注:前半は虐待描写はありませんのであしからず…。
  主人公が超自己中です。

ある日少年はペットショップにフラリと寄った。最近動物をボーッと眺めるのがマイブームなのだ。
ペットを飼ってみたいと思ってはいるが、親が責任だの何だの五月蝿くて叶わないのだ。
仕方ないのでこうして眺めて飼った時の妄想などをして我慢しているという訳である。

「お、いらっしゃい。今日は何を眺めに来たんだい?」
「今日はハムスターとウサギかな。」

店員ともすっかり仲良くなり、少年は完全に常連さん扱いされていた。
少年はまだ小学生中学年である。動物に興味を持つことはごく自然な流れであった。
いつものようにペットショップをグルリと1周し、好きな動物を眺めて楽しんだ。
しかしその日、少年はいつもと違うコーナーを発見し、店員に尋ねた。

「この店も販売始めたんだ…。いつから?」
「ああ、一昨日入荷してね。マニュアル読んだけど本当謎だらけの饅頭だよ。」

そう、このペットショップでも『ゆっくり』を販売し始めたのである。
少年は近くでゆっくりを見たことが無かったので興味津々でケースを覗いた。

「ゆ~ゆゆ~♪ゆっくち~♪」
「ゆぅ…ゆぅ…むにゃむにゃ…。」
「小さいゆっくりばかりだね。成体はいないの?」
「うん、まだ扱いに慣れてないからね。当面は赤ゆと子ゆだけの販売になるかな。」
「ふ~ん…。友達が森でゆっくりを沢山見たって言ってたけど…。」
「ははは、野生のゆっくりは飼育には向かないよ。態度が悪いからね。」

ペットショップで販売されている赤ゆの値段は実に様々だ。
質の悪いゆっくりは大安売りされ、大きなケースにまとめて入れられており、
逆に上質なゆっくりは2~3匹単位で小奇麗なケースに入れられていた。

「れいむ、まりさ、ありす、ちぇん、ぱちゅりー・・・みょんはいないの?」
「みょんは今のところ入荷してないなぁ。あと捕食種もまだ扱ってないよ。」
「へぇ~…。試しに…ゆっくりしていってね~。」

少年がある赤ゆのケースに口を近づけて軽く呟いてみると、中のゆっくりが一斉に反応した。

「ゆ!?ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」
「おにーしゃん!ありしゅをみてゆっきゅちしちぇね!!!」
「わきゃりゅよー。ちぇんをかっちぇねー。」
「…自分でPRするとは…中々たくましい奴らだなぁ。」
「皆人間に飼われればゆっくりできるって刷り込んであるからね。皆必死なのさ。」

少年はなるほどなぁと感心しながらしばらくゆっくりを眺めた。
ゆっくりは害獣だとよく言われるが、赤ゆの微笑ましい姿からは想像もできなかった。

「皆可愛いだろ?売ってるのは皆ちゃーんと検査を受けてゲスじゃない子を選んでるからね。
 安い子だって野生の個体よりは遥かにマシだと思うよ。」
「へぇ~…。ゆっくりかぁ…。」

少年はいつの間にかゆっくりの虜になっていた。純粋な目でじっとこちらを見ている赤れいむや、
尻尾を振って餌に齧り付く赤ちぇん、すりすりしている赤まりさと赤ぱちゅりー…。
元気に回し車を回す子まりさ、歌の練習をする子れいむ、ティッシュを集めて『べっど』をつくる子ありす…。
少年はもう我慢できなかった。

「すいませーん。この200円の赤ちぇんと赤まりさくださーい。」
「え?買うのかい?」
「悪い?一応僕、お客さんなんだけどなぁ…。」
「おっと、こりゃすまないね。じゃあ赤ゆ2点お買い上げで400円だよ。」

少年は道端でたまたま拾った500円玉を出して買った。
店員は慣れない手つきで少年が指名した赤ちぇんと赤まりさをつまみ上げ、紙製の箱に少量の餌と共に入れた。
きっと自分はこの子たちを飼うために500円を拾ったのだと勝手に思い込み、少年は店から飛び出した。
ちなみにこの少年、ゆっくりに関する知識など無いに等しい。
一応帰りにゆっくりの飼育本などを立ち読みしたが、そんなので飼育法をマスターできるなら苦労は無い。
少年は後先のことを全く考えていなかった。所詮はまだ子供である。

「バレちゃまずいよなぁ…。とりあえずこれでいいか…。」

少年は真っ先に2階にある自分の部屋に滑り込み、扉を固く閉じこれからのことをやっと考え始めた。
バレれば必ず親は反対し、捨てろだの何だの怒り出すに違いない。それは避けたかった。
幸い赤ゆなのでバレずに育てられそうだ。少年はとりあえず安堵した。

「セッティング完了…と。いい感じじゃないか、うんうん。」

少年は使っていなかった学習机の底が深い引き出しを加工し、赤ゆの飼育箱にしてしまった。
鍵で閉めておけば学校に行ってる時にもバレないし脱走の心配も無い。完璧だと少年は思った。
加工と言っても簡単なものだ。中に新聞紙を敷きつめ、餌入れ(ガチャガチャのカプセルの下半分)と
トイレ(小物入れにティッシュを詰めたもの)、あと遊び道具とベッド用の綿などを入れただけだ。

「さてと、箱の中の赤ゆたちを移さないと…て寝てるよ…。」
「ゆぴぃ…ゆぴぃ…。」
「むにゅむにゅ…。わきゃりゅ…よぅ…。」

少年はそっと飼育箱の中に赤ちぇんと赤まりさを入れ、餌入れに余っていた餌も入れておいた。
とりあえず状況を説明してやろうと思い、少年はそっと呟いた。

「ゆっくりしていってね~…!」
「「ゆぴゅっ!?ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」」
「し~!!静かに…!!バレたら大変なんだよ…。」
「わきゃりゃにゃいよー…。ここどきょー…?」
「ゆぅ…おにーしゃんだれぇ…?ゆっきゅちできりゅひちょ?」
「ああ、僕はお前たちの新しいお父さんだよ。ここは君たちの新しいゆっくりプレイスだ。」

少年はとりあえず説明しておいた。何度も説明し、何とか少しは理解してもらえた。

「わきゃりゅよー。ちぇんはしじゅかにしゅるよー。」
「まりしゃもゆっきゅちりきゃいしちゃよ!ゆっきゅちしゅるよ!」
「分かってくれて何より。うんうんとかはちゃんとそこにするんだよ。餌はここね。」

…下から夕食の時間だと声が聞こえてきた。少年は飼育箱と化した引き出しをそっと閉めた。

「ゆぅ~…?きゅうにくりゃくなっちゃよ!よるしゃんゆっきゅちしちぇいっちぇね…。」
「わきゃりゃにゃいよー…。おとーしゃんどきょー…?」

閉まった引き出しにはわずかしか光が入らない。2匹は不安で寂しくなった。
仕方ないのでお父さんが戻ってくるまで寄り添って待つことにした…。
そして30分後、少年は再び部屋に戻り、そっと引き出しを開けた。すると途端に騒がしくなった。

「おとーしゃぁぁぁん!どきょいっちぇたのぉぉぉぉ!!?」
「しゃびしかっちゃよ!くりゃくてきょわきゃったよぉぉぉぉぉ!!」
「あーもう五月蝿いって…。たかが30分で騒がないでくれ。」

2匹が騒ぐのも無理は無い。ペットショップでは大勢の仲間と適度に明かりの付いたケースにいたのだ。
それに寝るまで店員のお兄さんが見張っててくれた。2匹だけで暗い部屋にいて怖がるのは当然と言える。

「そうだ。ここに住む上でのルールを決めておこう。守らなかったらお仕置きだぞ。」
「わ…わきゃりゃにゃいよー…。リューリュってにゃに?」
「お前たちと僕が上手くやっていく上での決まり事ってとこかな。じゃあ説明するぞ。」

1、お父さん以外の声に反応してはならない。他の人間に見つかったら命は無いと思え。
2、餌はよく考えて食べること。与えられる餌には限度があるからだ。
3、閉まっている時はいい子にして待つこと。騒いではならない。
4、排泄はちゃんとトイレで行うこと。それ以外の場所でしてはならない。

「ゆぅ…。ゆっきゅち…りきゃいしちゃよ…。」
「これさえ守ればゆっくりできるぞ。じゃあ僕風呂入って寝るから。また明日ね。」
「ゆ!?まりしゃおとーしゃんといっちょにねちゃいよ!!」
「ワガママ言うな。そんなことしたらペチャンコになるのが関の山だ。却下。」
「わきゃりゃにゃいよー…。しゃびしいのはいやにゃんだよー…。」
「だから2匹飼ったんじゃないか。ほら、すりすりしてやるから我慢しな。」

少年は指で赤ちぇんと赤まりさをすりすりしてやった。2匹は暖かい感触に夢中ですりすりした。

「しゅりしゅり~♪おとーしゃんあっちゃかいよ♪」
「わきゃりゅよー。おとーしゃんしゅりしゅりがじょうじゅだよー!」
「明日朝早いんだ。もうすりすりは終わり。さっさと寝なさい。」
「ゆ!?まりしゃもっちょしゅりしゅり…。」

2匹の願いは叶わず引き出しは閉められ、再び漆黒の闇に包まれた。2匹は仕方ないので寝ることにした。
明日はもっとすりすりして欲しいな…お歌を聞いて欲しいな…色々考えている内に2匹とも寝てしまった。

次の日の朝、2匹はゆっくりと目を覚ました。時間は午前9時、いつも起きてた時間だ。
ペットショップにいた頃はいつもこの時間に起き、店員のお兄さんに挨拶していた。
だが少年はもうそこにはいなかった。もう学校に行ってしまったのだ。
だが2匹はそんなこと知るはずが無い。上を見上げお父さんが出てくるのを楽しみに待った。

「ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」
「ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」

2匹は挨拶を交わし、互いにぺ~ろぺ~ろして汚れを落とし、ひたすらお父さんのことを待った。
だがいくら待ってもお父さんは現れず、ゆっくりプレイスも薄暗いままだ。
2匹は不安になりながらも健気に待ち続けた。だが空腹には勝てない。

「ゆぅ…。おにゃかしゅいたね。」
「わきゃりゅよー。ごはんはきょきょにありゅよー。」
「「む~しゃむ~しゃ。しょれにゃりー…。」」

買った時赤ゆと一緒に入れられたゆっくりフードの余りが朝ご飯だ。だがあまり美味しく感じられなかった…。
少年は知らないが、赤ゆに最も必要なものは美味しい食事でもゆっくり寝れるベッドでも無い。
ずばり家族との触れ合いである。成体のゆっくりですらすりすりやぺ~ろぺ~ろを頻繁に行う。
赤ゆなら尚更それを求める。ゆっくりは元々貧弱でか弱い存在だ。
常にコミュニケーションを行うのは愛情表現の他に、一緒にいることで安心したいからだろう。
赤ゆにとってはそれが1番ゆっくりできることなのだ。この2匹も例外では無い。
この2匹は同じケースにいたが家族では無い。一緒に住んでいただけなのだ。
どんなに仲が良くてもやはり家族の絆には及ばない。故にお父さんと遊びたくて仕方が無いのだ。

「おとーしゃん…。あいちゃいよ…。」
「ちゅまりゃにゃいよー…。あしょびたいよー。」

午後1時、少年は小学校で給食を食べていた。だがゆっくりのことが心配で仕方が無かった。
もし2匹が騒いでバレたらどうしよう。怒られるだけでなく、その場で2匹まとめておやつに加工されてしまうかもしれない。

「まぁ大丈夫かな…。結構頑張ってルール説明したし。あ~カレー美味い。」

同時刻、少年の家の引き出しの中…

「ちゅまりゃにゃいかりゃおうたをうちゃうよ!ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」
「わきゃりゅよー!おうたはゆっきゅちできりゅよー!ゆ~ゆ~♪ゆっきゅち~♪」

同時刻、少年の家の1階ロビー…

「ん?何かしら…?今変な音が聞こえた気が…。まぁ気のせいよね、ささっ掃除しちゃいましょ!」

幸いだったのは赤ゆがどんなに大声で歌っても下にはほとんど響かないことだった。
母はさっそく古い掃除機をガーガー鳴らして掃除を始めた。掃除機の音はしっかり上まで響いていた…。

「ゆぅ~!?なんきゃうるちゃいよ!おうたのじゃましにゃいでね!!!」
「わぎゃりゃにゃいよぉ~!!!ゆっきゅちできにゃいぃぃぃ!!!」

赤ゆにとって掃除機の音は激しいストレスになった。2匹は1時間近く正体不明の雑音に怯え続けた。

そして午後3時…少年は帰宅した。

「ただいま~!!」
「あっおかえり~!おやつは冷蔵庫の中よ。」
「は~い!」
「そう言えば…、あんた最近動物か何か家に連れ込んでない?」
「へ・・・っ?どどどっどうして?」
「今日の昼頃ねぇ、上から何か聞こえたのよ。小さい音でよく分からなかったけど。」
「きっと気のせいだよ!お母さんが動物苦手なの知ってるもん!!じゃっ!!」

少年はおやつのプリンを口に流し込み急いで部屋に向かい引き出しをそっと開けた。

「ゆ…ゆ!?お、おとうしゃぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「わきゃりゃにゃいよぉぉぉ!!!どきょにいちゃのぉぉぉぉ!!!ちぇんたちしゃびじがっだよぉぉぉぉ!!!」
「ごめんごめん…。学校のこと言って無かったね。それはそうと、君たちルールを破ったんじゃないかな?」
「リューリュ?しょれっちぇおいちい?」
「…騒ぐなって言ったよね?それと…うんうんの場所も間違ってるし…。」

トイレは至って綺麗であり、代わりに敷いてある新聞紙のあちこちにうんうんが散らばっていた。
所詮1匹200円で売られていた赤ゆだ。説明した程度で理解し覚えるはずが無い。

「まずは可愛がる前に躾しないとダメかぁ。躾ってどうすればいいんだっけな…。」

少年は同級生でゆっくりを飼っている友達の自慢話を思い出した。

『でさー!ゆっくりの躾はやっぱ体に刻みこむ方が効果的なんだよ!!
 この前俺が飼ってた赤れいむが勝手に俺のおやつ食いやがってさ、
 罰としてデコピンでずっと壁コンボしてやったんだ!!
 そしたらあいつ痙攣しながら謝り続けてさ、思わず笑って許しちまったぜ!!
 俺の手にかかればどんな悪いゲスもいい子にできるぜ~!!』

自慢げに話す友達の周りには女子が集まりキャーキャー騒いでいた。
良く分からないがゆっくりの躾にそんな方法があるなんて知らなかった。
少年も早速『躾』を施すことにした。

「ゆぅ~?おとーしゃんどうちたの?まりしゃしゅりしゅりちたいよ…。」
「おとーしゃんとゆっきゅちしちゃいんだよー、わきゃっちぇねー。」
「…君たち、僕がいない間にお歌とか歌って無いよね・・・?」
「ゆ?しゅごい!おとーしゃんはにゃんでもわきゃりゅんじゃね!」
「わきゃりゅよー!ゆっきゅちできりゅおうたをおとーしゃんにもきかしぇるよ!」
「騒ぐなって言ったろう?それにうんうんする場所も言ったよね?」
「ゆ…。おとーしゃんどうちたの?きょわいよ…。」

少年は右手をそっと引き出しに入れ、2匹に近づけた…。
その時2匹はすりすりしてくれた時のことを思い出し、またすりすりしてくれるのだと思った。

「ゆっ!おとーしゃんしゅりしゅりしちぇくれりゅんだね!!しゅりしゅり~♪」
「わきゃりゅよー♪しゅりしゅりしちぇゆっきゅちしゅるよー!!」
「反省しなよ…。これはお仕置きだよ。」

バチンッ!!!

「ゆぴゃっ!!」
「ゆ…?おとーしゃん?わきゃりゃにゃいよ?」

「お前もだよ。」

バチンッ!!!

「ゆぷっ!!?わっわきゃりゃにゃ…ゆべっ!」

少年の手はすりすりすること無く2匹をデコピンでふっ飛ばした。
最初に弾かれた赤まりさはコロコロと奥に転がり、
次に弾かれた赤ちぇんは宙を舞い、そして落下しポスンと落ちた。
2匹は何が起こったか理解できなかった。
数秒経って痛みが出てきたらしく、その時初めて自分たちが暴力を振るわれたことを理解した。

「い…いちゃいぃ…!おとーしゃ…どうちてこんにゃ…!」
「わ…わぎゃりゃ…にゃいよ…。いちゃいよぅ…。」
「どうしてこんなことしたと思う?簡単さ。君たちは僕が定めたルールを破った。
 だから躾としてお仕置きしたんだ。もしまた破ったら何度でも痛くするよ。」

少年は心を鬼にして言い放ち、何度もルールを説明し直した。
新聞紙を取り換えながらずっと説明をくどくど続けた。
それがこの赤ゆたちのため…。一緒にゆっくりするための第1歩なんだ…。
だがこのやり方が明らかに間違ったやり方であることを少年は知らなかった。

言うまでも無いが友達が言っていた『躾』とは『虐待』のことである。
おやつだって赤れいむが食べられる場所にわざと設置し食べるのを待っていたのだ。
だがゆっくりの知識が無い少年はそれが正しい躾法だと思い込んでしまったのだ。
こっそり飼ってるので飼い方など聞けば怪しまれるし、ペットショップの人に
今更聞くのも何かカッコ悪い。本を読んでも読めない漢字ばかりでチンプンカンプンだ。

「いいかい?ゆっくりしたいならルールを守ること。君たちのためなんだよ?理解してね。」
「ゆっ!?まっちぇ!まりしゃしゅりしゅりしちゃい…。」

少年は反省しなさいと給食の残りのパンの切れ端を入れ引き出しを閉めた。
せっかく明るくなったのに…せっかくお父さんに会えたのに…心も部屋も薄暗くなってしまった。

「いちゃい…。いちゃいよ…。」
「ちぇんもだよ…。ぺ~りょぺ~りょしゅりゅね…。ぺ~りょぺ~りょ。」
「ありがちょう…。まりしゃもぺりょぺりょしゅりゅよ。ぺ~りょぺ~りょ。」

2匹は互いに励まし合い、小さい体を寄せ合って眠った…。
この時点ですでに、2匹とも少年の説明は頭に入っていなかった。
痛さと突然の暴力に餡子脳が処理できなかったからだ。
今の2匹はお父さんに甘えたい気持ちでいっぱいだった。

とするとこの後どうなるか?もちろん2匹は同じ過ちを繰り返すことになる。
そうなれば少年はどう対応するか?もちろん同じ『躾』を繰り返す。

少年はゆっくりのことを過大評価し過ぎていた。
人語を話すのだからちゃんと話せば分かってくれると思っていたのだ。
だがゆっくりはそんな賢いものでは無い。
ゆっくりすることをを最優先に考える単純な思考しか持たないナマモノだ。
特に赤ゆは生まれる前からゆっくりしている理想像を抱いているぐらいだ。
親に甘えたい、いっぱいむ~しゃむ~しゃしたい、お歌を歌いたい…。
上質なゆっくりならともかく、安売りされているゆっくりにルールを覚えさせるなど素人には至難の業なのである。

「1週間経っても覚えないなんて…!いくらなんでも反省しなさ過ぎだよな…!!」

少年はいい加減怒りに支配されてきた。今日も2匹ともうんうんを新聞紙に撒き散らしていたのだ。
その上いまだに好き勝手に歌ったり、中で跳ね回って遊んだりして騒いでいる。
何で何度も説明してるのに分からないんだ。少年はイライラが溜まっていた。
いつバレるか分からない恐怖、にも関わらずそんなことも知らずルールを破る2匹…。
少年は学校の帰りに立ち寄った本屋で読んだ本のことを思い出した。

『何々…?ゆっくり…すき家の友…?有効的な躾法が載ってるのかな?
 ええと、ほうほう、なるほど~。僕のやり方は甘かったのか~…。』

少年が読んだ本は『ゆっくり虐待愛好家の友』という題名だった。
あまり漢字が得意で無かった少年は題名が中途半端にしか読めず、それを躾のやり方だと思ってしまった。
そしてその日の晩…。

「お父さんの言うことを聞けない悪い子にはキツイ罰が必要だね。よいしょっ。」
「ゆ!おしょらをちょんでるみちゃい!!」
「ちぇんにもやっちぇねー!!おしょらちょびちゃいよー!!!」

少年はそっと赤まりさをつまみ上げ手に乗せた。赤まりさは嬉しそうだ。
赤ちぇんは自分も持ち上げて欲しいと主張したが、後でちぇんにもやってあげると言われ納得した。

「気が引けるなぁ…。でもこれも立派なゆっくりに育てるため…。甘えは禁物だ…!」
「ゆ?どうしちゃの?おとーしゃんあっちゃかくちぇゆっきゅちできりゅよ♪」
「なぁまりさ。何で今日も昨日と同じ失敗を繰り返すんだい?」
「にゃんにょこちょ?まりしゃはおとーしゃんといっちょにいりゃれてゆっきゅちしちぇりゅよ?」
「ちぇんにもー!ちぇんにもやっちぇねー!!」

少年はやはりお仕置きが軽すぎたと反省し、これは躾だと自分を正当化した上で行動に移った。
右手に乗って呑気にゆっくりしている赤まりさに、左手で持った家庭科用のまち針を向け…。

「ゆ~ゆゆ~♪おとーしゃんとゆっきゅち~♪ゆっきゅ…。」

プスッ

一瞬赤まりさの時が止まった。頭に違和感を感じる。そしてじわじわと感じてきた感覚…。
何だろう?あれ?痛い?どうして?あれ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い…

「ゆっゆぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!いぢゃいいぢゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!」
「わ…わぎゃりゃにゃいよぉぉぉぉぉ!!!まりしゃどうちたのぉぉぉぉぉ!!!?」
「何て騒音だ…。今日は皆外出してて良かった。」

赤まりさの脳天には小さいまち針がしっかり刺さっていた。
浅く刺したものの、感じたことの無い痛みに赤まりさは絶叫した。

「どうしてこんなに痛いか分かるかい?君がルールを覚えようともせず
 ただ僕に甘えて楽しようとしたからだよ。」
「いぢゃいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!おとーしゃんだじゅげでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「うんうんはどこでするのかな?騒いだらダメって何度言ったかな?」
「いぢゃいいぢゃいぃぃぃぃぃぃ!!!!ゆえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
「…しょうがない。ちぇんもやって欲しいんだよね。今してあげるからね。」

少年は左手で赤ちぇんを掴み上げ、指で挟んでいたまち針を近づける。

「やべぢぇね!!?わぎゃりゃにゃいよぉぉぉ!!どぼじでこんにゃことしゅるのぉぉぉぉ!!!?」
「ほら見ろ。やっぱり覚えてないし覚える気すら無い。僕の努力と時間をどうしてくれるんだ。」
「わぎゃりゃにゃいよ…。いちゃいのいやだよぉ…。おにぇがいやめちぇ…。」

プスッ

「にゅにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!?わぎゃりゃにゃいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「いいかい?これからまたルールを説明してあげるからしっかり覚えるんだよ。」


その後、痛みで悶える2匹を両手で握りしめ、少年は再度守るべきルールを説明し続けた。
2匹に何度も聞き直しちゃんと返答できるようになるまで教えた。
気が付いたら1時間が経過していた…。

「ようやく覚えたみたいだね。いい子いい子♪今痛い原因を取ってあげようね。」
「ゆひゃぁ…。ゆぴぃ…。」
「わ…わぎゃりゃにゃいよぉ…。」
「分からなかった?じゃあまた針で…。」
「わ…わぎゃりゅよ!しゅごくわぎゃりゅよ!!うんうんはチョイレでしゅるよー!!」
「そうそう、じゃあ僕が帰ってくるまで…?」
「しゃわがにゃいよっ!まりしゃもちぇんもいいこにしちぇるよぉ!!!」

少年はやっと反省して理解してくれたと感じ、2匹を引き出しに戻してあげた。
その後覚えたご褒美にドーナツの破片を中に入れ、明日の食事も入れてあげた。

「もう遅くなっちゃった。そろそろお父さんとお母さんが帰って来るから閉めるよ?おやすみ…。」

ガチャッという音と共に引き出しは閉められた。
2匹は針が抜かれた後もしばらく痛みに苦しんだ。どうしてお父さんがこんなことを?

どうしてお歌を歌っちゃいけないの?どうして鬼ごっこしちゃいけないの?
どうしてうんうんとしーしーの場所を限定するの?
どうしてお父さんはいるのにお母さんはいないの?
どうしていつも一緒にいてくれないの?
どうして一緒に寝てくれないの?
どうしてゆっくりさせてくれないの?どうして…

2匹は生まれる前から刻まれていたゆっくりできるゆん生の理想像を思い返した。
いつもお父さんとお母さんがいて、家族皆で楽しく遊んで歌って、
友達と虫さんを追いかけて、皆でいっぱいむ~しゃむ~しゃする…。
なのに今の自分たちはその理想像からあまりにかけ離れていた。
2匹は最早ペットショップで買われたことすら覚えていなかった。

「どうしちぇこんにゃいちゃいこちょしゅりゅのぉ…。」
「わきゃりゃにゃいよぉ…。もういちゃいのいやぁ…。」

ちなみに、普通ならとっくに赤ちゃん言葉から抜け出せている頃だが、
ゆっくりできない生活ゆえ、いまだに身も心も赤ゆのままであった。
2匹は必死に生まれた時のことを思い出した。
そしてある結論に至ったのだ…。


次の日の土曜日…

少年はウキウキしていた。ちゃんと躾ができてから初の休日だ。
2匹ともきっとルールを覚えた賢い子になっているだろう。
前の週は友達に誘われてロクに相手してやれなかったから、
今日は思いっきり遊んでやろう。親も外出してるし。
少年はそっと引き出しを開け、2匹の姿を確認した。

「寂しい思いさせて悪かったね。今日はたっぷり…。」
「ゆっきゅちこにゃいでぇね!!!」
「ここはちぇんたちのゆっきゅちピュレイシュだよー!」

少年は予想外の返事に固まってしまった…。
だが寝ぼけてるだけだと思いすぐに聞き直した。

「あれれ?どうしたのかな?急にそんなこと言うなんて…。」
「あんにゃいちゃいこちょしゅるひちょおとーしゃんじゃにゃいよ!!」
「いちゅもリューリュちょかいっちぇちぇんたちをいじめちゃよー!
 あしょんでもくれにゃいしちっともゆっきゅちできにゃかったよー!!」
「ち…違うんだ!あれは君たちのための躾なんだよ!君たちが悪い子だから…!!」

すると2匹は思いっきりプクーッと体を膨らまし威嚇のポーズを取ったではないか。

「何だよ…。元はと言えば君たちが僕の気持ちも考えないで好き勝手やったのが
 いけないんじゃないか!!あれぐらいのルールも覚えようとしないで…!!!
 やっと覚えたと思ったらグレやがって…!!何がゆっくりできないだ!!人生ナメるなよ!!!」
「ぴゅくー!まりしゃたち『じんしぇい』じゃにゃくて『ゆんしぇい』だよ!!」
「おとーしゃんのにしぇもにょはどっかいっちぇねー!
 ちぇんたちはほんちょのおとーしゃんとおかーしゃんをしゃがしゅよー!!!」

少年は失望した。良心を痛めてまで心を鬼にして躾をしたのにこの仕打ちだ。
少年から見れば、2匹は最低限の努力もせずにただワガママばかり言っている
どうしようもないダメ饅頭であった。

赤ゆたちは失望した。お父さんといっぱいゆっくりできると思ったのに、
ルールなどというよく分からない存在を振りかざし暴力を振るうのだ。
赤ゆから見れば、お父さんを名乗る暴漢は自分たちの相手もせずに
ただ虐めて楽しんでいる風にとれた。

よくあるすれ違いである。少年は少年なりに躾をしたつもりが、
この2匹にはただの理不尽な暴力にしか見えなかった。
赤ゆは赤ゆなりにゆっくりしたかっただけだが、
結果少年にダメ饅頭の烙印を押されてしまった。

「分かった…。そんなに僕が嫌いなら好きにすればいいさ。この駄作どもが。」

少年はこの2匹が安物であったことを思い出し溜息をついた。
やっぱ安いものには理由があるんだなと、少年は2匹を見下して言った。
少年の方にも十分原因があったが、そんなこと少年は当然気付かなかった。
少年の好奇心は広く浅かった。実を言うと、少年はすでに2匹に対して興味を無くしていた。
前は動物を眺めるのが好きだったが、今はそれにも飽きていた。
今少年はカードゲームに夢中だった。正直今回の件はこいつらを見限るいい機会だと思った。

「ゆ!おしょらをちょんでるみちゃい!!」
「わきゃりゅよー!ちゃかいちゃかいだよー!」

少年は引き出しから2匹をつまみ出した。喜ぶ2匹を見て少年は生まれて初めて殺意を覚えた。
さっきまであんな暴言を吐いて威嚇していたくせに、何て単純な奴らなんだ。
少年はゆっくりの本性にやっと気付いた。愚かで愚図で愚鈍な糞野郎だと…。
こんな単細胞生物に人語を追加しただけのようなクズゴミ饅頭を育てるなど狂気の沙汰だったのだ。

「君たち狭い引き出しで大変だったろう。外の広い世界を教えてあげるよ。」

少年は2匹を紙パックにぶち込み、家の鍵をちゃんと閉めて外出した。
向かうは近所の公園だ。この公園はガラの悪いヤンキーの溜まり場で有名なのだ。
公園に着き紙パックから2匹を出すと、2匹は広い外の景色に歓喜した。

「ゆぅ~!しゅごいよ!とっちぇもひりょいね!!!」
「わきゃりゅよー!にんげんしゃんがいっぴゃいだよー!!!」
「君たちせっかくだし遊びに行ったらどう?人間さんからあまあまもらえるかもよ?」
「ゆ~!まりしゃあまあましゃんもりゃうよ!!」
「ちぇんももりゃうよー!!!」

ペットショップと引き出しの中の世界しか知らない2匹は文字通り箱入りゆっくりだ。
少年は2匹を見ながらベンチに座ってその時を待った。
世間知らずの馬鹿共がどんな笑えることをしてくれるのか楽しみでならない。
すると、2匹が人間たちの足元に近づき何やら騒いでいた。
その人間たちは地元でも有名な極悪非道喧嘩上等の不良高校生たちだった。

「あまあまちょーだいね!!まりしゃおにゃかしゅいたよ!!」
「わきゃっちぇねー!ちぇんたちをゆっきゅちしゃせてねー!」
「あ~ん?何だこいつら…。何で赤ゆしかいねえんだよ?」
「親からはぐれたんじゃね?こいつら腹減ってるってさ。」
「ほ~ら、お兄さんたちがいいものやろう。目を瞑ってごらん♪」
「わきゃったよ!あ~ん♪」
「あ~ん♪」

明らかに異物を口にぶち込まれるフラグではないか。
少年はハラハラしながら観察を続けた。
すると、不良はさっきまで吸っていたタバコを赤まりさに近づけていた。
まだ先っぽが赤い。当たったらさぞ熱いだろうな…。
そんなことを思っている間に、タバコが赤まりさの口に入った。

「ほ~ら♪プレゼントだよ~♪」
「ゆびゃべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!?」
「ゆ…?まりしゃどうしちゃの…ってわぎゃりゃにゃいよぉぉぉぉぉ!!!」
「ひゃひゃひゃっ!尻尾生えてる方、帽子の奴見てすごい顔したぞ!」
「帽子の方も口が熱々で大変でちゅねー♪おいちいでちゅかー?」
「ゆぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

赤まりさはタバコを口に入れられたせいで口内を火傷し悶絶していた。
そしてタバコの有毒な成分を摂取したのか痙攣を始めてしまった。

「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛…!!!!」
「あひゃはははははぁ!!!おもしれ~!!痙攣してるぜこの糞饅頭!!」
「饅頭のくせに痛がったり熱がったり生意気だよなぁ~。」
「まりしゃぁぁぁぁ!!ゆっきゅちしちぇよぉぉぉぉ!!!!」

少年はつくづく馬鹿だなぁと思った。
赤まりさに不良たちは釘付けなのだから、さっさと逃げればいいのに。
何もできないくせに意味も無く叫んでるせいで赤ちぇんも捕まってしまった。

「わぎゃりゃにゃいぃぃぃ!!どぼじでこんにゃこちょしゅりゅのぉぉぉぉ!!!!?」
「いるよな~。自分だけが特別だと思ってる奴。まぁゆっくりは全員そうか♪」
「どうして?分からないのか?バッカじゃねえの?親から離れてる地点で馬鹿だろ。
 しかも人間に…プッしかも俺たちみたいな明らかに悪そうな奴に近づくなんて…。」
「馬鹿って言うか警戒心が無いって言うか…。どの道お前らみたいな奴は
 自然界で生きていく資格なんて無いっつうの!ひゃはははははは!!!!」

赤ちぇんは尻尾を引き千切られ、痛みで絶叫した隙に口に千切った尻尾をぶち込まれ、
強く握られ何度も激しくシェイクされ、酔って中身を吐いたところで汚いと地面に捨てられた。

「手に付いちまったぜ…。あっでも甘い♪俺、実は甘党なんだ…。」
「じゃあ学校全部サボって何か食べに行こうぜ~!!」
「賛成~!土曜に学校なんか行ってられっかよ!!しゃはは~♪」

不良たちは瀕死の2匹を放置しどこかへ行ってしまった。
周りの子供や老人が見ていたが、当然誰も何も言わなかった。
もちろん2匹を助けようなんて思う輩もいなかった。
この公園では毎日無知なゆっくりが同じ手順で駆除されているからだ。
特に珍しい光景では無い。

「…はぁ。さっぱりした。自分でやるより爽快かもな。手も汚れないし…。」

少年はそっと2匹に近づいた。2匹共まだかろうじて息はあった。

「ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…。」
「エレエレ…わぎゃりゃ…にゃ…どうちて…だりぇも…たしゅけちぇ…くれにゃいの…?」
「助けてもらうのが当たり前だと誰が言ったの?君たちが不良に突っかかるからこうなったんだよ。」
「ゆ゛っ゛…おかー…しゃん…おとー…しゃん…たしゅけ…ちぇ…。」
「お父さんもお母さんもここにはいないよ。
 どうせ君たちの親なんて加工所の饅頭生産機だろ。
 それに僕はもうお父さんじゃない。つまり赤の他人さ。
 どうして野良の赤ゆなんか助けようか…?弱者が駆逐されるのは自然の摂理なんだよ。」

少年は何故か胸がスカッとした。確かに躾と称してひどいことをしたのは自分だ。
だが飼われている恩義を忘れ、自分たちのために尽くすのが当然と言ったように
ワガママを言い、ルールを守らないこいつらも悪いのだ。
少年は自分の過失は一切認めず、全ての責任を赤ゆに押し付け正当化した。
その赤ゆが死ぬことで、この件を無かったことにしようとしたのだ。

「学校で優秀な成績を誇る僕が饅頭に踊らされたなんてバレたら嫌だからね。さようなら…。」

少年は最早死ぬしかない2匹を置いて帰った。1度も振り向かずに…。

「ゆっきゅ…ち…しちゃ…かった…。」
「わ…わぎゃりゃにゃ…いよ…。おと…しゃ…おか…しゃ…。」

その後赤まりさは自電車に轢き潰された。
赤ちぇんは尻尾のあった箇所から中身を噴き出しながら必死にずりずり歩いたが、
誰も助けてくれず朽ち果て、夜れみりゃに食われた。


それから1週間後…少年は何も無かったかのように普通の生活を送っていた。

「へへへ♪このターンでお前のライフは0!俺の勝ち~!!」
「何勘違いしてるんだい?僕のバトルフェイズはまだ終了してないよ。」
「何言ってるんだ?お前の戦闘はとっくに終了して…。」
「ふふ…。即効魔法発動!!!バーサー…!!!!」

少年はカードゲームにハマり、今やクラスで無敵を誇る強さになっていた。
有り得ない運の良さでピンチになると必ず切り札を引くのだ。
インチキかと誰もが疑ったが、結局トリックでは無く純粋に運が良かっただけだと判明した。
その反面あの2匹はこの少年に選ばれたこと自体運が悪かったと言えよう。

…ゆっくりが生きるか死ぬかは99%運であると言われている。
死んだ赤まりさと赤ちぇんはただ単に運が悪かった。それだけの話なのだ。

「ドロー!モンスターカード!!ドロー!モンスターカード!!ドロー…!!」
「もう止めろ!こいつもうライフどころか財布の中も0だぞ!」
「金なんか…賭けるんじゃなかった…ガクッ。」

あの時拾った500円。赤ゆを買って400円使い、あとは100円だけ残った。
その100円も金賭け勝負で1600円になっていた。

「さて…。この金で食用ゆっくりでも買って食い殺してやるか…。くけけけ…!!!」

少年はあの経験を得て立派な虐待派へと成長した。
この少年が将来有望な虐待鬼意山になることを、まだ誰も知らない…。







過去作

2517 ちぇんマー投げ
2526 ゆンペルダウン
2550 痙攣鬼異惨の日曜日
2560 分からないだらけのゆん生
2570 馬鹿とゆっくりは使いよう
2585 ゆっくり飼育書
2600 食ゆ鬼意山の罠

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最終更新:2022年05月03日 23:25