森の中に入ると、そこには沢山のゆっくり達が蠢いていた。
「ゆっくり~~♪」
「ゆうゆう~♪」
 その数およそ50、アリスやパチュリーも混ざっている。
「ゆ? おにーさんどうしたの?」
「ゆっくりできるの?」
 近寄ってきたのは、ゆっくり霊夢・魔理沙・パチュリー・アリスの四匹だった。
「そうだよ。君達は?」
「れいむたちはこの群れのリーダーだよ!!」
「とかいはのありすがきちんとしてるからだよ!!」
「むっきゅ~!!!」
 そうか。リーダーが居るのか、予定を少し変更しなきゃな。
「そうか、偉いなー!! 実はねおにーさんは料理人なんだけど、口の肥えているゆっくり達に味見をしてもらいたくて、食べ物を持ってきたんだ」
 背中のリュックから沢山のお菓子を取り出す。
 最初は四匹に食べさせてみる。
「ゆゆ!!! おいしーよ!!!」
「うっめ!! これめっちゃうっめ!!!」
「うん!! てぃーたいむにはさいこうね!!!」
「むっきゅーーー!!! ごはんごはん!!!」
 気に入ってくれたようだ、作戦を進めよう。
「美味しかったかい。それなら、ぜひとも他のゆっくり達の意見も聞いてみたいんだけど……」
「いいよ!! みんなにたべさせるね!!!」
 どうやら、群れと言う体系を取ってはいるが、根は純粋な野生ゆっくりの集まりのようだ。
 四匹が号令をかけると、他のゆっくりが集まってくる。
「おいしーの?」
「わかるよーー!!!!」
「ちーんぽ!!」
 数を調節して残さずに与える。
 食う事には長けているゆっくりだ。
 直ぐに全員が食べ終えた。
「ゆ!!! うぐぐ!!」
 そして全員が苦しみ出す。
「わがらないよーーー!!!!!」
「ちーーーー……」
 残ったのはあの四匹だけ。
「ゆゆ!!! みんなどうしたの!!!!」
「おきてね!!! まりさたちのめいれいだよ!!!」
「しえすたにはまだはやいよ!!!」
「むっきゅーーー!!!!」
 なにが起きたのか分からないようだ、これが人になれているゆっくりだったら真っ先に疑ってくるものだが。
「もしかしたら、皆寿命だったのかも?」
「ゆ!! そんなことないよ!! まだみんなゆっくりできるよ!!!」
「でも、群れのリーダーのお前達は、曲がりなりにも体が強くできているんだよ。他のゆっくりはそれよりも早く死んじゃうんだよ」
「「「「ゆーーー!!! もっどみんなどゆっぐりしだかっだーー!!!!」」」」
 我ながら変てこな説明だが、どうやら信じたらしい。
 ここまで来ればあと少し。
「それじゃあ、キチンとゆっくりできるようにお葬式をしないとね」
「ゆ~? お葬式って?」
「死んだ後も、魂がゆっくりできるようにするための儀式さ。これをすれば死んだゆっくり達もゆっくりできるんだよ」
「そうなんだ!! おにーさんれいむたちおそうしきするよ!!!」
「まりさもやるーー!!!」
「どうすればいいの? れくちゃーしてね!!」
「むっきゅーーー!!!」
「いいよ、でもこれは君達がやらないと効果が無いんだ。分かった?」
「「「「ゆっくりりかいしたよ」」」」
 そうして、俺は、ゆっくり達に指示を出していった。
 最初に、死体を一箇所に集めさせる。
「ゆっゆ!!」
 幸い、近くに大きな穴があったので、そこに落とさせた。
 次に、四匹に灯油の入った容器を持たせ穴の上からかけさせる。
「ゆゆ? これなーに?」
「良く燃えるようにするのさ、火になってお空に飛ばすんだ」
「ゆゆ!! わかったよ!! みんなにゆっくりかけるね!!!」
 最後に、ゆっくり達に蝋燭を咥えさせる。
「良いかい。ゆっくりできますようにってお願いしてから、その蝋燭を下に投げるんだ」
 口の使えない四匹は、顔を上下に動かして答える。
 そして一瞬の静寂の後。
「「「「……!! ゆっくりしてね!!!!!」」」」
 四匹が一斉に蝋燭を投げ捨てた。
 同時に、高く高く伸びる炎。
「ゆっくりしてねーーー!!!」
「みんなげんきでねーーー!!!!」
「みんなはありすのおともだちだよーーー!!!」
「むっきゅーーー!!!」
 思い思いの言葉を叫び、その炎を見続ける四匹。 
 作戦は成功、時間もソロソロだ。
「……ゆゆゆ!! あづい!!! あづいーーーーー!!!!!!」
「どうして!!! まりさがもえてるよーーーー!!!!」
「わからないよーーーー!!!!」
「ちーんぽーーーー!!!!」
「「「「!!!!!!!」」」」
 突然、炎の中から声が上がる。
 ビックリした四匹が凝視すると、中では激しく蠢くゆっくり達。
 そう、未だ生きていたのだ。
 先程混入した毒は、致死量に達しなければ仮死状態から蘇生する。
 数十のゆっくり家族に実験して、致死量を完全に把握した甲斐があった。
 そして、穴の下はまさに地獄絵図だ。
「どーしでーーー!! しんだんじゃないのーーー!!!」
 四匹も騒然となる、何せ今まで死んでいたのだから。
「ああああーーーー!!!!」
「ぎゃーーーー!!!」
「ぷっでぃ~~~ん!!!!」
「わがらなーーーい!!!」
「ちーーー!!!」
 下では、本当にゆっくり達が死んでいく。
「たずけでーーー!!!」
「れーだー!!!」
 四匹に助けを求めるように、必死に炎を纏いながら登ってくるゆっくり達。
「あ゛あ゛あ゛!!!」
「ゆゆゆ!!!!」
 そのどれもが、途中で力尽きて火柱の薪となる。
 上の四匹は、唯呆然と見ている事しかできない。
「……」
「……」
 やがて声が聞こえなくなった。
 全員がしっかりとやけ饅頭になったのだろう。
 うん、満足。
 早速帰って新しいメニューを考えよう。
「お前達が皆を殺したんだよ」
「……!! ゆーーーちがうよーーー!!!」
「れーむたじはやっでないーーー!!!」
「たがいはのありずはそんなごとしないよーーーー!!!!」
「むぎゅーーーー!!!!!」
 そう言い残して、俺は麓へと降りていった。


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最終更新:2022年04月14日 22:58