午後11時半。俺は友人と交代し同僚と二人で監視を行っていた。
俺がベッドの準備をしている横で、同僚は今現在のゆっくり達の動きを観察し記録を取っていた。

れいむ親子は先ほどの子供とまりさの死がよほど堪えたのか、未だに泣きわめいている。
ところどころで俺たちに死ねだのなんだの言ってるようだ。確かに俺達が悪いのだが・・・というか教授が一番悪くね?
ぱちゅりーとありすの夫婦はガンガンに押しつぶされて死んだ赤ぱちゅりーの帽子を大事そうに加えていた。
おそらく形見なのだろう・・・しかしあいつも中々ひどい事をする。俗に言う虐待お兄さんの素質があるのかも知れない。

れみりゃザウルスと親ふらんの夫婦は、今のところ誰も眠っていない。
しかしそれも時間の問題だろう。本来は夜の方が活発に動く種類だが、昼間にあれほど遊んで食べて、そのうえプールでゆっくりしたのだ。
尋常じゃない睡魔に襲われているのだろう。現に赤れみりゃなど、3分おきに親ふらんに殴られて辛うじて寝ていない状況だ。

胴なしれみりゃとまりさの方だが意外とこの状況を楽しんでいる。独り身のせいもあるのだろうか?
全体的に見ると、大人はまだ多少余裕があるようだ。これなら二日目までは持つだろう。

そんな事を考えながら、俺は防音素材を使ったケースにクッションを詰め終えた。一匹一匹専用のベッドを作ってやっているのだ。
全部自作である。れみりゃなど大きいのも居るため中々大変だった。中の状態を把握するために、正面だけは透明のアクリル板にしなければならないので
あんまり防音の意味がない気がするのが不満な点である。。

そうして完成したベットを中央に並べた。同僚は暗視カメラをセットしている。
とりあえず俺はゆっくりたちをその中へ一体一体ずつ入れた。その時に口をテープで縛るのを忘れない。
ピッチリ入っているため、れみりゃ達は手を動かせない。取る心配もなかろう。
入れ終わった箱にはガチャリと鍵を閉める。これでゆっくり達が出ることは不可能である
「ゆゆ!なにちゅるの!れいみゅおかーしゃんとおねむするにょ!!」
「うー!うー!」
「れみりゃのえれがんとなあかちゃんにさわるな~~たーべちゃーうぞー♪」
「なんであかちゃんとはなればなれなの!いっしょにゆっくりするよ!」
「ここはせまくてうごけないんだせ。」
「ざぐやぁぁぁ!!!せまいどぉー!!!」
そんな事をおそらく言っているのだろう。ゴモゴモしか聞こえないが箱の中で喚いている。
「明日の朝までゆっくりしてね!!!」

そういって明かりを消し部屋から出る俺達。そして隣の部屋に行き、そこで複数のモニターから様子を見る。
「そういや○○さん、なんでこの部屋からにしなかったんすか?楽なのに。」
「キモかわいいって言うのか?あいつ意外とそういうの好きみたいなんだよな。本人は自覚してないけど。」
「の割には酷い殺し方さらっとしますよねあの人。まあ俺は趣味でやってますが。」
そんな中身の無い会話をしながらモニターを観察していた。
しかしこれはこれで中々面白い。今まではみんなで眠気と戦ったが、これから数時間は一人で戦わなければならない。
箱はゆっくりの大きさに合わせているので身動きが取れない。誰も喋らない。そしてベットは自然界ではありえないだろうフカフカなのだ。
ここからは純粋に我慢対決である。


胴なしれみりゃとまりさはベットの中でゆっくりしていた。寝ることはできないので、寝ない程度にではあるが。
体力的にいえばまだ余裕はあった。それに加えてまりさは日中、胴無しれみりゃとある作戦を考えた。
(まりささまはこんなあぶないばしょにはいないんだぜ・・・さっさとぬけだして、ありすあたりとすっきりーするんだぜ)
代り映えしない暗闇を見ながら、考えごとに熱中していた。自分たちは徹夜など余裕だと信じて。




末っ子の赤れみりゃは暇で暇で仕方なかった。身動き取れない箱の中にいれられ、見えるのは目の前の暗闇ぐらいなものである。
「うう・・・つまらないんだどぉ~!まんま~♪ぱぱ~♪ふらん~♪・・・・・」
無論読んだところで反応はない。そもそも言えてすらないので「んんん~」といったセリフにしかなってないが。
ただ寝てはいけないというのは分かっていた。自分もあまあまみたくなりたくない。
しかし眠気は容赦なく襲ってくる。瞼がひどく重い。頭もボーっとしている。先ほどはまだ姉妹や親と一緒だからなんとか我慢できた。
しかし一人で何も出来ない空間に置かれたのだ。
(うー・・・れみりゃはねないんだぉ・・・こうまかんのおぜうさ・・まは・・)
強く強く思っても襲ってくる睡魔。もはや抗う方法はないかと思われた矢先、ある事を思いついた。
れみりゃは頭を左右に大きく振り始めた。狭い箱の中なので揺さぶるたびに、「ドン!」と音が響く。同時に痛みが襲いかかってくる
しかしそれが狙いだった。こうして痛みを感じていれば眠くならないだろうと踏んだのだ。
実際それなりには有効だった。一時的にならばの話だが。
それを数時間もやるとなると話は変わる。30分もしないうちに赤れみりゃの頭には大きなコブが出来ていた。少しでも触れれば
激しい痛みが襲ってくる。さらに、長時間首を振り続けたせいか酔い始めた。
(ぎぼぢわ゛る゛い゛い゛い゛どぉ~みゃんみゃ~だづげでーーうっ!うげろげろげろげろ)
そうしてついに吐き出す赤れみりゃ。しかし口はテープで塞がれているため、結果的に口の中に大量の臭い肉まんが残ることになった。
(ぐざい゛い゛ーーー!!!ざぐや゛だづげでえ゛え゛え゛!!れみぃぐじゃい゛の゛い゛や゛ぁぁぁぁ!!!)
なんとか吐き出そうとするが、テープは剥がれない。立ち込める臭いで更に吐き出すため状況は最悪である。
そうして5分ほど過ごしたか、赤れみりゃはある事に気づく。息ができないことに。
(いぎがぁぁぁ!!!ばんばー!!!ばぁば!!!!だづけででびぃゃぢんじゃ!!!!いぎがぁ!!!)
自らの吐瀉物で喉を詰まらせたれみりゃ。そうして地獄のような苦しみを味わいながらそのまま眠ってしまった。

姉妹ゆえなのかどうかはわからないが、長女の赤れみりゃも同じような状況に陥っていた。
ただしこちらは吐いた量が多すぎたために、テープが一部剥がれて漏れ出した。自慢のえれがんとな服は汚れて悪臭を放っているが
命は助かったといえよう。そしてこの匂いがはからずしも眠気を吹き飛ばした。




午前1時。モニターを見ていた俺はとある変化に気づいた。一匹の赤れみりゃが青白い顔になってピクリとも動かない。
「おいあれ・・・死んでね?」
「え、マジっすか?・・・なんでまた?」
隣でDSで遊んでいた同僚が振り返る。
「知るか、なんかもう一匹の方もゲロはいてやがるし・・・片付けるべきか。」
そう考えていたところ、眠りっているゆっくりを3匹ほど確認した。赤ふらんとぱちゅりーと赤れいむだ。
俺達は部屋を出ると静かにゆっくり達の部屋に入った。
小型の懐中電灯で箱を探すと一応カウントを取る。そうして三匹をモニターの部屋まで運んだ。

部屋に運んだ俺たちは記録用のカメラを回すと、さてどうするかと悩んだ。
教授はあれで結構な虐待お兄さんである。わざわざ大金を使ってこんな実験をする辺り。
しばらく考えた俺は、近くのシャワールームに箱を持ち込んだ。
そこの掃除用具入れにしまってあったホースを手に取り、箱の制作に使った大工道具で箱の上に穴を開けた。
これでホースから水を入れるっといった具合である。なんとなく口のテープは外した。死ぬ瞬間も喋れないのは哀れだろう。
三本あったのにはご都合主義的なものを感じるが。
とりあえずレッツ注水。

水を入れ始めてからすぐに、赤れいむが目を覚ました。
「ゆ!なんでおみずさんがはいってるの!おみずさんはゆっくりできないよ!」
水の怖さは理解しているらしい。暴れまわっているのだが動けない。
「おがーしゃんだづげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!でいうゆっぐりじだいうぼぇえ!!!」
喋っていたせいか水を飲んだらしい。口から水疱をまき散らしながら息を引き取った。
皮がふやけて餡子が漏れていた。
次に気づいたのはぱちゅりーである。こちらは状況に気づたらしく
「おにーさん」と後ろに居て見えないはずの俺を呼んだ。驚きながらも俺は返事を返すと
「ありすには・・・ごめんなさいっていってくれる・・・むきゅん。」
そういって目を瞑ったまま動かないぱちゅりー。どうやら最初から死ぬ気だったらしい。

ぱちゅりーがゆっくりと溺死した後は、赤ふらんである。時間は多少かかったがやっと目が覚めたらしい。
周りに状況を見るや
「うー!だせー!!!ふらんをだせー!!まま!!ぱぱ!!たすけてー!」
俺は他に二匹の遺体を箱から出すと水を捨てる。餡子とカスタードの匂いがする。
「うー!おねぇーさまたすけてー!うが!がふぉ!ぁぁああ・・・」



午前3時、丑三つ時とも呼ばれる時間である。
親れいむは死人のような形相をしていた。愛するまりさと子供を失ったショックが大きすぎたのだ
(なんでまりさが・・・まりさ。れいむのこどもたちもなんで・・・)
終わらない自問自答を繰り返すれいむ。もはや眠気などなかった。ただただ、まりさとの日々を思い出し続けていた
(まりさまりさまりさまりさりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさ)
頭の中に浮かぶのはまりさの笑顔だった。一緒に遊び、巣を作り、時には他のゆっくりたちとれみりゃに立ち向かったり
そんな楽しかった日々が走馬灯のように流れる。最早涙も枯れ果てていた。



夜が明ける。全てを覆っていた漆黒はどこかへ消え去り、眩い太陽が現れた。
俺はゆっくり達の食事を準備すると、部屋に入り一匹一匹起こしていった。
「あかちゃんどこ。ふらんのあかちゃんどこ!」
「おかーしゃんでいぶがいないよおおおお!!!」
家族が減ったことに気づいたのか叫びまわる。そこへ赤れみりゃが近づいてきた。
「まんまぁ~ぱぱ~。れみぃぐるじかったどぉ~!」
酷く悪臭を放ちながら近寄ってくる赤れみりゃ。こちらの鼻が曲がりそうだ。
服も顔も最早元の面影が見えないぐらい汚れている。しかし幸せそうに親の元へ駆け寄る赤れみりゃ
それをれみりゃザウルスの平手が防いだ。
「うー!いだいんだどぉ~みゃんみゃなにするんだ・・・」
「うー♪くさいこはれみりゃのあがちゃんじゃないどぉ~♪えれがんとなじゃないくさいこはしぬんだどぉ~♪」
「みゃんみゃー!!!どうじてぞんなご」「うるさい。ゆっくりしね」
体に噛みつくふらん。れみりゃザウルスは後ろの羽を毟っている。
「いだいいどぉおおおお!!!!ざぐやあぁあ!!!」
「さくやはれみりゃたちのじゅうしゃなんだどぉ~♪だれだかわからない、くさいこのじゃないど~♪」
「おいしい。でもくさい。」
「でびぃをだべな゛い゛でえ゛え゛!!!!!」
そうして肉の塊になった赤れみりゃ。親二人はそれを見て
「おいしいぷでぃんぐだどぉ~あかちゃんたちとたべるどぉ~」
「あかちゃんおきるんだどぉー。すーりすーり」
「うー!うー!」
れみりゃザウルスはその鈍い動きでひたすら赤ちゃんを探し回り、ふらんは胴なしれみりゃを子供と思ってすりすりしている。
たがたか一日の徹夜で精神が壊れるのか?
念のため他の種類を見てみる。

まりさと胴なしふらんも駄目だった。まりさは「ありすかわいいんだぜ・・・れいむ・・・にとり・・・」
などとうわごとを呟きながら歩きまわり、胴なしれみりゃはふらんを本当の親だと思って甘えていた。
残りのありすとれいむと子まりさはと言うと

「でいぶやべでえ゛え゛え゛!!!!!どがいばじゃな゛い゛わ゛わ゛わ゛わ゛!!!」
「おがーじゃんべろべろや゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!!ばりざすっきりじだぐないいいい!!!」
「まりさあぁああああああ!!!!ありずもがわいい!!!!ばりざぁぁあはでいぶとあがぢゃんうぼうねええええ!!!」
朝っぱらから3Pとはお盛んな。どうやら精神的にアウトらしい。どうやらゆっくりに徹夜はかなりの苦痛らしい。
やはりゆっくりはゆっくりできないと駄目な生き物なのだ




「で、これで結果は全部?」
私は実験の結果をまとめたレポートを出張から帰ってきた教授に見せた。
「ええ、そうです。結局最後まで生きてたのはれみりゃザウルスでしたね。以外にも」
「そうかい・・・いやにしても君。中々才能あるよ。初めての割に実に良い殺し方だったよ!」
「はあ・・・(なんでイキイキしてるんだ)」
「よし、このれみりゃザウルスは僕が預かろう。これだね」
「れみ☆りゃ☆うー☆!・・・すばらしだんすだぉ~あかちゃんたちにみせるんだどぉ~♪」
「いやあ僕はザウルスが好きでねえ。飛ばない分ぎゃ・・・しつけも楽だし。」
私にはそんな教授の話は半分も耳に入っていなかった。昨日は徹夜でレポートを仕上げたのだ。
今日はさっさと帰ってぐっすり寝よう。




【あとがき】
昔テレビでみた番組を元に書いてみた
二度寝は最高だと思う。

過去作
悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1
悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2
悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3
お兄さんとドスれいむ
鬼意屋敷殺人事件
どすの加工所
幻想樹の迷宮
幻想樹の迷宮Ⅱ
徹夜でゆっくりしようぜ!


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最終更新:2022年04月17日 01:21