有翼亜人

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概要

有翼亜人は、背中に翼、場合によっては腰部にも尾羽を持つ亜人種の総称。
フサリアン、ゲアファル(ゲアファオル)などとも。ソアリングや水面効果により飛翔する能力を有する。

フサリアン(アキピテリアン)

 フサリアンはソフィア王国における有翼亜人の総称。フサリア騎兵として現レオネッサ王国領東タヴェリアより募兵されたことからフサリアンと称されることになった。
 かれらはレオネッサ王国領東タヴェリアのヅィェラバンド山脈周辺に住む狩猟採集民族であり、本来の生活スタイルは山野上空をソアリングによって飛翔し、山岳間を移動しながら木の実や小動物を狩猟して生活していた。
 かれらはヤード帝国の全盛の時代には既に発見されており、天使の化身として崇拝された。クラリッサ帝国が隆盛を迎えた時代にはフサリア騎兵として募兵され。そうしてイクファターナに渡ったフサリアンは宗教的シンボルとして、あるいは有力な騎士として重用された。しかしヤード帝国の分裂や宗教的対立、あるいはフサリア騎兵の衰退などによって彼らの地位や影響力は衰退していった。
 今日ではレオネッサ領東タヴェリアのヅィェラバンドでは多くのフサリアンが生活しているものの、イクファターナではソフィアに少数生活しているのみである。彼らは軍隊においては偵察員や騎兵として現在でも重用されているが、社会生活の中ではむしろ差別されている事が多いとみられる。

ゲアファル(ゲアファオル)

グリット諸島の先住民族たる有翼人種。彼らは水面効果を活かして海面上を滑空し、また翼を巧みに使って水中でも機動的に動くことができる。また、視力(特に暗闇や動体、立体)に優れ、磁覚をはじめ、人間の持たない知覚能力をいくつか持つ。小家族的な集団で暮らし、きわめて家族に対する情愛は深いと言われる。
本来はノマド的な生活を送っており、南北に広がるグリット諸島を季節に応じて渡り、アニミズム的な信仰の中で海洋と気象に関する優れた理解をもって漁労を中心とした暮らしを営んでいた。
古くよりアトリオン諸島に流れ着いた彼らが自らの地学的知見をアトリオン人に提供することも多く、リペルニア神話によるとリペルニアの星詠み文化も彼らの系譜上にあるとされ、リペルニア貴族の出自の逸話として流れ着いたゲアファルを祖先に持つというモチーフは多くみられる。
しかし、近世以降になるとアトリオン人の勢力拡大のなかで飲み込まれ、異端審問によりアトリオン国教会に改宗させ定住化させるなど同化が推し進められ、ゲアファルの文化は大きな打撃を受けた。
近代以降は彼らの漁業はもはやアトリオン人の近代的漁業に太刀打ちできなくなっており、定住化を受け入れて農耕生活を行う者や近代的漁業を受け入れてアトリオン漁民と変わらない生活を送る者が多いが、高級魚の分野では今でも伝統的なゲアファル漁法を続ける者もわずかながら存在する。
また、その能力を活かして偵察兵・水兵・航空兵などの分野で軍務につくことも多く、家族を養うためなら何でもする習慣もあってアトリオン軍人として戦史に名を残すゲアファルも多数存在する。軍人・学者・貴族仕えなどの道から一代貴族の地位を得るゲアファルは多く、人口比で考えると一代貴族のうちゲアファルの比率は突出している。

ヴィエーチル

リントヴルム朝ヤード帝国の、ロストフ荘園北方に住む有翼人種。元々はロストフ山岳地帯の強風でソアリングを行い、小動物を狩猟して生活してきたが、古代ヤード帝国の影響圏に入ると共に農耕社会へシフトした。他の有翼族フサリアンと共に帝国では天使の化身として崇拝された歴史を持つ。ヤード帝国衰退は独自の王国ヴェエーチル王国を建国し長く種族独立を図ち、残留ヤード人国家のズメイ王国に神の使いと中世時代は崇拝され続けていた。近世に入る頃、ズメイ王国を併合し一時は広大な領域を支配する種族になったが、拡大するヤード帝国の圧力に耐えられず併合された。現在も帝国のロストフ荘園で高い人口比率を維持しており、強い影響力を与えている。

人類と有翼亜人

 読者は、青い大空をゆっくりソアリングするフサリアンや、海面を飛翔するゲアファルをみて羨ましいと感じた事は無いだろうか?私達人類は、他の動物よりも走る速度は遅く、力は弱く、空も飛べない。これまでの研究では、人類の優位性は知能の高さ以外になく、それに対して有翼亜人は、私たちと同程度の知能を持ち、同程度の運動能力があり、しかも飛翔できる能力があると見られてきた。しかし今日の研究では、知能は同程度であっても、運動能力は人類よりも遥かに劣る事が判明した。

  • 人類の進化
 先ほど有翼亜人の運動能力が人類よりも遥かに劣る。と記述した。が、あれは嘘だ。より正確には、人類は、他の動物に比べて長時間、長距離を走る運動能力を有していて、有翼亜人はそうした能力を捨て去って飛翔能力を獲得している。とみるのが正しい。人類は自分たちより素早く動く動物を仕留めるためにどこまでも長く、時間を掛けて追跡し、弱ったところを仕留めるように走る能力が発達してきた。「人類以上に長時間、長距離を走る事の出来る生物は、現在の所存在しないのではないか?」と、スルガの森久保教授は指摘する。
特徴的なのは項靭帯の発達である。この靭帯は走る時に生じる激しい衝撃から首や頭部を保護するために必要な靭帯で、人類は有翼亜人よりも遥かにこの靭帯が発達している事が近年の研究により明らかになっている。
 またアンゼロット記念大学のポンツァー教授は、人類とオランウータンやゴリラ、チンパンジーとの比較研究を行った。結果人類は極めて高レベルの身体活動が必要な事が判明した。人間の場合は、一日に1万歩以上歩かないと心疾患や代謝障害を引き起こすリスクがあるが、類人猿はもちろん、有翼亜人においてもそれほどの歩行や運動は必要ない。

  • 有翼亜人に対する偏見を改めよう
 私たちはしばしば、有翼亜人の飛行能力を羨ましがる事がある。しかし、それは彼らがグリットの島々やタヴェリアの山岳地帯で生活するために、走る能力を捨てて代わりに得た能力に過ぎない。私たちは無知の為に有翼亜人に対して理不尽な嫉妬や、あるいは飛行能力に対する誤解を抱いている。
 人類が重い荷物を背負うと走ることが出来ないように、有翼亜人も重い荷物を持つと飛翔できなくなる。むしろ、彼らの骨格は飛翔するために軽量化されており、人類にぎりぎり持てる重さでは有翼亜人には骨折のリスクさえある。
 有翼亜人は人類程の持久力はない。人類は徒歩で大陸の津々浦々迄移動することが出来、船さえあれば大陸を渡る事さえできる。有翼亜人も船さえあれば大陸を渡ることが出来るが、空を飛んで大陸を渡るだけの体力を保有していない。彼らは島々や山々の短い距離を飛翔する能力しかないし、そういう進化をしてきた。
 人類は長距離持久走をする能力(高レベルの活動を行う能力)を応用して朝日が昇ってから夕日が沈むまで長時間農作業をしたり、労働する事ができるが、有翼亜人にとってそうした事は人類よりも遥かに過酷な労働である。
 いずれの国においても、その社会や制度は人類に都合よく出来ている。しかし、それは他の亜人種たちにとっても都合が良いという事を意味しない。空をゆっくり飛翔する能力は、現代社会においてなにか特別な意味をなさない。私たち人類は、こうした人類と有翼亜人の違いを理解したうえで、偏見や嫉妬、差別を捨て去り、彼らの能力にあった社会制度を整備して共存していかなければならない。

ヴァンセラス大学ピュトー教授

  • この話をもっと詳しく知りたい方は…
日経サイエンス2019年4月号『走る動物 ヒト』
最終更新:2019年08月14日 21:56