スレ64>>728
今日の新製品 ゆっくりはうす「まりさのどうくつ」

  • 飼いゆっくりの営巣本能を刺激し、ストレスを軽減させることができる組み立て素材です。
  • 石、棒、綿、木片、箒(小)のセット。
  • まりさが好む洞窟型の巣が作れます。
  • 石は発泡スチロール製で軽くて安全です。
  • 土の替わりに綿の小玉を採用。隙間を埋め、ベッドになり、しかも床を汚しません。
  • おうちは見つける物ではなく、自分で作る物と教えるのにもご使用いただけます。
※素材は口に咥えて武器になる物もあります。成体の反乱にはご注意ください。
※完成したおうちでも強度はそこそこです。叩けば分解してしまいます。
※防水性がありますが、扉はありませんので庭に設置する際は水はけにご注意ください。
※飼いゆっくり用です。野山の環境では数日で潰れてしまうでしょう。



と言う良くわからない新商品のモニターを押し付けられた私は我が家のちび共これを与えてみた。
もっとも、私の場合家で事実上放し飼いにしているので狭くなるだけの巣に興味を示さないかもしれないが。

「ゆん・・・しょ!ゆん・・・しょ!」
「ゆーえす!ゆーえす!」
「れいむ~、こどもたちとってもがんばってるよ!」
「そうだね、とってみゆっくりがんばってるね!」

と、思っていたのだが・・・意外にも子ゆっくり、特に3匹の子まりさがのりのりで巣を作り始めた。
人間で言うところの自分の部屋が欲しいに通じる感覚なのだろうか?まあ、どうでもいいか。
基本的に1匹で作るもので、成体サイズの使用も想定されているこのグッズは本来ならば作るのに結構時間がかかる。
だが、今回は子ゆっくりとはいえ6匹がかりで作ったこともあってか、朝8時に与えたおうちは2時に帰宅する頃には完成していた。

「ゆえーん!おねーちゃんのばきゃあああああ!」
「ゆえーん!まりさのばきゃああああああ!」

だというのに、せっかく完成したのに巣の周りで泣いてやがる。
放っておく訳にもいかず、どうしたのか尋ねると姉のまりさにおうち宣言されて追い出されてしまったらしい。
他の姉妹が一緒に遊ぼうと言って中に入ろうとしたら猛烈な勢いで攻撃を仕掛けて来るそうな。
子れいむは両親に慰めてもらって既に機嫌を直しているが、同じまりさ種の個体はやっぱりまだ不満らしい。

「なあ、両親のお前らとしてはどうなんだ?」
「ゆぅ、何が?」
「いや、おうち宣言だよ。皆で作ったものを独り占めしてるわけだが・・・」
「まりさたちからはなにもいえないよ!おうちせんげんをするのはじゆうだもん!」

そりゃそうだ。なんだかんだでこいつらも元々は野生のナマモノだし。
しかし、飼い主として他の姉妹を押しのけて努力の成果を独占する行為を見過ごすわけには行かない。
と言うわけで、完成したおうちの中ですやすやと眠っている子まりさをお仕置きすることにした。
もっとも、手間をかけるのは面倒なのでシンプルに、おうちの出入り口を壁に密着させただけなのだが。



子まりさが目を覚ますとおうちの中は真っ暗だった。
寝すぎちゃったかな、とは思ったけど、それにしても真っ暗すぎる。
この家の主人の女性は目を覚ましたとき傍で寝ているゆっくりを潰さないように少しだけ明かりをつけている。
だから、この暗さは少し異常だった。

「ゆぅ・・・どうしてこんなにきゅらいのぉ・・・?」

きょろきょろと辺りを見回すがやっぱり何も見えない。
しかも、少し跳ねるとすぐに壁にぶつかってしまう。
そこで子まりさは「今、自分がおうちの中に居る」ことをようやく思い出した。

「ゆっ!ゆっくりおそとにでるよ!」

と言う訳で入り口目指して跳ねていこうとするのだが・・・暗すぎて入り口がわからない。
それでも何とかおうちから出ようと必死にあって跳ね回るが、どっちに行っても壁にぶつかってしまう。
何度かそれを繰り返しているうちに子まりさはパニックに陥ってしまった。

「ゆううううう!なんでえええええ!どうしてでぐちがないのおおおおお!」
「ゆぎゃああああああ!おそとにでたいよおおおおおおお!」
「かべさん!いじわるしないでおそとにだしてね!」
「もうやだ!おうちかえる!」

どうなる訳でもないのだが、あれやこれやと喚き散らしながらばたばたと巣の中で大暴れする子まりさ。
しかし、やっぱりどうなる訳でもない以上はどうにもならない訳でやがて疲れてきて、暴れるのをやめた。
巣の中に訪れる静寂。それと同時に、巣の外で誰かが話す声が聞こえてきた。

「ゆゆっ!おねーさんのごはんとってもおいしいよ!」
「そうかそうか。で、あのまりさは放っておいていいのか?」
「いいよ!みんなでつくったおうちをひとりじめするまりさなんてれいむのおねーちゃんじゃないよ!」
「おきゃーしゃん、このかぼちゃさんおいちいよ!」
「ゆゆっ!ほんとだね!すごくおいしいね!」

巣の外で滅多に食べられない飼い主の女性の作った料理を楽しそうに食べている家族の声だった。
人間のご飯を食べられる機会は週に1回しかない。それもいい子にしていないと貰えないとっておきのご褒美だ。
自分はずっといい子にしていたのにどうしてご飯が食べられないんだろう。
そう思うと自分の理不尽な境遇が悲しくなってきて、子まりさは泣き出してしまった。

「ゆえーん!ゆえーん!まりぢゃもごはんだべだいよおおおおお!」
「どほぢちぇごはんぢゃべられにゃいのおおおおおおお!?」

しかし、誰も子まりさの泣き声に耳を貸さずに楽しそうにお喋りしながら食事を続けている。

「まあ、そうだね。私だって調子に乗っておうち宣言されたら困るし」
「ゆっへっへ、おねーさんはこまらないでしょ?」
「んあ、ばればれか。そうだねぇ・・・宣言した瞬間に潰してると思うよ?」
「「「「おお、きょわいきょわい!」」」」

その言葉で子まりさは全てを理解した。
自分がこんなつらい思いをしているのは姉妹で作ったおうちを独り占めしているからなんだ、と。

「ゆえーん!ごめんなぢゃいいいいいい!まりぢゃがわるがっだでずううううううう!」

自分の過ちを理解し、涙ながらに謝罪の言葉を口にする子まりさ。
瞬間、閉ざされていたおうちの中に光が差し込み、その中に家族の姿が見えた。

「ゆゆっ!ごごはみんなのおうぢだよ!ゆっぐりぢでいっでね!」


‐‐‐あとがき‐‐‐
超即興
それはさて置き、実際うちらの世界のゆっくりがいたら私はこの程度のいぢめが限界だと思う

byゆっくりボールマン



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最終更新:2022年04月15日 23:46