松田が例の計画に本当に関与していたのか?を主軸にゼロを読んでみる。



学園上層部と松田は面識があったのか?


 教職員棟――足を踏み入れるのは初めてだった。(ゼロ上巻49P)

松田はハッキリと教職員棟に入った事がないと言っているため、カムプロに関わっていたであろう時期も、教職員棟以外の施設にしか出入りしていないことになる。
この点に関しては地の文であり、誰に偽る必要もない部分なので確定と考えて問題ないだろう。
また、下巻12Pでも地の文で教職員棟4Fの奥の廊下のような、外部と隔離された異様な場所が存在することを初めて知ったと言っているため、
教職員棟に入った事がない。
内部事情に詳しかったとしても、少なくとも隔離的な場所が存在することは知らない。
と考えられる。

 評議委員「私たちのことは知っているか?」松田「評議委員会の方々ですよね?」(ゼロ上巻51P)

このやり取りやその後評議委員が「警戒する必要はない。私たちは全てを知っているんだ」と説明していること、
「確か、君には~手伝って貰ったんだったな」と言っていることから
最初の取り調べは評議委員から指名されて引き受けた訳ではない
この時まで、松田と評議委員は直接面識が無かったのではないかと思われる。
対して学園長である霧切仁については

 何度見ても、と松田は改めて思う――やっぱり若いな。(ゼロ上巻50P)

と評していることから、学園長とは面識があったのではないか。
ただ、学園長という立場を考えると、書面などの媒体・全校集会(存在するのかは不明だが)などで松田が一方的に霧切仁の顔を知っていたという可能性も存在する。
初見で「評議委員会の方々ですよね?」という発言が出るか?という点に関して、
松田がどのように呼び出されたのかが明かされていないため、
  • 『評議委員会が呼んでいる』旨の招集
  • 全員ではないが評議委員の一部とは面識がありその人物がいたので察した
  • 書面や教職員との会話などで一方的に容姿を知っていた
などの可能性も残されている。



事件隠蔽に関して


 隠蔽――松田は学園側からその説明を受けている唯一の生徒だった。彼は多額の研究費と研究設備の代わりに学園への協力を約束したのだ。そういう意味では、彼もまた研究者だということなのかもしれない。(ゼロ上巻51P)
上記の通り松田は隠蔽について知っていた。
だが、彼が知っていた情報は限られたものだったようだ。

 二名の生存者――確かに松田にとっては初耳だった。(ゼロ上巻58P)
 途端に、老人たちのざわめきが評議委員会室に広がった。(ゼロ上巻60P)

生存者について知らなかったという部分もそうだが、
隠蔽について説明を受けているにも関わらず、「そう思っただけです」と推察を述べていること、
また隠蔽を説明した側が松田の推論に動揺していることから松田は
『事件を隠蔽する』ことは説明されたが
『ある生徒の存在を隠すために事件ごと隠蔽する』という点は知らされていなかったと思われる。

 ふと、松田の脳裏にある人物の名前が浮かんだ。それは噂でしか聞いたことのない名前で、今まで都市伝説のような類のオカルト話だと思っていたが――もし、その人物が実在していて、この事件に関係していたらどうだ。(ゼロ上巻60-61P)

この発言も『松田が隠蔽の全容を知らない』ことの裏付けになるのではないか。



カムプロ関与を臭わせる?


噂の人物が実在すると知った松田の反応について
完全な妄想です。※セルフ論破済

 納得はできるが――最悪だな。心の中でそう呟く松田のこめかみから――汗が一滴流れ落ちた。(ゼロ上巻61P)

松田はおそらくここで初めて『カムクライズルが実在する?』『事件の関係者にカムクライズルがいる』という考えに至ったと思われる。
カムクラの存在と事件への関与について知って、冷や汗をかく理由とはなんだろうか。
隠蔽に関してまともに説明を受けていなかったとしても、霧切の様子に「学園を守るためなら何でもする」と感じ取っているため、事件の重大さについて認識して焦ったとは考えにくいのではないか。

この時点で松田が本来知っているはずのカムクライズルとは『希望ヶ峰~事件の犯人』と呼ばれている人物のはずで、
犯人と噂されている人物が実在しました、という真相に気付いても驚く必要がないと思われる。

また、噂の人物が実在していて、事件に関係していても本来松田自身には関係のないことであるはずだ。
困ることと言えば、その人物の発言によって江ノ島が犯人扱いされることになりかねないので、接触できない点に関してぐらいだろう。

噂のカムクライズルが存在することを知って松田が焦る理由は無いはずで、
さらに、犯人が学園にとって重要な人物だと思い至っただけでは、正に『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』だと納得するには不十分に思える。
だが、「噂のカムクライズル=超高校級の希望」と結びついたらどうだろうか。
江ノ島盾子の性質を知っていて、かつ、超高校級の希望とまで呼ばれるほどの天才が手を組んでしまったら。

そう考え到るためには松田は「超高校級の希望と呼ばれるカムクライズル」を知っている必要があり、
それを知っている、となると松田は何らかの形でカムプロに関わっていた可能性が存在するのではないだろうか。

カムクラという名前にピンと来なかったのは、松田が関わっていた段階では、実験体はカムクラと呼ばれていなかったのではないだろうか。

以上こじつけ。
この描写に関してはこの時点で既に"あいつのシナリオに乗せられている"と察し冷や汗をかいただけとも十分考えられる。
というより『ゼロ』という完結した話の中で解釈するならこちらの方が有力だが、
明言されてない部分はまぁ妄想は自由かなと。



研究所は最近貰った?


 隠蔽――松田は学園側からその説明を受けている唯一の生徒だった。彼は多額の研究費と研究設備の代わりに学園への協力を約束したのだ。そういう意味では、彼もまた研究者だということなのかもしれない。(ゼロ上巻51P)

松田が私物化している研究所は、隠蔽に協力することの対価として得たものである可能性?
単に研究所自体は元々あったが、費用の増額要求や新たな設備を貰ったのかもしれない。

 だが――彼が協力した本当の理由はそれではない。しかし、それは松田以外の誰も知らないことだった。(ゼロ上巻51P)

とあり、隠蔽協力に関して松田のみが知っている理由=江ノ島・音無に関わるものであることから推測するに
これ以前の話ではなく、今回隠蔽協力したことで何かしらの物的対価を得たのは間違いないだろう。
最終更新:2013年09月20日 23:16