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    <title>百合キャラバトルロワイヤル</title>
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    <title>第26話</title>
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    <description>
      いざ隼砥教子を殺した狙撃手を見つけても、「どうして」と問いかけることはできなかった。代わりに口をついた言葉は、確認のそれだった。

「鳰先輩が……撃ったんですか？」

状況証拠は揃いすぎている。鳰旦蕗が抱きかかえているのは漫画や映画にしか出てきそうにない狙撃銃だ。御丁寧なことに、桃子の推測通りに暗視スコープのようなものまで装備されている。
つんと饐えた臭いが鼻についた。おそらくは旦蕗が吐きだしたものであろう吐瀉物が、周囲に散乱していた。旦蕗の衣類にも少し付着しているようだが、彼女はそれどころではない様子でうずくまっている。
胃の内容物をあらかた吐きだしてしまうような強いストレスは、何に起因したものだろうか。そう、たとえば――人を殺してしまった強い後悔と罪悪感に襲われて、たまらずにすべてを吐いてしまった。
青白い顔をして、涙と鼻水で顔面をくしゃくしゃにしながら、がたがたと震えが止まらない身体を必死に抑えようとしている鳰旦蕗を見て、内藤桃子がそんな連想をしてしまうのは邪推といえるだろうか。

「……答えてください。鳰先輩ですよね。鳰旦蕗さんですよね？　私です、内藤桃子です。ほら、桜木寮で一緒だった……」

桃子がいくら言葉を重ねても、旦蕗から返ってくる言葉はなかった。ただ身体を震わせるのみ。それは、旦蕗から桃子に対する消極的な拒絶といえた。
いや、そもそも今の旦蕗には他の誰かと会話をする余裕など皆無だった。相手が桃子ではなかったとしても、結果は変わらなかったことだろう。
誰を相手にしていたとしても今の旦蕗は海の底の貝のように口をつぐみ、雨に濡れる捨て猫のように身体を震わせるだけだったはずだ。

そんな旦蕗の様子を見て、桃子は自分が何をしようと思ってわざわざ危険を覚悟してまでここへ来たのか、忘れそうになってしまった。
桃子が想定していたような危険人物は、ここにはいなかった。もしもここに血も涙もない残虐非道な悪役がいて、桃子に銃を向けていてくれればどんなによかったことか。
当たり障りもなく耳障りがよい適当な正義論でも振り回して、正義と私怨を一緒くたにこねくり回した理屈を盾に復讐の真似事でもできればどれだけ爽快だったか。
ここにいたのは、隼砥教子を撃ち殺した罪を追及され、弾劾されるべき加害者である以前に。桃子や教子と同様に殺し合いに無理矢理    </description>
    <dc:date>2016-09-08T10:31:12+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/54.html">
    <title>第25話</title>
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    <description>
      「先生っ……！　せんせいっ！」

灯り一つすら無い埠頭の、乱雑に積まれた段ボール箱の陰。
そこから内藤桃子がいくら名前を呼んでも、地面に倒れ込んだままぴくりとも動かない隼砥教子からの返事は帰ってこなかった。
諦めの悪い「もしかしたら」という願望のような何かが桃子の中にはしぶとく残っていたけれど、どうやらそれもそろそろ音を上げそうだ。
認めなければならない。隼砥教子は、内藤桃子の目の前で――何処からか飛来した銃弾を頭に受けて、死んだ。物言わぬ骸となったのだ。
夜目にうっすらと見える水たまりのようなものは、水道の蛇口を思い切りよくひねったときのように勢いづいて噴出した血の溜まりで。
そこに浮かんでいる半固形の塊は、彼女の脳髄や頭蓋骨や血管や膜なんかの、とにかく頭部を構成するものがぐちゃぐちゃに撹拌されてぼとりと落ちたものなんだろう。
今が夜中でよかった。なんとなくの輪郭しか見えなくて、ぼんやりとしたイメージでしかそれが見えなかったから。

先生――ともう一度呼ぼうとして、桃子は寸前でそれを止めた。いくら桃子が名前を呼んでも、桃子の声が死んだ彼女に届くことは、もうないのだから。
それでも、理屈では理解していても抑えられない感情が身体の奥、心の底から溢れそうになって、声にならない声が、ぐぅと喉を鳴らした。
漏れそうになった嗚咽が誰にも聞こえないように、息が出来なくなるくらいの勢いで口と鼻を覆った。それでも零れ落ちそうになった呻きを歯を食いしばって堪えた。

もう、私の声が先生に届くことはない。それは断絶だった。生きている者と死んだ者を隔てる、どうしようもなく深い溝だった。
かつて先生が桃子のそばから離れていったあのときのそれとは、まるで違っていた。確かにあの別れも、それっきりになってしまった別れだったけれど。
お互いが望んだ別れではなかったのに、また会いたいと思っていたはずなのに、先生が遠い場所へ旅立ってしまったあとに交わした連絡なんて、殆どなかった。
もしもこの場所で再び出会うことがなければ、血を吐いて倒れた先生の姿と、遠い地で療養するという簡素な手紙が桃子と教子の最後になっていたかもしれない。

でも、違う。また会えるかもしれないという希望を抱いての別れと、もう会えないという絶望しかない別れは、同じ別れという単語で括ってしまうのが許    </description>
    <dc:date>2016-09-08T10:29:01+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/53.html">
    <title>第24話</title>
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    <description>
      虫の鳴き声一つしない、風が葉を揺らす音一つしない、静かな、何の音もしない夜だった。
闇の中、彼女――ゲルトルート・バルクホルンは、戦友の身体を――生と熱が失われつつあるそれを、抱きしめていた。
エーリカ・ハルトマンが生前持ち合わせていた少女らしさは、もう残ってはいなかった。
死に至るほどの暴行を受けながらも傷ひとつ負っていない美しい顔。
あまりにも整ったその造形は、まるで完成された彫刻のようにすら感じられて――
その美しさは逆に、ハルトマンはもう生きてはいないただのモノになってしまったのだという事実を、バルクホルンに突きつけた。

――隣にいる誰かがいつか死んでしまうことに対して、覚悟はしていたつもりだった。

バルクホルンは魔女だ。エーリカも魔女で、同じ部隊に所属する仲間たちもみんな魔女で、みんな魔法が使える。戦う力を持っている。
ストライカーユニットを履き、銃火器を背負い、魔力を纏いながら人類に対して攻撃と侵攻を繰り返す化け物であるネウロイと、戦い続けている。
それは、紛れも無く戦争だった。
ネウロイとの戦線は次第に拡大し、戦争に携わる人員は増え続け、同時に死傷者の数も激増した。
バルクホルンと同じ部隊にも、国を捨てざるを得なかった者や愛する人を失った者がいた。
……バルクホルン自身、故郷と、愛する妹の両方を、失いかけた。
幸いにして妹は回復し、故郷カールスラントも部分的に奪還しつつある。
だが、これ以上失わせてはいけない。そう思って、バルクホルンは戦場を、空を駆け続けてきた。
人々の笑顔を守るために。

……だというのに、何なのだこれは。
ネウロイとは何の関係もないままに。
何の力も持たない、ただの少女に。
バルクホルンたち魔女が命を懸けて守ってきた存在に。
エーリカ・ハルトマンは、殺された。

無茶苦茶だった。信じられなかった。
バルクホルンの中にあった大切なものが、一斉にがらがらと崩れていった。
こんな仕打ちを受けるだなんて、私たちが今までやってきたことは何だったんだと――神に向かって毒づいた。
どうしてエーリカ・ハルトマンが殺されなければいけなかったんだと、いくら疑問を口にしたところで答える者などどこにもいない。
今ここで生きているのはゲルトルート・バルクホルンただ一人なのだから。

ふらりと    </description>
    <dc:date>2016-09-08T10:26:27+09:00</dc:date>
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    <title>第23話</title>
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    <description>
      ぶっちゃけ訳が分からなくて、何をすればいいのか考えるのも面倒だった。
だから欲求に任せて、湯船に飛び込んだのだった。ざっぱーん。

「あ～、生き返るぅ……」

地図でいうところのB-1――島の西側に位置する温泉で、一人湯船に浸かっている少女の名は釘宮円。
麻帆良学園中等部3-A、出席番号11番。チアリーディング部に所属していて同じくチア部の椎名桜子や柿崎美砂と仲がいい。
これに和泉亜子も加えた四人で、でこぴんロケットという学生バンドを組んでいたりもする。
短く切り揃えられた黒髪とスレンダーな身体つきが相まって、中性的な外見をしていると評されることも多い。
デタラメな人物揃いな麻帆良学園の中では、至って普通の、一般的な生徒として日々を過ごしていた。

しかし、当たり前の日常というものは、あれよあれよという間に壊れてしまったようだった。
のんびり温泉に浸かっているために、イマイチ実感は湧いていないけれど。
真っ裸になった今でも、唯一外せず身に着けたままのそれが、円の不安を煽っていた。

「どこまで本気なんだろうね、これって」

コツン、と軽く表面を叩いてみる。
鈍色をした首輪は、装着者である円自身にはよく見えない。
思いっきり顎を引いて視線を下に向ければ、どうにか視界の隅に鉄の色が見えるといったくらいだ。

「まー、さっき脱衣所で飽きるほど見ちゃったんだけどさ」

しかしいくら見たところで、この首輪を外せそうな隙は見えなかった。
ぴったりと接合されたそれは、専用の工具なり何なりがないと外せそうにない。

「119番に電話したらレスキュー隊がどうにかしてくんないかな……」

無理。電話が繋がらないことは確認済みだった。
円は深くため息をついて、まぶたを閉じて、ゆっくりと肩まで湯に浸かった。
温かさが身体に染み渡る。あ、ダメだ。なんか泣きそう。
どうしてうら若き乙女が殺し合いなんかしなくちゃいけないんだバカヤローと思いっきり泣き叫びたかった。
でも一度泣きだしたら止まりそうになかったので、ぐっとまぶたに力を込めて、少しだけ漏れた涙もばちゃばちゃと大げさな動作で顔を濡らして誤魔化した。

「……あがろ」

円だって、風呂に入るのが一種の現実逃避だということには気付いている。
いつまでもここでのんびりして    </description>
    <dc:date>2016-09-08T10:23:52+09:00</dc:date>
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    <title>だっていつも会うあの子はさ</title>
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    <description>
      木が無造作に立ち並んでいた。森なんだから当たり前だ。
短時間でそれなりの距離を歩いてきた私は自分の脈拍を確かめる、異常なし。いつもの殺し屋。
私があいつと森に来たことは何度あったかな。
もう、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいだ。
足は動く、手だっていつも通り。
呼吸は？　殺し屋なんだ。こんなくらいで乱れるもんか。

木の葉が幾重にも重なって、月の灯を遮ってしまう。
それでも、問題ない。私は既に獲物を見つけた。
隠れる必要はない。銃を構えて、静かに、狙い定めて。
吐く息は音を伝えない。冷静な心は訓練された技術を簡単にレールに載せた。

地面に敷かれた落ち葉の絨毯。
くしゃりとくしゃりと踏み砕かれれば私の鼓膜が標的の情報を教えてくれる。
相手の顔は見えなくても、相手がどんな奴かわからなくても。
今、前を歩いている奴の背丈くらいは判断できる。
やすなじゃない。それだけは確かだ。じゃあ、もしもやすなだったら？
死者を蘇らせるかどうかなんてわからない。
でも、仮にそうだとすれば、私はやすなを殺す？

引き金を引けば発砲音が辺りを賑わせて、命の水が胸から吹き出てきた。
私の知らない誰かはそのまま、倒れ伏して二度と動かない。
気配を殺したまま、私は物言わぬ亡骸の側に落ちていた荷物を拾って。
薄く開かれたままの瞼を閉じてやるか少しだけ迷った。

私は死体に手を触れないまま、その場を後にした。
誰だって標的だ。標的に情けをかける殺し屋はいない。
尊厳だって保証してやることはない。
いつも、そうやってきた。だから、私はいつも通り殺せる。

やすなを殺せるかなんてわからない。
あんな奴、ただのうるさくて鬱陶しいだけのボンクラだ。
私との関係なんてただの同級生だ。

でも、ひとつだけ――

――ひとつだけ確かに言えることがある。
やすなは私のことを知っても絶対に離れようとしてくれない。
何べん殴ったって、何度馬鹿にしたって、明日には私の後ろにいるんだ。

ならさ、もういいだろ。やすなはそんな奴なんだ。
あいつが私の何だろうと、私がいくら汚れてもやすなはいるんだ。
私は傷一つ無い体で次の標的を探しに行った。


&amp;color(blue){【知らない誰か　死亡確認】}



【一日目・深夜】
【Ｄ－    </description>
    <dc:date>2016-09-08T10:36:02+09:00</dc:date>
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    <title>この世の果てで恋を唄った少女</title>
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    <description>
      ――人魚姫に、足はあると思う？
これは、ただの蛇足。語られなくても良かったお話。言葉にしなければ泡になって消えてしまったはずの物語。
後に何も残らずに、誰一人として幸せにならずに、不幸な結末だけが提示されている、そんな話が、あなたは読みたい？
あなたはこの話を読んでもいいし、読まなくてもいい。読まずとも何の問題はなくて、読んだところですぐに忘れてしまうだろう。
それでもというのなら――ほんの少しの間だけ、語られなかった恋物語を、語ることにしよう。
人魚姫――葦切詩乃も、立つための二本の足を持つことを許されたのだから。
この少女たちの物語における少しばかりの蛇の足も、許されてしかるべきだろう。

　◇

「よかったわ、元気そうで」

そう語りかけた盟絵の顔には、笑みが浮かんでいた。その内心を占めているのは安堵の感情だ。
誰よりも会いたかった相手に、真っ先に会うことが出来た。どん底の不幸の中で掴んだ一握りの幸運に彼女は感謝する。

盟絵の笑顔に対して、詩乃は憂いを含んだ微笑みを返した。
薄く緑の混じった黒髪が、月の明かりに照らされて、少し揺れた。
風もないのに揺れた前髪が詩乃の顔を半分だけ隠して、合間から見える焦げ茶色の瞳がその視線を盟絵の顔から少し下へ逸らした。
目を合わせて、それから逸らす。たったそれだけの動作が、今の二人の関係を表していた。
拒絶、というほどはっきりとしたものではない。
だが、どことなくよそよそしさというか、二人の間を阻む目には見えない透明な壁というかが、生まれていた。
その原因は――あらためて言うまでもないことだろうが、現在の二人が置かれた環境に起因していた。
目の前の相手と、殺しあえと言われているのだ。その絶対的命令が二人の態度に尖った硬さを作ったのだ。

――二人とも、相手を傷つけるつもりなど毛頭なかった。
相手を、愛しているのだ。傷つけることよりも、優しく触れることを選びたい。冷たさよりも、暖かさを求めたい。
初めて出会って、いつの間にか二人は一緒にいることを選んで、自然に手を繋ぎ、心を繋ぎ、身体を繋いだ。

この島に、連れてこられるまで。
始業の十分前までベッドシーツと人肌の温もりに包まれて惰眠を貪る心地よさは何物にも代えがたい快楽だった。
この時間がずっと続けばどれだけ幸せだろ    </description>
    <dc:date>2013-09-26T02:26:09+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/49.html">
    <title>HOLES</title>
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    <description>
      ざざん、ざざんと波が音を立てている。歩けばぎし、ぎしと音を立てそうな砂の浜が広がる海辺だった。
ほのかな月の光だけでは、そこにあるものを全て照らすにはまるで足りなかった。
倒れている影と、その傍で立ちすくむ影。二つの人影。二人の少女。

倒れているのは、真鍋和だったモノ。今はもう命も尽き、ただの肉の塊となってしまっていた。
幼馴染の少女に命を奪われ、十数年の短い人生を振り返る暇すらこの世から去ってしまった眼鏡をかけた少女。
だけど。何故か、その表情には悔しさや、悲しさなどは浮かんでいなくて。
どこかやり遂げたような達成感すら感じさせていた。

そんな和を、じっと見つめているもう一人の少女。
それが萩原雪歩だった。
彼女は自分がどうしてここにいるのか分かっていない。
ただふらふらと熱にうなされるようにさまよって、この砂浜へとたどり着いたのだ。
そして、出会ってしまった。
ここが――本当に、殺し合いをしなければならないところなんだと、そう雪歩に告げる、まだ温かさの残る死体に。
この少女を殺した犯人が、まだ近くにいるかもしれない。そんな当たり前の思考は、雪歩の頭の片隅に浮かんでいた。
だが、身体が動かなかった。頭のてっぺんからつまさきまで、身体の芯にぴしゃんと電撃が走ったように痺れていた。

頭のなかが真っ白になっていて、何から考えればいいのか分からなくなってしまっていた。
身体だけじゃなくて心まで痺れてしまっていて、何も感じてはいなかった。
急に身近になった死の恐怖に怯え、周りも気にせず泣き喚くという、萩原雪歩がいかにもやりそうな行動さえ取れないほどに、彼女は衝撃を受けていた。
死体を見てもなお――いや、死体を見たからこそ、雪歩は自分がいったい何をすればいいのか、分からなくなってしまっていた。

殺し合いが始まっているなら、自分もそれに乗る？
嫌だ。人を殺すことなんて、自分に出来るとは思えなかった。したくもなかった。
何より非力な自分が他の数十人を殺して生き残ることなど、到底出来そうにもなかった。
だったら、殺し合いをせずにみんなで生き残る方法を考える？
少し考えてみても、今の雪歩にはそんな方法など考えつきそうにもなかった。
自分の中に、そんな力があるなどとは思えなかった。

ざざん、ざざんと規則的に波の音は響    </description>
    <dc:date>2013-09-26T02:22:15+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/48.html">
    <title>捨てて拾って</title>
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    <description>
      　揺れる木の葉が光を遮り、月はなんだか虫食いの洋服のように欠けていた。
　そういえばそろそろ防虫剤を交換しないといけない。ここまで増えるなんて思ってなかった――まあ、私が買い与えたものばかりだが――詩乃の衣装はそろそろクローゼットの容量を超過しそうで、そうだ、収納用にカラーボックスも一緒に買おう。
　別に私のスペースにしまってもよかったが、そこら辺はきっちりしたかった。彼女のものは彼女のもの。整理整頓は大切だ。日常という一瞬を逃さず生きるためにはなおのこと。
　……よしなし事が頭を占めていても、木々の向こうに見えたシルエットは見間違え様がなかった。
　彼女を見つけられないなんてそもそも疑うことすらない。心も身体もあますところなく知っていると、自惚れてしまいたくなるくらい私は彼女を知っている。

「詩乃」

　ざり、と木の葉を蹴って私は立ち止まった。振り向く彼女の黒い髪が翻って月明かりを散らす。当然だけど返事はない。
　人魚姫に喋れだなんて、いくらなんでも無粋が過ぎる。

「よかったわ、元気そうで」

○

　結果のみを簡潔に述べると――、葦切詩乃は甲斐盟絵を射殺した。

○

　言葉は跡に残らない。思いも同様だ。形あるものに姿を変えなければ、それらは単なる空気の振動として、あるいは単なる脳細胞の反応として消えていく。

　だから竹井久には彼女に何があったかなど理解できるはずがなかった。
　何を言い、何を想い、何を感じて殺されたのか、これっぽっちもわからなかった。
　だってあったのは拳銃と死体だけで、それ以外は本当になにも残っちゃいなかったからだ。
　河もなく、面子の顔も伺えない。全くもって空っぽのそこから、一体何をわかれと言う？

　だから、まあ、仕方がなかったのかもしれない。
　久が何故か死んでいた彼女を見てぼんやりと頭に浮かべたそれは、もしかしたらしょうがなかったのかもしれない。
　それは雑多な言葉の集まりだった。光より早く頭の中に発生して、その速さのまま脳みそを引っ掻き回しているてんでばらばらな思惟の集まりであった。
　久自身も掴みきれていない感情を恣意的に編集すると、それはきっとこのような文字になる。

（ああ……馬鹿にされてる、な――）

　竹井久は、死体を見て、多分そう考えた。

○    </description>
    <dc:date>2013-09-26T02:36:37+09:00</dc:date>
    <utime>1380130597</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/47.html">
    <title>大変だ！ソーニャが土管にはまってしまった！</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/47.html</link>
    <description>
      「なるほど、確かに一切の贔屓なくランダムスタートなようだな……」

右手に力を込めてみる。動かない。
左手にもやってみる。案の定動かない。

「それにしてもこれは酷いだろう……」

頭を少し下げてみる。
首から下がスッポリ土管にはまっていた。
両腕まで土管に入り込んでいるため、抜け出す手段が分からない。

「ふんぎぎぎぎぎ……」

体をよじる。
もう全くこれっぽっちも動かない。ファック。
しかも動くと超痛い。

「どうしろというんだ……」

ぜぇぜぇと肩で息をしながら（まあ、肩も動かないんだけども）呆然とする。
そして、内心で依頼主に呪詛を吐いた。

（全く、ふざけているな）

殺し合いに放り込んだということがまずひとつ。
そして、土管の中なんていうふざけた場所で開始させられたことがひとつ。
以上二点が、特に気にいらない要素である。

（殺して回れと依頼したのは、お前じゃないか――――） 


思い返す、あの憎たらしい依頼主の顔。
そして吐き気を催すような依頼内容。

本来、依頼内容に首を突っ込むなど許されない。
これでも一応プロフェッショナルだ。
例え相手が１０にも満たない幼女であっても、必要とあらば心を殺して抹殺できる。
殺害理由を、無理に問いただす必要なんてどこにもない。
ターゲットには、『大金を支払ってでも殺す、と思われるような理由』があるはずなのだ。
別にそれが何なのかなんて知らなくても、それだけ分かれば迷いなど消せる。

だが。

（クソ……なんでこんな……）

今回は、特殊だった。
どこがか、と言われれば、ほぼ全てがとしか言えないほど、特殊なことに満ち溢れていた。

例えば、依頼方法。
組織を一切介さず、呼び出して直に依頼してきた。
――それもこちらが気付かぬ内に拉致を行い、真っ暗な部屋の中で、だ。

それほどまでの実力者を抱え込んでいながらも、依頼主は殺しの依頼をしてきた。
そしてそのターゲットも、また特殊だ。

『この名簿に名前を載せている人物――それを殺し尽くして欲しいネ』
『……は？』

今までにも、大きな括りで殺せと言われたことはある。
虐殺は暗殺とは別物だが、そういうのを得意とする組織の者もいるだろう。
大量に殺させること    </description>
    <dc:date>2012-11-08T09:18:13+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/46.html">
    <title>ミラーワールド</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/yurirowa/pages/46.html</link>
    <description>
      「私……人なんて殺せないよ」

森林地帯で、一人の少女がすすり泣いている。
彼女の名前は宮永咲。
清澄高校に通うどこにでもいる気弱な文学少女である。
麻雀が強くその姿さながら魔王のリンシャンマシーンという風潮もあるようだが、
少なくとも肩を震わせる今の咲からそのようなことは想像できない。

「殺すとか、殺されるとか、そんなオカルトありえません」

すすり泣く咲の正面に座っている一人の少女。
体育の時間に男子がふざけてボールを体操着に仕込み「おっぱいｗｗｗｗｗきょにゅーｗｗｗｗｗ」と遊んだ時のような胸の膨らみを持つ少女の名は原村和。
咲と同じく清澄高校に通う、麻雀大会全中王座のおっぱいさんである。
しかも御両親は検事さんと弁護士さん、男子にもモテモテだじぇ。

「宮永さんは、私が守ります」
「原村さん……」
「宮永さんを、泣かせたりなんかしません」

和にとって、咲は大切な友人だった。
――否。友人なんて関係をすっ飛ばしてしまいたいほどの相手である。
和が咲に抱いている感情は、友情なんて言葉で片付けられるものではなかった。

和にとって咲は初めて自分の誇りを傷つけた少女であり、また対抗心を燃え上がらせた少女でもある。
いつしかその存在は和の中で大きくなり、とうとう親友だった片岡優希よりも大きくなった。
チームメイト全員分の応援よりも、咲一人のエールの方が力を与えてくれたように。
宮永咲という存在は、和にとって、掛け替えの無い存在となっていた。

「駄目だよ……原村さんが危ない目にあうのも……」
「大丈夫ですよ……私は、常に冷静ですから」
「でもでも、こんな状況だし……」

雨に震える子犬のような瞳で見上げる咲の体を、唐突に和の体が抱きしめる。
二人の距離を近付けるのを、豊満すぎる巨大な胸が邪魔をしているが、気にせずそのまま咲を抱き寄せた。
球状の胸が咲の平らな胸に押し付けられて楕円に歪んでいく。
その柔らかなあ感触と伝わってくる体温に咲の頬が赤く染まった。

「は、原村さん……！？」
「心配入りません。どんな状況でも、どんな敵が来ても、私は負けません」

和は、ありふれた言葉を使って表現すると、咲のことを愛していた。
その感情は、本来ならば異性に抱く感情だが、同性である咲に対してその感情    </description>
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