「ゆっくりひな」



~~3ヶ月前~~

ゆっくりひなを飼いたかった私は、川原に来ていた。
川原に来た理由は特に無い。ここにいなければ、次は、森に行く予定だった。
ゆっくりは水に弱いせいか、川原にはゆっくりの姿が見えない。


「くるくるー」
 あきらめて帰ろうとすると妙な声が聞こえた。
声が聞こえたほうは葦だと思われる草に囲まれるあたりだ。
葦だと思う植物を掻き分けて進むと、ゆっくりがいた。
緑色の髪と特徴的なリボンと宙に浮きながらくるくる回っていることから、そのゆっくりはゆっくりひなだと思う。
確信が持てないのは、珍しく胴付きであること、それと大きさがやけに小さいからだ。A4サイズの単行本くらいの大きさだ。
普通の胴付きはその倍くらいの大きさはある。
じろじろ見ていると、こちらに気づいたそのゆっくりが声をかけてきた。
「どーしたのおにーしゃん?厄をすってほしいの?」
 どこか、舌ったらずな感じで、そう言った。
その台詞でこのゆっくりがひなだと確信した。
ゆっくりひなには、とある特徴がある。
厄 (ゆっくりできないもの、環境ホルモン等の汚染物質、他人の不幸など) を集めて自身の中に溜めることができるのだ。
溜めた厄は川に流したり、地面に穴を掘って埋めたりしているらしい。
厄を集めると言うことは、周りのゆっくりにとっては、ゆっくりできるはずだが、
たいていの場合は、他のゆっくりは、ゆっくりひなに近寄ろうとしない。
―――ゆっくりひなに触ると厄が移るのだ。
そのため、ゆっくりひなのほとんどは、孤独に生活している。


私は、ゆっくりひなに手を伸ばした。
「やめて!!さわらにゃいで!!」
いきなり拒絶された。・・・が無視して近づく、
「これいじょうちかよったら、おにーしゃんにも、厄がうつっちゃう!!」
無視して近づいて、ゆっくりひなの頭をなでてみる。
「ごめんにゃさい、おにーしゃんに厄がうつっちゃった。・・・でもうれしい。こんなにやさしくされたのはじめて・・・」
頭をなで続けてみた。
「ひな、もうだみぇ、おにーしゃんがいないとゆっくりできない」
「私の家に来ないか」
私は、そう提案してみた。
「いいのおにーしゃん、ひな、おにーしゃんといてもいいの?」
「私は構わないさ」
「ありがとう、いっしょにゆっくりしましょう!」
ひなは大粒の涙を浮かべながらそういった。


 こうして、私は、ゆっくりひなと生活することになった。
ちなみに、このときゆっくりひなが集めていたのは、漆らしく、
手がかぶれたのは、ひなには内緒だ。



~~現在~~

 ゆっくりひなは、実にかわいい。
くるくるまわっている姿は、かわいい。
クッキーを両手でつかんで食べてる姿も、かわいい。
ひなの全てがかわいい。
だから、これからする行動もきっとかわいいはずだ、見なくてはならない。

 数分前、ひなは、
「厄をながしてくりゅのー」
 と言って、トイレに入っていった。

 話は変わるが、ひなの厄で手がかぶれた私は、ひなに厄を集める事を禁止している。
ひなは、
「厄をあつめにゃいと、おにーしゃんがゆっくりできにゃいの」
と言っていたが、
ひなのあごを小指で軽く持ち上げながら、
「ひなに厄を集めさせる為に一緒になった訳じゃない」
と説得したら、顔を真っ赤にしながら、納得してくれた。これでひなに触っても大丈夫。
とは言えひなの厄を集める能力は、本人の意識外でも少し働いてるらしく、
1、2ヶ月に一度無意識に集めた厄をトイレに流している。

 私は一度、どうやって厄をながしているのか、見せてほしい是非といったが、
顔を真っ赤にしながら
「はずかしいかりゃ、それだけはだめー」
 と言われた。
むりやり見るという選択肢もあるが、無理やりはよくない。
事は、エレガントに紳士的に行うのが、私のモットーだ。

 そんなわけで、私は、ひなの入っているトイレのドアに耳をくっつけて中の音を聞いている。
時折「くるくるー」と聞こえるが、それだけで中で何をしているかはわからない。それが逆に私の想像を掻き立てる。

(くそっ、どうしてトイレにドアがついているんだ!!)
ご丁寧にトイレの鍵までかけている。
(教えたわけでもないのに、鍵をかけられるなんてひなは賢いな)
トイレのドアの鍵を「うんしょ!、うんしょ!」とかけているひなを幻視していると、・・・思い出した。
(そうだ!!こんなこともあろうかと盗撮用のビデオカメラを買ったんだった。)
私は、しまってあるはずの押入れの中をがさごそと漁って目的のものを見つけた。
(電池は?・・・ある!)
私は、トイレの前まで移動した。
(トイレの下にビデオカメラを差し込む隙間は?・・・ある!!ある!!)
私は、運命の神様に感謝した。感謝だけでは足りなかったので運命の神様がいそうな方向に3度ほど土下座した。

そうして、いざ事に及ぼうとした私は、ある事を思い出した。
(確かこのビデオカメラには録画用のアタッチメントもあったはずだ。)
あまりに事がうまく行き過ぎていたのでそのことを忘れていた。
(ひなのかわいい姿を一度見ただけで満足できるか?・・・否!!録画していつもなんどでも楽しむべきだ!)
私は、急いで押入れに戻り、アタッチメントを探し始めた。がこういうときに限って見つからない。
時計を見ると、ひながトイレに入ってから5分ほど経過していた。
もうすぐ、ひなの厄流しが終わってしまう。
「どこだ!どこだ!どこだ!どこにやった!!」
アタッチメントさえあれば、ひなのかわいい(はずの)厄流しを永遠に楽しめるのに。
「おにーしゃん、なにさがしてるのー」
「ひなのかわいい姿を録画できるビデオカメラさ」
「ビデオカメラならこっちにありゅよー」
「ああ、そっちにあったか」
いつの間にか、ひなの厄流しが終わっていた。
私は、トイレに入って号泣した。泣いたというか、むしろ鳴いた。
生まれて初めて男泣きした。











~~翌日~~

 夢の中でも、昨日の失敗を悔やんでたらしく、目元には、涙のあとがあった。
時刻は6:55分目覚ましの鳴る5分前だ。
微妙すぎる時間に起きた私は、まだ寝ているであろう、ひなの寝顔を見に行った。
かわいい、実にかわいい。
ひなはくーくーとかわいい寝息を立てている。


 ひなは私が作った、簡易ベットで寝ている。中身を限界まで入れたティッシュの箱を布で覆ったものだ。
布団は、厚手のハンカチをそのまま利用している。


 このまま時間が止まればいいのに。と私が本気で思っていると、目覚ましのアラームが鳴った。
俺には、時を止める事はできないようだ。
「ん~、あさ~」
ひなが目をこすりながら、起きた。
ちなみに、この時すでに私は、台所に行き、朝食を作りはじめている。
ひなの寝起きは、実に興味深いが、私がじっと眺めているところをひなに知られるといい気持ちはしないだろう。
だから、私は眺めていなかったかのように振舞う。









 朝食も終わり、着替え等、朝のしたくも終わると、家を出るまでの間は、
ひなか、テレビを見て過ごす。
今日は、ひなを見ることにする。
「くるくるー、くるくるー」
ひなは、そう言いながら宙に浮きながら、くるくる回っている。
ところで、ゆっくりふらんや、れみりあなんかが、空を飛ぶのは羽があるからと言う理由でなっとくできるが、
羽も無いひなはなぜ宙に浮けるのだろうか、
本人に聞いてみた。
「うかんでにゃいと、くるくるーってできにゃいからだよ」
と答えてくれた。理由になってない。かわいいから許す。

くるくる回っているひなを見ている私は、ある事を思いついた。
早速実行する。
くるくる回っているひなの体を両手で優しく包んで回るのをやめさせる。
「?どーしたの、おにーしゃん」
「なんでもない」
と言って、手を離す。
「へんにゃ、おにーしゃん?」
そう言って、ひなはくるくる回りだす。
しばらくしたら、また、両手で優しく包んで回るのをやめさせる。
それを、何度も繰り返す。
何度も繰り返す。
繰り返す。

「もう!おにーしゃんやめてね!!ぷくー」
そう言って、ひなは、ほほを膨らませた。
私を、途方も無い悲しみを襲ったが、ひなかわいいよ。
「わかった、もう邪魔しない」
私は、そう言うと腹ばいになって腕を胸の下に持ってきた。猫の箱座りみたいに。
「これでもう、邪魔できないよ」
それを聞いてひなは、すぐには、邪魔できないことを確認してから、
またくるくる回りだした。
「くるくるー、くるくるー」
少し、警戒していたがすぐに、楽しそうに回りだした。
      • 計画通りだ。ひなは、いまこちらに注意を払っていない。
もう、くるくるを止められないと思っているからだ。
しかし、私の目的は、くるくるを止めることではない。
現在、私のだいたい70cmほど前方
高さはだいたい40cmの辺りにひなはいる。
そう、この位置ならひなのスカートの中が良く見えるのだ。

「くるくるー、くるくるー」
ひなのかわいい笑顔が見える。
「くるくるー、くるくるー」
回った拍子にスカートがめくれ上がり、すらっと白くてきれいな足が見える。
(あと・・・あともう少しだ!)
「くるくるー、くるくるー」
ふっくらとしたきれいな太ももが見える。
(あともう少しで、ひなの聖少女領域が拝める!)
しかし、太ももから上を拝むことはできない。
見えそうだが重力にしたがって降りてくるスカートがいいところで邪魔をする。
(私のプランには、間違いはなかった。・・・間違っているのは世界のほうだ!!)
私が、世界と世界を作った神に頭の中で文句を言っていると、
「くるくるー、くるく・・・おにーしゃんそろそろじかんじゃない」
ひなはくるくる回るのをやめて、床に下りながらそういった。
「なんてこった!!ちくしょうめ!!」
私は、あきらめて、荷物を持って玄関に向かう。
「おにーしゃんいってらっしゃーい」
ひなが私を見送っている。
「・・・ああ、行って来る」
「あっ、おにーしゃん」
そう言って、ひなは、私のほほの辺りに浮いてきた。
「どうしたんだ」
ひなは、私の疑問に答えずに、
私のほほに
「ちゅ」
キスをした。
(!?!!??!!!っな!!)
「えへへー、いってらっしゃいおにーしゃん」
「うむ」
内心の動揺を悟られないようにこれだけ返事をした。




私は、駅までの道をスキップしていた。
周囲の目など気にならない。
私は、大声で叫んでいた。

「ヒャッハー!!幸せだー!!」





~ あ ~ と ~ が ~ き ~


主人公はたっぷり変態なことしてるけど、
ばれてないからいじめじゃないのかもしれない

いじめと言うのは、
いじめる側と、いじめられる側のどちらかが認識して初めていじめになるのだと
書いてて思った。


さんきゅ~ふぉ~り~でぃんぐ

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最終更新:2022年05月19日 13:22