※SSを書くのは初めてですので、読みづらいところが多いと思いますがご了承ください






「「ゆっくりしていってね!!」」

朝っぱらから無条件に不愉快にさせる声で目が覚めた。ゆっくりの声だ。

ゆっくりは突如幻想郷に現れた謎の生き物だ。
今さら説明も必要ない気もするが、簡潔にまとめると、畑や家を荒らすウザったい饅頭だ。味は中々に美味い。終わり。

他の農家のように、自分の畑も荒らされているのだろう。
ゆっくりと服を着替え、ゆっくりとした足取りで家を出た。
興奮で目を血走らせながら。




外に出ると、案の定畑は荒らされていた。
野菜は無残に食い散らかされ、食べ残しが散乱し、置いてあった桶などの道具も壊されていた。
誰が見ても無残なこの光景に対して、オレはさほど腹がたたなかった。

ここはロクに管理してなかった畑だ。
放っておいても、それなりに収穫があったので、多少は助かっていたが、オレは別に金にも食べ物にも困っていない。
自分が本当に管理している畑は別にある。収入源もそこで育てているものだ。
向こうは、この畑と違い、ゆっくり対策や強固な柵を用意してあるので、たぶん大丈夫だろう。




「むーしゃむーしゃ♪しあわせ~♪」
「うめっ!めっちゃうめ!」
ゆっくり達を見つけた。ゆっくりれいむとまりさだ。
柵に囲まれている本命の畑に侵入できず、諦めたのか柵の傍でさっきの野菜と、種がこぼれて柵の外で育った本命の作物を食べている。
食べるのに夢中でこっちに気づいていないようだ。

自分で育てているワケではないとはいえ、自分の物をゆっくりに奪われると無性にハラがたつ。
とはいえ、怒りを剥きだしにしては、ゆっくりに逃げられるかもしれない。怒りを押し殺して近づくとしよう。

「やぁ、ゆっくりしてるかい?」
ありきたりなセリフで声をかけてみた。

「ゆっ!ゆっくりしてるよ!」
「うめっ!めっちゃうめ!」

こちらに気づき、ゆっくりれいむがお決まりの挨拶を返してきた。まりさは、まだ野菜を食っている。腹立たしい。
「ゆっ!おじさんこれすっごくおいしいよ!なんていうの!?」
「うめっ!めっちゃうめ!」

野菜を貪りながら聞いてきた。意地汚い。
しかし、いややはりと言うべきか、野菜の方は食い残しがあるが、本命の方は綺麗に食べている。
本命の作物の持つ性質。と言ったところか。

「ケシの実だよ」

本命の作物とは、阿片の原料であるケシだ。ケシの未熟な実には、幻覚作用を持つ乳液が含まれている。
これを精製することにより阿片ができるワケだ。強い依存性と中毒性は持つ。「中華一番」に書いてあった。
ちなみにケシの種は食用可能である。あんぱんの上の白いゴマっぽいヤツとか。

「ゆっ!ケシのみ!おいしいよ!」
だれが食っていいと言った?
「むしゃむしゃ!!もっと、まりさにケシのみもってきてね!」
あろうことか、おかわりまで要求された。

「けどねぇ、ここはお兄さんの畑なんだ。ここでゆっくりしないでもらえるかな?」
言っても無駄だとは思うが、とりあえずは言ってみる。

「ゆ!ここはれいむとまりさのおうちだよ!あとからきたおじさんはかえってね!!」
「まりさはここでゆっくりケシのみをたべるから、おじさんはさっさときえてね!!」

さきほどまで上機嫌だった二匹だが、ゆっくりできないと分かると急に怒り出した。
わざわざ優しい言い方をしてやったのに、随分とふざけたドマンジュウ共だ。何を根拠に自分の土地と言い張るのか。
これがゆっくりブレインというやつか。あとおじさんじゃねぇ。

「はやくでていってね!」
「ゆっくりしんでね!」
どのように懲らしめるか考えていると、二匹が足に体当たりしてきた。
所詮は饅頭。脳みそと同じく柔らかい体がぶつかってきても痛くもないが、畑を荒らしたドマンジュウどもの泥が足につく。
それで火がついた。

「ゆ゛ ぐべぇぇぇぇぇぇ!?」
ゆっくりれいむを蹴り飛ばした。後ろの柵にぶつかり、跳ね返って程よく足元まで戻ってきた。即死しないように加減して蹴り続ける。
「ゆ゛ぎゅぶっ!!? や゛べでぇ゛ぇ゛ぇぇぇ゛!!! ぎょ゛ぶっ!!? け゛ら゛な゛ぷぎぃ!? でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」

蹴られては跳ね返り、また蹴られる。サッカーボールと化したゆっくりれいむは気持ち悪い叫びをあげることしかできない、
「ゆ゛ぐ! べぷ!!! ブリュッ!」
加減しているとはいえ、何度も蹴りつけるから皮が破れ餡子が漏れ出してきた。
死んだか?いや、ゆっくりは簡単には死なない。皮と餡子さえあれば死んでも蘇るといった話も聞いた。
よっぽど単純な下等生物なんだなと思ったが、冷静に考えると饅頭だったなこいつら。
しかし、これで殺しても面白くないので跳ね返ってきたところで踏みつけた。

「ゆ゛ぎゅ゛、ぶ!」
「誰のおうちだって?」
「れ゛い゛む゛の゛お゛う゛ぢで……ぶぅっ!!?」
予想通りのふざけた答えが返ってきたので、言い終わる前にグリグリと頭の部分を踏みにじった。
「あ?」
更に強く踏みにじる。ブリュっと音を出して餡子が漏れ出る。
「ごごばゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よぉぉぉぉ!! も゛う゛お゛う゛ぢがえ゛びゅぅぅぅぅぅっ!!!」
「お前のおうちなんだろ? ゆっくりしていけや」
「ゆ゛ぎゅびぃぃぃぃぃ!!?」
うん。ドマンジュウの悲痛で愉快な叫び声を聞くと楽しくなってきた。


「ゆっくりしんでね!!」
悦に入って、ゆっくりれいむを踏んでいる間に、ゆっくりまりさは逃げ出していたらしい。
しかしたっぷり人の作物を食べたせいか、にぶい動きがさらに鈍くなっていて歩いてでもすぐに追いつけそうだった。
ある程度の距離を稼いでいる余裕からか、ゆっくりまりさはムカつく笑顔で振り向いた。

「ゆゆ! どんくさいれーむは、ゆっくりしんでね!」
「ひ゛どい゛よ゛ま゛り゛ざぁぁぁぁーー!! ゆ゛ぎっぷ!!?」

「お前はここでゆっくりしてろ!」
持っていた棒切れでれいむを地面に突き刺した。細いため死にはしないが、動きを止めるには充分だ。
「いたいよぉぉぉぉ!! ゆっくりさせてぇぇぇぇっ!!?」
餡子が漏れてるから、戻る頃には蟻とかがたかって面白いだろうな、と思ってまりさを追いかけた。




まりさにはすぐに追いついた。
「ゆっくりしんでね!!」
時折、こちらを振り返り罵倒の言葉を吐く。
必死に逃げているつもりか、ボヨンボヨンと飛び跳ねて離れようとしている。まだ逃げ切れるつもりだろう。
後ろに危機が迫っていても、人を小馬鹿にした発言をするのはゆっくりゆえの性か。
どちらにしろもう終わりだ。

「ゆゆ!!? れ、れーむがあそこをおうちにしようっていったんだよ!? わるいのはれーむだよ!? おじさん、はやくはなしてね!?」
左手で帽子ごと髪の毛にあたる部分を掴んで持ち上げ、こちらを向かせる。
まりさ種は、罪をれいむ種に押し付けることが多いという。コイツもその類のようだ。薄汚いドマンジュウが。
持ち上げられて暴れていたゆっくりまりさは何かに気付いたような顔をして、
「お、おにーさん、ゆっくりたすけてね!!」
『おじさん』から『おにーさん』に訂正し、媚びへつらった笑顔を浮かべた。きめぇ。
頭は悪いが、生き残るための悪知恵は多少はあるのか。だが、謝るより先に助けを請うのが先か。
ゆっくりの本質の汚さに呆れつつ、ニッコリと微笑んだ。我ながらきめぇ。

許してもらえると思ったのか、いつもどおりの気持ち悪い笑顔に戻って、
「ゆっくりしていってね!!」
許してやるとは言ってないんだがな。



ブチッ!!



残った右手で、ゆっくりまりさの頬を引き千切った。傷口から餡子がクソのようにボトボトと地面に落ちる。
助けてもらえると思って裏切られた衝撃と、引き千切られた傷口の痛みで、さぞかし面白い顔と声で楽しませてくれるだろうと思った。

だが、意外にもゆっくりまりさは俺の予想を裏切った。

「ゆゆ? おにーさんくすぐったいよ! ゆっくりしようね!」
気持ち悪い表情も変わらず、痛みを我慢している様子も無い。漏れている餡子にも気付いていないようだ。
痛くないのか? 次は傷口から手を突っ込み、餡子を掻き回すことにした。
「ゆゆゆ!!? く、くすぐったいから、ゆっくりやめてね!!」
ゆっくりにとって、命ともいえる餡子が漏れたり、掻き回されるのは、想像を絶する苦痛だと聞く。
人間、妖怪で内臓を掻き回したら、ショック死するだろう痛みのハズだ。
だが、このゆっくりは痛がっている様にも、痛みを我慢しているようにも見えない。

どういうことだ? 痛みを感じない? 不死か? 
不死に近いゆっくりは、もこう、かぐや、えーりん、れみりゃ、フランぐらいの筈だ。
再生はしない。 不死でも痛みは感じるハズ。 新種? それとも突然変異?

ぐるぐると思考が駆け巡り、一つの事を思い出した。ゆっくりれいむは食べなかったが、ゆっくりまりさが意地汚く貪った作物を。
「ケシの実のせいか……」
ケシの実は阿片の原料であると同時に、モルヒネの原料でもある。つまり痛み止めの麻酔だ。
たっぷり食っていたから、その副作用として痛覚が麻痺してしまったのだろう。
これでは頬を千切る程度だと、撫でているようにしか感じないだろう。痛みを感じなければ、いたぶる快感も半減だ。
「ゆ! ケシのみ!? ケシのみほしいよ! ゆっくりたべさせてね!」
ケシの実。という単語に反応して、目を輝かせるゆっくりまりさ。ひょっとすると阿片の依存症になったのだろうか?
だとすると、面白いことができるかもしれない。
このゴミ饅頭にふさわしいお仕置きを思いついたオレは内心ほくそ笑んだ。

「お前、ケシの実が欲しいか?」
「ゆ! ほしいよ! もっともっとたべたいよ!」
極めて優しい声で聞いたら、期待通りの答えが返ってきた。間違いない。こいつは依存症になりつつある。

「そんなことよりお前、ケガしてるじゃないか」
「ゆゆ!? ま゛り゛さ゛の゛あ゛ん゛こ゛があ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!??」
言われてやっと気付いたようだ。ボタボタ零れる餡子を見て、青ざめた表情になっていくのを見るのは実に面白い。
「ゆー? けど、いたくないよ!?」
なんで? といった顔でこっちを見てくる。効かないと分かっていても、引き千切りたくなるマヌケ面だ。

「まりさは病気なのかもしれないね。だけどケシの実を食べたらゆっくり治るはずだよ」
「ゆゆ! ほんとう!?」

もちろん嘘八百なワケだが、優しい言葉と、ゆっくりという単語を使えば、単純なゆっくり共はホイホイ騙される。
なんだが哀れでさえある。
「ゆ! おにいさんはやくゆっくりさせてね! とっととケシのみをたべさせてね!」
前言撤回。やっぱりムカつく。

「うん。まずはケガを治さないとね。ゆっくりできる場所に行こうか?」
「ゆっくりー!」
「わるいれいむに騙されたまりさは可哀想だから、たっぷり、ゆっくりさせてあげるね」
「ゆ!? う、うん れ、れーむはわるいゆっくりなんだよ! まりさだけゆっくりさせてね!」
少しは仲間を裏切った後ろめたさでもあるのか言葉を濁らせた。しかし、たくさん「ゆっくり」できるという魅力には敵わないようだ。
「それじゃあ、ゆっくりしに行こうか?」
「ゆっくりー!」
後ろめたさは完全に消えたようだ。
俺はゆっくりまりさを抱えて、さっきのゆっくりれいむのところに戻った。




ゆっくりれいむの所に戻ると、早くも蟻がたかっていた。
「か゛ゆ゛い゛よ゛ぉ゛ぉぉぉ! あ゛り゛さ゛ん゛や゛め゛て゛ええぇぇ゛ぇえ゛ぇぇ゛!!」
「うわぁ……」
思わず声が出た。既に右目は食われて、代わりに蟻の塊がそこに納まっている。虫の死骸にたかる蟻もキモイと思うが、
ゆっくりは喋る上に、デカイから余計キモイ。
おおキモイキモイと思っていたら、ゆっくりれいむがこちらに気づいた。
「お゛じさ゛ん゛た゛す゛け゛て゛よ゛お゛ぉ゛ぉぉぉ!!」
もちろん無視。だってお前謝らないし。ちゃんと反省しないとダメだよね?

「わるいれーむは、そこでゆっくりしんでね!」
ゲラゲラと笑いながら、ゆっくりまりさが言った。それでまりさがいることに気付いたっらしい。
「びどい゛よ゛ま゛り゛ざあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あぁぁ! ま゛り゛さ゛がごごを゛お゛う゛ぢに゛じよ゛う゛っ゛でい゛っだの゛に゛い゛ぃぃぃい!」
やっぱり主犯はまりさだったか。まぁ最初から分かっていたが。
「ゆゆ!? お、おにーさん! まりさうそついてないよ!? うそつきはれーむのほうだよ!?」
嘘がバレると思って、まりさが慌てだした。とっくにお見通しなワケだが。

「ああそうだな。 れいむは悪いゆっくりだもんな。悪いゆっくりの言う事なんか信じられないよな」
「そ、そうだよ! うそつきはれーむだよ! うそつきれーむはゆっくりしね!」
騙し通せたと思って安堵の表情が勝ち誇った顔に変わり、れいむに毒を吐いた。
「れ゛い゛む゛う゛ぞい゛っでな゛い゛ぃぃぃぃ! う゛ぞづぎばま゛り゛ざあ゛ぁぁぁぁ!!」
愉快な叫びが聞こえてくるが、完璧無視。

「まりさ。あそこがゆっくりできる場所だよ」
「ゆ! おにいさんはやくゆっくりしようね!」
離れの小屋を指差す。ゆっくりまりさは、ゆっくりポイントだと信じているようだが、もちろんお仕置きのための小屋だ。
今からお仕置きのことを考えると、胸が躍るようだ。
「れ゛い゛む゛も゛ゆ゛っ゛ぐりじだい゛ぃぃぃ……お゛じざんゆ゛っぐり゛ざぜでぇぇぇ!!」
最後まで「お兄さん」と言わなかったれいむを無視して、小屋へと向かった。








後書き

皆さんに触発されてSSを書いてみました。スレ内で大麻とか食糞とか、使う予定のネタがバンバン出てきたので急いで書きました。
コンパクトに文章を纏めるのって難しいですね。おかげで長い前フリみたいな文章になってしまいました。
ぶっちゃけ考えている虐待は後編がメインですので、そこのところは勘弁してください。
ネタは他にもいくつかあるんですが、テストとレポートがやばいんで八月まで書けそうにないです。
八月になったら、もっと沢山書きたいです。

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最終更新:2022年05月03日 17:11