「じんぐるべ〜〜る♪ じんぐるべ〜〜る♪ Snがな〜〜るぅ〜〜♪」
今日は、クリスマスイブである。
キャッキャ♪ うふふ♪ 黒歴史〜〜♪ な夜であり、ゲームがたくさん売り出される時期でもある。
ただ、……。
「……たいくつだ……」
「ゆゆぅ、おにいさんもてつがくてきね……」
ただ、俺は飼っているありすともども、ハイパー賢者タイムに入っていたため特にやることがなかった。
飲み会などあるはずもない。
皆、三次元の彼女や、画面の中の彼女と過ごしているからだ。
「パーティーしてーなー」
「ありすも、とかいてきなぱーてーがしたいわ」
「金ないだろ?」
「そうね」
「ゆっくり相手でもいいか……」
「それもそうね」
このような、G8も真っ青の高度且つ、非情に具体的な会議が行われた結果、ゆっくり相手にパーティーをする事が決定された。
「問題はどのゆっくりを呼ぶかだが……」
「ゆゆゆ、かいゆっくりをつれてくれば?」
「わざわざ、お友達いないからゆっくり貸してくださいって言えるかお前?」
「むりね」
「と、なると」
「やっぱり……」
「「のらゆっくりだ(ね)!!!」」
ありすと買い物に行った際、見栄で買ったシャンパン(スパークリングじゃないぞ!!)で乾杯し、ほろ酔いになったところで、早速ゆっくり達を招待する為に外に飛び出した。
「こっちね!!」
「おお!! いっぱいいるなぁ!!!」
ご丁寧に、ゆっくり隠れてますと言いたげなほどバレバレの戸締りをしている森の中の巣。
パッと見ただけで数十戸、家族を入れれば数百にものぼるかもしれない。
「よっしよし。ハイパー賢者おにいさん!! 突撃します!!」
「そーなのかー!!!」
――――――――――
「ゆんゆゆゆ〜〜〜ん♪ ゆゆゆっゆゆんゆ〜〜♪」
「ゆりすますは、たのしいね!!」
「いいこにしてるおちびちゃんたちは、きっとう〜ぱっくがぷれぜんとをもってきてくれるね!!」
「そうだね!! ゆっくりいいこだもんね!!」
何か楽しそうな会話が聞こえるなぁ。
サンタの正体は永遠の謎だ、一体誰なのだろう?
「ごめん!! さぁ君も、クリスマスパーティーに参加しよう!!」
「さらばぼっちよ!!!」
「ゆゆゆ?」
「おにーさんさむいよ!! ゆっくりもんをしめてね!!!」
さすが、野良ゆっくり。人の話は聞いてない。
まぁ、そんなことは関係ないからいいけど。
「おお!! おお!! こんなに食べ物があるな、これはパーティーのごちそうにするよ!!!」
「おにいさんはたべないけどね」
「ゆゆゆ!!! まっでぇーー!!」
「それは、ふゆさんのあいだのたべものだよ!!」
「ゆっきゅりできにゃいーーー!!!」
猫車いっぱいに巣から集めた食べ物と藁その他を詰め込み、ぞろぞろと付いてくるゆっくり達の先頭をゆく俺とありす。
一匹も欠ける事無く付いて来るとは、なかなかノリの良いゆっくり達だ。
「賢者になってよかったな」
「くそげーに、あそこまでこうふんできるおにいさんはすごいわね」
―――――――――――――
「さぁ!! らんらんるーーパーティーだ!!!」
ビニールシートを広げ、食べモノをばらまいただけでは不満爆発だったゆっくり達も、見栄で街一番に仕上げたイルミネーションを灯し、藁を燃やして火柱を立てたら、とたんにノリ気になってくれた。
「ゆっくりすます〜〜♪」
「うっめぇ!! これめっちゃうっめぇ!!!」
「わかるよ〜〜♪ ちぇ〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!! なんだよ〜〜〜♪」
「ゆゆ〜〜〜♪ ゆゆ〜ゆ〜〜〜〜♪ ゆゆゆ〜〜〜♪ ゆ〜〜ゆゆ〜〜〜♪ きょうもあしたもゆっくり〜〜♪ できない〜〜〜♪」
「れいむのおうたは、せかいいちだね!!」
「のどゆまんこんてすとで、しんさいんとくべつしょうれーしょー、をもらったんだもんね♪」
「……だってさ。お前この前カラオケで90点だしたよな」
「No Life Queen でね」
「俺は95点だったけどな」
「はっぴー☆さんでーじゃなかったら、とかいてきだったわ」
さすがに薄暗くなる頃には賢者タイムも終了したので、俺とありすは寒いから家の中からパーティー様子を眺めていた。
よくよく考えると、俺が食べれるものないし。
「お前、あいつらが食ってるの食えるか?」
「とかいはだからむりよ!!!」
「……じゃあ、食えるんだな」
「べ、べつに……おにいさんのために、せっかくつくってくれたまっずいごはんをたべてるわけじゃないんだから!!」
「お前をツンデレに育てた覚えはない」
再度庭に目を移すと、ゆっくりたちのパーティーも佳境に入っていた。
あらかた食べ物は食べ終え、子供達は既に寝付いている。
「ゆゆ〜〜♪ おちびちゃんたち、おねんねはおうちのなかでしようね♪」
「ゆっくりできるぱーてーだったね♪ そろそろおうちにかえろうね♪」
一つの家族を先頭に、一匹、また一匹とそれぞれの巣へ帰っていく。
ちなみに、今日はホワイトクリスマスにはならなかった。
寧ろこの時期には珍しく、暖かな一日だった。
ざまあみろ!!
全てのゆっくりが帰ったことを見届け、火の始末を確認してから、風呂に入った。
「さて、俺達は溜まったアニメでも見ながら晩酌しよう」
「どうせ、ぱんつあにめなんでしょ?」
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん♪」
「……ゆゆゆ。きもいわ……」
―――――――――――
翌日
「ど!! どうしてれいむたちのごはんがないのぉーーーーーー!!!???」
「おがーーしゃーーん!!! おなかへっちゃーーー!!!」
「あったか〜〜〜♪ もないよぉーーー!!!」
「しゃみゅいよーーー!!!」
「むきゅきゅん!! かーけいぼをつけて、かんぺきにたくわえたはずのぱっちぇのごはんがぁーー!!!」
「ま!! まりさのおたからがないんだぜ!! たべものもないんだぜ!! ぜ〜〜〜〜〜〜!!!」
ついつい全話ぶっ続けで見てしまったために、正午近くになって起きた俺達は、ボタン雪が舞っている中、昨日のゆっくり達の群までやってきた。
予想通り、どの巣の中からも、とてもゆっくり出来ないような声が聞こえてくる。
「まるで、買い置きのお菓子が無くなったありすみたいだな」
「こうりゃくできないとわかったときの、おにいさんよりはましよ」
「ごっはぁーーん!!! ごっはんがないんだどぉーーー!!!!!」
見ると、顔を真っ赤にしながら飛んでくる一匹のれみりゃ。
「ふもっふ!!!」
「んぎゃあ!!!」
を、叩き落す。
お前は、餌を集めて無かっただけだろ。
そもそも、冬って分かるか? これ、砂糖じゃないぞ?
いや、じゃあ塩か? っては突っ込むな。
丁度いいつまみが出来たので、知識だけしっている亀甲縛りをれみりゃに施しておく。
「いっだいどぉーーー!!」
「ジャンクにしてあげるぅ〜〜〜♪」
「うっぎゃーーー!!! さぐやーーー!!!」
やっぱりキモかったので、普通に縛りなおしておく。
それを終えてから、ありすを連れて各々の巣穴に出向く。
「やぁ!! ぼくはAKIBATYPEお兄さん!! 昨日のパーティーは楽しかったね。みんなの家から食べ物と、良く萌える藁なんかを持ってきて、すばらしい聖夜を過ごせたね♪」
「きゃんぷふぁいやーみたいで、ばかすかうちあげる、はなびといっしょできせつかんがなかったわ」
そういや、巣の入り口も壊したんだっけ。
どうりで声が良く聞こえたわけだ。
「どうじでぞんなこどしちゃっだのぉーー!! あれはたいせつなんだよぉーーー!!」
「れいみゅのばきゃーー!!!」
「ゆゆゆ!! おかあしゃんは、ばかじゃないぃーーー!!!」
「むきゅきゅーーー!! ぱっちぇは、……。この、ちしきとひかげのゆっくりの、ぱっちゅり〜は、ろうひかなんかじゃないわーーー!!!」
「ゆゆゆ!! おにいさん!! そのかわいいありすをこっちによこすんだぜ!!!」
「うっさい!! きもぴざやろう!!」
「どうじでぞんなごどいうんだぜーーー!!!」
こんな感じで、全ての巣に親切に事の成り行きを教えてやると、どの一家も納得したようで、叫び方も現実感が出てきた。
やっぱり、飲みすぎると記憶がなくなるからね。
「さて。さっさと帰って、この話を肴に晩酌するか」
「ありすは、このれみりゃがたべたいわ♪」
「れみりゃには、かわいいかわいいこどもたちがイッルんだっどぉーーー!!! はやくかえらないと、さむいさむいで、ぐ〜〜ぐ〜〜になるんだどぉーーー!!!」
「おぜうさまなら、従者に餌集めさせろよ」
「うあ〜〜〜!! さぐや〜〜!! どこだどぉ〜〜♪」
雪はドンドン激しくなってきた。
家路を急ぎながら、俺とありすは、コミケまでは絶対に家を出ないと誓い合ったのだった。
最終更新:2022年05月18日 22:38