れいむ山へ行く

ぴちゅーん
「ゆー…またしんじゃったよ」
そういってPCのディスプレイを眺めるゆっくりれいむ。
その画面にはコンティニューするかどうかを問う文字が浮かんでいた。
「きょうはもうやらないよ!!ぷんぷん!!」
そういって今日のプレイを終了するれいむ。
その後敵キャラの文句を言い始める。
「だいたいあのちるのとかいうやつはつよすぎるよ!!ゆっくりしてないよ!!!」
その後も敵キャラへの文句を言い続けるれいむ。
1面の中ボスにここまで文句を言える奴も珍しいもんだ。
そんな愚痴をこぼしているとドアから音がした。

「ゆー♪おにいさんがかえってきたよ!!」
「ゆっくりおかえりなさい!!」
「おー。どうだれいむ?きょうは1面クリアしたか?」
「ゆー…だめだったよ…だいたいたまがぜんぜんゆっくりしてないよ!!」
「ははは。まあ舌で東方は無理だろうな。プレゼントもあきらめたらどうだ?」
「ゆー!れいむはあきらめないよ!!」
そう、何故れいむがここまで頑張っているかというと、
東方のイージーの1面をクリアしたらお兄さんがプレゼントをくれると言ったからだ。
こうして東方を始めたれいむであったが、全くクリアできない。
そんなことがもう2ヶ月は経過している。
「おにいさんはあんなにたまがよけられるのにどうしてれいむは…」
「いや、舌じゃ俺だって無理だし。」
お兄さんの意見が普通だろう。舌でプレイするなんて鼻でたて笛を吹くようなものだ。
「まあ明日はいけるさ。それより風呂入るぞー」
「ゆー♪ゆっくりはいるよ!!」
その後風呂から出た後食事をして寝た。

布団の中でれいむはある考えが浮かんでいた。
これだけ勝てないのはチルノのせいだ!チルノに文句を言ってこよう!!
普通ならこんなことは考えないが、そういうことを考え付くのがゆっくりなのだろう。
れいむはもうすでにチルノに文句をいう場面を妄想しているのかニヤニヤしている。
れいむの頭の中ではチルノがれいむに土下座している。
そんな愉快な妄想に浸りながられいむは夢の中へと落ちていった。

れいむはお兄さんにこのことを言わなかった。
チルノに文句を言った後に自慢するつもりなのである。
そしてお兄さんが出て言った後、
「きょうはちるのとかいうやつにもんくをいってくるよ!!」
そういって部屋のガラスを用意しておいた石で壊して外へと出ていく。

「ゆー?ちるのはどこにいるんだろう?れいむはわからないよ!!」
そう言って最初から躓いてしまったれいむ。
「そういえばちるのはゆきやまにいたね!!れいむはゆきやまにいくよ!!」
確かに背景は雪山だったが、れいむは2次元と3次元の壁というものを理解していない。
そこに人が通りかかる。
「お?ゆっくりじゃないか。どうしたんだ?」
「おにいさん!!れいむはゆきやまをさがしてるよ!!ゆっくりおしえてね!!」
「あー雪山ならあそこにあるだろう。」
そういって遠くに見える山を指さす。まだ溶けていない雪があるので、頂上付近が白い。
「おじさんありがとう!!れいむはたすかったよ!!」
そういって跳ねていくれいむ。
「おじさんって…しかし冗談だったのにあんなに嬉しそうにするとは、なんか悪い気してきたな…。」
「まああそこまで行くわけないだろう。誰かの飼いゆっくりみたいだしまあまあ頭はいいはずだし。」
そう言いながら歩いていくおにいさん。
30分後の大学の講義を受けている頃には今のことなど忘れているだろう。お兄さんにとってはその程度のことなのだ。

「ゆー♪これがおやまさんだね!!おっきくてすごくゆっくりしてるよ!!」
れいむの目の前に映るのは山。初めて見たその大きさにれいむは感動する。
「ゆ!おちついてるばあいじゃないね!!ゆっくりのぼるよ!!」
ぴょんぴょんと跳ねていくれいむ。元気ハツラツといった感じで登っていく。
「ゆー。ちょっとつかれたよ!!ゆっくりねむるね!!」
そう言うと、木の陰で眠るれいむ。
「すーやすや!!しあわせ~」
そんな寝言を言いながら眠るれいむ。それにしてもゆっくりには見えていなかったのだろうか
夕日が沈んでいく光景が。

「ゆっくりおはよう!!」
そう言って起き上がるれいむ。
「ゆ?まっくらだよ!!どうなってるの!?」
「やめてね!!れいむがわるいことしたならあやまるよ!!だからでんきをつけてね!!!」
家でずっと暮らしてきたれいむは明かりをつければ明るくなることをしっている。
だから夜になったら電気をつければ明るくなるとれいむは思っているのだ。
だがここは野外である辺りは街灯もないので明るくなんてならない。
それがれいむを焦らせる。
「どおじでだれもごだえでぐれないのおおお!?でんきつけてね!!?」
そういって泣きながら地団太を踏むようにジャンプをする。
「もうやだ!!れいむおうちかえる!!!」
チルノのことは諦めたのか、はたまたもう忘れてしまったのか、多分後者だろう。
「ゆゆ!?れいむはどっちからきたの??だれかおしえてね!!」
そう言いながら戻ろうとするが木に激突する。
「どおずればいいのおおおおお!?」
そういってめちゃくちゃに跳ねまわる。
その間も木に激突したり、枝に刺さったり、草で皮を切ったりしており、
何もしない方がよいのだが、そのことにれいむは気づかない。
「いたいよおおお!こわいおおお!おにいさんはやくたすけにきてええええ!!!」

「おい○○!今日は飲みに行くぞ!!」
「えー?僕ゆっくりがいるんで帰りたいんですけど。」
「そういっていつも来てないだろ?たまには来いや!」
「わかりましたよ。お供します」
「そうこなきゃな!!ゆっくり飲もうぞ!!ガハハハハ!!!」
お兄さんも嫌そうな対応はしているが嬉しそうだ。
そういえばゆっくりを飼ってからろくに飲みに行ってなかった。
ちょうどいい機会だしれいむには悪いが遅くまで飲ませてもらおう。
そう思いながら男は町へと歩き出していった。

れいむが起きてから1時間ほど何か明るいものが見えた。
「ゆゆ!?あそこにだれかいるよ!!」
その光は非常に早い速度でこっちに近づいてくる。車だ。
これはきっとれいむをおにいさんが助けに来てくれたに違いない。そう思いながら光に近づいていく。
だがその光はれいむのことに気づくわけもなく、れいむの目の前をそのままの速度で通過していった。
「ゆゆ!?どおじでどまっでぐれないのおお゛お゛お゛お゛お゛!?」
車に文句を言うれいむ。轢かれなかっただけ運が良かったというものである。
とはいえこの状況で生きているということが良いことなのかは疑問であるが。

「ゆええええええええん!!おうちかえりたいよおおおおおおおお!!」
「だいたいおそとにでれるがらすがもろすぎたんだよ!!きょうかがらすにすべきだったよ!!」
なんかお兄さんに文句を言うれいむ。
お兄さんは部屋を借りている身なのでそんなことはできないと思うのだが…。
「ゆ?またひかりさんがちかづいてくるよ?」
「こんどはこわいからちかづかないでおくよ!!」
そうしていると今度は車が止まった!
おにいさんだ!!!
「おにいさん!!ゆっくりしていってね!…?ゆぐべ!!」
れいむの顔の上に扇風機が当たりそのまま顔に乗った。
「ん?お前なんか言ったか?」
「いや?何も言ってないぞ。それより早くこのテレビも捨てるぞ。」
「?なんか聞こえた気がしたんだけどな~。まあ、いいか。さっさと捨てて飲もうぜ。」
そういってテレビを捨てると二人の男は帰って行った。
一方のれいむは痛かったのか声を出そうという考えも湧いてこないようだ。
「~~~~~~~!!!」
男たちが帰って行ったあと、また辺りは静かになった。
怖い。それがれいむの率直な感想だった。
ただでさえ暗くて怖かったのに今は身動きも取れなくなった。
「ゆぐぐ…いたいのやだよ…もうれいむはねむるよ!」
もうれいむは考えることを止めた。野生のゆっくりならもう少し考えただろうが、れいむは温室育ちのゆっくりである。
もう何もやる気なんて起きないのだ。
「すーやすや!ぐっすり~♪」
そうこうしているうちにれいむはあっさりと眠ってしまう。
饅頭が夢の中で見るのはおにいさんとの幸せな日々。そんな夢をれいむは見ていた。

一方そのお兄さんは朝に目覚めると部屋の中にいた。
「れいむ?」
お兄さんはすぐにれいむがいないことに気づく。
あたりを見回すとなんとガラスが割れている。
「これはまさか…」
おにいさんは一瞬最悪の事態を想定したが、窓はそこまで広くない。
人間が通るのはまず不可能だ。それに部屋が荒らされた形跡もない。
となると考えられるのは窓ガラスを割ってれいむを呼び寄せるというのも考えられるが、
俺のれいむはただのゆっくりだし、俺もただのリーマンなので、誘拐は多分ない。
となると考えられるのは脱走である。
「しかしあいつはなんで脱走なんてしたんだ?なんか不満でもあったのかねー?」
あまり心配していない様子のお兄さん。
「しゃーない出かけるか。」
そう言って机の上の車のキーをとるお兄さん。
向かった先はゆっくりショップだった。

「ゆっくりおはよう!!」
目が覚めると暗くなくなっていた。
れいむの顔の上に乗っているのは扇風機だった。以前お兄さんの部屋で見たことがあった。
「ゆゆ!!せんぷうきさんどいてね!!!」
そういってずりずりと出ていくれいむ。
「まったくしつれいなせんぷうきさんだよ!!せんぷうきはゆっくりしね!!!」
そういうとまた別の所へと移動していくれいむ。
今度は餌を探しているようだ。

餌を探していると目の前に黒い帽子がいた。
一人が嫌なれいむは声をかける。
「ゆっくりしていってね!!」
「ゆゆ?ゆっくりしていってね!!」
助かった!このまりさにゆっくりさせてもらおうそう思っているれいむ。
だがれいむのそんな期待をまりさの一言が打ち砕いた。
「ゆゆ?れいむのおかおきもちわるいよおお!!lきもちわるいゆっくりはしね!!」
そう言って体当たりを繰り出すまりさ。飼いゆっくりだったれいむにはよけられない。
「ゆうううううううう!!!どおじでぞんなごどずるのおおおおおおおお!?」
「うるさいよ!!れいむのおかおはへんなせんがはしっててきもちわるいよ!!ゆっくりしんでね!!」
そういって倒れているれいむの上でジャンプしているまりさ。
れいむは意味がわからなかった。
れいむが気持ち悪い?線が走ってる?何を言ってるのだ?
意味のわからないことを言っているまりさに腹が立ってきた。
「やめてね!!いいかげんにしないとれいむおこるよ!!」
「うるさいよ!!もうれいむはしぬんだからゆっくりしんでね!!!」
死。それを聞いた時れいむはようやく危機感というものを持った。
「ごべんなざいいいいい!!れいむがわるかったからゆるじでええええええ!!!」
そう言っているとまりさがジャンプを止めた。
「きもいれいむはもうちかづいてこないでね!!つぎあったらころすよ!!」
「はいいいい!!わかりまじだああああ!!!」
そうれいむが謝っている間にまりさは帰って行った。

「ゆう・・・なんとかたすかったけどからだがいたいよ・・・ゆっくりしたいよ…」
そういっていると目の前に青いものが見えてきた。
「ゆゆ?あれはちるのだよ!!ついにみつけたぞおおおおおお!!」
当然だがチルノではない。ただのレイヤーである。
「うわ?なんだこいつ!」
「れいむがちるのをたおすよ!!ゆっくりしね!!」
だがそんなことも知らずにチルノを倒すと言い続けるれいむ。
「ゆっくりしねえええ!!おまえのせいででいぶはあああああああ!!!」
「え、何?私なんかした?」
だがこのレイヤーには何もわかるはずもない。
しかも死ねしね言われていい気がするはずもない。
「そうだ!」
そう言うとレイヤーは車の中から物を持っていく。いい仕返しを思いついたようだ。
れいむもしねとか言いながらついてくる。
「にげるなああああああ!!!しねええええええ!!!」
「はいはいわかったたよ。」
れいむの言うことを聞いたのかどうかはわからないがレイヤーが戻ってくる。
そしてレイヤーはスプレーを持っていた。
「くらええええええええ!!パーフェクトフリーズ!!!」
「ゆゆ?なんだかさむいよ!!ゆっくりやめてね!!」
なんとレイヤーは氷スプレーをれいむに吹きかけたのだ。
「ゆっくりを凍らせるなんて、あたいったら最強ね!!」
それにしてもこの女ノリノリである。しかもどこから取り出したのかいつのまにかロックアイスを持っている。
「くらえ!!ヘイルストーム!!」
「ゆげえ!?いたいよ!!やめ…やめて…!」
ガス!ガス!
「ゆ…ゆ…」
「ヘイルストーム!ヘイルストーム!」
「ゆ……もっ…ゆっくり…たかった…」
ガス!ガス!

そういってれいむにロックアイスを投げ続ける女。格好といい、今やっている行為といい
街中でやってたら間違いなくお巡りさんがやってくるだろう。

「ふうー疲れた。あたいったら最強ね!!」
そういうとレイヤーは去っていく。
残るのは氷スプレーの氷が皮にこびりつき、ロックアイスがめり込んだれいむのみである。
こうしてれいむは現実でもチルノ(レイヤー)に敗れてしまった。
氷が溶け、皮がふやけて破けたことによりれいむの体から餡子が流れていく。
れいむは薄れていく意識の中でどうしてこんなことになったのかということを考えていた。
別にプレゼントが欲しかったわけじゃなかった。ただおにいさんに褒めてほしかったのだ。
それなのに、それなのにどうしてこんなことになってしまったのだろう。
「…もっ・・・おにい…とゆっくりした…たよ…」
そう言ってれいむは果てていった。

その後

俺はれいむの捜索はせずに新しいゆっくりを飼っていた。探すのめんどいし。
しかもゆっくりショップに着く前に野生のちぇんがいたので、
それを飼うことで、余計な出費が出なくてよかった。
ついでに言えばまだ赤ゆっくりだったのも幸いした。大人だと俺でも手に負えないし。
今のところは俺のしつけの甲斐もあって良い子に育っている。
れいむ?あんな頭の悪い饅頭は知らないよ?
酷いと思うかもしれないが、俺は裏切られたらそれなりの態度に出るのだ。
あれだけ良くしてやったのに最後は脱走したのだから、何が不満だったのかわからない。
まあ今はちぇんがいるからいいか。

「おにいさんぼーっとしてどうしたのー?」
考え事をしていたらちぇんが声をかけてきた。
「いやなんでもない。それよりどうかしたか?」
「みてよーちぇん1めんをくりあしたんだよー!」
と言ってパソコンのディスプレイを俺に見せる。確かにクリアしているようだ。
しかしまだ子供のちぇんが、
大人のれいむがいくらやってもクリアできなかった1面をクリアするとは。正直驚いた。
俺はちぇんに尋ねた。
「どうやってやったんだ?」
「ちぇんはしっぽをつかってやったんだよー。」
そういってさっきプレイしていたときの様子を見せる。
ちぇんの底部を通ってしっぽがコントローラーを操作している。舌でやるよりはやりやすそうだ。
二本のしっぽならば
なるほどあの饅頭にはできないわけだ。
どうもこの子はれいむとは頭の出来が違うようだ。ゲームでそう判断するのはおかしい気もするが、
馬鹿とはいえ大人のれいむがあれだけ手こずった1面をクリアしたのだ。期待してもいいだろう。

「ちぇんゲームもいいが勉強しような。そうじゃないとテレビに出てくるデブになっちゃうぞ」
「それはいやだよー!うごけなくなるのがわかるよー!」
そう言ってちぇんを机に持っていく。
俺はこのちぇんを最高のゆっくりにして見せるぜ!!

おしまい

色々とご都合主義の激しい話になってしまいました。
投げた扇風機で潰れんもんかとかも思ったし、
氷スプレーならともかくロックアイスなんて山に持ってくる人なんて普通いないですよね。
しかも山でコスプレ。
本当は飼いゆっくりだったれいむが壮大な自然に虐待されていくっていうのを考えていたのですが、
やはりれいむが倒すと誓ったチルノにやられてしまうという方向にしました。
後レイヤーの人が気分悪くしたらごめんなさい。


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最終更新:2022年05月21日 23:52