失神ガイドライン2日目

失神は全脳の血流の低下によって定義付けられる。
血圧が下がるか、脈拍が下がるか、末梢血管が広がるか。

平均血圧は、通常脈圧の1/3+dBPによって計算されるが
ひどい除脈になると、平均血圧はdBPに近づく。
(心拍出の低下)

起立性低血圧は、MSA、PD、DM、アミロイドーシス、薬剤性(降圧薬、抗うつ薬、フェノチアジン系)による二次性のものを含む。

┏抵抗血管と容量血管
 抵抗血管=後負荷:心臓が収縮するときの抵抗力
  心拍出量が少なくても抵抗が高ければ血圧は保たれる。
 容量血管:末梢血管が締まれば静脈環流量が増える
   →広がれば末梢に血液はプールされるし、
    脱水とともに起立性低血圧誘因のひとつとなる。

┏反射性失神について
 除脈によるもの、末梢血管が開くもの、その混合性のもの
 多くは除脈によって引き起こされる。
 失神を大きく心拍出量の低下と末梢へのプールに分けると、
 反射性失神はその両方にまたがる。

┏起立性低血圧の定義
 起立試験で3分以内にsBPが20以下、もしくはdBPが10下がるものをいう(古典的OH)。
 Initial OHは起立直後に40mmHg以上下がるものをいう。

┏疫学
 10代と、高齢者に失神のピークがある。
 前者は反射性失神で、後者は起立性低血圧によるもの。
 - 全体を通じて最も多いのは反射性失神
 - 2番目に多いのは心血管イベントによるものと考えられている(研究設定、たとえば救急患者対象、など設定が難しいので本当のところはわからない)。
 - 40歳以下では起立性低血圧は少ない。自律神経の異常は高齢者に多いため。

┏ table 7
 - 40歳以下では反射性失神が多い
 - 60歳以上では心血管イベントや起立性低血圧が多い

┏table 8
 - リスクの層別化について
 - 「何日以内に死ぬリスク」についてリスク評価
 - どの研究からも「心血管イベントは悪い」ので、それを抽出するリスク評価がいいという結論。
 - 動悸がする…頻拍性不整脈を示唆→4点
  労作中に起こった…狭心症やブルガダ症候群→3点
  心電図異常がある→3点
  寝ていて失神した…反射性やOHではない→2点
  嘔気・嘔吐がある…副交感神経兆候→マイナス1点

 - 反射性失神の中で頸動脈失神だけは高齢者に多い

┏まず行うべき4つの質問
 - 完全に意識消失したか…もうろうは×
 - 急に起こって持続は短かったか
 - 自然に完全に回復したか
 - 姿勢は保てなかったか(バタンといったか)
 →失神であればすべて「Yes」となる
  ひとつでもNoがあれば他の疾患を考える。

┏ 転倒様式について
 - バタンといくのが失神。崩れるようにとか手をついては×

┏ table 9:問診で必要なこと
 - 体位について
  姿勢はどうか、姿勢を変えた時起こったか
   首を回した時、排便した時、排尿したとき、
   労作中、労作後か、ネクタイをつけていて
 - 人ごみや暑い場所→反射性失神を疑う
 - 食後か
 - 恐怖や強い痛みがあったか
 - 反射性失神を疑う予兆
   吐き気、嘔吐、腹部不快感、冷汗(発汗)
 - 首・肩の痛み、目のかすみ、めまい
   →起立性低血圧を疑う

てんかんと失神の違い
 - 失神のけいれんはあってもいいが、①秒単位で終わり、左右同期せず、リズミックでないことが多い。
 - 失神のけいれんは意識を失ったあとにだけ起こるので、自分では絶対に覚えていない。
 - てんかんのけいれんには予兆を伴う事がある。お腹から突き上げるような感じ、におい。
 - 舌をかむのは両方あるが、てんかんでは舌の横を咬むことが多いのに対して、失神では舌の先端をかむことがある。
 - 失神はどちらもある
 - 混乱・式障害は失神では遷延しない
 - てんかんではCKやプロラクチンが上昇していることがある。
 - 青白くなる、発汗している、は失神を疑う

┏ 目撃者が大切
 - スランピング:どうすんと来るのが正しい。
 - 膝から崩れるように落ちる…失神ではない
 - 肌の色がどうだったか
   チアノーゼ、フラッシング
 - 意識消失の時間はどうだったか
 - いびきはしていたか
 - うごきがあったか
 - 自動運動があったか

┏ 目があいていたか
 - 目を閉じているのは精神疾患がおおい。
  てんかんでも失神でもあけている

┏ 背景
 - 家族歴とか、PDやてんかんなど既往歴、薬物
  QTを延長させる薬…キノロン、H1ブロッカー
  アルコール

最終更新:2011年03月01日 11:54