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朝日新聞カメラマンの盗用に思ふ - (2007/02/10 (土) 00:18:03) の編集履歴(バックアップ)


朝日新聞カメラマンの盗用に思ふ

 本項は本来のwiki記事とは関係ありませんが、「側線」での実体験型メディア批判として掲示する
ものです。

 朝日新聞東京本社編集局写真センターのカメラマンが、自分が写した写真に記事を付ける際
同様の内容を扱った他紙の記事から盗用をしていたことを、朝日新聞は平成19年2月2日朝刊
で記事として公表しました。



 問題となった盗用記事がこれです。朝日新聞平成19年1月31日朝刊に掲載されました、大阪
版27面で、「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造の経過についての記事と並んで掲載さえているの
が皮肉です。
 後に複写しました毎日新聞の記事に拠れば、東京版では30日夕刊に掲載されたそうです。





 そして、2月6日付で、この盗用劇の始末、社内調査の結果とカメラマン他の処分を記事として
1面と26面で公表しました。





 以上の記事を見て、朝日新聞の対応に問題点が二つあることに気付かれたでしょうか?

1.朝日新聞は購読者に謝罪していない。

 記事原文の複写でお判りの通り、2月2日の記事の中で、

「読者の皆さまに深くおわびいたします
 朝日新聞社・三浦昭彦編集担当の話
 季節の風物のスケッチ写真に添える文章を書いた記者が、読売新聞
社のホームページを見て、情景描写などの表現を盗用していたことが分
かりました。記者倫理に著しく反する行為であり、読者の皆さまの信頼
を裏切ったこと、読売新聞社や関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたこ
とを深くおわびいたします。二度とこのような事態を招くことがないよう、
早急に体制を立て直す所存です。」

 と言っているだけです。
  朝日の会社案内では、「上席役員待遇(編集担当)三浦 昭彦」とありますが、この人に、
朝日新聞を代表して「購読者に謝る」権能があるとは思えませんがどうなんでしょう?
 しかも、この2月2日以降朝日新聞大阪本社版の本件にかかる記事や告知事項は、上記の
2月6日付以外にありません。
 そこにも、購読者への謝罪はありません。
 朝日新聞は、購読者は記事中の談話を本社の謝罪と受け取れと言っているのでしょうか?
 これは果たして購読者への謝罪なんでしょうか?
 盗用の被害者は当然読売新聞社であり、彼の新聞の読者です。2月6日の記事では新潟
日報からも盗んでいますから、同社とその読者も含まれるでしょう、何故ならば、彼らは元の
記事を金を出して購入しているからです。
 こう考えてみると購読者に謝罪しない、「読者の皆さまの信頼を裏切ったこと、」を談話記事
でしか言っていない朝日の意識は明白です。
「読者のお前らも記事を読んで楽しんだだろうから共犯じゃん。」
と言う事じゃないかと思います。
  つまり、盗用記事でも商品として買った以上は不作為の共犯者だと言うことになるので
しょう。
  記事原文を複写して掲示しているように、私は朝日新聞大阪本社版の購読者です。
  すると私は、朝日の共犯者と言う事なんでしょうか。

2.朝日新聞は盗用を犯罪ではないと言っている。

  2月6日付の記事を見てみると、
 「朝日新聞社編集担当・三浦昭彦の話 取材によって事実を確認し、自分の言葉で伝える
という記者の仕事の核心部分がおろそかになっていました。「盗用、盗作は絶対に許されない」
と宣言した本社の記者行動基準にも反する行為でした。あってはならない事態が起きたことを
深刻に反省し、処罰に当たっては人事管理も含めて責任を明確にしました。カメラマンを含む
記者の教育を徹底し、このような事態を二度と起こさないための態勢を早急に整えます。」
とあります。
 あれ、?「盗用」って、朝日新聞社の記者行動基準と言う、社内規定に違反しただけの行為
なんですか?
 なるほど、それで、
「丹羽敏通・前東京本社編集局写真センター員(46)=新潟総局駐在、1日付で管理本部付=
を、計3件の記事盗用の責任を問い、諭旨解雇とした。」
わけですか。
 多分朝日の賞罰(懲罰・・・笑)規程では、「刑法犯」有罪確定者が「懲戒解雇」で、社内規程違
反は退職金の出る諭旨解雇なんでしょうね。

  さて、ここに、朝日購読者には知らされていない、つまり、朝日が記事にしていない朝日の動き
があります。

<朝日新聞>記者が読売記事を盗用[02月01日20時57分]   毎日新聞ネット版より

  朝日新聞社は1日、新潟総局に駐在する写真記者が富山県の「かんもち」作りを撮影、記事を執筆した際に読売新聞の記事の表現を盗用したと発表した。記事の 大半は、先に読売新聞のホームページ(HP)に掲載されていた記事と酷似していた。本人も事実を認めており、朝日新聞は同日付で、この記者を東京本社管理 本部付に異動させるとともに、東京本社の武内健二ゼネラルマネジャー兼編集局長が読売新聞東京本社を訪れ、謝罪した。
 朝日新聞によると、問題となったのは1月30日の夕刊社会面に掲載された17行の写真付き記事「寒風になびく もちすだれ」。富山県の冬の風物「かんもち」作りを紹介した。執筆したのは東京本社編集局写真センター員で、新潟総局駐在の丹羽敏通記者(46)。
 31日昼ごろ、外部(インターネットのニュースサイト)から指摘があり、調査の結果、発覚した。
  文中の「赤、黄、緑など色とりどりのもちを北アルプス・立山連峰から吹き下ろす寒風にさらす……」という書き出しが、同27日に読売新聞のホームページに 掲載された記事とほぼ一致。第2段落に「富山湾特産のシロエビや昆布を練り込んだり……(中略)1カ月ほどさらすと豊かな風味が引き出されるという」とあ るが、これも文章の表現、構成が酷似している。最後の「生産は3月上旬まで続く」という一文も同じだった。
 朝日新聞の調査では、丹羽記者は1月 29日に現地で取材。翌日の仕事の都合で立ち寄った長野市の長野総局で記事を書く際に「読売新聞のホームページの記事を参考にしながら自分の原稿を書き直 した」という。また「自分の記事より読売新聞の記事が優れていたので、書き直した」とも話しているという。
 1日夜、東京都中央区の朝日新聞東京 本社で会見した三浦昭彦・上席役員待遇編集担当は経緯を説明し「読者の信頼を裏切り、申し訳ない。本人と関係者を厳正に処分する。写真記者が記事も書く機 会が増える中、一層の指導をしていく」などと語った。また、松本正・役員待遇広報担当は「記事を書くようになったのは昨年4月からで、書くのに慣れていな かったのではないか」と釈明。単独で執筆した記事は約10本あり、同社はほかに盗用がないか調査する。
 この問題で、読売新聞東京本社広報部は1日、「朝日新聞社から当社記事の盗用について説明と謝罪があり、了承しました」とのコメントを出した。【金田健、川辺康広、奥山智己】

 上記毎日の記事に拠れば、まず、朝日が盗用を公表したのは2月1日だと言う事です。
 そして朝日大阪版購読者がそれを知るのは2月2日。さて、東京版では、2月1日夕刊で
公表されたのでしょうか?
 上記の記事では、「31日昼ごろ、外部(インターネットのニュースサイト)から指摘があり、」
とありますが、朝日の記事では、「 ニュースサイト運営会社からの指摘で本社は調査を開始
しました。」と指摘のあった時期が暈されていますが。それも関係するのでしょうかね。
 そして、2月1日朝日は、
「東京本社の武内健二ゼネラルマネジャー兼編集局長が読売新聞東京本社を訪れ、謝罪した。」
 それに対して、読売は、
「この問題で、読売新聞東京本社広報部は1日、『朝日新聞社から当社記事の盗用について説明
と謝罪があり、了承しました』とのコメントを出した。」とあります。
 この部分は、朝日新聞2月2日の記事には一切触れられていません。
 これらのことは、何を意味しているのでしょうか?
 つまり、朝日は、盗用は犯罪であると認識した上で、以上の行為を為し、結果、談話記事中で、
敢えて「『盗用、盗作は絶対に許されない』と宣言した本社の記者行動基準にも反する行為」と
言っているのでしょう。つまり、明白な刑法犯である事を免れるために、読売新聞と談合して、
読売から「親告罪での告訴は無いよ」との言質を得た上で、公表したのではないか、と購読者
としては疑わざるを得ないのです。

 私は、秋庭俊氏と彼の著述に係わった編集者、並びに、「メフィスト」紙上での島田荘司氏「帝都
衛星軌道」に係わった編集者の盗用について、今まで語ってきましたが、秋庭氏が係わる出版
メディアのみならず、この国のメディアが如何に言論の自由を竪に取り法を蔑ろにしてきたか。
 しかも、一方でニュースサイトからの無断複写の禁止、本来報道記事の引用複写の自由は
法で認められているにも拘らず、その方の自己の功利部分についてのみは声高に主張する、
あるいは自社刊行物に於ける盗用著述者(編集者の唆しを隠蔽するためも含め)の書籍等の
絶版等、どれほどの傍若無人を行ってきたかについて、ただ呆れるばかりです。

 もう一つ、朝日購読者が知らされていない(2月9日夕刊現在)ニュースがあります。

「ジャーナリスト宣言。」広告、朝日新聞が自粛

 朝日新聞社は、写真記者(46)(諭旨解雇)の記事盗用問題を受け、「ジャーナリスト宣言。」と題した企業イメージの向上を図る広告キャンペーンを自粛した。
 社内の不祥事による広告自粛は同社で初めてという。
 同社によると、このキャンペーンは昨年1月に始まり、テレビ、ラジオでCMを放映したり、新聞、雑誌、公共交通機関に広告を出したりした。
 しかし、1月31日に写真記者が読売新聞の記事を盗用していたことが発覚したため、今月1日夜からすべてのキャンペーン広告を取りやめた。
 同社広報部は、自粛の理由について「今回の事態を重く受け止めたということに尽きる」と説明している。
(2007年2月9日0時38分読売新聞)  読売ON-LINEの記事より

 朝日新聞が、購読者にこのことを説明しないのは、
 「取材によって事実を確認し、自分の言葉で伝えるという記者の仕事の核心部分がおろそかに
なっていました。」
 多分、「『ジャーナリスト宣言。』広告、朝日新聞が自粛」を取材していないためなのでしょうね。
 だって、「本紙記者が記事盗用」では取材記事としてしか「自分の言葉で伝え」ていなかった人
たちですから。
 虚と実、陰と陽、メディアに対して、我々は心して掛かる必要があるようです。

                                    平成19年2月9日深更 陸壱玖記す

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