エロパロ > 名無し > かなでと川辺で・・・

かなでと川辺で・・・

          • 真昼間だってのに黄昏れるっつうのは妙に空しい。
かくもいい天気だとなおさらだ。
さわさわと水の流れる音が耳に涼しい。
ここは以前、釣りに来ていた川辺。
陽光の下、現在俺は水着にパーカーの格好でかなでがやってくるのを待っている。
―――岩場の上にて体育座りの格好で(またの名をトライアングル座法)。

思い切って川に泳ぎにいくのに誘う、というのは結構な勇気が必要だった。
いやどちらかというとピクニックのようなものだろうか、一応軽く食事も挟むつもりだし。
普段親しくする者もいなくて、生徒会長をしていた慣習で優秀な生徒としての模範的な日常を送る。
かなでのそんな行動を見ていると非常にもどかしく、どうにかしたくなってくる。
そこに私情が若干入るのは・・・容認してもらいたい。
他に気にかけてくれるのがいないのも確かなのだ。
実際戦線メンバーはまだどこかわだかまりがあるし、NPCに期待するのは論外。
しかしまあ
「なんだったら今度一緒に泳ぎに行かないか? ほらこの間釣りに行った川辺に。」
というのは我ながら唐突、しかも私情の部分が大きいのは否めない。
その後、「校則違反・・・」「まあまあ・・・」的なやり取りがあったのは言うまでもない。
結果的には了承してもらえた。
そのため、戦線メンバーには一日暇をもらった。
取り戻した記憶に関してのことを匂わせると、ゆりあたりからの許可もあり存外あっさりだった。
かなでに対して以前ほど警戒していないから、一緒に出掛けても簡単にはバレないだろう。

当日、快晴。気温も十分。
戦線メンバーにバレないように待ち合わせて川辺へ。
その道中もいろいろ会話に困った、俺一人ハイテンションな感じだ。
俺の独り相撲状態といわれても仕方ないが、期待と緊張でどうしてもそうなってしまう。
かなではかなででいつも通りな感じだし。
      • 意識してるのは俺一人なんだろうか?
川辺に着いたら、かなでは着替えるために角の向こうへ。
俺はさっさと着替えると、ゴーグル等を準備しておく。
水辺で遊ぶとなるとビーチバレーなどできるといいのだが、二人では厳しい。
それなら潜って魚でも遊泳鑑賞すればいいだろう。流石にもう主クラスはいないだろうし。
しかしこの程度の準備はさっさと終わる。
結果手持ち無沙汰になり、女子の着替えを待っているというのを意識すると自然とこの体勢(トライアングル座法)になった。

思考は白痴同然、さっきから脳内ではここに至るまでの経緯をエンドレス。
と。
「お待たせ」
かなでのか細い声。
「あ、ああ」
テンプレートな返答をしつつ、少し覚悟して振り向く。
―――まあなんだ、白い肌が目に眩しいというのは比喩表現じゃなかったんだな。
イメージを裏切らず身に着けているのは白のワンピース。
いささか発育未発達な肢体には無理なく似合っている。
手足も戦線と激しく戦っていたのが嘘のようにしなやかでほっそりとしている。
なにより病的にすら思えるその肌。
銀の髪にも負けず、白く美しいそれは本当に目に眩しい。
普段顔の造形や、指先の細さを際立たせているが、水着で露出が増すとここまでとは。
これでもワンピースだから露出は少ないほうだというのに。

「変?」
「いや本当に似合っている。うまくいえないんで申し訳ないが」
間髪入れずに返答できたはずだ。
「・・・そう」
どう受け取ったのか、表情の変化が少なくてわかりづらい。
しかし素朴な(というには若干やましい)疑問が。
「かなではてっきり指定水着で来るかと思ったんだが」
校則というものに結構過敏だから。
少し見てみたいとも思ってたのだが。
「授業ならともかく、校外で指定水着を着るのはおかしいわ」
      • まあ、授業時間だけど明らかに学校活動とすら無関係だしな、今。
「まあいいや、とりあえず泳ごうぜ」
「ちゃんと準備運動しないと危ないわ」
流石に抜け目なく注意された。素直に従っておく。
まあいくらかなでのほうが運動能力が高いからといって、女子に溺れたところを助けられるのは嫌だし。

かなでは潜るときは、髪をアップにしておくようだ。
俺はパーカーを脱いで先に水に入る。
「うぉっ」
存外に冷たいが日差しのおかげで寒くはない。
ただ少し慣らしながら入ったほうがよさそうだ。

「結構冷たいから少しづつ入ったほうがいいぞ」
「わかった」
後頭部につけているバレッタ(でいいのか?)を外して髪をまとめてあるようだ。
素直にゆっくり入ってくるかなでにゴーグルを渡しながら、自分も装着する。
シュノーケルのほうが良かったかもしれないが、そこまで深く潜るつもりもないのでいいだろう。
「じゃ、いくぞ?」
頷くかねでを確かめて同時に潜る。
実際潜ってみると奥のほうへ行けば結構な深さになりそうだった。
まあ、ヌシのような大きさの魚(というか怪獣?)が棲んでたことからも予想できたことではある。
流石に二匹三匹はいないだろうが。
深さのせいでわかりにくかったが水は結構澄んでいるから、見通しには困らない。
困るとすれば、こちらの表情・視線に気付かれないかだ。
「・・・」
正直、髪を下ろしたまま水中に浮かぶかなでを見たかったが・・・。
実際問題、長い髪のまま泳ぐのは難しいんだろうと思う。
それに今見ている光景でも十二分に素晴らしい。
強い日差しとそれなりの深さがあるおかげで、ちょっと大袈裟だが幻想的な絵になっている。
「・・・」
「?」
かなでがその仕種であらぬほうを示す。
かなでが示すほうを見てみると・・・少なくない数の魚がまとまって泳いでいた。
「・・・」
かなではじっと魚たちを見ているようだ。
人と触れ合うのが極端に少ないので、こういったものを見ているのが好きなのかもしれない。
その後、息継ぎしながらもしばらく鑑賞し続けた(ただし興味の対象は別)。

「遊ばなくても良かったの?」
「いや、何も運動だけが泳ぎの楽しみじゃないし。激しく動けばいいってもんでもないだろ」
気付けば結構な時間が経っていたので、普段より遅い昼食をとることにした。
ちなみにかなでのほうで用意してくれた。
まあ俺が準備しようにも、購買か学食しか食事の手段がない以上購買に頼るしかない。
それを差し引いてもかなでが用意してくれる時点で文句が出ようはずがない。
「はい」
「おお」
バスケットに詰められたラインナップを見て、感嘆の声が出た。
定番のサンドイッチに、紙ナプキンの上に油物であるから揚げやポテト。
手作りなのが見て取れるうえに、美味しそうにできている。
漫画のように明らかに不味そうとか、そんなことがなくて安心・・・
「・・・ん?」
なんか、妙なタッパーが二つ入ってる。
「かなで、これは?」
「麻婆豆腐」
「・・・」
      • このラインナップに・・・麻婆豆腐ですか?
「美味しいわ」
「まあ、それは心配してないけど・・・」
言いながら差し出されたレンゲを受け取り(スプーンではなく)、タッパーの片方の蓋を開ける。
そこには確かに麻婆豆腐が入っていた。
「まさかこれ、学食の?」
「そこまでうまくできなかったわ」
      • それは"美味さ"ですか、"辛さ"ですか?
まあかなでの手作りである以上、退くつもりはない、そこまで量多くないし。
辛くなってもこんなにサンドイッチなどがあるのだから、大丈夫だと・・・
「・・・」
思ったのだが・・・なんだろう、このサンドイッチ。
「なあ、これ・・・」
「麻婆サンド」
「・・・」
タマゴ、ツナに並んで具材の赤いサンドイッチがあった。
緩衝材は減り、敵影増加。されど撤退は許されない。
赤い影に対し、比率は1:2といったところで、まだ緩衝材のほうが多い。
が、敵はおそらく一騎当千。
それに飲み物はわずか水筒ひとつ、しかもそれはかなでと共用だ。
敗色濃厚。
      • まあ不味くはないだろうし、辛さに耐えればそれでいいのだ。
「じゃ、いただきます」
「いただきます」

―――結果として、味は申し分無しだったので食べきった。すぐそこに冷えた水が大量に流れていたのも良かった。

食後、落ち着いたらまた川に入る。
といっても潜ったりせず、浮力に背を預け、たゆたう感じだ。
二人とも静かに浮かぶまま。
自然、空を見上げる形になる。
「・・・」
「・・・」
なんていうか、沈黙が苦しくない。
気まずさがなく、互いにこの静けさを共有しているのが心地良い。
「・・・」
「・・・」
どれだけそうしていただろう。
「・・・ねえ」
「ん?」
不意にかなでが呼びかけてきた。
「どうして誘ってくれたの?」
静かな問いかけ。
「前にも言ったろ、仲良くしても俺たちは消えたりしない。必要以上に距離を置かなくてもいいんだ」
「それは皆と触れ合うときのこと」
う・・・
「どうして二人きりなの?」
抑揚のない声が逃げ場を自然と封じる。
あちらが純粋に疑問として問いかけてきている以上、茶化すのも誤魔化すのもできやしない。
「あー・・・えっと」
どうしたものか。まさかこうもいきなり土壇場とは。
かなで相手に婉曲表現で気持ちを伝えるのは難しい。そもそもそういう雰囲気を作るのすら至難だ。
だからまあ逆にそういう雰囲気にならずとも告白しても大丈夫・・・というか結果に影響はないと思う。
しかしそうはいっても、こちらは雰囲気を気にしてしまうもので。
「・・・」
いつの間にか、かなでの目がこちらを向いている。
戦線の皆を含めて、やっと歩み寄れるようになったのだ。
誤魔化すべきではないだろう。結果がどうなろうと。
「正直に言うとだ」
「うん」
「かなでと個人的に来たかったというか・・・男女の関係になりたかったというか・・・」
ヘタレと言うことなかれ、かなでを相手に真剣に告白することを考えてみろ。
こっ恥ずかしいことを淡々とした相手に言うんだぞ、しかもフラれる場合にもあっさりと言われるかもしれない。
「つまり・・・異性として意識してる」
これが限界なんですよ。
「・・・」
どうとったのか、どう思われたのか。
「そう」
それだけが返ってきた。
「・・・」
「・・・」
向こうを意識してるが、視界に入れることができない。
というか、俺がかなでの視界から消滅したい、今すぐ。
「・・・」
「・・・」
しばらく経って、
「よく、わからない」
「―――そっか」
それがかなでの返答だった。
仕方ないといえば仕方ない、こればっかりはどうしようもないから。
俺の言い分にも問題があったんだろうし(むしろ一番の原因?)。
これからの接し方に困るけど、これで急に距離を置くほうが間違っているだろうからいつも通りにしないと。
辛くないといえば嘘になるが。
―――と。
「それでどうするの?」
「え?」
ナニ、その質問?
「付き合うってどうするの?」
「え、え?」
フラレたんじゃないの? というか、かなででも付き合いたいというニュアンスぐらいは理解できてたの?
じゃなくて。

「えっと、わからないって・・・」
「うん」
即答。
「だから、付き合ってみる」
「・・・」
えーと・・・つまり・・・
そんな気持ちは理解できないから付き合えないじゃなくて、わからないから付き合ってみて理解しよう、と。
      • うん、それこそわからねえ。似たようなこと小説とかで見たことあるけどこれ、理由とか手段とか目的とかごっちゃになってないか?
恋愛は個々の自由だけど、どう考えても今その恋愛って言う概念すら持ってないんだぞ、かなでは。
そこに付け入るような真似は、かなり後ろめたい。こっちも真剣なんだから。
「・・・良いのか・・・その・・・そんな簡単に付き合おうなんて・・・」
「あなたが言うなら」
「・・・」
この言葉・・・喜べばいいのか悲しめばいいのか・・・
いや俺にとっては万々歳のはずだ、この場は。
「それで?」
「え?」
「これでどうするの?」
いや、何その、実行すべき次のプロセスはなんですか、みたいな質問?
「どうするって・・・」
「どうするの?」
「・・・恋人らしいことしたり?」
「どんなこと?」
これ天然ですよね? 意図してませんよね?
さておき、とりあえず彼氏彼女の行動を脳内シミュレート。
「・・・手繋いだり」
「前にやったわ」
そうですね。そのまま釣りに連れて行ったし。
「・・・二人で弁当食べたり」
「さっき食べたわ」
実際、まだ口の中若干熱いしな。学食でも食事はしたし。
「・・・二人で出掛けたり」
「今してるわ」
しかも水着で泳ぐオプション付。我ながらフライングにも程があるな。
「・・・」
「・・・」
妙な沈黙。
かなでは俺の言葉を待ってるんだろうが、俺はといえば若さゆえの発想に自己嫌悪の真っ最中。
      • いや、仕方ないだろう? この年頃なんだからさあ・・・その方向に思考が行くのは当然なんだって。
「あー・・・えっと・・・」
「何?」
純粋な目を前に、一人汚れた自分を恥ずかしく思う。
      • 言っていいものだろうか?

「・・・彼氏彼女だから・・・できる・・・その・・・」
「・・・」
「・・・男女交際が行き着く先というか・・・」
「性交渉?」
これどんな拷問? 今かなでにどう思われているか、それを被害妄想するだけでこのまま沈んでいきたくなる。
「まあ・・・率直に言えば・・・」
率直にというか、ストレートすぎる。
今俺、どんな顔してるんだろう? 若さゆえに肯定している自分は誇るべきか、恥じるべきか。
「そう」
「・・・え?」
そう、って?
「どうすればいいの?」
「・・・」
      • これは・・・
「・・・いいのか?」
「あなたが言うなら」
「・・・」
ホント、この言葉・・・どう取ればいいんだ?
素直に喜んでいいものか・・・いや、それ以前にこんな流れでコトに及んでいいものか。
そんな思考とは裏腹に、気持ちだけは据え膳食わねばという状態へシフトしていく。
「それで、どうするの?」
「え?」
「しないの?」
いやそんな・・・今すぐここで、みたいに言われても。
と。
「・・・」
そこで、初めて思い至った。
―――するにしても、何処で?
学校へ戻って? 戦線メンバーがいるだろう領域に、今から着替えて、二人で戻って、学生寮で?
無理。危険すぎるし、かなではいいかもしれないが俺は間が持たないし、我に返ってしまう。勢いに任せたいところがあるんです。
今から戦線メンバーに見つからない場所を探す?
無理。勢いに関してもさっきと同じだし、戦線メンバーとして日が浅い俺では見つからない確証をもてない。
そこの川原で?
無理。双方初めてな上に石や岩ばかりで横になれない。滑りやすいし危険。
後日改めて準備した上で?
これが一番堅実だろう。戦線の索敵・行動範囲を調べ、安心できる場所を見つけておく。この手の目的以外でもかなでと二人でいるには便利そうだし。
問題があるとすれば、また似たようなやり取りをもう一度行えるのかということ。正直、この現状を無駄にしたくない自分がいるんです。
それに、
「・・・」
「・・・」

なんか、かなでとの物理的距離が縮まっている。
俺の気のせいでなければ、無表情ながらも「さあ」と言わんばかり。
      • こ、このまま? 水の中で? 初めてがそれ?
いや、流れで押し切るならそうなるかもだけど、いくらなんでも・・・
「・・・しないの?」
無垢なままに問いかけてくる。
いや、かなでの俺を見る目とか、かなでの中の情事の常識なんかを気にしないでいいなら迷うことは・・・
      • 女々しくも初体験に若干、幻想を見ていた身としては忸怩たる想いだが・・・
「・・・しつこいようだけど、いいのか?」
「うん」
ここまで言われたら、無鉄砲は若さの特権だ、いくしかねえ。

少し浅いところへいく。
足がつき、体を沈めれば軽く浮く程度。横になってもいい辺りまで静かに。
「・・・」
「・・・」
流石に二人とも言葉は無い。無いがそのままかなでの肩を掴み、軽く引き寄せる。
手に吸い付くようなしっとり感。以前触れたゆりの張りのある健康的な肌とも一線を画すものがある。
身長差があるのであまり近すぎるとキスがしづらい。
だから、抱きつくほどにはならないような距離で軽く頭を下げる。
「・・・」
流石にこの程度は察してくれたらしい。何も言わず目を閉じてくれた。
―――既知の感覚で推し量れないだろう感触・感動。
マシュマロのような、などと言うが、はたして市販のマシュマロ如きがこれに並ぶときが来るだろうか。
後頭部・首の後ろ辺りに歓喜の悪寒が集まり、背が粟立つ。
「っふぅ・・・」
意識せずにどちらからともなく唇が離れる。
が、忘我の状態にあった俺はそのまま再び貪るように口付ける。
「っ」
流石に驚いたようだが抵抗はなく、文句もなかった。
「ん・・・っふぅっ・・・」
明らかに先のキスより荒々しくなる。口付けそのものが深くなる。
かなでの背と後頭部へ手がまわる。かねでに逃げる意図はないだろうが、心持ち俺が覆いかぶさるような体勢に。
深いだけのキスに満足できず、かなでの口内を貪っていく。気付けばディープキスになっていた。
「んっ・・んぁっふ・・・む・・・」
かなでも申し訳程度に応えてくる。その手は弱々しく二人の間で揺れている。
どれだけそうしていたのか。
かなでそのものを味わい尽くした後、口を離す。お互いそれだけで息が荒くなっていた。
「っはぁっ・・・ふ・・・」
「ふぅっふ・・・ふ・・・」
いきなり激しいやり取りに呆然としているようだ。あるいは軽い酸欠状態か。
ただでさえ物静かだが、目線はおろか意識の焦点も合っていないようにおもう。
体からやや力が抜けており、背と後頭部に回した俺の手に若干体重がかかっている。
「・・・かなで、そのまま楽に」
「・・・?」
意図も分からず、言われるままに力を抜くのが分かる。
そのまま静かに水面に横たえる。まとめていない髪が広がる。
定まらない視線がこちらを見ている。あどけなさが際立ち、水面に広がる銀髪が神聖さすら見せている。
―――綺麗だ。
自然、壊れ物を扱うように丁寧にかなでの肌をなぞる。頬や太ももなど、ここぞとばかりに肌触りを楽しむ。
そろそろ状況を理解できてきているだろうに、かなでは身を任せたままだ。そのことにどうしようもない支配感と優越感が湧き上がる。
かなでの胸に手を置く。
「・・・」
何か反応があったように思うが、抵抗はない。ワンピースの肩紐を下ろすと、かなでは従順にそこから手を引く。
現れた綺麗な桜色が白い肌も相まって、目に焼きつく。その胸の発育こそ平均には届かずとも、なんら美しさで劣ることはない。
手を置くと、わずかなれど確かな膨らみは肌の質も相まって極上の感触。
桜の粒は隆起しているのだろう、手の中で微かな違和感として自己主張している。
「っ・・ふっ・・・ぁっ・・・」
しばしその感触と、かなでの漏らす喘ぎを堪能する。擦れるのがいいのだろう、乳首はその自己主張を若干強くしている。
胸に意識がいっているのを確認すると、耳に微かに息を吹きかけながらそこにキスする。
「!っふぅっ・・・!」
今まで一番の反応だったろう、全身で身震いしたのが分かった。
そのまま耳・首筋へとキスしながら舐め上げていく。無論、緩急をつけながらの手による胸への愛撫も忘れない。
「?!っ、ぁっっひぅっ・・・!」
困惑はおろか混乱状態のようだ。されるがまま、すべて受け入れてくれている。
胸の愛撫は標的が移動してきた口に任せる。自らの舌がざらざらとかなでの乳首を擦り、唇は乳房を吸い上げ、歯は時折乳首を甘噛みする。
ここに至って、かなでは必死に声を殺し、体がこちらの愛撫にビクビクと強く反応するようになっている。
自分がそう追い詰めているのに、かなでの健気さが微笑ましくなる。
片手は彼女の背を支えている。胸の愛撫に使っていた手を彼女の秘所へと伝わせる。
「!っ」
反応があったというより硬直したという感じ。全身が強張ったのは明白だが、硬直したのは一瞬。
視線を上げると、
「―――」
静かな目がこっちを見ていた。しかし明らかにその目は潤み、性的興奮は確かだった。否定的なものがないのを確かめて、手を動かす。
「っふ、んっっ」
口を硬く閉ざしているので、品を失わない程度に鼻息が荒くなっているようだ。
水着の隙間から手を差し入れ、秘所に這わせる。川の水とは異なる液体が溢れてきていて、指に絡む。
しかしそこはいまだ硬く閉ざされており、ゆっくりほぐす必要があるのが分かる。
クレバスを静かになぞり、慌てず慎重に解きほぐしていく。
当然、胸への攻めは怠らない。否、秘所への恐怖があるならこちらに集中させるためにもなおの事。
全身で反応し続けるかなで。水面の波紋は止むことを知らない。いつの間にか背に回されたかなでの手の爪が度々食い込む。
辛抱強くほぐしていくと秘裂は開いていき、指先に触れる感触も柔らかくなっていく。
その分刺激は鋭敏さを増しているのか、食い込む爪がそれを示している。
少し、覚悟して指をそこへ軽く挿入してみる。
「っ・・・」
危惧したほどの反応はなかった。しかし、性的刺激が強まるばかりなのは確かなようで、反応がなかったわけじゃない。
軽く挿し入れしながら、膣内を擦りあげるように愛撫していく。
「ふぅっ・・ふっ・・・ぁっ・・・」
堪えても堪え切れない、そんな喘ぎが聞こえてくる。異物に対しての苦痛は聞き取れない。
しかし、焦る気持ちはない。執拗なまでの前戯でも、双方初めてである以上必要だと思う。
こと女性にかかる負担が大きいのは明白なのだ。この小柄な体を労わるに越したことはない。
俺は静かに胸から口を離す。見れば若干跡ができていて、非常に申し訳ない気持ちになる。
「・・っ・・・?」
まだ息は荒いかなでが不思議そうにこちらを見てくる。
その視線に応えず、細い体を背に回した手で軽く抱き上げる。その後、両腕を足の下からまわして掴み、彼女の上半身を水の浮力と彼女自身の力に預ける。
結果、出来上がるのは前後逆向きの肩車を傾けたような体勢。自然、俺の目前には彼女の秘所が露わになる。
「・・!?っ・・ゃっ・・・!」
流石にか細い抗議の声。いくらかなででも、至近距離から秘所を観察されるのは羞恥の極みらしく、頬は赤くなっていて無表情も崩れている。
しかし、この体勢になるとバランスをとるのに必死にならざるを得ない。たいした抵抗はできない。
そして俺の目前には口を開きかけている秘裂があり、軽く中までよく見える。恥毛は薄いほうらしく、産毛のようなものがちらほらと。
顔をさらに近づけ、軽く息を吹きかけてみる。
「!!っ・・ゃぁっ・・ゃ・・!」
愚図るような抗議の声。これでも精一杯の抵抗だろう。今の表情だけなら、羞恥に悶える様は当たり前の少女のそれだ。
けれども、その抵抗に応えてあげるつもりはない。
目の前の花弁へ口をつける。
「!?っ」
かなでが硬直する。その隙を逃さず舌を伸ばし、膣内へと侵入する。
入り口を押し開きながら、狭い膣を舌が制圧していく。
「!?っ・・ぁっ・・ぅっ・・っ!?」
極限の羞恥と未知の刺激によって、完全に混乱状態なのだろう。或いは今の状況を理解するのを拒んでいるのか。
抵抗らしい抵抗もできずに快楽に翻弄されるがまま、身震いしている。
そのまましばらくクンニによって彼女を悦ばせると同時に、この先の準備の為に膣を少しでも広げていく。
舌への締め付けも緩和されてきて、喘ぎにも困惑よりも喜悦が滲んできたのを見計らって、動作のペースをはやめる。
「ぁっ・・ぁっ・ぁっ・・・ぁぁっ・・!」
彼女の呼吸も相当荒くなってきたところで、舌を一気に引き抜くと同時、今までまともに触らなかったクリトリスを甘噛み。
「っ―――!」
数瞬、かなでが硬直しながらも強く身震いし、
「―――っふっふっふぅっふぅっふぅ・・・ふぅ・・・!」
ドッと脱力した。慌てて水に沈まないよう気をつける。呼吸は荒く細かいものになっている。
「―――?」
若干放心状態ではあるが、何がどうなったか分からないといった心情をぼやけた目線で伝えてくる。
「かなで、今のがイクってやつだ」
「・・ぅ・・?」
まだ意識が判然としないのか反応が鈍い。
体勢を戻して再び背に手を回し、彼女の姿勢を楽にする。
しばらくそのままでいると、かなでも大分回復してきた。
「大丈夫か?」
「うん」
その答えを聞くと、俺は愚息を取り出す。どんな状態かは語るまでもない。
「・・・それ・・・?」
「・・・ああ」
質問の意図は不明瞭だが嫌悪感の類はないようなので、頷くとそのまま秘所へと近づける。

かなでも俺の背に両手を回す。
「・・・いくぞ」
「・・・うん」
返事を受け、かなでの中へ侵入していく。舌ですらきつく締め付けられただけあって、相当狭い。
「・・ぅっ・・・んっ・・!」
かなでも流石に苦悶の声が出ている。が、止まるわけにもいかない。
そしてそのまま、プツンッと何かを突き破ったのが分かった。
「・・・っ!!」
きつく爪が食い込むが、それよりかなでの一瞬浮かべた表情のほうが堪えた。
そのまま最奥まで進んでとまる。流石にまた呼吸が荒くなっていた。
「・・・大丈夫か?」
「・・・う、んっ・・!」
下手に喋ると、破瓜の傷に響くのだろう。そのまましばし待つ。痛いくらいに締め付けてくるので、暴走しないように我慢はできた。
結構な時間が経つと、大分余裕ができたのか、
「・・・どうしたの?」
こちらが動かないことに疑問を示した。
「もう、大丈夫か?」
「・・・うん・・・動いていい」
「・・・わかった」
完全に痛みは引いていないだろうが、破瓜の傷を刺激しないようにすれば大丈夫・・・かな?
ゆっくり引き抜いて大きくピストン運動する。
「・・んんっ・・ぁっ・・」
なるべく処女膜の部分を刺激しないように、膣奥とGスポットを意識して腰を動かす。
しばし相手を思いやるのを念頭に置いて動いていく。
しかし、そんなもの初体験の身には脆い心がけだった。
「・・・く・・ぉぉっ・・」
「・・・ふぁっ・・ぁぁっ・・んっ・・!」
前戯の甲斐もあったのだろう、思ったより早くかなでが順応してきてその感触はすぐにたまらないものになっていく。
それだけではない。
「・・くぁっ・・ぃぃっ・・ふぅっ・・!」
抱きつくような形になるので、耳元で聞かされる甘い声。
目の前にある、上気した女の表情をしたかなでの美しい顔。
はだけた水着を纏った眩しい肢体。
他でもないあのかなでを組み敷き、一つになっているこの状況。
すべてが俺の薄っぺらい理性をあっという間に叩きのめす。
堪えることなどすぐにできなくなり、どんどん腰の動きは早くなっていく。
「ひぁっぁっうぁっあっあぁっ!」
かなでの嬌声も甲高くなっていく。その痴態がまた俺を刺激する。どこまでも昂ぶっていくのが分かる。
もう限界が近い。
「かなでっ・・もうっ・・」
「っ・・・!」
かなでも、もう限界なのは明らか。
迷うことなく二人でスパートをかける。
目の前が白く染まる。股間の熱が極限まで高まる。
最後に一突き、かなでへありったけをぶつけた。
「っっっ・・・!」
「ぁぁっ・・・!!」
命を吐き出し、そして吸われていくような感覚。
二回、三回と身震いし、射精の欲求に身を任せる。
「はぁーっ・・・はぁ・・はぁ・・」
「ぅぁっ・・ぁっ・・ぅん・・」
お互い、荒い息を整えるのに終始する。
川の中だから、多少脱力しても大丈夫だから楽だ。
一度大きく息を吐く。大分落ち着いてきた。
―――と。
水面に浮く、白濁した精液が。
「・・・」
それだけなら流してしまえばいい。問題はそこではない。
      • 俺・・・考え無しにかなでに膣内射精しちまったっ・・・?
おいおいおい。
「かなで、かなでっ」
「・・・なに・・・?」
かなでがまだ気だるそうにこちらを見てくる。
「な、中で出しちまったけど・・・大丈夫か・・・?」
「・・・?」
かなでは不思議そうにこちらを見たあと、
「・・・死んだ人は、子供を生んだりできないわ」
「・・・」
ああ・・・死後の世界だったな、ここ。

軽く後始末を終えて、身嗜みを整えて(水着だが)、二人でまた川にたゆたう。
情事のあとの気恥ずかしさを気だるさが誤魔化してくれている。
今ばかりは、何も考えたくない。
「ねえ」
もっとも、かなでのこととなれば話は別だが。
「何だ?」
「・・・気持ちよかった?」
「・・・」
やっぱ率直っつうか、ストレートすぎる。
      • まあ、今ばっかりは、
「ああ、最高」
「・・・そう」
そんなこと言う方が野暮だ。惚気だろうが何だろうが今はバカになるべきだ。
そも冷静だったらこんなところで事に及んだりしねえし。
「・・・他には?」
「え?」
他って・・・何が?
「他に、恋人らしいこと」
「・・・あー」
そういえばそういう流れで始まったっけ。完璧頭から吹き飛んでた.

「んー、まあそういった恋人らしいことを日常的に繰り返していくんだから、細かく列挙していったらキリがないな」
「・・・そう」
「まあ、焦らずやっていこう」
「わかった」
そういってくれるかなでが、たまらなく愛おしい。
―――と。
「・・・ん?」
あることに気付く。
「・・・どうしたの?」
「あ、いや、なんでもない」
「・・・?」
不思議そうなかなでから目を逸らす。
『恋人らしいことを日常的に繰り返していく』
これって・・・さっきのようなこと(川の中で)を日常的に繰り返していくととられたんじゃ・・・?
      • 大丈夫だよな? うん、OKOK、平気平気。
かなでにとんでもないことをインプットしてしまった事実から目を逸らす。
「・・・次は?」
「ん?」
「いつ出かけたり、お弁当食べたりするの?」
「・・・んー、そうだな、かなではどうしたい?」
「・・・」
かなでは少し考えて、
「できるだけ早いほうがいいわ」
「―――そうか」
ヤバイ、にやけるのを止められない。
「あ、そうだ」
「・・・?」
「いや、無理にとは言わないんだけど、弁当は麻婆豆腐を少し減らしてくれないか?」
「・・・」
忘れてはならないことだった。
「・・・嫌?」
「いや、美味いんだけどさ、あれだけ辛いと完食できなくなっちまうからさ。せっかく用意してしてもらうのに残したくないしさ」
実際川の中へ頭から突っ込んで口の中洗う羽目になったし。
「・・・」
沈黙がキツイ。
「・・・わかった」
「すまん」
背に腹はかえられないのだ。
「これからは麻婆春雨にする」
「・・・」
この調子だと麻婆サンドやその類友もどんどん出てくるだろう。この程度の受難は甘んじて受けろということなのだろうか?
いろいろ苦労しそうだが最高に幸せな日々になるのは間違いなさそうだった。
      • 思わず成仏したりしないよう気をつけないとな。

―――ちなみに帰り道、手を繋ぐのはよかったのだが、学園の敷地内では『恋人らしいこと』を控えるのを説明するのにとても苦労した。

翌日、屋上にていまだに昨日の余韻に浸っていると(この年頃の純情初体験後はこんなもん)。
「音無君」
「っゆり? どうした?」
背後から我等が戦線のリーダーがやってきていた。
どうやら相当ボーッとしてたらしい、入ってきた物音にすら気付かなかった。
ゆりはこちらに近づいてくると
「二つほど用事があってきたの」
「用事? 昨日のオペレーションか何かについてか?」
昨日丸一日、彼らとは接触していない。なら何か重要な案件が発生していてもおかしくない。
そう考えて少し身構える俺にゆりは、かなでという相手がいながらも思わず見惚れてしまうような笑みを俺に向けて、
「昨日一日の貴方達の行動についての正確な説明をしてほしいの」
「・・・」
―――ありえない。いくらなんでもおかしい。
スピードもさることながら、その情報精度。
『貴方達』。かなでと外出だけならその可能性を怪しまれてもしょうがない。
実際かなでのことを気にかけてたのは周知の事実。そこに二人揃って姿を消してたのが判明すれば自明の理だろう。
だが『正確な説明』というこのフレーズ。
この口振り自体が、既に最低限の概要は掴んでいることを示唆している。
暗転直下、懊悩する俺にゆりは、
「さっきね、妙にご機嫌な様子の天使に遭遇しちゃったのよね」
「は?」
ご機嫌な様子? あのかなでが?
困惑し呆然とする俺を他所に、ゆりはそれこそ(表向きは)ご機嫌な様子で、
「あんまり驚いたから思わず『何があったのよ?』って聞いちゃったのよ。このアタシが、天使に、よ?」
「・・・」
「そしたらこれまで信じてた天使のイメージを一新してしまうような調子で、イロイロ、教えてくれたのよ。誰かに話したくて仕方なかったみたいねぇ」
「・・・」
「んふふ~♪」
「・・・へぇ」
こう返すのが精一杯。
イロイロ、かぁ・・・本当に"イロイロ"話したんだろうなぁ・・・。目前のゆりは♪まで付けて、かつて無いほど絶好調。
さて、ここは屋上。
出口はひとつ、ゆりの入ってきた入り口のみ、すなわち現在ゆりの背後にそれはあり、ゆりはかなでとすら渡り合うほど接近戦の心得がある。
布陣としては向こうは万全、こちらは詰みといえる。
しかも情報戦において無自覚の内通者が現れる始末。
というかかなでさん、『ご機嫌な様子』ってどういうことですか? そんな表情・仕種の類を何一つ見せてもらったこと無いんですけど?
今朝会ったときなんていろいろ覚悟(あるいは期待)していた俺が肩透かしくらうくらい、ごくごくいつも通りだったじゃないですか。
まして第三者に嬉々として話すなんて想定外なんてレベルじゃないんですけど、確固たる証言が出た今でも現実感が無いにも程がある。
「それで音無君♪?」
あるいは現実感が無いのは現実逃避を試みていたせいか。っつうか、まだ♪ついてる。
「昨日一日の貴方達の行動についての弁明、そして虚偽の申告に対するお詫び、この二つがほしいの♪」
「・・・」
『弁明』を求めておきながら聞く耳持たずであり、『お詫び』といっておきながら内容はこちらの誠意によってではなく向こうに強要されるのは明らかだ。
かといって救いや打開策があるとも思えない。これは交渉ではなく一方的な弾劾なのだ。
「さ、音無君♪?」

―――この後、何があったのかを語ることはできない、というか語れない、語らない。
『理解せざるを得なかった』ゆりの気持ちは男冥利に尽きるのだが、今はただただどちらに対しても『不誠実』で申し訳ない。
ゆりとかなでが次に顔を合わせたらどうなるか・・・そのときの選択を考えるので今は精一杯だった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年06月03日 01:21