出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 YOSAKOIソーラン祭りとは、毎年6月上旬に主に[[札幌市]]で行われる[[祭]]。[[北海道大学]]の学生だった学生が、病床の母を見舞いに訪れた高知の病院にて母がよさこい祭りのテレビを見て「病気の私が元気になるお祭りね」と感想を話したところから着想したお祭りである。 直近の第16回は、2007年6月6日 - 10日に開催された。新たな会場として夕張市（ホテルシューパロ前）が加わり、札幌市外では初の開催となった。主催者発表によれば、観客動員数は216万5,600人を記録し、過去最高となった(詳細は経済効果の項を参照)。 *内容 「ソーラン節」のメロディを取り入れた曲にあわせて鳴子 (楽器)を持って踊り、数十人程度の集団（チーム単位）で舞踏する。 踊りの年齢層は幼稚園児から高齢者までと幅広いが、主力を担っているのは若年層である。北海道内では幼稚園や小学校の運動会などで踊ったり、地方のお祭りやイベントなどでも地元のチームが演舞を披露したりすることがある。 祭りは毎年6月初旬から中旬の数日間行われ、札幌市内外で演舞が行われるが、札幌市中央区にある大通公園パレードコース内の特定エリアでの演舞が審査の対象となる。全チームを10のブロックに分け、審査員によって選ばれた各ブロックの予選「1位チーム」、およびシード権を有する前年度大賞チームが「ファイナルコンテスト」へ、また「2位チーム」と「3位チームの中で一般からの携帯電話投票数が最も多い1チーム」が「セミファイナル」へ進出する。これら選ばれたチームが再度大通公園八丁目に設けられた特設ステージで決勝の演舞を行い、その年の「YOSAKOIソーラン大賞」等が決まる。 *参加チーム 40人～150人でチームを作る。 ファイナルコンテストで入賞を繰り返して名が知られるようになったチームは、企業や商店のイベントなど他の催し物に呼ばれることもある。そのようなチームはギャラなどの収入も増え、祭り以外にも活動の場を広げている一方で、祭りへの準備は1年がかりともいわれる。振り付け指導や演舞に使用する曲の作成にはプロのダンサーや作曲家を招き、まだ雪深いうちから日夜練習を繰り返している。地元の小学生によるチームからオーディションに合格しないと加入できないチームや、祭りに参加させてもらえない“ファーム”が存在するチームまである。{{要出典}}すでに株式会社化を果たしたチームもあり、全国で公演を行っているケースもある。{{要出典}} *YOSAKOIソーラン大賞受賞チーム |開催年||チーム名| |bgcolor:#cccccc|1992年（第1回）||セントラルグループよさこい踊り子隊 |- |bgcolor=#cccccc|1993年（第2回）||北海道ガス |- |bgcolor=#cccccc|1994年（第3回）||平岸天神 |- |bgcolor=#cccccc|1995年（第4回）||平岸天神 |- |bgcolor=#cccccc|1996年（第5回）||JAL極楽とんぼ |- |bgcolor=#cccccc|1997年（第6回）||a la collette?4プラ |- |bgcolor=#cccccc|1998年（第7回）||平岸天神 |- |bgcolor=#cccccc|1999年（第8回）||平岸天神 |- |bgcolor=#cccccc|2000年（第9回）||ファイナルコンテスト中止（前述） |- |bgcolor=#cccccc|2001年（第10回）||パスキー&北海道医療大学 |- |bgcolor=#cccccc|2002年（第11回）||新ひだか町三石なるこ会 |- |bgcolor=#cccccc|2003年（第12回）||平岸天神 |- |bgcolor=#cccccc|2004年（第13回）||新琴似天舞龍神 |- |bgcolor=#cccccc|2005年（第14回）||新琴似天舞龍神 |- |bgcolor=#cccccc|2006年（第15回）||新琴似天舞龍神 |- |bgcolor=#cccccc|2007年（第16回）||新琴似天舞龍神 |} *成長 開催当初は10チーム、踊り手の数も1,000人程度だったが、その後十数年で参加チーム数は300を超え、踊り手の数は4万人以上に成長し、今日では札幌に初夏を告げるイベントとして年々大きくなりつつある。祭り期間中の大通公園は、演舞衣装に身を包んだ踊り手たちでごった返す。北海道内各地からはもちろん、道外や海外からの参加者もいる。[[よさこい祭り]]の本場である高知県からの参加もある（2007年は参加チームがなかった）。地下鉄で各会場を移動する大勢の踊り手の集団に遭遇したり、「地方車」（じかたしゃ）と呼ばれる派手な装飾を施したトラックを見かけることがある。 また、「高知よさこい鳴子祭り」の「よさこい節」のメロディを「一小節」含めて、鳴子を持って踊れば基本スタイルとなる、という簡易なルールが横展開のしやすさを支え、町おこしの目玉として全国で類似した祭りが催されるようになっているが、全国どこでも似たようなイベントが安易に行われているという批判がある。 *経済効果 {| class="wikitable" |- !回数（年） !観客動員数 !経済効果 !一人当たり経済効果 |- |第13回（2004年） |align="right"|2,080,000人 |align="right"|220億0450万円 |align="right"|10,579円 |- |第14回（2005年） |align="right"|2,141,000人 |align="right"|230億7900万円 |align="right"|10,780円 |- |第15回（2006年） |align="right"|1,863,800人 |align="right"|238億3400万円 |align="right"|12,788円 |- |第16回（2007年） |align="right"|2,165,600人 |align="right"|249億2800万円 |align="right"|11,511円 |} ※観客動員数と経済効果は主催者発表による。<br/> ※なお、第16回の観客動員数にはYOSAKOIソーランウィーク（新千歳空港、JR札幌駅でのウェルカムイベント(6月1日～5日）を含む。第15回までは観客動員数とほぼ同時に発表されていた経済効果は、第16回分については開催2ヶ月後にホームページ上で示された。 雪祭り、プロ野球日本ハム戦と合わせて、「北海道を代表する3大イベント」として定着している。 {| class="wikitable" |- !イベント名 !観客動員数（人) !経済効果（円） !消費額（円） |- |札幌雪祭り |align="right"|217万 |align="right"|315億6700万 |align="right"|215億5800万 |- |YOSAKOIソーラン祭り |align="right"|185万 |align="right"|238億3400万 |align="right"|93億1900万 |- |プロ野球日本ハム戦 |align="right"|144万 |align="right"|193億5500万 |align="right"|116億1100万 |- |合計 |align="right"|547万 |align="right"|747億5200万 |align="right"|424億8800万 |} 読売新聞北海道版「2006年道内3大イベント効果747億5200万円（2006年、道未来総合研究所などの推計）」より[http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/kikaku/024/71.htm] *教育的効果 テレビドラマの金八先生におけるソーラン節演舞の効果もあり、現在、小学校や中学校での「ヨサコイ」「ソーラン」の普及は著しいものがあり、札幌市内ではほとんどの小学校の運動会で「YOSAKOIソーラン」が演舞され、関東地方でも千葉などでは半数の小学校で「よっちょれ」「南中ソーラン」「SAMURAI」などを踊られている。教育現場では、踊りによるバランス感覚・平衡感覚・リズム感覚が養われるだけでなく、人間関係調整能力の育成に効果を発揮されているとして、評価されている。（「楽しい体育の授業」,明治図書,2005年6月) *参加者の経済負担 祭りに参加するチームは、実行委員会に参加費（4万円から最高で25万円ほど）を支払う他、演舞に使用する衣装代・音楽の制作費・地方車に使うトラックや音響機器のレンタル代・札幌市までの交通費（市内各会場間の移動にかかる費用もチームの負担）・滞在のための宿泊費など、チームが負担する金額の合計は数十万円から数百万円に及ぶ。業者の選択も、組織委員会が発行する「レインボーブック」と呼ばれる冊子に掲載された「公認業者」に限定される。なお、レインボーブックの掲載は有料である。 *課題 北海道新聞は、YOSAKOI批判の投書を掲載している。北海道新聞2007年6月9日付31面「どっちWhichさっぽろ」において、「YOSAKOI好き？それとも嫌い？」というテーマでアンケート調査を行った結果が掲載された。それによると「好き」と答えたのが45.3％に対して、「嫌い」と答えたのは53.6％と過半数を超えた。男女別では、男性で56.5％、女性で50.7％が「嫌い」と回答。年代別では50代で60.7％、60代以上で75.7％と「好き」が 上回ったが、20代～40代では「嫌い」が過半数を超えた。 期間中は札幌市内の大動脈である大通の中心部を事実上閉鎖してのイベントとなるため、会場周辺の企業活動に支障を来しているという批判がある。一部の団体の参加を受け付けない可能性も言明されている（第16回では「参加要綱」4の「その他」6,7)。 *イベントに関する事件 -2000年6月10日 - 第9回開催中、大通公園内の臨時ゴミ置き場に捨てられた不審物が爆発、実行委員会の学生スタッフ1人が重体、9人が軽傷を負った。この影響でファイナルコンテストが中止されたため、この回だけ「YOSAKOIソーラン大賞」が無い。札幌中央警察署が殺人未遂の疑いで捜査本部を設置して捜査しているが、犯人はまだ逮捕されていない。（[http://www.police.pref.hokkaido.jp/incident/yosakoi/yosakoi.html 参考リンク：北海道警察]） 大通公園で開催される催し物の警備は、この事件をきっかけに強化された。 *関連項目 -[[よさこい祭り]] -[[北海道日本ハムファイターズ]]（公式応援歌がYOSAKOIソーラン調の楽曲となっており、公式振り付けもある。2004年以降のYOSAKOIソーランにも参加） -[[南中ソーラン]]（かつて「日本一荒れた学校」といわれた[[稚内市]]の[[稚内市立稚内南中学校|稚内南中学校]]の再生のために、[[民謡]][[歌手]][[伊藤多喜雄]]がソーラン節をアレンジして創作した） *外部リンク -[http://www.yosanet.com/yosakoi/ YOSAKOIソーラン祭り公式サイト] -[http://www.yosanet.com/ YOSANET(株式会社よさねっと)]
