AV-98 イングラム

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AV-98 イングラム - (2015/12/10 (木) 17:36:13) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/02/15(月) 16:01:02
更新日:2024/04/22 Mon 23:19:25
所要時間:約 5 分で読めます




AV-98 イングラムとは機動警察パトレイバーに登場する警察用レイバーであり、作品の主役メカである。

形式番号 AV-98
メーカー 篠原重工
販売開始 1998.04
全高 8.02m
全幅 4.37m
本体重量 6.00t
全備重量 6.62t
最大起重 2.40t
装甲材質
繊維強化金属
炭素繊維強化プラスチック
標準装備 37mmリボルバーカノン、スタンスティック、シールド、ウインチ
追加装備 90mmライアットガン

日々進歩するレイバーとレイバー犯罪に対して警察が採用した新型のパトロールレイバー(パトレイバー)。

外見は『見る者にあたえる心理的影響』を考慮してデザインされており、いかにも「正義の味方」に見えるようなフォルムとなっている。
密閉式コクピットによって人間的な姿をしているが、その結果として居住性は最悪。
パワー系統はリニア化によって従来機に比べより強力になった。
マニピュレーターは人間に近い形状であるため豊富なオプションの使用が可能となっている上、モーショントレーサーを使うことであやとりなどの複雑な作業も可能。
更に炭素繊維プラスチックを多用した。
ことで軽量で、それによって高い運動性を持つ。
どれをとっても非常に高性能な機体である。
また人々の心理的不安を考えて、白と黒のモノクロ色・赤いパトランプと警察の物だと一目で分かるデザインにされている。
基本的に現場まではレイバー用の輸送車で移動し、現場では指揮車の指示で動く。

2002年には引退、八王子工場でデータ採取のテスト機として運用されていた。

そして時は流れて2013年
レイバー産業の衰退により、都内のレイバー犯罪発生率は大幅に低下。と言うか殆ど無い。
第一小隊は解体され、レイバー運用継続という名目の下、第二小隊は辛うじて存在していた。
その第二小隊に配備されたのは、もはや型落ちの旧式と化していたイングラムであった。
低予算の中で整備班が現地改修を繰り返した結果、メーカーサポートすら打ち切られる始末。
ロクな部品が無いので、動けばどこかしら壊れ、稼働時間も恐ろしく短い。
役目は精々、警視庁のお飾り程度であった。(シバシゲオ曰く、神社の狛犬)

◇装備
  • 37mmリボルバーカノン
正式名称「三十七粍機動速射野砲」。特殊なカバードホローポイント弾を発射する。
初期設定では20mmだったが、なんやかんやあって変更された。
右足脹ら脛に収納された巨大な拳銃。取り出す際には右手が伸びて掴む。総弾数6発
太田が使いたがる武器の十八番であり、撃つと大抵ロクなことにならない(死人は出ないが)

以下、実写版ネタバレ注意
これ以外にも、☢のマークの弾頭も開発されている。
…もはや警察の装備じゃない。

  • スタンスティック(電磁警棒)
左手のシールドに短く収納された警棒。使用の際には伸びて電撃を放つ。

  • シールド
左手に付けられた篭手みたいなシールド。警視庁の文字入り

  • ウインチ
股間に装備されたウインチ。機体の保持や武器にも使える優れもの

  • 90mmライアットガン
イングラムの持つ最大威力の火砲。
形状はポンプアクションのショットガンで、発射すると無数の弾をばらまく。
非常に危険なのでライアットガンでちゃんばらをしてはいけない。暴発するから

ぎゃぁぁぁっ! 暴発した! 暴発した!! 暴発したぁぁ〜!!!
特車二課第二小隊に支給されたイングラムは漫画版、初期OVA、劇場版第一作では一号機と二号機だけだったが、テレビ版以降は三号機や四号機も登場した。


【機体ナンバリング】
◇イングラム一号機
泉 野明が搭乗する機体。
野明によってかつての愛犬の名前である「アルフォンス」の愛称が付けられる。
…が、漫画版では単にイングラムと呼んでいた。
得意技は一本背負いとウィンチによる小技。
旧OVAの一話でいきなり丹下左膳になっちゃった。
野明の技量と愛情、そして信頼により、格上相手であろうとも善戦できる可能性を秘めている…のだが配属されて暫くはその愛情が強すぎて傷つけられるのさえ嫌がり取っ組み合いが出来なかった。
千葉さんの妄想で飛行ユニットを搭載したことがある。
1話で『飛べないんですかぁ?』あったけど


◇イングラム二号機
太田功が搭乗する機体。
当初は一号機と同じデザインだったが太田の乱暴な操縦のため頻繁に損傷、純正品の製造が追い付かず試作品を使っているため頭と肩の形状が異なる。
得意技はリボルバーカノン。
撃つと大抵「エライこと」になる
公共物を良く破壊する破壊神
しかし、強敵の前では前座でやられる噛ませ犬なところがある
もちろん弱いわけではなく最初の劇場版終盤で無双シリーズ並の一騎当千をしたことがある(その後やられたが)。
まあつまり、相手が悪すぎた。
頭が飛ぶのは様式美。 


◇イングラム三号機
アニメ版及びそれ以降の作品に登場。
第二小隊の人員不足のため予備機とされていたが、電子戦を得意とするレイバー「ファントム」との戦闘の際に電子戦用に改造された。その際に頭部も専用のものになった。
他の機体との違いは額部分の巨大化、肩装甲。
また、劇場版2で頭部が再び変更されたが、その理由はPSゲームで明かされている。
主な搭乗者は篠原、香貫花、南雲隊長、PSゲーム主人公。


すべて出渕裕によるデザインが基本となっている。そのため出渕穴と呼ばれる意匠がある。
デザイナーが同じなため「機動戦士ガンダム」シリーズに登場するジェガンとよく似ている。

一応特殊車両の扱いのため、ウインカーやナンバープレートが付いている。

かつて連載していたコラム「ゆうきまさみのはてしない物語」にパトレイバー完全の顛末が載っており、初期デザインのイングラムも少しだけ出ている。


【バリエーション】
◇AVS-98 エコノミー

イングラムの廉価版、即ち量産モデル
1機のコストは、イングラム1機分のコストで複数体製造出来る程の低コスト。コクピットも密閉式ではなく、モニターはあくまで補助機能。更に、乗り心地も改良される(遊馬曰く、下半身のバネがフニャフニャ)という、至れり尽くせりな機体。

しかし、所詮は安物。

国際レイバーショウ終了後に、遊馬が1号機の機動ディスケットを使用して試運転。
「護衛任務を放棄した」と激怒した太田は、実力行使で二号機に搭乗。遊馬の前に立ちはだかった。
この時隊長が止めなかったのは、エコノミーの性能テストの為}
「太田の二号機に負けるのでは話にならない」という理由から、逆に太田を挑発して勝負を挑んだ。
まさに取っ組み合いが始まろうとした瞬間、その間にコンテナを積んだトラックが乱入。
そのコンテナの中身は、何を隠そうグリフォンである。
コンテナから現れたグリフォンの不意打ちを受け、二号機はダウン。
遊馬は単機でグリフォンに挑んだ。(先述の通り、1号機のディスケットを使用しているので1号機は出撃不能)
しかし、バドの天才的な技量と、グリフォンの化物のような性能に勝てる筈も無く、成す術無くボコボコにされた。
この時内海は、「篠原はつまらん物を作ったな」と評していた。
その後、グリフォンが二号機からの銃撃を防ぐべく、あろう事か盾として使用。
そのまま放り投げられ、遊馬は負傷、二号機共々機能を停止した。

この1件により、エコノミーの配備は中止。技術者達も設計を煮詰め直す方針となった。


【プラモデル】
放映当時、バンダイから1/60スケールの2in1のコンパチでプラモデル化された。

ちなみに、現在パトレイバーの1/60プラモデルはAから始まっているが、@は劇場版イングラムである。
劇場版イングラムは金型を改修されてAのTV版イングラムになっている。

後に指揮車,抜き手,野明&遊馬フィギュア,三号機用パーツが追加されたアルフォンススペシャル
更にリアクティブアーマー,二号機(劇場版),三号機(メデューサ)を追加した、イングラムスペシャルが発売された。

…余談であるが、付属のゴム製関節カバーパーツには、(イングラムに限らずレイバーキット共通だが)ある致命的な欠陥があった
それはズバリ、パーツを侵食するのである
不要になったプラモの部品に、消しカスを付けて数日放置してみよう。すると、何という事でしょう。消しカスがパーツを溶かしているではありませんか
これと全く同じ原理で、パーツを侵食するのである。
これにより、手間暇掛けて作った作品が悲惨な事になったモデラーもいるのでは?
更に言うと、無駄に弾力があるので関節が曲がりにくい。
せっかくなので、関節カバーを自作してみてはいかがだろうか。
使用する素材はあなた次第。


そして、2001年に1/35スケールでMG化された。
劇場版1/TV版からは1〜3号機が、
劇場版2からは1号機と2、3号機(コンバーチブル)が、
劇場版3からはライトユニット付き2号機が発売された。

ちなみにライトユニットは別売もされている。

2007年には、劇場版1/TV版の1〜3号機が作れる3ih1仕様のライトユニット付き、成形色を艶ありに変更したMGイングラムスペシャルが発売された。
…買った奴いるのか?


2014年には1/48スケールで実写版のデザインで発売された。
最新技術を用いただけはあり、可動範囲,再現度は非常に高い。特に、コクピットハッチは開閉可能、尚且つ内部の機器類まで再現する徹底ぶり。
特徴的な凄まじいディテールはスミ入れ必須。それだけで完成度はグッと高まるのでオススメ。
レイバーには必須の関節カバーパーツは、ゴムではなくビニール製。自分でシワを付けるので、金型成形よりも自然なシワに仕上がるのが売り。
付属品は、シールド,電磁警棒,泉野 明フィギュア,リボルバーカノン。
ライアットガン? そもそも実写版の世界に存在しているのか…?

余談であるが、パッケ絵について何か思う事は無いか?
何? 実写版特有の質感を表現している?
よーく見て欲しい。

1号機のポーズ、その背後に立つ2号機、1号機の左手の開き方…






お分かりいただけただろうか?






そう、先述の1/60のパッケ絵と構図が同じなのである
1号機の足の開き方や、2号機の装備は異なるが、オマージュである事に変わりはない。



野明「追記・修正ってどうやるの?」
遊馬「知恵と勇気で何とかしろ」

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