トグサくんのメッセージ ◆LXe12sNRSs
『メッセージを再生するギガ~』
桜田ジュンが受話器を手に取りまず耳にしたのは、なんとも間抜けな声調の声だった。
『今から話すことを、どうか冷静になって聞いて欲しい。
まず、俺はゲームには乗っていない。誰が聞くかは分からぬ以上、名を明かすことは出来ないが……これだけは信じて欲しい。
このメッセージは、D-5エリアにあるホテルの電話からによるものだ。
俺は今、このゲームを脱出するために必要な人員と道具……特に、何かネットワークに繋げるような情報端末を求めている。
もしこれを聞いた者に、このゲームに抗う気持ちがあるというのなら……今すぐホテルへ連絡してくれ。
おそらく、俺の相棒が応対してくれるはずだ。もちろん、直接会いに来てくれるというのなら歓迎する。
だが……万が一このメッセージを聞いた者がゲームに乗った者であり、俺たちをカモだと思って襲ってくるんなら、その時は容赦しない。
特に、俺の相棒は頗る凶悪でね。暴れたら俺でも手がつけられないほどの狂犬、おまけに怪力だ。
これをブラフだと思うのは勝手だが、意地を張って痛い目を見るのは、あまりに滑稽だと俺は思う。
メッセージは以上だ――よい返答を期待する』
まず、俺はゲームには乗っていない。誰が聞くかは分からぬ以上、名を明かすことは出来ないが……これだけは信じて欲しい。
このメッセージは、D-5エリアにあるホテルの電話からによるものだ。
俺は今、このゲームを脱出するために必要な人員と道具……特に、何かネットワークに繋げるような情報端末を求めている。
もしこれを聞いた者に、このゲームに抗う気持ちがあるというのなら……今すぐホテルへ連絡してくれ。
おそらく、俺の相棒が応対してくれるはずだ。もちろん、直接会いに来てくれるというのなら歓迎する。
だが……万が一このメッセージを聞いた者がゲームに乗った者であり、俺たちをカモだと思って襲ってくるんなら、その時は容赦しない。
特に、俺の相棒は頗る凶悪でね。暴れたら俺でも手がつけられないほどの狂犬、おまけに怪力だ。
これをブラフだと思うのは勝手だが、意地を張って痛い目を見るのは、あまりに滑稽だと俺は思う。
メッセージは以上だ――よい返答を期待する』
――留守電に残されていたメッセージは以上。
ジュンは受話器を一旦戻し、しばし考える。
ジュンは受話器を一旦戻し、しばし考える。
(……罠じゃないか?)
率直に感じて、そう思った。
記録されていた音声は、聞きなれぬ男のもの。
表面だけ見れば、単なる仲間募集のための留守電メッセージ――だが、そんな安易なものが簡単に信用できるだろうか。
駅に置かれた電話など、誰が手に取るかは分からない。それこそ、ゲームに乗った殺戮者である可能性も十分にあり得る。
それを考慮せず、『ホテルに脱出を計画している参加者がいる』と知らせることなど、あまりにも無謀だとジュンは思った。
電話の主はよほど腕の立つ人物なのか、それとも彼の言うとおり、相棒とやらが凶悪なまでに強いのか。
全てがデマカセで、単に人寄せを狙っているというのは? だとすれば、相手は必然的にマーダーということになる。
それこそ罠だ。しかし、同じマーダーに狙われるかもしれないというリスクを背負ってまですることだろうか。
危険を承知で、全てを行っているのだとしたら。伝言を残すという手段は、早い内に仲間を増やす上では有効だ。
いや、しかし……。
記録されていた音声は、聞きなれぬ男のもの。
表面だけ見れば、単なる仲間募集のための留守電メッセージ――だが、そんな安易なものが簡単に信用できるだろうか。
駅に置かれた電話など、誰が手に取るかは分からない。それこそ、ゲームに乗った殺戮者である可能性も十分にあり得る。
それを考慮せず、『ホテルに脱出を計画している参加者がいる』と知らせることなど、あまりにも無謀だとジュンは思った。
電話の主はよほど腕の立つ人物なのか、それとも彼の言うとおり、相棒とやらが凶悪なまでに強いのか。
全てがデマカセで、単に人寄せを狙っているというのは? だとすれば、相手は必然的にマーダーということになる。
それこそ罠だ。しかし、同じマーダーに狙われるかもしれないというリスクを背負ってまですることだろうか。
危険を承知で、全てを行っているのだとしたら。伝言を残すという手段は、早い内に仲間を増やす上では有効だ。
いや、しかし……。
「考えたって……答えはまとまんないか」
先ほど九死に一生を味わったせいか、どうにも疑心暗鬼になってしまっている。
これだけ念入りな内容のメッセージ、罠だとは思いたくない。
ひょっとしたら、脱出の可能性を持つ心強い仲間にめぐり合えるかもしれないのだ。
ジュンはとりあえず、指示されたとおりホテルへ電話をかけてみることにした。
判断は、応対する相手の印象を掴んでからでも遅くはない。
そう考えた……のだが。
これだけ念入りな内容のメッセージ、罠だとは思いたくない。
ひょっとしたら、脱出の可能性を持つ心強い仲間にめぐり合えるかもしれないのだ。
ジュンはとりあえず、指示されたとおりホテルへ電話をかけてみることにした。
判断は、応対する相手の印象を掴んでからでも遅くはない。
そう考えた……のだが。
「……なんで誰もでないんだよ」
イラつきを覚えて、やや乱暴に受話器を戻す。
しょうがない。不幸にも、通話するタイミングが悪すぎたのだ。
ジュンが受話器を握った現時刻――ホテルでは、暗黒メイドVS強面サイボーグ&ドジっ娘メイドに、おとぼけドラキュリーナを加えた盛大なドンパチの真っ最中。
ジュンがそのことを知る術は、ない。
後でかけなおす、という手段も考えたが、今はそんなことをしている暇はない。
そう――ジュンはまだ、完全に安全圏へ避難しきれたわけではないのだ。
近くではまだ、草薙素子やアーチャーが激闘を繰り広げているはず。
これ以上巻き込まれないためにも、早急にここを離れなければ。
しょうがない。不幸にも、通話するタイミングが悪すぎたのだ。
ジュンが受話器を握った現時刻――ホテルでは、暗黒メイドVS強面サイボーグ&ドジっ娘メイドに、おとぼけドラキュリーナを加えた盛大なドンパチの真っ最中。
ジュンがそのことを知る術は、ない。
後でかけなおす、という手段も考えたが、今はそんなことをしている暇はない。
そう――ジュンはまだ、完全に安全圏へ避難しきれたわけではないのだ。
近くではまだ、草薙素子やアーチャーが激闘を繰り広げているはず。
これ以上巻き込まれないためにも、早急にここを離れなければ。
「次に電車が来るのは……10時30分。そんなの、待ってられねぇよ……」
再度確認する時刻表に溜め息を吐くも、足は既に外へと飛び出していた。
そう。電車を待っている時間もない現状、逃走手段は己の足しかない。
運動は決して得意とはいえなかったが……命がかかっているともなれば、人間どうにかできるものだ。
朝倉涼子と対峙した時も、物干し竿とモデルガンでどうにか切り抜けてきた。
あの時の苦労に比べれば、今回はただ逃げるだけ――実に簡単じゃないか。
そう。電車を待っている時間もない現状、逃走手段は己の足しかない。
運動は決して得意とはいえなかったが……命がかかっているともなれば、人間どうにかできるものだ。
朝倉涼子と対峙した時も、物干し竿とモデルガンでどうにか切り抜けてきた。
あの時の苦労に比べれば、今回はただ逃げるだけ――実に簡単じゃないか。
ジュンは他の参加者に見つからぬよう線路沿いに逃走を図り、東を目指した。
一か八か、賭けてみることにしたのだ。ホテルにいるであろう、脱出派の人物に。
鬼が出るか蛇が出るか……ジュンは息を呑み、なおも走り続ける。
一か八か、賭けてみることにしたのだ。ホテルにいるであろう、脱出派の人物に。
鬼が出るか蛇が出るか……ジュンは息を呑み、なおも走り続ける。
【F-2 1日目 朝】
【桜田ジュン@ローゼンメイデンシリーズ】
[状態]:全力疾走による相当な疲労、全身に軽い火傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:ホテルへ向かい、留守電の主と会う(完全に信用してはいない)。
2:どこかで武器になるようなものを調達。
3:信頼できる人間を捜す。
4:他人の殺害は出来れば避けたい。
基本:ゲームに乗らず、ドールズ(真紅、翠星石、蒼星石)と合流する。
[状態]:全力疾走による相当な疲労、全身に軽い火傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:ホテルへ向かい、留守電の主と会う(完全に信用してはいない)。
2:どこかで武器になるようなものを調達。
3:信頼できる人間を捜す。
4:他人の殺害は出来れば避けたい。
基本:ゲームに乗らず、ドールズ(真紅、翠星石、蒼星石)と合流する。
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