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**第13話 負けられない理由 砂浜で二人の女が戦っていた。 灰色の長髪を靡かせ短剣を振るうのはクレア・ラーズバード。 相対する金髪ツインテールの少女リドリー・ティンバーレイクは赤く燃える剣を振り回す。 (この子…強いわ!) 次々に繰り出される斬撃を短剣で受け流しながら、クレアはそう感じる。 剣の扱い、身のこなし、どれを取っても一級品。とても普通の少女とは思えない。 加えて彼女の持つ剣からは振るうたびに火炎弾が発射されてくる。 一つ一つは大したダメージは受けないが、少しづつ確実にクレアの体力を奪っていく。 何とか隙を狙おうとするが、リドリーはそれを許してくれない。 このままではジリ貧だ。 戦いが続くうちに、クレアは防戦一方になっていく。 そしてついに、リドリーの放った斬撃がクレアの短剣を弾き飛ばした。 (しまった――!) リドリーは既に次の攻撃を行うべく剣を振りかぶっている。 攻撃をかわそうとクレアが構えを取ろうとしたその時。 「フローズンダガー!」 どこからともなく聞こえた叫び声と共に、リドリーに向かって氷の刃が飛んできた。 クレアへの攻撃を中止し、その刃を剣で叩き落とすリドリー。 (今だ!) やっと見せた隙をクレアは逃さなかった。素早くリドリーに肉薄し、首筋に手刀を叩き込む。 リドリーは「く…」と呻くと、ゆっくりとその場に倒れた。 「おーい、大丈夫~!?」 先程氷の刃が飛んできた方向を向くと、見覚えのある少女が手を振りながらこちらへ向かって来るのが見えた。 「貴方は…フェイトさん達のお仲間の…」 「スフレだよ!確かネルちゃんの友達でアドレーちゃんの娘さんのクレアちゃんだよね!」 「ええ。貴方のおかげで助かりました」 クレアとスフレは面識は少ないものの、早い内に知り合いに会えたことを喜ぶ。 「こんな事で殺し合うなんて、間違ってるよ!みんなで協力して、ルシファーなんてやっつけてやるんだから!」 「ええ。その為にはまず他の皆さんと合流しないと…」 リドリーの持っていた剣とバッグを回収した二人はとりあえず今後の行動を話し合った。 「この付近には鎌石村という村があるようです。他に人がいるかもしれませんから、まずそこへ向かいましょう」 「うん!そうだね!」 「じゃあ、早速行きましょうか」 そう言って二人が立ち上がろうとした瞬間。 ピシュン! その音と共に何かがスフレの体を貫いた。 僅かだが吐血し、その場に崩れ落ちるスフレ。 「スフレさん!?」 クレアは倒れたスフレを抱きかかえる。 返事は無い。既に彼女は事切れている。即死だった。 「一体どこからっ…」 慌てて辺りを見回すと、そこには倒れながらも銃をこちらに向けて構えているリドリーの姿があった。 (そんな…彼女の荷物は全て回収したのに…) そう思うが否や、今度は自身の体に衝撃が走る。 「あ…」 そう呟くと同時に、体中から力が抜けてクレアは倒れ伏した。意識と視界が霞んでいく。 (フェイトさん…お父様…ネル……ごめんなさい…) それが彼女の最後の思考になった。 「ふう…」 小さく溜息を吐くと、リドリーは二人が倒れている方へ向かう。 「一か八かだったけど…何とかなるものだな」 リドリーの支給品は、イグニートソードとグラビティレイザーという銃だった。 だが剣はともかくグラビディレイザーという銃は使いこなせる自信が無かったので、万が一のために服の下に隠し持っていたのである。 今のが初撃ちだったが、二人共一発で仕留められた。これならこれからも使っていけそうである。 自分の支給品と死んだ二人の支給品を回収するとリドリーはその場を立ち去った。 リドリーは最初からこのゲームに乗る事を決めていた。 死んだはずの自分が何故こうして生きているのかは分からない。だが自分には、ラジアータに戻ってやらねばならない事がある。 それは金龍の復活させ、自分の命を救ってくれた妖精達を守ること。 あの時は失敗してしまったが、生きてラジアータに戻ることができたら…銀龍であるルシオンを倒すことができたら。 今度こそ成功させられるかもしれない。 その為にも、絶対に自分は死ぬわけにはいかないのだ。 (ジャック…お前とはまた道を違える事になってしまうな) ジャックを始め、この殺し合いには知り合いも何人か参加している。 だが彼らと剣を交える事にも躊躇は無い。 そんな覚悟はあの時――人間側でなく、妖精側に付くと決心した時に既に済ませている。 悲壮な決意と共に、リドリーの戦いが始まった。 【A-2/朝】 【リドリー・ティンバーレイク】[MP残量:100%] [状態:正常] [装備:イグニートソード@SO3] [道具:グラビティレイザー@SO3、忍刀菖蒲@TOP(クレアの支給品)、他クレアとスフレの支給品幾つか、荷物一式] [行動方針:ゲームに勝ち残る] [思考1:移動(方向は次の方任せ)] [思考2:ルシオンを倒す] [現在位置:A-2 東側の砂浜] &color(red){【スフレ・ロセッティ@SO3 死亡】} &color(red){【クレア・ラーズバード@SO3 死亡】} &color(red){【残り57人】} ---- [[第12話>孔子の倒れ]]← [[戻る>本編SS目次]] →[[第14話>ルシファーが贈る刺客]] |前へ|キャラ追跡表|次へ| |―|COLOR(red):スフレ|―| |―|COLOR(red):クレア|―| |―|リドリー|―|
**第13話 負けられない理由 砂浜で二人の女が戦っていた。 灰色の長髪を靡かせ短剣を振るうのはクレア・ラーズバード。 相対する金髪ツインテールの少女リドリー・ティンバーレイクは赤く燃える剣を振り回す。 (この子…強いわ!) 次々に繰り出される斬撃を短剣で受け流しながら、クレアはそう感じる。 剣の扱い、身のこなし、どれを取っても一級品。とても普通の少女とは思えない。 加えて彼女の持つ剣からは振るうたびに火炎弾が発射されてくる。 一つ一つは大したダメージは受けないが、少しづつ確実にクレアの体力を奪っていく。 何とか隙を狙おうとするが、リドリーはそれを許してくれない。 このままではジリ貧だ。 戦いが続くうちに、クレアは防戦一方になっていく。 そしてついに、リドリーの放った斬撃がクレアの短剣を弾き飛ばした。 (しまった――!) リドリーは既に次の攻撃を行うべく剣を振りかぶっている。 攻撃をかわそうとクレアが構えを取ろうとしたその時。 「フローズンダガー!」 どこからともなく聞こえた叫び声と共に、リドリーに向かって氷の刃が飛んできた。 クレアへの攻撃を中止し、その刃を剣で叩き落とすリドリー。 (今だ!) やっと見せた隙をクレアは逃さなかった。素早くリドリーに肉薄し、首筋に手刀を叩き込む。 リドリーは「く…」と呻くと、ゆっくりとその場に倒れた。 「おーい、大丈夫~!?」 先程氷の刃が飛んできた方向を向くと、見覚えのある少女が手を振りながらこちらへ向かって来るのが見えた。 「貴方は…フェイトさん達のお仲間の…」 「スフレだよ!確かネルちゃんの友達でアドレーちゃんの娘さんのクレアちゃんだよね!」 「ええ。貴方のおかげで助かりました」 クレアとスフレは面識は少ないものの、早い内に知り合いに会えたことを喜ぶ。 「こんな事で殺し合うなんて、間違ってるよ!みんなで協力して、ルシファーなんてやっつけてやるんだから!」 「ええ。その為にはまず他の皆さんと合流しないと…」 リドリーの持っていた剣とバッグを回収した二人はとりあえず今後の行動を話し合った。 「この付近には鎌石村という村があるようです。他に人がいるかもしれませんから、まずそこへ向かいましょう」 「うん!そうだね!」 「じゃあ、早速行きましょうか」 そう言って二人が立ち上がろうとした瞬間。 ピシュン! その音と共に何かがスフレの体を貫いた。 僅かだが吐血し、その場に崩れ落ちるスフレ。 「スフレさん!?」 クレアは倒れたスフレを抱きかかえる。 返事は無い。既に彼女は事切れている。即死だった。 「一体どこからっ…」 慌てて辺りを見回すと、そこには倒れながらも銃をこちらに向けて構えているリドリーの姿があった。 (そんな…彼女の荷物は全て回収したのに…) そう思うが否や、今度は自身の体に衝撃が走る。 「あ…」 そう呟くと同時に、体中から力が抜けてクレアは倒れ伏した。意識と視界が霞んでいく。 (フェイトさん…お父様…ネル……ごめんなさい…) それが彼女の最後の思考になった。 「ふう…」 小さく溜息を吐くと、リドリーは二人が倒れている方へ向かう。 「一か八かだったけど…何とかなるものだな」 リドリーの支給品は、イグニートソードとグラビティレイザーという銃だった。 だが剣はともかくグラビディレイザーという銃は使いこなせる自信が無かったので、万が一のために服の下に隠し持っていたのである。 今のが初撃ちだったが、二人共一発で仕留められた。これならこれからも使っていけそうである。 自分の支給品と死んだ二人の支給品を回収するとリドリーはその場を立ち去った。 リドリーは最初からこのゲームに乗る事を決めていた。 死んだはずの自分が何故こうして生きているのかは分からない。だが自分には、ラジアータに戻ってやらねばならない事がある。 それは金龍の復活させ、自分の命を救ってくれた妖精達を守ること。 あの時は失敗してしまったが、生きてラジアータに戻ることができたら…銀龍であるルシオンを倒すことができたら。 今度こそ成功させられるかもしれない。 その為にも、絶対に自分は死ぬわけにはいかないのだ。 (ジャック…お前とはまた道を違える事になってしまうな) ジャックを始め、この殺し合いには知り合いも何人か参加している。 だが彼らと剣を交える事にも躊躇は無い。 そんな覚悟はあの時――人間側でなく、妖精側に付くと決心した時に既に済ませている。 悲壮な決意と共に、リドリーの戦いが始まった。 【A-2/朝】 【リドリー・ティンバーレイク】[MP残量:100%] [状態:正常] [装備:イグニートソード@SO3] [道具:グラビティレイザー@SO3、忍刀菖蒲@TOP(クレアの支給品)、他クレアとスフレの支給品幾つか、荷物一式] [行動方針:ゲームに勝ち残る] [思考1:移動(方向は次の方任せ)] [思考2:ルシオンを倒す] [現在位置:A-2 東側の砂浜] &color(red){【スフレ・ロセッティ@SO3 死亡】} &color(red){【クレア・ラーズバード@SO3 死亡】} &color(red){【残り57人】} ---- [[第12話>孔子の倒れ]]← [[戻る>本編SS目次]] →[[第14話>ルシファーが贈る刺客]] |前へ|キャラ追跡表|次へ| |―|COLOR(red):スフレ|―| |―|COLOR(red):クレア|―| |―|リドリー|[[第67話>騎士の宅急便]]|

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