GSPOー幻想郷総合警邏機関。
それは博霊の巫女の鶴の一声によって作られた
幻想郷の小さな事件や異変を解決する警察みたいな組織である!



「こいつは酷いな。」
俺は現場を見て思わず呟く。
目の前に広がるのはとある村に走る黒い煙をあげる溝。
溝の近くには木っ端微塵となった家や倉の破片が飛び散っている。

昨日それは起こったという。
ドスまりさ率いるゆっくりの群が村に現れた。
これだけならどこの村にもよくある話である。
だが、そのドスは取り巻きの命令で力を誇示するためのドスパークを
なんと村に向けて放ったのだという。
幸い怪我人は出なかったものの家を破壊され住む場所を失った村人が沢山いた。
ゆっくりの要求は人間がゆっくりに服従すること。
いきなり村を破壊され怒りに燃える村人だったが、
さらなる追撃をおそれ一端ゆっくりに従うことになった。

で、GSPOに通報があり
ゆっくり課(ゆっくりに関する事件を担当する部署)の
唯一の隊員である俺がここに来たってわけだ。

まずは偵察である。
このまま攻め込んでもいいのだが、下調べも無しに突っ込んだあげく
ドスパークに吹き飛ばされて殉職というのはゴメンだ。
なにせこっちは一人なのだ。
何故一人なのかというと、ゆっくり課は立場上ゆっくりを始末しなければならないので
ゆっくり好きな連中は皆他の課を選んだ。
俺は善良なゆっくりとゲスは分けて考えているので平気であるが。
結果GSPOには四つ課があるもののゆっくり課以外はどれも担当隊員は十人以上いるがゆっくり課は俺一人という
理不尽な振り分けになった。
小さい頃「二人組作って」でハブられた時とにた気分である。

群がいるらしい山を登っていると目の前にゆっくりが立ちはだかった。まりさとれいむ、あと子供が三匹か。
「ゆっゆっゆ。おじさんここをとおりたければたべものをおいていってね!」
「「「おいちぇいっちぇね!」」」
たまにいるんだよなこういう奴。
通行税という言葉を用いるときもあるが野盗じゃねえんだから。
こういうのは適当に相づち打って無視するに限る。
「ごめんな、なにも持っていないんだ。」
そういって立ち去ろうと後ろを向く。
これから群を探さなければならないので今ここで体力を消耗するわけにはいかない。すると
「げらげらげら!こしぬけのおじさんがまりささまにおそれをなしてにげていくぜ!」
作戦変更、俺はおじさんと呼ばれるのと腰抜けと呼ばれるのが嫌いなんだ。
俺は腰のホルスターから素早く銃を抜き、
まりさの隣にある岩に向けて打つ。
ズキュンという音とともにまりさの頬をかすめた弾丸は
ガキュンという大きな音を上げ岩の破片を飛び散らせた。
そしてすぐに銃口をまりさに向ける。
岩を撃った音でまりさは腰を抜かしたのか動かずに
プルプル震えて砂糖水の汗をだらだら垂れ流している。
「よーし動くなよ。動いたらこいつの命はないぞ。」
逃げようとしていたれいむと子供たちは動きを止めた。
「いい子だ、ピクリとも動くんじゃないぞ。
何をもって動いたとするかは俺が決める。
極度の緊張状態になったら意志に反してまぶたが動くらしいがそれでもブチ殺す。」
餡子脳でもこの銃を食らえば今砕かれた岩より酷いことになるとわかっているのか俺の発言を聞き皆ピタリと動きを止めた。
「大丈夫だ。こいつを食らえば一瞬で体が吹き飛ぶからな。
痛みを感じる暇もないだろう。」
恐怖のあまり水を吸ったスポンジを握りつぶしたときのように砂糖水の汗を噴出するまりさ。
これ以上やって干からびて死なれても困るので話を切り出す。
「発言だけは許してやろう。言え、ドスがいる群がこの山にあるはずだ。それはどこにある?
しらばっくれても無駄だ、お前が駄目なら始末してそこのれいむに聞くだけだからな。」
「ど、どぼじでごんなごどを…?」
「俺をおじさん呼ばわりし、腰抜けとバカにしたことは万死に値する。」
「そ、そんなことで?」
「皆そういって永遠にゆっくりしていったよ。」
「ひいいいいいぃぃぃぃ!!!
ど、どすならここからたいようさんのほうこうにいったところにいるよ!」
「本当だな?嘘だったらここに戻ってきて鉛玉をを打ち込んでやるからな。」
「ほ、ほんとうですぅぅぅぅ!うそじゃありませぇぇぇん!」
それさえ聞けば用はない。
まりさを軽く蹴りとばすと某童話のオニギリのように坂をころころと転がっていった。
俺が離れた後れいむが「まりさぁぁぁ!」と叫んで転げていったが気にしない。

脅したまりさの言うとおり、群はあった。
成体サイズのゆっくりが広場らしき場所でじゃれあっている。
これで群の場所はわかった。
行動を起こすのは夜寝静まった頃だ。
まだ日も高いので一端村に戻ることにした。

「あら、ジャックじゃない。」
村に戻ってきた俺に綺麗な顔立ちの女性が声をかけた。
ジャックとは俺のコードネームだ。本名は別にある。
「レフィ、どうしてここに?」
「一つ担当事件が終わったから戻るところ。」
「そうか。」
こいつは妖怪が起こす事件を解決する妖怪課の隊員であるレフィ。ついでにいうと彼女は妖怪である。
もちろんこの名前もコードネームである。
妖怪が起こすといっても巫女が片づけるような大それた事じゃなく
下級の妖怪同士の喧嘩や人間への暴力なんかがそうらしい。
同期なのだが解決した事件数の数で俺よりも地位は上だ。
正直妖怪課は事件数の割に隊員が多いので少しはこっちに人員を割いてくれと言いたいが、
妖怪課の面々は揃いも揃ってゆっくりを愛でる連中ばかりなので人員提供は望めない。
無論このレフィも例外ではない。
「こっちは今夜ドスの群に潜入ってのに羨ましいぜ。」
「群を?じゃああんまりむやみにゆっくりを殺さないでね。
ゆっくりだって生きているんだから。」
「へーへー。」
「じゃ、もういくわね。今日は事件が溜まってるのよ。」
去っていくレフィ。どうせ溜まってたとしても十人体制で片づければすぐ終わるだろう。
まったく。捜査中にアイツに会うのは嫌なんだよな。
悪いゆっくり相手に手加減するのは悪人に手加減するも同然。
GSPO隊員としてそれはどうなのかと毎回思う。

村で飯を食った後、夜まですることがないので
レフィに会ってムカついてる気分を紛らわすため
少し散歩することにした。
すると道ばたで野良のれいむが変な声を上げていた。
「ゆーゆーゆー♪」
「れいむのおうたじょうずでしょ!おかねをちょうd…」
バババズキューン!
「ゆぎゃああああ!!!」
かっとなってやった。反省はしていない。するもんか。
むしろ鉛玉で払ったと言うべきか。
「もっど…ゆっぐりぃ…。」
砕け散ったれいむが絶命したようだが気分がすっきりしたしいいか。

夜になった。
群にたどり着いた俺はまずドスの巣と思われる大きな洞窟を目指した。
「…っ!」
ドスが寝らずに洞窟の前でジッと立っているのを見て慌てて身を隠す。
寝ずの番か?もしかして来ることを悟られたか。
だが、ドスは見張っているというよりもぶつぶつ独り言を言っている様だった。
GSPO隊員に配給される集音マイクを向けて言葉を拾ってみる。
「ゆう、やっぱりだめだよ。にんげんさんにはかてないよ。
きっとあしたになったらたくさんのにんげんさんがむれにふくしゅうしにくるんだよ。
そしたらおかあさんまたまりさにこうげきさせるよ。
いけないのはまりさたちなのに…。」
このドス、どうやら母ゆっくりに逆らえない性分らしく、
村にドスパを撃ったのは母ゆっくりの命令だかららしい。
しかも従えたはずの人間の復讐を恐れていたり自分たちが悪いということを自覚している限り
賢く分別のあるゆっくりらしい。
これはうまくやれば味方にできそうだ。

「ゆっくりしていってね。」
「ゆ?ゆっくりしていってね…に、にんげんさん!?」
「まて落ち着け、俺はお前の敵じゃない。」
「ゆ?」
まずは接触を試みる。
急に出ていって大声上げられて他のゆっくりを起こされるのは避けるため、まずは(今は)敵じゃないことを教える。
「今お前のつぶやきを聞いてな。何か助けになれるなら協力するんだが。」
「ほんとう?」
「ああ。何でも話してくれ。」
「ゆう…。」
ドスまりさは語りだした。
このドスの親であるれいむは厳しい親であった。
言いつけを破ればもの凄い剣幕で叱り飛ばし、
飯を抜く、体当たりを食らわせるなど厳しい罰を与えていたという。
その教育のせいでまりさはれいむの子というよりかは
傀儡のような状態だった。
そして、まりさがドスになるとれいむはまりさを使い
群を形成し、暴虐の限りを尽くしたという。
それでもまりさはトラウマのせいでれいむに反論することができず今も操り人形なのだという。
で、皆が寝静まる夜だけは自由なので毎晩外に出て一人でゆっくりしていたそうな。

俺はゆっくりの世界でも傀儡政治があるんだなあと感心しつつこいつに同情していた。
全然ゆっくりらしい生活ができないままドスになり
その後もゆっくりできない日々を送っていたというから。
よく思い出してみれば村に侵攻したときにドスが話したということは聞いていない。
おそらくその母れいむが要求を出したのだろう。
俺はこのドスを救うことに決めた。
俺はふてぶてしく人間を見下しているゆっくりは嫌いだが
こういう素直な性格のは好きなんだ。
それにこのドス、人間の言うことにに従順に働いてくれそうだ。
俺の相棒にするのも悪くない。

「まりさ、お前は自由になりたいんだな?」
「ゆぅ…。そうだけど、おかあさんが…。」
「大丈夫だ。俺が何とかしてやる。」
「ほんとう?」
「ただ、お前はこの群をどうしたいんだ?」
「まりさはこのむれはきらいだよ。みんな、まりさにすきかっていうだけで、
まりさをドスとしてもゆっくりとしてもみてくれないよ。
でていきだいけど、おかあさんがこわいし、
まりさにまたゆっくりできないゆっくりがあつまるかもしれない。
それに、ひどいことしちゃったにんげんさんにもあやまりたいし…。」
「わかった。じゃあこうしよう…」
俺はドスに思いついた作戦を説明した。
ドスは頷き、了承した。
夜が明けたら作戦実行だ。

「なんでうごけないのおおおおおおおお!!!!?」
「はなせえええええはなすんだぜえええええ!!」
「こんなのとかいはじゃないわあああああ!!!」
「どすううううううたすけてええええええ!!!」
「はなぜえええええにんげんめえええええ!!!」
群のあった場所に並ぶ木につり下げられたゆっくりたち。
例えるならパン食い競争のパンのような状態だ。
そしてゆっくりの前に立つのは村の男たちだ。
ドスと作戦を決めた後、俺は村の人たちを呼び、
寝ているゆっくりを捕獲、そして前述の状態にさせた。
本当は十字架処刑っぽいことしたかったが手間がかかるのでやめた。
「これは先日のゆっくりによる襲撃の復讐である!」
村長が高らかに宣言する。
「どれいのぐぜにいいいいいい!!!」
「はなぜええええええ!!!」
騒ぐゆっくりたち。村の男たちは気にしていない。
「さあ、この中で村を襲おうといいだしたゆっくりはどいつだ?
そいつに我らは厳しい罰を与える!
しかし他のゆっくりには罰は与えない。解放してやろう。」
ざわつくゆっくりたち。そして、
「ど、ドスがやろうっていいだしたのよ!」
「そうよ、どすがいったの!」
「まりさたちはむざいなんだぜ!」
「どすのめーれーだよ!」
一斉にドスだと声を上げるゆっくりたち。醜いねえ。
「じゃあそのドスはどこにいるんだい?」
「「「「「「ゆ?」」」」」」
村長の言葉に押し黙るゆっくりたち。この場のどこにもドスの姿が見えなかった。
「そりゃあいないだろうな。ドスは我々が捕獲しているからな。連れてこい!」
村の男に引きつられ、縄で簀巻きにされたドスが姿を現した。
「お前たちはドスがやったって言うんだな?」
「「「「そうだよ!」」」
「じゃあ今からこのドスに罰を与える!」
ゆっくりから歓声が上がるこれで自分は罰を受けなくていい。助かる。
そう思っているのだろう。
だが、村長の次の発言で皆静かになった。
「重罪のドスには、ゆっくりするという罰を与える!」
ドスがゆっくりすることが罰?どういうことだ。
ドスが殺されるんじゃないのか。
状況を把握できないゆっくりたち。
「ゆっくりがゆっくりすることは恐ろしいことだ。
増長して自分が最上位の存在だと勘違いする。
勘違いしたあげく人間の領域に踏み込んで殺されてしまうのだ。
そんな恐ろしい罰を与えるのだ。重罪のドスにはお似合いだろう。」
ドスの前に群の貯蔵食糧が運ばれ、ドスが解放される。
むしゃむしゃと美味しそうに食べるドス。
ゆっくりは皆黙ってよだれを垂らしていた。
ただ一匹をのぞいて。
「れいむがいいだしたんだよ!!れいむをゆっくりさせてね!!!
どす!めいれいだよ!おかあさんをゆっくりさせるのよ!」
これが噂のドスの母れいむか。うん。
増長しきった醜い顔をしている。
「今のは本当かね?」
「そうだよ!れいむがどすにどすぱーくをうてってめいれいしたんだよ!
どすはれいむのこどもだから、なんでもいうことをきくんだよ!」
「じゃあ罰はお前が受けるべきなんだな?」
「あたりまえだよ!はやくゆっくりさせて!」
「わかった、ドスの刑を中止し、このれいむに罰を与える。」




「永遠にゆっくりさせる刑だ。」
「ゆ?」

「ドス、聞いただろう。早くこのれいむを永遠にゆっくりさせるんだ。」
「どうして?ゆっくりさせてくれるんじゃないの?」
「言っただろう聞こえなかったか?
(永遠に)ゆっくりさせる、と。」
がたがたと震え始める母れいむ。
ドスがれいむの前に跳ねてくる。
「そ、そんなことできるわけないよね!どすはれいむのこどもだもん。どす、はやくおかあさんをたすけてゆっくりさせて!」
「(永遠に)ゆっくりさせてあげるよ。」
ドスの乾いた声が響く。
「さようなら、おかあさん。」
ドスはれいむに噛みつき、そのままかみ殺した。

ドスが母れいむを殺したことで処刑は終わり、他のゆっくりは解放された。
解放されたとたん散り散りに逃げていった。
まああんなドスの近くにいたらゆっくりできないと思ったんだろう。
後日群のあった場所から円形に死骸が発見されるわけだが。

この一連の処刑のシナリオは俺が考えた。
このドスの母親という呪縛の鎖を外すためにな。
村人たちもノリノリで演技してくれたからよかった。
まあ、素人のシナリオ+素人の大根演技な為ゆっくりにしか通用しそうにないが。
そして、ドスはというと。

「おにいさん。ドスはこれからどうすればいいんだろう。
またゆっくりがあつまって、ゆっくりできなくなるとおもうよ。」

「そうだな…俺と一緒に仕事するか?」

「ゆ?しごと?」

「悪いゆっくりに困っている人たちを助ける仕事さ。

「ドスが、いいの?」

「ああ、歓迎するぜ。」

「ありがとう!おにいさん!」

ということで俺の計画通り、このドスまりさは後日GSPOの隊員となった!
これで一人で事件を片づける必要がなくなった!!


…と思ったらドスは上層部の連中に気に入られたがために、
ゆっくり課から外されGSPOのマスコットとなってしまったのであった。

GSPO本部のロビーで妖怪課の連中に黄色い声をかけられ
照れてるドスを横目に舌打ちをする。
レフィがニヤニヤ俺を見ているのは多分当て付けだろう。


まあドスは辛いときの話し相手になってくれるから助かるんだが。

俺の孤独な捜査は続く。



[後書き]
久々のアサシンの人です。
自分が作っている東方二次創作ゲームに出てくる機関を
ネタにしたら書きやすい書きやすい。
GSPOはサガフロのIRPOが元ネタ。
ついでに主人公のジャックのモデルはヒューズ。
半年近いブランクがあいているので
おかしいところが多々あるかもしれません。
相変わらず虐待色薄ですね。
続くかもしれませんし続かないかもしれません。

過去作品
「ゆっくり兵」
「ゆっくり焼き串」
「アサシンゆっくり2 お兄さん虐め編」
「ゆっくり護身術」
「ゆっくりになった男1」
「ゆっくりになった男2」
「ドスのいる村」
「食ゆ植物」
「ゆっくりミキサー車」

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最終更新:2022年05月03日 20:39