ドスまりさ暗殺 mission-Ⅱ

「今度の獲物は強力なコミュニティを有するドスまりさか…」
俺は金次第でどんな相手も殺す暗殺者だ。
いやごめん嘘妖怪は勘弁してください。
そんな俺のところに謎の人物から前金付きで依頼が来た。
俺はその困難な依頼内容と大量の前金を前に苦悩していた。

今回の依頼はドスまりさの暗殺なのだが前回の用に比較的おおらかなタイプとは違いかなり警戒心の強いタイプだった。
常時10Mほどの距離を置いてドスまりさを囲むように巨大ゆっくりが10匹哨戒
それ以上ドスまりさに近づくにはかなりの緊急を要する事態でなくてはならずそうで無い場合は
哨戒ゆっくりの監視の下大声で会話して用件を伝える。
前回と同じ手段でドスまりさに近づくことは不可能と思われた。
重火器による射殺がもっとも望ましいがそんな金があったら依頼主も俺に依頼をしてはこないだろう。
前金後金全てつぎ込んでも重火器を買うにはお金が足りない。
金に目がくらんで受けてしまったものの正直俺一人では八方塞だ。
かといって前金で結構飲んでしまったのでキャンセルするわけにも行かない。
どうしたものかと頭を抱えていた。

「お困りのようだな」
「あ、あなたは…師匠!?」
酒場のドアを開けて颯爽と俺の傍に歩み寄ってきた男は俺の暗殺者としての師匠だった。
「師匠…なぜこんなところに」
「出来の悪い弟子が困っていると聞いてな、手伝ってやりに来た
報酬は8:2」
暴利である。
しかし一人での暗殺に限界を感じていた俺は四の五の言わず師匠の申し出を受けることにした。


「それで師匠、どうやって暗殺したものでしょうか」
「うむ、SLHを使おうと思う」
暗殺予定の場所に集合して俺は師匠とドスまりさを暗殺する算段を話し合っていた。
「ス、SLHを…!?」
その年であんな恐ろしい技を使おうというのだから恐ろしいお人だ。
大体作戦を組み立てた後、俺達は森の木々にこっそりロープを張り、ここに来たドスまりさ達が逃走できないように準備した。
これで、俺達はロープの間を通って逃げやすく、ゆっくりたちは追うことも逃げることも出来ないのだ。
後は明日ここを通るゆっくりたちを茂みに潜んで待つだけである。


次の日
茂みに潜んでいると巨大なゆっくりたちがドシンドシンと我が物顔で行進してきた。
「ゆっ~ゆ~ゆ~♪」
ドスまりさは鼻歌などを歌いながら愉快そうに進んでいる。
師匠が目で俺に合図をした。
俺は親指を立ててOKを出すと師匠の後ろについて茂みから飛び出した。
「ゆ!?」
「てきしゅー!てきしゅー!」
ゆっくり達はこちらの存在に気が付くとドスまりさをガードするかのように前に出た。
ここまでは計算どおりである。
「師匠!GO!GO!」
師匠は巨大ゆっくり達の目前まで走るとそのまま加速を落とさずに振り返って俺の方へと走り出した。
「ゆゆ!しっぽをまいてにげだしたよ!にんげんってやっぱりざこだね!」
「まりさたちにてをだすなんてばかだよ!ばーか!」
「にげられるとおもってるの?ばかなの?」
そう言って師匠を挟み潰そうと両サイドに並ぶように肉薄する。
その瞬間師匠を挟んでドスまりさと俺をつなぐ一本のラインが開いた。
「今だ師匠!」
俺は仰向けに寝転んで両足を掲げた。
師匠は無言のままトップスピードで駆け抜け俺の方に向かって勢いをつけてジャンプする。
ガッシリと俺の両足と師匠の両足がドッキングした。
『スカイ ラブ ハリケェェエエン!!』
俺は師匠の衝撃を利用して全力で膝を思い切り伸ばすと師匠は弾丸のごとくドスまりさに向かって放たれた。
「ゆ!?」
「ぬかれたよ!」
追ってきていた巨大ゆっくりたちを次々と追い抜いて師匠はドスまりさに向かって一直線に飛んでいった。
「ゆ~!そうなんどもぬかれてたまるかー!」
その時、一匹の巨大ゆっくりが師匠の前に飛び出した。
「ゆげぼぐぅ!?」
巨大ゆっくりは腹をぶち抜かれて餡子を撒き散らして死んだ。
しかしその代償として師匠の勢いは確実に落ちていた。
「し、しまった!あれではドスまりさの体を貫けない!!」
「ゆっぐぅ~~!?ゆ…そんなんじゃまりさはやっつけられないよ!じめんについたらたっぷりおかえしするからね!!」
師匠はそのままドスまりさにぶつかるとドスまりさの体を貫通せずにドスまりさの体にめりこんで吹き飛ばすにとどまってしまった。
「し、しっしょおおおおおおおおお!!!」
あのままでは報復で師匠が殺されてしまう。
俺は慌てて師匠を助けるためにかけよろうとした。
「うろたえるな我が弟子よ!」
そんな俺を師匠が一括した。
「たとえ勢いが落ちてもこのドスまりさは既に完殺される運命にある!」
「ゆ?なにをいってるの?ばかなの?」
俺には師匠が何故動揺していないのかが全くわからなかった。
「…はっ!その方向にはまさか!?」
ドスまりさと師匠が飛んでいった方向は森、すなわち事前に貼ってあったロープがあるはずだ。
「気付いたようだな弟子よ!くらえ!」
「ゆ゛っごがっぱああああああああああああ!?」
ドスまりさの体に木々の間に張られたロープが食い込んでいた。
「ロープワークゆっくりブリッジ!」
師匠とロープで完全に挟み込まれることにより落ちた勢いを全く無駄にすることなくドスまりさにダメージを与えている。
ドスまりさは餡子を噴出しながらロープによって三枚におろされた。
「ド、ドスまりさあああああああああ!!!」
「し、しんしなゆっくりだったのにいいいいいい!どうぢでえええええ!!!」
「ゆうわああああああん!ドスまりざがいなぐぢゃみんなゆっぐりでぎないよおおお!!!」
巨大まりさたちの悲涙が辺りに水溜りを何個も作っていた。
「ゆうううう!ま゛りざが!ま゛りざがドスまりざににんげんのざどがらごはんをもっでごようなんでいわなげればあくぁあああああ!!!」
一匹の巨大ゆっくりがそんなことを半狂乱で漏らしていた。
まさか師匠はこのことを知って里を守るために不甲斐ない弟子の俺を…。
その時、俺の後頭部に拳骨が振り下ろされた。
「お前の足の力が弱いから最初の予定と変わってしまっただろうが
罰として報酬は9.5:0.5だ」
Fuck!守銭奴の薄汚い暗殺者め!
仕事を終えた俺と師匠はゆっくり達を背にしてその場を後にした。

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最終更新:2022年05月18日 23:04