(満月の夜)
夜。小高い丘の大樹の根元。月の灯りに照らされた小さな影が五つ。
影の正体はゆっくり。車座に座り仲間の帰りを待っていた。

「ちーんぽっ!ちーんぽっ!」

「れいむとぱちゅりーがかえってきたんだね!わかるよー!」

「うー!おかえりーだどー!」

「・・・・・・」

「ただいまー!ゆっくりかえったよ!」

「おそかったんだぜ!それより『やまのぬし』とのはなしあいはうまくいったのか?」

「ええ、ばっちりよ。『やまのぬし』ゆっくりかなこは、わたしたちのだしたじょうけんをのんだわ。」

「それはよかったぜ!じゃあいよいよあしたからさくせんかいしだぜ!」

丘の上に集った七匹のゆっくり。彼女達は流れ者のゆっくりだった。
ある目的の為にこの地にやって来た。それぞれ餡子の繋がりは無いが、親子より深い絆で結ばれていた。
一般的な成体のゆっくりより一回り大きい、まりさ、れいむ、ありす、みょん。
大きさこそ平均的だがどのゆっくりよりも知恵が回る、今回の計画の立案者ぱちゅりー。
他の六匹と同じ年に生まれたにもかかわらず、子ゆっくりほどの大きさしかないちぇん。
そしてこの地方には生息していない希少種、他のゆっくりを捕食する体付きのれみりゃ。
七匹は円陣を組むと自分達の作戦の成功を祈り、出陣の儀式を始めた。

「じゃあいつものをやるぜ!このまんげつにちかう!わたしたちななひきのゆっくりは!」

「たとえうんでくれたおかあさんがちがっても!」

「きょうだいのちぎりをむすんだからには、こころをおなじくして。」

「おたがいたすけあうんだどー!」

「そして、ゆっくりするときはななひきいっしょにゆっくりするんだね!わかるよー!」

「ちーーーーんぽっ!」

「・・・・・・」

「「「「「いっしょにゆっくりしようね!!!」」」」」


(翌日 人間の里に隣接するゆっくりのコロニー)
七匹の仲間のぱちゅりーとありすは、この一帯の森と平原を支配するゆっくりぱちゅりーの元へ向かった。
この群れのボスであるぱちゅりーは身長が1m以上ある巨大ぱちゅりーだった。
その体躯もさる事ながら、ぱちゅりー種特有の知識をもって周りの信頼を集め、
千を超える配下のゆっくりからは『もりのけんじゃ』と讃えられていた。

「みなれないゆっくりだね!ゆっくりしていってね!!!」

「ゆっくりしていってね。わたしとこのありすはたびのゆっくりなの。
 たびのとちゅう『もりのけんじゃ』のうわさをきいてね。あいさつをしにきたのよ。」

「あんないするよ!ゆっくりついてきてね!」


「おはつにおめにかかります『もりのけんじゃ』。ぱちゅりーともうします。
 たびのとちゅうにあなたのうわさをきき、あいさつにまいりました。」

「よくきてくれたわね。ゆっくりしていってね!ところでそちらのゆっくりは・・・?」

「このこはわたしのつれのありすです。うまれつきめがみえず、くちがきけないのです。」

「・・・・・・」

「そうだったの。」

「じつはおねがいがあってきたのです。ながたびのつかれでわたしもありすもからだがまいってしまいました。
 しばらくのあいだこのむれにおいてもらえないでしょうか?
 ゆっくりから『もりのけんじゃ』とたたえられるあなたなら、きゃくじんをむげにはあつかわないはずです。」

「もちろんしごとはいたします。わたしもありすもかりはにがてですが、こどものせわくらいはできます。
 みなさんがかりにいくあいだ、こどもたちのめんどうはわたしがみましょう。
 そのかわり、ねどことごはんをていきょうしていただきたいのです。」

「おやすいごようだわ。きょうからよろしくね!ぱちゅりー、ありす!」

「さすがは『もりのけんじゃ』ありがとうございます。」

「・・・・・・」


(同日 森の小道)
七匹の仲間のまりさは道の真中で居眠りをするふりをして、ゆっくりが通りかかるのを待っていた。
そこへ狩りに出かけた森のゆっくり達がやって来た。

「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆぅ・・・」

「あれ?こんなところでねてるゆっくりがいるよ!ゆっくりしていってね!」

「ゆ!ゆっくりしていってね!ふぅ。おなかがいっぱいだったんで、ついいねむりしちゃったんだぜ。」

「ゆ?そんなにおなかいっぱいたべたの?れいむたちにもごはんがあるばしょをおしえてね!」

「おお、おやすいごようだぜ!まりさのあとについてくるんだぜ!」

ゆっくり達はまりさに連れられて人間の里に向かう。ゆっくりが畑の作物を食べ始めたのを確認すると
まりさは森に戻り、またゆっくりが通りかかるのを居眠りのふりをしながら待つ。
畑でむーしゃむーしゃとやっていたゆっくり達は当然畑の持ち主に殺される。

元々森のゆっくり達は人間の畑を襲ったりはしていなかった。
ゆっくり達のテリトリーである森や草原には食料が豊富にあり、危険を冒して人里に出る必要が無かったからだ。
人間もそれを知っていたので畑の周りに何の対策もせず、さらにゆっくり撃退に関する知識も不足していた。
突然畑を荒らすようになったゆっくりに、里の人間達は頭を痛めた。


(数日後 人間の里)
人々は里の集会所に集まり、近頃畑を荒らす様になったゆっくりにどう対処するか相談していた。
里全体を板塀で囲おう。→それだけ大量の木材をどうやって調達する?それに手間が掛かり過ぎる。
罠を仕掛けたらどうだ?→どんな罠が有効なのか。そもそも罠だけですべてのゆっくりを捕まえるのは無理。
巣を叩き全滅させよう。→ゆっくりが森からやって来るのは解っているが、巣が何処にあるかはわからん。
ゆっくりについての知識がまるで無い人々の会議は、踊るばかりで一向に進まない。
そこへ七匹の仲間のれいむ、みょん、ちぇん、れみりゃがやって来た。

「おじゃまします!ゆっくりしていってね!!!れいむたちがおてつだいするよ!」

「なんだお前ら?わざわざ殺されに来たのか?」

「ちがうよ!れいむたちはひとにめいわくをかけるゆっくりをたいじする、いいゆっくりだよ!」

「へー。ゆっくりには良いゆっくりや悪いゆっくりがいるのか?」

「そうだよ!れいむがわるいゆっくりをたいじするほうほうをおしえるよ!
 まかせて!ゆっくりのことはゆっくりがいちばんよくしってるよ!」

「まぁ確かにそれは一理あるが・・・いったい何が狙いなんだ?」

「れいむたちはたびのとちゅうだよ!でもちょっとたびにつかれちゃったの!
 しばらくのあいだここでやすませてね!たべものはもりでとってくるからしんぱいないよ!」

「ふーん。まぁ畑の物に手を出さないって言うなら里の中に置いてやってもいいよ。
 今は使ってない物置が一つあるから、そこで休むといい。」

「ありがとうおじさん!じゃあ『わるいゆっくりのげきたいほう』をおしえるよ!」

「ごーにょ、ごーにょ、ごーにょ・・・」

「はぁ?そんな事でいいのか?それくらいなら今日中に準備できるが・・・」

「うん!それだけやってくれたらだいじょうぶだよ!あとはれいむたちにまかせてね!」


(翌朝 里のはずれの畑)
れいむ達が出した指示は実に簡単なものだった。
まず畑の周りをロープで囲う。数mおきに杭を打ちロープで囲っただけ。
板塀で全体を囲うより遥かに経済的だが、もちろん下を潜ったり上を飛び越えたりできる。
こんなもので本当に撃退できるのかと、里の人々は不安に思った。

次に森から近い所に一か所、ロープで囲っていない偽の畑を造る。これには今年作物を植えなかった畑を使った。
そして適当に雑草を刈り、食べ残しの大根の葉を植えていく。
人間の目から見たら一目で解る簡単な偽装。これにゆっくりが引っかかるのだろうか。人々の不安は尽きない。

最後に深さ1m奥行き1mの堀を造る。里全体を囲うのではなく、偽の畑の近くに10m掘っただけ。
底には30cmほど水を貯めておく。これが一体なんの役に立つんだ?
人々は疑問に思いながらもすべての準備を済ませた。

昨日のうちに準備されたこれらの設備に満足したれいむ達は、それぞれ配置に就く。
ちぇんは森の入口に。残りは農機具をしまう小屋の陰に隠れる。
後は奴らが来るのをゆっくりと待つだけ。


(同刻 ゆっくりの群れ)
群れのボスの巨大ぱちゅりーが何やら深刻な顔で考え事をしている。
そこへやって来る七匹の仲間のぱちゅりー。

「どうしたんです?ゆくえふめいのゆっくりたちのことをかんがえているんですか?」

「そう・・・あのこたちどこへいってしまったのかしら?かりにいったこたちがかえってこない。
 きのうまでにいなくなったぐるーぷは5つ。ぜんぶで25ひき。みんなまいごになったとはかんがえにくいわ。」

「そうさくたいをだすべきですね。いなくなったぐるーぷがたんとうしていたばしょをちゅうしんに。」

「いなくなったこたちは、にんげんのさとのちかくをたんとうしていたのよ。」

「だったらにんげんにきいたらなにかわかるかもしれません。さとにそうさくたいをはけんすべきです。
 ねんのため、ふくすうのぐるーぷをいっしょにこうどうさせて。」

「そうね。とりあえず、4ぐるーぷではけんしてみるわ。ありがとうぱちゅりー。そうだんにのってくれて。」

「どういたしまして。(ふぅ・・・まったくおばかさんね。まぁ、そのほうがたすかるのだけど。)」


(数刻後 里のはずれ)
物見に出ていたちぇんが帰って来た。他のゆっくりとは比べ物にならない速さでぴょんぴょん跳ねてくる。

「みんなー!やつらがきたよー!せんとうじゅんびだね!わかるよー!」

「ゆゆっ!きたね!みょん、れみりゃ、じゅんびはいい?」

「ちーんぽっ!」

「うーー!まかせろだどー!」

自分達を退治する為にれいむ達が待ち構えている事など、まったく知らない捜索隊はゆっくりと近づいてきた。

「おーい!みんなどこにいるのー!」
「れいむー!まりさー!いたらへんじしてー!」
「むかえにきたよー!いっしょにゆっくりかえろう!」

「ゆ!あそこにおいしそうなたべものがあるよ!」
「ほんとだ!ちょっとよっていこうよ!」
「そうだね!あるきすぎておなかがすいたよ!」

「ゆゆっ!たべもののまわりにかこいがしてあるよ!だれかいじわるなひとがいるね!」
「だいじょうぶだよ!あそこはかこいがしてないよ!」
「ゆー!まりさがいちばんにたべるよ!いただきまー・・・」

「そこまでだよ!」

「!」

「ひとのはたけをあらすのはよくないよ!そんなゆっくりはれいむがゆるさないよ!
 さとのはたけをまもる(ほんとはちがうけど)ため、ゆっくりしんでいってね!!!」

「なにをいってるの?ばかなの?」
「これはまりさたちがみつけたんだからまりさたちのものだよ!」
「20ぴきのゆっくりをあいてにひとりでなにをするつもり?じさつしがんしゃなの?」

「ふふふ・・・みょん!でばんだよ!」

森のゆっくり達がれいむを罵倒するのに夢中になっている隙に、みょんはゆっくり達の背後に忍び寄っていた。
その口にくわえられているのは肥後守。里の人間から借りたものだ。
スパッ!スパッ!スパッ!立て続けに三匹のれいむのリボンを切り落とす。

「ゆーーー!れいむのりぼんがあああ!!なにするのおおおおお!!!」
「ゆ?」「ゆ?」「ゆ?」「ゆ?」
「ゆ?みんななにしてるの!れいむのりぼんきられちゃったよ!みんなであいつをやっつけるよ!」

「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしね!」
「ゆぶっ!やめっ!やめてえええ!!!どうじでぞんなごどずるのおおおおおおお!!!!」
「ゆげっ・・・どう・・・し・・て・・・」

「ゆ~?いったいなにをやってるの?じぶんのなかまをころすなんて。ばかなの?」

「ゆーーーーーー!!!まりさたちいったいなにしてたのおおおおおお!!!!」
「れいむ!しっかりして!れいむーーーーー!」
「どうじでこんなごどにいいいいいいいいい!」

「おお、おろかおろか!さっきまでのいせいはどこへいったの?
 そっちがこないならこっちからいくよ!れみりゃ!でばんだよ!」

「うーーーーーー!!!たーべちゃーうぞーーーーーー!!!」

混乱しているゆっくり達に向かって、れみりゃがドスドスと駆け寄っていく。
初めて見る体付きのゆっくりに怯え、ゆっくり達はれみりゃと反対の方へ逃げ出す。
そこで待っていたのはちぇん。

「みんなー!こっちだよー!いそいでにげるよついてきてー!」

水が張ってある堀の方へ誘導するちぇん。堀の前まで来るとぴょーんと堀を飛び越える。
1mを超える跳躍などちぇん種の中でもこのちぇんにしか出来ない芸当だ。
しかしそんな事を知らないゆっくり達は、次々と堀を飛び越えようとして失敗する。

「ゆーーー!どうしてとびこえられないのおおおお!!!」
「ゆっ!たいへん!みずだ!れいむたちみずのなかにいるよ!!!」
「ああああ!!!からだがとけちゃうううう!!!だれがだずげでええええええ!!!!」

20匹で編成された捜索隊は全滅した。しかし、これで終わりでは無かった。
次の日も、次の日も、捜索隊はやって来て前の隊と同じ道を辿る。
知恵者のぱちゅりーにいい様に利用されている無能な巨大ぱちゅりーのせいで。


(小望月 人間の里、れいむ達が住む物置小屋)
「ちーんぽっ!ちーんぽっ!」

「まりさがきたんだねー!わかるよー!」

「うー!まりさー!こっちだどー!」

「おお、ひさしぶりだぜ!どうやらじゅんちょうにいってるみたいだな!」

「うん!まりさのほうはどう?『やまのぬし』のむれはちゃんとじゅんびしてた?」

「ああ!いまひっこしのじゅんびをしてる。それにやくそくどおりごはんをたくさんあつめてたぜ!」

「まあ、ごはんをあつめるのはどうでもいいんだけどね!てまがはぶけるのはいいことだけどね!」

「かえりにぱちゅりーにもこっそりあってきた。むこうもじゅんちょうだっていってたぜ!
 いよいよあしたがやくそくのひ。すべてけいかくどおりだぜ!」

「いよいよあした、いや、あさってになったらすべてがてにはいるね!」

「ああそうだぜ!ちぇん、あしたはがんばるんだぜ!すべてはちぇんのえんぎりょくにかかってるんだぜ!」

「わかるよー!あしたはまかせてよー!」

「うー!がんばるんだどーーーー!」

「ちーーーーーんぽっ!」


(約束の日の朝 巨大ぱちゅりーの群れ)
ちぇんが走って来る。七匹の仲間のちぇんだ。体中に擦り傷を付けて叫びながら駆けて来る。

「たすけてー!たすけてよー!」

「ゆ?どうしたの?ゆっくりしていってね!!!」

「たいへんなんだよー!『もりのけんじゃ』にあわせてほしいんだよー!」

「いまあんないするよ!ゆっくりついてきてね!」


「ゆ?どうしたの?そんなにあわてて。それにからだがきずだらけじゃないの。」

「にんげんにつかまってたんだよー!みんながきょうりょくしてにがしてくれたんだよー!
 そして『もりのけんじゃ』にたすけをもとめるようにいわれてきたんだよー!」

「みんな?」

「このもりにすんでるゆっくりだって、『もりのけんじゃ』のいちぞくだっていってたよー!
 みんなにんげんにつかまってるんだよー!はやくたすけてあげてー!」

「いなくなったこたちはみんな、にんげんにつかまっていたのね。
 どうするの『もりのけんじゃ』?とうぜんたすけにいくわよね?」

「ゆーーーーーー!!!とうぜんよ!!!なかまをさらったにんげんはゆるせないよ!!!」

「にんげんはてごわいあいてよ。おとなのゆっくりぜんいんでいったほうがいいわね。
 こどもたちのことはわたしとありす、それにこのきずだらけのゆっくりにまかせてくれたらいいわ。」

「ゆ!ありがとうねぱちゅりー。」

「どういたしまして。わたしたちはたたかえないもの。これくらいのことはしないと。
 こどもたちのことはしんぱいしなくていいわ。(すぐにあとをおわせてあげるから・・・)」

巨大ぱちゅりーはすべての大人ゆっくりを集めるとこう言った。

「みんな!せんそうよ!!にんげんをたおしてつかまっているなかまをたすけるよ!!!」

「ゆーーー!!!にんげんをやっつけるよ!!!」
「まっててねみんな!いまたすけにいくからね!!!」
「にんげんなんかまりさがみんなやっつけてやるよ!!!」

いなくなった仲間たちがまだ生きている、そして人間に捕まっている、と勘違いをした森のゆっくり達。
気勢を上げ人間の里に向かって行くゆっくり達を眺めるぱちゅりーとちぇん。

「ふぅ・・・そろいもそろってばかばっかり・・・いなくなってくれてせいせいするわ。」

「わかるよー!あいつらのあいてをするのにつかれたんだねー!」

「まぁしかたないんだけどね。これがわたしのやくわりだったし。
 さあ、ありすをむかえにいきましょう。さいごのしごとがのこってる。」

「わかるよー!ありすのしごとがいちばんらくだよねー!」

「そんなこといわないの。かのじょにしかできないしごとなんだから。」


(人間の里のはずれ)
「ちーんぽっ!ちーんぽっ!」

「ん?どうしたの?みょん。ぐあいでもわるいの?」

「うー・・・ちぇんがいないとなにいってるかよくわからないどー。」

「ちんぽっ!ちんぽっ!ちんぽっ!」

その時地響きを立てながら『もりのけんじゃ』の群れが里のはずれに到着した。

「ああ、『やつらがきた!』っていいたかったんだね!」

「ちーーーーーんぽっ!」

「ごめんだどー。わからなかったんだどー。」

「じゃあれいむはにんげんにしらせてくるね!ここはまかせたよ!こんやあのおかでしゅうごうだよ!
 てきとうにたたかったらはやくにげてね!しんじゃだめだからね!」

「ちんぽーーーーーー!」

「まかせるんだどー!れみりゃとみょんがくんだらつよいんだどー!」


「ゆっ!あなたたちここでなにしてるの?あなたたちもにんげんからにげてきたの?」

「うー?なにいってるんだどー?れみりゃとみょんはにんげんのみかただどー!
 あいてになってやるからさっさとかかってくるんだどー!」

「ちんぽっ!」

「ゆー!!!ゆっくりなのににんげんにみかたするなんて!みんなこいつらからやっつけるよ!!!」

戦闘が始まる。みょんがれいむ種のリボンを切って混乱を起こし、
れみりゃはゆっくり達を掴むと堀のなかにぽーいと投げ捨てていく。
初めのうちこそ優勢に闘っていたれみりゃとみょんだが、やはり多勢に無勢。しだいに追い詰められる。

「うー。このままじゃまずいどー!」

「ちんぽ~」

「おーい!ゆっくり達!加勢に来たぞー!遅れてすまない!」

手に手に棒やクワをもった男達が駆け付けた。男達は手に持った武器や足で次々にゆっくりを潰していく。
森のゆっくり達も仲間を助けるため人間に襲いかかる。こうなればゆっくり達が全滅するのは時間の問題。
自分達の仕事が終わったれみりゃとみょんは、混乱の隙をついてさっさと逃げ出した。


(同刻 巨大ぱちゅりーの巣)
「みんなおちついて。ありすのまわりにゆっくりあつまるのよ。にんげんがくるかもしれないわ。」

「ゆー。こわいよー。」

「だいじょうぶ。わたしがにんげんからまもってあげるわ。(ありすからはまもってあげないけどね・・・)」

「こどもはみんなあつまったみたいだよー!これでぜんぶだよー!」

「そう。じゃあこれでわたしとちぇんのしごとはおしまいね。あとはありすのしごと。
 ありす、もういいわよ。つかれたでしょう。めがみえずくちがきけないふりをするのは。
 もうがまんすることないわ。ぞんぶんにやっちゃって。
 わたしたちはちょくせつゆっくりをころすことができない。これはあなたにしかできないしごとだわ。」

「・・・・・・」

「あら?どうしたの?」

「うっひょおおおおお!!!!もうがまんできねえええええええええ!!!!!!!!
 ちっちゃいゆっくりもかわいいよおおおおおおおおおお!!!!!!
 いっしょにすっきりしようねえええええええええええええ!!!!!!!!」

「うわ・・・」

「わかるよー。がまんしすぎてすこしこわれちゃったんだねー。ちょっとこわいよー・・・」

「ゆーーー!!!やめてええええ!!!ありすおねえちゃん!!!やめてええええええ!!!!」
「いやーーー!!!!すっきりしたくないいいいいい!!!!しんじゃうううううう!!!!」
「やめちぇね!ゆっきゅりやめちぇね!れいみゅはまだしゅっきりしたくにゃいよー!」

「いきましょうかちぇん・・・ここにいたらわたしたちもあぶないかも・・・」

「そうだねー・・・ありす!こんやあのおかでしゅうごうだよ!まってるからね!」

「いぃぃぃぃやっほおおおおおおおおおおう!!!!!!!!!!
 すっきりーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」


(満月の夜)
夜。小高い丘の大樹の根元。月の灯りに照らされた小さな影が六つ。
影の正体はゆっくり。車座に座り仲間の帰りを待っていた。

「おそいぜありす。どこほっつきあるいてたんだ?」

「ああごめんなさい。ひさしぶりにすっきりしたものだから・・・
 こうふんをしずめるためにゆっくりしてたのよ。あら?もしかしてあなたもわたしとすっきりしたかった?」

「い、いや。それはえんりょしとくぜ。」

「でしょう?だからおちつくまでひとりでいたのよ。」

「ゆー。ありすはあいかわらずだね!」

「そうだよー!ちょっとこわかったんだよー!」

「ふふふ。だいじょうぶよ。わたしたちはこのよにたったななひきだけのなかまじゃないの。
 おやはちがっても、ゆいいつのかぞく。かぞくとむりやりすっきりしようなんておもわないわ。」

「うー!そうだどー!みんなだいじなかぞくだどー!」

「ちーーーーーーーーーーんぽっ!」

「まぁこんかいもうまくいったわね。ところでれいむ『やまのぬし』は?もうひっこしはすんだの?」

「ゆ?もんだいないよ。いまごろかなこのむれは、ひっこしいわいのえんかいのさいちゅうだよ。」

「そう。よるおそくまでえんかいをして、あしたはきっとひるすぎまでおきてこないわね。
 あとはあさいちににんげんたちにやつらのすのばしょをおしえるだけ。
 それでここらへんのゆっくりはすべてきえる・・・
 もりも、そうげんも、やまも、このへんにあるたべものは、すべてわたしたちのもの・・・」

「さすがぱちゅりーがかんがえたけいかくね。すべてうまくいったわ。」

「れいむ、にんげんのほうはどうなんだ?まりさたちのことをかんぜんにしんようしたのか?」

「だいじょうぶだよ!ひとつきちかくはたけをまもったからね!
 やさいをわけてあげるからいつでもあそびにおいで、っていってたよ!
 れみりゃとみょんがしにものぐるいではたけをまもってるところをみせたからね!」

「そうだどー!がんばったんだどー!」

「ちーーーんーーーぽっ!!!」

「それはよかったぜ。まえのところではゆっくりをぜんめつさせるのはせいこうしたけど、
 そのあとにんげんにおいだされてしまったからな。こんかいはだいじょうぶだな!」

「ええ。これでこころおきなくゆっくりできるわ。たくさんたべて、たくさんゆっくりして。
 わたしはもっとかしこくなるわ。」

「まりさとれいむ、ありす、みょんはもっとおおきくなるぜ!」

「うー!れみりゃももっとつよくなるんだどー!」

「ちぇんはもっとすばやくうごけるようになるんだねー!わかるよー!」

「そうね。わたしたちもっとつよくならないと。あいつらにふくしゅうするため・・・」

「ゆ!そうだよ!れいむたちをおいだしたあいつらにふくしゅうしないと!!!」

「そう。あいつらだけはにんげんのてをかりず、ちょくせつやらないときがすまないわ。」

「さぁ、けついもあらたにしたところでいつものやつをやるぜ!」


「このまんげつにちかう!わたしたちななひきのゆっくりは!」

「たとえうんでくれたおかあさんがちがっても!」

「きょうだいのちぎりをむすんだからには、こころをおなじくして。」

「おたがいたすけあうんだどー!」

「そして、ゆっくりするときはななひきいっしょにゆっくりするんだね!わかるよー!」

「ちーーーーんぽっ!」

「そしていつか、わたしたちをおいだしたやつらを・・・ははのかたきをかならずころす・・・」

「「「「「「いっしょにゆっくりしようね!!!」」」」」」

end

作者名 ツェ

今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」
         「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」


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最終更新:2022年05月03日 15:55