明智健悟の耽美なるバトルロワイヤル――幕間 ◆1sC7CjNPu2
モノレールの車内は、明智が考えていたものより広々とした印象を受けた。
それが無人の車内に一人きりという状況だからなのか、それとも本当に車両自体が広いのかは判断しかねるところだが。
それが無人の車内に一人きりという状況だからなのか、それとも本当に車両自体が広いのかは判断しかねるところだが。
「元の世界に戻ったら、もう少し列車について勉強することにしましょうか」
明智は語り聞かせるように呟く。
反応がないということは分かっているが、何もしないよりはマシだろうという考えの下だ。
――それにしても、このままではクセになってしまいそうですね。
明智は苦笑した。
反応がないということは分かっているが、何もしないよりはマシだろうという考えの下だ。
――それにしても、このままではクセになってしまいそうですね。
明智は苦笑した。
改めて、明智は車内を見渡す。
座席は進行方向に交差する形で並んでいる。クロスシートという、二人がけの座席を中央の通路を挟んで複数列配置する形式だ。
シートは、ボックスシートという前後の二列が向かい合わせになる形で固定されている。
座席と床の間には、僅かに空間が開いていた。横幅は広いが高さが低く、子供ならまだしも大人では通れそうにはない。
――つまり、子供なら潜むことぐらいはできるというわけです。
座席は進行方向に交差する形で並んでいる。クロスシートという、二人がけの座席を中央の通路を挟んで複数列配置する形式だ。
シートは、ボックスシートという前後の二列が向かい合わせになる形で固定されている。
座席と床の間には、僅かに空間が開いていた。横幅は広いが高さが低く、子供ならまだしも大人では通れそうにはない。
――つまり、子供なら潜むことぐらいはできるというわけです。
「おかげで、いちいち覗き込まないといけないんですよ……楽しいですか?人の這い蹲る姿を見るのは」
愚痴をこぼしながらも、明智は確認を怠らない。
ひょっとしたら、怯えて隠れている子供がいるかもしれない。殺し合いに乗った子供が、息を潜めているかもしれない。
また、魔法や錬金術といった特殊な能力を持つ者が潜んでいるかもしれない。
不安の種は、考え出したら切りがない。しかし、明智は今いるこの会場が常識外のもので溢れていることを知っている。
自身の常識が通用しない以上、ある程度の警戒は必要だった。
ひょっとしたら、怯えて隠れている子供がいるかもしれない。殺し合いに乗った子供が、息を潜めているかもしれない。
また、魔法や錬金術といった特殊な能力を持つ者が潜んでいるかもしれない。
不安の種は、考え出したら切りがない。しかし、明智は今いるこの会場が常識外のもので溢れていることを知っている。
自身の常識が通用しない以上、ある程度の警戒は必要だった。
■
明智は最初に乗り込んだ先頭車両から最後尾の車両を調べ、もう一度座席の下を調べながら先頭車両に戻った。
幸いと言っていいのか、人影は見当たらなかった。
手間はかかったが、モノレールの中のひとまず安心を買えるとしたら安いものだろう。
幸いと言っていいのか、人影は見当たらなかった。
手間はかかったが、モノレールの中のひとまず安心を買えるとしたら安いものだろう。
「つかの間の休息といった所ですか……なら、今のうちに食事にでもしますか」
デイパックから支給品の食料を取り出し、手早く口に含む。
あまりの味気なさに眉をひそめるが、しかたがなく咀嚼する。
あまりの味気なさに眉をひそめるが、しかたがなく咀嚼する。
「まったく、カロリーメイトでももう少しマシな味ですよ」
味わうことなく水で流し込み、文句を言う。
その時に食べかすが少しこぼれ、生乾きのシャツに付着した。
明智はため息をつくと、ネクタイを外しシャツを脱ぎ始めた。
その時に食べかすが少しこぼれ、生乾きのシャツに付着した。
明智はため息をつくと、ネクタイを外しシャツを脱ぎ始めた。
以下蛇足。
明智の体は筋骨隆々とは言わないが、無駄な贅肉がなく引き締まっていた。
胸は鍛えられた筋肉によって薄っすらと盛り上がっており、生乾きのシャツを着ていたせいか薄っすら湿っている。
腹筋も見事なもので、よく見れば割れているのが分かる。しかもボディビルダーのような暑苦しさはなく、むしろ清涼感を感じさせるものだ。
腕や肩などのパーツも、筋肉が皮膚を押し上げていて理想的な形だ。
注目すべきなのは、全体のバランスがよくまるで彫像のように美しい体だということだ。
本人の美貌とも相まって、『美しい』という言葉を体現しているようである。
胸は鍛えられた筋肉によって薄っすらと盛り上がっており、生乾きのシャツを着ていたせいか薄っすら湿っている。
腹筋も見事なもので、よく見れば割れているのが分かる。しかもボディビルダーのような暑苦しさはなく、むしろ清涼感を感じさせるものだ。
腕や肩などのパーツも、筋肉が皮膚を押し上げていて理想的な形だ。
注目すべきなのは、全体のバランスがよくまるで彫像のように美しい体だということだ。
本人の美貌とも相まって、『美しい』という言葉を体現しているようである。
以上蛇足終了。
食べかすと僅かに残った湿り気と塩分を振り飛ばすつもりで、明智はシャツはパンッと払う。
スラックスも同様にやってみようかとも考えたが、流石に止めておいた。
監視されているかもしれない状況で裸を晒すのには流石に抵抗があった。
スラックスも同様にやってみようかとも考えたが、流石に止めておいた。
監視されているかもしれない状況で裸を晒すのには流石に抵抗があった。
改めてシャツに腕を通し、少し迷ってからネクタイをデイパックに仕舞った。
もう一度ネクタイを巻くのには、少々首輪が邪魔だったからだ。
トントン、と首輪を指で叩く。
もう一度ネクタイを巻くのには、少々首輪が邪魔だったからだ。
トントン、と首輪を指で叩く。
「まさか、これの解除にも『螺旋』が絡んでるとかいうことはありませんよね」
螺旋博物館の螺旋尽くしを思い出し、思わず辟易する。
結びつけるにはやや安直すぎる気もしたが、そうであってもおかしくない気がした。
もっとも、現状では手の出しようがないため確認することすらできない。
そもそも解除できるように出来ているのかすら分からないのだ。
結びつけるにはやや安直すぎる気もしたが、そうであってもおかしくない気がした。
もっとも、現状では手の出しようがないため確認することすらできない。
そもそも解除できるように出来ているのかすら分からないのだ。
「やはり、一度首輪を調べてみないといけませんか」
明智の目的であるこのゲームから脱出するためには、首輪の解除は必須の条件だ。
ゲームが始まった当初から、考えていたことではある。
しかし目視できない自分の首輪に手を加えるのは危険だし、手を誤れば爆破してしまう可能性がある首輪を他人が易々と触れさせてくれるはずがない。
そう思って、保留にしておいたのだ――死者が出るまでは。
ゲームが始まった当初から、考えていたことではある。
しかし目視できない自分の首輪に手を加えるのは危険だし、手を誤れば爆破してしまう可能性がある首輪を他人が易々と触れさせてくれるはずがない。
そう思って、保留にしておいたのだ――死者が出るまでは。
「……死者を弄ぶ趣味は無いんですがね」
死者から、首輪を回収する。
道徳的にどうかと思われる手段だが、殺し合いに乗るつもりのない明智が首輪を手に入れるにはそれぐらいしかない。
道徳的にどうかと思われる手段だが、殺し合いに乗るつもりのない明智が首輪を手に入れるにはそれぐらいしかない。
――私にはこの首輪を解除するスキルはありませんが、機会があったら回収することにしましょう。
他にも考えることはあったが、それは中断されることになった。
考え事をしているうちにモノレールはD-1の駅についたからだ。
無人の車掌室は自動的に操作され、安全にモノレールを駅に止める。
扉が開き、明智はプラットホームに足を踏み出した。
考え事をしているうちにモノレールはD-1の駅についたからだ。
無人の車掌室は自動的に操作され、安全にモノレールを駅に止める。
扉が開き、明智はプラットホームに足を踏み出した。
「モノレールが再出発するまで三時間二十分、その間に何か見つかればいいのですが」
残してきたクロスミラージュのことも気がかりだ。
彼は必ず説得すると言っていたが、それを愚直に信じるわけにはいかない。
――最悪の場合も、考えておかないといけませんしね。
ティアナという少女が殺し合いに乗ったなら、恐らく明智をD-4の駅で待ち伏せするだろう。
確実に来ることが分かっている獲物を逃すはずがないし、何より明智は予備のカートリッジを持っている。
彼は必ず説得すると言っていたが、それを愚直に信じるわけにはいかない。
――最悪の場合も、考えておかないといけませんしね。
ティアナという少女が殺し合いに乗ったなら、恐らく明智をD-4の駅で待ち伏せするだろう。
確実に来ることが分かっている獲物を逃すはずがないし、何より明智は予備のカートリッジを持っている。
「どちらにしろ、彼女は駅を動けないはずですしね」
今は、クロスミラージュを信じることしかできない。
明智は機能していない駅の改札を通り、空を見上げた。
もう朝日とはいえない太陽が、馬鹿みたいに眩しかった。
明智は機能していない駅の改札を通り、空を見上げた。
もう朝日とはいえない太陽が、馬鹿みたいに眩しかった。
【D-1・駅/一日目・朝】
【明智健悟@金田一少年の事件簿】
[状態]:若干疲労、右肩に裂傷、服も乾いてきた頃(上着喪失)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(一食分消費)、ジャン・ハボックの煙草(残り16本)@鋼の錬金術師、参加者詳細名簿、予備カートリッジ8
ダイヤグラムのコピー
[思考]
基本思考:犯罪芸術家「高遠遙一」の確保。ゲームからの脱出。
1:ゲームに乗っていない人間を探しつつ施設を回る。
2:D-1駅に到着次第、付近を調査(水族館かドーム球場を回りたい)
3:D-1駅から10:50発のモノレールに乗ってD-4駅へと戻り、クロスミラージュと合流。
4:金田一、剣持を探す。
5:明日の正午以降に博物館の先に進む。信頼できる人物にはこのことを伝える。
6:もし死体を見つけた場合、気が進まないが首輪を回収する。
【明智健悟@金田一少年の事件簿】
[状態]:若干疲労、右肩に裂傷、服も乾いてきた頃(上着喪失)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(一食分消費)、ジャン・ハボックの煙草(残り16本)@鋼の錬金術師、参加者詳細名簿、予備カートリッジ8
ダイヤグラムのコピー
[思考]
基本思考:犯罪芸術家「高遠遙一」の確保。ゲームからの脱出。
1:ゲームに乗っていない人間を探しつつ施設を回る。
2:D-1駅に到着次第、付近を調査(水族館かドーム球場を回りたい)
3:D-1駅から10:50発のモノレールに乗ってD-4駅へと戻り、クロスミラージュと合流。
4:金田一、剣持を探す。
5:明日の正午以降に博物館の先に進む。信頼できる人物にはこのことを伝える。
6:もし死体を見つけた場合、気が進まないが首輪を回収する。
[備考]
※参戦時期はアニメ最終回(怪奇サーカスの殺人)後
※リリカルなのはの世界の魔法の原理について把握しました。
※参戦時期はアニメ最終回(怪奇サーカスの殺人)後
※リリカルなのはの世界の魔法の原理について把握しました。
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