• 多数の作者さんの設定を使わせていただいています
  • 現実世界にゆっくりがいるという設定です
  • 人間が人間にいじめられる描写があります
  • あんまり悪いことしてないゆっくりがいじめられます





――――――――――――――――――――――――――――――



朝起きて学校に行かなければならないと思うたびに憂鬱になるのは
自分に「ゆっくり」というあだ名がついてからだ

理由は簡単だ
みんなよりちょっと給食を食べるのが遅かったから
みんなよりちょっと本を読むのが遅かったから
みんなよりちょっと走るのが遅かったから
みんなよりちょっとゆっくりしていたように見えるから・・・


「ゆっくり」というのは見た目は生首で中身は餡子でいつもゆっくりしている生き物だ
それだけならまだいい
だがそいつらは勝手に人の家に入り込んで
「きょうからここはれいむたちのおうちにするよ!」
といきなり自分のお家宣言をしたり
人を見ると
「「「ゆっくりしてってね!!!」」」
「おじさんはゆっくりできるひと?」
「まりさたちとゆっくりしたかったらごはんとおかしをもってくるんだぜ!」
と見知らぬ人にいきなり食糧を要求したり
これは人から聞いた話なのだが、複数体いる状況で襲われそうになったとき
「お、おじさん!そこにいるれいむをあげるからかわいいまりさをゆっくりみのがしてね!」
「どぼじでぞんなごどをいうのおおおおお!!」
と自分の身を守るためには仲間を犠牲にすることも厭わない最低な一面も持っている


もちろん僕に該当するのはゆっくりしている、それだけだ
今までに人の家を奪ったり、たかったり、仲間を見捨てたりはしたことはない
だが「ゆっくり」という名前だけどゆっくりしていると同時に
それらの悪名を持ち合わせているものと誤解され
そのあだ名がついてからクラスから孤立し、いじめに至るまであまり時間はかからなかった


そんないじめられる場所に好き好んで行くようなバカはいない
だから親に言った「学校には行きたくない」と。
しかしまともに取り合ってくれなかった
どうせ勉強がついていけないからそんなことを言うのだろうとでも思ったのか
「甘えるのはいい加減になさい!」と真っ向から助けを求める手を蹴り飛ばされた
その内朝起きると腹痛や吐き気がするようになった。
そのことを報告すれば学校を休める、そう思った
だが、「どうせ仮病でしょ?さっさと準備しなさい!」親は厳しかった



――――――――――――――――――――――――――――――



さぁ、まずは通学路からだ
もう試練は登校から始まっている


「よぉゆっくり」
「ゆっくりしていってね!!」

あぁ声が聞こえてきた、こんな時は聞こえないフリをするに限る

「ほら、お前ゆっくりだろ?だからゆっくりしていってねって言われたら
お前も言わなきゃだめだろ」
「もう一回チャンスをやる、ゆっくりしていってね!!」

どうやらゆっくりという生物は「ゆっくりしていってね」と言われると
本能的に「ゆっくりしていってね」と答えるらしいがあいにく僕はゆっくりではない
なので無視を継続する

「おいなんか言えよ!」

ドスッ

蹴りが入りよろめき思わずその場に倒れこむ

「そんなところでゆっくりしてると遅刻しちゃうぞ~」
「ハハハハハハハハハ」



人の姿が見えなくなってから時計を見た
8時25分・・・やばい!



――――――――――――――――――――――――――――――



自分が教室に駆け込んだ時には既に1時間目が始まっていた
先生が「またお前か!」と頭に喝を入れる

「ゆっくりした結果がこれだよ!!!」
「ハハハハハハハハ」

遅刻する→怒られる→結果がこれだよ
もはや恒例行事だ、何でも慣れてしまえばなんてことはない


「反省したら席に戻れ」

ようやく座れる・・・
何の疑いもなしに僕は自分の席の椅子に腰を降ろした

「ッ!」
尻に鋭い痛みが走った、見るとズボンに画鋲が刺さっていた
椅子をみると画鋲が平らなほうを下にばらまかれていた

「ゆっくりプレイスを掃除しといたぞ~」
「都会派のコーディネートだぞハハハ!!」

冷静になろう・・・
まずは画鋲を取り除く
机に「ゆっくりしてってね!!!」とテンプレ通りのゆっくりの落書きを消す
机の中に餡子がみっちり入っていたので取り除く

「食べていいんだぞ?あまあまさん」
「さすがに同族は食えないかひゃひゃひゃ!」

その餡子を入手するためにどれだけのゆっくりが犠牲になったのだろうか
      • まぁ最近大量発生しているから問題ないか

自分の席を確保できた、とりあえずこれでこの時間は安泰だ。
机の中にものを残しておくと確実に被害があるからすべて持ち帰っている
もし何か仕掛けてくるなら移動教室かトイレに行くなど席を離れた時だ
移動教室は開始前の誰よりも遅く出ると対策は取れるものの
終了後に誰よりも早く戻るというのは不可能だ、流石にそれはあきらめてるが
トイレは大丈夫だ。極力授業中に抜け出しているからだ
先生の前ではいたずらはしてこないだろ、先生もグルでない限り・・・。



――――――――――――――――――――――――――――――



2時間目終了のチャイムが鳴った
次の関門の20分の休みの開始の合図だ
5分ではショートにしか楽しめないが20分ならそこそこ仕掛けられるからか

「よぉ、ちょっとこっち来いよ」
「逆らったら・・・分かるよな」

しぶしぶ席を立つ
この離れている間にまた席に何かやらかすかと思うが
今日は最初に餡子を詰めすぎたからそれはない。せいぜい虫くらいか



廊下に連れてかれてやられることと言えば
あざがつかない程度に殴る蹴るは基本で
頭の部分だけ透明な箱をかぶせてきたり
あとは物言わず自分を中心に囲んでぐるぐると回るとかだ
これをやられると気分が悪くなって吐いてしまうことが多い

「きめぇ」
「こいつ餡子吐きやがったぞ!」


チャイムはまだ鳴らないようだ



――――――――――――――――――――――――――――――



4時間目終了のチャイムが給食の時間を告げた

「やっほー!」
「はらへった~」

”大多数”の児童は安息の時間だ

給食が配膳され「いただきます!」の声が聞こえると
皆箸を持ち一斉に食べ始めた
さて僕も・・・


モグモグモグ
「むーしゃ♪むーしゃ♪」
ゴクン
「しあわせ~!」

自分が食べるのに合わせてゆっくりの食事の時に出す声を重ねてくる
この声が好きという人もいるそうだが自分にとっては不愉快極まりない

モグ
「うめぇ!これめっちゃうめえ!!」


今日はおとなしいほうだな
いつもならここで

「ゆっくりが人間様の食事を食ってんじゃねぇ!」

と虫とかを投入されるのだが・・・
あの大量の餡子を用意するのでそこまで手が回らなかったのか



――――――――――――――――――――――――――――――



給食が終わったら掃除に昼休み
昼休みは20分の休みにやられたことで済むが
掃除のときはちりとりに溜まったゴミを無理やり食わされて

「むーしゃむーしゃーそれなりー・・・」

と声を被せてきたり

「雑巾さんとすりすりしようね!」
「すーり♪すーり♪」

と先ほど床を拭いたばかりの雑巾を押しつけて来る


教室がきれいになるのに反比例して僕はどんどんときたなくなっていく


この後の授業は・・・音楽か
どうせ

「ゆっくりはお歌さんうまいよね」
「ゆゆ♪ゆゆゆ~♪」

とかやってくるんだろ、
直接危害が及ばないだけマシか・・・



――――――――――――――――――――――――――――――



放課後・・・
今日の試練がようやく終わった


小走りで家に帰る途中今回されたことを思い出す

口の中に苦い味が広がる
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい

この思いを早く発散させないと・・・



家に帰って自分の部屋に駆け込む

「ただいま、まりさ。いい子で待っていたかい?」
「ゆゆ・・・」

透明な箱に入れられて元気なく返事をするゆっくりまりさ


「今日も楽しいことを僕とたくさんしようね!」
「もういたいことはいやだよ・・・」

ここまで冷静にいられた理由
それはこのまりさのおかげだ
学校で自分がやられたことをこいつでうさばらしをしている
こいつの悲鳴を聞くたびに胸がスカッとする
このディナーが待っているから今日ここまでやってこれた


さぁ、今日は何をされたっけな・・・


まずは箱を蹴り飛ばす

ドカッ!
「ゆぶっ!」

ひるんだ隙にもう一発叩き込んでおく

「ゆががっ!」


その次は持ち上げて下に画鋲を敷いてから刺さる様考えて叩きつける!

「ゆ゛!ゆ゛!ゆ゛!とげとげさんがささるんだぜえぇぇ!!」

痛みで反射的に飛んでしまう
ポン!ドス!

「ゆぎゃあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

先ほどの衝撃で画鋲がさらに奥に刺さったようだ


目の前にゆっくりれいむを置いてハンマーでたたき潰し、
れいむの餡子をまりさの口に突っ込む!

「れいむばたべものじゃないんだzゆげげげげげげげぇぇぇ!!」
「どうした?そんなに餡子がうまいのか?」

「ゆう゛ぇ!ゆう゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇ!!」

手が離れた瞬間餡子を吐き出すまりさ
こいつの頭も同じなのになんで吐き出すのやら


落ち着くまで時間がかかりそうなので
その間に掃除機で適当に机の裏などホコリにたまってそうなところにかけた
ある程度のところでフィルターを確認する。これくらいあれば大丈夫かな・・・

「そういやお前腹減ってたよな?」
「あまあまさんがほしいんだぜ!」

お前さっき餡子食っただろ


「そうか、ならお兄さんからのプレゼントだ!」

先ほどの掃除機のゴミをまりさにぶつける
それはお菓子をもらえると期待して口をあけているまりさに降り注ぐ


「むーしゃむ゛!ペッペッ!」
「ごみさんはたべものじゃないんだぜ!!」


続いて牛乳をしみこませた雑巾を用意する
それをそのまままりさの頬になすりつける

「すーりすーりだぞ!」
「ごのすりすりはゆっぐりでぎない゛い゛い゛い゛い゛!!」
「ぐざい!ぐざいよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」


今日はこんなもんか・・・
あんまりやりすぎて死んでしまっては困る
刺さっている画鋲を抜いてまりさを透明な箱に戻す


「明日も楽しみにしてるよ、まりさ」
「ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・」



――――――――――――――――――――――――――――――



このまりさと出会ったのはゆっくりのあだ名がついていじめられてからしばらくたった頃だった
学校からの帰り道、悔しさに涙をこらえながら歩いていたとき、そいつは物陰からあらわれた

「ゆっくりしていってね!」
「ゆゆ?おにいさんはゆっくりできるひとだぜ?
まりさとゆっくりしたかったらあまあまさんをよこすんだぜ!」

こいつのせいでいじめられた、そう思うとこいつが憎くて憎くてたまらなかった
さらにこいつはまりさ、ゆっくりの中でもタチが悪いといわれるまりさ
そうだ、こいつをいじめれば今日のことを忘れられるかな・・・
思った瞬間に手が伸びてまりさを掴んだ

「ゆぐっ!」

今日はたまたま体育の授業があったので体操服の袋に押し込む

「ゆ?ごごはぐざいよ!ゆっぐりでぎないよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」

汗臭いとは失敬だな
とりあえずいいものが手に入った
喜びで体操服の袋を振り回しながら家に帰った

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」



自分の部屋についたのでまりさを解放してやる
体操服の袋が餡子くさくなっていた

「なんてことするんだぜ!いつもならここでおにいさんをぼこぼこにしてやるところだが
やさしいまりさはゆるしてあげるからゆっくりあまあまさんをもってくるんだぜ!」

とりあえずこいつを蹴ってみる

ドスッ!

「ゆげっ!」

軽く蹴ったはずなのに随分と遠くに転がった

「ゆ~!もうおこったんだぜ!」

もう一度蹴った

ドスッ

「ゆがっ!」

悲鳴を聞いた瞬間、自分に電撃が走ったような気がした
自分勝手で、傲慢で、意地汚くて
そんなゆっくりをこの僕が裁いている!

もう一度蹴った

ドスッ

「ゆがっ!」


その苦痛に歪んだ顔を見た
学校での出来事が何でもないように思えるようになれた


今度はさっきより強めに蹴った

ボスッ!

「ゆげげぇ!」


衝撃が強かったからか口から餡子を漏らす様子を見て確信した
こいつに対して僕は絶対的な強者だ!!


ボスッ!

「ゆげげぇ!」


今日はあいつに蹴られた


ボスッ!

「ゆげげぇ!」


今日は机にガムが貼り付いていた


ボスッ!

「ゆげげぇ!」


今日は給食に虫が入れられていた


ボスッ!

「ゆげげぇ!」


今日は靴の中に砂をいれられた
ボスッ!
「ゆげげぇ!」
今日はほうきで殴られた
ボスッ!
「ゆげげぇ!」
今日は足をひっかけてきて転ばされた
ボスッ!
「ゆげげぇ!」
今日はノートを破かれた今日は教科書に落書きされた今日は耳元でゆっくりしてってねと連呼された
ボスッ!「ゆげげぇ!」ボスッ!「ゆげげぇ!」ボスッ!「ゆげげぇ!」
今日は今日は今日は今日は今日は今日は今日は今日は
ドカドカドカドカドカドカ
「いだい゛い゛い゛い゛い゛!いだい゛い゛い゛い゛い゛!!」

蹴るほどに胸のもやもやが消えていく
蹴るほどに気持ちがスカッとする

楽しい、楽しい、楽しい・・・


僕は疲れるまでまりさを蹴り続けた

「ゆ゛・・・ゆ゛・・・ゆ゛・・・」

まりさは虫の息だったが死んではいないようだ
明日も頑張ってくれないと困る
父の部屋にあった透明な箱の中にまりさと台所にあった生ゴミを入れる

「今日のご褒美だ、これしかないからな」


布団に入った僕は震えていた
たとえ明日いじめられてもそのうっぷんをこいつで晴らせると思えば耐えられる
たとえ明後日いじめられても、明明後日も、その次も、その次の次も・・・



それ以降僕は学校ではいじめられて
帰ってはまりさをいじめるという生活になった



――――――――――――――――――――――――――――――



今日もまりさに対するいじめが終わっていざ寝ようとしたところ
まりさに声をかけられた

「なんでおにいさんはなきながらまりさにひどいことをするんだぜ?」

そういえば今日は給食の牛乳を贅沢に1BOX使ってのミルクシャワーをやられて
相当きていたからいじめている最中にそれを思い出して泣いていたのかな

「どうせひどいことをするならわらいながらやってほしいぜ」

そんなことを言っていてもゆっくりはゆっくりだ、自分勝手で、傲慢で、

「おにいさんにはわらっていてほしいぜ!」

!!!!!
声が出なかった・・・。
今までこんなにやさしいものをいじめていた自分はどうなのだろう
よく考えると小さい子相手に俺強い!とはなんて哀れな行為だったのだろう

「おにいさんはまいかいかならずごはんをくれるからわるいおにいさんじゃないんだぜ!」

すべてのゆっくりが悪いわけではない・・・
中にはゆっくりの名前通りにゆっくりさせてくれるゆっくりもいるんだ・・・
それなのに・・・自分はなんて馬鹿なやつなんだ!

「おにいさんをなかせるわるいやつはまりさがやっつけてやるんだぜ!!」

ゆっくりと呼ばれるようになって初めてかけられた温かい言葉
たとえこれがもっとおいしいものをもらおうというまりさの戦略でも構わない

「ああ、やっつけてくれよ」

「まりさにまかせるんだぜ!」

奮発して冷蔵庫にあったケーキとオレンジジュースを与えて
その日は寝ることにした



――――――――――――――――――――――――――――――



その次の日
学校が終わって自分の部屋に着いたとき

「ところでまりさ」

「ゆ?」

「昨日言ってくれたことって本当かい?」

「なんのことだぜ?」

「『おにいさんをなかせるわるいやつはまりさがやっつけてやるんだぜ!!』って言ってたじゃん」


「あたりまえなんだぜ!いまからわるいやつらをゆっくりさせなくしてやるんだぜ!!」

餡子脳だから期待はしてなかったが
本当に覚えているとは・・・少し見直した


「そうか、じゃ今から行こうか」


実はその日学校にて、主要ないじめグループに挑戦状をたたきつけたのだ
空き地にて決着をつけよう、と
「ゆっくり対決か?いいぜ」
「あとで餡子脳だからって忘れたとか言うなよ!」
ああ、でかい口が叩けるのも今の内だ・・・



まりさを持って空き地についた頃には
すでにいじめっ子グループは到着していた

「でゆっくり対決のルールを教えてもらおうか?ゆっくりさんよぉ!」

金属バットを持って威嚇している・・・
だがまりさだったら大丈夫だ、きっと大丈夫だ

「おまえがおにいさんをいじめるやつだね!ゆっくりしんでね!!」

「なんだって?コラァ!」

ボスッ!!
金属バットで地面を殴る
瞬間、自身に満ち溢れていたまりさの表情が曇った

「ゆ・・・ゆ・・・」

「やれるもんならやってみろよゆっくり野郎が」

ボスッ!!
再び金属バットで地面を殴る

「き、きょうのところはゆっくりなまりささまがみのがしてやるんだぜ!」

先ほどの自信はどこへやら、ぴょんぴょんと逃げるまりさ

もう何も言えなかった
昨日のセリフはなんだったのだろうか
「おにいさんにはわらっていてほしいぜ!」
「おにいさんをなかせるわるいやつはまりさがやっつけてやるんだぜ!!」
今、目の前でそれが虚言と理解した
やっぱりゆっくりは所詮ゆっくり
自分のサンドバックにはなるものの剣や盾にはなりっこない
妙な期待をさせた罪は重いぞ・・・

僕はまりさを掴んだ

「おい、ちょっと待てよ」
「ゆゆ?おにいさんゆっくりはなすんだ!」

何がわらってほしいだ、何がやっつけるだ、
自分の強さも理解しないでポンポンとでかい口叩くんじゃねーよ

まりさを掴む手に力を込める

「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!おにいざんばりざづぶれぢゃうよ!!」

「お前に期待した俺がバカだった」

「バカは死んでも治らないって聞くがもしかしたら治るかも知れないな」

「俺が治してやるよ!!!」

両手でまりさを挟み込むようにして一気に!

「ゆ゛げえ゛!!」

悲鳴は一瞬だった
度重なるいじめでまりさの体はだいぶ脆いものになってすぐ潰れたからだ
手に付いた餡子を舐める
甘い、その甘さは最後にまりさが見せた幻想にうかれていた自分くらい甘い


「す、すっげぇ!!」
「お前なんかかっこいい!そう・・・ワイルドってやつ?」
「しびれるぅぅぅ!」

一体どういうことだろうか

「お前ゆっくりいじめるのが好きか?」
「う・・・うん」
「にしてもあんな一気に潰すなんて熟練者じゃないとできないよな」
「決めた!今日からお前のあだ名は『ゆっくり』改め『ゆっくりキラー』だ!!」

どうやら先ほどのまりさを潰した光景が美化されたのか知らないが
自分はゆっくりいじめのプロのように思われているようだ
確かに結構数はこなしているから語弊はないな

「あのさ、今からゆっくりがたくさんいる裏山に行こうと思うんだがお前も来るか」
「うん!」
「お前のテクニック見せてくれよ!」



――――――――――――――――――――――――――――――



あれからいじめっ子グループと友達になり
もう自分はいじめられなくなった


「やっぱりゆっくりの悲鳴はいいよな!」
「そうだよな~」
「正直お前全然声上げなかったから楽しくなかったんだよな~」
「・・・」
「冗談だって、ちょその発想はなかった」


ただ、いじめの対象が自分からゆっくりに変わっただけだ
彼らのいじめっ子気質は100くらいまで変らなさそうだが
もう自分に対象が戻ることはないだろう


今ここで一緒にゆっくりをいじめてる
自分勝手で、傲慢で、酷いやつで、
自分の立場もわきまえずにでかい口を叩いて無駄に期待させる悪い悪いゆっくりを


「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「れいぶのあがぢゃんになんでごどをずるのお゛お゛お゛お゛お゛!!!」


僕は今、幸せだ








反省
  • 超展開
  • ゆっくりより人間がいじめられてね?


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年05月19日 12:32