飯を食い終わった荒井は事前に地下の食料品売り場から役得で入手していたまるごとバナナを丸かじりしながら資料に目を通していた。わかっているだけでもスタンド使い「間田敏和」が誤って参加しているのだ、他にも不備が無いか再チェックの必要がある。ツノウサギと二人で名簿を確認していき、とりあえず見つからなかったことで今度は支給品を調べていた。その途中で荒井は一つの不可思議な現象に気がついた。支給品のリストの中には地図が二つあった。同一の支給品は特殊支給品を除き原則として支給しないことになっている。わざわざ同じものを支給しても面白くないからだ。なに?ベレッタが何挺もある?全部持ってきた世界が違うからセーフ。しかし地図は違う。沖木島は元からあるとはいえ地図自体はプログラムで使われるものをそのまま流用している。別々のものがあるはずがない。

「……支給品のリストはこれだよな?」
「そうだナ。」
「外観が写真付で載ってるよな?」
「お前の手元見りゃわかんダロ。全部の支給品俺達で写真取ったんダカラ。」
「二つの地図の沖木島の地形が違うんだが。」
「……アレー?」

 あるはずがない。

「見間違エダロ……?ソレカ、北ト南間違エテルトカ。」
「明らかに島の地形が違う。」

 あるはずが――

「そもそも片方は黄色と黒、もう片方はカラーだ。」
「」

 ――あっちゃった。


 皆さんはご存知であろうか。
 沖木島の地図は「二つ」あった!
 私はさっき気づいた。なまら焦った。
 いわゆる他の「パロロワ」を見たところ沖木島を会場としているものがあったので見てみたら、想像していたのとは別の地図で行われていたのだ!!


「ドウ誤魔化セバイインダ……」

 ツノウサギは小さな角の生えた頭を抱えた。



【F-05地下『主催者本部・鬼の牢獄』/00時05分】
最終更新:2018年07月15日 00:13