火器のみならず重火器の製造も手掛ける。
リエナオプティーク
(RIENOPTIK.AG)
リエナ同盟に名を連ねる大都市デルメルンに本社を置く光学機器メーカー。高品質な光学部品・光学機器を生産し、研究・医療・産業・国防など幅広い領域でシェアを誇る。
ツォイレンローダ=アレンドルフ
(Zeulenroda-Allendorf.GmbH)
リンディス兵商として広く名の知られる軍産複合企業。ツォイレンローダ社は大型の輸送用自動車の量産にいち早く着手した企業として知られ、機関車メーカーであったアレンドルフ社は鉄道黎明期より非常に高い耐久性から「交換しらずのアレンドルフ」として名を馳せた。兵器メーカーとしては新興の部類にあたるが、重輸送車輛製造に関する技術力は高い。
メルリッヒ
(Mellrich.AG)
南方の工業地帯アン・デア・トリーベスで創業した長い歴史を持つ軍産複合企業。リンディス兵商の代表格の呼び名が高い。鉄鋼製品メーカーとして発足し、国内鉄道網の発達と共に成長を続け現在もリンディスヴァート最大の重工業企業として政財界に隠然たる影響力を持つ。前大戦で最大のビッグ・バーサ(巨大砲)として知られるソフィア砲を製造し、王国陸海軍に配備された砲煩兵器の大半を手掛けた。
フォンディス調査・採掘合資会社
(FonDis Umfrage und Bergbau GmbH & Co. KGaA)
フォンタニエ・リンディスヴァート政府合同出資による調査採掘企業。中央山脈の資源調査ならびに国境の平和的画定の為の共同資源開発を目的として設立。
バヨネット・サービス
(Bajonett-Service.GmbH)
リンディスヴァートを拠点とする傭兵派遣企業。従軍経験のあるリンディス人失業者の軍事的再教育と派遣・現地でのサポートを包括的に行う。ロードレスランド・タヴェリア等の一部危険地帯に戦闘要員として傭兵を派遣した実績を持つ他、フォンタニエ辺境伯国の安全保障の一翼を担うリンディス人傭兵の大部分はバヨネット・サービスが供給。

軍事

リンディスヴァートの歴史とはすなわち内乱鎮定と外敵撃破の歴史であり、その過程において強い軍隊の伝統が形成された。
ヤーディシア大戦では500万の兵力を動員し南北両戦線、あるいはタヴェリア戦線にて力戦の末に敗北。スタックバラ条約により王国軍は解体され、新たに編制された郷土警察軍には厳しい軍備制限を強いられた。

郷土警察軍

総兵力14万。かつて世界にその武名を謳われたリンディスヴァート王国軍のなれの果て。全土に20の警戒管区が設定され、各管区はそれぞれの責任に合わせて1~3個の歩兵連隊と1個の騎兵連隊を管轄する。王都を抱えるハレヴエルツ警戒管区や重点管区(マーツリンゲン、デルメルン等の大都市)には独立装甲車大隊が追加で配備される。
スタックバラ条約によって恒常的な戦略単位の編制を禁止されており、非常時には宰相・内務大臣・警察総監・兵務局長の承認によって警戒集団(師団に相当)を臨時編成する。

同盟海軍

総兵力2万。大戦では優勢な連合国海軍を相手に善戦するが、続々と増強されるアーカルソン=リペルニア海軍の前に敗北。旧式戦艦2隻、巡洋艦7隻、駆逐艦10隻、水雷艇16隻、魚雷艇16隻の保有が許されるのみとなった。
レギンレイヴ級戦艦 戦前に建造された準弩級戦艦。戦中より既に旧式化が著しかったもののそれ故に様々な作戦に投入され、多大な損害と戦果を挙げた。戦後もネームシップであるレギンレイヴとゲイラヴォルの保有が認められ、それぞれ翠玉海艦隊と碧玉海艦隊の旗艦として今もなお運用されている。
ヘルツォーク級巡洋艦 戦前に建造された防護巡洋艦。4隻が就役し、現在もハレヴエルツとレンツィゲンが在籍。(残るクレインハウゼン・ヴォールグリュックは賠償艦としてソフィア王国に譲渡)
マーツリンゲン級巡洋艦 戦前に建造された軽巡洋艦。都市の名を冠した事から「シュタット級」とも俗称される。現在もマーツリンゲン・デオルムント・リエナ・デルメルン・メルセルプラッテが在籍。
7587型駆逐艦 戦前に建造された駆逐艦。10隻が在籍。

警察軍共同航空隊

郷土警察軍の隷下に極めて少数の航空隊の保有を認められたものの、装備する機材は旧式であり、現代的な航空戦力としての実力は持ちえない。

リンディスヴァート義勇兵団(フライコール)

敗戦後リンディスヴァート周辺に出現した復員兵による民兵組織の総称。

リンディスヴァート警察軍・その他機関の装備
+ ...

小火器

Gewehr 92
(92年式歩兵銃)
軍用 ボルトアクション小銃。装弾数10発、クリップ給弾方式。設計はシュヴァルブレン社。
旧リンディスヴァート王国軍の主力小銃であり、現在でも警察軍にて使用されている。設計を担当したシュヴァルブレン社ほか複数のメーカーで製造されており、製造工場ごとに細部の多少の違いが認められる。
管理レベル:低(戦前・戦中にかけて主力小銃として量産され、戦後は中古品が多数国内外に流出した。警察軍部隊のみならずフライコールでも公然と運用されている)
Selbstlade-Karabiner modell.7605
(7605年式自動カービン銃)
軍用 半自動小銃。装弾数20発。設計製造はシュヴァルブレン社。
92年式歩兵銃を元に開発・少数配備された半自動小銃。大戦後期に戦線に投入され、戦後も警察軍向けに少数が追加調達された。半自動機構の信頼性に難点があったものの、20発の装弾数は歩兵小銃としては破格の大容量であり、同時期に戦線に投入された短機関銃と共に衝撃部隊の活躍を支えた。
管理レベル:高(調達数が限られており、その員数は警察軍によって厳格に管理されている)
AMP-06 軍用 短機関銃。装填数32発(機関部左側面から箱型弾倉を装填)。設計製造はアンジェリーク=ヴェルケ社。シュヴァルブレン社の7605年式自動カービン銃と共に大戦後期の戦場に姿を現し、MashinenPistoleの概念を確立したMP-05の改良モデルとして開発された。
先代にあたるMP-05からの主な変更点として、セミ・フルオートの切り替えが可能になった点、MP-05の高すぎる連射速度を是正しコントロールを容易にした点、機関部下部にフォアハンドルを追加した点が挙げられる。MP-05は良く訓練された兵士(衝撃部隊や猟兵部隊)による近接戦闘に特化していたが、比較的長い銃身とこれらの変更によってAMP-06は閉所戦闘のみならず野戦においても一定の戦闘力を見込めるようになった。実戦には間に合わなかったものの、戦後はMP-05と共に警察軍部隊に配備された他、政府に近い一部のフライコールでも少数が使用されている。
管理レベル:中(民間への払い下げは原則として禁止。国外への輸出は友好国にのみ制限)
MG94/02 軍用 重機関銃。装弾数250(布弾帯式)。設計製造はシュヴァルブレン社。
戦前に制式配備の開始されたMG94の軽量近代化モデルである。全備重量は60kgから17kgにまで軽量化され、三脚を廃して二脚とし銃床とピストルグリップを装着して伏射が可能となった。これによって戦場での利便性が大幅に向上され、ヤーディシア大戦の全期間を通してリンディスヴァート王国軍の主力機関銃として君臨した。7616年現在においてもリンディスヴァート警察軍の主力機関銃として運用が続けられている。
管理レベル:高(旧式ながら、その員数は厳重な管理下にある)
Selbstlade-KampfGewehr modell.16
(16試自動歩兵銃)
軍用 シュヴァルブレン社で開発中の歩兵用自動小銃。装弾数は20発~50発(通常モデルは20発の箱型弾倉、軽機関銃モデルは50発の筒型弾倉を装備)。
大戦末期に登場し歩兵戦術に革新をもたらした半自動小銃と短機関銃、そして機関銃を一挙に代替する新装備として設計されたものの、歩兵小銃や短機関銃としては極端に重厚長大、使用する弾薬も立射による自動射撃に不適と次期歩兵銃としては早くも暗礁に乗り上げつつある。しかしながら機関銃としては比較的軽量で機関銃手単独での運用が可能、筒型弾倉の採用によって再装填の迅速化も見込める事から試験段階での評価はそう悪くない模様。歩兵の前進に追随する事の難しいMG94/02の後継、あるいは更に軽量な歩兵支援火器としての採用が予測される。
Selbstverteidigung-Karabiner modell.7590
(7590年式自衛用カービン)
民間向け 回転式カービン銃。振出式開放機構を有し、装弾数は7発。設計製造はアイリス&ゲオルギーネ社。
安価で信頼性の高いカービン銃をコンセプトに開発された。シュヴァルブレンの軍用ライフルと比較すると性能は劣るものの、必要十分な射撃精度、堅牢、優秀な整備性、なにより安価という点で市場から大いに迎えられ、国内では郵便物保護銃として王国郵政庁で採用された事をきっかけに多くの公的機関で採用され、それ以外にもフライコールやその他準軍事組織で多くが使用されている。国外でも猟銃、軍制式小銃の数合わせ、非合法組織の主力小銃など様々な用途で流通し、「アイリスカービン」の名で知られる。
スピードローダーを使用した際の再装填速度は着脱式マガジンに匹敵し、特に馬上における操作性はクリップ式のボルトアクション小銃に大幅に勝る。
管理レベル:低(民間市場向け。国外への輸出規制は無い)
Schwalbren Kommerziell-Krabiner(SKK) 民間向け
(流通に制限あり)
レバーアクション式カービン銃。装弾数16発。チューブ給弾方式。設計製造はシュヴァルブレン社。
アイリス&ゲオルギーネ社のSelbstverteidigung-Karabiner modell.7590の商業的成功をうけて同社が初めて民間市場向けに設計した小銃である。軍制式小銃弾である7.92x57mm弾より小口径で炸薬量も少ない7.62×33mm弾を使用。対抗馬であるmodell.7590と比べると弾の貫徹力と威力で劣り調達価格は遥かに高価なものの、軍用銃をも上回る装弾数と後述する潜在的な速射性能をセールスポイントとして発売された。
本銃の装填機構は少ない操作量で装填が行えるよう軽く設計されており、また「レバー・トリガー遅延同調機構」なるオプションが装着可能となっている。これはレバーの操作によって装填が完了した際にトリガーが自動的に作動し発砲されるという物で、この機構によって練度に問わず擬似的な自動射撃が可能となった。この遅延同調機構と装弾数により高い火力を実現したSKKだが、その余りにも高い火力から緋衛団や赤色戦線といった勢力による使用を恐れられ国内での流通を制限されてしまった。(軍に納入されたSKKは武装蜂起した共産党員の鎮圧に使用され皮肉にもその火力を証明している。)
こうして国内市場での敗北が運命づけられたSKKであったが、高価ながらも性能を評価され国外でのセールスは好調。「木と鉄の生命保険」「秩序と安全の友」といった惹句で知られる。
管理レベル:中(民間市場向けながら国内での販売は規制されている。国外への輸出は友好国にのみ制限)
Wolfenbüchse modell.7572 軍民両用 グリップアクション式対物・対幻想種ライフル。装弾数5発。設計製造はアイリス&ゲオルギーネ社。
大口径銃砲を得意とする同社のフラッグシップモデル。ボルトハンドルとグリップ・トリガーが直結した独自の機構を持ち、装填排莢と発砲という一連の動作を極めてスムーズに行う事ができる。初代モデルはカラシュより越境してくる人狼対策の為に開発され、基本設計の優秀さから人狼が殆ど駆逐された後もその他の幻想種の駆除や長距離射撃の為にアップデートを繰り返しつつ製造されている。前大戦では使用する弾薬の変更等が施された改良型がBunkerbüchseの呼称で王国軍で採用され、一部の部隊で中隊に2挺の割合で対火点攻撃用に使用された。徹甲榴弾を使用する最新モデルは発展著しい戦闘装甲車輌に対する戦闘力も高く、スタックバラ条約によって戦車の保有を制限されるリンディスヴァート警察軍での需要は高い。
管理レベル:低(民間市場向け。国外への輸出規制は無い)
C90 "Katzbalger" 軍用 軍用自動拳銃。装填数17発。設計製造はシュヴァルブレン社。
トリガー前方に着脱式弾倉を備え、使用する7.63x25mm弾は初速が高く口径の割に高威力。大戦期には制式拳銃として士官向けに調達された他、ストックの追加とバレル延伸を施されたカービンモデルが後方部隊向けに少数配備された。
管理レベル:低(生産ラインは既に閉鎖されている。連合軍将兵の戦場土産として非常に好まれ、コレクション目的に多数が国外へと流出した)
C16 "Stilett" 軍民両用 自動拳銃。装弾数は8発。設計製造はシュヴァルブレン社。
「Kleiden Pistole(ドレス用拳銃)」をキーワードに計画が立ち上げられ、その設計には綺羅の小型拳銃Mz75の影響が強く見受けられる。Mz75よりは大きいものの突起の少ないシルエットは携帯性に優れ、7.65mm弾のマイルドな射撃特性とシンプルな操作システムは女性による射撃にも好適する。直線を基準としたデザインに同居した曲線美や丁寧な仕上げも相俟って大衆的な人気を博した。
管理レベル:低(民間向けモデルは国内外で積極的に拡販中。政府機関向けモデルについては流通に制限あり)

装甲戦闘車輛

7607年式自走砲
(Selbstfahrlafette modell.7607)
自走砲 ツォイレンローダ=アレンドルフ社の製造する自走砲。弱体極まるリンディスヴァート警察軍の補強の為に連合軍より供与された旧式戦車をベースにオープントップ式の戦闘室を装備し、メルリッヒ社製の105mm砲を搭載したリンディスヴァート警察軍の「主力戦車」である。
旧式ながら今もなお比較的優秀な性能を持つ105mm砲を装備し火力こそ強大ではあるが、正面装甲は20mmにも満たず足回りも貧弱と、当然ながら現代的な戦車戦には使用できない。しかしながらスタックバラ条約で戦車の保有を禁止されたリンディスヴァート警察軍にとって本砲は発展を続ける各国戦車に対抗する数少ない手段であり、1号機動砲の調達の始まった7616年現在においても数的主力の座を守り続けている。
本砲は主に歩兵連隊隷下の自走砲大隊に分散配備され、数の上では既に充足している。
7610年式対戦車自走砲
(Panzerjäger modell.7610)
自走砲 賠償を兼ねてレオネッサ王国より取得した旧式車輌を改造をしたオープントップ式の対戦車自走砲。製造はツォイレンローダ=アレンドルフ社。
アイリス&ゲオルギーネ社製の47mm対戦車砲を搭載し、貴重な対戦車戦力の一翼として運用されている。
1号機動砲
(Manövergeschütz 1 MnoG 1)
自走砲 ツォイレンローダ=アレンドルフ社の製造する自走砲。ハダカンボ王国向けに構想されたArtillerie Gerät modell.7613(7613年式砲兵機材、AG7613)をベースとして警察軍向けに再設計が施されたモデル。
メルリッヒ社製の短砲身75mm砲を搭載し、正面に限定すれば最も厚い箇所で60mmの装甲を備える。装甲防護力は正面に限定され、側面・背面は重機関銃や榴弾の破片を防ぎうる最低限の厚みとされた。一方で車体構造は従来の装備車輌から洗練され、余裕をもって設計された大型の車体には無線機やパノラマ式望遠照準眼鏡、トーションバー・サスペンションが装備された。「自己完結した機動力と限定的な防護力を持つ対戦車砲」としての防御的性格が強い設計で、戦車のような旋回砲塔を持たず装甲も正面に限定される為に攻勢作戦には不適であるがその分調達コストは同等性能の戦車よりも抑える事ができる為、リンディスヴァート警察軍では本砲の量産と配備に注力している。

重火器

ソフィア砲 列車砲 メルリッヒ社が設計・製造した列車砲。口径は24cm。ソフィア王国王都の砲撃を目的として開発されたヤーディシア大戦最大の巨砲である。設計はメルリッヒ社の重砲設計を長きにわたって支配する奇才、リュディガー・ジンゲンフォルデ博士。発射された砲弾は、人間が作った物体として初めて成層圏に届いた。
7580年式42cm口径重臼砲 重臼砲 メルリッヒ社が設計・製造した重臼砲。口径は42cm。強固な堡塁の破砕を目的とし、海軍艦砲を基に設計された。設計はメルリッヒ社の重砲設計を長きにわたって支配する奇才、リュディガー・ジンゲンフォルデ博士。
ヤーディシア大戦でも南北両戦線にあわせて十数門が配備され特に北部戦線の山岳要塞攻略では優れた能力を発揮したが、移動能力が限定的であるため容易に移動することができず、位置が特定されるとソフィア・レオネッサ両軍砲兵による対砲迫戦で損害を受ける事が多かった。大戦前に製造・配備された物のほとんどは喪失されたが、大戦末期に白韓へ数門を売却。千里要塞に配備された同砲は白韓の対シンハ抑止力の一翼を担っている。


外交関係

国名 所感
ソフィア王国 „戦の神は非情なれど、尚武と典雅を兼備した偉大な勝者に敬意を“
南北に針路を分かれたイスティング人達のもう一つの終着地。南部諸侯にとっては帝国に伍する為の有力な同盟相手であり、イクファターナの歴史を共有する伝統的な友好国であったはずの国。76世紀後半の「狂った外交」により友好の歴史は断絶したが、イントヴァルド公子、ベルンフリート候女の姻戚関係がソフィア王家傍流と結ばれた事をきっかけに再び二国間関係は上向きつつある。
派遣大使:クリスティン・ローズモンド・フォン・リグレンシア
立憲王政アーカルソン=リペルニア „狂気によって断たれた古き紐帯。我々に残された物は和解か、不可逆の決別か“
中世以来の古い繋がりを持つ、イクファターナの歴史を共有する伝統的な友好国であったはずの国。安全保障の面においても重要な相手であり、特に海上交通の安全はアトリオン人の顔色次第という事は認めざるを得ない。76世紀後半の「狂った外交」により関係は断絶したが歴史的な友好基調は民間レベルでも堅持されており、特に経済的・学術的な繋がりにおいては開戦前の水準を超える程の深化を見せている。
派遣大使:イヴォンヌ=アンジェリーク・フォン・クラインシュミット=ローゼンバッハ
スルガ „シンファナの若き白鳥よ。翼をもがれた我らにとって、汝の纏う青はあまりにも眩しい“
礼帝国の崩壊に伴い誕生した若き独立国。地政学的リスクは認識すべきであるが、その技術力と文化的魅力を無視するのはあまりにも惜しい。リエナ商人によってもたらされたスルガの産品は西海趣味と呼ばれるブームを生み出し、広い層で好意的に受け入れられつつある。
派遣大使:エーリヒ・ハインツ・アイヒベルク
フォンタニエ辺境伯国 „その優美に惑わされるな。悲劇の民と嘆く者はいるが、斯様な地を生きる者がはたして弱者でいられるだろうか“
隣国でありながら、近年までその実態が明らかではなかった国。フォンタニエとの友好は安全保障上の要請のみでなく経済的な利益となる。特に中央山脈に分布する希少資源の安全かつ効率的な採掘にはこの国の協力が欠かせない。
派遣大使:カロリーネ・フォン・リッペ=ヴァイセンベルク
ジャーガルク・シャー国 シンガの大国。この国から輸入された缶詰の臭いには皆が閉口したが、敗戦直後の飢えた国民の胃袋を満たした事には率直に恩義を感じるべきであろう。共通のアジェンダとして清河の存在があるが、マスルマーネンの奴隷商人の存在は国内のラパルナ族の感情とフォンタニエとの関係上、両国関係の大きな阻害要因となる。
派遣大使:ゾフィーア・フォン・ヒルトブルク
ハダカンボ王国 旧王国領南西タヴェリア。タヴェリアにおける数少ない友好国であり、この国からもたらされる天然資源は生命線になり得る。ザルバチとの紛争は注視すべき。
派遣大使:ベルナルド・ユストゥス・フォン・ライゼンハイマー
出島での待遇は不快の一言だが、清河に対する北の抑えとしてある程度の援助と友好基調構築の必要性を認める。それが端金の種にもなるというのなら、多少の不自由には甘んじよう。
派遣領事:アデーレ・メルリッヒ
ザルバチ海岸共和国 現状、この国との関係深化はリスクの増大に直結する。治安面でも懸念事項が多く民間レベルでの交流にも注意を要する。友好国ハダカンボとの関係には注視すべき。
派遣大使:
清河人民社会主義共和国 „西よりきたる災厄の巨竜。竜殺しは騎士の本分なれど、我が身は傷つき汝の毒は甘く人心を惑わせる“
距離の概念によって幸運にも隔絶されているが、そんな物は木の柵程にも役に立たない事はこちらが一番理解している。共産主義思想自体が国体を揺るがしかねない危険な代物であり、現政権の敵対的な姿勢は反発に値する。
レオネッサ王国 円十字教の枢要であり、イクファターナの歴史を共有する伝統的な友好国であったはずの国。
リントヴルム朝ヤード帝国 „殺し合い、愛し合った。あまりにも、あまりにも長く“
その関係はリンデール諸部族とヤード軍団による軍事的衝突から始まり、対帝百年戦争によって現在の国境線が定まるまで小競り合いを繰り返してきた。アレクシス帝は「話の分かる御方」との評判だが、強大な隣国の存在はそれだけで安全保障上の脅威となる。それが「統一」の旗印を掲げるのであれば尚の事。
派遣大使:アンネリーゼ・フォン・ヒルメンガルト
カラシュ公国 „暗闇と陰謀のあるところ、カラシュの血吸い鬼あり“
南部諸邦の民を襲う害獣の生息地であり、イクファターナにおけるあらゆる悪徳の策源地。南方到達以来の身近にある現実的な脅威であり、国王を狂わされる程の事でもなければ戦列を共にする事は無いだろう。



歴史

「リンディス人」の名が歴史の表舞台に現れたのは創世記〇世紀中葉、イクファターナ外縁部で南北に進路を別れたイスティング人のうち、北限の海岸部を進み続けた一団がイクファターナ北方に到達・定住し「自由な人々」を意味するリンデール(Lijndael)を自称した事に由来する。イクファターナ大陸は幻想種などの危険な外的要因が少なく、また気候も冷涼ではあるものの比較的安定しており、人間が定住するには条件のよい土地であった。また、イスティング人の持つ農耕の知識も彼ら自身が中長期的に個体数を拡大する大きな要因にもなった。ともあれ、創世記〇世紀後半には原始的な血縁組織に依拠した社会が形成され、族長の住居を中心に集落が形成された。
峻厳を極める中央山脈の影響もあり、リンディス人はヤード帝国の直接的な影響を受ける事なく南下を進める一方、船団を組みアトリオン諸島にも進出した。
数世紀をかけてイクファターナ北方で生存圏を拡大したリンディス人は創世記〇世紀初頭に〇〇(現在のリンディスヴァート十七領邦の南限)に到達し、そこでヤード帝国圏と直接対峙。巨大帝国の尖兵として差し向けられたヤード軍団との長い戦いを経て大君侯時代へと突入していった。

長きにわたり帝国勢力の北上を阻み自由世界の守護者としての役割を果たし続けてきたリンディスヴァート王国であったが、列強のグレート・ゲームの余波をうけ7400年代後期には自らその役割を放棄。国王マクシミリアンの帝国貴族との姻戚締結を期に両者の関係は急速に接近し、帝国の技術や文化が取り入れられていった。その潮流の中で戦端の開かれたヤーディシア大戦においてはヤード大公の娘を王妃に持つ国王は廷臣の反対を圧し切り帝国側に立って参戦。アトリオン諸島を巡って艦隊戦を繰り広げ(リンディス側呼称:北海戦役)、大陸においては北部戦線を構成しソフィア王国軍を主力とする連合軍と対峙した。

文化

民族・人種

リンディス人

リンディスライヒにおける主要民族。西方から入植したイスティング人の末裔。美と思索を愛好する静謐の民であるが、その一方で武を信奉し忠誠と名誉に生きてきた事も一つの事実である。

ケンプフピュートン

中央山脈の東部を主な生息地とする亜人。体表を鱗に覆われた、二足歩行のトカゲと形容するべき姿を持つ。
元来大きなコミュニティを作らなかった事もあり、個体レベルでは人類を超越する高い身体能力を持ちながらイスティング人の南下に対抗する事は叶わなかった。リンディスライヒ全土が人類の手で征服された後は頑健な兵士、あるいは労働力として南部諸邦では早くから人間社会へと組み込まれていった。
ピット器官(赤外線感知器官)が発達した影響で夜間識別能力が非常に高い。炎を吐く事はできないが、ブリッツ種の一部は有毒な唾液を霧状に噴射する事ができる。
大柄でずば抜けた膂力を持つ「パンツァー種」と小柄で俊敏な「ブリッツ種」に大別される。帰属意識が強く、無口で、戦いにおいては残忍。

フィンスターニス

リンデール(18番)西部を生息地とする猫型の亜人。体表は毛で覆われ、小柄で運動能力に優れた種族。ヒトとフィンスターニスは交配が可能である。
氏族毎に毛色や体格等は千差万別ながら、一般的には優れた平衡感覚としなやかかつ瞬発力に富んだ身体を持つ。リンディスヴァート王国時代には密偵や暗殺といった領域で王に仕え、ケンプフピュートンよりも社会的地位は高かった。
リンディスヴァート王国の敗戦後も独立は選ばず、リンディスヴァートへの帰属が再確認された。

リンディスヴァートを生きるラパルナ族

フォンタニエ辺境伯国からの移民あるいは出稼ぎとして、およそ1万人のラパルナ族が暮らす。
リンディスヴァート(特に南部諸邦)はスルガと並び、本国以外で最もラパルナ族が居住する地域であり、また安全と目される地域でもある。
フォンタニエとの国境付近では伝統的な技芸である彫銀や工芸を営む者、都市部ではサービス業に従事する者が多い。踊り子や娼妓としての適性も高く、その人気は高い。
その美貌から近年では使用人として人気が高く、高い技能と教養を身に着けたラパルナ族がハウスキーパーにまで登り詰める事も決して難しくはない。
大半のリンディス人はラパルナ族を庇護すべき者として好意的に捉えるが、リンディスヴァートに浸透した吸血鬼の存在は少なからずラパルナ族の脅威となり得る。ほぼ全ての領邦において拉致は種族を問わず犯罪とされるが、高い地位を得たラパルナ族はボディガードを雇う事が通例。特に高い戦闘能力と夜間識別能力を持つケンプフピュートンが人気。

暗闇の兄弟 リンディスヴァートの吸血種

カラシュ公国より浸透した吸血種。
現在リンディスヴァートはカラシュ公国と正式な国交を有さず、吸血種の越境は違法である(渡し屋と呼ばれる非合法な斡旋業者を利用するか、あるいは自力による危険な越境を選ぶ事となる)。カラシュと隣接するオルフェンブルクでは古くから吸血種や人狼に由来する悲劇が伝承されており、彼らに対する憎悪は国境の厳重な警戒が物語っている。
無事にリンディスヴァートに浸透した吸血種の取る事ができる選択肢は概ね二つ存在する。
一つは血袋を求めて夜の街を徘徊し、ミスティックハンターや吸血種撲滅を謳うフライコールに嬲り殺しにされるか。
もう一つは都市部の窮屈な吸血種コミュニティの末席に加わり、安寧と成功の為に忍耐を重ねる日々を送るか。
今日のリンディス人社会に溶け込んだ吸血種は後者を選択し、無差別かつ冒涜的な吸血を自己に戒め、リンディス人達に高い素養を認めさせた者である。

レンシア白磁 リエナ運河南岸の職工の街レンシアで製造される白磁器。礼帝国からの磁器伝来以降、西海白磁を範としてその品質を連綿と磨き続けてきた歴史を持つ。儚げで洗練されたデザインは時の王侯貴族に愛され、現在ではイクファターナのみならず世界中で取引されている
映画 戦前にソフィア王国からサイレント映画が流入。以後プロパガンダ媒体として国家に利用される一方、「リンディス表現主義」と呼ばれる芸術運動が花開き、独自の発展を見せる。
歌劇 かつては貴族達にのみ許された娯楽であったがリンディス諸侯達が競うようにしてお抱えの歌劇団を育成した結果、観劇は週末の楽しみとして広く親しまれるようになった。リンディス歌劇の特徴として質の高い音楽が挙げられ、世界中が鉄路や航路で接続され観劇旅行が組まれるようになるとその魅力は音楽と共に世界中へと広がっていった。
ロードレース 健康増進を目的に先王が自転車の利活用を奨励した事をきっかけにリンディスヴァートでは自転車によるレースとその観戦が娯楽として定着した。戦前には既に全国的なレースが開かれ、現在は毎年夏に30日の行程で十七諸邦を舞台に各チームが競うグロース・トゥーアが開催されている。

宗教


人物

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最終更新:2019年05月11日 21:19