火の鳥「地球がみるみる小さく…そして太陽系が……。
何億もの星の中へまぎれてしまい……その銀河はうねりながら何十何百何千と群れをなして……大宇宙をつくっています」
マサト「知ってる……。宇宙はここまでだ。ここでおしまいなんだ」
火の鳥「これが人間が知っている宇宙の全部の姿よ」
火の鳥「でももっと大きなものが……宇宙を包んでいるのよ。すでに次元をこえています。宇宙は一つの粒子に過ぎないのです。
宇宙がいくつも集まってひとつの細胞のようなものをつくっています。その細胞が集まってひとつの「生きもの」を…」
マサト「待ってくれ。宇宙は…結局「生きもの」の一部なのか。その「生きもの」ってなんだ?」
火の鳥「宇宙生命なのよ」
マサト「宇宙生命!もうやめてくれ!!ぼくにすこし考えるゆとりをくれっ!!」
マサト「ヘンテコな気分じゃよ。第一わしゃ生きとるのか死んどるのか」
火の鳥「もちろん生きていますよ。「宇宙生命」としてね」
マサト「宇宙生命……わしがかい。わしがいつそんなものになったんじゃ」
火の鳥「何十億年か前にあなたを包んでいた肉体が朽ち果ててなくなってしまったときですよ、マサト。それでもまだ生きてるんですよ。
マサト「肉体がなくなったのか…このわしの…だがおかしいぞ、わしはこのようなおいぼれた姿をしとるがな」
火の鳥「それはねマサト、あなたの肉体の最後の感じが残っているだけなんですよ。ほんとうはあなたはもう姿がないのです」
マサト「イヤーちっとも知らなんだわい………………」
火の鳥「マサト、よくあたりをごらんなさい。見えるでしょ?感じるでしょう。この世界のいたるところに………………
宇宙生命の群れがとびまわっているのを!!宇宙生命は形も大きさもなにもないのです。
でもただとびまわってるわけではありません。この宇宙生命たちは物質にとびこみます。するとその物質ははじめて生きてくるんです。
銀河系宇宙のような大きなものから……惑星たち、地球も!動物や植物、その細胞も……
分子も原子も素粒子もみんな宇宙生命がはいりこんで生きているのですよ!マサト、もうあんな年寄りのかっこうのマボロシなんかすてなさい」
マサト「私は宇宙生命か!私はどうしたらいい?私にやることがあるのか?」
火の鳥「そうよ。あなたには新しい人類を見守ることがあります。だから、あなたにはからだがいります。私のからだにとびこみなさい。あなたは私になるのよ」
マサト「お前になるって?だってお前はもう生きてるじゃないか」
火の鳥「私のからだには宇宙生命がもう何倍も何十倍もはいってます。あなたもそれにくわわるんです。さあいらっしゃい、マサト。私の中に飛び込んで!!」