【前回までのあらすじ】 乃亜…やはり貴様は死んでいたのか…。 単なるコンピュータの電気信号と成り果てた貴様などに、勝負を挑まれるのも片腹痛いが、俺の前に立ちはだかる者は、 何であろうとなぎ倒して進むまで! 天地創造のデュエルなどという、はったりに臆する俺ではない! いいだろう、乃亜。 このデュエル…、受けてやる! ---- どういうことだ…? 収容能力…? くっ…。 ふふふふふふ…。 何が天地創造の7ターンだ。 そんなこけおどしは俺には通用しない。 大洪水は、フィールドと互いの手札のモンスターカードを全て捨て去るカード…。 その効果で、貴様のフィールドもがら空きだ! このターン、互いの手札のモンスターはゼロ…、先にモンスターカードを引き当てた方が優位に立つ。 俺のターン…、ドロー! やはり勝利の女神は、俺に味方している! いでよ、スピア・ドラゴン! 乃亜に、ダイレクトアタック! …何…? ン…!?ヴァンパイア・ロード…!? ン…。 ふふふふふふふ…、ふふふふふふ…! 天地創造…人類の英知……、俺には全て壮大なスケールを並べ上げた、泣き言に聞こえるぞ…? 貴様の身に起きた悲劇など、俺の知ったことではない。 …だが、そんな姿になっても、間違いなくお前は人間だよ…。 何故ならそんなくだらない御託を並べて、お前は自分の心の弱さを封印しているからだ。 それこそ、まぎれもなく人間だけが自らにする、愚かな自己逃避だ! ならば聞こう! 剛三郎が貴様を、本当に海馬コーポレーションの跡継ぎにしようとしていたなら、 剛三郎は、何故自分の全てを素直にお前に託さず、俺と競わせるような真似をした!? 何故そんな回りくどい、歪んだ方法を選んだのだ!? 貴様もうすうす気付いているはずだ。 それはコンピュータAIと化した貴様に、剛三郎の信頼が薄れ、揺らいだからだ! さすがの剛三郎も、人の心までは計算できなかったというわけだ。 所詮、貴様の見てきたものは、全て作り事の世界。 だが人間の社会こそ、混沌とした、究極の光と闇の世界だ。 その中を生き抜く複雑さ、たくましさは、其処で生きる人間にしか習得できない。 おそらく剛三郎は迷ったのだ。 そしてあることを思い付いた。 自分の見込んだ生身の人間、つまり俺と貴様を対決させることを! 生身の人間との戦いに勝てるなら、貴様の優秀さを素直に認めることができるかもしれない…、 そう思ったからだ。 憐れだな…。 お前はあの冷たい世界で、人として大事なものを既に失ったのだ! こんな作り物の世界で創造主だと!? 片腹痛いわ! 俺の存在を、揺るがす…?