注意

ぺにまむ設定が一行だけ存在します。
物理法則を無視している可能性があります。
虐待描写は少ないかと思います。
オリジナル設定がかなりあります。

以上が苦手な方は、ご注意下さい。



『ゆっくりじゃーの』



ここは中規模の加工所『ありす工房』。オレンジの香りが特徴的な、ゆっくりありすを原料に用いた商品、
『ゆっくりじゃーの』という商品の製造、販売を行っている。
 長い間製法は門外不出の企業秘密となっていたが、特許関係の整備やブランドの確立に成功したため、
今では更なる知名度向上を目的として、ゆっくり加工食品の流通業者や販売店の職員を主な対象に見学会が開かれている。
今日はこの見学会に参加するため、ここにやって来た。


「皆様、ようこそお越し下さいました。本日皆様をご案内させて頂きます、当工場の工場長、○○○○と申します。
どうぞよろしくお願い致します。
さて、本日は当工房の主力商品、『ゆっくりじゃーの』の製造過程の見学ということで、
一通り作業工程をご説明しながら回りたいと思います。では早速、その製造過程をご案内させて頂きます。」


「最初は原料となる赤ありすの育成をご覧下さい。産まれる直前の赤ありすを収穫し、
人工的に生まれさせることから始まります。使用するのは植物型妊娠で産まれたありす種のみです。
赤ありすの状態から、商品加工に適するサイズになるまで、元一流のブリーダーである当工房の飼育員による徹底した管理の下、
ゆっくりにとっての理想の環境で極限までゆっくりさせます。」

「「「ゆーゆーゆーゆゆゆーゆー♪」」」
「すーりすーり、しあわせー♪」
「おねぇちゃんくすぐったいよぉ」
「きょうもとかいはなしょくじね!!!むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」

同じくらいのサイズのありすが数匹、思い思いに過ごしている。
味も栄養も量も文句なしの食事、
完璧に管理された気温と湿度、
近くに安全な水場を設けて遊びに困らないようにしたりと至れり尽くせりの環境を用意してあるとのことだ。
しかも少し向こうでは…


「やべでぇぇぇぇずっぎりじだぐなぃぃいいぃぃぃいいいぃ!!!」
「やめてね!!やめてね!!ゆっくりやめてねえぇぇぇぇ!!」
「んほおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!すっきりーーーーー!!」


ありすがまりさ相手に無理矢理すっきりしていた。
もう十分満足したのか、蔦を生やしてぐったりしているまりさから離れ、群れの方へと戻っていく。
飼育員と思われる人が、すっきり用に使われたまりさをゴミ袋に詰めている。


「只今のように、食事や普段の生活環境のみならず、ありす種特有の強い性欲を発散させるために、
すっきり用に繁殖させたまりさ種やれいむ種を宛ってやる、といったこともしています。
ここで行われる育成で最も重要なのは、一切のストレス、苦労、苦痛を教えないことです。
産まれたばかりの頃は、近くに親らしき存在がいないことで不安になりますが、
この究極のゆっくりぷれいすと、優しい飼育員達に囲まれ、すぐに機嫌を良くするので全く問題ありません。」


なるほど、最高の環境と言うだけはある。
常にニコニコとした実に楽しそうな表情を浮かべているありすを見ても良く分かる。
お陰で自分を含めた参加者の半数近くが、随分とイライラした表情をしている。


「このような環境の下ですと、大抵のゆっくりはゲス化してしまうものですが、そうならないように飼育員が教育します。
全員一流と呼ばれたブリーダーだけあって、その手腕は確かで、どの個体も皆聞き分けの良い子に育てられます。
それに忘れられ勝ちですが、元がそれなりに知能の高い種族ですので上手く教えればきちんと覚えることが出来ます。
最高の環境で育ち、一流の教育を受けた自分達を誇りに思い、自他共に認める素晴らしくゆっくりとした個体が出来上がるのです。
半年ほどで大きさだけは十分に育ちますが、中身を熟成させるため、あともう1年ほどここで生活させます。」


「さて皆様、あちらをご覧下さい。」


「おでぇじゃあああぁぁぁん!!だずげでえよおおおおおおぉおぉぉぉ!!!」
「ゆっぎゅりできないひどだぢがいぢべるわぁぁぁぁあぁぁ!!」
「どぼぢでむじずるのよおおぉぉぉ!いぎゃあああああぁぁぁぁ!!」


「18ヶ月の飼育を経て、ようやく加工できるようになった成体ありす達を、工場のある棟に移動させているのです。
泣きながら今までずっと傍にいた飼育員に助けを求めていますが、当然それを助けることはありません。
彼、彼女らの仕事は製品に適したありすを育てることであり、またそれが誇りでもあるのです。
さぁ、これでありすの飼育が終わり、工場のある棟に連れて行かれました。
ここから本格的な加工が始まります。私たちも工場棟に参りましょう。」


次に連れてこられた工場棟は、大規模な加工所でも見ることのない、変わった機械や道具で一杯だった。
参加者は皆興味深げに当たりを見回している。
先ほどの飼育舎を見せられてストレスマッハになっていた参加者は特に嬉しそうにしている。


「運び込まれたありすは、全員この機械に固定され、定期的にゴム素材で出来た広い板で全身をくまなく叩かれことになります。
ある程度叩いたら、死なないようにオレンジジュースをかけて回復させます。
叩いては回復、叩いては回復を、これから48時間休まず続けるのです。」


「ゆべっ!ゆぐっ!ゆぎゃっ!どぼぢでごんなごどぉぉぉ!!」
「いじゃいいいいぃぃぃぃぃ!!だずげでえええぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ごんなのぜんぜんとかいはじゃないわぁあぁ!!おうちがえじでよおぉ!!」


「皆様のご来訪に合わせまして、予め48時間あの機械にかけたありすを用意しておきました。
どうです、叩かれて即回復を繰り返していたため、表皮は硬く、分厚くなっているでしょう。」


48時間の責め苦を受け続けたありすは、あちこち腫れ上がって元の大きさの1.5倍くらいの大きさになっており、
弾力は失われてタイヤのゴムみたいな感触をしている。


「変化はそれだけではありません。中身にも、見た目以上の劇的な変化が起こっているのです。
先ほどご覧頂きましたように、これらの個体はほんの2日前まで一切の苦痛を知らず、
産まれてから18ヶ月の間ずっとゆっくりし続けたものです。
こういった惜しみない愛情を注がれて育ち、心からゆっくりし続けた個体が突如苦痛に見舞われた際、
中身の味に深みが出るという性質があります。
ほんの少し前まで自信に溢れ、ゆっくり以外したことのなかったこのありすたちも例外ではありません。
2日前と現在では、味に明確な違いが出ているのです。
先の、見る人が見たらストレスがマッハになりそうな部屋は、そのためのものです。」


「さて、次の工程の説明をさせて頂きます。
48時間の処理を経て皮が変質したありすの中から、形の良いありすを選ぶ作業に入ります。
大きくて皮が丈夫な個体ほど商品に適した個体ということになります。
選ばれなかったありすはその場で丁寧に皮を剥かれ、中身のカスタードを取り出されます。」


サクサク…サクサク…。ベリッ…ベリッ…。

いよかんの皮でも剥くかのように、頭のてっぺんから足に向かってまっすぐ縦に、等間隔に6本切り目を入れている。
それが終わったら、6等分された頭皮を一枚一枚丁寧に剥ぎ、見る見る中身のカスタードを露出させていく。


「あぎゃあああああぁぁぁぁ!あでぃずのどがいはなおはだぎゃああぁぁぁぁ!!!」
「おでぇぢゃあぁぁぁん!!やべでぇぇ!おでぇぢゃんにひどいごどじないでぇぇ!!」
「ゆぐぐうぅぅ…おうぢがえりだい…もっどゆっぎゅりじだが…た…」
「いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 取り出したカスタードを大きめのボールに入れ、変な白い粉を混ぜ始めた。
互いに混ざり合ってやや堅めになったものを今度は二人で団子状に丸めていく。
しかも手作業だというのに異様に早い。なんとも職人を感じる光景だ。


「その取り出したカスタードに、製造過程の要となる白い粉を混ぜて、選ばれたありすに全部食べさせます。
普通のゆっくりなら絶対に食べきれない量ですが、先の工程で皮が格段に強化されているため、
無理矢理全部詰め込んでも弾けることはありません。
しかも硬くなった表皮のせいで満足に動けず、暴れることも不可能であるため、非常に都合がよいのです。」


「やべでぇ…ありすのおねえちゃんだよ…たべたくないよぉ…」
「ゆぐっ!!うーー!!うーーー!!!」

一人がありすの口を無理矢理開き、もう一人が次々にさっき作った団子を喉の奥に詰め込んでいる。
ある程度詰まったら押さえている側が背中(あるいは後頭部)を蹴り、飲み込ませていく。
全体の7割ほど食べさせた時点で、一度飲み込ませるのを止めた。


「この時点で全部食べさせる必要はありません。とりあえず限界まで食べさせたら、残りを口の中に全部詰めます。」


そこまで説明すると、工場長が合図を送り、二人が作業を再開した。
どうやら特別に説明に合わせて作業をしてくれているようだ。

説明の通り、残り全部の団子を口に詰め、すかさずゆっくり用の万力に固定した。
自分の上下から加えられる強い力に、自力で口を開くことが出来ないようだ。
一人がそんな状態のありすの唇を開き、もう一人が小型のアイロンのようなもので前歯の表面を撫でている。
暫くすると、砂糖で出来た歯が溶け、見事にくっついてしまった。
更に今度は一人が右頬を引っ張り、もう一人が上下の奥歯をくっつけていく。
全部の歯がくっつき、完全に歯の隙間が埋まったようだ。
万力から外して口を開けても、白い半透明の平面が見えるだけ。
必死に口を開けようとしているのが、口の動きから見て取れる。


「歯が完全にくっついて口が開けられなくなったら、今度は口全体の処理をします。
最初に唇を切り取り、切り取った唇をミキサーにかけてペースト状にし、それを再度ありすに戻して小麦粉で塞ぐのです。」


再び万力で固定されたありすの唇を、慣れた手つきで切り取っていく。
切り取った唇を工場長の説明の通りミキサーにかけ、出来たペースト状の物体をありすの口に戻していく。


最後に、予め用意して置いた水で練った小麦粉をかぶせ、よく馴染ませてこの作業は終了のようだ。
因みに当のありすは、口いっぱいに詰め込まれた団子とくっついた歯で叫び声は上げられないが、
両端が裂けるんじゃないかというほど目を見開き、だらだらと流れる涙で足下に水たまりを作っていた。


「次は底部、通称「足」の処理をご紹介致します。まずはこの装置をご覧下さい。

表面がツルツルに磨かれた直径5mほどの丸い陶器の板がぐるぐると回転している。
板の上にはアームが1本、昔のレコードプレイヤーのように中央に向かって伸びている。


「各装置の排気熱を利用してお湯を沸かし、そのお湯を大きな陶器製の板の下に流して熱しているのです。
言うなれば巨大な湯煎鍋と言ったところでしょうか。
表面の温度は、お湯を注いだばかりの湯飲みの熱さ、と言えば分かりやすいかと思います。
さて、熱くなった陶器の板の上にありすを置き、底部だけを焦げ目がつかないように低温でじっくり焼きます。
個体の大きさなどで多少の差がありますが、足の機能が完全に失われるまで大体6時間ほどかかります。」

確かにお湯を注いだばかりの湯飲みは熱い。うっかり触って火傷したことのある人も多いだろう。

バキッ!!ドスッ!!ボゴォッ!!
「〜〜〜〜!?〜〜〜!!!」

 いきなり、職員の人がさっきの工程で口を完全に消されたありすを殴り始めた。
いきなりのことに、ありすは勿論、参加者も全員驚いているが、慣れているのか、工場長は穏やかに説明を始める。

「いきなりのことで驚かれたと思いますが、心配は要りません。
最初に殴って気絶させておいた方が後の作業を効率よく進められるのです。
低温で、とは言いましたが、やはりそれは生き物にとってはダメージになります。
熱さに耐えかねて途中で転んだり転がったりされては十分に足が焼けなくなるのです。
そうしたことが起こらないよう、まずはありすを特製のカゴに入れます。」


そういって目の前に出てきたのは、妙な形をしたカゴのような物体。
身近なもので表現するならば、フェンスで作られたシルクハットと言ったところだろうか。
ありすを熱い陶板の上に置き、素早くそのシルクハット型のカゴをかぶせた。
なるほど、ありすの体がすっぽり収まり、横になることは出来なさそうだ。
しかもシルクハットのつばの部分があるお陰で、カゴごと転ぶといったことも不可能になっている。


体無しゆっくりの生命線、足にくわえられる熱に、殴られて気絶していたありすが意識を取り戻したようだ。
急な熱さに暴れようとするが、硬くなった皮と特製カゴに固定され、体を動かすことが出来ない。


「カゴに入れられたありすは板の回転に合わせて動きますが、それを一本のアームが受け止めます。
こうすることで、常に熱い板に底部をこすられる形になり、足が機能を完全に失う頃には、
底部がほぼ完全な平面に焼き固められるのです。足下に涙が溜まってしまい上手く焼けなくなることもありません。
これで足の処理は終了です。」


「こちらは予め用意しておきました、足の処理が終わったありすです。
カチューシャを外し、髪を剃り、その後、粗い下ろし金で、目を傷つけないように注意しながら足以外の全身を激しくこすります。
この際、髪が二度と生えてこないように、毛根も全て削り落としてしまいます。
外したカチューシャは使い道がありませんので、捨ててしまいます。」


足の機能を完全に破壊された上、さっきの説明の通り、底部が見事に真っ平らになっているため、
身じろぎ一つとれないありすが目の前に用意される。
口の加工、6時間もの焼きに涙が完全に枯れたのか、絶望に塗りつぶされた目からは一滴の涙も流れていない。


そんな状態でも、カチューシャが外されると限界まで目を見開き、砕かれるのを見て目が潤み、
ゴミ箱に捨てられるのを見届けた直後に滝のような涙を流した。
よくよく耳を澄ませてみると、下界から完全に遮断された口の中から、くぐもった叫び声が聞こえてくる。


 ショリショリショリショリショリ…。

泣いている間にもどんどん髪の毛が無くなっていく。
口があれば、「ありすのとかいはなかみがああぁぁぁ!!やべでぇぇぇゆっぐりできなぐなるうぅぅうぅぅ!!」とか叫ぶのだろう。


もう目の色でしかありす種としか判別の付かなくなったハゲ饅頭を、今度は目の粗い下ろし金でどんどん削っていく。
涙の勢いはさっきとは比べものにならないくらい強くなっており、全身を襲う激痛に体をよじらせて悶えている。
くぐもった声も、さっきより大きい気がする。

「全身ボロボロの擦り傷だらけになったら、今度はナイフで格子状に切り目を入れていく作業に入ります。
切り目の深さは8〜10mm程度。やはり目を傷つけないように注意します。
硬くなった皮に誤差2mmの範囲で均等に傷を付けるには、熟練の技が必要となります。
目を傷つけないように、と言っている理由は、後ほど実例付きで説明させて頂きますので、今はどうかご容赦下さい。」


一人の男が、厳しく鋭い目つきのまま、一心不乱にありすの表面に切り込みを入れていく。
目を潰さないようにしなければならないため、顔の全面を切る時は特に険しい表情になる。
目の先30?で険しい表情をした男が脇目も振らず自分の顔を切り付ける。これは絶対に怖い。


「ナイフを入れる作業が終わったら、先ほどカスタードに混ぜたのと同じ白い粉と食塩を混ぜたものを用意し、
それを万遍なくありすの全身にまぶします。
またその際、涙で流れてしまわないように、目に水泳で使うゴーグルのような器具を装着させます。」


あの状態の体に塩を塗り込まれる苦しみは想像を絶するものなのだろう。
満足に動けず、口もきけず、涙さえ止められたありすの、目に見える反応は殆どないが、確実にくぐもった声は大きくなっている。


「傷が塞がりましたら、今度はオレンジジュースで茹でる工程に入ります。
ここで一度傷の再生と表皮の質感を回復させるためです。
始めはぬるいオレンジジュース、暫くしたら温かいオレンジジュース、その次は熱め、
その次は本当に熱いオレンジジュースに入れていき、少しずつ温度を上げながら、最終的に沸騰したオレンジジュースで茹でていきます。
この工程で表皮の傷や質感は回復しますが、足の機能や毛根は完全に破壊されているため、再生されることはありません。」


最初の温いオレンジジュースに入れられるありす。
何をされるのかと怯えに怯えていた様子だったのが、急に心地よい風呂に浸けられたことで、混乱しているようだ。
引き揚げられ、温かいジュースに移される。全身にオレンジジュースを浴びたことで体力が回復し、
更にさっきより快適な温度になったことで、幾分安心しているようだ。
目に見えて傷が治っていき、更に皮から水分を吸収しているのだろうか、質感も幾分良くなっている。
次は熱めのオレンジジュース。茹でる作業をしている職員に不快感を目で訴えているが、
慣れてしまえばこれもなかなか気持ちよいらしく、すっかりくつろいだ表情をしている。

もっとも、こうした気分はここで終わる。
次は本気で熱いジュース。鍋の表面が大きく波打っているのは、何とかして出ようともがいているからだろう。
こうして、どんどん温度を上げられていき、最後の沸騰オレンジジュースに入れられた。
ぐつぐつと煮立った鍋を見て、入る前から逃げようと必死にもがいていた。
ゴーグルを装着したままなので、目が煮えてしまうことはない。


「オレンジジュースでの煮込みが終了したら、次は整形作業に入ります。
先ほどまでボロボロだったありすですが、オレンジジュースから引き揚げた直後は、
皮の厚さはそのままに、もちもちした触感の柔らかい饅頭のようになります。
表皮に含まれる水分が蒸発して再び硬くならないうちに、平べったい太鼓の形をした枠に押し込み、
丸3日風通しの良い部屋の棚に並べて形を整えます。」


鍋から引き揚げられ、ゴーグルを外されたありすは、先ほどのボロボロの姿とはうって変わり、
蒸したのように湯気を盛んに上げている、なんとも美味しそうな饅頭になっていた。
焼き固められた足もすっかり柔らかくなり、ズタズタのボロボロだった体も引っ張ればどこまでも伸びそうだ。
その触れば火傷しそうなほど熱く、すっかり柔らかくなったありすを、厚めの布の上に置き
、一回だけ布で巻いてから、ありすの側面に、見るからに頑丈な金属製の型をはめた。
平べったい太鼓のような形をしている。
型枠をはめたら、頭の上にも平らな板と重しを乗せて、整形の下準備は完成、とのことだ。


「例によって3日経ってから型から外されたありすを用意してあります。
風通しの良い場所でゆっくりと乾燥させたため、分厚い皮から水分が程良く抜け、
太鼓のような形を保っているのが分かるかと思います。
足も完全に機能を失っておりますので、自力で動くことは勿論、この形になっては転がることも出来ません。
完全無抵抗なありすの完成です。
今度はありすを飽和食塩水に浸す工程に入ります。
食塩水に浸してすぐに乾かし、また浸してすぐに引き揚げ乾かすという作業を繰り返します。
十分に塩分が表面に染みこんだら、今度は全身に焼き印を入れます。」


向こうではすっかり形の変わったありすを食塩水に浸したり引き揚げたりしている。
涙を流すための水分に困ることはなさそうだ。
こういった作業が終わり、十分に塩分を蓄えたありすは、目が下に来るように固定され、全身に焼き印を入れられていく。
焼き印の文字は今から約1年半後の日付になっている。
焼きごての温度、押しつける強さ、時間が正確に定められており、これにも熟練した技術が必要だと言う。
目を下に向けて固定しているのは、涙で濡れて上手く焼き印が入らなくなることを防ぐための処置だそうだ。


「焼き入れが終わったら、今度は型くずれ、乾燥防止のためにワックスを全身に塗っていきます。
気泡が入らないように注意しながら、塗っては乾かし塗っては乾かしを繰り返します。
ワックスの厚さが2mmくらいになったら塗るの止め、最後に乾燥させて、これで下準備が全て完了したことになります。
最後に、熟成室で最低2年寝かせて完成です。」


「ところでこのありす達、どこから仕入れたのだろうと気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
手間暇を惜しまず、じっくりと時間をかけてひたすらに商品の質を向上させていくことに全力を傾ける我々は、
当然原料となるありすも自家製です。
一度この場を離れて、当工房自慢の素材製造過程をご覧頂きたいと思います。」


「ここが、当工房の繁殖室です。この工房で使用されるありすは、全てこの飼育室で繁殖させております。」


「んほおおおおおおぉぉぉぉ!!!すっきりいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁぁぁ!!やべでぇぇぇぇぇ!!もうごどぼうみ゙だぐない゙いいいいいいぃぃぃぃぃ!!」
「まりさのまむまむさいこうよおおぉぉぉ!!!すっきりーーー!!!」
「ぼうやだあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!ずっぎり゙いいいぃぃぃ!!」
「ありすはまりさじゃないわよおおぉぉぉぉ!!ちがうっだらぁああぁぁぁぁぁ!!!」

「だれかとってぇぇ!!あがぢゃんがじんぢゃううぅぅぅぅ!!」
「いやあああぁぁぁっ!!はずしてね!!はずしてねえええぇぇ!!」


 れいぱーの本領を存分に発揮している成体ありすと、
まりさ種の最大の特徴である黒い帽子を被せられて無理矢理ありすにすっきりさせられている成体ありす。
少し離れたところには異様に太い蔦を生やし、その先に十ばかりの灰色の球体と数個の子供を実らせた植物型妊娠中のありすがいる。


「ここにいるのは全部ありす種で、種付けする側と子供を産む側に分けられています。
この部屋自体が、他の部屋と比べても相当特殊な構造になっていますので、まずは部屋の説明から始めさせて頂きます。
妊娠や出産はゆっくりの体力を大きく奪うものであり、若いゆっくりは論外、
成熟したゆっくりであっても度が過ぎると死に至る、というのは周知の事実。
その中でも特に性欲の旺盛なありす種の場合は、そういった事故が起こりやすいのは、想像に難くないかと思われます。

この工房では、それを防止するため、部屋全体、床上5cm程の高さまでオレンジジュースが張ってあります。
このお陰で、産む側のありすは衰弱死することがなく、常に栄養状態の良い子供を産むことが出来るのです。」


「次に繁殖用のありすの説明に移ります。この部屋のありすは種付け用と出産用がいて、
普段は勝手にすっきりをしないように、鉄格子で隔てられています。
また、種付け用ありすどうしですっきりされても困りますので、種付け用ありすが互いに触れあえないように仕切りを作っています。
赤ありすが必要になりますと、職員がこの部屋に入り、種付け用のありすを揺すり、発情させてから鉄格子を開けてやります。
するとすぐに出産用ありす相手にれいぱーの本性全開にすっきりを始めるのです。


子供を産む側となった出産用ありすは足を焼かれている上に、
直接体に何本も釘を打たれて床に固定されていますので、すっきりを拒むことが出来ません。
また、産まれた子供を飼育棟の環境で長くゆっくりさせる必要があるため、
体も精神もある程度育った状態で産まれてくる動物型妊娠では都合が悪いので、
動物型妊娠用の器官は前もって破壊し、どんな方法であっても必ず植物型妊娠になるようにしてあります。


ありす種どうしではあまり繁殖効率が良くないので、出産用ありすはカチューシャを外して、
代わりにまりさ種の帽子を被せています。
こうすると、何故か種付け用ありすは出産用ありすをまりさであると認識するので、手早く種付けを完了させることが出来ます。
一度目のすっきりが終了し、出産用の頭から蔦が伸びてくるのを確認すると、
二度目を始めないうちに職員が素早く種付け用を引き離し、元いた場所に戻して鉄格子を閉めます。」


「どぼぢでぇぇぇぇ!まだまだずっぎりずるどおぉぉぉ!!」
「ばりざあああぁぁぁぁぁぁ!!もっととかいはなことじばじょうよおおぉぉ!!」


たった一回のすっきりでは物足りないのか、自分たちを隔てる鉄格子をどうにかしようと激しく体当たりを繰り返している。
足下のオレンジジュースが回復させるので、ただただ痛い思いをし続けるだけなのだということには、未だ気付く様子はない。
一方、無理矢理なすっきりをさせられた出産用ありすの頭からは、蔦が生えている。

通常ならば赤ありすが実るまでまだまだ時間が必要だが、出産用ありすを絶えず襲う危機感や絶望感が繁殖本能を刺激するのだろう、
足下のオレンジジュースの強烈な後押しも受けて、もの凄い早さで赤ありすが実り始めている。
速度だけでなく、その数も異様である。通常一つの蔦に5匹程度、多くても10匹程度実るところ、
それのおよそ2倍の数の15匹から20匹程度が一斉に実り始めている。
それらの重さを支える蔦も通常では考えられないほど強靱で、その太さは倍以上ある。


「実る子供の数やその成長速度が通常とは比較にならないのは、只今ご覧になられた通りです。
成長速度がある程度落ちてきたところを見計らい、種付け用を隔離して待機していた職員が赤ありすを選別していきます。
実った赤ありすの中から、肌の張りや質感はどうか、髪の艶や色はどうかを調べ、
将来どれくらいの質のゆっくりになるかを見極めるのです。
この作業は、この道30年のベテランである彼が担当しています。」


「皆様、本日はようこそ。ゆっくりありす繁殖担当、□□□□と申します。今から、実際に一連の工程をご覧に入れましょう。」

作業を始めた途端、さっきまでの柔和な表情が一変し、険しい表情になり、
真剣な目つきで一つ一つ赤ありすを吟味していく。彼もまた、この工場が誇る熟練した職人の一人のようだ。


「やべでえぇぇぇぇ!!ありすのとかいはなごどぼいじらないでぇぇえぇ!!」
「今回は、これとこれとこれ、あと根本のこの一匹を選びます。これ以外の赤ありすは全て間引いてしまいます。」
「いやああぁぁぁぁぁ!!やめてね!!やめてね!!」


「間引く、と一言に言っても、そのやり方は特殊なものになります。
普通のゆっくりなら蔦から赤ゆっくりをもぎ取ってしまえばいいのですが、この環境だとそうはいきません。
もぎ取ってしまってもまた新しい赤ゆっくりが実ってしまい、無駄なんです。
必要な赤ありすのみを残して蔦ごと他全部をパテなどで覆うという方法も過去に試したのですが、
そうすると蔦が十分に成長せず、結局栄養が足りなくなってしまうため、この方法も採れません。
ではどうするのか、と言いますと、コレを使って間引くんです。」


 そう言っておもむろに腰のバッグから灰色のガチャポンの入れ物のような容器を取り出し、
見込み無しと判断された赤ありすに次々にかぶせていく。
簡単に開かないようにテープで固定し、あっという間に、一つの蔦に最も見込みのある4匹を残して、
その他全ての赤ありすを蔦についたまま閉じこめてしまった。実に鮮やかな手並みである。


「こうすることにより、見込みのない赤ありすには栄養を与えず、
見込みのある赤ありすにのみ栄養を集中させることができ、高品質な素材の安定供給が可能となるんです。」

「いぎゃあああああああああああああああああ!!!やだ!!やだあああぁぁぁ!!」
「あがぢゃんがじんじゃううぅぅぅうう!!ゆっぐりざぜであげてよおぉぉぉ!!!」

「しかも、種付け用ありすは満足にすっきり出来ないストレスと
鉄格子に体当たりすることによる身体的ダメージを蓄積させていきます。


一方の出産用ありすも、無理矢理すっきりさせられること、望まぬ子供を産ませられること、
自分と繋がっていながら決して目の開けることのない閉じこめられた子供を見ること、
いつか人間に奪い取られることに怯え、須く現実となることによる肉体的、精神的ストレスを蓄積させていきます。


しかし、足下に張られたオレンジジュースがそのダメージや精神的なストレスから来る障害を回復させ、死ぬことは出来ません。
その結果、ひたすらストレスを溜め続け、自身の中身をどんどん上質なものにしていくんです。
その上質なカスタードは、子供に受け継がれ、繰り返せば繰り返すほど、より素材としての価値を高めていく、というわけです。」

「只今彼が説明しましたように、代を重ねるごとにより上等なものへと品質を上げていく工夫が凝らされているのです。
因みに、この親から生まれたばかりの赤ありすは絶品の一言。どうぞ、ご賞味下さい。」

 ブチッ、ブチッ。
「ありすのあがぢゃんがあああぁぁっぁあぁぁぁ!!!」
「どぼぢでごんなごどするどおぉぉぉぉぉ!!!」


 …美味い。生まれたての赤ゆっくりを食べたのは初めてではない。むしろ人よりずっと食べている方だ。
この味はその全ての遥か上を行く。
皮を破くと同時にあふれ出るカスタード、とろりとした食感と共に、上品な甘みが舌を包み込み、更に口いっぱいに広がっていく。
これだけでも相当にいい値が付きそうだ。


「こうして選ばれた赤ありすだけが、一番初めにお見せした飼育棟へ運ばれ、味に深みを加えるために育てられるのです。
では、熟成室の方へ向かうとしましょう。」


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年05月21日 23:16