いつも襲撃してくるゆっくりを迎撃していてはラチがあかないので逆侵攻することにした。
最近、より大量のゆっくりが一斉に突撃してくるのは、冬ごもりが近い為に手っ取り早く多量の食料を手に入れようと目論んでいるからだろう。
もう収穫期が終わり私の畑には何も無いが、だからといって防御陣地を放棄すると後方の冬小麦が食い荒らされてしまう。
そうなるとひどく面倒なことこの上ない。
他の人里外縁部のように突破不可能な金網でふさぐのはある事情から不可能だった。
ここの防御陣地は他の畑と違って見かけ上突破可能に見えることからゆっくりが襲撃しやすい為に、いつの間にかできていたゆっくり対策委員会にゆっくり誘引撃滅の役目を課されている。

放棄できない、だからと言って突破不能にもできない、だけど楽をしたい、逆侵攻の理由はそんなとこだ。
毎回襲撃時は大規模な群れで一気にやってくるから、事前に連中が一箇所に集まる場所があるのだろう。
(事前に集結しなければ欲望に忠実なゆっくりの事、襲撃タイミングを合わせよう等とはせず五月雨式に襲撃してくる筈だ)
その集結地点を突き止めるための方策を考えた。




 探すよりは知ってる奴に聞いたほうがはやい、なので捕虜のゆっくりを尋問する。
幸いなことにハーグ陸戦法規に饅頭の人権を考慮するべきとは書かれていないので思う存分聞くことができる。

最近の襲撃で捕らえた紅白饅頭に聞くことにした。
コイツは鉄条網に掛かって瀕死だったところを助けた為にこちらを親切な人間だと思っている、協力的な個体となっている。

「おじさん!たすけてくれてありがとう!!」

いきなりコレだ。鉄条網が我々によって設置されたものだと知らないからだろう。お礼を言われて悪い気はしない。

「うん、無事でよかったよ。ところでお譲ちゃん、こっちに来る前にみんなでゆっくりしたかい?」
「みんなでゆっくりやすんだよ!」
「どんな所か覚えてる?」
「ひろくてゆっくりできるとこ!」

それは分かってるんだよ畜生め。あれだけの数で集結するとしたら、いくら小さいゆっくりとはいえそれなりに広い場所が必要になるのは当然だ。
だが、有益な情報も得られた。「ゆっくりやすんだ」ということは前日に集結し、そこで夜を明かしたということだ。
夜中に奇襲を掛けるという有力な選択肢ができた。

「森の中かい?」
「そうだよ!」

魔法の森の中でそれなりに広いところといえば数が限られる。そのうえ、その少ない広場の幾つかには家が建っているのだ。
厚顔無恥なゆっくりとはいえ人間の家の周りに集まりはすまい。(特に一つはあの人形遣いの家だ)
「そこで一緒にゆっくりしてm「おじさん!おなかすいた!」」

鈍い音が部屋に響く。セリフが耳に入ったとたん、反射的に手が出てしまった。
紅白饅頭は最初何が起こったかわからないという顔だったが、次第に目が潤んでくる。

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!びどい゛よお゛じざん!!」
「ごめんごめん、蚊が止まってた。」
「ゆ゛っ、そうな゛の?」

いとも簡単に騙される紅白饅頭。
殆どの人が思っていることだろうが、こんなに簡単に騙されるとか己が生態系で占める位置、つまり被捕食者として如何なものだろうか。

「で、お腹がすいたのかい?」
「うん!ごはんちょうだい!ゆっくりまってるよ!」
「みんなでゆっくりする場所を教えてくれたらあげるよ。」
「まりさがニンゲンにおしえるなっていってた!」
「ほう…黒大福め」

今の言葉でこれ以上『平和的』な手段により情報を得るのが不可能とした私は紅白饅頭を掴み、用意しておいた氷水へ突っ込んだ。
身長方向に伸縮しながら水中でブクブクと気泡を吐き出す姿はユーモラスなエアーポンプといったところか。
そのうちに体表が暗い色になりかけ、動きが鈍くなったので引き上げてやる。

「やあ、暖かいから頭がどうかしちゃったのかな?冷たい水でさっぱりした?」

返事は無い。紅白饅頭は呼吸と泣くのと水を吐き出すので大忙しだ。

「おーい。無視しないでくれよ。もう一回水浴びしたいのかい。」
「ゆ゛ぶっ!ばなじまずぅ!ばなずからやめで!」
「おし、キリキリ吐けよ。」
「お゛、おおぎいかわがながれてたよぉ」

泣きながら答える饅頭。
大きい川か…ゆっくり基準なので大小はアテにならんが、そもそも川が流れている森の広場など一つしかない。

「まあいいや、協力に感謝する。ゆっくりしたいか?」
「ゆ゛ゆ゛っ!お゛ながずいだよー!」

約束したからな、食わせてやるよ。
そう思った私は紅白饅頭の頭髪を掴むと廃棄物集積場と書かれた看板の方を向き、全力で投てきした。

「なんて゛なけ゛るの゛おお゛ぉ゛ぉー!」
「ゆっくり食えよ!好き嫌いするんじゃないぞー!」

物理の教科書に載せられるほど美しい放物線をえがいて空中を翔けた紅白饅頭は運動エネルギーを殆ど減じることなく地面に掘られた正方形に近い穴に突入。
気持ち悪いとされる部類に入る表現しがたい着地音のあと、つかの間の静寂が訪れた。
あの紅白饅頭は何処に放り投げられたのか必死に状況把握しようと努めているのだろう。
その努力が終了したことは直ちに判明。
紅白饅頭のひどく腹立たしい悲鳴が飛んできたのだ。

無理もない。あの集積場には商品価値どころか食物としての価値すら失った作物はもちろん、襲撃の度に生産されるゆっくりの死骸も放り込んであるのだ。
ついでに言うと、生き残った個体をバンバン放り込んだ為に集積場から悪臭はしない。
連中は餓死したくない思いでかつての仲間の成れの果てや腐敗一歩手前の作物を食べてくれるので、こちらは快適に過ごせるわけだが。

「そこでずっとゆっくりしてねー!」
「やた゛ああぁぁ!た゛す゛け゛て゛よおし゛さ゛ん!」

こちらがかけた声に紅白饅頭は必死な返事を返した。助けてやらないけどな。
逆侵攻するべき目標は分かったので、人員や襲撃時刻、装備を決定する為にオリーブドラブの天幕へと足を向ける。
紅白饅頭の悲鳴は本当に加虐心をくすぐると思いながら。




 夜中に奇襲を掛けるという案は廃された。
幾らなんでも夜中じゃあ妖怪に食われても文句は言えないという意見が会議で多勢を占めた時点でこの案の行く末は見えていた。

では日中襲撃案はどうだったかといえばこれもダメだった。
黒大福のタイムスケジュールからいって午前中はそもそもこっちに襲撃をかけている真っ最中だ。
その後の正午から日没までは襲撃をかける仲間を集めるために森のあらゆるゆっくり営巣地に訪れていると考えられた。

日没後、黒大福は仲間と集結して次の日まで休むわけだが、日付が変わるまではゆっくりが起きている可能性を捨てきれないためこの時間帯も却下。

以上から襲撃時刻は日の出前と決定された。
この時間であれば妖怪もゆっくりもまず確実にお休み中であるからだ。
ゆっくりは生態系の中では明らかに被捕食者だが、日の出までは惰眠を貪るという無防備極まりない生活を送っているのが幸いだ。
連中にとっては不幸以外の何物でもないが。

襲撃時刻の案は決定までに二転三転したが、人員や装備の案はスムーズに決定された。
自警団にしろアマチュアの研究家にしろこちらに派遣できる人員などいないし、装備にいたっては言わずもがな。
こりゃダメかなという雰囲気が漂ってきたところで加工所から来た白衣の男が手を上げた。

人員と装備はウチに任せてください、ちょうどアテがありますという男に対し、そりゃ頼もしいが俺たちは捕獲じゃなくて駆除をやるんだが、とか、来るのはどんな連中なんだ、などの質問が浴びせられた。
説明を行うために立ち上がった男は、研究開発部実験隊が試したいことがあるみたいでと言うと騒がしくなり始めた会議室は静まり返った。
噂に聞く研究開発部実験隊となれば無理もない。

他に案も無いのでその実験隊に人員と装備を頼る案が決定され、会議はお開きとなった。




 そのような紆余曲折を経て今の私は明るくなり始めた森、その中でもやや小高くなった場所に陣取っていた。
外の世界から幻想入りした後、香霖堂の主人が拾って河童がそれを買い取り改造、それの複製品を加工所が試験導入したという複雑な経緯を持つ暗視鏡を覗く。
潰れた楕円形に森が切り取られたような場所、川が流れる広場に蠢く物体が見えた。
間違いない、ターゲットだ。
よくも毎回仲間を集めるものだ、襲撃の度に文字通り全滅に近い損害を受けているのに。
それほどまでの繁殖速度だからこそ食料が不足して森の外に出てくるのだろうと思い、暗視鏡から顔をはずして後ろを向く。

見事なまでに華の無い連中の方を向き目標が存在することを伝える。
視界の先の机がライトで照らされており、その上に広げられた地図を使用していることを伝えていた。

加工所研究開発部と書かれたプレートを胸につけた河童の男が了解と返事を寄越し、地図に記入し始めた。
その向こうにはまだ薄暗いためにひどく確認しづらいが、周辺警戒中の男のシルエットが見えた。
同じ型の暗視鏡を覗いて監視継続中の男はさっきの暗視鏡の隣で微動だにしていない。
全員真剣そのものだ。

これなら決行できるだろうと思い、時計を見た。
二つの針はともに5と6の間を指している。
秋真っ盛りの今日、日の出はだいたい6:00なので行動開始時刻は5:30としている。
つまり、いつもの防御陣地で待機している連中にそろそろ連絡せねばならないという訳だ。

地図とは別の机に置いてある受話器を取り、陣地の通信室へ接続。
大気の向こうから電波に乗せられた男の声が耳にガンガン響く。
こんな時間なのにひどく興奮した様子だ、もしかしたらこんな時間だからこそ興奮しているのかもしれない。
とにかく、目標地点にターゲットが所在していることを伝え、直ちに行動開始するよう要請した。
受話器は下ろさない、これから始まることに必要だから。




 人々に黒大福と呼ばれ、襲撃の首謀者とされているゆっくりまりさは他の仲間よりもかなり早く目覚めた。
仲間を誘った以上、皆を守るのは自分の役目だとゆっくりとしては立派な部類の事を思ったためだが、一匹だけではできることに限界があった。
まりさにできる事は群れの中心で木箱の上から周囲を見渡すだけだった。
彼女なりに真剣に周辺を眺め回していると、背筋がぞっとする様な音が聞こえてきた。

ニンゲンのはたけできくおとだ!

彼女はこの音の後何が起こるかも知っていた。
先に突進した仲間のゆっくりが突然発生した爆発に粉砕され四方八方に吹き飛ばされるのを何度も見ていた。

はやくみんなでにげないとゆっくりできないよ!

そう考えて近い仲間から起こしにかかるが、彼女の心配など知らぬように仲間たちは熟睡している。

「おきて!おきてよ!ゆっくりできないよ!」
「ここでゆっくりしちゃだめだよ!おきて!」

彼女の奮闘空しく、風を切る甲高い音は最大まで大きくなり、群れの一番奥で爆発が発生した。
ゆっくりの体だったものが飛んでくると思い目を閉じて身構えたが、何も飛んでこなかった。
おそるおそる目を開けると爆発が起きた場所にはもうもうと煙が立ちこめ、そこにどんなゆっくりがいたか分からなくなってしまっていた。

爆発音で流石に群れのゆっくりは殆どが起きてきた。

「ゆっくりおはよう!」「ゆっくりもーにんぐ!」
「まりさー、なにがあったの?」
「ゆっくりできないの?ゆっくりしたいよ!」
「あさごはんをはやくゆっくりたべたいよ!」

彼女はここで判断を誤った。
群れが起きた時点でこの広場を離れて森に隠れるべきだったが、幸か不幸か爆発でゆっくりが死んだようには思えなかったのでこの地点に残ることに決めた。
二つ目の風きり音の後に起こった爆発でもゆっくりが死んだようには見えなかった事がその決定を後押しした。
とりあえず全てのゆっくりが起きるまでは出発せず、ゆっくり待つ事にしたために、先ほどの風きり音が複数聞こえ始めた時点ではどうにもならなくなっていた。




 視界には相変わらず睡眠中のゆっくりの群れと、その中央、木箱の上で周囲を警戒しているつもりらしいあの黒大福が映っていた。

「ハンマー、ハンマー。こちらグリフィス。評定射、座標4700-1010 標高100 観目方位角2400。集結中のゆっくり。正面150 縦深100」
「こちらハンマー、了解。…発射した。」

かすかな風きり音が聞こえた後、群れの奥で爆発が発生、続いて濃い白煙が発生し始めた。
爆発音で起きたらしいゆっくり共は何事だろうとひどく間抜けな顔を群れの奥に向けている。

「ハンマー。こちらグリフィス。修正射、20下げ。」
「こちらハンマー、了解。…発射した。」

二つ目の白煙は一つ目とは群れを挟んで丁度反対側で発生した。
ゆっくりはそちらの方を一斉に向くが一つ目のときほど驚かない。
おおかたゆっくりが死んでないからゆっくりできるよ!とか思っているのだろう。
こちらから見ると着弾のたびに一匹ほど巻き込まれているんだが。

「ハンマー、こちらグリフィス。10上げ。効力射を要請。」
「ハンマー了解。…発射した。」

最初とは比べ物にならないほどの大量の風きり音。
十秒おきに発生する3つの爆発が群れの中央辺りでゆっくりを殺戮しはじめる。
今度の爆発は2発目までよりも遥かに強力だった。

双眼鏡で群れを見ると、爆発が起きるたびにゆっくりがゆっくりだった物へと変化し、飛び散っていくのが見えた。
硬直しているゆっくりの塊で爆発が起きる。瞬時に餡と皮の混合物へと変化したゆっくりが生きている仲間に降りかかる。
自分にくっついた物が何かを理解したゆっくりが発狂してのた打ち回るのが見えた。
それを見た他のゆっくりも恐怖で混乱し跳ね回っている。
再び爆発が起こり、ゆっくりは恐怖を感じる必要が無くなった。




 広場は混乱の中に叩き落されていた。
爆発が起きるたびにゆっくりが2桁単位で殺傷され、辺りに餡を撒き散らす。
弾片で全身を切り刻まれ動けなくなったゆっくりれいむが呻いている。
親友ともいえるゆっくりを心配したまりさ種が砲弾で吹き飛ばされた。
仲間が次々と粉砕され、切り裂かれるのを見たゆっくりありすが全力で逃走する。
地獄のような光景を見て硬直したゆっちゅりーは仲間が自分のほうに突進してきてもその場から動けず、全力逃走中の仲間にひき潰された。
爆発で打ち上げられたゆっくりれいむがつかの間の空中散歩を楽しんだ後、重力の手により仲間のもとへと帰還、まだ小さいゆっくりがつぶされる。
母ゆっくりは子を殺したゆっくりに復讐しようと悲鳴に近い怒声をあげて着地したれいむへと突撃するが、次の瞬間爆発が起きて二匹ともあの世へ旅立つ。

砲弾は区別することなく広場に居る全ての生命に等しく死を与えていた。


母ゆっくりがチビゆっくりを口の中へと避難させているが、遅々として進んでいなかった。
最後の一匹を入れようと大きく口を空けたとき、悲劇は起こった。
天文学的な確率で母ゆっくりの口内へ飛び込んだ155ミリ砲弾は餡子をあっさりと貫通し、ゆっくりと地面の間に飛び出すと同時に信管を作動。
一匹のチビゆっくりの目の前で母と姉たちは破裂し、チビゆっくりは餡子の不細工な化粧をまとった。
他のゆっくりと同様、狂乱し叫びながら暴れ始めたがすぐにそれもできなくなった。
次に発生した爆発で母や姉の所へと旅立ったのだ。


一番悲惨だったのは黒大福と呼ばれるまりさだ。
3発目の爆発のとき何が起きたか分からなかったが、目前の惨状でニンゲンたちがゆっくりを殺そうとしていると気づくと脱兎のごとく逃げ出した。
4発目、5発目と当たることなく逃走し、もう少しで群れを抜けるというところで彼女の幸運は終わった。
黒大福の左右で同時に爆発が発生して爆圧で両側から押し付けられた為に気絶したが、次に飛んできた無数の弾片が両側から饅頭の皮を切り裂き、あまりの痛みにより意識が戻る。
体内の餡子が弾片に無茶苦茶にかき混ぜられた挙句、傷からの流出が始まりまりさは二度と跳ねることができなくなった。
それでも移動はできる辺り、彼女の幸運はまだ残っていたのかと思われたが、何者かに髪を引っ張られて動けなくなったとき、命運は尽きた。

「ゆ゛っ!ゆ゛っ!はなしてよ!まりさはひとりでゆっくりするよ!そっちはゆっくりしんでね!」
「ま゛…さ゛ぁ…ぁ…たす゛…てよ………ぉ…つれて………ぉ…」
「いやだよ!きもちわるいゆっくりなんかつれていかないよ!」

顔だけになった種を判別できないゆっくりがまりさの髪にくっついていた。
まりさは残った力を振り絞って頭を左右に振り、振り落とそうとした。
ズル…という音がして外れたと思ったとき、再び風きり音が聞こえた。
必死に這うまりさが群れを抜けたとき、彼女を追うように群れを外れた砲弾が飛来。
特殊な信管によりまりさの上9mで爆発し、その下にいる生物全てに破片の雨を降らせた。
まりさは全身という全身を破片に貫通され再び気を失ったが彼女にとっての地獄はこれで終わらず、流出により餡子が生命維持に必要な量を下回った時点で危険と判断した体がまりさの意識を再覚醒させた。




 砲撃が始まる前にはゆっくりの体で埋め尽くされていた広場は今となっては黒い餡子が埋め尽くしていた。
僅かに聞こえる「ゅ…ゅ…」という音が、息があるゆっくりの存在を示していた。

生き残りを始末するために広場まで来た我々は、何箇所かある比較的原型を保っているゆっくりが固まった山に近づき、確認のために掘り起こした。
殆どの山で生き残りのゆっくりは瀕死のみだったが、ある山から元気な状態の子ゆっくりが20ほど掘り出された。
大型の個体が幾つか子供たちを囲うように絶命しており、複数の家族で互いの子供たちを守ったらしい事が見て取れた。
なんとも感動的だが、全く残念な事にこの努力は無駄な物となるのだが。


「おかあさん!おかあさんはどこ!?」
「おじさん!たすけてくれてありがとう!」
「はやくゆっくりできるところにつれてってね!」
「ほかのゆっくりもはやくたすけてね!」
「ゆっくりしていってね!」

攻撃したのが誰か分からないゆっくり達はこちらに無警戒だった。
うるさいので持ってきた透明ケースに分担して放り込み、閉じ込めた。
ゆっくりは怒った顔でケースを揺すり口を空けているが、何を言っているかは分からない。
防音性能は流石の物だった。

「あのいまいましい黒大福はどうなった?」
「見て下さいよこれ。こいつに相応しい末路ってヤツですよ」

あの憎き黒大福がとうとう年貢の納め時という事で見に行った。
帽子のリボンが特徴的な色をしているゆっくりが平べったくうつ伏せになっている。
間違いない、あの黒大福だ。

「ゅ…ゅっ…」

まだわずかに息があるようで、大福ボディが上下に動いているのがかろうじて見えた。
大福に足をかけて仰向けにひっくり返してやる。
黒大福は恨みがましい視線をこちらに向け、何とか判別できる声量で話し始めた。

「もう…い…でしょ…はやく…まりさをころして…ゆっ…りした…よ…」
「断る。なんで貴様を楽にしてやる必要があるんだ?死は逃げないからゆっくり楽しんでね!」
「……!」

黒大福は絶望した表情を見せながら痙攣し始めた。
どうせコイツはもうすぐ死ぬ、せいぜい苦しんでもらおう。




 透明ケースの前で瀕死のゆっくりをかき集めた山を作った。
ケースの中のゆっくりは仲間を助けてくれると思って嬉しそうに跳ねている。
俺たちが山から離れたことには気づいてないようだ。

十分に離れたところで一人が円筒形の物体を取り出す。
ピンを抜いて瀕死ゆっくりの山へ放り投げた。
山頂に落ちると同時にテルミットに点火、アルミニウムが酸化金属から酸素を奪いながら激しく燃焼し山は高温で焼却された。

瀕死ゆっくりが物を言わない炭になった事を確認し、ゆっくりがガタガタうるさいケースを各々で蹴った後に持ち、その場を離れた。


あいかわらず虐殺してるだけのSSです。進歩ないね。

by sdkfz251

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最終更新:2022年05月03日 17:15