HAPPY END(17)◆ANI2to4ndE
その答えは舞衣の手元から返ってきた。
「やややや、槍がしゃべった!?」
「お前、しゃべれたのかよ……」
「お前、しゃべれたのかよ……」
あまり支給品については二の次だったためか、ストラーダが喋れるということを知らなかった。
支給品名簿に記載されていた"アームドデバイス"はインテリジェントデバイスとは異質なものかと思っていたのだ。
しかしそんなことはスパイクにとって関係ない。
重要なのは目の前のヤツが何を企んでその格好をしているのか――その理由だ。
支給品名簿に記載されていた"アームドデバイス"はインテリジェントデバイスとは異質なものかと思っていたのだ。
しかしそんなことはスパイクにとって関係ない。
重要なのは目の前のヤツが何を企んでその格好をしているのか――その理由だ。
「お前は誰だ。何の目的で死人の面を借りて歩き回ってやがる。
それに一体何を背負って――」
それに一体何を背負って――」
だがそこでスパイクの口から言葉が途切れる。
舞衣も、ねねねも、ゆたかも目を見張る。
彼女が何を背負っているかに気づいたのだ。
舞衣も、ねねねも、ゆたかも目を見張る。
彼女が何を背負っているかに気づいたのだ。
それは、あまりにもボロボロで、泥まみれで。
手足がありえない方向に曲がっているから、気づかなかったのだ。
だが、この場にいる全員は、それを――いや、彼を知っている。
手足がありえない方向に曲がっているから、気づかなかったのだ。
だが、この場にいる全員は、それを――いや、彼を知っている。
「ガッシュ……くん……」
少女が背負っていたのは、赤い巨人との戦いで力尽きた少年の躯。
ねねねが邪魔になる、と判断し、苦渋の決断で置いてきた彼の亡骸を。
如何なる惨状に巻き込まれたのか、死体についた傷は酷くなっている。
だが顔――潰れていない顔半分だけは綺麗に拭われ、整えられていた。
呆然とする彼らの前で、少女は優しくガッシュの背中を大きなビルの瓦礫に預けさせる。
そこに込められたのは死者に対する敬意と親愛。
傍から見たその行為は、まるで神聖なる儀式のようであった。
ねねねが邪魔になる、と判断し、苦渋の決断で置いてきた彼の亡骸を。
如何なる惨状に巻き込まれたのか、死体についた傷は酷くなっている。
だが顔――潰れていない顔半分だけは綺麗に拭われ、整えられていた。
呆然とする彼らの前で、少女は優しくガッシュの背中を大きなビルの瓦礫に預けさせる。
そこに込められたのは死者に対する敬意と親愛。
傍から見たその行為は、まるで神聖なる儀式のようであった。
「……何の真似だ」
『ここは――とても見晴らしがいい』
『ここは――とても見晴らしがいい』
周囲にくぐもった男の声が響き渡る。
まるでスピーカーを通したようなその声が、どこから流れているのか。
たった一人だけ、真正面にいたスパイクは確かに見た。
その声が間違いなく、目の前の少女の口から発せられたところを。
まるでスピーカーを通したようなその声が、どこから流れているのか。
たった一人だけ、真正面にいたスパイクは確かに見た。
その声が間違いなく、目の前の少女の口から発せられたところを。
『ここからなら今から起こること全てが見通せるでしょう。
それはきっとガッシュが望むことでしょうから』
それはきっとガッシュが望むことでしょうから』
小さな口から流れるにはあまりにもアンバランスな声。
まるで下手なアテレコのような、そのちぐはぐな光景に全員は呆気に取られる。
この場で唯一、その声を知るストラーダ以外は。
まるで下手なアテレコのような、そのちぐはぐな光景に全員は呆気に取られる。
この場で唯一、その声を知るストラーダ以外は。
『……クロス……ミラージュ』
それは、幻の名を持つデバイスの名。
彼のライブラリに記憶された声の持ち主の名前。
彼のライブラリに記憶された声の持ち主の名前。
少女はその答えを肯定するように、ゆっくりと頷く。
そしてねねねたちの顔を見て、口を開く。
そしてねねねたちの顔を見て、口を開く。
『あなた達は……Mr.明智が、集めた仲間なのですね。
ガッシュと共に戦っていた、貴方たちが……』
「おい、ちょっと待て! あたしが明智から聞いてたクロスミラージュってのはデバイスだぞ!
デバイスってこいつやマッハキャリバーと同じなんだろ!?
それが何でそんな格好になってんだ?」
ガッシュと共に戦っていた、貴方たちが……』
「おい、ちょっと待て! あたしが明智から聞いてたクロスミラージュってのはデバイスだぞ!
デバイスってこいつやマッハキャリバーと同じなんだろ!?
それが何でそんな格好になってんだ?」
ねねねも明智とガッシュから、クロスミラージュについては話を聞いている。
だが、クロスミラージュはデバイスという名のマジックアイテム。
その形状は手のひらサイズのプレートか、もしくは玩具のような銃のはずだ。
決して、人などではない。
だがクロスミラージュはその問いかけには答えず、ただ、寂しそうな笑みを浮かべるだけ。
だが、クロスミラージュはデバイスという名のマジックアイテム。
その形状は手のひらサイズのプレートか、もしくは玩具のような銃のはずだ。
決して、人などではない。
だがクロスミラージュはその問いかけには答えず、ただ、寂しそうな笑みを浮かべるだけ。
『クロスミラージュ、お前は今から何が起こるのか知っているのか』
『起こるのではない……起こすのです。"彼"と、私が』
『起こるのではない……起こすのです。"彼"と、私が』
かつての仲間の問いにもそうとだけ答え、元デバイスは再び歩き出す。
その歩みに迷いは無く、目的地に向かって一直線に。
その歩みに迷いは無く、目的地に向かって一直線に。
「おい、どこへ行くつもりだ」
『――"彼"のところへ。きっとあそこで、"彼"が……待っている』
『――"彼"のところへ。きっとあそこで、"彼"が……待っている』
その目が見つめるのは、鎮座するグレンの姿。
あの男の愛機の元へ、クロスミラージュはまっすぐに歩き出す。
あの男の愛機の元へ、クロスミラージュはまっすぐに歩き出す。
◇
足取りが重い。まるで手足にでかい錘が付いているかのように。
まぶたが重い。まるで何日も寝ていないかのように。
だが、それでも男は進む。
仲間を失いつつも、自らの命の炎を燃やしながら。
まぶたが重い。まるで何日も寝ていないかのように。
だが、それでも男は進む。
仲間を失いつつも、自らの命の炎を燃やしながら。
「天を、貫くんだ……!」
うわごとのように呟きながら男は行く。
その歩みは一直線。
迂回など知らない。知っていたとしても、選ぶはずが無い。
男だったら一直線に進むだけだ。
そう信じた足取りで、男は1人、荒野を行く。
その歩みは止まることは無い。
その歩みは一直線。
迂回など知らない。知っていたとしても、選ぶはずが無い。
男だったら一直線に進むだけだ。
そう信じた足取りで、男は1人、荒野を行く。
その歩みは止まることは無い。
「ほう、まだ死にぞこなっていたか」
たとえ、その前に理解すら及ばぬ壁が立ち塞がっても。
「貴様がこうしているということは……あの札遊びの王は死んだか。
我の許可無く死ぬとは恥知らずにも程があろう」
我の許可無く死ぬとは恥知らずにも程があろう」
その壁の名は英霊ギルガメッシュ。
天地に聞こえた史上最古の英雄王。
そしてこの実験に参加させられた者たちの中でも、恐らくは最強の一角を担う存在。
王ドロボウに慢心を盗まれ、完全無欠と化した究極にして唯一の王。
だが満を持して放たれた全力全開の一撃は、果たして天を貫けず。
今の彼はその結果に怒りを覚えているようでもあるし、ただ受け入れているようにも見える。
唯一つ言えるのはマッハキャリバーでは、今の王の言動は読みきれないということだけ。
いつも以上にいつ爆発するかわからない……歩く爆弾なのだ。
天地に聞こえた史上最古の英雄王。
そしてこの実験に参加させられた者たちの中でも、恐らくは最強の一角を担う存在。
王ドロボウに慢心を盗まれ、完全無欠と化した究極にして唯一の王。
だが満を持して放たれた全力全開の一撃は、果たして天を貫けず。
今の彼はその結果に怒りを覚えているようでもあるし、ただ受け入れているようにも見える。
唯一つ言えるのはマッハキャリバーでは、今の王の言動は読みきれないということだけ。
いつも以上にいつ爆発するかわからない……歩く爆弾なのだ。
「どけ、金ぴか……こちとらテメェにかまってる暇はねえんだよ」
だがそんなマッハキャリバーの心配などカミナが知る由も無い。
天上天下にその名を轟かす英雄王に、不躾に言葉を叩きつける。
天上天下にその名を轟かす英雄王に、不躾に言葉を叩きつける。
だが、その言葉に目の前から半歩、金ぴかの姿が横にずれる。
あの金ぴかが道を譲った……珍しいこともあるもんだ。
まぁいいか、何だろうと退いてくれるなら文句はない。さっさと前に進むだけだ。
だが、だというのに何故足が前に進まないのだろう。
それどころか、何故座り込んでいるのだろう?
そこでやっとカミナは気づく。
さっきはギルガメッシュが道を譲ったのではなく、自分が勝手に倒れたのだということに。
あの金ぴかが道を譲った……珍しいこともあるもんだ。
まぁいいか、何だろうと退いてくれるなら文句はない。さっさと前に進むだけだ。
だが、だというのに何故足が前に進まないのだろう。
それどころか、何故座り込んでいるのだろう?
そこでやっとカミナは気づく。
さっきはギルガメッシュが道を譲ったのではなく、自分が勝手に倒れたのだということに。
(くそう……こんな所で……寝てる暇は……ねえのに……よ)
だが、流れる血は止まらず、引きずられるように意識は消えていく。
意識を失った体からは力が失われ、その瞳からは光が消えた。
それはあっけない……だが考えれば当然の結末だった。
彼が今まで全身に負った傷は、10や20では収まらない。
そしてその傷のダメージの総量が彼のタフネスを超えてしまった……ただそれだけの話。
意識を失った体からは力が失われ、その瞳からは光が消えた。
それはあっけない……だが考えれば当然の結末だった。
彼が今まで全身に負った傷は、10や20では収まらない。
そしてその傷のダメージの総量が彼のタフネスを超えてしまった……ただそれだけの話。
そして瓦礫の町の中、黄金の王を前にして。
カミナを動かしていた心臓は、その鼓動を完全に停止した。
カミナを動かしていた心臓は、その鼓動を完全に停止した。
「ふん……大馬鹿者は所詮大馬鹿者でしかなかったか」
ギルガメッシュは座り込む屍を一瞥し、心底つまらなそうにため息をつく。
そのまま一切の興味をなくし、踵を返して歩き去ろうとした。
そのまま一切の興味をなくし、踵を返して歩き去ろうとした。
『――カミナ!』
そこに青い髪の女が出現するまでは。
『な……ティ、ティアナ!!? いや、しかしその声は……!?』
「……ほう、人の体を手に入れたか魔具よ」
「……ほう、人の体を手に入れたか魔具よ」
困惑するマッハキャリバーと対照的にギルガメッシュは落ち着き払っている。
それは首輪から解き放たれた今、彼の全てを見通す真眼――
『全知なるや全能の星(シャ・ナクパ・イルム)』は目の前の存在の正体を看破しているのだから。
それは首輪から解き放たれた今、彼の全てを見通す真眼――
『全知なるや全能の星(シャ・ナクパ・イルム)』は目の前の存在の正体を看破しているのだから。
そしてクロスミラージュに続くように現れたねねね達が目撃したのは、
月明かりを照らし輝く王と頭から血を流しながら跪く男の姿だった。
月明かりを照らし輝く王と頭から血を流しながら跪く男の姿だった。
「おい、ギルガメッシュ。お前まさか……」
まさか、この傲慢なる王の逆鱗に触れたのだろうか。
疑いの声を上げたねねねに対し、ギルガメッシュは煩わしげにため息をつく。
疑いの声を上げたねねねに対し、ギルガメッシュは煩わしげにため息をつく。
「やれやれ……雑種は目も曇っておるのか?
そこな愚か者は勝手に近づき、勝手にくたばっただけよ」
そこな愚か者は勝手に近づき、勝手にくたばっただけよ」
真実、英雄王の逆鱗に触れたのなら肉片一つ残るまい。
跪く青年は五体満足、しかしその四肢に力は無い。
まるで神に絶望した聖職者のように、膝を突きながら、
王に愚か者と評されたその男は、全ての生命活動を停止していた。
跪く青年は五体満足、しかしその四肢に力は無い。
まるで神に絶望した聖職者のように、膝を突きながら、
王に愚か者と評されたその男は、全ての生命活動を停止していた。
『カミナ……』
誰もが言葉を失う中、クロミラはそのそばにそっとひざまずく。
傷つき過ぎた彼を気遣うように、その冷たい頬にそっと触れ、そして――
傷つき過ぎた彼を気遣うように、その冷たい頬にそっと触れ、そして――
『――歯ぁ、食いしばれ』
思い切り振りかぶり、容赦の無い一撃を無防備な顔面に叩き込んだ。
腰の入った一撃を受け、カミナの体が紙くずのように中を舞う。
そして数回バウンドした後、大きな音を立て、瓦礫の山に頭から突っ込んだ。
腰の入った一撃を受け、カミナの体が紙くずのように中を舞う。
そして数回バウンドした後、大きな音を立て、瓦礫の山に頭から突っ込んだ。
静寂の中、ガラガラと瓦礫の崩れる音がする。
だが、それ以外の音は聞こえない。
誰もが目の前で起きたシュールな光景に言葉を失っていた。
あのギルガメッシュすら驚きに目を見開いている。
だが、それ以外の音は聞こえない。
誰もが目の前で起きたシュールな光景に言葉を失っていた。
あのギルガメッシュすら驚きに目を見開いている。
『な、何をしているのですかクロスミラージュ!!』
その中で、最初に我に返ったのはマッハキャリバーだった。
彼の知るクロスミラージュは冷静で寡黙で、こんな文字通り死体に鞭打つ真似をするような人物ではない。
きっと理由があるはずだ。全員が納得に足るような――
彼の知るクロスミラージュは冷静で寡黙で、こんな文字通り死体に鞭打つ真似をするような人物ではない。
きっと理由があるはずだ。全員が納得に足るような――
『気合が足りないようだから、気合を入れてやったまでです。
何かおかしい所でもありますか、マッハキャリバー?』
何かおかしい所でもありますか、マッハキャリバー?』
――わからない。彼が何を言っているのか、さっぱりわからない。
しばらく会わないうちに、彼の身に何があったというのだろう。
肉体(ハード)的なだけでなく、精神(ソフト)的にも変わり果ててしまったのだろうか?
心臓マッサージでもあるまいし、あれでは完全に死「何しやがんだテメェ!」
肉体(ハード)的なだけでなく、精神(ソフト)的にも変わり果ててしまったのだろうか?
心臓マッサージでもあるまいし、あれでは完全に死「何しやがんだテメェ!」
『何ィー!!?』
何事も無かったかのように瓦礫の中からむくりと身を起こすカミナ。
そしてクロスミラージュの姿を見て、驚きに目を見張る。
それも当然か。
今の自分はマスターの、ティアナ・ランスターの姿を借りているのだ。
しかも彼はあの船の中でその死体を確認している。
彼にしてみれば歩き回る死体と思われても仕方がない。
そしてクロスミラージュの姿を見て、驚きに目を見張る。
それも当然か。
今の自分はマスターの、ティアナ・ランスターの姿を借りているのだ。
しかも彼はあの船の中でその死体を確認している。
彼にしてみれば歩き回る死体と思われても仕方がない。
「……随分と変わったじゃねえか、クロミラ」
だが、変わり果てても、彼はわかってくれた。
そのことが「お前はお前だ」と言ってくれているようで嬉しい。
そのことが「お前はお前だ」と言ってくれているようで嬉しい。
『ええ、直接会うのは実に5時間と36分ぶりですねカミナ』
だがその視線が一部に集中していることに気づく。
じろじろ見られている。特に胸のふくらみを。
じろじろ見られている。特に胸のふくらみを。
『……どこを見ているのですか、どこを』
「いや……お前、女だったのか?」
『……いえ、もともと性別など無い身ですが、
私に登録されていたマスターのパーソナルデータを元に構築したためこの姿になったようです』
「あん? どういうこった」
『偶然にも付近に落下してきた螺旋生命体と波長が合ったようで蛋白質を解析、
魔術回路をフレームとして、サブフレームに血流を模倣した魔術エネルギー・フォトンブラッドを循環させ、
魔術粒子によるアーティフィシャルスキンと擬似マッスルパッケージを実装し――』
「おいクロミラ……さっぱりわかんねぇぞ。もっと分かりやすく言え」
「いや……お前、女だったのか?」
『……いえ、もともと性別など無い身ですが、
私に登録されていたマスターのパーソナルデータを元に構築したためこの姿になったようです』
「あん? どういうこった」
『偶然にも付近に落下してきた螺旋生命体と波長が合ったようで蛋白質を解析、
魔術回路をフレームとして、サブフレームに血流を模倣した魔術エネルギー・フォトンブラッドを循環させ、
魔術粒子によるアーティフィシャルスキンと擬似マッスルパッケージを実装し――』
「おいクロミラ……さっぱりわかんねぇぞ。もっと分かりやすく言え」
そういえばカミナと出会ったとき、自身のことを説明するのにやたら時間をかかったことを思い出し、クロスミラージュは数秒思案する。
そして出した結論は、
そして出した結論は、
『簡単に言うと……気合、ですね』
「へ……分かってきたじゃねぇか」
「へ……分かってきたじゃねぇか」
カミナの口端が吊り上がり、大きな笑みを作り上げる。
そんなカミナの顔をクロスミラージュは覗き込む。
そんなカミナの顔をクロスミラージュは覗き込む。
『それで……貴方は何をしているのです。
ここで倒れるのが大グレン団のリーダー……
いや、カミナという男ですか? "やり遂げた"ガッシュの友ですか?』
ここで倒れるのが大グレン団のリーダー……
いや、カミナという男ですか? "やり遂げた"ガッシュの友ですか?』
そして差し出されたのはボロボロのマントの切れ端。
所々に赤黒い汚れがこびりついたそれは、千の言葉よりも何があったかを物語る。
そしてクロスミラージュの言葉を聞き、彼が何を見てきたのかを悟る。
所々に赤黒い汚れがこびりついたそれは、千の言葉よりも何があったかを物語る。
そしてクロスミラージュの言葉を聞き、彼が何を見てきたのかを悟る。
そっか、あいつも燃え尽きたのか。
それもきっとドモンのように、思いっ切り。
そう考えると不思議と悲しくはなかった。
代わりに沸きあがってきたのは、自分の不甲斐なさへの怒り。
それもきっとドモンのように、思いっ切り。
そう考えると不思議と悲しくはなかった。
代わりに沸きあがってきたのは、自分の不甲斐なさへの怒り。
「……そうだな、ああ、そうだ。こんなんは"カミナ"じゃねえよな」
グレン団の団員が男を見せたんだ。
だったら俺が、こんなところでゆっくりしているワケにはいかねぇよな。
そうだ、あいつらの慕ったリーダーもあいつらの友人としての俺もこんなもんじゃねえ。
あいつらの信じた俺も――もちろん俺の信じた俺もこんなもんじゃないはずだ!
だったら俺が、こんなところでゆっくりしているワケにはいかねぇよな。
そうだ、あいつらの慕ったリーダーもあいつらの友人としての俺もこんなもんじゃねえ。
あいつらの信じた俺も――もちろん俺の信じた俺もこんなもんじゃないはずだ!
『では、カミナ……貴方は今何がしたい』
そしてこの男は訊いてきた。
"何をしなければならない"、でもなく"何をなすべきか"でもなく、カミナが今、やりたいと願うことを。
"何をしなければならない"、でもなく"何をなすべきか"でもなく、カミナが今、やりたいと願うことを。
「……なぁ、クロミラ。お前、空を飛んだことがあるか」
『――いえ』
『――いえ』
マスターであるティアナ・ランスターは陸士であったため飛行する機会には恵まれなかった。
正確に言えばウィングロードで敵地に突入したり、ヘリで飛んだり、そこから降下したりという経験はあるが、彼がさすのはそういうものでもないのだろう。
正確に言えばウィングロードで敵地に突入したり、ヘリで飛んだり、そこから降下したりという経験はあるが、彼がさすのはそういうものでもないのだろう。
「俺はあるぜ……初めて地上に飛び出したときのことを一生忘れねぇ」
生まれ育ったジーハ村を3人で飛び出したときのあの光景。
眼下には無限に広がる赤い荒野。
素肌を浚うのは吹きすさぶ風。
目を焼くのは沈み行く真っ赤な夕日。
薄紅色に染まる世界は、今でも心に焼き付いている。
眼下には無限に広がる赤い荒野。
素肌を浚うのは吹きすさぶ風。
目を焼くのは沈み行く真っ赤な夕日。
薄紅色に染まる世界は、今でも心に焼き付いている。
「ここは穴倉だったんだな」
見上げる空はひび割れだらけ。
彼の知っている空はこんなガラクタじみてはいない。
亀裂が入るのは、穴倉の天井だと相場が決まっている。
だから、
彼の知っている空はこんなガラクタじみてはいない。
亀裂が入るのは、穴倉の天井だと相場が決まっている。
だから、
「だったら……突き破るしかねぇよなぁ……!」
穴倉を掘り続け、開けた先には素晴らしい光景が待っているのだから。
『……まったく、貴方という人は』
単純な答えにクロスミラージュは苦笑する。
だがそれでこそカミナだというかのように、その顔には笑みが浮かんでいる。
だがそれでこそカミナだというかのように、その顔には笑みが浮かんでいる。
「クロミラ、テメェも手伝え。これが終わらねぇとステーキにありつけねえんだ」
『ええ、もちろんですよ。だったらさっさと行きましょう。今は少しでも時間が惜しい』
「ああ……行くと……すっか……!」
『ええ、もちろんですよ。だったらさっさと行きましょう。今は少しでも時間が惜しい』
「ああ……行くと……すっか……!」
そして、再びカミナは2本の足でしっかりと立ち上がった。
もう一度、歩き出すために。
もう一度、歩き出すために。
「――まったく、度し難い奴らよ。
まだ天を突くなどという愚か者がいるとはな」
まだ天を突くなどという愚か者がいるとはな」
だが再び彼の前に立ち塞がるのは黄金の君臨者。
彼らの行く手を阻むのは、壁と呼ぶにはあまりにも高く堅固なバビロニアの城壁。
彼らの行く手を阻むのは、壁と呼ぶにはあまりにも高く堅固なバビロニアの城壁。
『King! 貴方はこの期に及んでまだ……!』
「黙るがいい具足。貴様にはその役目は期待しておらん。
答えるべくはそこの木偶よ」
「黙るがいい具足。貴様にはその役目は期待しておらん。
答えるべくはそこの木偶よ」
ルビーのような赤い瞳がクロスミラージュを射抜く。
「答えよ魔具、そこな雑種が我にできなかったことをできるというのか?
――笑えん冗談はそこまでにしておけよ、雑種」
――笑えん冗談はそこまでにしておけよ、雑種」
空気が殺意に塗りつぶされる。
全身から放たれる殺気が何よりも如実に王の決定を告げていた。
間違えた答えをすれば、その瞬間、死の審判をくれてやると。
全身から放たれる殺気が何よりも如実に王の決定を告げていた。
間違えた答えをすれば、その瞬間、死の審判をくれてやると。
殆どの魔力を失ったとはいえ、その力はいまだ最強。
恐らくはこの場の全員を瞬殺しても余りある。
高まる緊張感にジェリコを握り締めたスパイクの手のひらに汗が滲む。
恐らくはこの場の全員を瞬殺しても余りある。
高まる緊張感にジェリコを握り締めたスパイクの手のひらに汗が滲む。
『……無理、でしょうね』
「クロミラ、テメェ……!」
「クロミラ、テメェ……!」
先ほど自分を叱咤した仲間の思いがけない否定の言葉にカミナは怒りをあらわにする。
だがクロスミラージュは冷静に言葉を重ねた。
だがクロスミラージュは冷静に言葉を重ねた。
『冷静に考えればそうでしょう。
カミナ、貴方はあまりにも――弱すぎる』
カミナ、貴方はあまりにも――弱すぎる』
そう、カミナは弱い。
生き残り、いや、この会場に集められたものの中でも弱い範疇に入ると断言してもいい。
生き残り、いや、この会場に集められたものの中でも弱い範疇に入ると断言してもいい。
なるほど、短期間でヴィラルと戦えるようになった戦闘能力、
それに短期間の特訓でガンメンを乗りこなせるようになった適応能力、
それらは特筆すべき事項かもしれない。
だが、それらはあくまで常人の域を出ない。
古今東西の英霊の化身であるサーヴァントや人間兵器と称される国家錬金術師たちに比べればあまりにも些細な力だ。
それに短期間の特訓でガンメンを乗りこなせるようになった適応能力、
それらは特筆すべき事項かもしれない。
だが、それらはあくまで常人の域を出ない。
古今東西の英霊の化身であるサーヴァントや人間兵器と称される国家錬金術師たちに比べればあまりにも些細な力だ。
かといって心も決して強いとは言えない。
いつも強気でポジティブなのは、弱気でネガティブな本質の裏返し。
精神も成熟しているわけではなく、どちらかといえば未熟の一言。
明智健悟のように冷静なわけでも、スカーのように達観しているわけでもない。
いくら明鏡止水を習得したとはいえ付け焼刃。
その心は成熟したとは言いがたいものがある。
いつも強気でポジティブなのは、弱気でネガティブな本質の裏返し。
精神も成熟しているわけではなく、どちらかといえば未熟の一言。
明智健悟のように冷静なわけでも、スカーのように達観しているわけでもない。
いくら明鏡止水を習得したとはいえ付け焼刃。
その心は成熟したとは言いがたいものがある。
そして……頭脳にいたっては言うまでも無い。
字も読めない。理解力も決して高くない。
二言目には気合と根性……もしかしたらぶっちぎりでバカかもしれない。
字も読めない。理解力も決して高くない。
二言目には気合と根性……もしかしたらぶっちぎりでバカかもしれない。
冷静に考えればこの男のスペックではあの月を破れない。
――少なくともクロスミラージュの機械の部分はそう告げていた。
だが、
――少なくともクロスミラージュの機械の部分はそう告げていた。
だが、
『ですが……私と一緒ならば、話は別だ』
2人ならば決して負けはしない。2人ならば不可能なことなど何も無いのだと、
デバイスは一片の疑いも無く信じていた。
その様子にギルガメッシュは興味を惹かれた。少なくとも即座に殺さない程度には。
デバイスは一片の疑いも無く信じていた。
その様子にギルガメッシュは興味を惹かれた。少なくとも即座に殺さない程度には。
「ほう、そこまで貴様は有能というのか? 愚か者1人を遥か天に押し上げるほどに」
『いえ、友を救うことも、仲間の凶行を止めることもできなかった。
私自身にそんな力はありません。ですが――』
『いえ、友を救うことも、仲間の凶行を止めることもできなかった。
私自身にそんな力はありません。ですが――』
彼の人差し指が向けられた先にあるのは青白く輝く月。
いや、その先にある"何か"をクロスミラージュは指している。
いや、その先にある"何か"をクロスミラージュは指している。
『我ら2人が弱点を補い合えば、天も、次元も……いえ、多元世界の全てにおいて貫けないものなどありはしない』
――ならよ、俺とおめぇで弱点を塞ぎ合っちまえば、もう最強なんじゃねぇか?
それはいつの事だったか。記憶回路に焼き付けられた彼の言葉。
理屈ではないその答えを、クロスミラージュは全力で肯定した。
理屈ではないその答えを、クロスミラージュは全力で肯定した。
「そうか――それが貴様の答えか」
そして世界を知り尽くしたギルガメッシュは知っている。
世界には、人の身に余る生き方というものがある。
それにそぐわない生き方というのは大きく分けて二つ。
なすべき夢に対し、己があまりにも卑小であるか。
それとも人の身に対し、あまりに壮大な夢を見るか。
世界には、人の身に余る生き方というものがある。
それにそぐわない生き方というのは大きく分けて二つ。
なすべき夢に対し、己があまりにも卑小であるか。
それとも人の身に対し、あまりに壮大な夢を見るか。
前者はただただ愚かしいだけ。
そんな世の中に溢れ変える小石どもは生きている事すら愚かしい。
だが、後者の生き方をギルガメッシュは何よりも尊いと感じる。
そんな世の中に溢れ変える小石どもは生きている事すら愚かしい。
だが、後者の生き方をギルガメッシュは何よりも尊いと感じる。
あの男が泥から生まれた身で、人を超えようとしたように。
あの女が未熟な小娘の身で、王の隣に立とうとしたように。
それは愚かな生き様。その先に待つのは間違いの無い破滅。
だが、この世すべてを手に入れた王は思う。その破滅すら愛そう、と。
あまりにも身の程を知らぬその生き方は、彼の持つ蔵全ての財にすら匹敵する輝きを持つのだから。
あの女が未熟な小娘の身で、王の隣に立とうとしたように。
それは愚かな生き様。その先に待つのは間違いの無い破滅。
だが、この世すべてを手に入れた王は思う。その破滅すら愛そう、と。
あまりにも身の程を知らぬその生き方は、彼の持つ蔵全ての財にすら匹敵する輝きを持つのだから。
天を越え全てを貫くなど、人の身にはあまりにも大きい生き方。
ましてや道具風情ならばなおのこと。
だが目の前の存在はそれを理解しながらも、そのことに一片の疑いすら持ってはいない。
全てを見通す眼力を持って、英雄王はデバイスの本気を理解した。
だからこそ笑いはせず、厳かに一度だけ頷き、
ましてや道具風情ならばなおのこと。
だが目の前の存在はそれを理解しながらも、そのことに一片の疑いすら持ってはいない。
全てを見通す眼力を持って、英雄王はデバイスの本気を理解した。
だからこそ笑いはせず、厳かに一度だけ頷き、
「――よかろう、ならばその在り方を見せてみよ」
英雄王は悠然と立ち去り、馬鹿2人へと舞台を譲る。
それが、王たる彼の決定だった。
それが、王たる彼の決定だった。
「……はっ、言われなくともそうさせてもらうぜ……
クロミラ……俺のことはいい。お前には、"あいつ"を任せるぜ」
クロミラ……俺のことはいい。お前には、"あいつ"を任せるぜ」
カミナがあごで指した先にポツンと転がるのは小型ガンメン。
フィールド発生の衝撃で吹き飛ばされてきたのか、そこには主のいないラガンが転がっている。
誰よりも信じる仲間に命より大事なものを託して、カミナは再びグレンへと一人、歩き出す。
フィールド発生の衝撃で吹き飛ばされてきたのか、そこには主のいないラガンが転がっている。
誰よりも信じる仲間に命より大事なものを託して、カミナは再びグレンへと一人、歩き出す。
だがやはり傷だらけのその体はゆっくりと傾き、地面へと倒れかかる。
しかし今度は膝が大地に付くことは無い。
ひょろりと伸びた、だが力強い腕が倒れかけた男の肩を支えたからだ。
しかし今度は膝が大地に付くことは無い。
ひょろりと伸びた、だが力強い腕が倒れかけた男の肩を支えたからだ。
「へへっ……悪いな」
「気にすんな、ニアの代わりだと思っとけよ」
「気にすんな、ニアの代わりだと思っとけよ」
肩を支える男の口から飛び出たのは一つの名前。
その名前を聞いた瞬間、まぶたの裏に珊瑚のようなくしゃくしゃの髪が揺れる。
その名前を聞いた瞬間、まぶたの裏に珊瑚のようなくしゃくしゃの髪が揺れる。
「お前……ニアを知ってるのか?」
「ああ、助けるつもりが最後には助けられたよ。
あいつがいなかったら、俺はこうしてここにいなかっただろうな」
「ああ、助けるつもりが最後には助けられたよ。
あいつがいなかったら、俺はこうしてここにいなかっただろうな」
そうか……ニアも生き抜いたのか。
グレン団の一員としてまっすぐに。
グレン団の一員としてまっすぐに。
「……だったら、反対側を支えるのはあたしの役目だ」
左肩を支えるのは全身泥だらけの女流作家――菫川ねねね。
「あたしはガッシュに助けられた。
だからガッシュの分まで、アンタを助けてやる……
アンタみたいなガキを死なせにいくなんて……ほんとは嫌だけどさぁ……!」
だからガッシュの分まで、アンタを助けてやる……
アンタみたいなガキを死なせにいくなんて……ほんとは嫌だけどさぁ……!」
見れば何かに耐えるように歯を食いしばっている。
まるでガッシュみてえな姉ちゃんだ。
頑固で真っ直ぐで、きっと気持ちのいいやつなんだろうな。
まるでガッシュみてえな姉ちゃんだ。
頑固で真っ直ぐで、きっと気持ちのいいやつなんだろうな。
「へっ、俺は死にに行くんじゃねえよ……ただ、意地を通しに行くだけさ」
「ガキが、生意気言うんじゃないよ」
「ガキが、生意気言うんじゃないよ」
ガキ扱いされるのも久しぶりだ。
しかも女からなんざ……本当に記憶の彼方だ。
だがそれも今は――悪くない。
しかも女からなんざ……本当に記憶の彼方だ。
だがそれも今は――悪くない。
「……じゃあ、私も」
そして背中に細い手が添えられる。
エレメントを使い飛び出した舞衣がカミナの背中を押し上げる。
そして、
エレメントを使い飛び出した舞衣がカミナの背中を押し上げる。
そして、
「ねぇ、貴方がシモンの"アニキ"、なんでしょ」
その口から一番、懐かしい名前を聞いた。
「シモンを助けられなかった私にそんな資格があるのかわからないけど、
それでも……これぐらいは手助けをさせて」
それでも……これぐらいは手助けをさせて」
この場で初めて会った3人の男女。
だが目を閉じればそこにニアが、ガッシュが、シモンがいるようだ。
それが嬉しくて、思わず口元が緩む。
グレン団の遺志を継ぐ3人に支えられ、カミナはグレンへと向かっていく。
だが目を閉じればそこにニアが、ガッシュが、シモンがいるようだ。
それが嬉しくて、思わず口元が緩む。
グレン団の遺志を継ぐ3人に支えられ、カミナはグレンへと向かっていく。
そしてその光景を見つめながら、クロスミラージュは1人の少女と向き合っていた。
『クロスミラージュ……』
正確に言えば、彼が向き合っていたのは、ゆたかの手に握られた槍型デバイス。
舞衣が預けた"道"の名を持つ魔槍は男の声でその名を呼ぶ。
舞衣が預けた"道"の名を持つ魔槍は男の声でその名を呼ぶ。
『……皮肉ですね。一番饒舌だったあなたが沈黙を守り、一番寡黙と評された私がこうなるとは』
そう呟くクロスミラージュは一見無表情。
だがストラーダもまた知能あるデバイスだ。
だからどうしても気づいてしまう。クロスミラージュの顔に浮かぶその感情に。
だがストラーダもまた知能あるデバイスだ。
だからどうしても気づいてしまう。クロスミラージュの顔に浮かぶその感情に。
『クロスミラージュ……何故だ。何故、お前は……"泣きそうな"顔をしている』
クロスミラージュの顔に浮かぶのは捨てられた子供のような、触れれば砕けてしまいそうな儚い微笑み。
ストラーダにはそれが泣きそうな子供の顔にしか見えなかった。
ストラーダにはそれが泣きそうな子供の顔にしか見えなかった。
『そう、ですね……ミス・コバヤカワ。
一つだけ、聞きたいことがあるのですがよろしいですか?』
一つだけ、聞きたいことがあるのですがよろしいですか?』
人を超えた英雄王でなく、ただの人として生まれた少女に。
『――何故、こんなにも寂しくて人は生きていけるのですか?』
自由に動く手足を手に入れた。
それは望んでいたはずなのに、あれだけ願ったはずなのに。
束縛から解き放たれた今、体はとても不安で、足元から崩れ落ちてしまいそうだ。
何故こんな状態で人は立てるのだろう。人は前へと進めるのだろう。
クロスミラージュには、途中から体を与えられた生命にはそれが――分からない。
それは望んでいたはずなのに、あれだけ願ったはずなのに。
束縛から解き放たれた今、体はとても不安で、足元から崩れ落ちてしまいそうだ。
何故こんな状態で人は立てるのだろう。人は前へと進めるのだろう。
クロスミラージュには、途中から体を与えられた生命にはそれが――分からない。
その問いかけにゆたかは必死に考える。それが今自分にできる最善と信じて。
そしてしばらくの沈黙の後、少女は口を開く。
そしてしばらくの沈黙の後、少女は口を開く。
「きっと……さみしいから、誰かと一緒に生きていくんです。
きっと1人じゃ不安だから……他の人を助けて、他の人に助けられて、やっと寂しさに耐えられるんです」
きっと1人じゃ不安だから……他の人を助けて、他の人に助けられて、やっと寂しさに耐えられるんです」
私が舞衣ちゃんを支えられたみたいに、
ねねね先生に、スパイクさんに、そして"あの人"に助けられたみたいに。
きっとこの寂しさは誰かと触れ合うためのエネルギー。
それは――いろいろな人に助けられてきた少女が出した、優しく小さな一つの答え。
その答えに満足したようにクロスミラージュは目を閉じ、頷く。
ねねね先生に、スパイクさんに、そして"あの人"に助けられたみたいに。
きっとこの寂しさは誰かと触れ合うためのエネルギー。
それは――いろいろな人に助けられてきた少女が出した、優しく小さな一つの答え。
その答えに満足したようにクロスミラージュは目を閉じ、頷く。
『そうですか……だとしたらこの寂しさは素晴らしいものなのですね』
ああ、そうか、だから彼や彼女は歩けたのか。
どんな時だって、2本の足でしっかりと。信頼できる誰かと一緒に。
どんな時だって、2本の足でしっかりと。信頼できる誰かと一緒に。
「フン……雑種らしい、惰弱な生き方よな」
そこにもう一つの声が重なる。
それはその輝きを知るがゆえにあえて孤高を選んだ黄金王。
そしてその足に輝くのは彼も良く知るローラーブレード型デバイス。
それはその輝きを知るがゆえにあえて孤高を選んだ黄金王。
そしてその足に輝くのは彼も良く知るローラーブレード型デバイス。
『マッハキャリバー……』
そしてそれは、ここに長い時を経て再会した"彼女たち"に縁があるものが集ったのだという事実を指し示していた。
スバル、ティア、エリオ、キャロ……
彼女たちは全員死んだというのに、自分たちがこうして再会を果たしている。
ああ、これを皮肉と言わずして何と言うのだろう。
スバル、ティア、エリオ、キャロ……
彼女たちは全員死んだというのに、自分たちがこうして再会を果たしている。
ああ、これを皮肉と言わずして何と言うのだろう。
……だが、ここまで破壊されずに生き残ったことに意味があるのだと思いたい。
どうやら三人とも生き残りの中に新たなマスターを見つけたようだ。
ならばきっと自分のように無力に嘆くことも無いだろう。
どうやら三人とも生き残りの中に新たなマスターを見つけたようだ。
ならばきっと自分のように無力に嘆くことも無いだろう。
『……マッハキャリバー、ストラーダ、フリードリヒ……
機動六課の生き残りとしての役目は貴方たちに任せます。
どうか今のマスターに尽力を』
機動六課の生き残りとしての役目は貴方たちに任せます。
どうか今のマスターに尽力を』
人を守れ、人を救え。
それはデバイスの持つ基本則。そして――きっと彼女たちが望んでいたこと。
だからせめて残った彼らにはその意志を継いで欲しいとクロスミラージュは思う。
それはデバイスの持つ基本則。そして――きっと彼女たちが望んでいたこと。
だからせめて残った彼らにはその意志を継いで欲しいとクロスミラージュは思う。
『あなたは……どうするのです』
『……機動六課のデバイス・クロスミラージュはもういない。
ティアナ・ランスターの銃型デバイスは螺旋の彼方に消えたのです。
ここにいるのは……グレン団のクロミラだ』
『……機動六課のデバイス・クロスミラージュはもういない。
ティアナ・ランスターの銃型デバイスは螺旋の彼方に消えたのです。
ここにいるのは……グレン団のクロミラだ』
散っていった彼女たちを思う、中立の時間はもう終わりだ。
ここからはただのクロミラとして行動を始めよう。
ラガンへとその視線を向け、歩き始める。
ここからはただのクロミラとして行動を始めよう。
ラガンへとその視線を向け、歩き始める。
『クロスミラージュ!』
マッハキャリバーが名前を呼んでも、その歩みは止まらない。
もう自分が機動六課(かこ)に戻ることは無いのだから。
もう自分が機動六課(かこ)に戻ることは無いのだから。
『行って来ます、――私の、かけがえの無い仲間たちよ』
だが、しかし忘れることなく背負っていこう。
機動六課のあの日々を。仲間たちとの思い出を。
今の私を作るものとして。
機動六課のあの日々を。仲間たちとの思い出を。
今の私を作るものとして。
そしてクロスミラージュは振り返ることなく歩き出す。
その先にある、友に託されたガンメンを目指して。
その先にある、友に託されたガンメンを目指して。
◇
3人の力を借りて、カミナはコックピットシートに深く身を預ける。
「ねねねに舞衣にスパイクつったか……ありがとよ」
「礼なんて言うな。それでも言いたいなら……ガッシュにでも言っといてくれ」
ああ、そうだ……こいつもついでだ、持っていけ」
「礼なんて言うな。それでも言いたいなら……ガッシュにでも言っといてくれ」
ああ、そうだ……こいつもついでだ、持っていけ」
ねねねはそう言うとカミナの頭の傷口にガッシュのマントを括り付ける。
傷口に触れた瞬間、ピタリと血が止まったような気がした。
実際に止まったかどうかなど関係ない。カミナにとってはそれだけで十分だった。
傷口に触れた瞬間、ピタリと血が止まったような気がした。
実際に止まったかどうかなど関係ない。カミナにとってはそれだけで十分だった。
「へっ、ありがとよ……これで百人……いや万人力だ。
ああ、そうだ……ついでに何か食いもん持ってねえか?
流石にちょっとばかし血が足りねぇ」
「こんなんでよけりゃ持ってけよ、餞別だ」
ああ、そうだ……ついでに何か食いもん持ってねえか?
流石にちょっとばかし血が足りねぇ」
「こんなんでよけりゃ持ってけよ、餞別だ」
スパイクがデイバッグから取り出したのはブタモグラのチャーシュー。
願ってもない。今一番足りないのは血と肉だ。
止めるまもなく齧り付き、5人前以上のそれを一気に平らげる。
先ほどまで力尽きていたとは思えないその食いっぷりに驚く3人を尻目にカミナは口を、喉を動かし
たった数秒でそれを完食した。
願ってもない。今一番足りないのは血と肉だ。
止めるまもなく齧り付き、5人前以上のそれを一気に平らげる。
先ほどまで力尽きていたとは思えないその食いっぷりに驚く3人を尻目にカミナは口を、喉を動かし
たった数秒でそれを完食した。
「あ゛ー……ステーキまでの腹ごしらえとしちゃあ上出来だな。
さんざん世話になったお前らにゃ礼の一つでもしてやりてぇが、見てのとおり何も持ち合わせがねぇ」
「だったら一つ聞かせろ……ドモンの奴は……死んだのか」
さんざん世話になったお前らにゃ礼の一つでもしてやりてぇが、見てのとおり何も持ち合わせがねぇ」
「だったら一つ聞かせろ……ドモンの奴は……死んだのか」
スパイクのその質問には答えない。
彼の中でドモンは死んだのではなく、燃え尽きただけなのだから。
だから、こう答えよう。
彼の中でドモンは死んだのではなく、燃え尽きただけなのだから。
だから、こう答えよう。
「ドモンは……笑ってたぜ」
「……そうかい」
「……そうかい」
それだけでスパイクは、3人は悟る。
あの男らしい炎のような最期だったのだろう、と。
3人とも目を伏せ、そっと黙祷をささげる。
あの男らしい炎のような最期だったのだろう、と。
3人とも目を伏せ、そっと黙祷をささげる。
そしてその我武者羅な生き方に憧れた青年は思う。
俺もああいう風に生きたいと。決して途中で投げ出さず、全力で貫き通したいと。
俺もああいう風に生きたいと。決して途中で投げ出さず、全力で貫き通したいと。
「そうだ……貫くんだ。
ガッシュがいなくなろうが、ジジィが螺旋王と手を組んでいようが結局やることはかわらねぇ」
「――おい、そりゃどういう意味」
「あぶねえぞ、離れてろ」
ガッシュがいなくなろうが、ジジィが螺旋王と手を組んでいようが結局やることはかわらねぇ」
「――おい、そりゃどういう意味」
「あぶねえぞ、離れてろ」
スパイクの疑問をさえぎるように、グレンのコックピットが閉まる。
モニターに映るのはラガンに乗り込んだクロミラの姿。
へっ、悪いな、シモン。今日だけはアイツと俺のグレンラガンだ。
モニターに映るのはラガンに乗り込んだクロミラの姿。
へっ、悪いな、シモン。今日だけはアイツと俺のグレンラガンだ。
『行きますよ、カミナ!』
「――おお、来い!」
「――おお、来い!」
ラガンが天高く飛び上がり、グレンに衝撃が走る。
ドリルがコックピットまで突き刺さり、カミナの眼前に先端が突き出る。
エネルギーが全身に行き渡り、腕が伸びる。足が伸びる。
どこからとも無く兜が現れ、巨大な人型のシルエットが姿を現す。
ドリルがコックピットまで突き刺さり、カミナの眼前に先端が突き出る。
エネルギーが全身に行き渡り、腕が伸びる。足が伸びる。
どこからとも無く兜が現れ、巨大な人型のシルエットが姿を現す。
「天も次元も乗り越えて、出会った魂紅蓮に燃える!!」
だが、その姿は完全とは程遠い。
ラガンの超回復能力をもってしても限界が来ているのだ。
装甲は所々ひび割れ、ラガンを特徴付けていたサングラスブレードは失われている。
この会場で無双を誇っていた武人の姿はそこには無い。まるで矢尽き刀折れた敗残の将だ。
ラガンの超回復能力をもってしても限界が来ているのだ。
装甲は所々ひび割れ、ラガンを特徴付けていたサングラスブレードは失われている。
この会場で無双を誇っていた武人の姿はそこには無い。まるで矢尽き刀折れた敗残の将だ。
『人と機械の境界越えて、ひたすら進むは螺巌の道を!』
だが、残された2本の足は大地をしっかりと踏みしめ、2本の腕は胸の前で力強く組んでいる。
その勇姿は、希望を捨てぬ人々の祈りが生み出した抗うものたちの守護に相応しい。
そう、その名は――
その勇姿は、希望を捨てぬ人々の祈りが生み出した抗うものたちの守護に相応しい。
そう、その名は――
『友情合体、グレンラガン!』
「オレを!」
『私たちを!』
「『誰だと思っていやがる!!』」
「オレを!」
『私たちを!』
「『誰だと思っていやがる!!』」
名乗りを上げるその姿は、まさに威風堂々。
長い時を経て、グレンラガンは本来の姿を取り戻したのだ。
長い時を経て、グレンラガンは本来の姿を取り戻したのだ。
『最適地点まで移動します。少し休んでください』
月明かりの中、赤い巨人は移動を開始する。
ゆらゆらと揺れるコックピットの中でぼんやりと考えるのは、頭上のコックピットに乗り込んだ仲間のことだ。
ゆらゆらと揺れるコックピットの中でぼんやりと考えるのは、頭上のコックピットに乗り込んだ仲間のことだ。
「まさか、アイツと合体することになるとはな……」
出会いは、奇妙なものだった。
――少し話をしませんか?
敵だと思ってた女が落とした銀色の板。
最初は無感情な奴だと思っていたが、行動を共にするうち、次第にその中に魂があることがわかってきた。
最初は無感情な奴だと思っていたが、行動を共にするうち、次第にその中に魂があることがわかってきた。
時に喧嘩し、時に笑い合い、時に共に泣いた。
妙に人間くさい板切れとすごした時間……それはとても楽しいものだった。
妙に人間くさい板切れとすごした時間……それはとても楽しいものだった。
だがそれは同時に、もっといたはずの仲間の姿をどうしても思い起こさせる。
あれだけ騒がしかった仲間はいない。
もう自分たちを残してグレン団は誰もいないのだ。
シモンも、ヨーコも、ニアも、ビクトリームも、ガッシュも。
あれだけあった暖かい物は、すべて取りこぼしてしまったのだ。
あれだけ騒がしかった仲間はいない。
もう自分たちを残してグレン団は誰もいないのだ。
シモンも、ヨーコも、ニアも、ビクトリームも、ガッシュも。
あれだけあった暖かい物は、すべて取りこぼしてしまったのだ。
何の気なしに周囲を見渡せば、あるのはただ瓦礫のみ。
動く物は誰もおらず、シンとした静寂が辺りを包んでいる。
取り残されたのは生き残ったグレン団のリーダーと元板っ切れ。
この地でグレン団を作ると決めたそのときにいた最初の2人だけ。
動く物は誰もおらず、シンとした静寂が辺りを包んでいる。
取り残されたのは生き残ったグレン団のリーダーと元板っ切れ。
この地でグレン団を作ると決めたそのときにいた最初の2人だけ。
荒涼とした風景の中、唯一残されたのは鉄塔。
先ほどの戦闘の余波か僅かに傾き、地に影を落としている。
それはまるでグレン団の墓標のようにカミナには感じられた。
先ほどの戦闘の余波か僅かに傾き、地に影を落としている。
それはまるでグレン団の墓標のようにカミナには感じられた。
「……へっ、2人に戻っちまったな」
『いえカミナ、それは違います』
『いえカミナ、それは違います』
だが断固たる意志を言葉の裏に滲ませ、クロスミラージュはカミナの言葉を否定する。
『ニアも、ビクトリームも、ガッシュも、Mr.ドモンも……彼らと過ごした時間は短い物です。
ですが、私のこの胸に、この背中に、記憶の最も深いところに刻み付けられている。
絶対に忘れることの無い、大切な思い出として。
だから私たちはあの時と、無力だったあの時と同じではありません。
決して2人だけでは――ありません』
ですが、私のこの胸に、この背中に、記憶の最も深いところに刻み付けられている。
絶対に忘れることの無い、大切な思い出として。
だから私たちはあの時と、無力だったあの時と同じではありません。
決して2人だけでは――ありません』
クロスミラージュの口から出てくるのはいつもと変わらない電子音声。
だがカミナはその裏に確かに感じ取った。
友の、クロスミラージュの篤い想いを。
だから、自然と口の端も上がろうというものだ。
だがカミナはその裏に確かに感じ取った。
友の、クロスミラージュの篤い想いを。
だから、自然と口の端も上がろうというものだ。
「そうだな……違いねぇ。お前に言われるたぁ、俺もヤキが回ったか」
『ええ、カミナらしくもない。
あなたは時に大事なことを忘れる』
「はは、おめえも言うようになったじゃ――」
『ええ、カミナらしくもない。
あなたは時に大事なことを忘れる』
「はは、おめえも言うようになったじゃ――」
だが、カミナはそこで言葉を失う。
カミナの視線の先、破砕した映画館の瓦礫の上、子供がうつぶせに倒れている。
爆発に巻き込まれて跳ね上げられでもしたのか、
無残にも後頭部は破壊され、顔はつぶれ、遠目では男か女かも判別がつかないほどに損傷している。
カミナの視線の先、破砕した映画館の瓦礫の上、子供がうつぶせに倒れている。
爆発に巻き込まれて跳ね上げられでもしたのか、
無残にも後頭部は破壊され、顔はつぶれ、遠目では男か女かも判別がつかないほどに損傷している。
しかしカミナはその亡骸から目を放せない。
ずり落ちて首にかかる状態になったゴーグルと、血で赤黒く染まった青い髪。
そして何よりもその背中に描かれた赤いマーク。
見間違うはずも無い、その背中は自分がずっと見続けたものなのだから。
ずり落ちて首にかかる状態になったゴーグルと、血で赤黒く染まった青い髪。
そして何よりもその背中に描かれた赤いマーク。
見間違うはずも無い、その背中は自分がずっと見続けたものなのだから。
『どうかしましたか、カミナ』
「なんでもねえ、よ……」
「なんでもねえ、よ……」
だが、それでも挫けない。
今にも折れそうな心を意地と根性で塗り固め、2本の足で大地を踏みしめる。
たった一つの強がり抱いて、男は不敵にニヤリと笑う。
今にも折れそうな心を意地と根性で塗り固め、2本の足で大地を踏みしめる。
たった一つの強がり抱いて、男は不敵にニヤリと笑う。
そうか、シモン。わざわざ見にきてくれたか。
男カミナ、一世一代の大仕事を。
だったらしかとその目に焼き付けとけよ。これが――俺の、晴れ舞台だ。
男カミナ、一世一代の大仕事を。
だったらしかとその目に焼き付けとけよ。これが――俺の、晴れ舞台だ。
『カミナ、目標地点に到着しました』
「……おう」
「……おう」
鋼の体と電子の心、肉の体と炎の心。
二対の視線が月を睨む。
二対の視線が月を睨む。
こんな時何を言うかは決まっていた。
その言葉は、2人にとって大事な人を思い起こさせる。
カミナはどんな時だって諦めない小さくて大きな背中を。
クロスミラージュはいつだって努力を重ねてきた笑顔を。
その言葉は、2人にとって大事な人を思い起こさせる。
カミナはどんな時だって諦めない小さくて大きな背中を。
クロスミラージュはいつだって努力を重ねてきた笑顔を。
それはとても大事な記憶。
だからその言葉はきっと彼らにとって愛より重く、強い。
そして、だからこそ今、口にしよう。
だからその言葉はきっと彼らにとって愛より重く、強い。
そして、だからこそ今、口にしよう。
「――行くぜ、相棒」
『――All right, My buddy』
『――All right, My buddy』
その言葉に、万感の想いを込めて。
◇
遥か遠くに見えるのは、月明かりに照らされた赤いシルエット。
それに乗り込むのは"何か"を決意した男たち。
本当にこれでよかったんだろうか、もっと方法があったんじゃないだろうか。
みんなが助かるような、そんな素敵な方法が。
少なくとも、こうやって送り出すのは間違いじゃなかったのか。
小早川ゆたかはそう思ってしまう。
それに乗り込むのは"何か"を決意した男たち。
本当にこれでよかったんだろうか、もっと方法があったんじゃないだろうか。
みんなが助かるような、そんな素敵な方法が。
少なくとも、こうやって送り出すのは間違いじゃなかったのか。
小早川ゆたかはそう思ってしまう。
「……死に場所を見つけたんだよ、あいつらは」
スパイクのその言葉にも頷く事はできない。
生きるべき場所はあれど、死ぬべき場所があると考えたくない。
愛と平和(ラブアンドピース)は、そういうものだと彼女は思う。
生きるべき場所はあれど、死ぬべき場所があると考えたくない。
愛と平和(ラブアンドピース)は、そういうものだと彼女は思う。
「……む?」
そんな中、ギルガメッシュが何かに気づく。
『どうしました、King?』
「フン……まだ生きていたか」
「え……」
「フン……まだ生きていたか」
「え……」
どういうことか聞く前に異変は起きた。
グレンラガンの前に立ちふさがるようにそれは現れる。
瓦礫を吹き飛ばし、それは異形の姿を月明かりの元へ晒す。
漆黒のシルエットを持って現れたそれの名は――
グレンラガンの前に立ちふさがるようにそれは現れる。
瓦礫を吹き飛ばし、それは異形の姿を月明かりの元へ晒す。
漆黒のシルエットを持って現れたそれの名は――
時系列順に読む
Back:HAPPY END(16) Next:HAPPY END(18)
投下順に読む
Back:HAPPY END(16) Next:HAPPY END(18)
285:HAPPY END(16) | ヴィラル | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | シャマル | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | スカー(傷の男) | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | ガッシュ・ベル | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | 菫川ねねね | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | スパイク・スピーゲル | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | 鴇羽舞衣 | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | 小早川ゆたか | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | ジン | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | ギルガメッシュ | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | カミナ | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | ドモン・カッシュ | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | 東方不敗 | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | ニコラス・D・ウルフウッド | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | ルルーシュ・ランペルージ | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | チミルフ | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | 不動のグアーム | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | 流麗のアディーネ | 285:HAPPY END(18) |
285:HAPPY END(16) | 神速のシトマンドラ | 285:HAPPY END(18) |