このSSには以下のものが含まれます
  • ぺにぺに
  • 迂闊で残念なまりさ








「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくり?」
「ゆっくり!ゆっくり!」
「ゆ?ゆっくり?」
「ゆゆゆっくり!!!」
「ゆっくりしていってね?」
「ゆー!ゆー!」

「なにいってんだこいつ・・・」

畑に向かって林の近くを歩いていくと一匹のゆっくりが飛び出してきた。
噂には聞いていたがこれがあの饅頭妖怪「ゆっくりしていってね」か・・・。

そんな事を考えてしばらく沈黙が続くとなにやら饅頭がふくれっ面で抗議して来た。

「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」

「はいはい、ゆっくりしていってね」

「ゆ!?ゆっくり♪ゆっくり♪」

「・・・・・・・・・・。」

俺の返事に満足したのかそれ以上は何もいわず、その場でくつろぐはじめた。
一様、人間も通る道のど真ん中なのだが、そんなことはお構いなしのようだ。


饅頭相手にいつまでも時間を無駄にするわけにも行かないので、畑に向けて再び歩き出す。

トツ…トツ…トツ…

「ゆっ!…ゆっ!…ゆっ!…」

すると、こちらの歩く速度にあわせて飛び跳ねながら饅頭が着いて来る。
歩きながら饅頭のほうを振り返ると、「ゆっくり!ゆっくり!」と笑顔を返してくる。

結局畑までついてきてしまったが、とりあえず仕事をすることにする。

ザクザクザク、鍬を使って畑を耕していく。

ついてきてしまった饅頭は畑の横で、こちらの様子を伺っていたり、蝶を追い掛け回したり、居眠りしたり、
こっちが汗水たらして働いているというのにいい気なものだ。まったく。

太陽が頭上に差し掛かり日差しも一層強くなってきた頃、
日陰の岩場に腰掛け昼食をとっている俺の前に饅頭がやってきた。

ゴト… 「ゆっくりしていってね!」

饅頭は口にくわえていたものを地面に置くと、俺に何かを求めるようにそういった。

どこから拾ってきたのかバールのようなものを差し出して一体何を求めているのか…。
不思議に思いながらバールのようなものを手に取ると、ゆっくりが嬉しそうに声を上げる。

「ゆー!ゆー!ゆっくり♪ゆっくり♪」

これで何かをして欲しいのか…とりあえず、バールのようなものを饅頭に向けて振り下ろす。

「ゆ゛ご゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」

ドゴォという効果音と共に饅頭が凹の字にひしゃげた。

殴られた饅頭は両目に涙を蓄えて嗚咽を漏らしながら、なにかを訴えるようにこちらを見つめていた。
どうやら「殴る」という選択肢は間違いだったようだ。他に選択肢はないか考えていると、
少し距離をとった場所から饅頭が声をはっした。

「ゆっくり!ゆっくり!」

あー、もう訳がわからない、と考えるのをやめた俺は饅頭にバールのようなものを投げ返してやった。
すると饅頭が、そばに落ちたバールのようなものを口にくわえこちらにもって来た。
なるほど、投げた木の棒を拾ってくるという、そういう遊びなのか。
つい最近まで犬を飼っていたこともあり、その時の事を懐かしみながらしばらく饅頭と遊んでやることにする。




午後の仕事を終え家に帰ろうとすると、来たときと同じように饅頭が後ろをついてくる。
この様子だと家までついてくるつもりなのだろうが、どうしようか…、つれて帰るのならばちゃんと飼ってやらないと
そんな事を考えながら歩いていると突然、別の妖怪饅頭が藪から飛び出してきた。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆ、ゆっくりしていってね!」

「まりさ!どこにいってたの!あんまりおそいからむかえにきたよ!!」
「ゆ…ゆっくりしていってね!!」

「ゆ?それよりはやくおうちにかえるよ!とかいはなありすはもうねるじかんなんだからね!!」
「ゆっくりしていってね!!!」

「なにいっているの?まりさ」


どうやら二匹の饅頭は知り合いのようだが、もう一匹の方は普通にしゃべっている事に驚いた。
てっきり「ゆっくりしていってね!」しか喋れないものだと思っていたが、流暢に会話する事もできそうだ。

「おにいさん!とっととあっちにいってね!!まりさ!きょうはすっきりするひだよ!!はやくしてね!!!」
「ん?ああ、じゃあもういくよ。」

その場を去ろうとする俺を、焦ったようにまりさが止めに入った。

「ゆ!!まってだぜ!!」
「なんだ、お前も普通に話せるのか…」
「ま゛っ゛で゛ー゛!!!!!」

必死に呼び止めようとするまりさの声を無視して俺はその場を後にする。



「まりさ!はやくかえるよ!すっきりするやくそくわすれないでね!!!」
「あ゛り゛す゛の゛せ゛い゛だ゛あ゛!!!」
「ゆ?」
「あ゛と゛ち゛ょ゛っ゛と゛で゛あ゛の゛に゛ん゛げ゛ん゛の゛お゛う゛ち゛が゛て゛に゛は゛い゛っ゛た゛の゛に゛い゛い゛!!!」
「お!おちつてね!ゆっくりせつめいしてね!!」
「ゆっく…ゆっく…ぐす、まりさは…まりさのみりょくであのにんげんをほねぬきにしておうちもらおうとしてたんだよ!」
「どういうことなの?だったらさいしょにいってよね!!じじょうをせつめいしないまりさがわるいよ!」
「それもさくせんのうちだよ!にんげんなんてゆーゆーいってればいちころなんだよ!!!」
「でもまりさはありすといたほうがゆっくりできるよ!にんげんなんかぜんぜんゆっくりできないよ!」
「あのにんげんはゆっくりできるよ!ばかないぬっころにまいにちごはんはこんでたもん!!」
「どうせなまごみかなにかをあげてたんでしょ!あんなのぜんぜんおいしくないよ!!」
「そんなことないよ!とってもおいしいごはんだったよ!!」
「なんでまりさがそんなことしってるの!でたらめいわないでね!!」
「ふん!しってるよ!!あんなよぼよぼのばかいぬにはもったいないからまいにちまりさがたべてあげてたんだよ!!
 とってもおいしいごはんだったよ!!」
「ゆっ!…ごめんねまりさ、ありすしらなかったから…ごべんねまりさ…。」
「ふん!もういいよ!いなかものはしらなくてもしかたないよ!!!」
「ひ゛ど゛い゛よ゛!!ま゛り゛さ゛の゛ば゛か゛ー!!!!」


なるほど、そういうことだったのか…、帰るふりをして気の影から様子を伺っていたが、

「話はすべて聞かせてもらった!」
「「ゆゆ!ゆっくりしていってね!」」
「まりさ、お前家で買って貰いたいのか?」
「ゆ?ゆっくり!ゆっくり!」
「ああ、もう普通に喋っていいよ」
「まりさをおにいさんのおうちにつれてって!!!」
「そうか、飼ってやらない事もないが、働かざるもの食うべからずといってだな、お前はなにか出来るのか?」
「ゆっくりできるよ!あとすっきりも!!」
「そうだよ!まりさのすっきりはすごいんだよ!!ふとくてかたくてあばれっぱなしなんだよ!!」
「なんだそのすっきりというのは?」
「ゆ!まりさのじまんのぺにぺにをみてね!!」

そういうとまりさはグイっと頬を張ってみせた。

「なんだ?そのぺにぺにとやらはどこにあるんだ?」
「おくちのしたをみてね!!」

どれどれ、よーく見ていると頬を張ったことで顎の部分が割れ尻顎になっている。
その部分をくぱぁと開くと人差し指程度の穴とその上に小さな突起物が見える。
その突起物をつついてみるとまりさの体がブルと震えた。

「ゆっ////!それがまりさのぺにぺにだよ!!」
「ほー、これがそうか、で、これをどうするんだ?」
「これをこすりあわせるとすごくすっきりできるよ!!!」

これは饅頭のツボみたいなものか、ツンツンつつくたびに気持ちの悪い声を漏らす。
特に使い道もなさそうだし、飼うのはやっぱりやめにしよう。

考え事をしながらつついていると段々とその突起物が大きくなっていき、
にきびほどの大きさからマツタケほどの大きさまで膨らんだ。

「もっと!もっと!つよくぺにぺにしてね!!」

大きくなったぺにぺにから汁をたらしながらまりさは快感を貪っている。
いい加減この饅頭に付き合うのも飽きてきたので思い切りしごいてやる。

しこしこしこ…

「ぺーに♪ぺーに♪すっき…ん゛っ゛ご゛お゛お゛」

しまった、あまり力を入れたものだからまりさのぺにぺにが根元から千切れてしまった。

「ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛り゛さ゛の゛ぺにぺにがあ゛あ゛あ゛!!!」
「すまんすまん、ほら返すよ。」

ちぎれたぺにぺにを、その下の穴につっこんでやる。

「ん!んほおおおおおお!!!」

饅頭が満足そうに脱力したところでその場を後にする。



「…にんげんとはゆっくりできないよ、もうおうちにかえるよ…。」

巣に向かって力なく跳ねていくまりさの前に一匹のゆっくりがあらわれる。

「ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりしていってね・・・」
「いいにおいがするよ!ちんぽのにおいだね!!」

まりさの前に現れたのはゆっくりゆゆこだ食欲旺盛でなんでもたべてしまう。

「ゆっくりたべられてね!!」

「ちんぽおいしい!いちばんおいしい!!」



あとがき
作中でちょっと説明不足な部分を説明します。
登場するおにいさんは犬を飼っていましたが、つい最近老衰で亡くなりました。
老衰なのでまりさがご飯を盗み食いしていたのはあまり関係ありません。
たべ切れずに残していた分を食べていたのです。
なのでこの犬は苦しむことなく眠るように息を引き取りました。




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最終更新:2022年05月04日 22:32